説明

動物の糞便の質を変化させるための組成物および方法

本発明は、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することにより子犬の糞便の質を改善するための組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は一般に、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することにより子犬の糞便の質および/または排便回数を改善するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 糞便の質および排便回数は、一般に5つの要因により決まる:食物成分の消化性、繊維レベル、健康状態、活動レベル、および摂水量。これらの要因のバランスがとれている場合、糞便は一般に有形で硬く、濃色であり、臭気の発生が比較的少ない。これらの特性を示す糞便は良質の糞便とみなされる。これらの要因のバランスがとれていない場合、糞便は一般に軟質でゆるく、水様で、淡色であり、比較的強い臭気を発生する。これらの特性を示す糞便、特にゆるい水様の糞便は質の劣る糞便とみなされる。
【0003】
[0003] 質の劣る糞便および不規則な糞便回数は、多様な要因で生じる可能性がある:たとえば異常な腸運動性、腸透過性の亢進、腸内に非吸収性の浸透圧活性物質が存在すること、または下痢を引き起こす薬剤。ある動物飼料、特に当技術分野でチャンク・アンド・グレービー(chunk and gravy)動物飼料として知られているものも、質の劣る糞便の原因となる可能性がある。そのような飼料を摂取している動物はしばしば、不規則な望ましくない排便を伴う。そのような排便は一般に、頻繁なゆるい水様糞便を特徴とする。場合によってはこの排便を下痢と分類することができる。
【0004】
[0004] したがって、動物の糞便の質に影響を及ぼすことができる新規な方法および組成物が要求されている。United States Patent Application Serial No. 11/566,512(’512出願)、2006年12月4日出願(その内容を本明細書に援用する)には、動物が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整して糞便の質に影響を及ぼすことが開示されている。一般に、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させるとより硬い質の糞便になり、排便量が減少することが見いだされた。逆に代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させるとよりゆるい糞便になり、排便量が増加するであろう。
【0005】
[0005] ’512出願には成犬について糞便の質および/または回数を改変するための方法が記載されているが、成犬と子犬の食事要求は全く異なる。たとえば、子犬は一般に急速な成長および発育を示す;したがって、子犬は一般に成犬より著しく多量の、栄養組成の異なる栄養を必要とする。たとえば、子犬はそれらの急速な骨増殖のため、より高いカルシウムレベルを必要とする。また、成犬と子犬の糞便は一般に質が異なり、成犬は子犬より硬い糞便を生成することが知られている;これは、一部はそれらの食事および栄養要求が異なることに対応する。したがって、この先行技術に開示されたカチオンとアニオンのバランスは成犬には適切であるが、子犬の糞便の質を改善するのには不適切な可能性がある。本発明の発明者らは、動物が摂取する食物組成物の食事カチオンとアニオンのバランスを食事カチオンとアニオンのバランスが約50mEqから約300mEqまでになるように調節することにより、子犬の糞便の質を改善しうることを見いだした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】United States Patent Application Serial No. 11/566,512
【発明の概要】
【0007】
[0006] 本発明の1観点は、動物、特に成長期のイヌについて糞便の質を改善するための組成物を提供することである。1態様において、本発明は代謝性カチオンおよび代謝性アニオンを含む食物組成物であって、約50mEqから約300mEqまでの食事カチオン対アニオンバランス(dietary cation to anion balance)(DCAB)をもつ組成物である。この組成物は、子犬にとって理想的に栄養完全である。
【0008】
[0007] 他の態様において、組成物は約75mEqから約250mEqまで、約100mEqから約150mEqまでのDCABをもつことができ、または約125mEqのDCABをもつことができる。
【0009】
[0008] ある態様において、本発明の組成物はカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびその混合物から選択されるカチオンを含むことができ、さらにリン、塩化物、硫黄、およびその混合物から選択されるアニオンを含むことができる。
【0010】
[0009] さらに他の態様において、本発明の組成物は約0.5%から約1.0%まで、たとえば約0.76%の量のクエン酸カリウムを含むことができ;さらに約0.1%から約0.5%まで、たとえば約0.2%の量の炭酸水素ナトリウムを含むことができる。
【0011】
[0010] 本発明の組成物は、約1%から約4%まで、たとえば約3%の量の可溶性繊維を含むことができる。可溶性繊維は、てん菜パルプ、グァーガム、チコリ(キクニガナ、chicory)根、オオバコ(psyllium)、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、燕麦、豆類、柑橘類、オオムギ、エンドウ、またはその混合物から選択することができる。
【0012】
[0011] 他の態様において、本発明の組成物はさらに、約0.1%から約10%まで、たとえば約0.18%の量のオメガ−3脂肪酸を含むことができる。オメガ−3脂肪酸は、DHA、EPA、ALA、オクタデカテトラエン酸、およびその混合物から選択することができる。
【0013】
