説明

動力発生ユニットの防音装置

【課題】 冷却効率を向上させ、十分に遮音できるようにする。
【解決手段】 遮音されたラジエータ室7にラジエータ9を設置し、遮音されたエンジン室8にエンジン11、油圧ポンプ12を設置し、ラジエータ9の流出側面9Aに取付けたダクト9をエンジン室8内に突出して油圧ポンプ12、エンジン11と対向させ、このダクト9に送風装置20を取付けてラジエータ9を流通した空気が油圧ポンプ12、エンジン11に吹きつれられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械、産業車両などのエンジン、このエンジンで駆動される油圧ポンプ、発電機、コンプレッサ等の動力発生機器より成る動力発生ユニットの騒音が周囲に伝播しないようにする防音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建設機械のエンジン等を防音する装置としては、例えば特開平2−245425号公報に示す防音装置が知られている。この防音装置は図21に示すように防音遮蔽室100を隔壁101によりエンジン室102とラジエータ室103に区画し、エンジン室102にエンジン104と油圧ポンプ105を設置し、ラジエータ室103にラジエータ106と冷却ファンを設置し、冷却ファンによりエンジン室102を通して空気を吸い込んでラジエータ106に送風する構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した防音装置は、冷却ファンでエンジン室を通して空気を吸込み、ラジエータ室を通してラジエータに送風するので、その吸込みされた空気がエンジン室、ラジエータ室で拡散し効率良くラジエータに送風できないから冷却効率が悪い。また遮音室を油圧ショベルのボンネットやフレームケースを用いて構成しているため隙間が生じたり、吸音材等の防音部材を設置できない部分があり十分な遮音ができない。
【0004】そこで、本発明は冷却効率を向上させることにより十分な遮音ができるようにした動力発生ユニットの防音装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】第1の発明は、防音壁で囲まれ空気取付口10を有するラジエータ室7にラジエータ9を設置し、防音壁で囲まれ空気排出口14を有するエンジン室8にエンジン11と、このエンジン11で駆動される動力発生機器を設置し、上記ラジエータ9に接続したダクト15をエンジン室8内に突出し、このダクト15に送風装置20を内蔵した構成になっている。
【0006】第1の発明によれば、送風装置20を駆動することで空気取入口10、ラジエータ9、ダクト15を通して空気が吸い込まれ、その吸い込まれた空気がエンジン室8に吐出し、エンジン室8の空気排出口14から排出される。これにより、ラジエータ9を通った空気はダクト15を経て送風装置20で吸い込まれるので、送風装置20で空気が効率良く吸い込まれる。またラジエータ9に多量の空気が流通し冷却効率が向上される。更にエンジン室8を空気排出口14以外を密閉してエンジン11、動力発生機器、送風装置の駆動音が周囲に伝播することを少なくすることで十分に遮音できる。このとき、ラジエータ室7とエンジン室8は別個の室でもよいが、一体としてあるものがより望ましい。
【0007】第2の発明は、第1の発明において、送風装置20は、送風機22とこの送風機22を駆動する駆動源とでなる動力発生ユニットの防音装置である。
【0008】第2の発明によれば、送風装置20の駆動源をも室内に設置したことにより、送風装置20の駆動音がダクト15で遮音されるので、遮音効果が向上する。
【0009】第3の発明は、第1第2の発明のいずれかの発明において、エンジン室8内に突出したダクト15の空気吐出部15Bをエンジン11、動力発生機器と対向した動力発生ユニットの防音装置である。
【0010】第3の発明によれば、ダクト15を流通した空気がエンジン11、動力発生機器の両方に吹きつけられるので、ラジエータ9を冷却した空気によってエンジン11、動力発生機器の双方を冷却できる。
【0011】第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかの発明において、ダクト15の内周面及びまたは外周面に防音材50を取付けた動力発生ユニットの防音装置である。
【0012】第4の発明によれば、ダクト15内の音が防音材50で遮音されるので、遮音効果がより一層向上する。
【0013】第5の発明は、第1から第4の発明のいずれかの発明において、ダクト15内に、整流格子51及びまたは静翼52を取付けた動力発生ユニットの防音装置である。
