説明

動物及びヒトの骨軟骨症の予防及び治療

本発明は補足のホウ素含有化合物の動物及びヒトへの投与によって骨軟骨症及び跛行を予防する及び治療するための組成物及び方法を提供する。補足のホウ素含有化合物は動物飼料組成物中で又は動物飼料のための補助食品として提供される。同じく本発明によって提供されるのはホウ素含有化合物で補足され、且つ低減されたリン含有量を有する動物飼料組成物である。本発明は、補足のホウ素を動物に投与することによって、動物によって排泄されるリンの量を低減する方法、動物によるリンの吸収の効率を高める方法、環境のリン汚染を低減する方法も提供する。本発明は、妊娠中、育児中又は授乳中の動物に給餌することによって、補足のホウ素含有化合物を投与することによって動物における離乳前の死亡率を低下させる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はその全体を参照により本明細書に組み入れる2005年6月2日出願の米国特許仮出願第60/687653号の米国特許法第119条(e)の下での利益を主張している、2006年6月2日出願の国際特許出願PCT/US2006/021505の一部継続出願である。
【背景技術】
【0002】
跛行は繁殖適齢期の雌ブタの淘汰及び死の主要な原因であり、毎年2千万頭を超える動物に影響を及ぼしている。成長期の若いブタの少なくとも3〜10%が、跛行に起因して死亡するか又は淘汰されている。骨軟骨症(OC)はこの跛行における主要な因子であり、米国だけでも2億ドルを越える可能性のある経済的損失の原因となっている。
【0003】
OCは成長期の若い動物及びヒトを襲う非感染性の軟骨の疾患である。OCは関節の関節軟骨の及び骨の成長板における骨の発達の変化を伴う異常発達によって特徴付けられる。跛行はOCの変化が痛みの原因となり且つ/又は正常な骨格機能を妨げる際に起こる。
【0004】
OCはブタの跛行の主要な原因である。成長期のブタの20〜80%以上がOCの影響を受けると報告されている。跛行の原因となるほど重いOCはウマ及び大型繁殖イヌの5〜10%及びヒト40人に1人に見られる。OCは成長期の若いウシ、特に雄ウシ、及びヒツジでも報告されている。OCはネコでは稀であるが、報告されてはいる。
【0005】
ヒトにおいて、OCは主に肉体的に非常に活動的な年齢層であり且つまだ成長している骨を有する青年達を悩ます。この疾患は少女達よりも少年達に一般的である。10歳〜15歳の間の子供では、この疾患は肘、膝、又は足の関節で頻繁に現れる。患っているヒトは圧痛、腫れ、及び影響を受けた関節の痛みを覚え、活動するとそれが悪化する。
【0006】
ヒトの子供におけるOCのより一般的な形態は以下の通りである:フライバーグ病、これは12歳〜15歳の間の子供の足の中足骨頭に起こる;レッグ−カルブ−ペルテス病、これは6歳〜9歳の間の子供の腰に起こる;オスグッド−シュラッター病、これは10歳〜15歳の間の子供の膝の膝蓋腱の挿入部の脛骨結節に起こる;パンナー病、これは5歳〜10歳の間の子供の肘の上腕骨遠位部の小頭に起こる;及びシンディング−ラーセン−ヨハンソン病、これは10歳〜15歳の間の子供の膝蓋骨下極に起こる。それぞれのヒトのOC状態に関連する動物の疾患が、種及び血統に関連する「好発部位」と共に観察されている。特に、異なる特定の関節がある決まった種又は血統においてより影響を受けやすく、例えばジャーマンシェパードでは「肘異形成」が発現する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、OCの予防及び治療のための改善された方法は、家畜産業においては大きな経済的価値があると考えられ、動物の苦しみを低減するであろうし、またこの疾患を患っているヒトが経験する痛い関節の不快感及び機能及び運動性の喪失を軽減するのに役立つであろう。
【0008】
さらに、動物飼料中の過剰なリンからもたらされるリン酸汚染が高まりつつある問題である。かかるリンは地下水を汚染する可能性がある。地下水の汚染を低減するためには低減されたリン含有量を有する動物飼料を提供する必要性がある。リン使用の低減は動物生産者達を栄養制御の規制を遵守する上で支援する。
【0009】
加えて、跛行に導く他の因子は:(1)軟骨及び関節下骨における病変;(2)関節表面及び関節下骨の壊死、これは梗塞(局部的血液供給の閉塞によって引き起こされる壊死組織)の数によって評価することができる;(3)成長板の拡幅、これは過形成、壊死及び出血に導くことがある;及び(4)関節軟骨の損傷、これはグリコサミノグリカン(GAG)、ヒドロキシプロリン、及びプロテオグリカン若しくはコラーゲンに関連する又はこれらの成分である他の生体分子の濃度低下によって証明することができる。
【0010】
同時にOC及び跛行の予防及び治療を促進させるリンが低減された動物飼料を提供することができれば大いに好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、ホウ素含有化合物の投与が動物の骨軟骨症を予防及び治療することにおいて有効であるという予想外の発見をした。一実施形態において、本発明は補足のためのホウ素を含有する動物飼料を提供する。動物試料は植物試料を含有する。ホウ素は植物の成長のために必要な元素である。そのようなものとして、すべての植物及びそれ故に動物飼料中のすべての植物材料は、何がしかのホウ素を、例えばトウモロコシ/大豆飼料中には(ホウ素が抽出されていない限りは)10〜20ppmのホウ素を含有する。本発明の動物飼料は、植物材料からの動物飼料中に自然に存在するホウ素に加えて、補足のためのホウ素を含有する。補足のホウ素はホウ素含有化合物として、高められたホウ素レベルを有する植物材料として又は高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物として供給される。本発明の実施のために使用することができるホウ素含有化合物には通常のホウ素源としてホウ酸ナトリウム及びホウ酸がある。しかし、本発明はこれらの形態のホウ素には限定されない。同様に他の無機形態のホウ素、例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ素をホウ酸塩又はホウ酸として放出する有機のホウ素化合物及び錯体も含まれる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素とフルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリンの脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常動物飼料中に約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常動物飼料中に約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素を含有している化合物は通常動物飼料中に約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で含まれる。この動物飼料から利益を得る動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコである。