[0012] 本明細書に開示する組成物はさらに、胃腸管を改善する作用物(agent)、下痢止め剤、抗便秘剤、またはその混合物を含むことができる。
[0013] さらに他の態様において、本発明の組成物は乾燥食物、湿潤食物または半湿潤食物の形態、あるいはおやつ(褒美、treat)、スナック、サプリメント、または部分的もしくは完全に食べられる玩具であってもよい。
【0014】
[0014] 本発明の他の観点は、子犬において糞便の質および/または排便回数を改善するための方法に関する。したがって本発明は、子犬の糞便の質を改善するための方法であって、約50mEqから約300mEqまでの代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを有する組成物を子犬に与えることを含む方法に関する。
【0015】
[0015] 本発明の他の観点は、子犬の糞便の質を改善するための方法であって、子犬において食事による代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることを含む方法に関する。特定の態様において、子犬の食事による代謝性カチオンの摂取を増加させることにより、子犬の食事による代謝性アニオンの摂取を減少させることにより、または子犬の食事による代謝性カチオンの摂取の増加と子犬の食事による代謝性アニオンの摂取の減少との両方により、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることができる。
【0016】
[0016] 本発明は、便秘を生じやすい子犬または便秘を伴う子犬を処置するための方法であって、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させることにより糞便の質を改善してよりゆるい糞便が生成するのに十分な量で、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することを含む方法にも関する。特定の態様において、子犬が摂取する代謝性カチオンの量を減少させることにより、子犬が摂取する代謝性アニオンの量を増加させることにより、または子犬が摂取する代謝性カチオンの量の減少と子犬が摂取する代謝性アニオンの量の増加との両方により、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させることができる。
【0017】
[0017] 本発明はさらに、下痢および/またはゆるい糞便を生じやすい子犬あるいはそれらを伴う子犬を処置するための方法であって、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることにより糞便の質を改善してより硬い糞便が生成するのに十分な量で、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することを含む方法に関する。特定の態様において、子犬が摂取する代謝性カチオンの量を増加させることにより、子犬が摂取する代謝性アニオンの量を減少させることにより、または子犬が摂取する代謝性カチオンの量の増加と子犬が摂取する代謝性アニオンの量の減少との両方により、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることができる。
【0018】
[0018] 他の観点において、本発明は、その必要がある子犬の糞便の質を改善するための方法であって、
a.目的に従って食物組成物のDCABを増大または低下させるのに十分な量の代謝性カチオンまたは代謝性アニオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法に関する。
【0019】
[0019] 他の観点において、本発明は、子犬の糞便の質を調節することにより、便秘を生じやすい子犬または便秘を伴う子犬を処置するための方法であって、
a.食物組成物のDCABを低下させるのに十分な量の代謝性アニオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法に関する。
【0020】
[0020] 他の態様において、本発明は、子犬の糞便の質を調節することにより、下痢および/またはゆるい糞便を生じやすい子犬あるいはそれらを伴う子犬を処置するための方法であって、
a.食物組成物のDCABを増大させるのに十分な量の代謝性カチオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法に関する。
【0021】
[0021] 本発明のいずれかの方法に関して、本明細書中ではそれらの方法は本発明のいずれかの組成物を与えることを含み、さらに1種類以上の胃腸管を改善する作用物、および/または1種類以上の下痢止め剤、および/または1種類以上の抗便秘剤から選択される少なくとも1種類の化合物を子犬に投与することを含みうるものとする。さらに、代謝性カチオンは、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ならびにその混合物および医薬的に許容できる塩から選択されるものを含むことができる。代謝性アニオンは、リン、塩化物、硫黄、ならびにその混合物および医薬的に許容できる塩から選択されるものを含むことができる。
【0022】
[0022] 他の態様において、本発明は、下記の構成要素のうちいずれか1以上を含む、子犬の糞便の質を改変するためのキットに関する:
栄養的に完全な子犬用食物組成物;
代謝性カチオン;
代謝性アニオン;
胃腸管を改善する作用物、下痢止め剤、および抗便秘剤;ならびに
代謝性アニオンおよび/または代謝性カチオンを用いて食物組成物のDCABを増大または低下させて処置すべき子犬の糞便の状態に応じて糞便の質を調節することにより、場合により胃腸管を改善する作用物、下痢止め剤および/または抗便秘剤をさらに用いて、または用いずに、子犬の糞便の質を改変するための指示。
【0023】