【0014】第5の発明によれば、ダクト15内に吸い込まれた乱流状態の空気が整流格子51により層流になり、及びまたは静翼52によりファン29の背圧となることなく送風装置20に流入するから、送風装置20の送風能力が向上し、ラジエータ9の冷却効果がより向上する。なお上記静翼52は送風機22のファン29の上,下流側のどちら側に取付けてもよい。
【0015】第6の発明は、第1から第5の発明のいずれかの発明において、送風装置20のファン29を円筒状に覆うシュラウド28を駆動源の本体24に、駆動源の回転軸39Aと同心状に固着した動力発生ユニットの防音装置である。
【0016】第6の発明によれば、シュラウド28の駆動源の回転軸39Aに対する芯出しが容易となるので、ファン29の先端とシュラウド28の間に形成されるチップクリアランスの最小化を図ることができる。チップクリアランスを小さくすると、空気の運動エネルギーがファン29の円周部であるクリアランス部で円周方向に向かわなくなる。つまり風は全て軸方向へ流れて、ファン軸方向へ風がエネルギー損失なく流れるので、送風装置20として送風効率を向上することができる。
【0017】第7の発明は、第1から第6の発明のいずれかの発明において、送風装置20のファン29を覆うシュラウド28の軸方向に少なくとも一方側に、シュラウド28をダクト15に接続するためのフランジ56,57を設けた動力発生ユニットの防音装置である。
【0018】第7の発明によれば、フランジ56,57を設けたことでダクト15に対する送風装置20の着脱が容易となる。またダクト15に対して送風装置20をユニット化することができるので、各室に対して専用でなくてよくなり、異なる大きさの室にも共通で用いることができる。
【0019】第8の発明は、第1から第7の発明のいずれかの発明において、送風装置20の駆動源である油圧モータ23の圧油通路を油圧モータ23を支持する本体24のリブ26に沿わせると共に、この圧油通路に接続するバルブユニット部材67等の配管機器をシュラウド28の外側に配置した動力発生ユニットの防音装置である。
【0020】第8の発明によれば、油圧モータ20に至る圧油通路と、この圧油通路に接続するバルブユニット部材67が送風装置20の送風路を横切ることがない。従ってこれらの部材が送風装置20の送風の邪魔になることがない。またバルブユニット部材67が送風装置20に小さな場積でもって装着することができて送風装置20のユニット化を図ることができると共に、更に場積の最小化を図ることができる。
【0021】第9の発明は、第1から第8の発明のいずれかの発明において、送風装置20のファン29を駆動する駆動源の駆動部をファン29のファンボス41の内側に配置した動力発生ユニットの防音装置である。
【0022】第9の発明によれば、送風装置20を軸方向に小さくできるので、送風装置20の場積を小さくすることができる。
【0023】第10の発明は、第1から第9の発明のいずれかの発明において、送風装置20は、送風機22のファン29の回転軸39の一端部に駆動源の回転軸39Aを連結し、この駆動源と送風機22のファン29の回転軸39の他端部とを本体21,64に支持し、ファン29の回転軸39を両持ち状に支持した動力発生ユニットの防音装置である。
【0024】第10の発明によれば、送風装置20の回転軸が両持ち状に支持されるので、この送風装置20の駆動部の剛性を向上でき、軸心のぶれを防止できる。また送風装置20のスピナー55を駆動部の送風方向上流側の固定された支持部に取り付けることができるので、送風機22の回転するファン29の先端に取付ける場合に比べて、このスピナー55の取り付けを容易に行うことができる。なおこの発明における駆動源としては油圧モータ23に限るものではなく、他の駆動源、例えば電動モータでもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】図1に示すように、防音材を用いて構成する上防音壁1、下防音壁2、対向した一対の第1縦防音壁3、対向した一対の第2縦防音壁4によって密閉された箱状の防音室5を形成する。この防音室5は防音材を用いて構成する仕切り防音壁6で小さなラジエータ室7と大きなエンジン室8に区画してある。両室7,8は防音材で構成されて防音されている。上記防音材はグラスウール、防振ゴム板、ヘルムホルツ共鳴器等一般に用いられるものを用いる。
【0026】上記ラジエータ室7にはラジエータ9が設置してある。このラジエータ室7を形成する防音壁、例えば一方の第1縦防音壁3に空気取入口10が形成してある。上記エンジン室8にはエンジン11と、このエンジン11で駆動される動力発生機器、例えば油圧ポンプ12と、送風機用油圧ポンプ13とが設置してある。このエンジン室8を形成する防音壁、例えば上防音壁1には空気排出口14が形成してある。動力発生機器は発電機、コンプレッサなどでもよい。
