説明

動力伝達切替保持装置、記録装置及び液体噴射装置

【課題】動力伝達される複数の駆動系を独立して正逆転できるようにし、各々の駆動系の動作タイミング等の設定を容易にし、各駆動系の動力伝達状態を確実に保持できるようにする。
【解決手段】本発明の動力伝達切替保持装置1は単一の駆動源31を使用して複数の駆動系32、33を個別に動作させる動力伝達切替え手段34と、切り替えた駆動系32、33の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段35とを備え、動力伝達切替え手段34は、駆動源31の正逆転動作に連動して揺動する揺動アーム50と、該揺動アーム50に軸支され、駆動源31の回転を各駆動系32、33に伝達する遊星ギア51、52、53とを備え、動力伝達保持手段35は既存の他の駆動部から動力が伝達されて揺動アーム50の動きを規制する規制部材55を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の駆動源を使用して複数の駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを備える動力伝達切替保持装置及び該動力伝達切替保持装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、インク等の液体をそのヘッドから吐出(噴射)して被記録材(被液体噴射材)に記録を実行する(液体を付着する)インクジェット式記録装置などの液体噴射装置及び該液体噴射装置に対して設けられる動力伝達切替保持装置に関するものである。
【0003】
ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録材に記録を行なうプリンタ、プロッタ、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被液体噴射材に噴射して、前記液体を前記被液体噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0004】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0005】
以下、液体噴射装置、記録装置の一例であるインクジェットプリンタを例に採って説明する。インクジェットプリンタには、用紙を1枚ずつ自動的に給送する自動給送系と記録ヘッドに付着したインクを強制吸引して除去するインク吸引系の2つの駆動系が設けられている。そして、これらの駆動系に単一の駆動モータから動力が伝えられ、上記駆動モータの動力を動力伝達切替え手段によって上記自動給送系とインク吸引系とに振り分けて選択的に伝達するように構成されているものがある。
【0006】
動力伝達切替え手段として一般的には、自動給送装置に組み込まれた図13、図14に示すようなクラッチ機構101が使用されていた。この自動給送装置では給送用ローラの回転軸を正転方向に一回転させる間に一連の動作を実行しなければならない。また、上記一連の動作を実行するためには、駆動モータを単に正転方向に回転させるだけではクラッチ103の連結を解除できず、一旦、駆動モータを逆転させ、トリガーレバー105をクラッチ103側に回転させてクラッチ103の連結を解除し、再び正転させる必要があった。しかし、このようなクラッチ機構101を使用した動力伝達切替え手段は、上述のように給送用ローラの回転軸を正転方向に一回転させる間に一連の動作を実行しなければならず、クラッチ103を360°回転させるとクラッチ103の連結状態がリセットされる等、クラッチ軸の正逆転時の動作の制約が多かった。また、クラッチ103の連結を解除し、駆動モータの動力をインク吸引系に切り替える際の動作タイミングの制御等も複雑になっていた。
【0007】
また、動力伝達切替え手段として正逆転時の動作の制約が少ない遊星ギアを使用した機構も下記の特許文献1に示すように一部では試みられている。しかし、遊星ギアを使用した機構では各駆動系への動力伝達状態が不安定になり易く、切り替えた駆動系の動力伝達状態を別途保持する動力伝達保持手段が必要になってくる。そこで、特許文献1では該動力伝達保持手段として上記駆動モータとは別の専用駆動部であるソレノイドを備え、更に該ソレノイドから突出するプランジャと、該プランジャによって押圧されて移動する係止突起部と、該係止突起部と係止する係止切り欠き部等の部材を備えた構成が開示されている。
【0008】
しかし、このような構成の動力伝達保持手段は、専用駆動部を必要とするため部品点数が多くなり、更にソレノイドの動作タイミングを制御する等の別途の制御が必要になり、コストの削減を図る上においても障害になっていた。この他、給送用ローラは断面形状がD字形のD型ローラが使用されており、用紙給送時以外はD型ローラ周面の平坦部が用紙側に位置する待機姿勢を採るように構成されていた。そして、D型ローラが待機姿勢にある時を利用して紙戻しレバーを動作させて重送されてきた後続の用紙を給送トレイ側に押し戻すようにしていた。尚、上記紙戻し動作も給送用ローラが正転方向に一回転する間に実行されており、紙戻しレバーの動作タイミングや動作範囲を設定する自由度も狭めていた。