[0023] 他の態様において、本発明は、その必要がある子犬において糞便の質を改変するための食物組成物であって約50mEqから約300mEqまでのDCABを有する食物組成物の製造における、代謝性アニオンおよび代謝性カチオンの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0024] 本発明は、特に子犬の糞便の質の改善に関する。ただし、本明細書において本発明に開示する組成物および方法はいかなる動物にも使用でき、殊に成長期の動物、特に成長期の愛玩動物に使用できるものとする。用語”愛玩動物”はヒトと密接な関係で生活するいずれかの動物を表わし、いずれかの品種のイヌ類およびネコ類が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、本明細書においてこの用語は、その食事をヒトが管理でき、かつ本明細書に開示する方法および組成物の給餌が有益となりうる、いかなる動物をも含むことができるものとする。これらの動物には、たとえば家畜化された農場動物(たとえばウシ、ウマ、ブタなど)、および家畜化されていない動物であってたとえば動物園などに捕らわれた状態にある動物を含むことができる。
【0025】
[0025] ある動物がある状態または疾患を発現しやすいことの指標となる徴候を示す場合、その動物はその疾患または状態を”生じやすい(罹患しやすい)(susceptible)”。ある動物がある状態または疾患を発現していることの指標となる徴候を示す場合、その動物はその疾患または状態を”伴う(罹患している)(suffering from)”。
【0026】
[0026] 本明細書中で用いる用語”子犬(puppy)”は、一般に出生と12カ月の間の未成熟なイヌ類を表わす。
[0027] 本明細書中で用いる”糞便の質を改変する”、”糞便の質を調節する”または”糞便の質を改善する”は、目的とする糞便の硬さおよび/または目的とする排便回数にするために動物の糞便を調節することを表わす。一般に、ゆるい水様の糞便は望ましくなく、便秘がみられるほど硬すぎる糞便も望ましくない。したがって、下痢(たとえば頻繁なゆるい水様の糞便)を生じている動物においては、糞便をより硬くし、動物が排便する回数を少なくすることにより、糞便の質を改善する;逆に、便秘を生じている動物においては、糞便の硬さがより小さくなるように糞便の質を変化させることが有益であろう。本明細書に記載するように、そのような変化は動物の食事カチオン対アニオンバランス(DCAB)を改変することにより達成できる。DCABの増大は糞便をより硬くすることができる;DCABの低下は糞便の硬さをより小さくすることができる。
【0027】
[0028] 糞便の質は当業者に慣用される方法に従って採点することができる。たとえば、糞便の質は当業者により一般に視覚採点によって、たとえば下記のグレード1〜5の尺度で糞便を視覚的にランク付けすることによって評価される:
グレード1:排便中の糞便の2/3以上が液状である。糞便はすべての形状を失い、液溜まり(puddle)または噴出液(squirt)のように見える;
グレード2:軟−液便は軟便と液便の中間である。排便中のほぼ等量の糞便が軟便と液便である;
グレード3:排便中の糞便の2/3以上が軟便である。糞便は積み重なるのに十分な形態をもつが、それらの硬い円筒形の外観は失っている;
グレード4:硬−軟便は硬便と軟便のグレードの中間である。排便中のほぼ等量の糞便が硬便と軟便である;
グレード5:排便中の糞便の2/3以上が硬便である。それらは円筒形の形状をもち、広がることはほとんどない;
Sunvold et al., J Anim Sci 1995 73:1099-1109; US Patent 6,280,779; US Patent 5,616,569も参照されたい。糞便の質は、糞便中の水分をg/kgで測定するための方法を用いて定量的に評価することもできる(たとえばYamka et al., 2006, Am J Vet Res, 67(1):88-94を参照)。
【0028】
[0029] 本発明における代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスは、当業者に既知のいずれかの手段で測定できる。たとえば、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを測定するための1方法は、動物の食事カチオン対アニオンバランス(DCAB)を計算することである;これは、動物が通常摂取するカチオンの累積量を計算し、そして動物が通常摂取するアニオンの累積量を差し引くことにより判定される。カチオンには、たとえばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムカチオン、または正の電荷をもつ他のいずれかのイオン(アミノ酸を含む)が含まれる。アニオンは、たとえば塩化物、硫黄およびリンアニオン、または負の電荷をもつ他のいずれかのイオン(アミノ酸を含む)を含めることができる。たとえば、DCABは動物が通常摂取するナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムカチオンの累積量を計算し、動物が通常摂取する塩化物、硫黄およびリンアニオンの累積量を差し引くことにより判定される。したがって、1態様においてDCABは下記の方程式に従って判定される:
DCAB(mEq)=(Na+K+Ca+Mg)−(Cl+S+P)
DCABを計算する目的に関して、ナトリウム、カリウムおよび塩化物イオンは1の原子価をもち、硫黄、カルシウムおよびマグネシウムイオンは2の原子価をもち、リンイオンは1.8の原子価をもつ。
【0029】
[0030] 本発明の発明者らは、約50mEqから約300mEqまでのDCABをもつ組成物を動物に与えることにより、動物、特に成長期のイヌ、たとえば子犬の糞便の質を改善しうることを見いだした。
【0030】
[0031] 当技術分野で知られているように、食事における可溶性繊維の量を増加させることにより、子犬の糞便の質を一般に高める(すなわち糞便の硬さを増す)ことができる。また、食事における可溶性繊維の量を減少させることにより、子犬の糞便の質は一般に低下する。可溶性繊維は、小腸における消化および吸収に対して抵抗性であって大腸において完全または部分的に発酵する繊維、たとえばてん菜パルプ、グァーガム、チコリ根、オオバコ、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、燕麦、豆類、柑橘類、オオムギまたはエンドウである。重要なことに、本発明の発明者らは、食物組成物のDCABを増大させることにより、食物組成物の可溶性繊維含量を低下させてもなお子犬の糞便の質を維持できることを見いだした。
