説明

動力伝達装置

【課題】二つの遊星歯車機構を用いて、回転軸線方向にコンパクトな構成である一方、高い変速比を得る事ができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20とは、第1サンギヤ11の回転中心と第2サンギヤ21の回転中心とが一致するように同一の回転軸線X上に配置され、且つ、第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20の少なくとも一部同士が回転軸線方向にオーバーラップするように同一径上に配置されている。第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが動力伝達可能に接続され、第1サンギヤ11は入力軸2に接続され、第2プラネタリキャリア23は、出力軸3に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの遊星歯車機構を有する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二つの遊星歯車機構を同心円状に配置し、自動変速機の軸方向の長さを短くしてコンパクトな構成を与えるようにした変速機が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図25に示すように、特許文献1に記載の変速機(動力伝達装置)100は、入力軸101と出力軸102との間に、2組の遊星歯車装置150,151、2個の多板クラッチ122,123、3個のブレーキ109,121,140、及び1個の多板ブレーキ142によって構成されている。
【0004】
このうち、遊星歯車装置151は、第1サンギヤ131、第1プラネタリギヤ135、第1プラネタリキャリア120,138、及び第1リング132を有するインナー単式遊星歯車機構と、第2サンギヤ133、第2プラネタリギヤ136、第2プラネタリキャリア139、第2リング134を有するアウター単式遊星歯車機構とを、同心円状に備えている。そして、この遊星歯車装置151に対する入力は、中間軸105を介して、第1サンギヤ131に行なわれ、同出力は、第1プラネタリキャリア138及び第2サンギヤ133を介して、出力軸102から行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭53−7574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の遊星歯車装置151では、2つの遊星歯車機構を同心状に配置した軸線方向にコンパクトな構成である一方、第1プラネタリキャリア138と第2サンギヤ133とが、出力軸102に接続されているため、使用可能な減速比が低く、高い減速比を得る事が求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、二つの遊星歯車機構を用いて、回転軸線方向にコンパクトな構成である一方、高い変速比を得る事ができる動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
第1サンギヤ(例えば、後述の実施形態の第1サンギヤ11)、第1プラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態の第1プラネタリギヤ12)、第1プラネタリキャリア(例えば、後述の実施形態の第1プラネタリキャリア13)、及び、第1リングギヤ(例えば、後述の実施形態の第1リングギヤ14)を有する第1遊星歯車機構(例えば、後述の実施形態の第1遊星歯車機構10)と、
第2サンギヤ(例えば、後述の実施形態の第2サンギヤ21)、第2プラネタリギヤ(例えば、後述の実施形態の第2プラネタリギヤ22)、第2プラネタリキャリア(例えば、後述の実施形態の第2プラネタリキャリア23)、及び、第2リングギヤ(例えば、後述の実施形態の第2リングギヤ24)を有する第2遊星歯車機構(例えば、後述の実施形態の第2遊星歯車機構20)と、
を備え、入力軸(例えば、後述の実施形態の入力軸2)から入力される動力を、前記第1遊星歯車機構及び前記第2遊星歯車機構を介して、出力軸(例えば、後述の実施形態の出力軸3)に出力する動力伝達装置であって、
前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構とは、前記第1サンギヤの回転中心と前記第2サンギヤの回転中心とが一致するように同一の回転軸線(例えば、後述の実施形態の回転軸線X)上に配置され、且つ、前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構との少なくとも一部同士が前記回転軸線方向にオーバーラップするように同一径上に配置されており、
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとが動力伝達可能に接続され、
前記第1サンギヤと前記第2プラネタリキャリアとのいずれか一方は、前記入力軸に接続され、前記第1サンギヤと前記第2プラネタリキャリアとのいずれか他方は、前記出力軸に接続されることを特徴とする動力伝達装置。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、連結部材(例えば、後述の実施形態の連結部材31)によって互いに連結されることで、動力伝達可能に接続ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、
前記第2プラネタリキャリアは、径方向に延設され、前記第2プラネタリギヤを保持する腕部(例えば、後述の実施形態の腕部35)を備え、
前記連結部材と前記腕部とは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側に配置され、且つ、前記回転軸線方向から見て径方向にオーバーラップしていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、
前記連結部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける一方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング36)が介装されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4の構成において、
前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側には、前記第1リングギヤを支持する第1支持部材(例えば、後述の実施形態の第1支持部材15)が配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成において、
前記第2サンギヤと前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第2サンギヤと前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける他方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング37)が介装されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6の構成において、
前記第2サンギヤは、前記第1支持部材側の端部から前記径方向に延びるサンギヤ延出部(例えば、後述の実施形態のサンギヤ延出部26)を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7の構成において、
前記サンギヤ延出部は、径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1の構成において、
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、前記第1プラネタリキャリアを構成する第1プラネタリキャリア側部材(例えば、後述の実施形態の第1プラネタリキャリア側部材41)と、前記第2サンギヤを構成する第2サンギヤ側部材(例えば、後述の実施形態の第2サンギヤ側部材42)とが係合部(例えば、後述の実施形態の係合部43)によって互いに係合されることで、動力伝達可能に接続されることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項9の構成において、
前記第2プラネタリキャリアは、径方向に延設され、前記第2プラネタリギヤを保持する腕部(例えば、後述の実施形態の腕部35)を備え、
前記係合部と前記腕部とは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側に配置され、且つ、前記回転軸線方向から見て径方向にオーバーラップしていることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10の構成において、
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第1一方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング51)が介装されることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項11の構成において、
前記第1プラネタリキャリア側部材は、
前記第1プラネタリギヤを回転可能に軸支するプラネタリギヤ回転軸(例えば、後述の実施形態の支持ピン32)と、
前記プラネタリギヤ回転軸を支持する環状部材(例えば、後述の実施形態の環状部材33)と、
前記環状部材から径方向外側に延設される第1キャリア一方側延出部(例えば、後述の実施形態の第1キャリア一方側延出部45)と、
を含み、
前記第1一方側軸方向軸受部材は、前記第1キャリア一方側延出部と前記腕部との間に介装されることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12のいずれかの構成において、
前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側には、前記第1リングギヤを支持する第1支持部材(例えば、後述の実施形態の第1支持部材15)が配置されることを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項13の構成において、
