動作玩具
【課題】意外性を有し、ユーモアに富んだ動作玩具を提供すること。
【解決手段】並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、前記展開手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている。
【解決手段】並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、前記展開手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、姿態が変化する動作玩具としては、ロボット玩具その他の玩具が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のロボット玩具等においては、胴体に対して一部の部分、例えば、手足が動作するだけであり、動作に予測性があり、意外性に乏しいものであった。
本発明は、かかる点に鑑みなされたものであり、意外性を有し、ユーモアに富んだ動作玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、
並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、
付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、
前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、
前記展開手段は、
前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている、
ことを特徴とする動作玩具である。
【0005】
請求項2の発明は、前請求項1に記載の動作玩具であって、記動作玩具を床面上で走行させる走行手段を前記一面側に備えることを特徴とする。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載の動作玩具であって、前記走行手段は、床面上での転動によって前記動作玩具を走行させるための車輪を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体の両端部が床面上に当接して前記車輪を該床面上から浮き上がらせるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体によって前記走行手段が被覆されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1から5いずれか一項に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に、床面上を叩いてその反動で前記動作玩具を該床面上で転動させる転動手段を前記一面側に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から6の発明によれば、殻体は展開状態と縮退状態とを交互に取るので、ダンゴ虫やアルマジロ等が拡がったり、丸まったりする動きを真似た興趣性の高い動作玩具が実現できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、殻体は展開状態の際に走行するので、ダンゴ虫やアルマジロ等が歩行する動きに真似た動作玩具が実現できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、走行が車輪の転動によって行われるので、機構的に簡素な構造とすることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に走行手段を浮き上がらせて走行を停止させるので、機構的に簡素な構造とすることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に殻体によって走行手段が被覆されるので、ダンゴ虫やアルマジロ等が丸まってあたかも足を隠しているかのようなイメージが醸し出され、面白みのある動作玩具が実現できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に動作玩具が転動するので、より面白みのある動作玩具が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態に係る動作玩具を、図面を参照しながら説明する。
図1は、殻体が縮退状態の動作玩具を示した模式図、図2は、殻体が展開状態の動作玩具を示した模式図、図3は、動力伝達機構の要部を示した斜視図、図4は、展開手段の要部を示した図、図5は、図4の展開手段中の間欠機構を示した図、図6は、殻体の動作を示した図、図7は、転動手段の要部を示した模式図である。
【0017】
実施形態に係る動作玩具1は団子虫やアルマジロ等を真似た動作をする玩具である。
この動作玩具1の殻体2は、特に限定はされないが、7つの殻片2−1から2−7から構成されている。