【0031】
[0032] ある態様において、動物が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを、1種類以上の下痢止め剤(下痢またはゆるすぎる糞便の治療または予防のため)または抗便秘剤(便秘または硬すぎる糞便の治療または予防のため)の投与と併せて調整することができる。用語”下痢止め剤”は、下痢を予防または治療するのに有用な当業者に既知のいずれかの化合物、組成物または薬物を意味する。これらの薬剤の例にはアトロピン、ジフェノキシレート(diphenoxylate)、ロペラミド(loperamide)、オクトレオチド(octreotide)、および阿片チンキが含まれるが、これらに限定されない。用語”抗便秘剤”は、便秘を予防または治療するのに有用な当業者に既知のいずれかの化合物、組成物または薬物を意味する。そのような化合物には、緩下剤、たとえばオオバコ、メチルセルロース、ドキュセート(docusate)、鉱油、マグネシアミルク、およびエプソム塩(Epsom salt)類が含まれる。愛玩動物に使用するのに適切な下痢止め剤および抗便秘剤ならびにその量は当業者に周知である。
【0032】
[0033] 本発明において考慮するように、本発明の組成物は栄養的に完全なバランスのとれたペットフード組成物(本明細書中では簡単に”栄養的に完全なペットフード組成物”とも表記する)を含むものとする。栄養的に完全な子犬用食物を含めて、栄養的に完全なペットフード組成物は当業者に周知である。たとえば、本明細書に開示する栄養素および成分、ならびに動物飼料組成物として適切な他のもの、ならびにその推奨量は、たとえばthe Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials ("AAFCO"), Inc., Nutrient Requirements of Dogs and Cats, 2006に見ることができる。たとえば、栄養的に完全な食物は、当業者に既知の量のタンパク質、脂肪、炭水化物、食事性繊維、アミノ酸、無機質、ビタミンおよび他の成分を含有することができる。
【0033】
[0034] タンパク質は、当業者に既知の多様な供給源のいずれかにより供給することができ、これには植物源、動物源または両方が含まれる。動物源には、たとえば食肉、食肉副産物、水産物、乳製品、卵などが含まれる。食肉には、たとえば家禽、魚類および哺乳類(たとえばウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)の肉が含まれる。食肉副産物には、たとえば肺、腎臓、脳、肝臓、ならびに胃および腸(それらの内容物をすべてまたは本質的にすべて除去したもの)が含まれる。タンパク質は、未分解のもの、ほぼ完全に加水分解したもの、または部分的に加水分解したものであってよい。
【0034】
[0035] 脂肪は当業者に既知の多様な供給源のいずれかにより供給でき、これには食肉、食肉副産物、魚油および植物が含まれる。植物脂肪源には、コムギ、亜麻仁、ライムギ、オオムギ、コメ、モロコシ、トウモロコシ、燕麦、キビ、コムギ胚芽、トウモロコシ胚芽、ダイズ、落花生および綿実、ならびにこれらおよび他の植物脂肪源から得られる油が含まれる。
【0035】
[0036] 炭水化物は当業者に既知の多様な供給源のいずれかにより供給でき、これには燕麦繊維、セルロース、落花生殻、てん菜パルプ、半調理米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびこれらの供給源のいずれかの組合わせが含まれる。炭水化物を供給する穀類にはコムギ、トウモロコシ、燕麦およびコメが含まれるが、これらに限定されない。食物の炭水化物含量は当業者に既知の多数の方法のいずれかにより測定できる。一般に、炭水化物の割合は無窒素抽出物(”NFE”)として計算することができ、これは下記に従って計算できる:NFE=100%−水分%−タンパク質%−脂肪%−灰分%−粗繊維%。
【0036】
[0037] 本発明の組成物に含有させるための脂肪酸には、オメガ3脂肪酸、たとえばドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、アルファ−リノレン酸(ALA)、オクタデカテトラエン酸(ステアリドン酸)、またはその混合物が含まれる。
【0037】
[0038] 食事性繊維は、動物の消化酵素による消化に対して抵抗性である植物成分を表わす。食事性繊維には可溶性繊維および不溶性繊維が含まれる。可溶性繊維は、小腸における消化および吸収に対して抵抗性であり、大腸において完全または部分的に発酵する;たとえばてん菜パルプ、グァーガム、チコリ根、オオバコ、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、燕麦、豆類、柑橘類、オオムギまたはエンドウ。不溶性繊維は多様な供給源のいずれかにより供給でき、これにはセルロース、コムギ全粒製品、コムギ、燕麦、トウモロコシ糠、亜麻仁、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、バレイショの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、およびダイズ繊維が含まれる。粗繊維には、穀物などの植物、たとえばコメ、トウモロコシおよび豆類などの穀物の殻の細胞壁および細胞内容物に含有される摂取可能な成分が含まれる。
【0038】
[0039] 必須アミノ酸を含めたアミノ酸を、遊離アミノ酸として本発明の組成物に添加することができ、あるいは多数の供給源のいずれか、たとえば粗タンパク質により本発明の組成物に供給することができる。必須アミノ酸は、生物がデノボ合成できず、または十分な量で合成できず、したがって食事に供給しなければならないアミノ酸である。必須アミノ酸は種毎にその生物の代謝に応じて異なる。たとえばイヌおよびネコ(およびヒト)の必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リジン、イソロイシン、バリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジンおよびアルギニンであると一般に理解されている。さらに、技術的にはアミノ酸ではないがシステインの誘導体であるタウリンはネコの必須栄養素である。
