動力伝達装置
【課題】駆動側と従動側(第1運動体、第2運動体)が磁気的に結合されるとともに駆動側と従動側との結合を解除可能、あるいは伝達トルクを制御可能となし、伝達トルクがON/OFFいずれの状態のときも電力消費が不要である非接触の動力伝達装置を提供すること。
【解決手段】凸部を有する軟磁性体運動体2つ(第1運動体、第2運動体)を対向配置し、表面から磁束を発生している伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を、第2運動体の表面であって第1運動体が対向している面とは逆の面に対向させ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置を第2運動体に対して相対移動することによって、磁束を第2運動体のみで還流させたり、第1運動体及び第2運動体との間を渡るように構成することにより、第1運動体と第2運動体間の伝達力を切り替える構成を有する動力伝達装置により課題を解決する。
【解決手段】凸部を有する軟磁性体運動体2つ(第1運動体、第2運動体)を対向配置し、表面から磁束を発生している伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を、第2運動体の表面であって第1運動体が対向している面とは逆の面に対向させ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置を第2運動体に対して相対移動することによって、磁束を第2運動体のみで還流させたり、第1運動体及び第2運動体との間を渡るように構成することにより、第1運動体と第2運動体間の伝達力を切り替える構成を有する動力伝達装置により課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気作用を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置に関し、特に回転駆動力や直線運動駆動力の伝達がON−OFF可能な磁気クラッチを備えた動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気作用を利用して回転駆動力を伝達するとともに回転トルクの伝達を制御可能な動力伝達装置としては、電磁石を利用した電磁クラッチが知られている(特許文献1)。また、磁力の吸引反発力を利用した非接触の動力伝達装置に関して伝達トルク制御が可能な技術として、励磁電流を制御して伝達トルクを制御する技術(特許文献2)、回転体の対向面間隔を変えることによって伝達トルクを制御する技術(特許文献3)、磁石を磁路中に挿入することにより磁気回路を切り替えて動力伝達力を制御する技術(特許文献4)、回転体を回転軸方向に移動することによって対向する回転体を切り替えて伝達トルクを制御する技術(特許文献5)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97738号公報
【特許文献2】特開2007−239765号公報
【特許文献3】特開2008−51264号公報
【特許文献4】特開2005−351336号公報
【特許文献5】特開2004−347027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、接触式の動力伝達であるため接触面の劣化が課題であり、また、回転駆動力の伝達がON状態のとき常に電流を流し続ける必要がある。特許文献2に開示されている技術では、回転駆動力の伝達がON状態のとき常に電流を流し続ける必要がある。特許文献3、4、5に開示されている技術は、伝達トルクを制御するために構成部分を移動させることによりトルクを制御する技術であるが、移動する構成部分が回転体と一体で回転するように構成されているため、伝達トルクを制御する場合には回転しているものを移動することが必要となる場合が生じるため、構成が複雑になり扱いが難しくなるため好ましくない。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、駆動側と従動側(「第1運動体、第2運動体」すなわち「第1回転体、第2回転体」あるいは「直線移動体、回転体」あるいは「第1直線移動体、第2直線移動体」)が磁気的に結合されるとともに駆動側と従動側との結合を解除可能、あるいは伝達トルクを制御可能となし、伝達トルクがON/OFFいずれの状態のときも電力消費が不要である非接触の動力伝達装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の動力伝達装置により上記目的を達成する。
複数の凸部(凸状磁性体部)を有する軟磁性体運動体2つ(第1運動体、第2運動体)を対向配置し、表面から磁束を発生している伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を、第2運動体の表面であって第1運動体が対向している面とは逆の面に対向させ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置を第2運動体に対して相対移動することによって、磁束を第2運動体のみで還流させたり、第1運動体及び第2運動体との間を渡るように構成することにより、第1運動体と第2運動体間の伝達力を切り替える構成を有する動力伝達装置である。
より具体的には、以下の構成を有する動力伝達装置である。
【0007】
(i) 請求項1に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、本発明の目的を奏することが可能である。凸状磁性体部は運動方向に沿って設けられていることが好ましい。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第2運動体の表面に対して磁束が出入りしており、第2運動体の表面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達トルクの制御が可能である。
なお、対向面1−2は、第1運動体と第2運動体とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0008】
(ii) 請求項2に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体−回転体の回転動力の伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第2回転体(2)の内面または外面に対して磁束が出入りしており、第2回転体(2)の内面または外面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達トルクの制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
第2回転体(2)の構成体の間隔は、第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFFトルク比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0009】
(iii) 請求項3に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)として円柱形あるいは円筒形の形状を採用することができ、また、移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0010】
(iv) 請求項4に記載の動力伝達装置
(v) 請求項5に記載の動力伝達装置
(vi) 請求項6に記載の動力伝達装置
(vii) 請求項7に記載の動力伝達装置
(viii) 請求項8に記載の動力伝達装置
(ix) 請求項9に記載の動力伝達装置
これらの動力伝達装置でも、回転体−回転体の動力伝達が可能であり本発明の目的を奏することが可能である。
第2回転体(2)は、複数の構成体で構成されており、構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、第2回転体(2)の筒状または環状磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、第2回転体(2)の筒状または環状磁性体または円柱状磁性体、及び、凸状磁性体部が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時のトルクをより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、第1回転体(1)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
これらのことは(iv)から(ix)の動力伝達装置において共通である。
【0011】
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に着磁した円柱状または筒状または環状の磁石を上下から円柱状または筒状または環状磁性体ではさむことにより、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面あるいは外周面上下から磁束を出入するようにしても良い。この場合、ユニットを縦列配置して伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を構成する際は、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで、着磁方向が上下逆になっている磁石を使用すれば良いため簡便である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、内周方向及び外周方向に着磁した円柱状または筒状または環状の磁石2つを中間に非磁性体を介して保持するように形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面あるいは外周面上下から磁束を出入するようにしても良い。この場合、ユニットを縦列配置して伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を構成する際は、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで、上下磁石の着磁方向を入れ替えて形成すれば良い。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは円柱状または筒状または環状またはこれらを組み合わせた形状であることが好ましい。第1回転体(1)と第2回転体(2)との間の伝達トルクを大きくすることができ、また、第2回転体に発生する渦電流損失を小さくできるためである。
また、OFF時のトルクをより小さくする観点から、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上にもう1ユニット縦列配置されている構成であることが好ましい。
これらのことは(iv)から(ix)及び(xii)、(xv)、(xvii)の動力伝達装置において共通である。
【0012】
(x) 請求項10に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転体(12)の内面に対して磁束が出入りしており、回転体(12)の内面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達力の制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
回転体(12)の構成体の間隔は、直線移動体(11)と回転体(12)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFF力比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、直線移動体(11)と回転体(12)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0013】
(xi) 請求項11に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)として円柱形あるいは円筒形の形状を採用することができ、また、移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0014】
(xii) 請求項12に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によっても、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。
回転体(12)は、複数の構成体で構成されており、この構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、回転体(12)の筒状または環状磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、回転体(12)の筒状または環状磁性体または円柱状磁性体、及び、凸状磁性体部が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時の伝達力をより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、直線移動体(11)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
【0015】
(xiii) 請求項13に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(22)の面に対して磁束が出入りしており、直線移動体(22)の面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達力の制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
直線移動体(22)の構成体の間隔は、回転体(21)と直線移動体(22)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFF力比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、回転体(21)と直線移動体(22)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0016】
(xiv) 請求項14に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0017】
(xv) 請求項15に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によっても、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。
直線移動体(22)は、複数の構成体で構成されており、この構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、直線移動体(22)の磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、直線移動体(22)の磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時の伝達力をより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、回転体(21)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
【発明の効果】
【0018】
駆動側と従動側(「第1運動体、第2運動体」すなわち「第1回転体、第2回転体」あるいは「直線移動体、回転体」あるいは「第1直線移動体、第2直線移動体」)が磁気的に結合されるとともに駆動側と従動側との結合を解除可能、あるいは伝達トルクあるいは伝達力を制御可能となし、伝達トルクあるいは力がON/OFFいずれの状態のときも電力消費が不要である非接触の動力伝達装置を提供することが可能となる。ON/OFF制御用移動体(3)を移動することで伝達トルクを制御することが可能であり、また、ON/OFF制御用移動体(3)は必ずしも回転体とともに回転する構成を取らなくても良いため、簡単な構成で伝達トルクあるいは力の制御が可能な動力伝達装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図16】図16は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図17】図17は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図18】図18は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図19】図19は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図20】図20は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図21】図21は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図22】図22は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図23】図23は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図24】図24は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図25】図25は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図26】図26は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図27】図27は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図28】図28は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図29】図29は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図30】図30は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図31】図31は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図32】図32は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図33】図33は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図34】図34は、本発明の第9の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図35】図35は、本発明の第9の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図36】図36は、本発明の第10の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図37】図37は、本発明の第10の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図38】図38は、本発明の第11の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図39】図39は、本発明の第11の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図40】図40は、本発明の第12の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図41】図41は、本発明の第12の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図42】図42は、本発明の第13の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図43】図43は、本発明の第13の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図44】図44は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図45】図45は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図46】図46は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図47】図47は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の断面図の主要部を示す図である。
【図48】図48は、本発明の第15の実施の形態の動力伝達装置の斜視図、平面図、断面図である。
【図49】図49は、本発明の第15の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図50】図50は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置の平面図である。
【図51】図51は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図52】図52は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図53】図53は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図54】図54は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置の平面図である。
【図55】図55は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図56】図56は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図57】図57は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明を詳細に説明する。なお、各図面において回転体等の側面部の縦線は、曲面であることを強調するための線である。また、形状を的確に記述するために、全体形状を、長さz0を形状単位とするユニットが縦列配置されている形状として記述しているが、ユニットを区画する線等は、材料の切り替わり部分などとして実際の動力伝達装置に表れる場合もあるが、ユニット間の物体が一体となって形成されている場合などには表れない場合もある。また、本発明に係る動力伝達装置を作製する際には、最終形態が本発明に係る動力伝達装置の形状となっていれば良く、必ずしもユニットごとに形成したものを重ね合わせて縦列配置することによって作製しなくとも良い。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図1から図5に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図1は、内部形状を見やすくするために、回転軸で直交する切断面で全体の1/4を切断しその切断した状態を斜視図として示した図(斜視片側断面図)である。図1の上図は伝達ON(第1回転体(1)と第2回転体(2)間でトルク伝達する状態)の場合の構成を示し、下図は伝達OFF(第1回転体(1)と第2回転体(2)間でトルク伝達しないか小さいトルクしか伝達できない状態)の場合の構成を示している。