【特許文献1】特開2000−272145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点の存在を踏まえてなされたものであって、動力伝達される複数の駆動系を独立して自由に正逆転でき、各々の駆動系の動作タイミングや動作範囲の設定を容易に行え、切り替えた後の各駆動系の動力伝達状態を確実に保持することのできるコンパクトで低コスト、且つ動作安定性に優れた動力伝達切替保持装置及び該動力伝達切替保持装置を備えた記録装置等を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様に係る動力伝達切替保持装置は、単一の駆動源を使用して複数の駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを備え、前記動力伝達切替え手段は、前記駆動源の正逆転動作に連動して揺動する揺動アームと、該揺動アームに軸支され前記駆動源の回転をそれぞれの駆動系に伝達する遊星ギアとを備え、前記動力伝達保持手段は、既存の他の駆動部から動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、動力伝達切替え手段として遊星ギアを使用することで動力伝達される複数の駆動系を独立して自由に正逆転させることができる。それにより、上記駆動系の正逆転時における制約が少なくなるため各々の駆動系の動作タイミングや動作範囲の設定の自由度が拡大する。また、既存の他の駆動部から動力が伝達されて動作する規制部材によって揺動アームの動きが規制されるため、ソレノイド等の専用駆動部を設けることなく、切り替えた後の各駆動系の動力伝達状態を確実に保持することができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る動力伝達切替保持装置は、前記第1の態様において、前記動力伝達切替え手段は、前記駆動源の出力軸に取り付けられるピニオンギアと噛み合う中間ギアと、該中間ギアの回転軸を揺動中心として揺動する前記揺動アームと、該揺動アームに配設され隣同士互いに噛み合う遊星ギア群とを備え、前記遊星ギア群を構成する一つの遊星ギアが前記中間ギアから動力が伝達され、他の遊星ギアが前記複数の駆動系のそれぞれの入力ギアと各別に噛み合うことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、遊星ギア群からなるギア輪列と1つの中間ギアとによってピニオンギアの回転をロスなく複数の駆動系に選択的に伝達することができる。また揺動アームの揺動中心を中間ギアの回転軸と一致させることによって揺動アームの円滑な揺動と、上記遊星ギア群による円滑な動力伝達が実行される。
【0014】
尚、前記動力伝達切替え手段は、前記駆動源の出力軸に取り付けられるピニオンギアと噛み合う中間ギアと、該中間ギアの回転軸を揺動中心として揺動する前記揺動アームと、該揺動アームに対して直列的に配設され隣同士互いに噛み合う直列遊星ギア群とを備え、前記直列遊星ギア群を構成する一端側の遊星ギアが前記中間ギアから動力が伝達され、他端側の遊星ギアが前記複数の駆動系のそれぞれの入力ギアと各別に噛み合う構成とするのがよい。
このように、直列遊星ギア群の端に位置する各遊星ギアが前記中間ギアと入力ギアにそれぞれ噛み合う構成にすると、隣のギアに換えるだけで、正転及び逆転の切り換えが可能であり、また、それぞれのギアの比を換えることで、ギア比を簡単に変更できる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る動力伝達切替保持装置は、前記第1または第2の態様において、 前記揺動アームの揺動自由端側に前記規制部材の一部に当接保持されるホールドアームが設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、揺動アームにホールドアームを設けるだけの比較的簡単な構成によって揺動アームの円滑な揺動に支障を来たすことなく、規制部材を揺動アームに作用させて切り替えた後の各駆動系の動力伝達状態を確実に保持して各駆動系の一連の動作を安定させることができる。
【0017】
本発明の第4の態様に係る動力伝達切替保持装置は、前記第1〜第3のいずれか1つの態様において、前記規制部材は摺動及び揺動自在に設けられているホールドプレートを備え、該ホールドプレートは、前記複数の駆動系の動力伝達状態を各別に保持する複数の保持部と、前記他の駆動部に当接される被当接部とを備えていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、独立した他の専用の駆動源を設けることなく、保持部と被当接部を備えるだけの極めて簡単な構成の単一の部材によって規制部材を構成することができる。従ってコンパクトで低コスト、且つ動作安定性に優れる動力伝達保持手段を実現することが可能になる。
【0019】