殻体2を構成する各殻片は反り板によって構成されている。隣り合う殻片はゴム等によって屈伸可能に連結されている。ただし、殻片2−4と殻片2−6とは一体であり、実質的には一つの殻片として構成されている。また、殻片2−5と殻片2−7とは一体であり、実質的には一つの殻片として構成されている。また、殻片2−1から2−5の両側には扇形形状の側板2aがそれぞれ付設されている。
そして、動作玩具1の殻体2は、図1に示す丸まった形状と、図2で示す展開状態とを交互に取り得るように構成されている。なお、殻体2が縮退状態となるとき、側板2aは隣同士で当接する。
【0018】
次に、遊び方と動作玩具1の動作について簡単に説明する。
この動作玩具1は、特に限定はされないが、発条仕掛けの玩具となっており、動作玩具1を動作させる場合には摘み7(図3参照)を回して発条を巻き上げる。発条の巻き上げが終了したら、動作玩具1を床面上に載置する。すると、動作玩具1は図2の展開状態で床面上で所定方向に走行する。この走行は車輪9が床面上を転動することによって行われる。この車輪9が転動する際には、殻体2の両側に設けたアイドルローラ5,5が接地し転動する。展開状態で暫し走行した後、動作玩具1の殻体2は、瞬時に、図1に示す縮退状態となる。この縮退状態では、殻体2の両側が床面上に当接して車輪9は床面上から浮き上がる。そして、脚片26(図7参照)が床面上を蹴って動作玩具1は転動して一回転する。そして、再び、動作玩具1の殻体2は徐々に展開状態に移行する。そして、動作玩具1の殻体2が展開状態となったときに車輪9が床面上に接地し、動作玩具1は床面上で所定方向に走行する。発条動力が尽きるまで以上の動作が繰り返される。
次に、動作玩具1の内部構造の詳細を説明する。
【0019】
特に限定はされないが、殻片2−2と殻片2−3との間には、殻体2を丸まらせるためのスプリング6が掛けられている。このスプリング6は、殻片2−4と殻片2−5との間に掛けられていても良いし、隣接する殻片間にそれぞれ掛けられていても良い。また、後述の展開手段Aの構成部品と殻片との間に掛けられ、展開手段Aの構成部品が動作する際にスプリング6の張力が減じるように構成しても良い。
【0020】
5つの殻片の中で中央に位置する殻片2−1には下面側に機枠4が付設されている。
機枠4には、スプリング6と共働して殻体2を一時的かつ間欠的に拡開させるための展開手段Aと、車輪9を含み動作玩具1を走行させるための走行手段Bと、脚片26を含み動作玩具1を転動させるための転動手段Cとが組み付けられている。
この場合の展開手段A、走行手段B及び転動手段Cは、特に限定はされないが、動力源である発条や、発条動力を伝達する動力伝達機構等の多くの部品を共有している。
以下、展開手段A、走行手段B及び転動手段Cの構造をこの順に説明する。
【0021】
1.展開手段A
展開手段Aは、間欠運動機構15を備えている。この間欠運動機構15は、図3に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された部分歯車16と、部分歯車16に噛合可能なラック部材17と、ラック部材17を上方へ付勢するスプリング18とを備える。
ここで、部分歯車16は、図4から図6に示すように、歯部と欠歯部16aを有している。一方、ラック部材17は、ラック歯(歯部)17aと、欠歯部17bとを有している。ラック部材17には上端部にピン17cが付設され、このピン17Cは、後述する揺動機構19を構成する揺動部材20の長孔20aに臨入している。
【0022】
この間欠機構15によれば、図5(A)に示すように、部分歯車16とラック部材17のラック歯17aが噛合している間、部分歯車16の回転力によって、ラック部材17は下方へ移動する(第1動作期間)。そして、ラック部材17の移動によって、図5(B)に示すように、ラック部材17の上端部の欠歯部17bが噛合位置に達すると、回転する部分歯車16の歯がラック部材17の最上段のラック歯17aを叩き続けるので、ラック部材17は、部分歯車16の回転に拘わらずその位置をキープする(停止期間)。この状態は、回転する部分歯車16の欠歯部16aが噛合位置まで来るまで維持される。そして、部分歯車16の回転によって、図5(C)に示すように、部分歯車16の欠歯部16aが噛合位置に達すると、ラック部材17は部分歯車16から完全にフリーな状態となるため、ラック部材17は、スプリング18の付勢力によって上方に移動する(第2動作期間)。そして、ラック部材17は、図5(A)の初期位置に復帰する。
【0023】
また、展開手段Aは、上記間欠機構15によって動作する揺動機構19を備える。この揺動機構19は、殻片2−2,2−3,2−4,2−5の下面を押圧するものである。 図6には、殻片2−3,2−5の下面を押圧する揺動機構19が図示され、殻片2−2,2−4の下面を押圧する揺動機構19が図示されていないが、両揺動機構19は左右対称の構成となっている。
揺動機構19は、図6に示すように、上記揺動部材20を備える。揺動部材20は殻片2−1に設けられた軸2cを中心に揺動する。この揺動部材20は、殻片2−3を押圧するための押圧部20bと、殻片2−5を押圧するための押圧部20cを備えている。
