説明

動力回収装置及び動力回収方法

【課題】動力回収効率の向上が図られた動力回収装置を提供する。
【解決手段】動力回収装置1は、蒸発器11と、蒸発器11下流の膨張機12と、膨張機12下流の凝縮器14と、蒸発器11上流の加熱器16と、凝縮器14下流且つ加熱器16上流の容器15と、凝縮器14から容器15へ送液する第1送液ポンプ17と、容器15の下部から加熱器16へ送液する第2送液ポンプ18と、容器15の上部と加熱器16との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する開閉弁20と、蒸発器11上流に配置されて蒸発器11に流入する方向に作動流体を流通させる逆止弁21と、を備えるとともに、開閉弁20を閉鎖して第1送液ポンプ17を動作させ、第2送液ポンプ18の動作を停止させる第1運転状態と、開閉弁20を開放して第1送液ポンプ17の動作を停止させ、第2送液ポンプ18を動作させる第2運転状態と、を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱等を回収して動力を発生させる動力回収装置及び動力回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排熱等から動力を回収する従来の動力回収装置は一般にランキンサイクル等の熱サイクルが用いられる。図10はこの従来の動力回収装置の系統図を示している。動力回収装置1は蒸発器11、膨張機12、凝縮器14、送液ポンプ17、蒸発器11の順に配管で接続され、作動流体が封入されている。
【0003】
この動力回収装置1は排熱や太陽熱などの熱源を用いて蒸発器11で高圧蒸気の作動流体を生成し、蒸発器11で生成した高圧蒸気をタービン等の膨張機12に導いて膨張させる。これにより動力を回収し、タービンの回転などによって発電機13等の発電に利用する。膨張した蒸気の作動流体は凝縮器14で液化し、機械式の送液ポンプ17で昇圧した後に蒸発器11に戻される。
【0004】
上記のような動力回収装置は廃熱発電装置として特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された廃熱発電装置は廃熱エネルギーにより作動流体を高圧蒸気に変換する廃熱回収器(蒸発器)と、高圧蒸気により駆動される蒸気タービン(膨張機)と、蒸気タービンにより駆動される発電機と、タービン排気を凝縮液化する凝縮器と、液相の作動流体を廃熱回収器に圧送する高圧ポンプとを備えている。
【0005】
しかしながら、発電機による発電量を増加させるためには膨張機を大きな圧力差で作動させる必要があり、これにより蒸発器で蒸発する圧力と凝縮器で凝縮する圧力との差を大きくしなければならない。この圧力差が大きくなると作動流体を昇圧して凝縮器から蒸発器に戻すポンプを駆動するための消費電力も大きくなり、実質的な動力回収効率が低下する問題がある。
【0006】
そこで、このような問題を解決すべく提案された動力回収装置が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載された動力回収装置は凝縮器の下流であって凝縮器の作動媒体液面よりも低い位置且つ蒸発器の上流であって蒸発器の作動媒体液面よりも高い位置に設けた給液タンクと、凝縮器と給液タンクとの間及び給液タンクと蒸発器との間に各々設けた逆止弁とを備えている。
【0007】
この動力回収装置の構成によれば、凝縮器内の液位と給液タンク内の液位との落差によって凝縮器内の作動媒体液が給液タンク内に移動し、給液タンク内の液位と蒸発器内の液位との落差によって給液タンク内の作動媒体液が蒸発器内に移動する。したがって、ポンプなどを使用することなく重力の作用を利用して作動媒体液を凝縮器内から蒸発器内まで送ることができ、ポンプを駆動するための電力の消費を抑制して動力回収効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−110514号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】特開2006−37849号公報(第5頁−第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載された従来の動力回収装置で利用されている重力の作用だけでは作動流体を送る力が弱い可能性がある。これにより、熱交換機等の圧力損失に負けるなどして、作動流体の十分な送液量を確保することができないといった問題が発生する虞がある。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、作動流体の送液部に必要な動力をできるだけ抑制しながら作動流体の十分な送液量を確保することができ、動力回収効率の向上が図られた動力回収装置及び動力回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の動力回収装置は、熱源により作動流体を加熱して高圧蒸気の作動流体を生成する蒸発器と、前記蒸発器の送液方向下流に配置されて作動流体を膨張させる膨張機と、前記膨張機の送液方向下流に配置されて作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記蒸発器の送液方向上流に配置されて作動流体を加熱する第1加熱器と、前記凝縮器の送液方向下流且つ前記第1加熱器の送