【0012】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは補足のホウ素を動物飼料に加えることが動物資料中のリン含有量の低減を可能にすることを見出した。したがって、他の実施形態では、本発明は補足のホウ素含有化合物及び低減されたリン含有量を含む改良された動物飼料を提供する。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウム又はホウ酸でよい。しかし、本発明はこれらの形態の補足的ホウ素には限定されない。ホウ素の他の無機形態、例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機ホウ素化合物及び錯体も同様に使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。これらの有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素とフルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。ホウ素はタルクと組み合わせることができ、ホウ素含有化合物とタルクの比は動物飼料に加える前でおよそ以下の通りである:5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1又は25:1。補足のホウ素含有化合物は動物飼料中に約1〜約500、約1〜約150又は約50ppm又は約25〜50ppmの補足ホウ素で含まれ、また全リン含有量は補足ホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して少なくとも3%が低減される。一般的に、動物試料はホウ素を約5〜約150ppmにわたる濃度で補足される。この動物飼料は動物、とりわけブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコに対して適当である。
【0013】
他の実施形態で、本発明は動物によって排泄されるリンの量を低減する方法を提供する。この実施形態では、動物は約1〜約500、約1〜約150又は約50ppm又は約25〜50ppmの補足ホウ素を、ホウ素含有化合物、高められたホウ素レベルを有する植物材料、高められたホウ素レベルを有する酵母又は他の微生物として供給されて含有している改良された動物飼料組成物の飼料を与えられ、動物飼料組成物は補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して少なくとも3%リンが低減されている。一般的に、動物飼料は補足のホウ素を5〜150ppmにわたる濃度で含有する。かかる実施形態では、補足のホウ素を含有している化合物は、ホウ酸ナトリウムでよく、又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この方法は動物、とりわけブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコでの使用に適当である。
【0014】
さらなる実施形態は、動物におけるリンの吸収効率を増加させる方法を提供する。この実施形態では、動物は約1〜約500、約1〜約150又は約50ppm又は約25〜50ppmの補足ホウ素を含有しており、リンの吸収が補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して少なくとも3%向上している改良された動物飼料組成物の飼料を与えられる。かかる実施形態では、補足のホウ素を含有している化合物は、ホウ酸ナトリウム又はホウ酸でよい。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この方法は動物、とりわけブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコでの使用に適当である。
【0015】
さらに別の一実施形態で、本発明は動物農場からの環境へのリン汚染を低減する方法を提供する。この実施形態では、動物は1〜約500、約1〜約150又は約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素含有化合物を含有しており、それによってリンの流出物が補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して少なくとも3%低減されている改良された動物飼料組成物の飼料を与えられる。かかる実施形態では、補足のホウ素を含有している化合物は、ホウ酸ナトリウム又はホウ酸でよい。しかし、無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この方法は動物、とりわけブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコでの使用に適当である。
【0016】
さらなる一実施形態で、本発明はOCの治療を必要としている哺乳動物に治療上有効な量のホウ素含有化合物を投与することによってOCを治療する又は予防する方法も提供する。かかる実施形態では、ホウ素を含有している化合物は、ホウ酸ナトリウム又はホウ酸でよい。しかし、本発明は他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体を用いて使用することもできる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。治療する哺乳動物はヒト又は動物でよい。補足のホウ素含有化合物は骨軟骨症の症状が現れる前に予防措置として投与することができる。本発明から利益を得ることができる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコがある。
【0017】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは補足のホウ素を動物飼料に加えることが、動物の軟骨及び関節下骨における病変の発生率及び程度の低下を可能にすることを見出した。したがって、この実施形態では、本発明は動物の軟骨及び関節下骨における病変の発生率及び程度を低下させる方法を提供する。この実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。かかる実施形態では、飼料は液体の形態でよいこともある。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく、又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この動物飼料から利益を得ると考えられる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコがあり、ヒトもそうである。
【0018】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは動物飼料への補足のホウ素の添加が梗塞(局所的な血液供給の閉塞によって引き起こされる壊死組織)の数によって評価される関節表面及び関節下骨の壊死の予防を可能にすることを見出した。したがって、この実施形態において、本発明は梗塞(局所的な血液供給の閉塞によって引き起こされる壊死組織)の数によって評価される関節表面及び関節下骨の壊死を予防する方法を提供する。この実施形態において、補足のホウ素含有化合物は通常約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約50ppm又は約25〜50ppmの補足ホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。かかる実施形態では、飼料は液体の形態でよいこともある。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この動物飼料から利益を得ると考えられる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコがあり、ヒトもそうである。