【0039】
[0040] 本発明の組成物は、1種類以上の無機質および/または微量成分、たとえばカルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、コリン、または鉄の塩類を、欠乏を避けかつ健康を維持するのに必要な量で含有することもできる。これらの量は当業者に既知であり、たとえばthe Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials, Inc. ("AAFCO"), Nutrient Requirements of Dogs and Cats, 2006に示されている。
【0040】
[0041] 本発明の組成物は、欠乏を避けかつ健康を維持するのに必要な量のビタミンを含有することもできる。これらの量および測定方法は当業者に既知である。たとえばthe Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials, Inc. ("AAFCO"), Nutrient Requirements of Dogs and Cats, 2006に、イヌおよびネコについてのそれらの成分の推奨量が示されている。本発明において考慮する有用なビタミンには、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシン、およびパントテン酸を含めることができるが、これらに限定されない。
【0041】
[0042] 本発明の組成物は、さらに添加剤、安定剤、増量剤、増粘剤、着香剤、嗜好性増強剤および着色剤を、当業者に慣用される量および組合わせで含むことができる。
[0043] 1態様において、本発明の組成物は食物として、たとえば栄養的に完全なペットフード組成物として提供することができる。他の態様において、本発明の組成物はおやつ、スナック、サプリメント、または部分的もしくは完全に食べられる玩具の形態であってもよい。ペットが摂取するそのようなものは当業者に既知であり、たとえば食事時間以外に食べるように動物に与える組成物、たとえばイヌ用のビスケット、食べられる噛み玩具などを含めることができる。
【0042】
[0044] いかなる稠度または水分の食物も考慮される;たとえば、本発明の組成物はたとえば乾燥、湿潤または半湿潤状態の動物用食物組成物であってもよい。”半湿潤”とは、約25%から約35%までの水分を含む食物組成物を表わす。”湿潤”食物とは、約60〜90%またはそれ以上の含水率をもつ食物組成物を表わす。”乾燥”食物とは、約3〜約11%の含水率をもつ食物組成物を表わし、しばしば小片またはキブル(kibble)の形に加工される。本発明においては、多様な稠度の成分を含むことができる組成物、および1種類以上の稠度の成分、たとえば柔らかく噛みごたえのある食肉様の粒子を含むことができる組成物、ならびに外側の穀類成分および内側のクリーム成分をもつキブル、たとえばUS Patent 6,517,877に記載のものも考慮される。キブルを次いで乾燥させ、場合により、当業者に既知である1以上の表面コーティング、たとえば着香剤、脂肪、油、粉末などでコートすることができる。
【0043】
[0045] 本発明方法において場合により下痢止め剤および抗便秘剤を使用するほか、ある態様においては、動物が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスは、胃腸管を改善する作用物を含む1種類以上の組成物の投与と併せて調整することができる。”胃腸管を改善する作用物”は、一般にプロバイオティック(probiotic)およびプレバイオティック(prebiotic)である。
【0044】
[0046] プロバイオティックは、摂取した場合に特定の病的状態の予防および治療に有益な効果をもつ生存微生物である。プロバイオティックは、定着抵抗性(colonization resistance)として知られる現象により生物学的作用を及ぼすと考えられている。プロバイオティックは、嫌気性常在細菌叢が潜在的に有害な(大部分は好気性)細菌の消化管内濃度を制限するプロセスを促進する。他の作用様式、たとえば胃腸管内での酵素の供給または酵素活性への影響も、プロバイオティックに起因するとされている他の機能のうちあるものを説明することができる。プロバイオティックは動物の全身の細胞性免疫応答を増強し、他の点では健康な動物の自然免疫に追加免疫する食事サプリメントとして使用できる。プロバイオティックには多数のタイプの細菌が含まれるが、一般に4つの細菌属から選択される:アシドフィルス菌(好酸性乳酸杆菌、Lactobacilllus acidophilus)、ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌、Bifidobacteria)、ラクトコッカス属(Lactococcus)およびペディオコッカス属(Pediococcus)。
【0045】
[0047] プレバイオティックは、結腸内の細菌の増殖および/または活性を選択的に刺激することによりホストの健康に有益な効果を与える非消化性食物成分であり、当業者に既知である。たとえば、フルクトオリゴ糖(FOS)は、コムギ、タマネギ、バナナ、蜂蜜、ガーリックおよびリーキ(セイヨウニラネギ、leek)など多数の食物中に天然にみられる。FOSはチコリ根から単離することもでき、あるいはショ糖から酵素合成することもできる。FOSが結腸内で発酵すると、結腸内のビフィズス菌数の増加、カルシウム吸収の増大、糞便重量の増加、胃腸内通過時間の短縮、およびおそらく血中脂質濃度の低下を含めた、多数の生理的効果が得られる。ビフィズス菌の増加は、潜在病原体を阻害する化合物の産生、血中アンモニア濃度の低下、ならびにビタミンおよび消化酵素の産生により、健康に有益であると推定されている。プロバイオティック細菌、たとえば乳酸杆菌属(Lactobacilli)またはビフィドバクテリウム属の菌は、腸管微生物バランスを改善して白血球の抗体産生および食作用活性を高めることにより、免疫応答にプラスの影響を与えると考えられている。