図2は、図1に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達ONの場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。図2の正面図で伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。
図3は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0022】
図4は、伝達ON時の図2に示した正面図の断面部分の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3である。
【0023】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部は、ユニットの上下方向に回転軸方向の延伸部を有していても良い。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。これらの延伸部分が存在するほうが、伝達ON時のトルクを大きくする観点から好ましい。
なお、本実施の形態において、伝達OFFにする際、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を上部に移動する構成を取っているので、かかる構成の場合は、伝達OFF時の磁束を受けるために、少なくとも、第2回転体(2)の上側構成部(ここでは構成部2−1−1)の筒状(または環状)磁性体は上部方向の延伸部を有することが好ましく、かかる形状になっている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0024】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用について図2に示した正面図の主要部を概略表示した図5を用いて説明する。上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
なお、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部は、回転軸に平行な直線状でなくとも良い。第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が、同様な形状で対向するように配置できれば、凸状磁性体部は回転軸に対して角度を有していても良いし、段差を有していても良い。このことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0025】
(第2の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図6から図10に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=3の具体例である。図6は、斜視片側断面図である。図6の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図7は、図6に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。図7の正面図で伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。
図8は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0026】
図9は、伝達ON時の図2に示した正面図の断面部分の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=3であり3ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、但しz1≦z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、但し、m=1または2または3)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)である。
上記のユニットが3つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0027】
第1回転体(1)は、各ユニットの1−1,1−2,1−3が縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)は、4つの構成体(2−1,2−2、2−3,2−4)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成しており、構成部2−2−1と2−3−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−3を形成しており、また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−3−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−4)を構成している。
なお、本実施の形態において、伝達OFFにする際、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を上部に移動する構成を取っているので、かかる構成の場合は、伝達OFF時の磁束を受けるために、少なくとも、第2回転体(2)の最上ユニットの上側構成部(ここでは構成部2−3−1)の筒状(または環状)磁性体は上部方向の延伸部を有することが好ましく、かかる形状になっている。
【0028】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、内周方向及び外周方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)2つを中間に非磁性体を介して保持するように形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束を出入するように形成したもの3つを、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで上下磁石(5)の着磁方向を入れ替わるように縦列配置されて全体が構成されている。
なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)として、回転軸方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように構成されているもの3つを、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで上下磁石(5)の着磁方向を入れ替わるように縦列配置して全体を構成しても良い。多くの磁束を発生することが可能で伝達ON時の伝達トルクを大きくする観点から有利である。
【0029】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用について図7に示した正面図の主要部を概略表示した図10を用いて説明する。左が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、右が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
なお、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が同様な形状で対向するように配置されていれば、ユニット間が回転軸中心に角度を有して縦列配置されていても良い。このことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0030】
(第3の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図11から図14に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図11は、斜視片側断面図である。図11の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図12は、図11に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図13は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0031】
図14は、伝達ON時の図12に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図4において、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
【0032】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体が、ユニット(1−1)の上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し回転軸方向の長さがz0+z2になっている。また、凸状磁性体部も同様に延伸している。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0033】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、図5を使って説明した第1の実施の形態とほぼ同様である。
ここでは縦列配置数N=1の場合を説明したが、ここで説明したユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。
【0034】
(第4の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図15から図18に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図15は、斜視片側断面図である。図15の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図16は、図15に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図17は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0035】
図18は、伝達ON時の図16に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=2であり2ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図9において、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、ただしm=1または2)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
上記のユニットが2つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0036】
第1回転体(1)は、第1回転体(1)の各ユニット(1−1,1−2)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、1−1が下方、1−2が上方に延伸している)、これらのユニットが縦列配置されて全体長2・z0+z2として構成されている。これらの延伸部分が存在するほうが、伝達ON時のトルクを大きくする観点から好ましい。
第2回転体(2)は、3つの構成体(2−1,2−2,2−3)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成している。また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−2−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−3)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−1)と、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−2)、2つが回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
【0037】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
ここで説明したユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、伝達ON時のトルクを確保しつつ縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。また、第1回転体(1)を一括して加工できる点や、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の加工においても例えば3−1上部と3−2下部の磁性体とを一体で加工できる点で好ましい。
【0038】
(第5の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図19から図21に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図19は、斜視片側断面図である。図19の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図20は、図19に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図21は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
本実施の形態に係る動力伝達装置の形状単位である1ユニットは、第4の実施の形態で示したものと同じである。
【0039】
第1回転体(1)と第2回転体(2)は、第4の実施の形態で示したものと同じである。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第4の実施の形態で示したもの(3−1,3−2)の下方に、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−0)が縦列配置されて構成されている。
【0040】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
本実施の形態に係るユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、伝達ON時のトルクを確保しつつ縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。また、第1回転体(1)を一括して加工できる点や、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の加工においても、例えば3−0上部と3−1の下部、3−1上部と3−2下部の磁性体とを一体で加工できる点で好ましい。
本実施の形態に係る動力伝達装置では、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の構成ユニット数が他より1つ多くなっており、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の構成ユニット数と第2回転体(2)の構成体数が一致するため、伝達OFF時の伝達トルクを小さくすることができる。
【0041】
(第6の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図22から図25に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図22は、斜視片側断面図である。図22の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図23は、図22に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図24は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0042】
図25は、伝達ON時の図23に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=2であり2ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図9において、z1の長さがz0と同じになっており、z3の長さがz2と同じになっている形状と考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、ただし、m=1または2)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z2≦z0)である。
上記のユニットが2つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0043】
第1回転体(1)の最下ユニット(1−1)と最上ユニット(1−2)の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有している。これらが縦列配置されて全体で一体構成され回転軸方向の長さが2・z0+z2の第1回転体(1)を形成している。
第2回転体(2)は、3つの構成体(2−1,2−2,2−3)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成している。また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−2−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−3)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されているものと、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの2つが回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
【0044】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
z1の長さがz0と同じになっているため、第1回転体(1)の加工が容易でスペースも有効に使うことができる。また、z3の長さがz2と同じになっているため、伝達OFF時に伝達力ON/OFF制御用移動体(3)と第2回転体(2)とが高さを揃えて対向できるため、伝達OFF時の伝達トルクを小さくすることができる。
【0045】
(第7の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図26から図30に示す。上記(v)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図26は、斜視片側断面図である。図26の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図27は、図26に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図28は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
全体の形状及び構成は、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0046】
図29は、伝達ON時の図27に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの上下方向の形状は、図9において、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
【0047】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し回転軸方向の長さがz0+z2になっている。また、凸状磁性体部も同様に延伸している。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0048】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は前述とほぼ同様であるが、図27に示した正面図の主要部を概略表示した図30を用いて説明する。上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達トルクOFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0049】
(第8の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図31から図33に示す。上記(vi)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図31は、全体構成の斜視図である。
図32は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図33は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
【0050】
全体の形状及び構成は、外周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は1:2である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近にのみ設けられるような形状となっている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)内面全部に対向するように円筒状であっても良い。
【0051】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状やユニット上下の延伸部分などの形状は、第3の実施の形態で説明したものと同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0052】
(第9の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図34から図35に示す。上記(vii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図34は、全体構成の斜視図である。
図35は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図33は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
【0053】
全体の形状及び構成は、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は2:1である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近にのみ設けられるような形状となっている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)外面全部に対向するように円筒状であっても良い。