本発明の第5の態様に係る動力伝達切替保持装置は、前記第4の態様において、前記ホールドプレートは、前記複数の駆動系の動力伝達状態を各別に保持する際の各姿勢を付勢保持する付勢保持手段を備えていることを特徴とするものである。
本発明の第5の態様によれば、例えば2安定バネ等の付勢保持手段によって、簡単且つ確実にホールドプレートの前記各姿勢を保持することができる。
【0020】
本発明の第6の態様に係る記録装置は、被記録材を自動的に給送する自動給送系と記録ヘッドに付着したインクを強制吸引して除去するインク吸引系との2つの駆動系を切り替えることによって単一の駆動モータを使用して前記2つの駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを有する動力伝達切替保持装置と、ホッパとの協働によって被記録材を給送する給送用ローラを有する自動給送装置とを備え、前記給送用ローラは断面形状が円形の円形ローラであり、前記動力伝達切替保持装置は前記第1〜第4のいずれか1つの態様の動力伝達切替保持装置であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、動力伝達切替え手段として遊星ギアを使用することで動力伝達される自動給送系とインク吸引系の2つの駆動系を独立して自由に正逆転できるようにし、各々の駆動系の動作タイミングや動作範囲の設定を容易に行うことが可能になる。また、規制部材を設けることで揺動アームの動きが規制されるため、切り替えた後の各駆動系の動力伝達状態を確実に保持して記録品質の向上を図ることができる。また、動力伝達切替え手段として遊星ギアを使用することで給送用ローラを逆転させることが可能になるため、給送用ローラを円形ローラにして重送時の後続の被記録材の戻し作用を給送用ローラによって実行させることが可能になる。従って、既設の戻しレバーや該戻しレバーを駆動するためのカム機構等の構成を省略することが可能になる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る記録装置は、前記第6の態様において、前記動力伝達保持手段はキャリッジの一部に当接されることによって動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第7の態様によれば、規制部材を動作させるための駆動源として既設のキャリッジを利用しているから、独立した他の専用駆動部を設けることなく、規制部材を動作させて自動給送系とインク吸引系のそれぞれの動力伝達状態を選択して確実に保持することができる。また、キャリッジがホームポジションに戻った時にインク吸引動作が実行されるため、キャリッジを駆動源として利用した場合には規制部材の形状や配置の設定も容易になる。
【0024】
本発明の第8の態様に係る液体噴射装置は、被液体噴射材を自動的に給送する自動給送系と液体噴射ヘッドに付着した液体を強制吸引して除去する液体吸引系との2つの駆動系を切り替えることによって単一の駆動モータを使用して前記2つの駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを有する動力伝達切替保持装置と、ホッパとの協働によって被液体噴射材を給送する給送用ローラを有する自動給送装置とを備え、前記給送用ローラは断面形状が円形の円形ローラであり、前記動力伝達切替え手段は、駆動源の正逆転動作に連動して揺動する揺動アームと、該揺動アームに軸支され、駆動源の回転をそれぞれの駆動系に伝達する遊星ギアとを備え、前記動力伝達保持手段はキャリッジの一部に当接されることによって動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本願発明に係る動力伝達切替保持装置及び該動力伝達切替保持装置を自動給送系とインク吸引系の2つの駆動系の切り替えに使用した液体噴射装置の一例である記録装置について説明する。最初に本願発明の液体噴射装置、そしてその一例である記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ100を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1はインクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図である。図示のインクジェットプリンタ100は、液体噴射装置本体、そして記録装置本体の一例であるプリンタ本体3を備え、該プリンタ本体3の後部寄りの上部に自動的に被液体噴射材の一例である被記録材(以下用紙ともいう)Pを連続して1枚ずつ給送することができる自動給送系の駆動系を構成する自動給送装置2が設けられている。自動給送装置2は、複数枚の用紙Pを積畳状態で載置し得る給送トレイ5と、該給送トレイ5上に積畳された用紙Pを給送用ローラ14に向けて押し上げるホッパ16と、該ホッパ16との協働(挟圧送り作用)によって給送用トレイ5上の上位の用紙Pをピックアップする給送用ローラ14と、重送されて送られてきた複数枚の用紙Pを記録の実行に使用する最上位の用紙Pと、記録の実行に使用しない後続の用紙Pとに分離する分離手段17とを備えている。