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第1他方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング53)が介装されることを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項14の構成において、
前記第1プラネタリキャリア側部材は、前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側において、前記径方向に延びる第1キャリア他方側延出部(例えば、後述の実施形態の第1キャリア他方側延出部46)を有することを特徴とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、請求項15の構成において、
前記第1キャリア他方側延出部は径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする。
【0024】
請求項17に記載の発明は、請求項14〜16のいずれかの構成において、
前記第1支持部材は、前記噛合部よりも径方向内側まで延びることを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の発明は、請求項13の構成において、
前記第2サンギヤ側部材と前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第2サンギヤ側部材と前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第2他方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング54)が介装されることを特徴とする。
【0026】
請求項19に記載の発明は、請求項18の構成において、
前記第2サンギヤ側部材は、前記第1支持部材側の端部から前記径方向に延びる第2サンギヤ他方側延出部(例えば、後述の実施形態の第2サンギヤ他方側延出部48)を有することを特徴とする。
【0027】
請求項20に記載の発明は、請求項19の構成において、
前記第2サンギヤ他方側延出部は、径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする。
【0028】
請求項21に記載の発明は、請求項10の構成において、
前記第2サンギヤ側部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第2一方側軸方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のスラストベアリング52)が介装されることを特徴とする。
【0029】
請求項22に記載の発明は、請求項21の構成において、
前記第2サンギヤ側部材は、前記噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側において、前記径方向外側に延設される第2サンギヤ一方側延出部(例えば、後述の実施形態の第2サンギヤ一方側延出部47)を含み、
前記第2一方側軸方向軸受部材は、前記第2サンギヤ一方側延出部と前記腕部との間に介装されることを特徴とする。
【0030】
請求項23に記載の発明は、請求項9〜22のいずれかの構成において、
前記係合部は、前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第2サンギヤ側部材との両部材の前記回転軸線方向の相対移動を許容するとともに、該両部材の回転方向の動力伝達を行うことを特徴とする。
【0031】
請求項24に記載の発明は、請求項23の構成において、
前記係合部は、スプライン結合によって接続されることを特徴とする。
【0032】
請求項25に記載の発明は、請求項1の構成において、
前記第1プラネタリキャリアは、前記入力軸、前記出力軸、及び前記第1サンギヤのいずれか1つによって径方向に支持され、
前記第1リングギヤは、径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されて配置されることを特徴とする。
【0033】
請求項26に記載の発明は、請求項25の構成において、
前記第1プラネタリキャリアは、前記入力軸、前記出力軸、及び前記第1サンギヤのいずれか1つから径方向に延設されるキャリア支持部(例えば、後述の実施形態のキャリア支持部61)によって径方向に支持されることを特徴とする。
【0034】
請求項27に記載の発明は、請求項26の構成において、
前記キャリア支持部は、前記第1サンギヤよりも大きい径を有することを特徴とする。
【0035】
請求項28に記載の発明は、請求項25〜27のいずれかの構成において、
前記第1プラネタリキャリアは、前記回転軸線方向に延設され、前記第1プラネタリギヤを回転可能に軸支するプラネタリギヤ回転軸(例えば、後述の実施形態の支持ピン32)を備え、
前記プラネタリギヤ回転軸は、前記第1プラネタリギヤに対して前記入力軸側若しくは前記出力軸側に延設される軸方向キャリア延出部(例えば、後述の実施形態の軸方向キャリア延出部32a)を備え、
前記軸方向キャリア延出部は、前記入力軸若しくは前記出力軸によって径方向に支持されることを特徴とする。
【0036】
請求項29に記載の発明は、請求項28の構成において、
前記軸方向キャリア延出部と前記入力軸若しくは前記出力軸との間には、前記径方向の荷重を受ける径方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のラジアルベアリング62)が介装されることを特徴とする。
【0037】
請求項30に記載の発明は、請求項25〜29のいずれかの構成において、
前記第2サンギヤは、前記第1プラネタリキャリアによって径方向に支持され、
前記第2リングギヤは、径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されて配置されることを特徴とする。
【0038】
請求項31に記載の発明は、請求項25〜30のいずれかの構成において、
前記第1サンギヤは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して、前記入力軸若しくは前記出力軸が接続される側と前記回転軸線方向で反対側に延設される軸方向サンギヤ延出部(例えば、後述の実施形態の軸方向サンギヤ延出部11a)を備え、
前記第1プラネタリキャリアは、前記軸方向サンギヤ延出部によって径方向に支持されることを特徴とする。
【0039】
請求項32に記載の発明は、請求項31の構成において、
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、連結部材(例えば、後述の実施形態の連結部材31)によって互いに連結され、
前記連結部材は前記入力軸若しくは前記出力軸が接続される側と前記反対側に配置され、
前記連結部材は、前記軸方向サンギヤ延出部によって径方向に支持されることを特徴とする。
【0040】
請求項33に記載の発明は、請求項32の構成において、
前記連結部材と前記軸方向サンギヤ延出部との間には、前記径方向の荷重を受ける径方向軸受部材(例えば、後述の実施形態のラジアルベアリング62)が介装されることを特徴とする。
【0041】
請求項34に記載の発明は、請求項1〜33のいずれかの構成において、
前記第1リングギヤは少なくとも回転が規制される第1回転規制手段(例えば、後述の実施形態の第1支持部材15、第1回転規制機構63、油圧ブレーキ94、一方向クラッチ95)を有することを特徴とする。
【0042】
請求項35に記載の発明は、請求項34の構成において、
前記第1回転規制手段は、解放または締結可能とされ、
前記第1回転規制手段を締結することにより前記第1リングギヤの両方向の回転を規制する断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ94)を備えることを特徴とする。
【0043】
請求項36に記載の発明は、請求項34または35の構成において、
前記第1回転規制手段は、非係合時に前記第1リングギヤの一方向の回転を許容し、係合時に前記第1リングギヤの逆方向の回転を規制する一方向回転規制手段(例えば、後述の実施形態の一方向クラッチ95)を備えることを特徴とする。
【0044】
請求項37に記載の発明は、請求項1〜33のいずれかの構成において、
前記第2リングギヤは、少なくとも回転が規制される第2回転規制手段(例えば、後述の実施形態の第2支持部材25、第2回転規制機構64、油圧ブレーキ91、一方向クラッチ92)を有することを特徴とする。
【0045】
請求項38に記載の発明は、請求項37の構成において、
前記第2回転規制手段は、解放または締結可能とされ、
前記第2回転規制手段を締結することにより前記第2リングギヤの両方向の回転を規制する断接手段(例えば、後述の実施形態の油圧ブレーキ91)を備えることを特徴とする。
【0046】
請求項39に記載の発明は、請求項37または38の構成において、
前記第2回転規制手段は、非係合時に前記第2リングギヤの一方向の回転を許容し、係合時に前記第2リングギヤの逆方向の回転を規制する一方向回転規制手段(例えば、後述の実施形態の一方向クラッチ92)を備えることを特徴とする。
【0047】
請求項40に記載の発明は、請求項1〜39のいずれかの構成において、
前記第1サンギヤに接続される前記入力軸又は前記出力軸のいずれか一方は中空構造を有し、
前記第2プラネタリキャリアに接続される前記入力軸又は前記出力軸のいずれか他方は前記中空構造の内部を挿通することを特徴とする。
【0048】
請求項41に記載の発明は、請求項1〜40のいずれか1項の構成において、
前記動力伝達装置を2つ備え、該2つの動力伝達装置は、前記回転軸線方向で互いに鏡面対称に配置されることを特徴とする。
【0049】
請求項42に記載の発明は、請求項41の構成において、
前記2つの動力伝達装置は、それぞれの第2リングギヤ同士を互いに連結することを特徴とする。
【0050】
請求項43に記載の発明は、請求項1〜42のいずれかの構成において、
前記出力軸は、差動装置(例えば、後述の実施形態の差動装置81)に接続され、
前記差動装置は、前記出力軸からの入力される動力を第1出力軸(例えば、後述の実施形態の第1出力軸82)と第2出力軸(例えば、後述の実施形態の第2出力軸83)とに出力することを特徴とする。
【0051】
請求項44に記載の発明は、請求項1〜43のいずれかの構成において、