【0019】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは動物飼料への補足のホウ素の添加が過形成、壊死及び出血の低減を可能にすることを見出した。したがって、この実施形態で、本発明は過形成、壊死及び出血を低減する方法を提供する。この実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。かかる実施形態では、飼料は液体の形状でよいこともある。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この動物飼料から利益を得ると考えられる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコがあり、ヒトもそうである。
【0020】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは動物飼料への補足のホウ素の添加が成長板の幅(幅の広い成長板は異常な成長及び不適切な骨化を代表する)によって評価される軟骨、成長板及び骨の異形成(異常な発達及び又は異常な構造)の低減を可能にすることを見出した。したがって、この実施形態で、本発明は成長板の幅によって評価される異形成(幅の広い成長板は異常な成長及び不適切な骨化を代表する)を低減する方法を提供する。この実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。かかる実施形態では、飼料は液体の形状でよいこともある。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この動物飼料から利益を得ると考えられる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコがあり、ヒトもそうである。
【0021】
さらなる予想外の発見で、本発明者らは動物飼料への補足のホウ素の添加が、典型的な健康な組織のグリコサミノグリカン(GAG)、ヒドロキシプロリン、及びプロテオグリカン若しくはコラーゲンに関連する又はこれらの成分である他の生体分子のより高い濃度によって証明される、関節軟骨の損傷の低減を可能にすることを見出した。したがって、この実施形態で、本発明は、典型的な健康な組織のグリコサミノグリカン(GAG)、ヒドロキシプロリン、及びプロテオグリカン若しくはコラーゲンに関連する又はこれらの成分である他の生体分子のより高い濃度によって証明される、関節軟骨の損傷を低減する方法を提供する。この実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約1〜約500ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。他の実施形態では、ホウ素含有化合物は通常約1〜約150ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。さらに他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物は通常約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素元素をもたらす濃度で動物飼料中に含まれる。かかる実施形態では、飼料は液体の形状でよいこともある。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この動物飼料から利益を得ると考えられる動物にはブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコがあり、ヒトもそうである。
【0022】
他の実施形態で、本発明は動物の離乳前死亡率を低減する方法を提供する。他の実施形態で、本発明は動物の増殖速度を発情回帰速度及び受胎率を増すことによって向上させる方法を提供する。これらの実施形態では、以前に妊娠したことがある、妊娠中の、育児中の及び/又は授乳中の動物に増加されたホウ素の飼料を与える。飼料は約1〜約500、約1〜約150又は約50ppm又は約25〜50ppmの補足のホウ素含有化合物を含有してもよい。ホウ素は改良された動物飼料組成物に入れて又は乳若しくは水に入れて与えてもよい。一般的に乳、水又は動物飼料は補足のホウ素を5〜150ppmの範囲の濃度で含有する。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸を使用することができる。しかし、他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。この方法は動物、とりわけブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、ネコでの使用に適当である。
【0023】
さらなる実施形態では、ホウ素含有化合物を、飲料水、ミネラル又はビタミンの補助食品に、乳製剤中に、又は他の飼料中に、OCの治療及び予防並びに/又は離乳前死亡率の低減のために添加する。
【0024】
さらなる実施形態で、本発明はホウ−タルク組成物を提供し、ホウ素含有化合物とタルクの比はおよそ5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1又は25:1である。かかる実施形態では、ホウ素はホウ素含有化合物であり、ホウ酸ナトリウム又はホウ酸でよい。しかし、本発明はこれらの形態の補足のホウ素には限定されない。他の無機形態のホウ素例えばホウ酸カルシウムに加えて体内で解離するか又は代謝されてホウ酸塩又はホウ酸としてホウ素を放出する有機のホウ素化合物及び錯体も使用することができる。無機形態の中にはホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムがある。これらの有機形態の中には、普通はホウ酸としてのホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物がある。
【0025】
この例となる実施形態において使用するタルクは様々な商業的供給源から入手可能である。例えば、Luzenac Americaはタルクの一供給元である。Luzenac Americaからのタルク製品の例は、E−Z Flow 40、E−Z−Flow MB、E−Z Flow MT、E−Z Flow RM、及びE−Z Flow VTである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】補足ホウ素処置による骨軟骨症の発症の低減を示すグラフである。
【図2】ブタ右後脚膝の増加する骨軟骨症スコアと補足ホウ素を受け取らないブタの増加する健全性スコアの間の関連を示すグラフである。
【図3】初期成長に関連する健全性スコアの低減における補足ホウ素処置の効果を示すグラフである。
【図4】ホウ素と共に3−NPBの投与することが補足されていないブタに見られる病状と類似の全体的関節病状の有病率及び重症度をもたらすことを示すグラフである。
【図5】ホウ素と共に3−NPBの投与が補足されていないブタに見られる病状と類似の全体的関節病状の有病率及び重症度をもたらすことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
導入
ホウ素は植物の必須栄養素であることが長年知られてきたが、ヒトの生理学におけるホウ素の役割はつい最近になって認識されるようになった。本発明者らは動物及びヒトの食事のホウ素補足の有益な効果を発見した。特に、以前の研究はホウ素含有化合物が骨の疾患、骨粗鬆症を軽減し得ることを示してきたが、本発明者らはホウ素含有化合物が関節及び成長板軟骨の疾患、骨軟骨症(OC)をも軽減することを発見した。