液方向上流に配置されて作動流体を貯留する容器と、前記凝縮器から前記容器へ作動流体を送液する第1送液部と、前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2送液部と、前記容器の上部と前記第1加熱器との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する開閉弁と、前記蒸発器の送液方向上流に配置されて前記蒸発器に流入する方向に作動流体を流通させる第1逆止弁と、を備えるとともに、前記開閉弁を閉鎖して前記第1送液部を動作させることにより前記凝縮器から前記容器へ作動流体を送液しながら前記容器内の気相の作動流体を液化させ、前記第2送液部の動作を停止させて前記第1加熱器で作動流体を加熱することにより前記第1加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1運転状態と、前記第1送液部の動作を停止させて前記開閉弁を開放することにより前記第1加熱器から気相の作動流体を前記容器に移動させ、前記第2送液部を動作させることにより前記容器から前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2運転状態と、を繰り返すことを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、動力回収装置は蒸発器、膨張機、凝縮器、容器、第1加熱器、蒸発器の順に接続され、作動流体が封入される。第1運転状態では第1送液部により凝縮器から容器に作動流体が送液されるとともに、第1加熱器による加熱で生じる圧力差で第1加熱器から蒸発器に作動流体が移動する。第2運転状態では容器と第1加熱器との間の開閉弁を開放し、第2送液部により容器から第1加熱器に作動流体が送液される。これらの運転状態が繰り返され、膨張機から蒸発器に作動流体が送液される。蒸発器で生成された高圧蒸気の作動流体は膨張機で膨張され、膨張機が有する例えばタービンを回転させることで動力を回収する。第1運転状態において、容器内の圧力は蒸発器の蒸発圧力よりも低いので、凝縮器から蒸発器へ直接送液する場合と比較して凝縮器から容器に送液する第1送液部の動作にかかる負荷は小さくなる。第2運転状態において、開閉弁を開放すると容器と第1加熱器との圧力差が小さくなるので、第2送液部の動作にかかる負荷も比較的小さくなる。
【0013】
また、本発明の動力回収装置は、熱源により作動流体を加熱して高圧蒸気の作動流体を生成する蒸発器と、前記蒸発器の送液方向下流に配置されて作動流体を膨張させる膨張機と、前記膨張機の送液方向下流に配置されて作動流体を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器の送液方向下流且つ前記蒸発器の送液方向上流に並列にして配置された作動流体を貯留する容器及び前記容器の送液方向下流に配置されて作動流体を加熱する第1加熱器の複数の組と、前記凝縮器から前記複数の組各々の前記容器へ作動流体を送液する第1送液部と、前記複数の組各々の前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液する複数の第2送液部と、前記複数の組各々の前記容器の上部と前記第1加熱器との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する複数の開閉弁と、前記複数の組各々の前記第1加熱器側から前記蒸発器に向かう方向に作動流体を流通させる複数の第1逆止弁と、前記凝縮器側から前記複数の組各々の前記容器に向かう方向に作動流体を流通させる複数の第2逆止弁と、を備えるとともに、前記第1送液部を動作させながら前記複数の組各々に対応する前記開閉弁を閉鎖することにより前記凝縮器から当該組の前記容器へ作動流体を送液させ、当該組に対応する前記第2送液部の動作を停止させて当該組の前記第1加熱器で作動流体を加熱することにより当該組の前記第1加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1運転状態と、前記第1送液部を動作させながら前記複数の組各々に対応する前記開閉弁を開放することにより当該組の前記第1加熱器から気相の作動流体を当該組の前記容器に移動させ、当該組に対応する前記第2送液部を動作させることにより当該組の前記容器から当該組の前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2運転状態と、を前記複数の組ごとに繰り返すことを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、動力回収装置は蒸発器、膨張機、凝縮器、一の容器及び第1加熱器の組、蒸発器の順に接続される。また、凝縮器の下流で分岐して他の容器及び第1加熱器の組が接続され、蒸発器の上流で容器及び第1加熱器の複数の組が合流する。容器及び第1加熱器の複数の組各々について、対応する第2送液部、開閉弁、第1逆止弁、及び第2逆止弁を備える。そして、第1運転状態と第2運転状態とを複数の組ごとに繰り返すことにより、膨張機から蒸発器に作動流体が送液される。蒸発器で生成された高圧蒸気の作動流体は膨張機で膨張され、膨張機が有する例えばタービンを回転させることで動力を回収する。したがって、第1送液部の動作にかかる負荷を小さくしながら第1送液部を連続的に動作させることができる。これにより、第1送液部の始動時に比較的大きな負荷が発生することが回避され、また膨張機の回転速度の変動も小さくなる。