【0027】上記ラジエータ9の空気流出側面9Aにダクト15の一端開口部15Aが取付けてある。このダクト15は仕切り防音壁6の孔6Aを通してラジエータ室7からエンジン室8内に突出している。他端開口部はエンジン室8へ空気を吐出する空気吐出部15Bであり、エンジン11、油圧ポンプ12、送風機用油圧ポンプ13と対向している。
【0028】上記ダクト15のエンジン室8内の部分の長手方向中間部に送風装置20が取付けられている。ダクト15はこの送風装置20にて第1ダクトケース15−1と第2ダクトケース15−2に分けられている。この送風装置20は本体21と送風機22と駆動源、例えば油圧モータ23を備えている。図2,図3に示すように上記本体21は円板状の内側プレート24とリング状の外側プレート25とが放射状の複数のリブ26で一体的に連結した構成となっている。
【0029】上記送風機22は円筒状のシュラウド28内に、このシュラウド28に覆われるファン29が設けてある。図4に示すように、シュラウド28の軸心部には複数のリブ32を介して取付板31が連結してある。
【0030】図2に示すように、上記油圧モータ23はハウジング36に一対の歯車37,37′を回転自在に設けた歯車式モータで、その一対の歯車37,37′の噛合部に上記送風機用油圧ポンプ13の吐出圧油を配管44を通して供給することで回転する。このときの戻り油は配管45を通ってタンクに戻される。上記ハウジング36は本体21の内側プレート24の中心部分に取付けてある。内側プレート24のボス部38にファン29の回転軸39が回転自在に支承され、この回転軸39が前記油圧モータ23の一方の歯車37′に連結してある。
【0031】上記シュラウド28の取付板31は本体21の内側プレート24に、上記回転軸39の軸心と同心状に設けた段状部24Aに密に嵌合して回転軸39と同心状に支持され、ボルト40で取付けてある。また、本体21のリブ26とシュラウド28のリブ32が円周方向に同一位置になっている。上記ファン29のファンボス41は回転軸39に取付けてあり、油圧モータ23により回転軸39が回転することによりファン29が回転するようになっている。
【0032】この構成では、シュラウド28の取付板31は本体21の内側プレート24に回転軸39と同心状に取付けられるので、シュラウド28の内面とファン29の外径との間の隙間であるチップクリアランスtが少なくてもファン29の外周がシュラウド28の内面に接触する虞れがない。これにより上記チップクリアランスを小さくできる。
【0033】送風機22はシュラウド28の内面とファン29の外径との間の隙間であるチップクリアランスtが大きいと円周方向へのエネルギー損失が大きくなり送風効率が低下する。しかし上記した構成では、チップクリアランスtを小さくできるので、円周方向へのエネルギー損失が小さくなって送風機22の送風効率を向上することができる。
【0034】上記ファン29のファンボス41は上記油圧モータ23と反対側に筒状に突出させた形状としている。上記本体21のボス部38は軸受やシール部材を備え、ファンボス41に内蔵している。
【0035】上記シュラウド28に第1ダクトケース15−1が連結してある。前記本体21の外側プレート25にブラケット42を介して第2ダクト15−2が連結してある。上記第1ダクトケース15−1はラジエータ9の空気流出側面9Aに取付けてある。上記第2ダクトケース15−2は略コ字状に折り曲げてあって送風機用油圧ポンプ13、油圧ポンプ12、エンジン11に対向している。上記ラジエータ9にはエンジン11の冷却水が図示しない冷却用ポンプで循環する。
【0036】次に作動を説明する。エンジン11を駆動すると油圧ポンプ12と送風機用油圧ポンプ13が回転し、油圧ポンプ12の吐出圧油は配管43で防音室5の外部に圧送される。送風機用油圧ポンプ13の吐出圧油は配管44で油圧モータ23に圧送されて油圧モータ23を回転駆動し、その油圧モータ23を回転駆動した圧油は排出配管45で防音室5の外部に排出される。なお、油圧ポンプ12の吸込口、送風機用油圧ポンプ13の吸込口は図示しない配管で防音室5の外部のタンクに連通している。
【0037】油圧モータ23が回転駆動するとファン29が回転駆動し、空気取入口10、ラジエータ9、第1ダクト15−1を通して空気を吸い込み、第2ダクト15−2を通して送風機用油圧ポンプ13、油圧ポンプ12、エンジン11に向けて空気を吹きつける。エンジン室8内の空気は空気排出口14から排出される。この空気排出口14の開口位置は、第2ダクト15−2からの風がエンジン11に当たった後に防音室5より排出されるような位置に定めてある。またこの空気排出口14の大きさと数は第2ダクト15−2からの風量、エンジン11や動力発生ユニットの大きさ、防音室5の周囲の構造によって決定される。