【0028】
骨粗鬆症は骨が脆くなる疾患であり、疾患が進行するにつれて骨がますます折れやすくなる。骨粗鬆症、すなわち多孔性の骨は、低い骨の質量及び骨組織の構造的劣化によって特徴付けられ、それが骨の脆弱性及び腰、背骨、及び手根骨の骨折しやすさの増大に導く。したがって、骨粗鬆症は一般的に完全で正常な発達の後に骨を特異的に襲う疾患である。また、骨粗鬆症はその進行性の性質の故に最も一般的にはより高齢の個人に現れる疾患である。50歳を超えた女性の2人に1人及び男性の4人に1人はその生涯に1回は骨粗鬆症に関連する骨折を経験することになる。
【0029】
対照的に、骨軟骨症は成長中の動物の全身性の骨格の疾患であり、関節及び成長板軟骨における障害に起因する。骨は二次的に影響を受けるに過ぎない。その結果、軟骨形成異常が専門的にはこの疾患を記述するより正しい用語である。さらに進んだ状態、離断性骨軟骨症は、関節表面の小片発生、破砕及び/又は断片化に至る。離断性骨軟骨症は骨軟骨の病変に起因し、軟骨内に潜在する弱さが原因となると考えられている。病変は局所的な正常に機能しない軟骨内骨化によって特徴付けられ、軟骨下骨中に延びて保持された軟骨の領域を生じる。R.John Wardale and Victor C.Duance.Journal of Cell Science 107、47〜59頁(1994年)を参照されたい。
【0030】
OC及び骨粗鬆症の病理生物学の相違の故に−これら2つの疾患は骨系の異なる側面及び異なる年齢層に影響を及ぼす−高齢者の骨の退化性の疾患である骨粗鬆症を軽減する治療が若者の関節中の軟骨の疾患であるOCの治療に役立つであろうとは予想されない。本発明者らは、意外にもホウ素含有化合物がOCの予防及び治療において有用な剤であることを見出した。
【0031】
軟骨の挙動におけるホウ素の役割
関節軟骨の細胞外マトリックス(ECM)は哺乳動物の肢の関節にある向かい合う骨の表面の間に緩衝を提供する。滑液は関節内に収容されている流体である。滑膜は関節、滑液嚢、及び腱鞘を裏打ちしている。滑液の機能は関節空間を潤滑し、且つ関節軟骨に栄養素を輸送することである。関節軟骨は関節での滑らかな曲げ伸ばし操作のための低摩擦の接触点を提供し、また骨を通じて伝達される衝突の衝撃を吸収し、且つ動物の体重を支えることによって関節で緩衝機能をも提供する。軟骨はプロテオグリカン及び水性環境中のコラーゲンネットワークを含む様々な要素から構成されている。
【0032】
プロテオグリカンは、関節で見られる緩衝を維持することにおいてある役割を果たす。軟骨のECMはプロテオグリカンと連結する又はプロテオグリカンによって連結されるコラーゲン繊維のネットワークであると説明されている。プロテオグリカンは柔軟なゲル様材料であり、コラーゲンはプロテオグリカンをあるべき場所に保持する網目ネットワークを形成する。プロテオグリカンは圧縮強度を与え、引張強度はコラーゲンネットワークによって与えられる。関節及び成長板軟骨中のプロテオグリカンは、強い負の電荷を有する硫酸化されたグリコサミノグリカン(GAG)を大量に含有する。生理的なpHでは、これらの負に荷電したGAG分子は軟骨のECM中にナトリウムイオン及び水を引き寄せてプロテオグリカンが「膨張する」原因となる。膨張したプロテオグリカンは圧縮に抵抗する浮揚性圧力をもたらし、したがってコラーゲンネットワーク及びその下にある構造を圧縮損傷から保護する。十分に水和されたプロテオグリカン補完材及び十分に引き伸ばされて張り詰めたコラーゲンネットワークによってより良好な緩衝及びしたがってより大きい圧縮抵抗性が与えられる。
【0033】
本発明をどの特定の機序に限定するものでもなく或いは理論に拘束されるものでもないが、ホウ素がOCにおいてどのように機能するかについての1つの可能性のあるモデルは「よく立てられる仮説」である。この仮説では、ホウ素はプロテオグリカンを架橋して細胞外マトリックスにすることによって機能する。これがどのようにして起こるかについての主張されている1つの機序は、ホウ素が炭水化物、プロテオグリカン、糖タンパク質、糖脂質、脂質、タンパク質、及びアミノ酸の構造の三次元ホウ素エステル架橋をもたらすというものである。軟骨及び神経組織などの細胞外膜構造の場合は、これは様々な形態及び種類のコラーゲンなどの複合タンパク質であるアグリカン(軟骨の大きな凝集プロテオグリカン)などのプロテオグリカン、及び軟骨結合タンパク質などの関連するタンパク質を含むと考えられる。プロテオグリカンの架橋はマトリックスを安定させ且つ一体化し、圧縮力のより良好な分配及び滑膜の緩衝能力を低下させるプロテオグリカンの損失を防ぐことを可能にする。対照的に、ホウ素はヒドロキシル化ステロイドの血漿レベルを増加させることによって骨粗鬆症を予防するように機能する。米国特許第4849220号を参照されたい。したがって、ホウ素が骨粗鬆症とは全く異なる病因を有するOCなどの軟骨の疾患を治療するのに有効であろうということが予測されたことはないと考えられる。骨粗鬆症では、骨そのものが直接影響を受ける。OCでは、軟骨が影響を受ける。
【0034】
OCの病因及び病状
OCの正確な原因はまだ分かっていないが、この疾患の進行のいくつかの機序が示唆されてきた。圧縮力の影響は成長しつつある及び遷移しつつある軟骨に損傷を生成することにおいて主要な因子であると思われる。ブタにおける研究は正常な骨端成長の間の血液供給の局所的変化が骨軟骨症の発症原因の中核をなすことを示唆してきた。軟骨管(canal)は成長中の軟骨内部の一時的な血管を収容している構造である。この管は加齢と共に徐々に軟骨化の過程の間に退行し、管の内部に収容されていた血管は軟骨で置き換えられる。骨軟骨症に関連する病変の形成は早期の軟骨化及びこの管の退化に関連付けられてきた。特に、血液供給の早期の途絶の結果は遮断点から遠位の軟骨管の壊死に至る。Ytrehusら、Bone 35巻:1294〜1306頁(2004年)を参照されたい。したがって、重症の臨床的骨軟骨症は急速に体重が増加する成長の速い動物に最も多く現れることは驚くに当たらない。Wardale及びDuance、Journal of Cell Science 107巻:47〜59頁(1994年)を参照されたい。
【0035】
骨軟骨症では、軟骨のプロテオグリカンが滑膜細胞及び軟骨細胞由来のマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)の作用によって吸収されることもヒト及びイヌで実証されている。Shinmeiら、1991年;Okadaら、1992年;Mehrabanら、1994年を参照されたい。軟骨の細胞外マトリックスからのプロテオグリカンの喪失は、軟骨の圧縮力を吸収及び緩衝する能力の低下に導く。
【0036】
OCにおけるホウ素の役割
OCにおけるホウ素不足の寄与をさらに探るため、及びホウ素がOCにおいて四価の架橋を通じて機能するかどうかを試すために、3−ニトロフェニルホウ酸(3−NPB)を動物に投与した。3−NPBは、正常にはホウ酸又はホウ酸塩によって占められている位置に結合することによって、架橋を妨げる。その結果を実施例5に記載する。3−NPBで処置した動物は増加した跛行及びOCの臨床症状を示した。跛行の増加は、食事にホウ素を補足することによって防ぐことができた。これらの実験は、ブタ、ウマ、ウシ、及びイヌにおいてOCはホウ素レベルとの直接相関があることを示す。
【0037】
動物のOCの治療のためのホウ素化合物