【0054】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状は、第7の実施の形態で説明したものと同旨である。また、縦列配置の方法も他の実施の形態で説明した方法と同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0055】
(第10の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図36から図37に示す。上記(viii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図36は、全体構成の斜視図である。
図37は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
全体の形状及び構成は、第1回転体(1)の外側に第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は1:2である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)第2回転体(2)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状)。
【0056】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状やユニット上下の延伸部分などの形状は、第7の実施の形態で説明したものと同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0057】
(第11の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図38から図39に示す。上記(ix)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図38は、全体構成の斜視図及び平面図である。
図39は、断面図である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
全体の形状及び構成は、第1回転体(1)の外側に第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)が配置され、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、第1回転体(1)及び第2回転体(2)は外周面に凸状磁性体部を有しており、第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が角度を持ってずれるとともに、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では回転伝達軸に角度を持たせることが可能である。(本実施の形態に示す形状及び構成では45度である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)第2回転体(2)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状)。
【0058】
第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の形状や磁束の発生方法やON/OFFに伴う磁束の流れと作用などは、第4の実施の形態で説明したものと同旨である。
第1回転体(1)は磁性体からなり、外面が回転軸に対して角度(45度)を有する形状であり、外面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0059】
(第12の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図40から図41に示す。上記(xii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。第4の実施の形態で示した形状において第1回転体(1)の半径を無限大にして一部分を切り取ったものと同旨である。図40は、全体構成の斜視図及び平面図である。図41は断面図であり、上図は直線移動体(11)と回転体(12)間の伝達力がON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
【0060】
全体の形状及び構成は、回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外側に直線移動体(11)が配置され、直線移動体(11)と回転体(12)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、直線移動体(11)の一面と回転体(12)の外周面にそれぞれ凸状磁性体部を有している。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は回転体(12)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(11)と回転体(12)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状であっても良い)。
図には示していないが、直線移動体(11)は、直線方向(長手方向、平面図では左右方向)にのみ動くように拘束されており、回転体(12)が回転すると、直線移動体(11)と回転体(12)の凸状磁性体部が磁気的に結合し動力の伝達が行われ、直線移動体(11)が直線移動する。例えば、平面図で回転体(12)が右回りに回転した場合には、直線移動体(11)は右方向に移動することになる。また、逆に、直線移動体(11)を直線方向に移動した場合には、回転体(12)が回転することになり、回転運動を直線運動に変換することも、その逆も可能になっている。
【0061】
直線移動体(11)、回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の対向部付近の断面形状は、第4の実施の形態で説明したものと同旨である。すなわち、図18において、第1回転体(1)を直線移動体(11)に、第2回転体(2)を回転体(12)に読み替えたものと同旨である。
また、動力伝達を切り替える原理や作用やON/OFFに伴う磁束の流れは、上述の例と同様である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達力がONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達力を任意に制御することが可能であることも同様である。
【0062】
(第13の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図42から図43に示す。上記(xv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。第9の実施の形態で示した形状において第2回転体(2)の半径を無限大にして一部分を切り取ったものと同旨である。図42は、全体構成の斜視図及び平面図である。図43は断面図であり、上図は回転体(21)と直線移動体(22)間の伝達力がON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
【0063】
全体の形状及び構成は、回転体(21)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の間に直線移動体(22)が配置され、回転体(21)と直線移動体(22)とが対向面を形成し動力を伝達する構成である。回転体(21)と直線移動体(22)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、回転体(21)の外周面と直線移動体(22)の外面にそれぞれ凸状磁性体部を有している。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は直線移動体(22)の1面であって対向面(対向面1−2)とは逆の面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、概ね直方体であり、直線移動体(22)側の面から磁束が出入りしており、回転体(21)と直線移動体(22)との対向面付近にのみ設けられている。
図には示していないが、直線移動体(22)は、直線方向(長手方向、平面図では左右方向)にのみ動くように拘束されており、回転体(21)が回転すると、回転体(21)と直線移動体(22)の凸状磁性体部が磁気的に結合し動力の伝達が行われ、直線移動体(22)が直線移動する。例えば、平面図で回転体(21)が右回りに回転した場合には、直線移動体(22)は右方向に移動することになる。また、逆に、直線移動体(22)を直線方向に移動した場合には、回転体(21)が回転することになり、回転運動を直線運動に変換することも、その逆も可能になっている。
【0064】
回転体(21)、直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の対向部付近の断面形状は、第9の実施の形態で説明したものと同旨である。また、1ユニットの回転体(21)の回転軸方向の形状は第7の実施の形態の説明で使用した図29に示したものと同旨である。
動力伝達を切り替える原理や作用やON/OFFに伴う磁束の流れは、上述の例と同様である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達力がONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達力を任意に制御することが可能であることも同様である。
【0065】
(第14の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図44から図48に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=3の具体例である。図44は、全体構成の斜視図である。図45は平面図及び断面図である。断面図の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。断面図の伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を示している。図46は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
図47は、伝達ON時の断面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=3であり3ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、但しz1は1ユニットの回転軸方向の長さz0となっている)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。これらの凸状磁性体部は、ユニット内で回転軸方向z0/2の位置で段差を有している。別の表現をすると、回転軸方向に長さ(z0/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状のものが2つ回転軸方向に重ねて配置されている。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、但し、m=1または2または3)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)である。
上記のユニットが3つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0066】
第1回転体(1)は、各ユニットの1−1,1−2,1−3が回転軸に対して互いに角度を有しつつ回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第1回転体(1)は、最上及び最下の各ユニット(1−3,1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、それぞれ上下に回転軸方向の延伸部を有し(つまり、1−1が下方、1−3が上方に延伸している)、これらのユニットが縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)は、4つの構成体(2−1,2−2、2−3,2−4)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸に対して互いに角度を有しつつ回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成しており、構成部2−2−1と2−3−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−3を形成しており、また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−3−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−4)を構成している。
【0067】
本実施の形態で示したように、凸状磁性体部が、回転軸方向(あるいは移動方向に対して垂直方向)に直線的な形状でなくとも、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が周期をあわせて対向するように配置可能であれば、本発明の効果を奏することが可能である。また、ユニットを縦列配置して構成する場合には、各ユニットの凸状磁性体部の形状は完全に同じでなくとも良く、ユニットごとの凸状磁性体部の回転方向(あるいは移動方向)の周期がそろっていれば、本発明の効果を奏することが可能である。これらのことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0068】
(第15の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図48から図49に示す。図48から図49は上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。第3の実施の形態に係る動力伝達装置に導電体(6)を追加して回転体どうしの追従性を向上させた応用例である。図48は、上から斜視図、平面図、断面図である。図49は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)、第1回転体(1)の凸状磁性体部周囲に配置した導電体(6)、それぞれの斜視図である。
【0069】
第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の形状と構成は第3の実施の形態で示したものと同様であって、第1回転体(1)の凸状磁性体部周囲に導電体(6)が固着配置され一体となって回転するように形成されている。すなわち、導電体(6)が第1回転体(1)の凸状磁性体部の間に挿入されるような形状をしており、第1回転体(1)に上方から挿入され第1回転体(1)と一体となっている。導電体(6)は第1回転体(1)または第2回転体(2)またはその双方の凸状磁性体部の周囲または表面またはその双方に固着配置されていても良い。すなわち、本実施の形態では、導電体(6)は凸状磁性体部周囲にのみ配置されているが、凸状磁性体部の表面を覆うように円筒形に形成されて第1回転体(1)と固着配置されていても良いし、凸状磁性体部周囲及び凸状磁性体部の表面を覆うように形成されていても良い。また、第2回転体(2)に上記と同様な形態で導電体が固着配置されていても良い。
導電体(6)の配置によって、伝達OFFから伝達ONにした際など2つの回転体の回転数に差が発生した場合に、導電体(6)に渦電流が発生しこれによる磁力によって回転数差を小さくするトルクが発生し、第1回転体(1)と第2回転体(2)との回転の同期を補うように動力伝達が行われることとなり、伝達OFFから伝達ONの際にスムーズな切り替えが可能となる。
【0070】
(第16の実施の形態)
図50から図53は、上記(v)の動力伝達装置において、第1回転体と第2回転体との寸法比が伝達トルクへ及ぼす影響を説明するための第16の実施の形態を示すものである。全体の形状及び構成は、第7の実施の形態と同様、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0071】
図50は、伝達ON時の正面図の主要部を概略表示したものである。縦列配置数N=1であり、1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1を有する円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。第1回転体(1)の回転軸方向長さz1とは、凸状磁性体部を備えた部分の長さであり、回転軸方向に延在する部分があっても凸状磁性体部を形成していない部分は算入しない。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に実質的に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える2つの構成部(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さがz3(≦z0)である。
【0072】
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は第7の実施の形態とほぼ同様である。
【0073】
図51は、第2回転体(2)の回転軸方向長さに対して第1回転体(1)の回転軸方向長さを変化させた場合の代表例を示したものである。図示においては、z0=43.0mm、z2=35.0mm、z20=8.0mm、z3=32.0mm、z30=12.0mmの場合に(a)ではz1=78.0mm、(b)ではz1=43.0mmの例をそれぞれ示している。r11を中心とした径方向の寸法は、いずれもr12=14.0mm、r13=16.0mm、r21=16.5mm、r22=18.5mm、r23=32.0mm、r31=32.5mm、r32=34.5mm、r33=50.0mmである(図52の(b)参照)。但し、r11は第1回転体(1)の回転軸、r12は第1回転体(1)において円柱状磁性体の外面までの距離、r13は第1回転体(1)において凸状磁性体部の外面までの距離、r21は第2回転体(2)において凸状磁性体部の内面までの距離、r22は第2回転体(2)において筒状磁性体の内面までの距離、r23は第2回転体(2)において筒状磁性体の外面までの距離、r31は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において筒状磁性体(4)の内面までの距離、r32は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において磁石(5)の内面までの距離、r33は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外面までの距離である。
【0074】
図52の(a)は、第1回転体(1)の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表である。図からも明らかなように、伝達ON時のトルクを考慮すると、z1/z0が0.5〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が0.3〜1.0の範囲に設定することが好ましいものとなる。すなわち、上述の実施の形態と同様に第1回転体(1)の回転軸方向長さに対してz1≦z0という条件を加えれば、第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有していることが、伝達ON時のトルク並びにON/OFF力比を考慮した場合、好ましい寸法となる。
【0075】
上述した関係は、第1回転体(1)及び第2回転体(2)それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法に依存するものではない。すなわち、図53に示すように、r11を中心とした径方向の寸法が、r12=14.0mm、r13=16.0mm、r21=16.5mm、r22=18.5mm、r23=28.0mm、r31=28.5mm、r32=30.5mm、r33=50.0mm(図53の(b)参照)の場合であっても、伝達ON時のトルクを考慮すると、図52の場合と同様、z1/z0が0.5〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が0.3〜1.0の範囲に設定することが好ましいものとなる。
【0076】
(第17の実施の形態)
図54から図57は、上記(iv)の動力伝達装置において、第1回転体と第2回転体との寸法比が伝達トルクへ及ぼす影響を説明するための第17の実施の形態を示すものである。全体の形状及び構成は、第1の実施の形態と同様、外周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0077】
図54は、伝達ON時の正面図の主要部を概略表示したものである。縦列配置数N=1であり、1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1を有する円柱状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。第1回転体(1)の回転軸方向長さz1とは、凸状磁性体部を備えた部分の長さであり、回転軸方向に延在する部分があっても凸状磁性体部を形成していない部分は算入しない。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に実質的に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える2つの構成部(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さがz3(≦z0)である。
【0078】
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した円板状の磁石(5)を上下から円板状磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0079】
図55は、第2回転体(2)の回転軸方向長さに対して第1回転体(1)の回転軸方向長さを変化させた場合の代表例を示したものである。図示においては、z0=43.0mm、z2=35.0mm、z20=8.0mm、z3=32.0mm、z30=12.0mmの場合に(a)ではz1=78.0mm、(b)ではz1=43.0mmの例をそれぞれ示している。r31を中心とした径方向の寸法は、いずれもr11=40.5mm、r12=42.5mm、r13=50.0mm、r21=30.0mm、r22=38.0mm、r23=40.0mm、r32=27.5mm、r33=29.5mmである(図56の(b)参照)。但し、r31は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の回転軸、r32は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において磁石(5)の外面までの距離、r33は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において筒状磁性体(4)の外面までの距離、r21は第2回転体(2)において筒状磁性体の内面までの距離、r22は第2回転体(2)において筒状磁性体の外面までの距離、r23は第2回転体(2)において凸状磁性体部の外面までの距離、r11は第1回転体(1)において凸状磁性体部の内面までの距離、r12は第1回転体(1)において円柱状磁性体の内面までの距離、r13は第1回転体(1)において円柱状磁性体の外面までの距離である。