前記第1サンギヤに前記入力軸が接続され、
前記第2プラネタリキャリアに前記出力軸が接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0052】
請求項1に記載の発明によれば、2つの遊星歯車機構を回転軸線方向にコンパクトに配置することが可能であり、また、第1サンギヤ、第1プラネタリギヤ、第1プラネタリキャリア、第2サンギヤ、第2プラネタリギヤ、第2プラネタリキャリアの順、またはその逆の順で動力が伝達されることで、2つの遊星歯車機構の変速比の積を利用して高い変速比を得ることができる。
【0053】
請求項2に記載の発明によれば、連結部材によって、第1プラネタリキャリアと第2サンギヤとの動力伝達を損失無く行うことが可能となる。
【0054】
請求項3に記載の発明によれば、腕部と連結部材とを回転軸線方向で一方側に近接して配置することで、連結部材が回転軸線方向に過度に移動するのを抑制することができる。
【0055】
請求項4に記載の発明によれば、一方側軸方向軸受部材によって、連結部材と第2プラネタリキャリアとを滑らかに相対回転させることができる。
【0056】
請求項5に記載の発明によれば、連結部材と反対側に第1支持部材を配置するので、連結部材の公転軌道を避けて第1支持部材を配置することができ、回転軸線方向にコンパクトに構成することができる。
【0057】
請求項6に記載の発明によれば、他方側軸方向軸受部材によって、第2サンギヤが過度に回転軸線方向に移動するのを規制することができ、第2サンギヤ及び連結部材を安定して回転することができる。
【0058】
請求項7に記載の発明によれば、サンギヤ延出部によって第2サンギヤが第1支持部材に支持される支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
【0059】
請求項8に記載の発明によれば、第1リングギヤと第2サンギヤとを径方向でより近接して配置することができ、二つの遊星歯車機構を径方向に小型化することができる。
【0060】
請求項9に記載の発明によれば、第1プラネタリキャリアと第2サンギヤとが
相対移動可能な別体構造であるので、第1プラネタリキャリアが第1遊星歯車機構に対して、第2サンギヤが第2遊星歯車機構に対して、それぞれ調芯される。
【0061】
請求項10に記載の発明によれば、腕部と係合部とを回転軸線方向で一方側に近接して配置することで、第1プラネタリキャリア側部材と第2サンギヤ側部材とが回転軸線方向に過度に移動するのを抑制することができる。
【0062】
請求項11に記載の発明によれば、第1一方側軸方向軸受部材によって、第1プラネタリキャリア側部材と第2プラネタリキャリアとを滑らかに相対回転させることができる。
【0063】
請求項12に記載の発明によれば、第1キャリア一方側延出部によって第1プラネタリキャリア側部材が腕部に支持される支持面積を増加することでより安定性を向上することができる。
【0064】
請求項13に記載の発明によれば、係合部と反対側に第1支持部材を配置するので、係合部の公転軌道を避けて第1支持部材を配置することができ、回転軸線方向にコンパクトに構成することができる。
【0065】
請求項14に記載の発明によれば、第1他方側軸方向軸受部材によって、第1プラネタリキャリアの回転軸線方向の移動を抑制することができる。
【0066】
請求項15に記載の発明によれば、第1キャリア他方側延出部によって、第1プラネタリキャリア側部材が第1支持部材に支持される支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
【0067】
請求項16に記載の発明によれば、第2キャリア延出部の径方向内側のスペースを有効利用することができる。
【0068】
請求項17に記載の発明によれば、第1支持部材によって、第1プラネタリキャリア側部材が他方側に移動するのを規制することができる。
【0069】
請求項18に記載の発明によれば、第2他方側軸方向軸受部材によって、第2サンギヤの回転軸線方向の移動を抑制することができる。
【0070】
請求項19に記載の発明によれば、第2サンギヤ他方側延出部によって第2サンギヤ側部材が第1支持部材によって支持される支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
【0071】
請求項20に記載の発明によれば、第1リングギヤと第2サンギヤとを径方向でより近接して配置することができ、二つの遊星歯車機構を径方向に小型化することができる。
【0072】
請求項21に記載の発明によれば、第2一方側軸方向軸受部材によって、第2サンギヤ側部材と第2プラネタリキャリアとを滑らかに相対回転させることができる。
【0073】
請求項22に記載の発明によれば、第2サンギヤ一方側延出部によって、第2サンギヤが腕部に支持される支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
【0074】
請求項23に記載の発明によれば、第1プラネタリキャリアの回転軸線方向の調芯と、第2サンギヤの軸方向での調芯とをそれぞれ同時に可能としつつ、回転動力を確実に伝達することができる。
【0075】
請求項24に記載の発明によれば、第1プラネタリキャリアと第2サンギヤとは、スプライン結合によって、軸方向への移動を許容しつつ、回転動力をより確実に伝達することができる。
【0076】
請求項25に記載の発明によれば、第1サンギヤは入力軸又は出力軸で支持され、第1プラネタリキャリアは入力軸、出力軸、及び第1サンギヤのいずれかに支持される一方、第1リングギヤが径方向の移動を許容されるので、第1プラネタリギヤの調芯が可能となる。
【0077】
請求項26に記載の発明によれば、キャリア支持部によって、第1プラネタリキャリアを支持するためにキャリア側から延出させる部分を小さくすることができる。
【0078】
請求項27に記載の発明によれば、キャリア側から延出する部分をさらに小さすることができ、また、第1サンギヤの他方側からの入力軸の組み付け性を向上することができる。
【0079】
請求項28に記載の発明によれば、第1サンギヤに対して軸方向キャリア延出部と反対側に延出部を設ける必要がなく、回転軸線方向への長大化を防止することができる。
【0080】
請求項29に記載の発明によれば、径方向軸受部材によって、第1サンギヤと第1プラネタリキャリアとが安定して相対回転することができる。
【0081】
請求項30に記載の発明によれば、第2サンギヤは第1プラネタリキャリアによって支持され、第2プラネタリキャリアは入力軸若しくは出力軸によって支持される一方、第2リングギヤが径方向の移動を許容されるので、第2遊星歯車機構の調芯が可能となる。
【0082】
請求項31に記載の発明によれば、入力軸若しくは前記出力軸が接続される側に第1プラネタリキャリアの支持部を形成しなくてよく、入力軸若しくは前記出力軸側の軸方向長さを短縮することができる。
【0083】
請求項32に記載の発明によれば、連結部材の径方向内側を活用して、第1プラネタリキャリアを径方向に支持することができる。
【0084】
請求項33に記載の発明によれば、径方向軸受部材によって、第1サンギヤと第1プラネタリキャリアとが安定して相対回転することができる。
【0085】
請求項34に記載の発明によれば、リング固定で使用される第1遊星歯車機構を構成することができる。
【0086】
請求項35に記載の発明によれば、断接手段の締結または解除によって、入力軸から出力軸に伝達される動力を変更することができる。
【0087】
請求項36に記載の発明によれば、一方向回転規制手段の締結または解除によって、入力軸から出力軸に伝達される動力を変更することができる。
【0088】
請求項37に記載の発明によれば、リング固定で使用される第2遊星歯車機構を構成することができる。
【0089】
請求項38に記載の発明によれば、断接手段の締結または解除によって、入力軸から出力軸に伝達される動力を変更することができる。
【0090】
請求項39に記載の発明によれば、一方向回転規制手段の締結または解除によって、入力軸から出力軸に伝達される動力を変更することができる。
【0091】
請求項40に記載の発明によれば、入力と出力を動力伝達装置の片側で完結することができ、設計自由度を向上することができる。
【0092】
請求項41に記載の発明によれば、左右に動力伝達装置が配置され、左右別々の制御を行うことができる。
【0093】
請求項42に記載の発明によれば、左右の第2リングギヤを一箇所で同時に制御することができ、構造配置の自由度を向上することができる。
【0094】
請求項43に記載の発明によれば、1つの入力軸への入力を第1出力軸と第2出力軸に出力することができ、2つの駆動対象を1つの動力源で駆動することができる。
【0095】
請求項44に記載の発明によれば、入力軸に入力されるトルクを増幅して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の動力伝達装置を第2プラネタリキャリアを省略した形で、回転軸線方向一方側から見た側面図である。
【図3】(a)は、図1の動力伝達装置において、第1サンギヤに入力トルクが付加された場合の共線図であり、(b)は、従来の動力伝達装置において、第1サンギヤに入力トルクが付加された場合の共線図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置を示す概略構成図である。
【図6】第3実施形態の変形例に係る動力伝達装置を示す概略構成図である。
【図7】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例1の駆動装置を示す概略構成図である。
【図8】適用例1の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図9】適用例1の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図10】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例2の駆動装置を示す概略構成図である。
【図11】適用例2の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図12】適用例2の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図13】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例3の駆動装置を示す概略構成図である。