【0046】
[0048] 動物に投与するプロバイオティックおよびプレバイオティックの量は、プロバイオティックおよびプレバイオティックのタイプおよび性質、ならびに動物のタイプおよび性質、たとえば年齢、体重、全般的健康状態、性別、微生物枯渇の程度、有害細菌の存在、ならびに動物の食事に基づいて、当業者により決定される。一般にプロバイオティックは、腸管微生物叢を健全に維持するために一日当たり約10億から約200億コロニー形成単位(CFU)までの量、好ましくは一日当たり約50億個から約100億個までの生菌数で動物に投与される。一般にプレバイオティックは、健全な腸管微生物叢にプラスの刺激を与えてこれらの”善玉”細菌を増殖させるのに十分な量で投与される。一般的な量は、1回当たり約1gから約10gまで、または動物について推奨される一日の食事性繊維の約5%から約40%までである。
【0047】
[0049] 他の態様において、本発明は、動物の糞便の質および/または排便回数を改善するのに適切なキットを提供する。適切なキットは、カチオン、アニオン、食物、他の化合物、作用物または医薬の組合わせ、ならびにその必要がある動物の糞便の質および/または排便回数の改善にそのキットを使用するための指示を含むことができる。たとえば、本発明のキットは、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ならびにその混合物から選択される代謝性カチオンを含むことができ;代謝性アニオンをリン、塩化物、硫黄、ならびにその混合物塩から選択しうることが考慮される。医薬的に許容できる塩の形を含めたあらゆる形態の代謝性カチオンおよびアニオンが考慮される。キットの構成要素はさらに、胃腸管を改善する作用物、下痢止め剤および/または抗便秘剤、ならびにそを使用するための指示を含むことができる。
【0048】
[0050] たとえばキットは、代謝性カチオンおよび/または代謝性アニオンのほかに、栄養的に完全な食物、たとえば子犬用食物を、その必要がある動物の糞便の質の改善を達成するために代謝性カチオンにより食物組成物のDCABを増大させる方法に関する指示および/または代謝性アニオンにより食物組成物のDCABを低下させる方法に関する指示と共に含むことができる。ある態様において、キットはさらに、1種類以上の下痢止め剤、抗便秘剤および/または胃腸管を改善する作用物、ならびにそれを食物ならびに代謝性カチオンおよびアニオンと共に使用するための指示を含むことができる。カチオンの添加は糞便をより硬くし;アニオンの添加は糞便の硬さをより小さくすると理解される。本発明の教示に基づいて、当業者は、処置すべき動物の糞便の状態および目的とする糞便硬さの変化に応じて動物のDCABを調節する方法を理解するであろう。
【0049】
[0051] キット構成要素は、キット構成要素に適合させて単一パッケージまたは別個のパッケージ内にあってよい。用語”単一パッケージ”は一般に、キットの構成要素が1以上の容器内に、または容器により、物理的にまとめられており、製造、流通、販売または使用のための単位とみなされることを意味する。容器にはバッグ、ボックス、ボトル、収縮ラップパッケージ、ホチキス留めその他の形で固定された構成要素、またはその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。単一パッケージは、たとえば容器または個々の食物組成物が製造、流通、販売または使用のための単位とみなされる状態で物理的にまとめられたものであってもよい。
【0050】
[0052] 他の態様において、本発明は、その必要がある子犬において糞便の質を改変するための食物組成物であって約50mEqから約300mEqまでのDCABを有する食物組成物の製造における、代謝性アニオンおよび代謝性カチオンの使用に関する。
【実施例】
【0051】
[0053] 以下の実施例により本発明をさらに説明することができるが、これらの例は説明のために含まれるにすぎず、別途明示しない限り、本発明の範囲を限定するためのものではないことは理解されるであろう。
【0052】
実施例1
[0054] 離乳したビーグル犬の子犬10匹を糞便試験に用いて、1)DHAの増加が子犬の糞便の質に影響を及ぼすかどうか、2)子犬において食事カチオンアニオンバランス(DCAB)の操作により糞便の質を改善できるかどうか、および3)DCAB操作と併せたてん菜パルプの減少が子犬の糞便の質に対してどのような影響をもつかを判定する。それぞれの飼料処理の栄養素組成を表1に示す。それぞれの飼料をキブル化し、当業者に周知のAAFCO基準(たとえば、イヌおよびネコに関するAAFCOの栄養素指針中にある)に従って配合し、成長期の子犬の要求を満たすようにバランスをとる。それぞれの飼料を1週間与え、糞便評点を毎日記録する。それぞれの糞便試料を、前記の一般法に従って1〜5のグレーディング尺度で採点する;その際、グレード1は排便中の2/3以上が液状である糞便を反映し、グレード5は排便中の2/3以上が硬い糞便を反映する。
【0053】
【表1−1】

【0054】
乾燥物質基準
DCAB(mEq)=(ナトリウム+カリウム+カルシウム+マグネシウム)−(塩化物+硫黄+リン)
本文に記載した一般法に従って糞便評点を1から5までランク付けした
7日間にわたって採点した糞便数
【0055】
【表1−2】

【0056】
乾燥物質基準
DCAB(mEq)=(ナトリウム+カリウム+カルシウム+マグネシウム)−(塩化物+硫黄+リン)
本文に記載した一般法に従って糞便評点を1から5までランク付けした
7日間にわたって採点した糞便数。
【0057】
[0055] 表1に示した結果は、飼料組成物のDCABを増大させると、可溶性繊維の量を減少させたにもかかわらず、より良質の(より硬い)糞便を生成させうることを指摘する。具体的には、てん菜パルプを3.0%に減少させ(5.5%から)かつDCABを増大させた場合、子犬において最高の糞便の質が達成される。結果は、飼料組成物中の塩化カリウムをクエン酸カリウムで置き換えてもよく、塩化ナトリウムを炭酸水素ナトリウムで置き換えてもよいことをも指摘する(データは示していない)。
【0058】
実施例2