【0038】このようであるから、送風装置20の駆動により、空気取入口10から効率良く空気を吸い込み、その吸い込んだ空気がラジエータ9を流通するのでラジエータ9の冷却効率が向上する。したがって、エンジン室8を空気排出口14だけで外部に開口し、他の部分を密閉することが可能となる。エンジン11、油圧ポンプ12、送風機油圧ポンプ13、油圧モータ23、送風機22から発生した駆動音が周囲に伝播することがほとんどなく、十分な遮音ができる。
【0039】また、ラジエータ9を流通した空気が送風機用油圧ポンプ13、油圧ポンプ12、エンジン11に直接吹きつけられるので、防音室5にて囲まれたこれら送風機用油圧ポンプ13、油圧ポンプ12、エンジン11を効率よくを冷却することができる。
【0040】図5に示すように、ダクト15の内周面と外周面にグラスウールや防振ゴム等の防音材50を取付ける。これによって、ダクト15内の音が遮音されるから遮音効果が更に向上する。防音材50は内周面だけ、あるいは外周面にだけ取付けてもよい。また、このダクト15の内周面や外周面及び支持部等に防振ゴムを取付けても良い。
【0041】図6に示すように、ダクト15の送風機22よりもラジエータ9寄りに多数の小さな空気流通路を有する整流格子51を取付ける。これによって、乱流状態で吸い込みされた空気が多数の小さな空気流通路を流通することで風の流れをまっすぐにして送風機22に流入するので、送風機22の送風能力が向上し、ラジエータ9の冷却効率が向上する。
【0042】図7に示すようにダクト15の送風機22の近く、例えばファン29の吐出側に静翼52を取付けてもよい。これにより第2ダクト15−2内に流入した風の流れをまっすぐにでき、風速分布を整えることができるので、送風機22の送風効率が向上し、ラジエータ9の冷却効率が向上する。また静翼52をファン29の上流側に取り付けた場合も風速分布を整えることができるので送風機22の送風効率が向上する。
【0043】なお、ダクト15に防音材50、整流格子51を設け、さらに送風機22に静翼52を取付けてもよい。
【0044】また上記送風機22の駆動源には、上記したように、エンジン11にて駆動される送風機用油圧ポンプ13からの圧油だけで駆動するようにしてもよいが、この駆動源となる油圧ポンプの油圧源に、バルブリターン圧油を利用してもよい。バルブリターン圧油とはメインポンプ12から送給され各種の油圧機器を通過後タンクへ戻る途中のまだ所定の圧力を保持している圧油である。これによりエネルギー回収効率が向上し、省エネルギーを図ることができる。
【0045】次に本発明に係る動力発生ユニットの防音構造に用いられる送風装置20の異なる実施の形態を説明する。
【0046】図8,図9に上記送風機22の駆動源に、送風機用油圧ポンプ13からの圧油にて駆動される油圧モータ(ギヤモータ)23と、リターン回路46を通って供給されるバルブリターン圧油にて駆動されるモータ23Aをタンデム状に備えた構成を示す。このときの送風装置20には斜流式送風機22Aを用いた。そして図9R>9に示すように、この斜流式送風機22Aの出口に第2ダクトケース15−2を接続した。斜流式送風機22Aの先端には第1ダクトケース15−1からの吸引風に対する抵抗を少なくするためのスピナー55が取付けてある。
【0047】図10,図11に送風装置20と、第1・第2のダクトケース15−1,15−2の少なくとも一方とをフランジ結合した構成を示す。図10に示すものは、送風機22の本体21の外側プレートの外周部にフランジ56Aが設けてあり、このフランジ56Aに第2ダクトケース15−2の端部がフランジ結合されている。この場合、シュラウド28の一端は上記フランジ56Aと一体結合されている。
【0048】図11に示すものは、上記シュラウド28の他端にもフランジ56Bを設け、これに第1ダクトケース15−1の端部がフランジ結合している。これにより送風装置20の両端がダクト15に対してフランジ結合される。
【0049】このように送風装置20と第1第2のダクトケース15−1,15−2とをフランジ結合することにより、第1第2のダクトケース15−1,15−2に対して送風装置20をユニット化できると共に、取付けを容易にすることができる。さらにこの送風装置20の場積を小さくすることができる。
【0050】図12,図13に油圧モータ23の回転軸39Aとファン29の回転軸39との間に増減速機57A,57Bを介装した実施の形態を示す。図12に示す増減速機57Aは歯車伝動機構58を用いた歯車式である。図13に示す増減速機57Bはベルト伝動機構59を用いたベルト式である。これらの伝動部の駆動側と従動側のそれぞれの回転部材の径を大小変えることにより、増速機にあるいは減速機になる。