【図14】適用例3の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図15】適用例3の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図16】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例4の駆動装置を示す概略構成図である。
【図17】適用例4の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図18】適用例4の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図19】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例5の駆動装置を示す概略構成図である。
【図20】適用例5の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図21】適用例5の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図22】本発明の動力伝達装置が用いられる適用例6の駆動装置を示す概略構成図である。
【図23】適用例6の駆動装置において、モータ走行時における共線図である。
【図24】適用例6の駆動装置において、コースト走行時における共線図である。
【図25】従来の動力伝達装置を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下、本発明の各実施形態に係る動力伝達装置について、図面を参照して説明する。
【0098】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、第1実施形態の動力伝達装置1は、シンプルプラネタリ型の第1及び第2遊星歯車機構10,20を備え、入力軸2から入力される動力を、これら2つの遊星歯車機構10,20を介して、出力軸3に出力する。
【0099】
第1遊星歯車機構10は、入力軸2に接続されて、回転軸線Xを中心に回転可能な第1サンギヤ11と、第1サンギヤ11と噛合して第1サンギヤ11の周りを自転しながら公転する複数(本実施形態では、4つ)の第1プラネタリギヤ12と、ニードルベアリング(図示せず)を介してこれら第1プラネタリギヤ12を回転自在に支持するとともに、第1プラネタリギヤ12の公転速度と同じ速度で回転する第1プラネタリキャリア13と、第1プラネタリギヤ12と噛合する内歯を有し、第1支持部材15によって固定して配置される第1リングギヤ14と、を有する。
【0100】
また、第2遊星歯車機構20は、第1リングギヤ14の径方向外側に位置し、第1プラネタリキャリア13と動力伝達可能に接続され、且つ、上記回転軸線Xを中心に回転可能な第2サンギヤ21と、第2サンギヤ21に噛合して第2サンギヤ21の周りを自転しながら公転する複数(本実施形態では、5つ)の第2プラネタリギヤ22と、ニードルベアリング(図示せず)を介してこれら第2プラネタリギヤ22を回転自在に支持するとともに、第2プラネタリギヤ22の公転速度と同じ速度で回転する第2プラネタリキャリア23と、第2プラネタリギヤ22と噛合する内歯を有し、第2支持部材25によって固定して配置される第2リングギヤ24と、を有する。
【0101】
第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とは、連結部材31によって互いに連結されており、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21との動力伝達を損失無く行うことができる。具体的に、図2に示すように、連結部材31は、各第1プラネタリギヤ12を回転可能に軸支する4本のプラネタリギヤ回転軸としての支持ピン32の一端を支持する環状部材33に一体で形成されており、この環状部材33の各支持ピン32を支持する位置の径方向外側部分を第2サンギヤ21まで延設する4箇所の連結部33aによって構成される。なお、図2中、符号34は、4本の支持ピン32の他端を支持する他の環状部材(図示せず)と、該環状部材33と、を連結する結合部材であり、各結合部材34は、隣接する連結部33a間に配置されている。
【0102】
また、第2プラネタリキャリア23は、径方向内側に延設され、第2プラネタリギヤ22を保持する腕部35を備え、この腕部35を介して出力軸3に接続されている。なお、図2では、腕部35を含め、第2プラネタリキャリア23が図示省略されている。
【0103】
第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20とは、第1サンギヤ11の回転中心と第2サンギヤ21の回転中心とが一致するように、入力軸2及び出力軸3が位置する、同一の回転軸線X上に配置される。また、第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20とは、これらの少なくとも一部同士が回転軸線方向にオーバーラップするように、第2遊星歯車機構20が第1遊星歯車機構10の径方向外側に位置した状態で、同一径上に配置されている。
【0104】
このため、連結部材31と腕部35とは、第1プラネタリギヤ12と第1リングギヤ14との噛合部、具体的には、該噛合部の軸方向中心Cに対して回転軸線方向で一方側(図1中、右側であり、以下、単に「軸線方向一方側」とも称す。)に配置され、且つ、互いに径方向にオーバーラップしている。この場合、連結部材31は、腕部35に対して、噛合部の軸方向中心C寄りに配置されおり、腕部35と連結部材31とを軸線方向一方側に近接して配置することで、連結部材31が回転軸線方向に過度に移動するのを抑制することができる。
【0105】
連結部材31と腕部35との間には、回転軸線方向の荷重を受ける軸方向軸受部材としてスラストベアリング36が介装されており、連結部材31と第2プラネタリキャリア23とを滑らかに相対回転させることができる。
【0106】
また、第2支持部材25は、第1プラネタリギヤ12と第1リングギヤ14との噛合部の軸方向中心Cに沿った位置で、ケース38に固定される一方、第1支持部材15は、当該噛合部の軸方向中心Cに対して回転軸線方向で他方側(図1中、左側であり、以下、単に「軸線方向他方側」とも称す。)に配置され、第1リングギヤ14から径方向外側に延出してケース38に固定される。このように、第1支持部材15が、連結部材31と反対側で、連結部材31の公転軌道を避けて配置されることで、2つの遊星歯車機構10,20を回転軸線方向にコンパクトに構成することができる。
【0107】
また、第2サンギヤ21と第1支持部材15とは、径方向にオーバーラップしている。第2サンギヤ21は、その第1支持部材側端部21aから径方向外側のみに延設されるサンギヤ延出部26を有しており、サンギヤ延出部26は、第1リングギヤ14と第2サンギヤ21とを径方向で近接して配置するのを許容しつつ、第2サンギヤ21が第1支持部材15に支持される支持面積を増加することができる。第2サンギヤ21と第1支持部材15との間、具体的には、サンギヤ延出部26と第1支持部材15との間には、回転軸線方向の荷重を受ける軸方向軸受部材としてのスラストベアリング37が介装されており、第2サンギヤ21が過度に回転軸線方向に移動するのを規制することができ、第2サンギヤ21及び連結部材31を安定して回転することができる。
【0108】
図3(a)は、本実施形態の動力伝達装置1において、入力軸2に接続された第1サンギヤ11に入力トルクが付加された場合の共線図であり、図3(b)は、図25に示す従来の動力伝達装置100において、入力軸2に接続された第1サンギヤ101に入力トルクが付加された場合の共線図である。なお、図中、S1,C1,R1は、第1遊星歯車機構10の第1サンギヤ11、第1プラネタリキャリア13、第1リングギヤ14を表わし、また、S2,C2,R2は、第2遊星歯車機構20の第2サンギヤ21、第2プラネタリキャリア23、第2リングギヤ24を表わす。図中、停車中の状態から上方が正転方向の回転、下方が逆転方向の回転であり、矢印は、上方が正転方向のトルクを表し、下方が逆転方向のトルクを表す。また、各要素の縦軸間の間隔は、ギヤ比に応じて定められている。
【0109】
図3(a)に示すように、第1サンギヤ11に正転方向のトルクが付加されると、第1リングギヤ14は固定されているので、第1プラネタリキャリア13には第1サンギヤ11に付加されたトルクの分配力が正転方向に作用する。また、第1プラネタリキャリア13と接続された第2サンギヤ21に正転方向のトルクが付加されると、第2リングギヤ24は固定されているので、第2プラネタリキャリア23には、第2サンギヤ21に入力されたトルクの分配力が正転方向に作用する。なお、第2プラネタリキャリア23には、この分配力と同じ大きさの走行抵抗が逆転方向に作用する。
【0110】
一方、図3(b)に示す従来の動力伝達装置100は、第1プラネタリキャリア138から出力軸3に出力トルクを伝達するため、使用可能な変速比の範囲が狭い。このため、図3(a)に示す本実施形態の動力伝達装置1は、従来の動力伝達装置100に比べて高い変速比が得られることがわかる。
【0111】
以上説明したように、本実施形態の動力伝達装置1では、第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20とは、第1サンギヤ11の回転中心と第2サンギヤ21の回転中心とが一致するように同一の回転軸線X上に配置され、且つ、第1遊星歯車機構10と第2遊星歯車機構20の少なくとも一部同士が回転軸線方向にオーバーラップするように同一径上に配置されているので、2つの遊星歯車機構10,20を回転軸線方向にコンパクトに配置することができる。また、第2遊星歯車機構20が第1遊星歯車機構10に対して外周側に位置するため、各ギヤ21,22,24の負荷が少なく、第2プラネタリギヤ22も多数配置することができるため、各ギヤ21,22,24の強度的に有利であり、また、変速比の設定も自由度が高い。
【0112】
また、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが動力伝達可能に接続され、第1サンギヤ11が入力軸2に接続され、第2プラネタリキャリア23が出力軸3に接続されるので、第1サンギヤ11、第1プラネタリギヤ12、第1プラネタリキャリア13、第2サンギヤ21、第2プラネタリギヤ22、第2プラネタリキャリア23の順で動力が伝達され、二つの遊星歯車機構10,20の変速比の積を利用して高い変速比を得ることができる。また、これにより、入力軸2に入力されるトルクを増幅して出力することができる。