[0056] 同じ10匹のビーグル犬の子犬をより高い年齢で用いて飼料A、BおよびEについてさらに試験を繰り返す。この試験のデータ(実施例1に記載した試験におけるイヌの平均年齢および体重を含む)を表2に示す。より高い年齢のイヌを用いたこの試験のデータにより実施例1の結果が確認される。
【0059】
【表2】

【0060】
データが得られなかったので、1匹の動物を平均体重の計算に含めなかった。
[0057] 本明細書には本発明の代表的な好ましい態様を開示し、特定の用語を用いたが、それらは一般的な説明の意味で用いたにすぎず、限定のためのものではない。明らかに、以上の教示からみて本発明の多数の改変および変更が可能である。したがって、特許請求の範囲の記載の範囲内で、具体的に記載した以外の形で本発明を実施できることを理解すべきである。
【0061】
[0058] 本明細書および特許請求の範囲で用いる単数形には、そうではないことが状況から明示されない限り、複数表示が含まれる。用語”含む(comprise、comprises、comprising)”は除外ではなく包括と解釈すべきである。
【0062】
[0059] 別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語および頭字語は、本発明の分野の当業者が一般に理解しているものと同じ意味をもつ。本明細書中で引用または参照したすべての特許、特許出願、刊行物および他の参考文献を、あらゆる目的で本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
代謝性カチオンおよび代謝性アニオンを含む食物組成物であって、約50mEqから約300mEqまでの食事カチオン対アニオンバランス(DCAB)を有する組成物。
【請求項2】
栄養的に完全な食物組成物である、請求項1に記載の食物組成物。
【請求項3】
約75mEqから約250mEqまでのDCABを有する、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項4】
約100mEqから約150mEqまでのDCABを有する、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項5】
約125mEqのDCABを有する、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項6】
代謝性カチオンが、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびその混合物から選択される、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項7】
代謝性アニオンが、リン、塩化物、硫黄、およびその混合物から選択される、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項8】
約0.5%から約1.0%までの量のクエン酸カリウムを有する、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項9】
約0.76%の量のクエン酸カリウムを有する、請求項8に記載の食物組成物。
【請求項10】
約0.1%から約0.5%までの量の炭酸水素ナトリウムを有する、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項11】
約0.2%の量の炭酸水素ナトリウムを有する、請求項10に記載の食物組成物。
【請求項12】
さらに、約1%から約4%までの量の可溶性繊維を含む、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項13】
可溶性繊維の量が約3%である、請求項12に記載の食物組成物。
【請求項14】
可溶性繊維が、てん菜パルプ、グァーガム、チコリ根、オオバコ、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、燕麦、豆類、柑橘類、オオムギ、エンドウ、またはその混合物から選択される、請求項12に記載の食物組成物。
【請求項15】
可溶性繊維が約3%の量のてん菜パルプである、請求項14に記載の食物組成物。
【請求項16】
さらに、約0.1%から約10%までの量のオメガ−3脂肪酸を含む、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項17】
オメガ−3脂肪酸の量が約1.8%である、請求項16に記載の食物組成物。
【請求項18】
オメガ−3脂肪酸が、DHA、EPA、ALA、オクタデカテトラエン酸、およびその混合物から選択される、請求項16に記載の食物組成物。
【請求項19】
さらに、胃腸管を改善する作用物、下痢止め剤、抗便秘剤、またはその混合物を含む、前記のいずれかの請求項に記載の食物組成物。
【請求項20】
食物組成物が乾燥食物である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の食物組成物。
【請求項21】
食物組成物が湿潤食物である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の食物組成物。
【請求項22】
食物組成物が半湿潤食物である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の食物組成物。
【請求項23】
食物組成物が、おやつ、スナック、サプリメント、または部分的もしくは完全に食べられる玩具の型である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の食物組成物。
【請求項24】
子犬の糞便の質および/または排便回数を改善するための方法であって、約50mEqから約300mEqまでの代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを有する組成物を子犬に与えることを含む方法。
【請求項25】
子犬の糞便の質を改善するための方法であって、子犬に対する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることを含む方法。
【請求項26】
子犬の食事による代謝性カチオンの摂取を増加させることによりバランスを増大させる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