揺動部材20は、湾曲するアーム20dを備える。該アーム20dには、アームの長手方向に沿って湾曲形成された長孔20aが形成されている。そして、アーム20dの長孔20aには、上述のように、ラック部材17のピン17cが臨入している。
この揺動機構19によれば、図6に示すように、ラック部材17が下降する際に、揺動部材20が反時計方向に回転し、押圧部20bが殻片2−3を、また、押圧部20cが殻片2−5を押圧する。これによって、殻体2が展開状態となる。
なお、展開手段Cはこれに限定されるものではない。必要なのは、殻体2を押し広げにれることである。
【0024】
2.走行手段B
走行手段Bは、発条動力で車輪9を床面上で転動させて殻体2ひいては動作玩具1を走行させるためのものである。この走行手段Bは、図3に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された歯車11と、出力軸10と平行な軸12に付設され歯車11に噛合する歯車13と、軸12と平行な車軸8に固定され歯車13に噛合する歯車14と、車輪9とを備える。
この走行手段Bによれば、発条動力が出力軸10、歯車11、歯車13及び歯車14を介して車軸8に伝達され、車輪9が回転する。なお、左右の車輪9は車軸8を介して連結されて一体に回転する。
なお、走行手段Cはこれに限定されるものではない。歩行によって走行するものであっても良い。
【0025】
3.転動手段C
転動手段Cは、発条動力で殻体2を床面上で転動させ一回転させるためのものである。この転動手段Cは、図3及び図7に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された歯車11と、出力軸10と平行な軸22に付設され歯車11に噛合する歯車23と、歯車23の端面に付設された偏心ピン23aと、軸22と平行な軸24に付設され軸24を中心に回転可能な扇形の駒板25と、駒板25と一体的に回転する脚片26と、脚片26を床面から離間する方向に付勢するスプリング27とを備える。
この転動手段Cによれば、発条動力が出力軸10及び歯車11を介して歯車23に伝達され、歯車23が回転する。歯車23が回転すると、途中で、偏心ピン23aが駒板25をスプリング27の付勢力に抗して蹴る。これによって、脚片26が床面を叩いてその反動で殻体2が転動(一回転)する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】殻体が縮退状態の動作玩具を示した模式図である。
【図2】殻体が展開状態の動作玩具を示した模式図である。
【図3】動力伝達機構の要部を示した斜視図である。
【図4】展開手段の要部を示した図である。
【図5】図4の展開手段中の間欠機構を示した図である。
【図6】殻体の動作を示した図である。
【図7】転動手段の要部を示した模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1 動作玩具
2 殻体
2−1〜2−7 殻片
2b 側壁
4 機枠
5 ローラ
6 スプリング
15 間欠運動機構
16 間欠歯車
16a 欠歯部
17 ラック部材
17a ラック歯
17b 欠歯部
18 スプリング
19 リンク機構
20 揺動部材
21 揺動部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、姿態が変化する動作玩具としては、ロボット玩具その他の玩具が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のロボット玩具等においては、胴体に対して一部の部分、例えば、手足が動作するだけであり、動作に予測性があり、意外性に乏しいものであった。
本発明は、かかる点に鑑みなされたものであり、意外性を有し、ユーモアに富んだ動作玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、
並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、
付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、
前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、
前記展開手段は、
前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている、
ことを特徴とする動作玩具である。
【0005】