OCは家畜、特にブタ、において広範な発生があるので、本発明は補足される動物飼料にホウ素含有化合物を補足することによってOCを予防及び治療する安全で有効な手段を開示する。ホウ素は植物の成長に必要な元素であるので、少なくとも部分的に植物材料に由来する動物飼料が基礎的なレベルのホウ素を含有することは当業者には認識されている。例えば、通常のアルファルファは約37ppmのホウ素を含有する。したがって、本明細書で使用する補足のホウ素という用語は、広く使用される動物飼料中に既に存在するホウ素の基礎レベルを補足する外部源によって添加されたホウ素のことを言うものである。本開示においてホウ素という用語を使用する場合は、それは元素であるホウ素及びホウ素含有化合物の両方を示すことができる。本発明の実施のために有用なホウ素含有化合物は、どの適当な有機又は無機のホウ素含有化合物をも含むことができ、ホウ素含有ミネラルを含む。好ましいホウ素の形態にはホウ酸ナトリウム及びホウ酸がある。他の有用な無機形態のホウ素にはホウ酸カルシウムが含まれる。当業者は本発明において使用することができる他の無機形態のホウ素には以下のものとのホウ酸塩が含まれることを認識するであろう:マグネシウム、ハロゲン、アンモニウム、カリウム、鉄及びマグネシウム、タンタル、ベリリウム及びニッケル、炭酸塩、ナトリウム及びカルシウム、ヒ素、カルシウム及び希土類、硫酸塩、マグネシウム及びカルシウム、マンガン、アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム、リン酸塩、錫、亜鉛、並びにストロンチウム。他の形態には以下のものが含まれる:ホウケイ酸塩又はケイホウ酸塩とカルシウム、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム及び希土類、鉛、バリウム、リチウム、並びにフルオロボレートとナトリウム。天然の無機ホウ素含有化合物は様々な鉱物名で熟練した当業者に知られており、かかる呼称のほんの数例を挙げると、例えばホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト(suanite)、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイアーホッファライト(meyerhofferite)、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイト(searlesite)などである。無機ホウ素化合物及び鉱物のリストはJoseph William Mellorによる「Mellorの無機及び理論化学に関する包括的論文に対する補足(Supplement to Mellor’s Comprehensive Treatise on Inorganic and Theoretical Chemistry)」、5巻Boron、Longman Group Limited、London、1980年で見出すことができる。
【0038】
有機ホウ素含有化合物の例は当業者には周知である。かかる有機ホウ素含有化合物の例は米国特許第4312989号、第4499082号、及び第5312816号で見出され、これらのすべてが参照により本明細書によって組み入れられる。本発明の実施において有用な有機ホウ素の形態には有機ホウ素錯体例えばホウ素スレオニン、ホウ素メチオニン、及びアスコルビン酸ホウ素、加えて他のアミノ酸との有機ホウ素錯体がある。これらのアミノ酸には遺伝子コードによって指定される20種の一般的アミノ酸だけでなく遺伝コードによってコードされない変形及び修飾アミノ酸も含まれ得る。これらは迅速に代謝されてホウ酸塩又はホウ酸を放出するホウ素の有機形態の例である。有機ホウ素の他の有用な形態はホウ素炭水化物錯体例えば米国特許第5962049号で開示されているものなどである。ホウ素と有用な錯体を形成する炭水化物にはフルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、及びソルボースなどのサッカリドなどがある。フルクトースとの錯体であるホウ素の市販されている形態はFutureCeuticalsから入手可能なFruitex B(商標)であり、米国特許第5962049号に記載されている。
【0039】
本発明の実施において使用することができるホウ素の他の有機形態には以下のものが含まれる:ホウ素化された修飾デンプン(加水分解された又は酸化されたデンプンなど)、ホウ素化された非修飾デンプン、ホウ素化されたデキストリン、ホウ素化されアミド化糖類(グルコサミン又はマンノサミンなど)、グリセリン脂肪酸のホウ酸エステル、ホウ酸−サリチル酸錯体、ビスオキサラートボレートの塩(ナトリウム又はカリウム塩など)、カルシウムボロスクロース、ホウ酸エステル((RO)3Bなど)アルコールアミンボレートエステル、及び糖酸(サッカリン酸及びグルコン酸など)とのボレート錯体、アミノ化糖酸とのボレート錯体。本発明において使用するのに特に望ましい1つの糖酸はボログルコン酸カルシウムである。ホウ素のさらにもう1つの形態はホウ素化することができるアニオン交換樹脂である。ホウ素化することができる1つのかかる樹脂はAmberlite(商標)である。
【0040】
ある特定のホウ素含有化合物が本明細書に記載されている場合は、その化合物のすべてのあり得る水和物、薬剤として許容される塩、エステル、アミド、錯体、キレート、立体異性体、幾何異性体、結晶又は無定形の形態、代謝物、代謝前駆体又はプロドラッグも化学構造式又は化学名によって別々に記載されていることを意味することが当業者には理解されよう。さらに、本明細書に記載されているいずれかのホウ素含有化合物が立体化学を含む場合は、その化合物のすべての鏡像異性及びジアステレオマー形態が意図されている。したがって、当てはまる場合は、ホウ素含有化合物はすべての異性体形態を含めてラセミ体、ラセミ混合物及び個々のジアステレオマー又は鏡像体として存在することができる。ラセミ体又はラセミ混合物は必ずしも立体異性体の50:50混合物を意味しない。
【0041】
さらに、本発明のホウ酸塩は、FDA認可の及びFDA無認可のものを含む多くの異なる等級を包含することが当業者には理解されよう。したがって、本発明の実施において使用することができるホウ酸塩の等級には以下のものがある:医薬品等級又は処方薬等級、原子炉等級、肥料等級、工業用等級、殺虫剤等級、及び特殊品質(SQ)等級。
【0042】
ホウ素含有化合物の使用のための適当な範囲は、動物飼料中に天然に存在するホウ素を約1〜約500ppm上回る動物飼料中のホウ素の補足を含む。補足のための他の1つの適当な範囲は、約1〜約150ppmである。図1、3及び4に示すように、本発明者らは25ppm〜50ppmの補足のホウ素がブタにおけるOCの発生の顕著な低減をもたらすことを見出している。したがって、一実施形態で、本発明は25ppm〜50ppmのホウ素含有化合物で補足された動物飼料組成物を提供する。一実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムである。他の実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸である。疾患の重さ又は治療される動物に応じてホウ素の他の濃度を使用することができることは当業者には明白であろう。さらに、他の補足のホウ素含有化合物も本発明の実施において使用することができることは当業者には明白であろう。
【0043】
本明細書に記載のホウ素はタルクと組み合わせることができる。ホウ素含有化合物とタルクの比はおよそ以下の通りであり得る:5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1又は25:1。
【0044】