【0015】
また、上記構成の動力回収装置において、前記第2送液部は、前記容器を前記第1加熱器より上方に配置させる配管と、前記容器の下部から前記第1加熱器に向かう方向に作動流体を流通させる第3逆止弁と、を備え、重力の作用により前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液することを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、例えば第2送液部としてのポンプの利用を回避でき、動力回収効率の向上を図りながら動力回収装置の構成が簡略化する。
【0017】
また、上記構成の動力回収装置において、前記第1送液部と前記容器との間の作動流体を加熱する、または前記容器内の作動流体を加熱する第2加熱器を備えることを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、開閉弁を開放したときの容器と第1の加熱器との圧力差が小さくなるので、容器の下部から第1の加熱器への送液が容易になる。したがって、例えばポンプのように積極的に送液する装置を用いることなく第2送液部の構成が簡略化する。
【0019】
また、上記構成の動力回収装置において、前記第2加熱器は、前記膨張機から流出した作動流体と前記第1送液部から流出した作動流体との間で熱交換することを特徴としている。この構成によれば、動力回収装置で消費する熱量がより少なくなる。
【0020】
また、上記構成の動力回収装置において、前記複数の組各々に対応する前記第2逆止弁の開閉を検知する検知部を備えるとともに、前記検知部が対応する組の前記第2逆止弁の開放を検知したとき、他の組の前記開閉弁を開放することを特徴としている。この構成によれば、開閉弁の開閉の切り替えがスムーズに行われるので、容器及び第1加熱部の組を複数備える動力回収装置を安定して運転させることができる。
【0021】
また、本発明の動力回収方法は、動力回収後に送液される作動流体を容器に貯留し、
貯留した作動流体を加熱器に送液して加熱し、その加熱した作動流体を蒸発器でさらに加熱して高圧蒸気の作動流体を生成し、高圧蒸気の作動流体を膨張させることにより動力を回収する動力回収方法であって、前記容器と前記加熱器との間で気相の作動流体の流通を阻止して動力回収後の作動流体を前記容器へ送液しながら前記容器内の気相の作動流体を液化させ、前記容器から前記加熱器へ作動流体の送液を停止させて前記加熱器で作動流体を加熱することにより前記加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1工程と、動力回収後の作動流体の前記容器への送液を停止させて気相の作動流体を前記第1加熱器から前記容器に移動させ、前記容器から前記加熱器へ作動流体を送液する第2工程と、を繰り返すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成によれば、作動流体の送液部の駆動にかかる負荷が比較的小さくなるので、送液部の消費電力が比較的少なくなる。したがって、作動流体の送液部に必要な電力、すなわち動力をできるだけ抑制しながら作動流体の十分な送液量を確保することができ、動力回収効率の向上が図られた動力回収装置及び動力回収方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図である。
【図2】第1の実施形態に係る動力回収装置に対する比較例の蒸発器及び凝縮器の圧力の推移を示すグラフである。
【図3】第1の実施形態に係る動力回収装置に対する比較例の送液ポンプの消費電力の推移を示すグラフである。
【図4】第1の実施形態に係る動力回収装置の運転状態を示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る動力回収装置の蒸発器、凝縮器、容器及び加熱器の圧力の推移を示すグラフである。
【図6】第1の実施形態に係る動力回収装置の第1送液ポンプ及び第2送液ポンプの消費電力の推移を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図である。
【図9】第3の実施形態に係る動力回収装置の開閉弁の開閉制御に係る動作を示すフローチャートである。
【図10】従来の動力回収装置を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づき説明する。
【0025】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る動力回収装置について、図1〜図6を用いて説明する。図1は第1の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図である。図2は動力回収装置に対する比較例の蒸発器及び凝縮器の圧力の推移を示すグラフ、図3は動力回収装置に対する比較例の送液ポンプの消費電力の推移を示すグラフである。図4は第1の実施形態に係る動力回収装置の運転状態を示すタイミングチャート、図5は動力回収装置の蒸発器、凝縮器、容器及び加熱器の圧力の推移を示すグラフ、図6は動力回収装置の第1送液ポンプ及び第2送液ポンプの消費電力の推移を示すグラフである。なお、説明の便宜上、前述の図10を用いて説明した従来の動力回収装置と同様の構成要素には前と同じ符号を付している。