【0080】
図56の(a)は、第1回転体(1)の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表である。図からも明らかなように、伝達ON時のトルクを考慮すると、z1/z0が0.37〜1.0の範囲、z1/z20が2.0以上に設定することが好ましいものとなる。すなわち、上述の実施の形態と同様に第1回転体(1)の回転軸方向長さに対してz1≦z0という条件を加えれば、第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有していることが、伝達ON時のトルクを考慮した場合、好ましい寸法となる。
【0081】
上述した関係は、第1回転体(1)及び第2回転体(2)それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法に依存するものではない。すなわち、図57に示すように、r31を中心とした径方向の寸法は、いずれもr11=42.5mm、r12=44.5mm、r13=50.0mm、r21=35.0mm、r22=40.0mm、r23=42.0mm、r32=32.5mm、r33=34.5mmである(図57の(b)参照)の場合であっても、伝達ON時のトルクを考慮すると、図56の場合と同様、z1/z0が0.4〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が1.0以下に設定することが好ましいものとなる。
【0082】
なお、第16の実施の形態及び第17の実施の形態に示した条件、すなわち第1回転体(1)の回転軸方向長さがz1≦z0で、かつ第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することにより、伝達ON時に高いトルクを得ることができる点は、縦列配置数が必ずしも1である必要はなく、2以上のユニットで構成されたものでも同様に奏することが可能である。また、第1回転体と第2回転体とが共通の回転軸を有したもの限らず、図31に示した第8の実施の形態、図34に示した第9の実施の形態、図36に示した第10の実施の形態のように、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが平行にずれたものであっても良いし、図38に示した第11の実施の形態のように、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが角度を持ってずれたものでも良い。さらに、第1運動体と第2運動体とが必ずしも回転するものである必要はなく、図40に示した第12の実施の形態、図42に示した第13の実施の形態のように、少なくとも一方が直線移動体として構成されたものにも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
磁気作用を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置、特に回転駆動力や直線駆動力の伝達がON−OFF可能な動力伝達装置を提供できるので、回転動力のトルク伝達の制御や直線運動の動力伝達の制御を行う必要がある製品に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 第1回転体
2 第2回転体
3 伝達トルクON/OFF制御用移動体
1−1,1−2,・・・,1−m 第1回転体の構成体
2−1,2−2,2−3,2−4,・・・,2−m 第2回転体の構成体
2−1−0,2−1−1,2−2−0,2−2−1,・・・,2−m−0,2−m−1 第2回転体の構成部
3−1,3−2,・・・,3−m 伝達トルクON/OFF制御用移動体の構成体
4 磁性体
5 磁石
6 導電体
11 直線移動体
21 回転体
31 直線移動体
12 回転体
22 直線移動体
32 直線移動体
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気作用を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置に関し、特に回転駆動力や直線運動駆動力の伝達がON−OFF可能な磁気クラッチを備えた動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気作用を利用して回転駆動力を伝達するとともに回転トルクの伝達を制御可能な動力伝達装置としては、電磁石を利用した電磁クラッチが知られている(特許文献1)。また、磁力の吸引反発力を利用した非接触の動力伝達装置に関して伝達トルク制御が可能な技術として、励磁電流を制御して伝達トルクを制御する技術(特許文献2)、回転体の対向面間隔を変えることによって伝達トルクを制御する技術(特許文献3)、磁石を磁路中に挿入することにより磁気回路を切り替えて動力伝達力を制御する技術(特許文献4)、回転体を回転軸方向に移動することによって対向する回転体を切り替えて伝達トルクを制御する技術(特許文献5)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97738号公報
【特許文献2】特開2007−239765号公報
【特許文献3】特開2008−51264号公報
【特許文献4】特開2005−351336号公報
【特許文献5】特開2004−347027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、接触式の動力伝達であるため接触面の劣化が課題であり、また、回転駆動力の伝達がON状態のとき常に電流を流し続ける必要がある。特許文献2に開示されている技術では、回転駆動力の伝達がON状態のとき常に電流を流し続ける必要がある。特許文献3、4、5に開示されている技術は、伝達トルクを制御するために構成部分を移動させることによりトルクを制御する技術であるが、移動する構成部分が回転体と一体で回転するように構成されているため、伝達トルクを制御する場合には回転しているものを移動することが必要となる場合が生じるため、構成が複雑になり扱いが難しくなるため好ましくない。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、駆動側と従動側(「第1運動体、第2運動体」すなわち「第1回転体、第2回転体」あるいは「直線移動体、回転体」あるいは「第1直線移動体、第2直線移動体」)が磁気的に結合されるとともに駆動側と従動側との結合を解除可能、あるいは伝達トルクを制御可能となし、伝達トルクがON/OFFいずれの状態のときも電力消費が不要である非接触の動力伝達装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の動力伝達装置により上記目的を達成する。
複数の凸部(凸状磁性体部)を有する軟磁性体運動体2つ(第1運動体、第2運動体)を対向配置し、表面から磁束を発生している伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を、第2運動体の表面であって第1運動体が対向している面とは逆の面に対向させ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置を第2運動体に対して相対移動することによって、磁束を第2運動体のみで還流させたり、第1運動体及び第2運動体との間を渡るように構成することにより、第1運動体と第2運動体間の伝達力を切り替える構成を有する動力伝達装置である。
より具体的には、以下の構成を有する動力伝達装置である。
【0007】
(i) 請求項1に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、本発明の目的を奏することが可能である。凸状磁性体部は運動方向に沿って設けられていることが好ましい。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第2運動体の表面に対して磁束が出入りしており、第2運動体の表面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達トルクの制御が可能である。
なお、対向面1−2は、第1運動体と第2運動体とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0008】
(ii) 請求項2に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体−回転体の回転動力の伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第2回転体(2)の内面または外面に対して磁束が出入りしており、第2回転体(2)の内面または外面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達トルクの制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
第2回転体(2)の構成体の間隔は、第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFFトルク比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0009】
(iii) 請求項3に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)として円柱形あるいは円筒形の形状を採用することができ、また、移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0010】
(iv) 請求項4に記載の動力伝達装置
(v) 請求項5に記載の動力伝達装置
(vi) 請求項6に記載の動力伝達装置
(vii) 請求項7に記載の動力伝達装置
(viii) 請求項8に記載の動力伝達装置
(ix) 請求項9に記載の動力伝達装置
これらの動力伝達装置でも、回転体−回転体の動力伝達が可能であり本発明の目的を奏することが可能である。
第2回転体(2)は、複数の構成体で構成されており、構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、第2回転体(2)の筒状または環状磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、第2回転体(2)の筒状または環状磁性体または円柱状磁性体、及び、凸状磁性体部が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時のトルクをより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、第1回転体(1)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
これらのことは(iv)から(ix)の動力伝達装置において共通である。
【0011】
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に着磁した円柱状または筒状または環状の磁石を上下から円柱状または筒状または環状磁性体ではさむことにより、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面あるいは外周面上下から磁束を出入するようにしても良い。この場合、ユニットを縦列配置して伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を構成する際は、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで、着磁方向が上下逆になっている磁石を使用すれば良いため簡便である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、内周方向及び外周方向に着磁した円柱状または筒状または環状の磁石2つを中間に非磁性体を介して保持するように形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面あるいは外周面上下から磁束を出入するようにしても良い。この場合、ユニットを縦列配置して伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を構成する際は、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで、上下磁石の着磁方向を入れ替えて形成すれば良い。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは円柱状または筒状または環状またはこれらを組み合わせた形状であることが好ましい。第1回転体(1)と第2回転体(2)との間の伝達トルクを大きくすることができ、また、第2回転体に発生する渦電流損失を小さくできるためである。
また、OFF時のトルクをより小さくする観点から、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上にもう1ユニット縦列配置されている構成であることが好ましい。
これらのことは(iv)から(ix)及び(xii)、(xv)、(xvii)の動力伝達装置において共通である。
【0012】
(x) 請求項10に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転体(12)の内面に対して磁束が出入りしており、回転体(12)の内面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達力の制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
回転体(12)の構成体の間隔は、直線移動体(11)と回転体(12)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFF力比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、直線移動体(11)と回転体(12)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0013】
(xi) 請求項11に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)として円柱形あるいは円筒形の形状を採用することができ、また、移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0014】
(xii) 請求項12に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によっても、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。
回転体(12)は、複数の構成体で構成されており、この構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、回転体(12)の筒状または環状磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、回転体(12)の筒状または環状磁性体または円柱状磁性体、及び、凸状磁性体部が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時の伝達力をより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、直線移動体(11)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
【0015】
(xiii) 請求項13に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(22)の面に対して磁束が出入りしており、直線移動体(22)の面に沿って相対移動するので、磁束の方向と移動方向とが一致しないことになるため、移動に必要な力を小さくすることができる。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動距離を大きくとらなくても伝達力の制御が可能であり、その移動も直線方向の移動などの簡単なものとすることができ好適である。
直線移動体(22)の構成体の間隔は、回転体(21)と直線移動体(22)との対向間隔の2倍以上であることが、ON/OFF力比を大きくする観点から好ましく、より好ましくは5倍以上である。空間の有効利用の観点からは、20倍以下であることが好ましい。
なお、対向面1−2は、回転体(21)と直線移動体(22)とが対向する空間に存在しこれらを区画する概念的な面である。
【0016】
(xiv) 請求項14に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によれば、ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向を回転軸方向にすることが可能であり、ON/OFF制御用移動体(3)の移動が簡単になるため好ましい。
【0017】
(xv) 請求項15に記載の動力伝達装置
この動力伝達装置によっても、回転体と直線移動体との間の動力伝達、すなわち、回転運動−直線運動間の動力伝達が可能であり、本発明の目的を奏することが可能である。
直線移動体(22)は、複数の構成体で構成されており、この構成体は構成部が単独であるいは複数の構成部が組み合わされて構成されている。
伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、直線移動体(22)の磁性体の延伸部の軸方向長さは、z2/2からz3/2であることが好ましい。
また、伝達OFF時のトルクをより小さくする観点から、直線移動体(22)の磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z3であることが好ましい。
また、伝達ON時の伝達力をより大きくする観点から、z20≦z1≦z0であることが好ましい。
また、Nが2以上の場合は、z1≦z0、z3≦z0であることが望ましい。さらに好ましくは、z1及びz3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、空間の有効利用の観点、組み立て時の労力軽減の点でも好ましい。また、z3はz0(=z2+z20)と同じ長さであることが、伝達ON時のトルクをより大きくする観点から好ましい。伝達OFF時の伝達力をより小さくする観点からは、z1<z0であることが好ましい。伝達OFF時に、回転体(21)を通過する磁気抵抗を大きくすることができるためである。
【発明の効果】
【0018】
駆動側と従動側(「第1運動体、第2運動体」すなわち「第1回転体、第2回転体」あるいは「直線移動体、回転体」あるいは「第1直線移動体、第2直線移動体」)が磁気的に結合されるとともに駆動側と従動側との結合を解除可能、あるいは伝達トルクあるいは伝達力を制御可能となし、伝達トルクあるいは力がON/OFFいずれの状態のときも電力消費が不要である非接触の動力伝達装置を提供することが可能となる。ON/OFF制御用移動体(3)を移動することで伝達トルクを制御することが可能であり、また、ON/OFF制御用移動体(3)は必ずしも回転体とともに回転する構成を取らなくても良いため、簡単な構成で伝達トルクあるいは力の制御が可能な動力伝達装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図16】図16は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図17】図17は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図18】図18は、本発明の第4の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図19】図19は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図20】図20は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図21】図21は、本発明の第5の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図22】図22は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図23】図23は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図24】図24は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図25】図25は、本発明の第6の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図26】図26は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図27】図27は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び正面図である。
【図28】図28は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視片側断面図である。
【図29】図29は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の正面の主要部を示す図である。
【図30】図30は、本発明の第7の実施の形態の動力伝達装置の磁束の説明図である。
【図31】図31は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図32】図32は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図33】図33は、本発明の第8の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図34】図34は、本発明の第9の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図35】図35は、本発明の第9の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図36】図36は、本発明の第10の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図37】図37は、本発明の第10の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図38】図38は、本発明の第11の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図39】図39は、本発明の第11の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図40】図40は、本発明の第12の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図41】図41は、本発明の第12の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図42】図42は、本発明の第13の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図43】図43は、本発明の第13の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図44】図44は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の斜視図である。