【0027】
尚、本発明では給送用ローラ14として断面形状が円形の円形ローラが使用されており、該給送用ローラ14の回転軸18は正逆転できるように構成されている。具体的には給送用ローラ14は用紙Pを給送する際は正回転し、上記分離手段によって分離された後続の用紙Pを給送トレイ5に戻す際には逆回転するようになっている。従って、重送された後続の用紙Pを給送トレイ5に戻すために設けられていた戻しレバーや該戻しレバーを駆動するためのカム機構等は本発明の記録装置100には設けられていない。
【0028】
また、上記給送用トレイ5には、用紙Pの左右のエッジに当接して用紙Pの給送方向に用紙Pを案内する図示しないエッジガイドが設けられている。ホッパ16は上端部の揺動支点を中心に揺動自在に設けられており、給送用ローラ14の回転軸18の回転と連動して下端部側を上下動し得るように構成されている。また、給送用ローラ14の用紙搬送方向の下流には、上下一対のニップローラによって構成されている搬送用ローラ19が設けられており、該搬送用ローラ19によって搬送された用紙Pは下流に位置する記録ポジション26に導かれるようになっている。
【0029】
記録ポジション26の上方には、用紙Pに液体の一例であるインクを吐出して直接記録を実行する液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド13が設けられている。一方、記録ポジション26の下方には、用紙Pの下面を支持するプラテン28が設けられている。尚、該プラテン28は、記録品質に重要に関係する上記記録ヘッド13との間のギャップPGを規定する役割を担っている。また記録ヘッド13はプリンタ本体3の幅方向に往復動するキャリッジ10の下面に搭載されており、該キャリッジ10はプリンタ本体3の幅方向に架け渡された図示しないキャリッジガイド軸によって案内され、同じくプリンタ本体3の幅方向に張設されたループ状の図示しない無端ベルトからの駆動力を受けて往復動し得るようになっている。
【0030】
キャリッジ10は、ホームポジションと、該ホームポジションの左側の記録実行領域との間を往復動できるように構成されており、キャリッジ10のホームポジションの下方には記録ヘッド13のヘッド面13aに当接して図示しないノズル孔内に付着したインクを強制吸引して除去するインク吸引系の駆動系を構成するインク吸引装置6が設けられている。尚、このインク吸引装置6は記録ヘッド13のヘッド面13aに密着状態で当接するキャップ7と、図示しない吸引ポンプと、キャップ7の側傍に設けられるワイパー8とを備えている。また、上記自動給送系とインク吸引系の2つの駆動系の駆動源は単一の駆動モータ31によって構成されており、該駆動モータ31の動力は後述する本発明の動力伝達切替保持装置1を介してそれぞれの駆動系に選択的に伝達されるようになっている。
【0031】
また、記録ポジション26の用紙搬送方向の下流には上記搬送用ローラ19と同様、一対のニップローラによって構成されている排出用ローラ20が設けられている。そして、該排出用ローラ20によって排出された用紙Pは、図示しない被液体噴射材受け部の一例である排出用スタッカの載置面上に排出され積畳されるようになっている。
【0032】
[実施例]
次に、このようにして構成されるインクジェットプリンタ100における自動給送系とインク吸引系の2つの駆動系の切り替えに使用される本発明の動力伝達切替保持装置1について図面に基づいて具体的に説明する。
【0033】
図2は動力伝達切替保持装置1の全体の構成を示す斜視図、図3は動力伝達切替保持装置1の動力伝達切替え手段周辺を拡大して示す斜視図である。図4はインク吸引系の駆動系に動力が伝達された状態を示す動力伝達切替え手段周辺の側断面図、図5は自動給送系の駆動系に動力が伝達された状態を示す動力伝達切替え手段周辺の側断面図である。図6は動力伝達保持手段周辺を拡大して示す正面図、図7は動力伝達保持手段周辺を拡大して示す背面図である。図8は動力伝達切替保持装置の作動状態を模式的に示す自動給送時の正面図(a)と側断面図(b)、図9は同上、記録実行時の正面図(a)と側断面図(b)である。また図10は同上、インク吸引時の正面図(a)と側断面図(b)、図11は同上、ワイピング及び空吸引時の正面図(a)と側断面図(b)、図12は同上、紙戻し時の正面図(a)と側断面図(b)である。
【0034】
本発明の動力伝達切替保持装置1は、単一の駆動源31を使用して複数の駆動系32、33を個別に動作させる動力伝達切替え手段34と、該動力伝達切替え手段34によって切り替えた駆動系32、33の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段35とを備えている。そして、図示の実施例では単一の駆動源31は単一の駆動モータ31(駆動源31と同一の符号を使用する)によって構成されており、複数の駆動系32、33は自動給送系32とインク吸引系33の2つの駆動系32、33によって構成されている。
【0035】