【0026】
動力回収装置1は、図1に示すように蒸発器11、膨張機12、凝縮器14、容器15、第1加熱器である加熱器16、蒸発器11の順に配管で接続され、R134a等の作動流体が封入されている。
【0027】
蒸発器11は作動流体を排熱や太陽熱等の熱源によって加熱し、作動流体を蒸発させて高温高圧の蒸気の作動流体を生成する。膨張機12は発電機13が接続された例えばタービンを備え、高圧蒸気の作動流体を膨張させる。作動流体が減圧膨張される際にタービンは作動流体からの力を受けて回転し、発電機13によって電力を発生させる。凝縮器14は膨張した蒸気の作動流体を地下水や外気等との熱交換によって液化する。容器15は作動流体をその内部に貯留するためのものである。加熱器16は作動流体を排熱や太陽熱等の熱源によって加熱する。
【0028】
凝縮器14の下流であって容器15との間には第1送液部である第1送液ポンプ17が備えられている。第1送液ポンプ17は凝縮器14側から容器15の下部に接続された配管31内を流通させて作動流体を凝縮器14から容器15へ送液する。配管31には配管31から分岐する配管32が接続されている。配管32の先は加熱器16の下部から蒸発器11に向かって延びる配管33に接続されている。配管32には第2送液部である第2送液ポンプ18が備えられている。第2送液ポンプ18は配管31、配管32、及び配管33内を流通させて作動流体を容器15の下部から加熱器16へ送液する。
【0029】
第1送液ポンプ17は図示しない制御装置からの指令により駆動し、凝縮器14で液化された作動流体を容器15に送液する。第1送液ポンプ17の駆動を停止したときに凝縮器14側より容器15側の作動流体の圧力が高くても、第1送液ポンプ17は逆方向に作動流体が流れない構造になっている。第2送液ポンプ18は制御装置からの指令により駆動し、容器15内の作動流体を加熱器16に送液する。第2送液ポンプ18の駆動を停止したときに容器15側より加熱器16側の作動流体の圧力が高くても、第2送液ポンプ18は逆方向に作動流体が流れない構造になっている。
【0030】
そして、加熱器16の上部から気液分離器19、開閉弁20、容器15の上部の順に配管で接続されている。気液分離器19は加熱器16で加熱された作動流体の気相と液相とを分離する。開閉弁20は制御装置からの指令により駆動し、容器15の上部と加熱器16の上部との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する。
【0031】
また、蒸発器11の上流には第1逆止弁である逆止弁21が配置されている。逆止弁21は一方向、すなわち加熱器16側から蒸発器11に流入する方向に作動流体を流通させる。また、第1送液ポンプ17の下流には逆止弁22が備えられている。逆止弁22は一方向、すなわち第1送液ポンプ17側から容器15に流入する方向に作動流体を流通させる。
【0032】
ここで、上記構成の本発明の動力回収装置1に対する比較例として図10に示す従来の動力回収装置の運転状態について説明する。比較例としての従来の動力回収装置は、例えば蒸発器11、膨張機12、凝縮器14、送液ポンプ17、蒸発器11の順に接続され、容器15や加熱器16が設けられていない。この比較例の動力回収装置の場合、例えば図2に示すように0.5MPaの圧力の凝縮器14から2.4MPaの圧力の蒸発器11まで送液ポンプ17を常時連続駆動させて作動流体を送液することになる。これにより、図3に示すように比較例の送液ポンプ17の消費電力は128Wとなる。
【0033】
これに対して、図1に示す本発明の動力回収装置1では、図4〜図6に示すように作動流体の送液のために第1運転状態(第1工程)と第2運転状態(第2工程)とを繰り返す動力回収方法が実行される。なおここでは、第1運転状態と第2運転状態とを例えば10秒程度ごとの時間間隔で切り替えて繰り返すようにしている。
【0034】
第1運転状態では、図4に示すように開閉弁20を閉鎖して第1送液ポンプ17を動作させ、第2送液ポンプ18の動作を停止させる。このとき、蒸発器11、凝縮器14、容器15、及び加熱器16では図5に示すように圧力が推移する。
【0035】
第1運転状態では開閉弁20を閉鎖することによって容器15と加熱器16との間で気相の作動流体の流通が阻止され、凝縮器14で液化された作動流体が第1送液ポンプ17により昇圧されて容器15に送液される。容器15内の作動流体は気液二相状態にあり、温度に応じた圧力によって液化する。この液化とともに容器15内の圧力は低下し、さらに図6に示すように第1送液ポンプ17の消費電力も低下する。図2及び図3を用いて説明した前述の比較例に対して、第1送液ポンプ17は平均するとより小さな圧力差において駆動させているので、消費電力が少なくなる。
【0036】
一方、加熱器16内の作動流体は加熱器16によって加熱されて圧力が上昇する。開閉弁20を閉鎖して第2送液ポンプ18を停止させているので、加熱器16内の圧力が蒸発器11内の圧力より高くなるとその圧力差により作動流体は加熱器16から逆止弁21を通過して蒸発器11まで移動する。このとき、加熱器16内の作動流体はいくらか気化するが、液状態の作動流体が加熱器16から蒸発器11に移動するのでその質量は大きい。
【0037】