【図45】図45は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の平面図及び断面図である。
【図46】図46は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図47】図47は、本発明の第14の実施の形態の動力伝達装置の断面図の主要部を示す図である。
【図48】図48は、本発明の第15の実施の形態の動力伝達装置の斜視図、平面図、断面図である。
【図49】図49は、本発明の第15の実施の形態の動力伝達装置の構成物体の斜視図である。
【図50】図50は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置の平面図である。
【図51】図51は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図52】図52は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図53】図53は、本発明の第16の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図54】図54は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置の平面図である。
【図55】図55は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置の斜視片側断面図である。
【図56】図56は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【図57】図57は、本発明の第17の実施の形態の動力伝達装置において第1回転体の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表、第1回転体及び第2回転体それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法を示した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を用いて本発明を詳細に説明する。なお、各図面において回転体等の側面部の縦線は、曲面であることを強調するための線である。また、形状を的確に記述するために、全体形状を、長さz0を形状単位とするユニットが縦列配置されている形状として記述しているが、ユニットを区画する線等は、材料の切り替わり部分などとして実際の動力伝達装置に表れる場合もあるが、ユニット間の物体が一体となって形成されている場合などには表れない場合もある。また、本発明に係る動力伝達装置を作製する際には、最終形態が本発明に係る動力伝達装置の形状となっていれば良く、必ずしもユニットごとに形成したものを重ね合わせて縦列配置することによって作製しなくとも良い。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図1から図5に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図1は、内部形状を見やすくするために、回転軸で直交する切断面で全体の1/4を切断しその切断した状態を斜視図として示した図(斜視片側断面図)である。図1の上図は伝達ON(第1回転体(1)と第2回転体(2)間でトルク伝達する状態)の場合の構成を示し、下図は伝達OFF(第1回転体(1)と第2回転体(2)間でトルク伝達しないか小さいトルクしか伝達できない状態)の場合の構成を示している。
図2は、図1に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達ONの場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。図2の正面図で伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。
図3は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0022】
図4は、伝達ON時の図2に示した正面図の断面部分の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3である。
【0023】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部は、ユニットの上下方向に回転軸方向の延伸部を有していても良い。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。これらの延伸部分が存在するほうが、伝達ON時のトルクを大きくする観点から好ましい。
なお、本実施の形態において、伝達OFFにする際、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を上部に移動する構成を取っているので、かかる構成の場合は、伝達OFF時の磁束を受けるために、少なくとも、第2回転体(2)の上側構成部(ここでは構成部2−1−1)の筒状(または環状)磁性体は上部方向の延伸部を有することが好ましく、かかる形状になっている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0024】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用について図2に示した正面図の主要部を概略表示した図5を用いて説明する。上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
なお、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部は、回転軸に平行な直線状でなくとも良い。第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が、同様な形状で対向するように配置できれば、凸状磁性体部は回転軸に対して角度を有していても良いし、段差を有していても良い。このことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0025】
(第2の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図6から図10に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=3の具体例である。図6は、斜視片側断面図である。図6の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図7は、図6に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。図7の正面図で伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。
図8は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0026】
図9は、伝達ON時の図2に示した正面図の断面部分の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=3であり3ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、但しz1≦z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、但し、m=1または2または3)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)である。
上記のユニットが3つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0027】
第1回転体(1)は、各ユニットの1−1,1−2,1−3が縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)は、4つの構成体(2−1,2−2、2−3,2−4)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成しており、構成部2−2−1と2−3−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−3を形成しており、また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−3−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−4)を構成している。
なお、本実施の形態において、伝達OFFにする際、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を上部に移動する構成を取っているので、かかる構成の場合は、伝達OFF時の磁束を受けるために、少なくとも、第2回転体(2)の最上ユニットの上側構成部(ここでは構成部2−3−1)の筒状(または環状)磁性体は上部方向の延伸部を有することが好ましく、かかる形状になっている。
【0028】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、内周方向及び外周方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)2つを中間に非磁性体を介して保持するように形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束を出入するように形成したもの3つを、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで上下磁石(5)の着磁方向を入れ替わるように縦列配置されて全体が構成されている。
なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)として、回転軸方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように構成されているもの3つを、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットで上下磁石(5)の着磁方向を入れ替わるように縦列配置して全体を構成しても良い。多くの磁束を発生することが可能で伝達ON時の伝達トルクを大きくする観点から有利である。
【0029】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用について図7に示した正面図の主要部を概略表示した図10を用いて説明する。左が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、右が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
なお、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が同様な形状で対向するように配置されていれば、ユニット間が回転軸中心に角度を有して縦列配置されていても良い。このことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0030】
(第3の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図11から図14に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図11は、斜視片側断面図である。図11の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図12は、図11に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図13は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0031】
図14は、伝達ON時の図12に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図4において、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
【0032】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体が、ユニット(1−1)の上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し回転軸方向の長さがz0+z2になっている。また、凸状磁性体部も同様に延伸している。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0033】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、図5を使って説明した第1の実施の形態とほぼ同様である。
ここでは縦列配置数N=1の場合を説明したが、ここで説明したユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。
【0034】
(第4の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図15から図18に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図15は、斜視片側断面図である。図15の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図16は、図15に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図17は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0035】
図18は、伝達ON時の図16に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=2であり2ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図9において、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、ただしm=1または2)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
上記のユニットが2つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0036】
第1回転体(1)は、第1回転体(1)の各ユニット(1−1,1−2)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、1−1が下方、1−2が上方に延伸している)、これらのユニットが縦列配置されて全体長2・z0+z2として構成されている。これらの延伸部分が存在するほうが、伝達ON時のトルクを大きくする観点から好ましい。
第2回転体(2)は、3つの構成体(2−1,2−2,2−3)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成している。また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−2−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−3)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−1)と、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−2)、2つが回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
【0037】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
ここで説明したユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、伝達ON時のトルクを確保しつつ縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。また、第1回転体(1)を一括して加工できる点や、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の加工においても例えば3−1上部と3−2下部の磁性体とを一体で加工できる点で好ましい。
【0038】
(第5の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図19から図21に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図19は、斜視片側断面図である。図19の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図20は、図19に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図21は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
本実施の形態に係る動力伝達装置の形状単位である1ユニットは、第4の実施の形態で示したものと同じである。
【0039】
第1回転体(1)と第2回転体(2)は、第4の実施の形態で示したものと同じである。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第4の実施の形態で示したもの(3−1,3−2)の下方に、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの(3−0)が縦列配置されて構成されている。
【0040】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
本実施の形態に係るユニットを縦列配置数2以上の際のユニットとして用いれば、z1、z3の長さが共にz0になっているため、伝達ON時のトルクを確保しつつ縦列配置の際にスペースを有効に利用することができ好ましい。また、第1回転体(1)を一括して加工できる点や、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の加工においても、例えば3−0上部と3−1の下部、3−1上部と3−2下部の磁性体とを一体で加工できる点で好ましい。
本実施の形態に係る動力伝達装置では、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の構成ユニット数が他より1つ多くなっており、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の構成ユニット数と第2回転体(2)の構成体数が一致するため、伝達OFF時の伝達トルクを小さくすることができる。
【0041】
(第6の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図22から図25に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図22は、斜視片側断面図である。図22の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図23は、図22に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図24は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
【0042】
図25は、伝達ON時の図23に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=2であり2ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの形状は、図9において、z1の長さがz0と同じになっており、z3の長さがz2と同じになっている形状と考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、ただし、m=1または2)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z2≦z0)である。
上記のユニットが2つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0043】
第1回転体(1)の最下ユニット(1−1)と最上ユニット(1−2)の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有している。これらが縦列配置されて全体で一体構成され回転軸方向の長さが2・z0+z2の第1回転体(1)を形成している。
第2回転体(2)は、3つの構成体(2−1,2−2,2−3)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成している。また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−2−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−3)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されているものと、回転軸マイナス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(下部から磁束が出て、上部へ磁束が入るように)構成されているもの2つが回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
【0044】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は、上述の説明とほぼ同様である。
z1の長さがz0と同じになっているため、第1回転体(1)の加工が容易でスペースも有効に使うことができる。また、z3の長さがz2と同じになっているため、伝達OFF時に伝達力ON/OFF制御用移動体(3)と第2回転体(2)とが高さを揃えて対向できるため、伝達OFF時の伝達トルクを小さくすることができる。
【0045】
(第7の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図26から図30に示す。上記(v)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図26は、斜視片側断面図である。図26の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
図27は、図26に示した形状の平面図(上の図)及び正面図(下2つの図)である。正面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図28は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視片側断面図である。