子犬の食事による代謝性アニオンの摂取を減少させることによりバランスを増大させる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
子犬の食事による代謝性カチオンの摂取を増加させかつ子犬の食事による代謝性アニオンの摂取を減少させることによりバランスを増大させる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
代謝性アニオンが、リン、塩化物、硫黄、およびその混合物から選択される、請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
代謝性カチオンが、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびその混合物から選択される、請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
さらに、1種類以上の胃腸管を改善する作用物および/または1種類以上の下痢止め剤から選択される少なくとも1種類の化合物を子犬に投与することを含む、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
便秘を生じやすい子犬または便秘を伴う子犬を処置するための方法であって、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させることにより糞便の質を改善してよりゆるい糞便が生成するのに十分な量で、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することを含む方法。
【請求項33】
子犬が摂取する代謝性カチオンの量を減少させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
子犬が摂取する代謝性アニオンの量を増加させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
子犬が摂取する代謝性カチオンの量を減少させかつ代謝性アニオンの量を増加させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
下痢および/またはゆるい糞便を生じやすい子犬あるいはそれらを伴う子犬を処置するための方法であって、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させることにより糞便の質を改善してより硬い糞便が生成するのに十分な量で、子犬が摂取する代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを調整することを含む方法。
【請求項37】
子犬が摂取する代謝性カチオンの量を増加させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
子犬が摂取する代謝性アニオンの量を減少させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
子犬が摂取する代謝性カチオンの量を増加させかつ代謝性アニオンの量を減少させることにより、代謝性アニオンに対する代謝性カチオンのバランスを増大させる、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
その必要がある子犬の糞便の質を改善するための方法であって、
a.目的に従って食物組成物のDCABを増大または低下させるのに十分な量の代謝性カチオンまたは代謝性アニオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法。
【請求項41】
子犬の糞便の質を調節することにより、便秘を生じやすい子犬または便秘を伴う子犬を処置するための方法であって、
a.食物組成物のDCABを低下させるのに十分な量の代謝性アニオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法。
【請求項42】
子犬の糞便の質を調節することにより、下痢および/またはゆるい糞便を生じやすい子犬あるいはそれらを伴う子犬を処置するための方法であって、
a.食物組成物のDCABを増大させるのに十分な量の代謝性カチオンを食物組成物に添加し;
b.段階(a)の食物組成物を子犬に与え;
c.子犬が生成する糞便の質を評価し;そして
d.目的とする質の糞便を子犬が生成するまで段階(a)〜(c)を反復する
ことを含む方法。
【請求項43】
下記のうちいずれか1以上を含む、子犬の糞便の質を改変するためのキット:
栄養的に完全な子犬用食物組成物;
代謝性カチオン;
代謝性アニオン;
胃腸管を改善する作用物、下痢止め剤、および抗便秘剤;ならびに
代謝性アニオンおよび/または代謝性カチオンを用いて食物組成物のDCABを増大または低下させて、処置すべき子犬の糞便の状態に応じて糞便の質を調節することにより、子犬の糞便の質を改変するための指示。
【請求項44】
代謝性カチオンが、医薬的に許容できる塩の形のカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびその混合物から選択される、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
代謝性アニオンが、医薬的に許容できる塩の形のリン、塩化物、硫黄、およびその混合物から選択される、請求項43に記載のキット。
【請求項46】
その必要がある子犬において糞便の質を改変するための食物組成物であって約50mEqから約300mEqまでのDCABを有する食物組成物の製造における、代謝性アニオンおよび代謝性カチオンの使用。

【公表番号】特表2010−532993(P2010−532993A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516017(P2010−516017)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/073019
【国際公開番号】WO2009/008882
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】