請求項2の発明は、前請求項1に記載の動作玩具であって、記動作玩具を床面上で走行させる走行手段を前記一面側に備えることを特徴とする。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載の動作玩具であって、前記走行手段は、床面上での転動によって前記動作玩具を走行させるための車輪を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体の両端部が床面上に当接して前記車輪を該床面上から浮き上がらせるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体によって前記走行手段が被覆されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1から5いずれか一項に記載の動作玩具であって、前記殻体が前記縮退状態となった際に、床面上を叩いてその反動で前記動作玩具を該床面上で転動させる転動手段を前記一面側に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から6の発明によれば、殻体は展開状態と縮退状態とを交互に取るので、ダンゴ虫やアルマジロ等が拡がったり、丸まったりする動きを真似た興趣性の高い動作玩具が実現できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、殻体は展開状態の際に走行するので、ダンゴ虫やアルマジロ等が歩行する動きに真似た動作玩具が実現できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、走行が車輪の転動によって行われるので、機構的に簡素な構造とすることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に走行手段を浮き上がらせて走行を停止させるので、機構的に簡素な構造とすることができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に殻体によって走行手段が被覆されるので、ダンゴ虫やアルマジロ等が丸まってあたかも足を隠しているかのようなイメージが醸し出され、面白みのある動作玩具が実現できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、殻体が縮退状態となった際に動作玩具が転動するので、より面白みのある動作玩具が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態に係る動作玩具を、図面を参照しながら説明する。
図1は、殻体が縮退状態の動作玩具を示した模式図、図2は、殻体が展開状態の動作玩具を示した模式図、図3は、動力伝達機構の要部を示した斜視図、図4は、展開手段の要部を示した図、図5は、図4の展開手段中の間欠機構を示した図、図6は、殻体の動作を示した図、図7は、転動手段の要部を示した模式図である。
【0017】
実施形態に係る動作玩具1は団子虫やアルマジロ等を真似た動作をする玩具である。
この動作玩具1の殻体2は、特に限定はされないが、7つの殻片2−1から2−7から構成されている。
殻体2を構成する各殻片は反り板によって構成されている。隣り合う殻片はゴム等によって屈伸可能に連結されている。ただし、殻片2−4と殻片2−6とは一体であり、実質的には一つの殻片として構成されている。また、殻片2−5と殻片2−7とは一体であり、実質的には一つの殻片として構成されている。また、殻片2−1から2−5の両側には扇形形状の側板2aがそれぞれ付設されている。
そして、動作玩具1の殻体2は、図1に示す丸まった形状と、図2で示す展開状態とを交互に取り得るように構成されている。なお、殻体2が縮退状態となるとき、側板2aは隣同士で当接する。
【0018】
次に、遊び方と動作玩具1の動作について簡単に説明する。
この動作玩具1は、特に限定はされないが、発条仕掛けの玩具となっており、動作玩具1を動作させる場合には摘み7(図3参照)を回して発条を巻き上げる。発条の巻き上げが終了したら、動作玩具1を床面上に載置する。すると、動作玩具1は図2の展開状態で床面上で所定方向に走行する。この走行は車輪9が床面上を転動することによって行われる。この車輪9が転動する際には、殻体2の両側に設けたアイドルローラ5,5が接地し転動する。展開状態で暫し走行した後、動作玩具1の殻体2は、瞬時に、図1に示す縮退状態となる。この縮退状態では、殻体2の両側が床面上に当接して車輪9は床面上から浮き上がる。そして、脚片26(図7参照)が床面上を蹴って動作玩具1は転動して一回転する。そして、再び、動作玩具1の殻体2は徐々に展開状態に移行する。そして、動作玩具1の殻体2が展開状態となったときに車輪9が床面上に接地し、動作玩具1は床面上で所定方向に走行する。発条動力が尽きるまで以上の動作が繰り返される。
次に、動作玩具1の内部構造の詳細を説明する。
【0019】
特に限定はされないが、殻片2−2と殻片2−3との間には、殻体2を丸まらせるためのスプリング6が掛けられている。このスプリング6は、殻片2−4と殻片2−5との間に掛けられていても良いし、隣接する殻片間にそれぞれ掛けられていても良い。また、後述の展開手段Aの構成部品と殻片との間に掛けられ、展開手段Aの構成部品が動作する際にスプリング6の張力が減じるように構成しても良い。
【0020】
5つの殻片の中で中央に位置する殻片2−1には下面側に機枠4が付設されている。
機枠4には、スプリング6と共働して殻体2を一時的かつ間欠的に拡開させるための展開手段Aと、車輪9を含み動作玩具1を走行させるための走行手段Bと、脚片26を含み動作玩具1を転動させるための転動手段Cとが組み付けられている。