全体の形状及び構成は、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0046】
図29は、伝達ON時の図27に示した正面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=1であり1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
1ユニットの上下方向の形状は、図9において、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、z1、z3の長さが共にz0になっている形状と同じと考えて良い。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1(=z0)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さはz3(=z0)である。
【0047】
第1回転体(1)の筒状(または環状)磁性体が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し回転軸方向の長さがz0+z2になっている。また、凸状磁性体部も同様に延伸している。
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。
【0048】
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は前述とほぼ同様であるが、図27に示した正面図の主要部を概略表示した図30を用いて説明する。上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示す。図中の矢印は磁石(5)の着磁方向を表すものである。また、点線矢印は磁束の流れを概略表示したものである。伝達ONの場合は、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って第1回転体(1)へ流れ、再度、第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合し、回転が伝達される。伝達トルクOFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)へは磁束が流れないため、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが磁気的に結合することがなく、回転が伝達されないこととなる。また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達トルクがONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達トルクを任意に制御することが可能である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0049】
(第8の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図31から図33に示す。上記(vi)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図31は、全体構成の斜視図である。
図32は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図33は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
【0050】
全体の形状及び構成は、外周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は1:2である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近にのみ設けられるような形状となっている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)内面全部に対向するように円筒状であっても良い。
【0051】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状やユニット上下の延伸部分などの形状は、第3の実施の形態で説明したものと同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0052】
(第9の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図34から図35に示す。上記(vii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図34は、全体構成の斜視図である。
図35は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
図33は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
【0053】
全体の形状及び構成は、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は2:1である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近にのみ設けられるような形状となっている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)外面全部に対向するように円筒状であっても良い。
【0054】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状は、第7の実施の形態で説明したものと同旨である。また、縦列配置の方法も他の実施の形態で説明した方法と同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0055】
(第10の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図36から図37に示す。上記(viii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。図36は、全体構成の斜視図である。
図37は、平面図(上の図)及び断面図(下2つの図)である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
全体の形状及び構成は、第1回転体(1)の外側に第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が平行にずれており、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では1:1ではない回転比で動力の伝達が可能である(本実施の形態に示す形状及び構成では回転比は1:2である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)第2回転体(2)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状)。
【0056】
第1回転体(1)と第2回転体(2)との対向部分付近の、1ユニットの形状やユニット上下の延伸部分などの形状は、第7の実施の形態で説明したものと同旨である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0057】
(第11の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図38から図39に示す。上記(ix)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。図38は、全体構成の斜視図及び平面図である。
図39は、断面図である。断面図の2つの図は上が伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下が伝達OFFの場合の構成を示している。
全体の形状及び構成は、第1回転体(1)の外側に第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)が配置され、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、第1回転体(1)及び第2回転体(2)は外周面に凸状磁性体部を有しており、第1回転体(1)と第2回転体(2)は回転軸が角度を持ってずれるとともに、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが一部で対向するように構成されている。かかる構成では回転伝達軸に角度を持たせることが可能である。(本実施の形態に示す形状及び構成では45度である)。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)第2回転体(2)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状)。
【0058】
第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の形状や磁束の発生方法やON/OFFに伴う磁束の流れと作用などは、第4の実施の形態で説明したものと同旨である。
第1回転体(1)は磁性体からなり、外面が回転軸に対して角度(45度)を有する形状であり、外面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。
かかる構成でも本発明の効果を奏することが可能であるし、他の実施の形態で説明したようにNを2以上にしてユニットを縦列配置することによっても同様の効果を奏することが可能である。
【0059】
(第12の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図40から図41に示す。上記(xii)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。第4の実施の形態で示した形状において第1回転体(1)の半径を無限大にして一部分を切り取ったものと同旨である。図40は、全体構成の斜視図及び平面図である。図41は断面図であり、上図は直線移動体(11)と回転体(12)間の伝達力がON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
【0060】
全体の形状及び構成は、回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外側に直線移動体(11)が配置され、直線移動体(11)と回転体(12)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、直線移動体(11)の一面と回転体(12)の外周面にそれぞれ凸状磁性体部を有している。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は回転体(12)の内面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(11)と回転体(12)との対向面付近にのみ設けられる形状であっても良い(例えば、第8の実施の形態で使用したような平面図が扇型の形状であっても良い)。
図には示していないが、直線移動体(11)は、直線方向(長手方向、平面図では左右方向)にのみ動くように拘束されており、回転体(12)が回転すると、直線移動体(11)と回転体(12)の凸状磁性体部が磁気的に結合し動力の伝達が行われ、直線移動体(11)が直線移動する。例えば、平面図で回転体(12)が右回りに回転した場合には、直線移動体(11)は右方向に移動することになる。また、逆に、直線移動体(11)を直線方向に移動した場合には、回転体(12)が回転することになり、回転運動を直線運動に変換することも、その逆も可能になっている。
【0061】
直線移動体(11)、回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の対向部付近の断面形状は、第4の実施の形態で説明したものと同旨である。すなわち、図18において、第1回転体(1)を直線移動体(11)に、第2回転体(2)を回転体(12)に読み替えたものと同旨である。
また、動力伝達を切り替える原理や作用やON/OFFに伴う磁束の流れは、上述の例と同様である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達力がONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達力を任意に制御することが可能であることも同様である。
【0062】
(第13の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図42から図43に示す。上記(xv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=2の具体例である。第9の実施の形態で示した形状において第2回転体(2)の半径を無限大にして一部分を切り取ったものと同旨である。図42は、全体構成の斜視図及び平面図である。図43は断面図であり、上図は回転体(21)と直線移動体(22)間の伝達力がON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。
【0063】
全体の形状及び構成は、回転体(21)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の間に直線移動体(22)が配置され、回転体(21)と直線移動体(22)とが対向面を形成し動力を伝達する構成である。回転体(21)と直線移動体(22)とが対向面(対向面1−2)側に凸状磁性体部を有するものとなっている。すなわち、回転体(21)の外周面と直線移動体(22)の外面にそれぞれ凸状磁性体部を有している。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は直線移動体(22)の1面であって対向面(対向面1−2)とは逆の面側に設けられている。なお、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、概ね直方体であり、直線移動体(22)側の面から磁束が出入りしており、回転体(21)と直線移動体(22)との対向面付近にのみ設けられている。
図には示していないが、直線移動体(22)は、直線方向(長手方向、平面図では左右方向)にのみ動くように拘束されており、回転体(21)が回転すると、回転体(21)と直線移動体(22)の凸状磁性体部が磁気的に結合し動力の伝達が行われ、直線移動体(22)が直線移動する。例えば、平面図で回転体(21)が右回りに回転した場合には、直線移動体(22)は右方向に移動することになる。また、逆に、直線移動体(22)を直線方向に移動した場合には、回転体(21)が回転することになり、回転運動を直線運動に変換することも、その逆も可能になっている。
【0064】
回転体(21)、直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の対向部付近の断面形状は、第9の実施の形態で説明したものと同旨である。また、1ユニットの回転体(21)の回転軸方向の形状は第7の実施の形態の説明で使用した図29に示したものと同旨である。
動力伝達を切り替える原理や作用やON/OFFに伴う磁束の流れは、上述の例と同様である。
また、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の位置がONとOFFの中間位置の場合は、伝達力がONとOFFの間の値になるため、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動により伝達力を任意に制御することが可能であることも同様である。
【0065】
(第14の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図44から図48に示す。上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=3の具体例である。図44は、全体構成の斜視図である。図45は平面図及び断面図である。断面図の上図は第1回転体(1)と第2回転体(2)間の伝達トルクがON(伝達ON)の場合、下図は伝達OFFの場合の構成を示している。断面図の伝達力ON/OFF制御用移動体(3)に記した矢印は磁石(5)の着磁方向を示している。図46は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれの斜視図である。
図47は、伝達ON時の断面図の主要部を概略表示したものである。この図で回転軸方向の形状を詳細に説明する。縦列配置数N=3であり3ユニットが縦列配置される構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、但しz1は1ユニットの回転軸方向の長さz0となっている)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。これらの凸状磁性体部は、ユニット内で回転軸方向z0/2の位置で段差を有している。別の表現をすると、回転軸方向に長さ(z0/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状のものが2つ回転軸方向に重ねて配置されている。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つ(2−m−0、2−m−1、但し、m=1または2または3)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)である。
上記のユニットが3つ回転軸方向にz0の周期で縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されている。なお、縦列配置時に各ユニットをつなぐ物質は図示していない。
【0066】
第1回転体(1)は、各ユニットの1−1,1−2,1−3が回転軸に対して互いに角度を有しつつ回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第1回転体(1)は、最上及び最下の各ユニット(1−3,1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、それぞれ上下に回転軸方向の延伸部を有し(つまり、1−1が下方、1−3が上方に延伸している)、これらのユニットが縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)は、4つの構成体(2−1,2−2、2−3,2−4)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸に対して互いに角度を有しつつ回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
構成部2−1−1と2−2−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−2を形成しており、構成部2−2−1と2−3−0とが一体となって回転軸方向の長さがz2の構成体2−3を形成しており、また、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部と最上ユニットの上側構成部の双方の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、最下ユニットの下と最上ユニットの上の双方に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−3−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−4)を構成している。
【0067】
本実施の形態で示したように、凸状磁性体部が、回転軸方向(あるいは移動方向に対して垂直方向)に直線的な形状でなくとも、第1回転体(1)と第2回転体(2)の凸状磁性体部が周期をあわせて対向するように配置可能であれば、本発明の効果を奏することが可能である。また、ユニットを縦列配置して構成する場合には、各ユニットの凸状磁性体部の形状は完全に同じでなくとも良く、ユニットごとの凸状磁性体部の回転方向(あるいは移動方向)の周期がそろっていれば、本発明の効果を奏することが可能である。これらのことは、この実施の形態の場合に限らず、他の実施の形態においても、また、本出願に係る発明全般に適用可能である。
【0068】
(第15の実施の形態)
本発明に係る動力伝達装置の一形態を図48から図49に示す。図48から図49は上記(iv)の動力伝達装置であって、ユニットの縦列配置数N=1の具体例である。第3の実施の形態に係る動力伝達装置に導電体(6)を追加して回転体どうしの追従性を向上させた応用例である。図48は、上から斜視図、平面図、断面図である。図49は、第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)、第1回転体(1)の凸状磁性体部周囲に配置した導電体(6)、それぞれの斜視図である。
【0069】
第1回転体(1)と第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の形状と構成は第3の実施の形態で示したものと同様であって、第1回転体(1)の凸状磁性体部周囲に導電体(6)が固着配置され一体となって回転するように形成されている。すなわち、導電体(6)が第1回転体(1)の凸状磁性体部の間に挿入されるような形状をしており、第1回転体(1)に上方から挿入され第1回転体(1)と一体となっている。導電体(6)は第1回転体(1)または第2回転体(2)またはその双方の凸状磁性体部の周囲または表面またはその双方に固着配置されていても良い。すなわち、本実施の形態では、導電体(6)は凸状磁性体部周囲にのみ配置されているが、凸状磁性体部の表面を覆うように円筒形に形成されて第1回転体(1)と固着配置されていても良いし、凸状磁性体部周囲及び凸状磁性体部の表面を覆うように形成されていても良い。また、第2回転体(2)に上記と同様な形態で導電体が固着配置されていても良い。
導電体(6)の配置によって、伝達OFFから伝達ONにした際など2つの回転体の回転数に差が発生した場合に、導電体(6)に渦電流が発生しこれによる磁力によって回転数差を小さくするトルクが発生し、第1回転体(1)と第2回転体(2)との回転の同期を補うように動力伝達が行われることとなり、伝達OFFから伝達ONの際にスムーズな切り替えが可能となる。
【0070】
(第16の実施の形態)
図50から図53は、上記(v)の動力伝達装置において、第1回転体と第2回転体との寸法比が伝達トルクへ及ぼす影響を説明するための第16の実施の形態を示すものである。全体の形状及び構成は、第7の実施の形態と同様、内周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0071】