次に、第2運転状態では、図4に示すように開閉弁20を開放して第1送液ポンプ17の動作を停止させ、第2送液ポンプ18を動作させる。このとき、蒸発器11、凝縮器14、容器15、及び加熱器16では図5に示すように圧力が推移する。
【0038】
第2運転状態では容器15内に貯留された作動流体が第2送液ポンプ18により加熱器16に送液される。また、開閉弁20を開放することにより加熱器16から気液分離器19を介して気相の作動流体が容器15に移動する。これにより、容器15内の圧力が上昇するとともに加熱器16内の圧力が低下し、容器15と加熱器16との圧力差が小さくなる。したがって、第2送液ポンプ18の駆動にかかる負荷は小さくなり、図6に示すように第2送液ポンプ18の消費電力も少なくなる。
【0039】
上記構成の動力回収装置1において第1運転状態と第2運転状態とを繰り返すことにより、膨張機12から蒸発器11に作動流体が送液される。蒸発器11で生成された高圧蒸気の作動流体は膨張機12で膨張され、膨張機12が有するタービンを回転させることにより発電機13で発電させて動力を回収する。
【0040】
本発明の実施形態の構成によれば、第1送液ポンプ17及び第2送液ポンプ18の駆動にかかる負荷が比較的小さくなるので、第1送液ポンプ17及び第2送液ポンプ18の消費電力が比較的少なくなる。図6に示す第1送液ポンプ17及び第2送液ポンプ18の消費電力は合計して平均すると49Wとなり、図3に示した比較例の送液ポンプ17の消費電力128Wと比較して一層低減されている。したがって、第1送液ポンプ17及び第2送液ポンプ18に必要な電力、すなわち動力をできるだけ抑制しながら作動流体の十分な送液量を確保することができ、動力回収効率の向上が図られた動力回収装置1及びその動力回収方法を提供することが可能である。
【0041】
なお、第1運転状態と第2運転状態との切り替えのタイミングは上記のように予め設定した時間間隔で切り替えるほか、例えば容器15内の作動流体の液量に基づいて切り替えても良い。この場合、容器15内の作動流体の液量を検知する液量センサを設け、その液量が一定値以上になれば第1運転状態から第2運転状態に切り替え、液量が一定値以下になれば第2運転状態から第1運転状態に切り替えるようにする方法が望ましい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る動力回収装置について、図7を用いて説明する。図7は第2の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図である。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図6を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
【0043】
第2の実施形態に係る動力回収装置1は、図7に示すように膨張機12の下流及び第1送液ポンプ17の下流に第2加熱器である熱交換器40を備えている。熱交換器40は膨張機12から流出した作動流体と第1送液ポンプ17から流出した作動流体との間で熱交換させることにより、第1送液ポンプ17から流出した作動流体を加熱する。
【0044】
第1送液ポンプ17側の熱交換器40の下流には第2逆止弁である逆止弁22が備えられている。逆止弁22は一方向、すなわち第1送液ポンプ17側から容器15に流入する方向に作動流体を流通させる。
【0045】
そして、容器15の下部には第1送液ポンプ17及び熱交換器40側から延びる配管34が接続されている。配管34は上方に向かって比較的長く延び、容器15を加熱器16より上方に配置させている。容器15の下方の配管34から分岐する配管32には第3逆止弁である逆止弁23が備えられている。逆止弁23は一方向、すなわち容器15の下部から加熱器16に流入する方向に作動流体を流通させる。第2の実施形態に係る動力回収装置1には、このような配管34と逆止弁23とを構成要素として容器15の下部から加熱器16へ作動流体を送液する第2送液部24が備えられている。
【0046】
上記構成の本発明の動力回収装置1では作動流体の送液のために第1運転状態と第2運転状態とが繰り返される。第1運転状態では開閉弁20を閉鎖して第1送液ポンプ17を駆動させ、第2送液部24の動作を停止させる。次に、第2運転状態では開閉弁20を開放して第1送液ポンプ17の動作を停止させ、第2送液部24を動作させる。
【0047】
第2運転状態では開閉弁20を開放することによる重力の作用で容器15内に貯留された作動流体が、配管34と逆止弁23が配置された配管32とを流通して加熱器16に移動する。第2運転状態ではこのように第2送液部24が動作し、重力の作用により容器15の下部から加熱器16へ作動流体を送液する。これにより、第2送液部24としての送液ポンプの利用を回避できて送液ポンプが第1送液ポンプ17一個のみで済むので、動力回収効率の向上を図りながら動力回収装置1の構成を簡略化することができる。
【0048】
また、第1送液ポンプ17から流出した作動流体を加熱する熱交換器40を設けることにより開閉弁20を開放したときの容器15と加熱器16との圧力差が小さくなるので、容器15の下部から加熱器16への送液が容易になる。したがって、ポンプのように積極的に送液する装置を用いることなく第2送液部24の構成を簡略化することができる。
【0049】