また、駆動モータ31は正逆転可能に構成されており、該駆動モータ31の出力軸36にはピニオンギア37が取り付けられている。そして、ピニオンギア37の回転は大径ギア38と小径ギア39の複合ギアによって構成されている中間ギア40の大径ギア38に伝達されるようになっており、上記小径ギア39から動力伝達切替え手段34に動力が伝達されるようになっている。また、自動給送系32には給送用ローラ14を回転させるためのギア輪列が構成されており、該ギア輪列は大径ギア41と小径ギア42の複合ギアによって構成されている入力ギア43と、上記入力ギア43の小径ギア42と噛み合う中継ギア44と、該中継ギア44と噛み合う出力ギア45とを備えることによって構成されている。尚、該出力ギア45は前記給送用ローラ14の回転軸18のホームポジション側の端部に取り付けられている。
【0036】
一方、インク吸引系33には、図示しない吸引ポンプに動力を伝えるためのギア輪列が形成されており、該ギア輪列の入力側の最初の位置に大径ギア46と小径ギア47の複合ギアによって構成されている入力ギア48が設けられている。
【0037】
動力伝達切替え手段34は、上記駆動モータ31の正逆転動作に連動して揺動運動する揺動アーム50と、該揺動アーム50に軸支され、上記駆動モータ31の回転を2つの駆動系32、33に伝達する3枚の遊星ギア51、52、53とを備えている。揺動アーム50は中間ギア40の回転軸を揺動中心Oとして揺動する側面視長板形状の平板状の部材である。そして、揺動アーム50には揺動中心O側から順番に中間ギア40の小径ギア39と噛み合う第1ギア51、該第1ギア51と噛み合う第2ギア52、該第2ギア52と噛み合い、上記自動給送系32の入力ギア43ないし上記インク吸引系33の入力ギア48と各別に噛み合う第3ギア53の3枚の遊星ギアが直列的に配置されている。尚、上記第3ギア53は大径ギア70と小径ギア71の複合ギアによって構成されており、このうち大径ギア70が上記第2ギア52及び上記駆動系33における入力ギア48とそれぞれ噛み合い、小径ギア71が上記駆動系32における入力ギア43と噛み合うようになっている。
【0038】
また、揺動アーム50の揺動自由端側の一部は、外方に向けて庇状に折り曲げられており、庇状に折り曲げられた部分は更に揺動アーム50の揺動自由端延長線上に向けて延長形成されホールドアーム54になっている。ホールドアーム54は逆への字状に屈曲された幅狭の平板形状を有しており、ホールドアーム54の先端部が後述する規制部材として機能するホールドプレート55の2つの保持部56、57に当接ないし係止されて保持されるようになっている。また、動力伝達保持手段35は既存の他の駆動部により駆動される前記キャリッジ10に当接ないし係止されることによって動力が伝達されて上記揺動アーム50の動きを規制する規制部材として機能するホールドプレート55を備えている。
【0039】
ホールドプレート55は、キャリッジ10の背面側に設けられる支持プレート58によってプリンタ本体3の幅方向に摺動自在で、上下方向に揺動自在な状態で支持されている。またホールドプレート55は平板状の部材を断面L字状に折り曲げることによって形成されており、上記支持プレート58とキャリッジ10の背面に沿う垂直部上部の左右の端部に支持プレート58側に突出する2本の係合ピン59、60を有している。尚、これらの係合ピン59、60は上記支持プレート58に形成されているへの字状に屈曲した係合長穴66と、直線状の係合長穴67とに係合し、左右方向に摺動することでホールドプレート55の水平姿勢と傾斜姿勢の切り替えを行うことができるようになっている。
【0040】
また、垂直部の右端側には横U字溝状の自動給送系側の保持部56を挟んでその下方に上下に2つの案内傾斜面61、62が形成されたフック部63が設けられている。また、上記フック部63の下端面がインク吸引系側の保持部57になっている。また、垂直部の左端側には図6、図7中、実線で示すホールドプレート55の水平姿勢と、図6、図7中、仮想線で示す傾斜姿勢との2つの姿勢を安定保持することができる付勢保持手段である2安定バネ64が設けられている。尚、この2安定バネ64は2本の捩りコイルバネを連結板65によって連結することによって構成されている。
【0041】
上記ホールドプレート55の垂直部の下端縁は、キャリッジ10側に折り曲げられて水平部73を形成している。そして該水平部73の左右両端部を上方に鉤状に折り曲げることによってキャリッジ10の背面の左右両端部に形成されている軸受部29、30に当接ないし係止される2つの被当接部68、69を形成している。
【0042】
次に本発明の動力伝達切替保持装置1の作動状態を図8〜図12に基づいて(1)自動給送時、(2)記録実行時、(3)インク吸引時、(4)ワイピング及び空吸引時、(5)紙戻し時の5段階に分けて説明する。
【0043】
(1)自動給送時(図8参照)