図50は、伝達ON時の正面図の主要部を概略表示したものである。縦列配置数N=1であり、1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1を有する円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。第1回転体(1)の回転軸方向長さz1とは、凸状磁性体部を備えた部分の長さであり、回転軸方向に延在する部分があっても凸状磁性体部を形成していない部分は算入しない。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に実質的に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える2つの構成部(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さがz3(≦z0)である。
【0072】
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した筒状(または環状)の磁石(5)を上下から筒状(または環状)磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の内周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は第7の実施の形態とほぼ同様である。
【0073】
図51は、第2回転体(2)の回転軸方向長さに対して第1回転体(1)の回転軸方向長さを変化させた場合の代表例を示したものである。図示においては、z0=43.0mm、z2=35.0mm、z20=8.0mm、z3=32.0mm、z30=12.0mmの場合に(a)ではz1=78.0mm、(b)ではz1=43.0mmの例をそれぞれ示している。r11を中心とした径方向の寸法は、いずれもr12=14.0mm、r13=16.0mm、r21=16.5mm、r22=18.5mm、r23=32.0mm、r31=32.5mm、r32=34.5mm、r33=50.0mmである(図52の(b)参照)。但し、r11は第1回転体(1)の回転軸、r12は第1回転体(1)において円柱状磁性体の外面までの距離、r13は第1回転体(1)において凸状磁性体部の外面までの距離、r21は第2回転体(2)において凸状磁性体部の内面までの距離、r22は第2回転体(2)において筒状磁性体の内面までの距離、r23は第2回転体(2)において筒状磁性体の外面までの距離、r31は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において筒状磁性体(4)の内面までの距離、r32は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において磁石(5)の内面までの距離、r33は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外面までの距離である。
【0074】
図52の(a)は、第1回転体(1)の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表である。図からも明らかなように、伝達ON時のトルクを考慮すると、z1/z0が0.5〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が0.3〜1.0の範囲に設定することが好ましいものとなる。すなわち、上述の実施の形態と同様に第1回転体(1)の回転軸方向長さに対してz1≦z0という条件を加えれば、第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有していることが、伝達ON時のトルク並びにON/OFF力比を考慮した場合、好ましい寸法となる。
【0075】
上述した関係は、第1回転体(1)及び第2回転体(2)それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法に依存するものではない。すなわち、図53に示すように、r11を中心とした径方向の寸法が、r12=14.0mm、r13=16.0mm、r21=16.5mm、r22=18.5mm、r23=28.0mm、r31=28.5mm、r32=30.5mm、r33=50.0mm(図53の(b)参照)の場合であっても、伝達ON時のトルクを考慮すると、図52の場合と同様、z1/z0が0.5〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が0.3〜1.0の範囲に設定することが好ましいものとなる。
【0076】
(第17の実施の形態)
図54から図57は、上記(iv)の動力伝達装置において、第1回転体と第2回転体との寸法比が伝達トルクへ及ぼす影響を説明するための第17の実施の形態を示すものである。全体の形状及び構成は、第1の実施の形態と同様、外周側から第1回転体(1)、第2回転体(2)、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)を配置し、第1回転体(1)と第2回転体(2)とが対向面1−2側に凸状磁性体部を有するものとなっている。
【0077】
図54は、伝達ON時の正面図の主要部を概略表示したものである。縦列配置数N=1であり、1ユニットのみ存在する構成となっている。形状単位である1ユニットの回転軸方向の長さはz0である。
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さz1を有する円柱状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状である。第1回転体(1)の回転軸方向長さz1とは、凸状磁性体部を備えた部分の長さであり、回転軸方向に延在する部分があっても凸状磁性体部を形成していない部分は算入しない。
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に実質的に長さ(z2/2)を有する筒状(または環状)磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える2つの構成部(2−1−0、2−1−1)がz20(z20=z0−z2)の間隔で非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されている。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向の長さがz3(≦z0)である。
【0078】
第2回転体(2)は、2つの構成体(2−1,2−2)が非磁性体(図示せず)を介して回転軸方向に縦列配置されて構成されている。
第2回転体(2)の構成部(2−1−0,2−1−1)の筒状(または環状)磁性体及び凸状磁性体部が、ユニットの上下に長さz2/2の回転軸方向の延伸部を有し(つまり、2−1−0が下方、2−1−1が上方に延伸している)、長さz2の構成体(2−1,2−2)を構成している。
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転軸プラス方向に着磁した円板状の磁石(5)を上下から円板状磁性体(4)ではさみ、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の外周面上下から磁束が出入するように(上部から磁束が出て、下部へ磁束が入るように)構成されている。伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動に伴い、伝達トルクを制御する場合の作用は第1の実施の形態とほぼ同様である。
【0079】
図55は、第2回転体(2)の回転軸方向長さに対して第1回転体(1)の回転軸方向長さを変化させた場合の代表例を示したものである。図示においては、z0=43.0mm、z2=35.0mm、z20=8.0mm、z3=32.0mm、z30=12.0mmの場合に(a)ではz1=78.0mm、(b)ではz1=43.0mmの例をそれぞれ示している。r31を中心とした径方向の寸法は、いずれもr11=40.5mm、r12=42.5mm、r13=50.0mm、r21=30.0mm、r22=38.0mm、r23=40.0mm、r32=27.5mm、r33=29.5mmである(図56の(b)参照)。但し、r31は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の回転軸、r32は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において磁石(5)の外面までの距離、r33は伝達力ON/OFF制御用移動体(3)において筒状磁性体(4)の外面までの距離、r21は第2回転体(2)において筒状磁性体の内面までの距離、r22は第2回転体(2)において筒状磁性体の外面までの距離、r23は第2回転体(2)において凸状磁性体部の外面までの距離、r11は第1回転体(1)において凸状磁性体部の内面までの距離、r12は第1回転体(1)において円柱状磁性体の内面までの距離、r13は第1回転体(1)において円柱状磁性体の外面までの距離である。
【0080】
図56の(a)は、第1回転体(1)の回転軸方向長さと伝達トルク、伝達OFF時のトルク、ON/OFF力比との関係を示した図表である。図からも明らかなように、伝達ON時のトルクを考慮すると、z1/z0が0.37〜1.0の範囲、z1/z20が2.0以上に設定することが好ましいものとなる。すなわち、上述の実施の形態と同様に第1回転体(1)の回転軸方向長さに対してz1≦z0という条件を加えれば、第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有していることが、伝達ON時のトルクを考慮した場合、好ましい寸法となる。
【0081】
上述した関係は、第1回転体(1)及び第2回転体(2)それぞれの回転軸に対して垂直となる方向の寸法に依存するものではない。すなわち、図57に示すように、r31を中心とした径方向の寸法は、いずれもr11=42.5mm、r12=44.5mm、r13=50.0mm、r21=35.0mm、r22=40.0mm、r23=42.0mm、r32=32.5mm、r33=34.5mmである(図57の(b)参照)の場合であっても、伝達ON時のトルクを考慮すると、図56の場合と同様、z1/z0が0.4〜1.0の範囲、z1/z20が2.5以上に設定することが好ましく、ON/OFF力比を考慮すると、z1/z0が1.0以下に設定することが好ましいものとなる。
【0082】
なお、第16の実施の形態及び第17の実施の形態に示した条件、すなわち第1回転体(1)の回転軸方向長さがz1≦z0で、かつ第2回転体(2)が回転軸方向にz2/2以上の長さの延伸部を有することにより、伝達ON時に高いトルクを得ることができる点は、縦列配置数が必ずしも1である必要はなく、2以上のユニットで構成されたものでも同様に奏することが可能である。また、第1回転体と第2回転体とが共通の回転軸を有したもの限らず、図31に示した第8の実施の形態、図34に示した第9の実施の形態、図36に示した第10の実施の形態のように、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが平行にずれたものであっても良いし、図38に示した第11の実施の形態のように、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが角度を持ってずれたものでも良い。さらに、第1運動体と第2運動体とが必ずしも回転するものである必要はなく、図40に示した第12の実施の形態、図42に示した第13の実施の形態のように、少なくとも一方が直線移動体として構成されたものにも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
磁気作用を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置、特に回転駆動力や直線駆動力の伝達がON−OFF可能な動力伝達装置を提供できるので、回転動力のトルク伝達の制御や直線運動の動力伝達の制御を行う必要がある製品に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 第1回転体
2 第2回転体
3 伝達トルクON/OFF制御用移動体
1−1,1−2,・・・,1−m 第1回転体の構成体
2−1,2−2,2−3,2−4,・・・,2−m 第2回転体の構成体
2−1−0,2−1−1,2−2−0,2−2−1,・・・,2−m−0,2−m−1 第2回転体の構成部
3−1,3−2,・・・,3−m 伝達トルクON/OFF制御用移動体の構成体
4 磁性体
5 磁石
6 導電体
11 直線移動体
21 回転体
31 直線移動体
12 回転体
22 直線移動体
32 直線移動体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1運動体と第2運動体と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)とを有し、
第1運動体と第2運動体とが対向し対向面(対向面1−2)を形成して、第1運動体と第2運動体との間で非接触で動力を伝達する動力伝達装置であって、
第1運動体は、前記対向面(対向面1−2)側の表面に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2運動体は、前記対向面(対向面1−2)側の表面に第1運動体の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が、間隔をおいて非磁性体を介して、第2運動体の移動方向あるいは回転方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が第2運動体方向へ出入りし第2運動体の移動方向あるいは回転方向に対して垂直方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、第2運動体の前記対向面(対向面1−2)側ではない表面に対向するように配置され、第2運動体の表面に沿って相対移動可能であり、第2運動体との相対位置により第1運動体と第2運動体との間の動力伝達をON/OFF制御可能なように構成され、動力伝達ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2運動体の構成体を通って第1運動体へ流れ、第2運動体の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、動力伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2運動体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1運動体への磁束の流れが動力伝達ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体、第2運動体は、それぞれ、回転軸に対して軸対称の形状である第1回転体(1)と第2回転体(2)として構成され、第1回転体(1)と第2回転体(2)の外面どうしまたは内面と外面が対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
第1回転体(1)は、内面または外面であって前記対向面(対向面1−2)側の面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)は、内面または外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が第2回転体(2)方向へ出入りし第2回転体(2)の回転軸方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、第2回転体(2)の内面または外面であって前記対向面(対向面1−2)側ではない面に対向するように配置され、第2回転体(2)の内面または外面に沿って相対移動可能であり、第2回転体(2)との相対位置により、第1回転体(1)と第2回転体(2)との間の伝達トルクをON/OFF制御可能なように構成され、伝達トルクON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)の構成体を通って第1回転体(1)へ流れ、第2回転体(2)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達トルクOFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)への磁束の流れが伝達トルクON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達装置であって、
第2回転体(2)の内面または外面であって伝達力ON/OFF制御用移動体(3)と対向する側の面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が第2回転体(2)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)は共通の回転軸を有し、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外周側に配置され、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)は共通の回転軸を有し、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の内周側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の外周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て内周側の面が第2回転体(2)の外面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の内周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外周側に配置され、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項7】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の内周側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の外周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て内周側の面が第2回転体(2)の外面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の内周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項8】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項9】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が角度をもってずれており、
第1回転体(1)の内面または外面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)は、内面あるいは外面が回転軸に対して角度を有する形状の磁性体の内面または外面であって対向面1−2側の面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項10】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体は直線方向の運動を行う直線移動体(11)として、第2運動体は回転軸に対して軸対称の形状である回転体(12)として構成され、直線移動体(11)と回転体(12)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
回転体(12)は、回転体(12)は回転軸に対して軸対称形状の磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
直線移動体(11)は、前記対向面(対向面1−2)側の面が平面である磁性体の表面に、回転体(12)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が回転体(12)方向へ出入りし回転体(12)の回転軸方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、回転体(12)の内面に対向するように配置され、回転体(12)の内面に沿って相対移動可能であり、回転体(12)との相対位置により、直線移動体(11)と回転体(12)との間の伝達力をON/OFF制御可能なように構成され、伝達力ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が回転体(12)の構成体を通って直線移動体(11)へ流れ、回転体(12)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達力OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が回転体(12)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り直線移動体(11)への磁束の流れが伝達力ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項11】
請求項10に記載の動力伝達装置であって、
回転体(12)の内面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が回転体(12)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の動力伝達装置であって、
直線移動体(11)と回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転体(12)の回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転体(12)の回転軸方向に縦列配置されて、直線移動体(11)と回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
直線移動体(11)の1ユニットは、回転体(12)の回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する磁性体の外面に、複数の凸状磁性体部を等間隔で備える形状であり、
回転体(12)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に直線移動体(11)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、回転体(12)の回転軸から見て外周側の面が回転体(12)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
回転体(12)は、回転体(12)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転体(12)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項13】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体は回転軸に対して軸対称の形状である回転体(21)として、第2運動体は直線方向の運動を行う直線移動体(22)として構成され、回転体(21)の外面と直線移動体(22)とが対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
回転体(21)は、回転軸に対して軸対称形状の磁性体の外面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