【0113】
なお、本実施形態では、第1サンギヤ11が入力軸2に接続され、第2プラネタリキャリア23が出力軸3に接続される変速機構として適用されているが、第2プラネタリキャリア23が入力軸2に接続され、第1サンギヤが出力軸3に接続される変速機構として適用されてもよい。この場合には、第2プラネタリキャリア23から第1サンギヤ11まで、上記の順序と逆の順で動力が伝達される。
【0114】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置について、図4を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については、同一符号を付して、説明を省略或いは簡略化する。
【0115】
第2実施形態では、第1プラネタリキャリア13を構成する第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ21を構成する第2サンギヤ側部材42とを別体構造とし、第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ側部材42とを係合部43によって係合することで、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21との動力伝達が行なわれる。
【0116】
第1プラネタリキャリア側部材41は、第1プラネタリギヤ12を回転可能に軸支する支持ピン32(図2参照。)と、軸線方向一方側で、支持ピン32の一端を支持する環状部材33(図2参照。)と、環状部材33から径方向外側に延設され、外周面にスプライン歯を有する第1キャリア一方側延出部45と、軸線方向他方側において、支持ピン32の他端を支持する他の環状部材(図示せず)と、他の環状部材から径方向外側に延設される第1キャリア他方側延出部46と、を有する。
【0117】
第2サンギヤ側部材42は、軸線方向一方側で径方向外側に延設される第2サンギヤ一方側延出部47と、第2サンギヤ21の軸線方向他方側から径方向外側に延びる第2サンギヤ他方側延出部48と、を有し、第2サンギヤ側部材42の内周面には、スプライン歯が形成されている。
【0118】
従って、係合部43は、スプライン結合によって第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ側部材42とを接続しており、第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ側部材42との両部材の回転軸線方向の相対移動を許容しつつ、径方向への移動を規制することで、両部材の回転方向のみの動力伝達を行う。
【0119】
このため、本実施形態では、係合部43と腕部35とは、第1プラネタリギヤ12と第1リングギヤ14との噛合部の軸方向中心Cに対して回転軸線方向で一方側に配置され、且つ、径方向にオーバーラップする。この場合にも、係合部43は、腕部35に対して、噛合部の軸方向中心C寄りに配置されおり、腕部35と係合部43とを回転軸線方向で一方側に近接して配置することで、第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ側部材42とが回転軸線方向に過度に移動するのを抑制することができる。
【0120】
また、第1プラネタリキャリア側部材41の第1キャリア一方側延出部45と、腕部35との間には、回転軸線方向の荷重を受ける第1一方側軸方向軸受部材としてのスラストベアリング51が介装される。
【0121】
また、第2サンギヤ側部材42の第2サンギヤ一方側延出部47と腕部35との間には、回転軸線方向の荷重を受ける第2一方側軸方向軸受部材であるスラストベアリング52が介装される。
【0122】
第1支持部材15は、第1プラネタリキャリア側部材41の第1キャリア他方側延出部46と径方向にオーバーラップするように、第1プラネタリギヤ12と第1リングギヤ14との噛合部よりも径方向内側まで延設されており、第1プラネタリキャリア側部材41が他方側に移動するのを規制している。なお、第1キャリア他方側延出部46は径方向外側に形成されるので、第1キャリア他方側延出部46の径方向内側のスペースを有効利用することができ、また、第1支持部材15が径方向内側まで延設する部分も短縮することができる。さらに、第1キャリア他方側延出部46と第1支持部材15との間には、回転軸線方向の荷重を受ける第1他方側軸方向軸受部材としてのスラストベアリング53が介装される。
【0123】
第2サンギヤ側部材42の第2サンギヤ他方側延出部48と、第1支持部材15とは、径方向にオーバーラップしており、第2サンギヤ21の回転軸線方向の移動を抑制することができる。また、第2サンギヤ他方側延出部48と第1支持部材15との間には、回転軸線方向の荷重を受ける第2他方側軸方向軸受部材としてのスラストベアリング54が介装される。
【0124】
従って、第1プラネタリキャリア側部材41及び第2サンギヤ側部材42は、一方側のスラストベアリング51,52によって、第2プラネタリキャリア23に対して滑らかに相対回転させることができ、また、他方側のスラストベアリング53,54によって、第1支持部材15に対して滑らかに回転させることができる。
【0125】
また、第1プラネタリキャリア側部材41に設けられた第1キャリア一方側延出部45や第1キャリア他方側延出部46によって、第1プラネタリキャリア側部材41が腕部35や第1支持部材15に支持される支持面積、本実施形態では、スラストベアリング51,54を支持する支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
同様に、第2サンギヤ側部材42に設けられた第2サンギヤ一方側延出部47や第2サンギヤ他方側延出部48によって、第2サンギヤ側部材42が腕部35や第1支持部材15に支持される支持面積、本実施形態では、スラストベアリング51,54を支持する支持面積を増加することで、より安定性を向上することができる。
【0126】
このように第2実施形態の動力伝達装置1によれば、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とは、第1プラネタリキャリア13に接続された第1プラネタリキャリア側部材41と第2サンギヤ21に接続された第2サンギヤ側部材42とが係合する係合部43によって、動力伝達を行なう。これにより、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが回転軸線方向に相対移動可能な別体構造であるので、第1プラネタリキャリア13が第1遊星歯車機構10に対して、第2サンギヤ21が第2遊星歯車機構20に対して、それぞれ調芯される。従って、第1実施形態の動力伝達装置よりも容易に製作可能であり、動力伝達を確実に行うことができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0127】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置について、図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については、同一符号を付して、説明を省略或いは簡略化する。
【0128】
第3実施形態では、第1プラネタリキャリア13において、第1プラネタリギヤ12を回転可能に軸支する支持ピン32(図2参照。)は、第1プラネタリギヤ12に対して入力軸側に延設される軸方向キャリア延出部32aを備える。また、入力軸2には、この軸方向キャリア延出部32aと回転軸線方向においてオーバーラップする位置において、入力軸2から径方向に延設され、第1サンギヤ11よりも大きい径を有するキャリア支持部61が設けられている。さらに、軸方向キャリア延出部32aと、入力軸2から延設されたキャリア支持部61との間には、径方向の荷重を受ける径方向軸受部材としてのラジアルベアリング62が介装されており、第1サンギヤ11と第1プラネタリキャリア13とが安定して相対回転する。
これにより、第1プラネタリキャリア13は、キャリア支持部61によって径方向に支持されており、なお、第1プラネタリキャリア13を支持する際、キャリア支持部61は、第1プラネタリキャリア13を支持するためにキャリア側から延出させる部分を小さくすることができ、また、入力軸側に延びる軸方向キャリア延出部32aは、第1サンギヤ11に対して出力軸側に延出部を設ける必要がなく、回転軸線方向への長大化を防止することができる。
【0129】
また、第2サンギヤ21は、第1実施形態と同様、連結部材31を介して第1プラネタリキャリア13と接続されていることから、第1プラネタリキャリア13によって径方向に支持される。
【0130】
さらに、第1実施形態と同様に、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とは、連結部材31と腕部35との間、及びサンギヤ延出部26と第1支持部材15と間にそれぞれ配置されたスラストベアリング36,37によって軸方向に支持されている。
【0131】
一方、第1リングギヤ14が接続される第1支持部材15は、第1回転規制機構63によって、ケース38に対して径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されてケース38に配置される。第1回転規制機構63は、例えば、ケース38に対して径方向に遊びを持たせるように、嵌め合いに隙間を持たせたスプライン嵌合としている。
【0132】
また、第2リングギヤ24が接続される第2支持部材も、第2回転規制機構64によって、ケース38に対して径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されてケース38に配置される。第2回転規制機構64も、例えば、ケース38に対して径方向に遊びを持たせるように、嵌め合いに隙間を持たせたスプライン嵌合としている。
【0133】