【0051】図14にファン29の回転軸39を両持ち支持構造にした実施の形態を示す。この回転軸39の一端部は、第2ダクトケース15−2のフランジ61Aにフランジ結合するフランジ61Bにリブ26を介して一体状とし本体21に支承されている。回転軸39の他端部は、第1ダクトケース15−1のフランジ62Aにフランジ結合するフランジ62Bにリブ63を介して一体状とし、かつ油圧モータ23を支持する本体64に支承されており、この油圧モータ23の回転軸39Aに連結されている。この実施の形態においては、シュラウド28は本体21の内側プレート24に対して取付板31にて同軸心状に一体結合されている。また、送風機22の第1ダクトケース15−1側にスピナー55は油圧モータ23を支持する本体64のリブ63に固着して設けてある。この場合スピナー55は回転しない固定部分に固着されるので、回転するファン29の先端に固着する場合に比べて、このスピナー55の取付けが容易となる。
【0052】上記した各実施の形態において、図15に示すように、各油圧モータ23には往復用の2本の配管44,45が接続されている。図16に示すように、この両配管44,45は送風装置20の本体21のリブ26に沿わせて配置している。
【0053】図16に示すように、この各配管44,45の他端に接続されるバルブユニット部材67は送風装置20の本体21でかつ第2ダクトケース15−2の外側のフランジ部に固着されている。従ってこのバルブユニット部材67が送風装置20の風路の邪魔にならない位置に配置される。また上記フランジ部の一辺の長さがシュラウド28の外径と同一長さになっており、フランジ投影面積とシュラウド28の外径との間、すなわちフランジ部の隅部にバルブユニット部材67が配置されている。従ってこのバルブユニット部材67を配置するための支持台を別に設ける必要がなくなる。またこのバルブユニット部材67を小さな場積で設置することができ、ダクト15に対する送風装置20がダクト15に比較して大きくなるのを防ぐことができる。
【0054】なお、図17,図18に示すように、上記配管44,45を送風装置20の本体21のリブ26内に油圧通路44A,45Aとして設けてもよい。この場合油圧ホースを省略できる。また油圧ホースを用いないので組立てが容易である。更にリブと油圧ホースの両方があるよりも送風方向下流側の風の乱流が少ない。
【0055】また、図19,図20に示すものは、更に異なる実施の形態を示す。基台68に支柱69を立設し、この支柱69の先端ボス部70にモータ23Bを備え、このモータ23Bの回転軸39にファン29を固着した構成となっている。この場合のシュラウド28は支柱69の先端ボス部71に回転軸39と同心状に結合されている。そして上記支柱69内にモータ23Bへの油圧通路44B,45Bが設けてある。なおこの図19,図20で示したモータ23Bはピストンモータ、あるいは他の型のモータでもよい。またモータ23Bを含む支柱部とファン、シュラウド部を別のユニットとして取り扱うことができる。支柱があることでダクト位置を正確に決められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】送風装置の拡大断面図である。
【図3】図2の右側面図である。
【図4】シュラウドの斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図8】駆動源をタンデム状にした送風装置を示す断面図である。
【図9】駆動源をタンデム状にした送風装置を備えた実施の形態を示す説明図である。
【図10】送風装置と一方のダクトケースとをフランジにて結合した構成を示す断面図である。
【図11】送風装置と双方のダクトケースとをフランジにて結合した構成を示す断面図である。
【図12】送風装置の駆動源に増減速機を内蔵した構成を示す断面図である。
【図13】送風装置の駆動源に増減速機を内蔵した構成を示す断面図である。
【図14】送風装置の駆動源を両持ち構造した構成を示す断面図である。
【図15】送風装置の駆動源に接続する配管の接続状態を示す説明図である。
【図16】送風装置の駆動源に接続する配管の接続状態を示す説明図である。
【図17】送風装置の駆動源に接続する配管の構成を示す一部破断面図である。
【図18】送風装置の駆動源に接続する配管の構成を示す一部破断面図である。
【図19】送風装置の駆動源に接続する配管の構成を示す一部破断面図である。
【図20】送風装置の駆動源に接続する配管の構成を示す一部破断面図である。
【図21】従来例の説明図である。
【符号の説明】
5…防音室
6…仕切り防音壁
7…ラジエータ室
8…エンジン室
9…ラジエータ
10…空気取入口
11…エンジン
12…油圧ポンプ(動力発生機器)
13…送風機用油圧ポンプ
14…空気排出口
15…ダクト
15−1…第1ダクト
15−2…第2ダクト
20…送風装置
21,64…本体
22…送風機
22A…斜流式送風機