この場合の展開手段A、走行手段B及び転動手段Cは、特に限定はされないが、動力源である発条や、発条動力を伝達する動力伝達機構等の多くの部品を共有している。
以下、展開手段A、走行手段B及び転動手段Cの構造をこの順に説明する。
【0021】
1.展開手段A
展開手段Aは、間欠運動機構15を備えている。この間欠運動機構15は、図3に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された部分歯車16と、部分歯車16に噛合可能なラック部材17と、ラック部材17を上方へ付勢するスプリング18とを備える。
ここで、部分歯車16は、図4から図6に示すように、歯部と欠歯部16aを有している。一方、ラック部材17は、ラック歯(歯部)17aと、欠歯部17bとを有している。ラック部材17には上端部にピン17cが付設され、このピン17Cは、後述する揺動機構19を構成する揺動部材20の長孔20aに臨入している。
【0022】
この間欠機構15によれば、図5(A)に示すように、部分歯車16とラック部材17のラック歯17aが噛合している間、部分歯車16の回転力によって、ラック部材17は下方へ移動する(第1動作期間)。そして、ラック部材17の移動によって、図5(B)に示すように、ラック部材17の上端部の欠歯部17bが噛合位置に達すると、回転する部分歯車16の歯がラック部材17の最上段のラック歯17aを叩き続けるので、ラック部材17は、部分歯車16の回転に拘わらずその位置をキープする(停止期間)。この状態は、回転する部分歯車16の欠歯部16aが噛合位置まで来るまで維持される。そして、部分歯車16の回転によって、図5(C)に示すように、部分歯車16の欠歯部16aが噛合位置に達すると、ラック部材17は部分歯車16から完全にフリーな状態となるため、ラック部材17は、スプリング18の付勢力によって上方に移動する(第2動作期間)。そして、ラック部材17は、図5(A)の初期位置に復帰する。
【0023】
また、展開手段Aは、上記間欠機構15によって動作する揺動機構19を備える。この揺動機構19は、殻片2−2,2−3,2−4,2−5の下面を押圧するものである。 図6には、殻片2−3,2−5の下面を押圧する揺動機構19が図示され、殻片2−2,2−4の下面を押圧する揺動機構19が図示されていないが、両揺動機構19は左右対称の構成となっている。
揺動機構19は、図6に示すように、上記揺動部材20を備える。揺動部材20は殻片2−1に設けられた軸2cを中心に揺動する。この揺動部材20は、殻片2−3を押圧するための押圧部20bと、殻片2−5を押圧するための押圧部20cを備えている。
揺動部材20は、湾曲するアーム20dを備える。該アーム20dには、アームの長手方向に沿って湾曲形成された長孔20aが形成されている。そして、アーム20dの長孔20aには、上述のように、ラック部材17のピン17cが臨入している。
この揺動機構19によれば、図6に示すように、ラック部材17が下降する際に、揺動部材20が反時計方向に回転し、押圧部20bが殻片2−3を、また、押圧部20cが殻片2−5を押圧する。これによって、殻体2が展開状態となる。
なお、展開手段Cはこれに限定されるものではない。必要なのは、殻体2を押し広げにれることである。
【0024】
2.走行手段B
走行手段Bは、発条動力で車輪9を床面上で転動させて殻体2ひいては動作玩具1を走行させるためのものである。この走行手段Bは、図3に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された歯車11と、出力軸10と平行な軸12に付設され歯車11に噛合する歯車13と、軸12と平行な車軸8に固定され歯車13に噛合する歯車14と、車輪9とを備える。
この走行手段Bによれば、発条動力が出力軸10、歯車11、歯車13及び歯車14を介して車軸8に伝達され、車輪9が回転する。なお、左右の車輪9は車軸8を介して連結されて一体に回転する。
なお、走行手段Cはこれに限定されるものではない。歩行によって走行するものであっても良い。
【0025】
3.転動手段C
転動手段Cは、発条動力で殻体2を床面上で転動させ一回転させるためのものである。この転動手段Cは、図3及び図7に示すように、発条ユニットの出力軸10に固定された歯車11と、出力軸10と平行な軸22に付設され歯車11に噛合する歯車23と、歯車23の端面に付設された偏心ピン23aと、軸22と平行な軸24に付設され軸24を中心に回転可能な扇形の駒板25と、駒板25と一体的に回転する脚片26と、脚片26を床面から離間する方向に付勢するスプリング27とを備える。
この転動手段Cによれば、発条動力が出力軸10及び歯車11を介して歯車23に伝達され、歯車23が回転する。歯車23が回転すると、途中で、偏心ピン23aが駒板25をスプリング27の付勢力に抗して蹴る。これによって、脚片26が床面を叩いてその反動で殻体2が転動(一回転)する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】殻体が縮退状態の動作玩具を示した模式図である。