このように、第3実施形態の動力伝達装置1では、第1サンギヤ11や第1プラネタリキャリア13は入力軸2に支持されているが、第1リングギヤ14が回転を規制されつつ、径方向の移動を許容されるので、第1遊星歯車機構10の調芯が行なわれる。また、第2サンギヤ21は第1プラネタリキャリア13によって支持され、第2プラネタリキャリア13は出力軸3によって支持されているが、第2リングギヤ24が径方向の移動を許容されるので、第2遊星歯車機構20の調芯が行なわれる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0134】
また、上記実施形態では、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とは連結部材31によって接続されているが、第2実施形態と同様に、係合部43を介して接続されてもよい。この場合、第2プラネタリキャリア側部材41が第2遊星歯車機構20の調芯を行なうことができるので、第2リングギヤ22は遊びなく固定される。
【0135】
さらに、上記実施形態では、第1プラネタリキャリア13は、入力軸2によって径方向に支持されているが、出力軸3または第1サンギヤ11によって支持されてもよい。この場合、キャリア支持部61は、出力軸3または第1サンギヤ11から径方向に延設されてもよく、また、支持ピン32から延設される軸方向キャリア延出部32aが、第1プラネタリギヤ13に対して出力軸側に延設されてもよい。
【0136】
さらに、第1プラネタリキャリア13は、上記実施形態のような入力軸2から径方向に延設されるキャリア支持部61によって支持される代わりに、第1サンギヤ11から軸方向に延設される軸方向サンギヤ延出部11aによって径方向に支持される構成であってもよい。
【0137】
具体的に、図6に示す本実施形態の変形例のように、第1サンギヤ11は第1プラネタリギヤ12と第1リングギヤ14との噛合部に対して、入力軸2が接続される側と反対側に延設される軸方向サンギヤ延出部11aを備える。また、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とは、第1実施形態と同様、入力軸2が接続される側と反対側、即ち、軸線方向一方側で、連結部材31によって互いに連結されているが、この連結部材31は、径方向内側に延設される径方向キャリア延出部66を有している。そして、連結部材31の径方向キャリア延出部66と、軸方向サンギヤ延出部11aとの間には、ラジアルベアリング62が介装されており、第1サンギヤ11と第1プラネタリキャリア13とを安定して相対回転することができる。
【0138】
従って、連結部材31の径方向キャリア延出部66が、ラジアルベアリング62を介して軸方向サンギヤ延出部11aによって径方向に支持されることで、第1プラネタリキャリア13及び第2サンギヤ21は、連結部材31の径方向内側を活用して、径方向に支持される。このため、第3実施形態と同様に、第1リングギヤ14と第2リングギヤ22のケース38との連結部に第1及び第2回転規制機構63,64によってラジアル方向の遊びを持たせ、各遊星歯車機構10,20の調芯を可能としている。また、軸方向サンギヤ延出部11aを設けることで、入力軸2または出力軸3に第1プラネタリキャリア13のキャリア支持部61を形成しなくてよく、回転軸線方向への長大化を防止することができる。
【0139】
なお、該変形例においても、第2プラネタリキャリア23が入力軸に接続され、第1サンギヤが出力軸に接続される構成であってもよく、その場合、軸方向サンギヤ延出部11aは、第1サンギヤの出力軸が接続される側と反対側に延設され、径方向キャリア延出部66を有する連結部材31も出力軸が接続される側と反対側に配置されることになる。
【0140】
以下、適用例1〜6を参照して、本発明の動力伝達装置が適用される駆動装置について説明する。なお、上記実施形態の動力伝達装置は、実施可能な範囲において、適用例1〜6のいずれに用いられてもよい。
【0141】
(適用例1)
図7に示す駆動装置70は、ステータ72及びロータ73をそれぞれ備える、駆動源としての2つの電動機71(71A,71B)と、2つの動力伝達装置1(1A,1B)と、を備え、電動機71(71A,71B)と動力伝達装置1(1A,1B)とが、左右の各車輪W(LW,RW)毎にそれぞれ設けられている。
【0142】
これら2つの動力伝達装置1A,1Bは、回転軸線方向で互いに鏡面対称に配置されており、左右輪LW,RWで別々の制御が可能である。また、第1サンギヤ11に接続される入力軸2は中空構造を有し、第2プラネタリキャリア23に接続される出力軸3は中空構造の内部を挿通するように構成されている。これにより、入力と出力を動力伝達装置1A,1Bの片側でそれぞれ完結することができ、設計自由度を向上することができる。
【0143】
このように構成された駆動装置70では、図7に示すように、各電動機71A,71Bからの動力が各動力伝達装置1A,1Bの第1サンギヤ11にそれぞれ独立に付加され、出力トルクが第2プラネタリキャリア23から左右輪LW,RWに独立に出力される。
【0144】
図8は、適用例1の駆動装置70において、モータ走行時における共線図であり、図9は、コースト走行時における共線図である。図8に示すように、電動機71A,71Bによるモータ走行時には、第1及び第2リングギヤ14,24が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21が連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71A,71Bが接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0145】
また、図9に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に正転方向のトルクが作用するので、第1サンギヤ11には逆転方向のトルクが作用し、電動機71A,71Bで回生が行われる。このとき、出力軸3の回転に対して、電動機71A,71Bは変速されて回転されるので、電動機71A,71Bは回生制御が可能となる。
【0146】
(適用例2)
図10に示す適用例2の駆動装置70Aは、駆動源としての電動機71と、動力伝達装置1と、差動装置81と、を備え、電動機71の動力を動力伝達装置1を介して差動装置81に伝達し、差動装置81にて分配されて左右の各車輪W(LW,RW)に出力される。
【0147】
第2プラネタリキャリア23が接続される出力軸3は、差動装置81に接続され、差動装置81は、出力軸3からの入力される動力を第1出力軸82と第2出力軸83とに出力する。この場合、ロータ73及び第1サンギヤ11が接続される入力軸2は中空構造を有し、第2出力軸83は中空構造の内部を挿通するように構成されている。
【0148】
従って、この適用例2によれば、電動機71から1つの入力軸2への入力を第1出力軸82と第2出力軸83に出力することができ、2つの駆動対象である左右輪LW,RWを1つの動力源で駆動することができる。
【0149】
図11は、適用例2の駆動装置70Aにおいて、モータ走行時における共線図であり、図12は、コースト走行時における共線図である。この場合も、図11に示すように、電動機71によるモータ走行時には、第1及び第2リングギヤ14,24が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71が接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0150】
また、図12に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に正転方向のトルクが作用するので、第1サンギヤ11には逆転方向のトルクが作用し、電動機71で回生が行われる。このとき、出力軸3の回転に対して、電動機71は変速されて回転されるので、電動機71は回生制御が可能となる。
【0151】
(適用例3)
図13に示す適用例3の駆動装置70Bは、適用例1と同様に、駆動源としての2つの電動機71(71A,71B)と、2つの動力伝達装置1(1A,1B)と、を備え、電動機71(71A,71B)と、動力伝達装置1(1A,1B)とが、左右の各車輪W(LW,RW)毎にそれぞれ設けられている。
【0152】
また、適用例3に用いられる動力伝達装置1A,1Bでは、各第2リングギヤ24に、少なくとも回転を規制する第2回転規制手段として、2つの動力伝達装置1A,1Bに共用の、断接手段としての油圧ブレーキ91と、一方向回転規制手段としての一方向クラッチ92とが接続されている。具体的に、各第2リングギヤ24には、回転軸線方向で互いに鏡面対称に配置された2つの動力伝達装置1A,1Bの腕部35の間に他の腕部93が設けられており、互いに連結されると共に、一方向クラッチ92の入力部材と連結される。また、油圧ブレーキ91は、2つの他の腕部93の一方と接続されている。
【0153】
この油圧ブレーキ91は、解放または締結可能とされ、該締結することにより各第2リングギヤ24の両方向の回転を規制する。また、一方向クラッチ92は、非係合時に各第2リングギヤ24の一方向の回転を許容し、係合時に各第2リングギヤ24の逆方向の回転を規制する。特に、一方向クラッチ92は、車両が前進走行する場合に動力伝達を可能とすべく、係合するように配置されており、車両発進時の応答性を向上させることができる。
【0154】
図14は、適用例3の駆動装置70Bにおいて、モータ走行時における共線図であり、図15は、コースト走行時における共線図である。なお、図中、B1は油圧ブレーキ91を示し、OWCは一方向クラッチ92を示している。図14に示すように、電動機71A,71Bによるモータ走行時には、一方向クラッチ92が係合して第2リングギヤ24が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71A,71Bが接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0155】
また、図15に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するので、第2リングギヤ24に逆転方向のトルクが作用し、一方向クラッチ92が開放される。このとき、第2リングギヤ24は第2プラネタリキャリア23より速い速度で空転する。従って、油圧ブレーキ91により第2リングギヤ24を固定しなければ、第2サンギヤ21及び第1プラネタリキャリア13の回転が停止され、第1サンギヤ11に接続された電動機71A,71Bは停止し、電動機71A,71Bの連れ回りを防止することができる。
【0156】
(適用例4)