23…油圧モータ(駆動源)
23A,23B…モータ
24…内側プレート
25…外側プレート
26,32,63…リブ
28…シュラウド
29…ファン
31…取付板
39,39A…回転軸
42…ブラケット
44,45…配管
44A,45A,44B,45B…油圧通路
50…防音材
51…整流格子
52…静翼
55…スピナー
56A,56B,61A,61B,62A,62B…フランジ
57A,57B…増減速機
58…歯車伝動機構
59…ベルト伝動機構
67…バルブユニット部材
68…基台
69…支柱
100…防音遮蔽室
102…エンジン室
103…ラジエータ室
104…エンジン
106…ラジエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 防音壁で囲まれ空気取付口(10)を有するラジエータ室(7)にラジエータ(9)を設置し、防音壁で囲まれ空気排出口(14)を有するエンジン室(8)にエンジン(11)と、このエンジン(11)で駆動される動力発生機器を設置し、上記ラジエータ(9)に接続したダクト(15)をエンジン室(8)内に突出し、このダクト(15)内に送風装置(20)を内蔵したことを特徴とする動力発生ユニットの防音装置。
【請求項2】 送風装置(20)は、送風機(22)とこの送風機(22)を駆動する駆動源とでなる請求項1記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項3】 エンジン室(8)内に突出したダクト(15)の空気吐出部(15B)をエンジン(11)、動力発生機器と対向した請求項1または2記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項4】 ダクト(15)の内周面及びまたは外周面に防音材(50)を取付けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項5】 ダクト(15)内に、整流格子(51)及びまたはステータ(52)を取付けた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項6】 送風装置(20)のファン(29)を円筒状に覆うシュラウド(28)を駆動源の本体(24)に、駆動源の回転軸(39A)と同心状に固着した請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項7】 送風装置(20)のファン(29)を円筒状に覆うシュラウド(28)の軸方向に少なくとも一方側に、これをダクト(15)に接続するためのフランジ(56,57)を設けた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項8】 送風装置(20)の駆動源である油圧モータ(23)の圧油通路を油圧モータ(23)を支持する本体(24)のリブ26に沿わせると共に、この圧油通路に接続するバルブユニット部材(67)等の配管機器をシュラウド(28)の外側に配置した請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項9】 送風装置(20)のファン(29)を駆動する駆動源の駆動部をファン(29)のファンボス(41)の内側に配置した請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。
【請求項10】 送風装置(20)は、送風機(22)のファン(29)の回転軸(39)の一端部に駆動源の回転軸(39A)を連結し、この駆動源と送風機(22)のファン(29)の回転軸(39)の他端部とを本体(21,64)に支持し、ファン(29)の回転軸(39)を両持ち状に支持した請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の動力発生ユニットの防音装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図12】
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【図13】
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【図21】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開平11−311127
【公開日】平成11年(1999)11月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−120708
【出願日】平成10年(1998)4月30日
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)