動物飼料中への補足のホウ素の組込み
動物飼料の製造のための様々な方法が当技術分野において知られている。これらの様々な方法は、動物に与えたときにOCに対して有益な効果を有する量で、補足のホウ素の飼料中への包含を可能にするように適合させることができる。
【0045】
例えば、上記で開示した量の補足のホウ素を米国特許第3946109号に記載されているものなどの動物飼料組成物中に組み込むことができる。或いは、様々な他の飼料組成物がPurina、ADM、Land O’Lakes、及びMoorman’sなどの供給元から市販されている。補足のホウ素は、例えば米国特許第4189240号で開示されている混合方法を使用して選択された組成物中に混合することができる。補足のホウ素を含有している組成物は、米国特許第5120565号で開示されているものなどの動物飼料の飼料ブロックを形成するために使用することができる。或いは、補足のホウ素は米国特許第4777240号で開示されている噴霧乾燥などの方法によって形成される動物飼料組成物中に組み込むことができる。これらの特許の引用は、単に補足のホウ素を動物飼料製品中に組み入れるために当技術分野において利用可能な様々な方法を例示するためであり、本発明の実施をこれらの方法のいずれか1つ又は複数の使用に限定しようとするものではない。
【0046】
本発明を実施するために動物飼料中に組み込むことができる他のホウ素源には、ホウ素が多い酵母調製物が含まれる。酵母を動物飼料に組み込むことは既に慣行である。したがって、高められたホウ素レベルを有する酵母を動物飼料に含めることはかなり直接的な方法である。或いは、高められたホウ素レベルを有する土壌で育てた作物を、特に動物飼料中に組み込むことができる高められたホウ素源として供給する目的のために収穫することができる。かかる高められたホウ素レベルは土壌中に自然にあることがあり、ホウ素汚染から生じることもあり、又は施肥若しくは他の手段によって土壌に加えられることもある。或いは、補足のホウ素含有化合物はビタミン及びミネラルをも含有する栄養補助飼料、基本混合物、並びに予混合物に加えることができる。かかる栄養補助飼料、混合物、又は予混合物は通常最終動物飼料組成物の0.5%〜30%を構成する量で加えられる。かかる実施形態では、動物飼料中への希釈前のホウ素元素の濃度は、全日量にわたって1〜500ppmの補足のホウ素等価量をもたらすためにはずっと高くなるであろう(約3倍〜200倍高い)。
【0047】
もう1つの代替法は動物飼料を、ホウ素含有量が自然に高いアルファルファ、ブドウ又はコーヒー粉砕物などの飼料で補足することである。加えてこれらの飼料及び他の飼料は、上記の高められたホウ素条件下での育成によって又は遺伝子組換え植物技術若しくは他の組換え方法の手段によって、より高いレベルのホウ素を含有するように操作することができる。
【0048】
さらなる実施形態では、補足のホウ素含有化合物は、栄養補助飼料として直接手で与えることができるか又は動物飼料上に「飾る」ことができる。かかる実施形態は他の栄養素、賦形剤、又は香味料を含有する製剤にある可能性がある。例として、補足のホウ素並びに他のビタミン及びミネラルを含有するウマの栄養補助飼料を小さなスプーン若しくはカップを用いて又はバー若しくはペレットの形態でウマに与えることができる可能性がある。或いは、この栄養補助飼料を動物の飼料の上に載せるか又は中に混合することができる可能性がある。
【0049】
かかるホウ素はホウ素−タルク組成物として動物飼料に供給することができる。ホウ素−タルク組成物中のホウ素含有化合物とタルクの比はおよそ以下の通りであり得る:5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1又は25:1。
【0050】
必要とあれば、ホウ素のレベルは当技術分野で知られている様々な方法によって正確に決定することができる。米国特許公開第20040020840号及びその中で開示されている特許は、かかる方法のいくつかを記載している。
【0051】
動物飼料のリン含有量の低減及び離乳前死亡率の改善
動物飼料中の過剰なリンからもたらされるリン酸塩汚染は増大しつつある問題である。例えば、通常のコーンミール/大豆ミールの飼料の中のリンの約70%は、NRCの1998年のブタの栄養素必要量(National Research Council’s 1998 Nutrient Requirements for Swine)によれば、ブタには利用可能ではない。この利用できないリンは最後には糞尿中に排泄される。ブタの糞尿中の高いリン含有量はブタ飼育に関連する環境汚染に寄与する。ブタの生産システムにおいて排泄される栄養素、特にリン、の量を減少させることは環境上の優先事項であり且つブタ産業が直面する重要な経済問題である。したがって、ブタに与える飼料を配合するために使用する飼料成分中のリンの生体利用率を高める手段が望ましい。本発明者らは、ブタの飼料中に補足のホウ素を含めることによってブタの飼料中に存在するリンの増大した吸収及び利用がもたらされることを見出した。補足のホウ素は骨のリン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)中へのリン酸塩の効率的な組込みを促進する。この効果は他の動物においても同様に当てはまると予想される。
【0052】
本発明者らは、ブタの飼料などの動物の飼料からのリンの吸収及び利用の効率を増大させることによって、通常のブタの飼料製剤中のリンの量を低減することができることを見出した。これらの結果は実施例4で示す。ブタの飼料からのリンの増大された利用はブタの飼料中のリンの当初の量の低減と合わさって、ブタの飼育からもたらされるリン酸塩汚染の低減に寄与すると予想することができる。したがって、本発明によって教示される動物飼料中の補足のホウ素の包含はOCの予防及び治療に寄与するだけではなく、それは汚染の低減にも寄与するであろう。前述の議論はブタに焦点を置いていたが、本発明はブタの飼料からのリンの低減に排他的には限定されない。むしろ、当業者はリンの使用の低減はすべての動物に適用可能であることを認識するであろう。
【0053】
軸骨格の大部分の骨の形成は軟骨モデルの形成で始まり、それが石灰化され且つカルシウム及びリン酸塩でミネラル化された骨に再モデルされる。補足のホウ素がこの過程の効率を高める。それによって補足のホウ素がこの過程の効率を高めるという主張されている機序は細胞外マトリックスの安定化を経るが、他の機序もあり得る。
【0054】
補足のホウ素は軟骨の転化/骨のミネラル化の効率を向上させそれが骨の構造的完全性及び骨のミネラル化特性を向上させる。カルシウムは十分な骨の強度を助成するレベルで飼料に加えられる。最適の骨の強度を助成するカルシウムのレベルはまた、逆説的にリンの腸内吸収を抑制する。リンの吸収も飼料のリンレベルが低減されたときにより効率的である。本発明者らは補足のホウ素の動物飼料への添加が骨のミネラル化を促進し且つ骨の強度を維持しつつ動物飼料中のカルシウム及びリンの両方の比例的な3〜5%の低減を可能にすることを発見した。
【0055】
下記表1にそのデータを示す「ブタの栄養素必要量(Nutrient Requirements of Swine)」についての1998年のNRC報告は、カルシウム及びリンについての通常の必要量はブタの一生の間に変化することを示している。骨格の骨がまだ発達している初期では、より大量のカルシウム及びリンが骨の成長の増大を支えるために必要とされる。カルシウム及びリンに対する必要量はブタが成熟して骨の発達が完了すると減少する。以下に提示するデータはブタについてのものであるが、カルシウム及びリンの必要量における類似の傾向が他の動物の一生の間にも観察される。