図16に示す適用例4の駆動装置70Cは、適用例2の駆動装置70に対して、動力伝達装置1の第2リングギヤ24が、適用例3と同様に、油圧ブレーキ91と一方向クラッチ92を介して、ケース38に接続されている。
【0157】
図17は、適用例4の駆動装置70Cにおいて、モータ走行時における共線図であり、図18は、コースト走行時における共線図である。この場合も、図17に示すように、電動機71によるモータ走行時には、一方向クラッチ92が係合して第2リングギヤ24が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71が接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0158】
また、図18に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するので、第2リングギヤ24に逆転方向のトルクが作用し、一方向クラッチ92が開放される。このとき、第2リングギヤ24は第2プラネタリキャリア23より速い速度で空転する。従って、油圧ブレーキ91により第2リングギヤ24を固定しなければ、第2サンギヤ21及び第1プラネタリキャリア13の回転が停止され、第1サンギヤ11に接続された電動機71A,71Bは停止し、電動機71A,71Bの連れ回りを防止することができる。
【0159】
(適用例5)
図19に示す適用例5の駆動装置70Dは、適用例1と同様に、駆動源としての2つの電動機71(71A,71B)と、2つの動力伝達装置1(1A,1B)と、を備え、電動機71(71A,71B)と、動力伝達装置1(1A,1B)とが、左右の各車輪W(LW,RW)毎にそれぞれ設けられている。
【0160】
また、適用例5に用いられる動力伝達装置1A,1Bでは、各第1リングギヤ14に、少なくとも回転を規制する第1回転規制手段として、断接手段としての油圧ブレーキ94と、一方向回転規制手段としての一方向クラッチ95とが接続されており、各第1リングギヤ14は、油圧ブレーキ94及び一方向クラッチ95を介して、ケース38に取り付けられている。油圧ブレーキ94は、解放または締結可能とされ、該締結することにより各第1リングギヤ14の両方向の回転を規制する。また、一方向クラッチ95は、非係合時に各第1リングギヤ14の一方向の回転を許容し、係合時に各第1リングギヤ14の逆方向の回転を規制する。
【0161】
図20は、適用例5の駆動装置70Dにおいて、モータ走行時における共線図であり、図21は、コースト走行時における共線図である。なお、図中、B1は油圧ブレーキ94を示し、OWCは一方向クラッチ95を示している。図20に示すように、電動機71A,71Bによるモータ走行時には、一方向クラッチ92が係合して第1リングギヤ14が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71A,71Bが接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0162】
また、図21に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するが、第2リングギヤ24は固定されているので、第2サンギヤ21に逆転方向のトルクが作用する。そして、第2サンギヤ21に接続された第1プラネタリキャリア13には正転方向のトルクが作用するが、第1リングギヤ14に逆転方向のトルクが作用し、一方向クラッチ95が開放される。このとき、第1リングギヤ14は第1プラネタリキャリア13より速い速度で空転する。従って、油圧ブレーキ94により第1リングギヤ14を固定しなければ、第1サンギヤ11に接続された電動機71A,71Bは停止し、電動機71A,71Bの連れ回りを防止することができる。
【0163】
(適用例6)
図22に示す適用例6の駆動装置70Eは、適用例2の駆動装置70に対して、動力伝達装置1の第1リングギヤ14が、適用例5と同様に、油圧ブレーキ94と一方向クラッチ95を介して、ケース38に接続されている。
【0164】
図23は、適用例6の駆動装置70Eにおいて、モータ走行時における共線図であり、図24は、コースト走行時における共線図である。この場合も、図23に示すように、電動機71によるモータ走行時には、一方向クラッチ92が係合して第1リングギヤ14が固定され、第1プラネタリキャリア13と第2サンギヤ21とが連結されているので、出力軸3に接続された第2プラネタリキャリア23は、電動機71が接続された第1サンギヤ11の回転速度に対して2つの遊星歯車機構10,20の変速比の積で変速された回転速度で回転させられる。
【0165】
また、図24に示すように、コースト走行時には、出力軸3から第2プラネタリキャリア23に走行を続けようとする正転方向のトルクが作用するが、第2リングギヤ24は固定されているので、第2サンギヤ21に逆転方向のトルクが作用する。そして、第2サンギヤ21に接続された第1プラネタリキャリア13には正転方向のトルクが作用するが、第1リングギヤ14に逆転方向のトルクが作用し、一方向クラッチ95が開放される。このとき、第1リングギヤ14は第1プラネタリキャリア13より速い速度で空転する。従って、油圧ブレーキ94により第1リングギヤ14を固定しなければ、第1サンギヤ11に接続された電動機71は停止し、電動機71の連れ回りを防止することができる。
【0166】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、駆動装置に用いられる駆動源としては、電動機に限定されるものでなく、内燃機関など、他の動力源であってもよい。
【符号の説明】
【0167】
1 動力伝達装置
2 入力軸
3 出力軸
10 第1遊星歯車機構
11 第1サンギヤ
11a 軸方向サンギヤ延出部
12 第1プラネタリギヤ
13 第1プラネタリキャリア
14 第1リングギヤ
15 第1支持部材
20 第2遊星歯車機構
21 第2サンギヤ
22 第2プラネタリギヤ
23 第2プラネタリキャリア
24 第2リングギヤ
25 第2支持部材
26 サンギヤ延出部
31 連結部材
32 支持ピン(プラネタリギヤ回転軸)
32a 軸方向キャリア延出部
33 環状部材
35 腕部
36 スラストベアリング(一方側軸方向軸受部材)
37 スラストベアリング(他方側軸方向軸受部材)
41 第1プラネタリキャリア側部材
42 第2サンギヤ側部材
43 係合部
45 第1キャリア一方側延出部
46 第1キャリア他方側延出部
47 第2サンギヤ一方側延出部
51 スラストベアリング(第1一方側軸方向軸受部材)
52 スラストベアリング(第2一方側軸方向軸受部材)
53 スラストベアリング(第1他方側軸方向軸受部材)
54 スラストベアリング(第2他方側軸方向軸受部材)
61 キャリア支持部
62 ラジアルベアリング(径方向軸受部材)
70,70A,70B,70C,70D,70E 駆動装置
71,71A,71B 電動機(駆動源)
81 差動装置
82 第1出力軸
83 第2出力軸
91 油圧ブレーキ(断接手段、第2回転規制手段)
92 一方向クラッチ(一方向回転規制手段、第2回転規制手段)
94 油圧ブレーキ(断接手段、第1回転規制手段)
95 一方向クラッチ(一方向回転規制手段、第1回転規制手段)
LW 左輪
RW 右輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サンギヤ、第1プラネタリギヤ、第1プラネタリキャリア、及び、第1リングギヤを有する第1遊星歯車機構と、
第2サンギヤ、第2プラネタリギヤ、第2プラネタリキャリア、及び、第2リングギヤを有する第2遊星歯車機構と、
を備え、入力軸から入力される動力を、前記第1遊星歯車機構及び前記第2遊星歯車機構を介して、出力軸に出力する動力伝達装置であって、
前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構とは、前記第1サンギヤの回転中心と前記第2サンギヤの回転中心とが一致するように同一の回転軸線上に配置され、且つ、前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構との少なくとも一部同士が前記回転軸線方向にオーバーラップするように同一径上に配置されており、
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとが動力伝達可能に接続され、
前記第1サンギヤと前記第2プラネタリキャリアとのいずれか一方は、前記入力軸に接続され、前記第1サンギヤと前記第2プラネタリキャリアとのいずれか他方は、前記出力軸に接続されることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、連結部材によって互いに連結されることで、動力伝達可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記第2プラネタリキャリアは、径方向に延設され、前記第2プラネタリギヤを保持する腕部を備え、
前記連結部材と前記腕部とは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側に配置され、且つ、前記回転軸線方向から見て径方向にオーバーラップしていることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記連結部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける一方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側には、前記第1リングギヤを支持する第1支持部材が配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記第2サンギヤと前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第2サンギヤと前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける他方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記第2サンギヤは、前記第1支持部材側の端部から前記径方向に延びるサンギヤ延出部を有することを特徴とする請求項6に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記サンギヤ延出部は、径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする請求項7に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、前記第1プラネタリキャリアを構成する第1プラネタリキャリア側部材と、前記第2サンギヤを構成する第2サンギヤ側部材とが係合部によって互いに係合されることで、動力伝達可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記第2プラネタリキャリアは、径方向に延設され、前記第2プラネタリギヤを保持する腕部を備え、