自動給送時は駆動モータ31の出力軸36を正転方向に回転させ、ピニオンギア37と噛み合う中間ギア40を図8(b)に示すように時計方向に回転させる。中間ギア40が時計方向に回転すると、揺動アーム50は上方に揺動するようになり、第3ギア53の小径ギア71が自動給送系32の入力ギア43における大径ギア41と噛み合う。また中間ギア40の時計方向への回転は小径ギア39から第1ギア51、第2ギア52、第3ギア53へと伝達され、更に自動給送系32の入力ギア43、中継ギア44、出力ギア45へと伝わり、回転軸18に取り付けられている給送用ローラ14を給送方向に回転させて用紙Pの自動給送を実行する。
【0044】
尚、この状態では揺動アーム50の動きを規制する必要はなく、ホールドプレート55は図8(a)に示すように左端に位置し、傾斜姿勢をとっている。そしてホールドプレート55が傾斜姿勢をとることによってキャリッジ10がホームポジション側から記録実行領域に移動する際、キャリッジ10の左右両端の軸受部29、30が左端側の被当接部68に当接しないようになっている。またホールドプレート55の傾斜姿勢は2安定バネ64によって安定保持されている。
【0045】
(2)記録実行時(図9参照)
記録実行時も駆動モータ31の出力軸36は正転方向に回転し、ピニオンギア37を介して中間ギア40を図9(b)に示すように時計方向に回転させる。従って揺動アーム50は引き続き上方に揺動された状態を維持し、中間ギア40の時計方向への回転は3枚の遊星ギア輪列51、52、53と、自動給送系側のギア輪列43、44、45を経て回転軸18に伝達され、給送用ローラ14及び前記搬送用ローラ19を給送方向に回転し続ける。
【0046】
尚、この状態でも揺動アーム50の動きを規制する必要はなく、ホールドプレート55は図9(a)に示すように左端に位置し、傾斜姿勢をとっている。そしてホールドプレート55が傾斜姿勢をとることによってキャリッジ10が記録実行領域を往復移動する際、キャリッジ10の左右両端の軸受部29、30が左端側の被当接部68に当接しないようにいなっている。またホールドプレート55の傾斜姿勢は上記自動給送時と同様、2安定バネ64によって安定保持されている。
【0047】
(3)インク吸引時(図10参照)
インク吸引時は、駆動モータ31の出力軸36を逆転方向に回転させ、ピニオンギア37と噛み合う中間ギア40を図10(b)に示すように反時計方向に回転させる。中間ギア40が反時計方向に回転すると、揺動アーム50は下方に揺動するようになり、第3ギア53の大径ギア70がインク吸引系33の入力ギア48における小径ギア47と噛み合う。
【0048】
次に、キャリッジ10がホームポジション側に移動し、キャリッジ10の右端側の軸受部30が左端の被当接部69に当接してホールドプレート55を右端に移動させてホールドプレート55を、図10(a)に示すように水平姿勢にする。またホールドプレート55が右端に向けて移動する際、揺動アーム50と一体のホールドアーム54の先端は下方のインク吸引系側の案内傾斜面62に当接し、案内されて下方に移動し、図示のようにインク吸引系側の保持部57によって上方から保持された状態になり、揺動アーム50の動きはロックされる。そして、この状態では駆動モータ31は正逆転可能であり、駆動モータ31を適宜、正逆転させることによって以下の動作を実行する。
【0049】
最初に、インク吸引装置6のキャップ7を上昇させて記録ヘッド13のヘッド面13aを封止状態にする。次に、図示しない吸引ポンプを駆動させて、記録ヘッド13の図示しないノズル孔に付着しているインクを強制吸引して除去するクリーニング動作を実行する。そして、インク吸引装置6の図示しない大気開放弁を開状態にして記録ヘッド13のヘッド面13aに封止されているキャップ7内の負圧を大気圧に戻す。尚、上記ホールドプレート55の水平姿勢は2安定バネ64によって安定保持されている。
【0050】
(4)ワイピング及び空吸引時(図11参照)
ワイピング及び空吸引時も、インク吸引系側の保持部57によって揺動アーム50の動きは、図11(a)に示すようにロックされており、揺動アーム50は下方に揺動し、第3ギア53の大径ギア70がインク吸引系33の入力ギア48における小径ギア47に噛み合っている状態が図11(b)に示すように維持されている。従って駆動モータ31は正逆転可能な状態になっており、駆動モータ31を適宜、正逆転させることによって以下の動作を実行する。
【0051】
最初に上記クリーニング動作に先行して、あるいは上記大気圧復帰動作の後に、または上記クリーニング動作中と大気圧復帰動作中の適当な時点でワイパー8を上昇させる。次にワイパー8を上昇させたままの状態でキャップ7のみを下降させる。そしてキャリッジ10を図10(a)に示すホームポジションと図11(a)に示す空吸引位置との間で数回往復移動させて、キャリッジ10の移動中の記録ヘッド13におけるヘッド面13aのワイピングと、空吸引位置での駆動モータ31の回転による空吸引を実行する。尚、キャリッジ10がホームポジションと空吸引位置との間を往復移動する際は図示のようにキャリッジ10の右端側の軸受部30は左端側の被当接部68に当接しないように間隔が設定されており、ホールドプレート55の水平姿勢は2安定バネ64によって安定保持されている。
【0052】
(5)紙戻し時(図12参照)