【図2】殻体が展開状態の動作玩具を示した模式図である。
【図3】動力伝達機構の要部を示した斜視図である。
【図4】展開手段の要部を示した図である。
【図5】図4の展開手段中の間欠機構を示した図である。
【図6】殻体の動作を示した図である。
【図7】転動手段の要部を示した模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1 動作玩具
2 殻体
2−1〜2−7 殻片
2b 側壁
4 機枠
5 ローラ
6 スプリング
15 間欠運動機構
16 間欠歯車
16a 欠歯部
17 ラック部材
17a ラック歯
17b 欠歯部
18 スプリング
19 リンク機構
20 揺動部材
21 揺動部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、
付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、
前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、
前記展開手段は、
前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている、
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項2】
前記動作玩具を床面上で走行させる走行手段を前記一面側に備えることを特徴とする請求項1に記載の動作玩具。
【請求項3】
前記走行手段は、床面上での転動によって前記動作玩具を走行させるための車輪を備えることを特徴とする請求項2に記載の動作玩具。
【請求項4】
前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体の両端部が床面上に当接して前記車輪を該床面上から浮き上がらせるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の動作玩具。
【請求項5】
前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体によって前記走行手段が被覆されるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の動作玩具。
【請求項6】
前記殻体が前記縮退状態となった際に、床面上を叩いてその反動で前記動作玩具を該床面上で転動させる転動手段を前記一面側に備えることを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の動作玩具。
【請求項1】
並設された複数の殻片を有し、隣接する前記殻片同士が屈伸可能に連結され、屈伸によって、丸まった状態である縮退状態と開放された状態である展開状態とを取り得るように構成された殻体と、
付勢力によって前記殻体を前記縮退状態とさせる付勢手段と、を備え、
前記殻体の一面側には展開手段が設けられ、
前記展開手段は、
前記付勢手段による付勢力に抗して前記殻体を前記一面側から押圧して該殻体に一時的かつ間欠的に前記展開状態を取らせるように構成されている、
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項2】
前記動作玩具を床面上で走行させる走行手段を前記一面側に備えることを特徴とする請求項1に記載の動作玩具。
【請求項3】
前記走行手段は、床面上での転動によって前記動作玩具を走行させるための車輪を備えることを特徴とする請求項2に記載の動作玩具。
【請求項4】
前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体の両端部が床面上に当接して前記車輪を該床面上から浮き上がらせるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の動作玩具。
【請求項5】
前記殻体が前記縮退状態となった際に該殻体によって前記走行手段が被覆されるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の動作玩具。
【請求項6】
前記殻体が前記縮退状態となった際に、床面上を叩いてその反動で前記動作玩具を該床面上で転動させる転動手段を前記一面側に備えることを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の動作玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−247657(P2009−247657A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100127(P2008−100127)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】
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