前記係合部と前記腕部とは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側に配置され、且つ、前記回転軸線方向から見て径方向にオーバーラップしていることを特徴とする請求項9に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第1一方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記第1プラネタリキャリア側部材は、
前記第1プラネタリギヤを回転可能に軸支するプラネタリギヤ回転軸と、
前記プラネタリギヤ回転軸を支持する環状部材と、
前記環状部材から径方向外側に延設される第1キャリア一方側延出部と、
を含み、
前記第1一方側軸方向軸受部材は、前記第1キャリア一方側延出部と前記腕部との間に介装されることを特徴とする請求項11に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側には、前記第1リングギヤを支持する第1支持部材が配置されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項14】
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第1他方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項13に記載の動力伝達装置。
【請求項15】
前記第1プラネタリキャリア側部材は、前記噛合部に対して前記回転軸線方向で他方側において、前記径方向に延びる第1キャリア他方側延出部を有することを特徴とする請求項14に記載の動力伝達装置。
【請求項16】
前記第1キャリア他方側延出部は径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする請求項15に記載の動力伝達装置。
【請求項17】
前記第1支持部材は、前記噛合部よりも径方向内側まで延びることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項18】
前記第2サンギヤ側部材と前記第1支持部材とは、前記径方向にオーバーラップしており、
前記第2サンギヤ側部材と前記第1支持部材との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第2他方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項13に記載の動力伝達装置。
【請求項19】
前記第2サンギヤ側部材は、前記第1支持部材側の端部から前記径方向に延びる第2サンギヤ他方側延出部を有することを特徴とする請求項18に記載の動力伝達装置。
【請求項20】
前記第2サンギヤ他方側延出部は、径方向外側のみに向かって形成されることを特徴とする請求項19に記載の動力伝達装置。
【請求項21】
前記第2サンギヤ側部材と前記腕部との間には、前記回転軸線方向の荷重を受ける第2一方側軸方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項22】
前記第2サンギヤ側部材は、前記噛合部に対して前記回転軸線方向で一方側において、前記径方向外側に延設される第2サンギヤ一方側延出部を含み、
前記第2一方側軸方向軸受部材は、前記第1サンギヤ延出部と前記腕部との間に介装されることを特徴とする請求項21に記載の動力伝達装置。
【請求項23】
前記係合部は、前記第1プラネタリキャリア側部材と前記第2サンギヤ側部材との両部材の前記回転軸線方向の相対移動を許容するとともに、該両部材の回転方向の動力伝達を行うことを特徴とする請求項9〜22のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項24】
前記係合部は、スプライン結合によって接続されることを特徴とする請求項23に記載の動力伝達装置。
【請求項25】
前記第1プラネタリキャリアは、前記入力軸、前記出力軸、及び前記第1サンギヤのいずれか1つによって径方向に支持され、
前記第1リングギヤは、径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されて配置されることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項26】
前記第1プラネタリキャリアは、前記入力軸、前記出力軸、及び前記第1サンギヤのいずれか1つから径方向に延設されるキャリア支持部によって径方向に支持されることを特徴とする請求項25に記載の動力伝達装置。
【請求項27】
前記キャリア支持部は、前記第1サンギヤよりも大きい径を有することを特徴とする請求項26に記載の動力伝達装置。
【請求項28】
前記第1プラネタリキャリアは、前記回転軸線方向に延設され、前記第1プラネタリギヤを回転可能に軸支するプラネタリギヤ回転軸を備え、
前記プラネタリギヤ回転軸は、前記第1プラネタリギヤに対して前記入力軸側若しくは前記出力軸側に延設される軸方向キャリア延出部を備え、
前記軸方向キャリア延出部は、前記入力軸若しくは前記出力軸によって径方向に支持されることを特徴とする請求項25〜27のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項29】
前記軸方向キャリア延出部と前記入力軸若しくは前記出力軸との間には、前記径方向の荷重を受ける径方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項28に記載の動力伝達装置。
【請求項30】
前記第2サンギヤは、前記第1プラネタリキャリアによって径方向に支持され、
前記第2リングギヤは、径方向の移動を許容されるとともに回転を規制されて配置されることを特徴とする請求項25〜29のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項31】
前記第1サンギヤは、前記第1プラネタリギヤと前記第1リングギヤとの噛合部に対して、前記入力軸若しくは前記出力軸が接続される側と前記回転軸線方向で反対側に延設される軸方向サンギヤ延出部を備え、
前記第1プラネタリキャリアは、前記軸方向サンギヤ延出部によって径方向に支持されることを特徴とする請求項25〜30のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項32】
前記第1プラネタリキャリアと前記第2サンギヤとは、連結部材によって互いに連結され、
前記連結部材は前記入力軸若しくは前記出力軸が接続される側と前記反対側に配置され、
前記連結部材は、前記軸方向サンギヤ延出部によって径方向に支持されることを特徴とする請求項31に記載の動力伝達装置。
【請求項33】
前記連結部材と前記軸方向サンギヤ延出部との間には、前記径方向の荷重を受ける径方向軸受部材が介装されることを特徴とする請求項32に記載の動力伝達装置。
【請求項34】
前記第1リングギヤは少なくとも回転が規制される第1回転規制手段を有することを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項35】
前記第1回転規制手段は、解放または締結可能とされ、
前記第1回転規制手段を締結することにより前記第1リングギヤの両方向の回転を規制する断接手段を備えることを特徴とする請求項34に記載の動力伝達装置。
【請求項36】
前記第1回転規制手段は、非係合時に前記第1リングギヤの一方向の回転を許容し、係合時に前記第1リングギヤの逆方向の回転を規制する一方向回転規制手段を備えることを特徴とする請求項34または35に記載の動力伝達装置。
【請求項37】
前記第2リングギヤは、少なくとも回転が規制される第2回転規制手段を有することを特徴とする請求項1〜33のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項38】
前記第2回転規制手段は、解放または締結可能とされ、
前記第2回転規制手段を締結することにより前記第2リングギヤの両方向の回転を規制する断接手段を備えることを特徴とする請求項37に記載の動力伝達装置。
【請求項39】
前記第2回転規制手段は、非係合時に前記第2リングギヤの一方向の回転を許容し、係合時に前記第2リングギヤの逆方向の回転を規制する一方向回転規制手段を備えることを特徴とする請求項37または38に記載の動力伝達装置。
【請求項40】
前記第1サンギヤに接続される前記入力軸又は前記出力軸のいずれか一方は中空構造を有し、
前記第2プラネタリキャリアに接続される前記入力軸又は前記出力軸のいずれか他方は前記中空構造の内部を挿通することを特徴とする請求項1〜39のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項41】
前記動力伝達装置を2つ備え、該2つの動力伝達装置は、前記回転軸線方向で互いに鏡面対称に配置されることを特徴とする請求項1〜40のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項42】
前記2つの動力伝達装置は、それぞれの第2リングギヤ同士を互いに連結することを特徴とする請求項41に記載の動力伝達装置。
【請求項43】
前記出力軸は、差動装置に接続され、
前記差動装置は、前記出力軸からの入力される動力を第1出力軸と第2出力軸とに出力することを特徴とする請求項1〜42のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項44】
前記第1サンギヤに前記入力軸が接続され、
前記第2プラネタリキャリアに前記出力軸が接続されることを特徴とする請求項1〜43のいずれか1項に記載の動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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