用紙Pの給送時に重送が生じ、記録の実行に使用しない後続の用紙Pを給送トレイ5側に戻す際には以下の動作を実行する。この場合には、図9(a)の状態で駆動モータ31を逆転させて揺動アーム50を自動給送系32側に揺動させ、記録実行領域に位置しているキャリッジ10を図12(a)に示すようにホームポジションに戻す。キャリッジ10をホームポジションに戻すと、当初図9(a)に示すように左端で傾斜姿勢で安定保持されていたホールドプレート55はキャリッジ10の右端の軸受部30によって被当接部69が押されて右端側に移動するようになる。そして、ホールドプレート55の右端側への移動途中、揺動アーム50と一体のホールドアーム54の先端が上方の自動給送系側の案内傾斜面61に当接したときは上方に向けて案内され、自動給送系側の保持部56に保持されて揺動アーム50の動きはロックされる。
【0053】
そして、上記揺動アーム50がロックされた状態では、駆動モータ31の回転方向を正転方向から逆転方向に切り替えることができるから駆動モータ31を逆転方向に回転させて中間ギア40を図12(b)に示すように反時計方向に回して3枚の遊星ギア輪列51、52、53と、自動給送系32におけるギア輪列43、44、45を介して回転軸18に取り付けられている給送用ローラ14を給送方向と反対側に回転させる。そして給送用ローラ14と分離手段17との間に挟持されている重送された後続の用紙Pは給送用ローラ14の逆方向の回転によって給送トレイ5側に戻される。
【0054】
そして図12(a)の状態から再び用紙Pの給送を実行する場合には、キャリッジ10を記録実行領域側に移動させることによってキャリッジ10の右端側の軸受部30が左端側の被当接部68に当接し、ホールドプレート55を左端に移動させ、2安定バネ64のバネ力によって傾斜姿勢にし、上記図8に示す自動給送時の動作を実行する。
【0055】
[他の実施例]
本願発明に係る動力伝達切替保持装置1及び該動力伝達切替保持装置1を備えた記録装置100等は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行なうことも勿論可能である。例えば、本発明の動力伝達切替保持装置1は、インクジェットプリンタ100における自動給送系32とインク吸引系33の2つの駆動系の切り替えに使用する場合に限らず、任意の液体噴射装置あるいは液体噴射装置以外の任意の電子機器における任意の複数の駆動系に適用することが可能である。また規制部材であるホールドプレート55を動作させる既存の他の駆動部はキャリッジ10の軸受部29、30に限らず、キャリッジ10の他の部位であっても構わないし、キャリッジ10以外の既存の他の駆動部であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】インクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図。
【図2】動力伝達切替保持装置の全体の構成を示す斜視図。
【図3】動力伝達切替え手段周辺を拡大して示す斜視図。
【図4】インク吸引系駆動時の動力伝達切替え手段を示す側断面図。
【図5】自動給送系駆動時の動力伝達切替え手段を示す側断面図。
【図6】動力伝達保持手段を示す正面図。
【図7】動力伝達保持手段を示す背面図。
【図8】自動給送時の動力伝達切替保持装置の作動状態を示す正面図(a)と側断面図(b)。
【図9】記録実行時の動力伝達切替保持装置の作動状態を示す正面図(a)と側断面図(b)。
【図10】インク吸引時の動力伝達切替保持装置の作動状態を示す正面図(a)と側断面図(b)。
【図11】ワイピング及び空吸引時の動力伝達切替保持装置の作動状態を示す正面図(a)と側断面図(b)である。
【図12】紙戻し時の動力伝達切替保持装置の作動状態を示す正面図(a)と側断面図(b)。
【図13】クラッチ機構を使用した従来の動力伝達切替装置を示す非連結時の側断面図。
【図14】クラッチ機構を使用した従来の動力伝達切替装置を示す連結時の側断面図。
【符号の説明】
【0057】
1 動力伝達切替保持装置、2 自動給送装置、3 プリンタ本体(記録装置本体)、5 給送用トレイ、6 インク吸引装置、7 キャップ、8 ワイパー、10 キャリッジ、13 記録ヘッド、13a ヘッド面、14 給送用ローラ、16 ホッパ、17 分離手段、18 回転軸、19 搬送用ローラ、20 排出用ローラ、26 記録ポジション、28 プラテン、29 軸受部、30 軸受部、31 駆動モータ(駆動源)、32 自動給送系(駆動系)、33 インク吸引系(駆動系)、34 動力伝達切替え手段、35 動力伝達保持手段、36 出力軸、37 ピニオンギア、38 大径ギア、39 小径ギア、40 中間ギア、41 大径ギア、42 小径ギア、43 入力ギア、44 中継ギア、45 出力ギア、46 大径ギア、47 小径ギア、48 入力ギア、50 揺動アーム、51 第1ギア(遊星ギア)、52 第2ギア(遊星ギア)、53 第3ギア(遊星ギア)、54 ホールドアーム、55 ホールドプレート(規制部材)、56 (自動給送系側の)保持部、57 (インク吸引系側の)保持部、58 支持プレート、59 係合ピン、60 係合ピン、61 案内傾斜面、62 案内傾斜面、63 フック部、64 2安定バネ、65 連結板、66 係合長穴、67 係合長穴、68 被当接部、69 被当接部、70 大径ギア、71 小径ギア、100 インクジェットプリンタ(記録装置)、P 用紙(被記録材)、PG ギャップ、O 揺動支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の駆動源を使用して複数の駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、