【表1】

【0056】
様々な動物の飼料中の補足のホウ素の包含は動物の生涯を通じてカルシウム及びリンのレベルを少なくとも3%低減することを可能にする。したがって、カルシウムとリンの比率を一般的に表1に示すそれぞれの体重範囲で一定に保ちつつ、補足のホウ素含有化合物の添加の故に、カルシウム及びリンの絶対量を少なくとも3%低下させることができる。
【0057】
したがって、他の実施形態で、本発明は補足のホウ素を低減されたレベルのリンと共に含有する動物飼料を提供する。一実施形態では、補足のホウ素は好ましくは約1〜約500ppmの濃度のホウ素元素で提供され、リンのレベルは補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して3〜5%低減される。カルシウムのレベルは一般的にリンのレベルと同程度に低減される。しかし、補足のホウ素含有化合物がホウ酸カルシウムやボログルコン酸カルシウムなどのカルシウム塩として供給される場合には、動物飼料中のカルシウムのレベルもそれに対応して低減することができることは認識されるであろう。かかる化合物の1つ、ボログルコン酸カルシウムは、ウシ、ヒツジ、及びヤギの低カルシウム血症を治療するために既に使用されている。他の実施形態では、補足のホウ素の濃度は好ましくは約1〜約150ppmであり、リンのレベルは補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して3〜5%低減されている。さらに他の実施形態では、補足のホウ素の濃度は好ましくは約25ppm〜50ppmであり、リンのレベルは補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較して3〜5%低減されている。
【0058】
他の実施形態で、本発明は動物での離乳前死亡率を低減する方法を提供する。この実施形態では、妊娠中、育児期又は授乳期の動物に約1〜約500、約1〜約150又は約50ppm若しくは約25〜50ppmの補足のホウ素含有化合物を含有している改良された動物飼料組成物の飼料を与え、この動物飼料組成物は補足のホウ素を含まない同等の動物飼料と比較してリンが少なくとも3%低減されている。一般的に、動物飼料は補足のホウ素を5〜150ppmの範囲の濃度で含有する。かかる実施形態では、補足のホウ素含有化合物はホウ酸ナトリウムでよく又はホウ酸若しくは本明細書に記載のホウ素の他の無機形態を使用することができる。
【0059】
ヒトにおけるOC
様々な発現をする骨軟骨症は、それが報告されてきた6種の動物で驚くほど似ていることが分かっている。これが専門家達に、ヒトにおける骨軟骨症は動物で観察されてきたものと同じ病因、発症機序、及び病状を有するのであろうと予期される、と主張することを促した。Olsson、S.E.及びReiland、S.1978年を参照されたい。「動物における骨軟骨症の性質−ヒトにおける離断性骨軟骨症と同等の態様との要約及び結論(The nature of osteochondrosis in animals−summary and conclusions with comparative aspects on osteochondrosis dissecans in man)」、Acta Radiologica Supplement No.358:299〜306頁。
【0060】
ヒトにおける骨軟骨症は、Dorland’s Medical Dictionaryで以下のように定義されている:変性又は壊死として始まり再生又は再石灰化が続く子供の成長中心又は骨化中心の疾患。骨端の虚血性壊死とも呼ばれ、それは(1)踵骨(os calcis)に影響を及ぼすことがあり、時には骨端炎と呼ばれる状態であり;(2)大腿骨の小頭の骨端炎(head)に影響を及ぼすことがあり、レッグカルベペルテス病、ペルテス病、ワルデンストローム病、扁平股関節、及び擬似股関節痛として知られている状態であり;(3)腸骨に影響を及ぼすことがあり;(4)手首の月状骨に影響を及ぼすことがあり、キーンベック病として知られており;(5)第二中足骨頭に影響を及ぼすことがあり、フライバーグの亀裂骨折として知られており;(6)舟上骨(足舟骨)に影響を及ぼすことがあり;(7)脛骨粗面に影響を及ぼすことがあり、オスグッドシュラッター病及びシュラッター病と呼ばれており;(8)椎骨に影響を及ぼすことがあり、ショイエルマン病又は脊柱後湾症、若年性脊柱後湾症、椎骨骨端炎、及び若年性脊柱背湾症と呼ばれており;(9)上腕骨小頭に影響を及ぼすことがあり、パンナー病と呼ばれている。
【0061】
ヒトの子供において影響を受ける関節の位置をブタにおいて影響を受ける領域と対比することができる。ブタでは、骨軟骨症は病変の重大性の順に挙げた次の領域で見つけることができる:1.関節骨端の病変:膝関節、肘、腰の椎間関節滑膜、後脚の膝、肩、及び腰、2.成長板の病変:遠位尺骨、大腿遠位、肋骨肋軟骨連結部、大腿骨頭、上腕頭、坐骨結節、及び腰胸部椎骨、3.骨端線離開及び骨端(apophysiolysis)病変:関節窩、坐骨結節、大腿骨頭骨端、椎骨骨端、肘突起、及び遠位尺骨骨端。
【0062】
ブタとヒトの疾病の類似性の故に、本発明のもう1つの実施形態はヒトにおけるOCの治療及び予防である。ホウ素化合物はOCを患っている患者に投与することができる。本発明の実施のために有用なホウ素含有化合物は、任意の適当な有機、無機、又は鉱物のホウ素含有化合物を含むことができる。好ましいホウ素の形態にはホウ酸ナトリウム及びホウ酸がある。他の有用なホウ素の無機形態はホウ酸カルシウムを含む。有機ホウ素含有化合物の例は当業者には周知である。かかる有機ホウ素含有化合物の例は米国特許第4312989号、第4499082号及び第5312816号で見出される。ヒトにおいて使用することができる投与量は1〜13ppmを含む。
【0063】
ヒトにおける使用のためのホウ素の配合剤
以下にヒトに有用な投与方法を記載する。特に有用な1つの投与方法は、ミネラル又はビタミンの栄養補助食品として、例えば食品又は丸剤の形態でホウ素を提供することである。しかし、以下に多くの方法を開示するが、ヒトに対して特に適用可能な方法は、動物に対するホウ素の投与のためにも同様に使用することができることは十分に理解されるであろう。
【0064】
本発明のホウ素含有化合物のための特に有用な1つの投与の形態は、錠剤として経口で摂るか又は食品に添加することができるビタミンを有するミネラルの補助食品としてである。マルチビタミン及びミネラルの補助食品は、疾病の予防のため及び必須栄養素の不適切な食事からの摂取などの因子から生じる栄養の不足を補填するために必要な微量栄養素の適切な摂取を確実にすることによる、健康の維持及び向上において有用である。ビタミン及びミネラルの調製物は一般的栄養補助食品として又は特定の病状を治療するために広く投与されている。したがって、本発明の補足のホウ素含有化合物はビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンアミド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸、カルニチンなどのビタミン、シリコン、モリブデン、ゲルマニウム鉄、リン、ヨウ素、マグネシウム、亜鉛、セレン、銅、クロム、カリウム、コリン、リコペン、及び補酵素Q−10を有するミネラル補助食品として投与することができる。補足のホウ素含有化合物を加えることができるミネラル補助食品製剤の例は米国特許第4752479号、第5869084号、及び第6361800号で見出すことができる。本発明のホウ素化合物を含有しているかかる補助食品はチュアブルビタミン錠剤として、又は飲料に加えることができる補助食品として、又は食品に加えることができる補助食品として投与することができる。