さらに、熱交換器40は膨張機12から流出した作動流体と第1送液ポンプ17から流出した作動流体との間で熱交換することにより第1送液ポンプ17から流出した作動流体を加熱するので、動力回収装置1で消費する熱量をより少なくすることができる。これにより、動力回収効率が一層高められた動力回収装置1を提供することが可能である。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態に係る動力回収装置について、図8及び図9を用いて説明する。図8は第3の実施形態に係る動力回収装置を示す系統図、図9は第3の実施形態に係る動力回収装置の開閉弁の開閉制御に係る動作を示すフローチャートである。なお、この実施形態の基本的な構成は図1〜図6及び図7を用いて説明した前記第1及び第2の実施形態と同じであるので、これらの実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、図面の記載及びその説明を省略するものとする。
【0051】
第3の実施形態に係る動力回収装置1は、図8に示すように蒸発器11、膨張機12、凝縮器14、一の容器15a及び加熱器16aの組、蒸発器11の順に配管で接続されている。また、凝縮器14及び熱交換器40の下流で分岐して他の容器15b及び加熱器16bの組が接続され、蒸発器11の上流で容器15及び加熱器16の2組が合流している。
【0052】
容器15及び加熱器16の2組各々について、対応する第2送液部24a、24b、気液分離器19a、19b、開閉弁20a、20b、第1逆止弁である逆止弁21a、21b、及び第2逆止弁である逆止弁22a、22bを備えている。また、逆止弁22a、22bにはその開閉を検知する検知部25a、25bが各々備えられている。なお、本説明において特に限定する必要がある場合を除き、容器15及び加熱器16の2組各々の構成要素に用いられる「a」、「b」の識別記号は記載を省略する場合がある。
【0053】
上記構成の本発明の動力回収装置1では作動流体の送液のために第1運転状態と第2運転状態とが容器15及び加熱器16の組ごとに交互に繰り返される。第1運転状態では第1送液ポンプ17を駆動させながら、容器15及び加熱器16の2組各々に対応する開閉弁20を閉鎖して当該組に対応する第2送液部24の動作を停止させる。次に、第2運転状態では第1送液ポンプ17を駆動させながら、容器15及び加熱器16の2組各々に対応する開閉弁20を開放して当該組に対応する第2送液部24を動作させる。
【0054】
続いて、動力回収装置1における作動流体の送液に係る動作について、図9に示した開閉弁20の開閉制御に係る動作フローに沿って説明する。
【0055】
動力回収装置1は運転を開始すると(図9のスタート)まず、容器15a及び加熱器16aの組を第1運転状態にさせ、容器15b及び加熱器16bの組を第2運転状態にさせる。このため、制御装置は開閉弁20aを閉鎖させ(図9のステップ#101)、開閉弁20bを開放させる(ステップ#102)。これにより、容器15aの圧力が容器15bの圧力より低下するので、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22aを通過して容器15aに送液される。
【0056】
一方、開閉弁20bを開放することによる重力の作用で、容器15b内に貯留された作動流体が逆止弁23bを通過して加熱器16bに移動する。また、加熱器16a内の作動流体は加熱器16aによって加熱され、加熱器16a内の圧力が蒸発器11内の圧力より高くなるとその圧力差により加熱器16aから逆止弁21aを通過して蒸発器11まで移動する。
【0057】
開閉弁20bを開放してから一定時間が経過すると(ステップ#103のYes)、制御装置は開閉弁20bを閉鎖させる(ステップ#104)。開閉弁20bを閉鎖しても、容器15a内の温度は容器15b内の温度より低い。これにより、容器15a内に気相の作動流体が残留している状態において、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22aを通過して容器15aに送液され続ける。
【0058】
容器15a内の気相の作動流体がなくなると、容器15a内の圧力が上昇して容器15b内の圧力と等しくなる。これにより、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22bを通過して容器15bにも送液されるようになる。容器15bに向かう作動流体が逆止弁22bを通過することにより逆止弁22bが開放されたことを検知部25bが検知すると(ステップ#105のYes)、制御装置は開閉弁20aを開放する(ステップ#106)。
【0059】
ここで、容器15a及び加熱器16aの組が第2運転状態になり、容器15b及び加熱器16bの組は第1運転状態になる。すなわち、開閉弁20aは開放され、開閉弁20bは閉鎖されている。これにより、容器15bの圧力が容器15aの圧力より低下するので、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22bを通過して容器15bに送液される。
【0060】
一方、開閉弁20aを開放することによる重力の作用で、容器15a内に貯留された作動流体が逆止弁23aを通過して加熱器16aに移動する。また、加熱器16b内の作動流体は加熱器16bによって加熱され、加熱器16b内の圧力が蒸発器11内の圧力より高くなるとその圧力差により加熱器16bから逆止弁21bを通過して蒸発器11まで移動する。