該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを備え、
前記動力伝達切替え手段は、前記駆動源の正逆転動作に連動して揺動する揺動アームと、該揺動アームに軸支され前記駆動源の回転をそれぞれの駆動系に伝達する遊星ギアとを備え、
前記動力伝達保持手段は、既存の他の駆動部から動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とする動力伝達切替保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達切替保持装置において、前記動力伝達切替え手段は、
前記駆動源の出力軸に取り付けられるピニオンギアと噛み合う中間ギアと、
該中間ギアの回転軸を揺動中心として揺動する前記揺動アームと、
該揺動アームに配設され隣同士互いに噛み合う遊星ギア群とを備え、
前記遊星ギア群を構成する一つの遊星ギアが前記中間ギアから動力が伝達され、他の遊星ギアが前記複数の駆動系のそれぞれの入力ギアと各別に噛み合うことを特徴とする動力伝達切替保持装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力伝達切替保持装置において、
前記揺動アームの揺動自由端側に前記規制部材の一部に当接保持されるホールドアームが設けられていることを特徴とする動力伝達切替保持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の動力伝達切替保持装置において、
前記規制部材は摺動及び揺動自在に設けられているホールドプレートを備え、
該ホールドプレートは、前記複数の駆動系の動力伝達状態を各別に保持する複数の保持部と、前記他の駆動部に当接される被当接部とを備えていることを特徴とする動力伝達切替保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達切替保持装置において、
前記ホールドプレートは、前記複数の駆動系の動力伝達状態を各別に保持する際の各姿勢を付勢保持する付勢保持手段を備えていることを特徴とする動力伝達切替保持装置。
【請求項6】
被記録材を自動的に給送する自動給送系と記録ヘッドに付着したインクを強制吸引して除去するインク吸引系との2つの駆動系を切り替えることによって単一の駆動モータを使用して前記2つの駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを有する動力伝達切替保持装置と、
ホッパとの協働によって被記録材を給送する給送用ローラを有する自動給送装置とを備え、
前記給送用ローラは断面形状が円形の円形ローラであり、
前記動力伝達切替保持装置は請求項1〜5のいずれか1項に記載の動力伝達切替保持装置であることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置において、
前記動力伝達保持手段はキャリッジの一部に当接されることによって動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
被液体噴射材を自動的に給送する自動給送系と液体噴射ヘッドに付着した液体を強制吸引して除去する液体吸引系との2つの駆動系を切り替えることによって単一の駆動モータを使用して前記2つの駆動系を個別に動作させる動力伝達切替え手段と、該動力伝達切替え手段によって切り替えた駆動系の動力伝達状態を保持する動力伝達保持手段とを有する動力伝達切替保持装置と、
ホッパとの協働によって被液体噴射材を給送する給送用ローラを有する自動給送装置とを備え、
前記給送用ローラは断面形状が円形の円形ローラであり、
前記動力伝達切替え手段は、駆動源の正逆転動作に連動して揺動する揺動アームと、該揺動アームに軸支され、駆動源の回転をそれぞれの駆動系に伝達する遊星ギアとを備え、
前記動力伝達保持手段はキャリッジの一部に当接されることによって動力が伝達されて前記揺動アームの動きを規制する規制部材を備えていることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−173940(P2008−173940A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11950(P2007−11950)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】