直線移動体(22)は、前記対向面(対向面1−2)側の面が平面である磁性体の表面に回転体(21)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して移動方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が直線移動体(22)方向へ出入りし直線移動体(22)の移動方向に対して垂直方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、直線移動体(22)の表面であって前記対向面(対向面1−2)の逆側の面に対向するように配置され、直線移動体(22)との対向面に沿って相対移動可能であり、直線移動体(22)との相対位置により、回転体(21)と直線移動体(22)との間の伝達力をON/OFF制御可能なように構成され、伝達力ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が直線移動体(22)の構成体を通って回転体(21)へ流れ、直線移動体(22)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達力OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が直線移動体(22)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り回転体(21)への磁束の流れが伝達力ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)の外面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が回転体(21)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)と直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、直線移動体(22)の回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)直線移動体(22)の回転軸方向に縦列配置されて、回転体(21)と直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
回転体(21)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、複数の凸状磁性体部を等間隔で備える形状であり、
直線移動体(22)の1ユニットは、回転体(21)の回転軸方向に長さ(z2/2)を有する磁性体の外面に回転体(21)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介し移動方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、回転体(21)の回転軸に近い側の面が直線移動体(22)に対向するように配置され、回転体(21)の回転軸方向上部と下部の内側面から磁束が出入あるいは入出しており、
直線移動体(22)は、直線移動体(22)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転体(21)の回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(22)に対して回転体(21)の回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内側面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項16】
請求項4〜請求項9のいずれか一つに記載の動力伝達装置であって、
第2回転体(2)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【請求項17】
請求項12に記載の動力伝達装置であって、
回転体(12)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【請求項18】
請求項15に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【請求項1】
第1運動体と第2運動体と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)とを有し、
第1運動体と第2運動体とが対向し対向面(対向面1−2)を形成して、第1運動体と第2運動体との間で非接触で動力を伝達する動力伝達装置であって、
第1運動体は、前記対向面(対向面1−2)側の表面に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2運動体は、前記対向面(対向面1−2)側の表面に第1運動体の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が、間隔をおいて非磁性体を介して、第2運動体の移動方向あるいは回転方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が第2運動体方向へ出入りし第2運動体の移動方向あるいは回転方向に対して垂直方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、第2運動体の前記対向面(対向面1−2)側ではない表面に対向するように配置され、第2運動体の表面に沿って相対移動可能であり、第2運動体との相対位置により第1運動体と第2運動体との間の動力伝達をON/OFF制御可能なように構成され、動力伝達ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2運動体の構成体を通って第1運動体へ流れ、第2運動体の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、動力伝達OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2運動体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1運動体への磁束の流れが動力伝達ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体、第2運動体は、それぞれ、回転軸に対して軸対称の形状である第1回転体(1)と第2回転体(2)として構成され、第1回転体(1)と第2回転体(2)の外面どうしまたは内面と外面が対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
第1回転体(1)は、内面または外面であって前記対向面(対向面1−2)側の面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)は、内面または外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が第2回転体(2)方向へ出入りし第2回転体(2)の回転軸方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、第2回転体(2)の内面または外面であって前記対向面(対向面1−2)側ではない面に対向するように配置され、第2回転体(2)の内面または外面に沿って相対移動可能であり、第2回転体(2)との相対位置により、第1回転体(1)と第2回転体(2)との間の伝達トルクをON/OFF制御可能なように構成され、伝達トルクON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)の構成体を通って第1回転体(1)へ流れ、第2回転体(2)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達トルクOFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が第2回転体(2)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り第1回転体(1)への磁束の流れが伝達トルクON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達装置であって、
第2回転体(2)の内面または外面であって伝達力ON/OFF制御用移動体(3)と対向する側の面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が第2回転体(2)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)は共通の回転軸を有し、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外周側に配置され、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)は共通の回転軸を有し、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の内周側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の外周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て内周側の面が第2回転体(2)の外面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の内周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項6】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外周側に配置され、第1回転体(1)の内面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状磁性体の内面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項7】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の内周側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の内面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の外周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の内面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て内周側の面が第2回転体(2)の外面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の内周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項8】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が平行にずれており、
第1回転体(1)は第2回転体(2)の外側に配置され、第1回転体(1)の外面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第1回転体(1)と第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第1回転体(1)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項9】
請求項2または3に記載の動力伝達装置であって、
第1回転体(1)と第2回転体(2)の回転軸が角度をもってずれており、
第1回転体(1)の内面または外面と第2回転体(2)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は第2回転体(2)の内周側に配置され、
第1回転体(1)は、内面あるいは外面が回転軸に対して角度を有する形状の磁性体の内面または外面であって対向面1−2側の面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転軸方向に縦列配置されて、第2回転体(2)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
第2回転体(2)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に第1回転体(1)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、第2回転体(2)の回転軸から見て外周側の面が第2回転体(2)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
第2回転体(2)は、第2回転体(2)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、第1回転体(1)と第2回転体(2)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項10】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体は直線方向の運動を行う直線移動体(11)として、第2運動体は回転軸に対して軸対称の形状である回転体(12)として構成され、直線移動体(11)と回転体(12)の外面とが対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
回転体(12)は、回転体(12)は回転軸に対して軸対称形状の磁性体の外面に、回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
直線移動体(11)は、前記対向面(対向面1−2)側の面が平面である磁性体の表面に、回転体(12)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が回転体(12)方向へ出入りし回転体(12)の回転軸方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、回転体(12)の内面に対向するように配置され、回転体(12)の内面に沿って相対移動可能であり、回転体(12)との相対位置により、直線移動体(11)と回転体(12)との間の伝達力をON/OFF制御可能なように構成され、伝達力ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が回転体(12)の構成体を通って直線移動体(11)へ流れ、回転体(12)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達力OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が回転体(12)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り直線移動体(11)への磁束の流れが伝達力ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項11】
請求項10に記載の動力伝達装置であって、
回転体(12)の内面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が回転体(12)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の動力伝達装置であって、
直線移動体(11)と回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、回転体(12)の回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)回転体(12)の回転軸方向に縦列配置されて、直線移動体(11)と回転体(12)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
直線移動体(11)の1ユニットは、回転体(12)の回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する磁性体の外面に、複数の凸状磁性体部を等間隔で備える形状であり、
回転体(12)の1ユニットは、回転軸に対して垂直となる方向に厚みを有し回転軸方向に長さ(z2/2)を有する筒状または環状磁性体の外面に直線移動体(11)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介して回転軸方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、回転体(12)の回転軸から見て外周側の面が回転体(12)の内面に対向するように配置され、回転軸方向上部と下部の外周面から磁束が出入あるいは入出しており、
回転体(12)は、回転体(12)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の筒状または環状磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、回転体(12)に対して回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの外周面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項13】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
第1運動体は回転軸に対して軸対称の形状である回転体(21)として、第2運動体は直線方向の運動を行う直線移動体(22)として構成され、回転体(21)の外面と直線移動体(22)とが対向し対向面(対向面1−2)を形成しており、
回転体(21)は、回転軸に対して軸対称形状の磁性体の外面に回転方向に等間隔に複数の凸状磁性体部を備える形状であり、
直線移動体(22)は、前記対向面(対向面1−2)側の面が平面である磁性体の表面に回転体(21)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成体が間隔をおいて非磁性体を介して移動方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、表面から磁束が直線移動体(22)方向へ出入りし直線移動体(22)の移動方向に対して垂直方向に磁束の出入が切り替わるように構成され、直線移動体(22)の表面であって前記対向面(対向面1−2)の逆側の面に対向するように配置され、直線移動体(22)との対向面に沿って相対移動可能であり、直線移動体(22)との相対位置により、回転体(21)と直線移動体(22)との間の伝達力をON/OFF制御可能なように構成され、伝達力ON時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が直線移動体(22)の構成体を通って回転体(21)へ流れ、直線移動体(22)の間隔をおいて配置されている別の構成体を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入るように構成され、伝達力OFF時には、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)から出ている磁束が直線移動体(22)を通って伝達力ON/OFF制御用移動体(3)へ入り回転体(21)への磁束の流れが伝達力ON時に比べて少なくなるように構成されている、
動力伝達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)の外面が円柱形状をなし、伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の移動方向が回転体(21)の回転軸方向である、
動力伝達装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)と直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、それぞれ、直線移動体(22)の回転軸方向の長さz0を形状単位とするユニットがNヶ(Nは1以上の整数)直線移動体(22)の回転軸方向に縦列配置されて、回転体(21)と直線移動体(22)と伝達力ON/OFF制御用移動体(3)それぞれが一体となって構成されており、
回転体(21)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z1、ただしz1≦z0)を有する筒状または環状または円柱状磁性体の外面に、複数の凸状磁性体部を等間隔で備える形状であり、
直線移動体(22)の1ユニットは、回転体(21)の回転軸方向に長さ(z2/2)を有する磁性体の外面に回転体(21)の凸状磁性体部と対向する複数の凸状磁性体部を備える構成部2つがz20(ただし、z20=z0−z2)の間隔で非磁性体を介し移動方向に対して垂直方向に縦列配置されており、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の1ユニットは、回転軸方向に長さ(z3、ただしz3≦z0)を有し、回転体(21)の回転軸に近い側の面が直線移動体(22)に対向するように配置され、回転体(21)の回転軸方向上部と下部の内側面から磁束が出入あるいは入出しており、
直線移動体(22)は、直線移動体(22)の最下ユニットの下側構成部あるいは最上ユニットの上側構成部あるいはその双方の磁性体が、最下ユニットの下あるいは最上ユニットの上あるいはその双方に回転体(21)の回転軸方向の延伸部を有し、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)は、直線移動体(22)に対して回転体(21)の回転軸方向に相対移動可能であり、
伝達力ON/OFF制御用移動体(3)の各ユニットの内側面の上部及び下部から出入している磁束の方向が、最下ユニットから数えて奇数番目のユニットと偶数番目のユニットとでほぼ逆になっている、
動力伝達装置。
【請求項16】
請求項4〜請求項9のいずれか一つに記載の動力伝達装置であって、
第2回転体(2)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【請求項17】
請求項12に記載の動力伝達装置であって、
回転体(12)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【請求項18】
請求項15に記載の動力伝達装置であって、
回転体(21)の延伸部は、回転軸方向にz2/2以上の長さを有した、
動力伝達装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【公開番号】特開2010−266066(P2010−266066A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55134(P2010−55134)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【出願人】(303049418)株式会社松栄工機 (21)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【出願人】(303049418)株式会社松栄工機 (21)
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