【0061】
開閉弁20aを開放してから一定時間が経過すると(ステップ#107のYes)、制御装置は開閉弁20aを閉鎖させる(ステップ#108)。開閉弁20aを閉鎖しても、容器15b内の温度は容器15a内の温度より低い。これにより、容器15b内に気相の作動流体が残留している状態において、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22bを通過して容器15bに送液され続ける。
【0062】
容器15b内の気相の作動流体がなくなると、容器15b内の圧力が上昇して容器15a内の圧力と等しくなる。これにより、第1送液ポンプ17により昇圧された作動流体は熱交換器40で加熱され、逆止弁22aを通過して容器15aにも送液されるようになる。容器15aに向かう作動流体が逆止弁22aを通過することにより逆止弁22aが開放されたことを検知部25aが検知すると(ステップ#109のYes)、制御装置は開閉弁20bを開放する(ステップ#102)。
【0063】
ここで図9のステップ#102に戻り、再び容器15a及び加熱器16aの組が第1運転状態になり、容器15b及び加熱器16bの組は第2運転状態になる。このようにして、動力回収装置1において第1運転状態と第2運転状態とを容器15及び加熱器16の組ごとに交互に繰り返すことにより、膨張機12から蒸発器11に作動流体が送液される。蒸発器11で生成された高圧蒸気の作動流体は膨張機12で膨張され、膨張機12が有するタービンを回転させることにより発電機13で発電させて動力を回収する。
【0064】
本発明の実施形態の構成によれば、第2の実施形態同様、第2送液部24としての送液ポンプの利用を回避できて送液ポンプが第1送液ポンプ17一個のみで済むので、動力回収効率の向上を図りながら動力回収装置1の構成を簡略化することができる。
【0065】
さらに、第1送液ポンプ17の動作にかかる負荷を小さくしながら第1送液ポンプ17を連続的に動作させることができる。これにより、第1送液ポンプ17の始動時に比較的大きな負荷が発生することが回避できる。また、加熱器16a、16bから蒸発器11に交互に作動流体が移動されるので、蒸発器11における圧力変動が低下する。これにより、膨張機12の回転速度の変動、すなわち発電機13で発生させる電圧変動を小さくすることが可能である。これらの結果、発電効率が向上するので、動力回収装置1の動力回収効率も高められる。
【0066】
また、検知部25が対応する容器15及び加熱部16の組の逆止弁22の開放を検知したとき、動力回収装置1は他方の組の開閉弁20を開放するので、開閉弁20の開閉の切り替えがスムーズに行われる。これにより、容器15及び加熱部16の組を2組備える動力回収装置1を安定して運転させることができる。
【0067】
なお、閉鎖している開閉弁20を開放するタイミングは上記のように検知部25による逆止弁22の開放検知で切り替えるほか、予め設定した時間間隔で切り替えても良い。この場合、予め動力回収装置1の動作試験を実施するなどして切り替えの時間間隔を設定することが望ましい。動力回収装置1の運転に安定性を期待するのであれば、上記のように検知部25を利用した切り替えが望ましい。
【0068】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0069】
例えば、上記第3の実施形態では動力回収装置1が容器15及び加熱部16の組を2組備えることとしたが、容器15及び加熱部16の組は2組に限定されるわけではなく、3組以上備えることにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、排熱等を回収して動力を発生させる動力回収装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 動力回収装置
11 蒸発器
12 膨張機
13 発電機
14 凝縮器
15、15a、15b 容器
16、16a、16b 加熱器(第1加熱器)
17 第1送液ポンプ(第1送液部)
18 第2送液ポンプ(第2送液部)
20、20a、20b 開閉弁
21、21a、21b 逆止弁(第1逆止弁)
22、22a、22b 逆止弁(第2逆止弁)
23、23a、23b 逆止弁(第3逆止弁)
24 第2送液部
25a、25b 検知部
34 配管
40 熱交換器(第2加熱器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源により作動流体を加熱して高圧蒸気の作動流体を生成する蒸発器と、
前記蒸発器の送液方向下流に配置されて作動流体を膨張させる膨張機と、
前記膨張機の送液方向下流に配置されて作動流体を凝縮させる凝縮器と、
前記蒸発器の送液方向上流に配置されて作動流体を加熱する第1加熱器と、
前記凝縮器の送液方向下流且つ前記第1加熱器の送液方向上流に配置されて作動流体を貯留する容器と、
前記凝縮器から前記容器へ作動流体を送液する第1送液部と、
前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2送液部と、
前記容器の上部と前記第1加熱器との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する開閉弁と、
前記蒸発器の送液方向上流に配置されて前記蒸発器に流入する方向に作動流体を流通させる第1逆止弁と、
を備えるとともに、
前記開閉弁を閉鎖して前記第1送液部を動作させることにより前記凝縮器から前記容器へ作動流体を送液しながら前記容器内の気相の作動流体を液化させ、前記第2送液部の動作を停止させて前記第1加熱器で作動流体を加熱することにより前記第1加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1運転状態と、
前記第1送液部の動作を停止させて前記開閉弁を開放することにより前記第1加熱器から気相の作動流体を前記容器に移動させ、前記第2送液部を動作させることにより前記容器から前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2運転状態と、
を繰り返すことを特徴とする動力回収装置。
【請求項2】
熱源により作動流体を加熱して高圧蒸気の作動流体を生成する蒸発器と、
前記蒸発器の送液方向下流に配置されて作動流体を膨張させる膨張機と、
前記膨張機の送液方向下流に配置されて作動流体を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器の送液方向下流且つ前記蒸発器の送液方向上流に並列にして配置された作動流体を貯留する容器及び前記容器の送液方向下流に配置されて作動流体を加熱する第1加熱器の複数の組と、
前記凝縮器から前記複数の組各々の前記容器へ作動流体を送液する第1送液部と、
前記複数の組各々の前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液する複数の第2送液部と、
前記複数の組各々の前記容器の上部と前記第1加熱器との間の気相の作動流体の流通経路を開閉する複数の開閉弁と、
前記複数の組各々の前記第1加熱器側から前記蒸発器に向かう方向に作動流体を流通させる複数の第1逆止弁と、
前記凝縮器側から前記複数の組各々の前記容器に向かう方向に作動流体を流通させる複数の第2逆止弁と、
を備えるとともに、
前記第1送液部を動作させながら前記複数の組各々に対応する前記開閉弁を閉鎖することにより前記凝縮器から当該組の前記容器へ作動流体を送液させ、当該組に対応する前記第2送液部の動作を停止させて当該組の前記第1加熱器で作動流体を加熱することにより当該組の前記第1加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1運転状態と、
前記第1送液部を動作させながら前記複数の組各々に対応する前記開閉弁を開放することにより当該組の前記第1加熱器から気相の作動流体を当該組の前記容器に移動させ、当該組に対応する前記第2送液部を動作させることにより当該組の前記容器から当該組の前記第1加熱器へ作動流体を送液する第2運転状態と、
を前記複数の組ごとに繰り返すことを特徴とする動力回収装置。
【請求項3】
前記第2送液部は、
前記容器を前記第1加熱器より上方に配置させる配管と、
前記容器の下部から前記第1加熱器に向かう方向に作動流体を流通させる第3逆止弁と、
を備え、重力の作用により前記容器の下部から前記第1加熱器へ作動流体を送液することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力回収装置。
【請求項4】
前記第1送液部と前記容器との間の作動流体を加熱する、または前記容器内の作動流体を加熱する第2加熱器を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の動力回収装置。
【請求項5】
前記第2加熱器は、前記膨張機から流出した作動流体と前記第1送液部から流出した作動流体との間で熱交換することを特徴とする請求項4に記載の動力回収装置。
【請求項6】
前記複数の組各々に対応する前記第2逆止弁の開閉を検知する検知部を備えるとともに、前記検知部が対応する組の前記第2逆止弁の開放を検知したとき、他の組の前記開閉弁を開放することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の動力回収装置。
【請求項7】
動力回収後に送液される作動流体を容器に貯留し、
貯留した作動流体を加熱器に送液して加熱し、
その加熱した作動流体を蒸発器でさらに加熱して高圧蒸気の作動流体を生成し、
高圧蒸気の作動流体を膨張させることにより動力を回収する動力回収方法であって、
前記容器と前記加熱器との間で気相の作動流体の流通を阻止して動力回収後の作動流体を前記容器へ送液しながら前記容器内の気相の作動流体を液化させ、前記容器から前記加熱器へ作動流体の送液を停止させて前記加熱器で作動流体を加熱することにより前記加熱器から前記蒸発器へ作動流体を移動させる第1工程と、
動力回収後の作動流体の前記容器への送液を停止させて気相の作動流体を前記第1加熱器から前記容器に移動させ、前記容器から前記加熱器へ作動流体を送液する第2工程と、
を繰り返すことを特徴とする動力回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−102643(P2012−102643A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250487(P2010−250487)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】