【0065】
本発明の方法を実施する際は、ホウ素化合物はそれ自体を又は薬剤として許容される組成物の成分として投与すればよい。薬剤中で使用する場合は、補足のホウ素化合物の形態は薬理学的に及び薬剤としての両方で許容されるべきである。
【0066】
したがって、本発明は活性薬剤(ホウ素化合物)を1つ又は複数の薬剤として許容されるそのキャリア及び任意選択でいずれかの他の治療用成分と一緒に含む、獣医用及びヒトの医療用の両方の薬剤製剤中で提供されるホウ素化合物を用いて実施することができる。キャリアは、製剤の他の成分と適合性であり且つその受容者に対して不当に有害ではないという意味で、薬剤として許容されなければならない。活性薬剤は上記の通り所望の薬理学的効果を達成するのに有効な量で且つ所望の一日当たりの投与量を達成するために適切な量で加えられる。
【0067】
製剤は経口、直腸、局所、鼻腔、眼、又は非経口(皮下、筋肉間、及び静脈内を含む)での投与のために適当なものを含む。非経口投与に適した製剤が好ましい。
【0068】
製剤は、好都合には単位投与形態で提供されることができ、且つ製薬技術分野で周知のいずれかの方法で調製することができる。すべての方法は活性化合物を1つ又は複数の付帯成分を構成するキャリアと組み合わせる段階を含む。一般的に、製剤は活性化合物を液体キャリア、細かく分割された固体キャリア、又は両方と均一に且つ密接に組み合わせ、次いで、必要とあれば、製品を所望の製剤に成形することによって調製することができる。
【0069】
経口投与に適当な本発明の製剤は、粉末としての又は顆粒の形態の活性成分の所定量をそれぞれ含有しているカプセル、カシェ剤、錠剤又はトローチなどの個別の単位として;或いはシロップ、エリキシル、エマルジョン、又はドラフトなどの水性液体又は非水性液体中の懸濁物として提供することができる。
【0070】
錠剤は、任意選択で1つ又は複数の付帯成分と共に圧縮又は金型成形によって造ることができる。圧縮錠剤は適当な機械の中で圧縮することによって調製することができ、活性化合物は粉末又は顆粒などの流動性のよい形態であり、任意選択で結合剤、崩壊剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、又は離型剤(dischanging agent)と混合される。粉末の活性化合物の適当なキャリアとの混合物を含む金型成形された錠剤は適当な機械の中で金型成形することによって造ることができる。
【0071】
投与のための組成物の1つの望ましい製剤は、使用前に水又は他の適当な飲料又は液体を用いて溶解又は希釈するための粉末形態である。或いは、組成物は栄養価を高められた液体形態の飲料の部分としてすぐに使える形態中に含有されることができる。ホウ素含有化合物はミルク代用物に加えることもできる。組成物はカスタード又はフラン様テクスチャーを有するプディング又は即座の消費のために適当なバーの形態中に含有されることもできる。
【0072】
シロップは濃縮された糖、例えばスクロースの水溶液に活性化合物を加えることによって造ることができ、これに任意の付帯成分を加えることもできる。かかる付帯成分は、香味料、適当な保存料、糖の結晶化を遅らせるための剤、及び任意の他の成分の溶解性を増大させるための剤、多価アルコールなど、例えばグリセリン又はソルビトールを含むことができる。
【0073】
非経口投与に適した製剤は好都合には活性化合物の滅菌水性調製物を含み、それは好ましくは受容者の血液と等張である(例えば、生理食塩水)。
【0074】
鼻腔用スプレー製剤は活性化合物の精製された水溶液を保存料及び等張剤と共に含む。かかる製剤は好ましくは鼻腔粘膜に適合するpH及び等張状態に調節する。
【0075】
直腸内投与のための製剤は、ココアバター、水素化脂肪、又は水素化脂肪カルボン酸などの適当なキャリアを有する座薬として提供すればよい。
【0076】
局所用製剤は、鉱油、石油、多価アルコール、又は局所用医薬製剤のために使用される他の基剤などの1つ又は複数の媒体中に溶解又は懸濁させた活性化合物を含む。
【0077】
前述の成分に加えて、本発明の製剤はさらに希釈剤、緩衝剤、香味料、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、保存料(酸化防止剤を含む)などから選択される1つ又は複数の付帯成分を含むことができる。
【0078】
以下の実施例は、本発明のいくつかの好ましい実施形態をより詳細に明らかにする。実施例は本発明を例示するものであるが、それらは本発明を限定することを意図するものではない。本明細書に引用する特許は参照によりそれらの全体を組み入れる。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
ホウ素の補足及びブタにおけるOCに随伴する跛行に対するその効果
材料及び方法
19頭のブタ、デュロック及びヨークシャーのブタのグループ3組を血統、リッター(同腹の子のグループ)及び体重に関しては無作為に区分した。基本飼料はホウ素10ppmを含有する市販のトウモロコシ/大豆飼料から成っていた。
【0080】
試験飼料グループBには基本飼料に加えてホウ素25mg/kgをホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)として給飼料した。試験飼料グループAには基本飼料に加えてホウ素25mg/kgをホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)として及びアスコルビン酸250mg/kgを給飼料した。
【0081】
ブタは試験開始時、4週間後及び試験終了まで3週間毎に計重した。それぞれの計重時に動物を健全性について5点の尺度で採点した。(5点の尺度:1=健全性の欠陥なし;2=軽微な健全性の問題があるがなお繁殖動物としての保有のためには十分に健全である;3=繁殖動物としての保有には十分に健全ではないがまだ市場には出せる;4=不健全、屠殺時に拒絶される可能性が高い;5=ひどく歩行困難、人道的理由で安楽死を要する)。等級付けはすべての計量時に世話をする者及び研究者によって行われた。1人の熟練した独立で処置のことは知らない評価者もそれぞれの動物の健全性を評価し、彼が提供した評価を、世話をする者及び研究者の評価とコーエンのカッパ(Cohen’s Kappa)試験を使用して比較した。
【0082】
動物達は近代的なカーテンで囲われ深いわらの寝床を有し何時でも飼料及び水にアクセスできる家畜小屋に収容した。給水器及び給飼料器はコンクリートパッド上にあったが、残りの床は石灰岩の粉末及び砂敷きを覆う深いわらであった。割り当てられた床の広さは「農業の研究及び教育における農業動物の世話及び使用のための指針(Guide for the Care and Use of Agricultural Animals in Agricultural Research and Teaching)」、改訂1版、1999年、Federation of Animal Science Societies、Savoy、ILの推奨値を超えていた。
【0083】
この研究におけるブタは通常のトウモロコシ−大豆ミール飼料を与えられ、この飼料はMoorman’s社からの権利保護された市販の栄養補助剤を製造元の提案する含有率で含有していた。基本飼料(ホウ素は補足されていない)は分析されてホウ素を10ppmの率で含有していることが見出されたが、これはトウモロコシ−大豆ミールに基づく飼料については通常である。
【0084】
動物は1日に2回世話をする者によって観察された。
【0085】
10月中頃に1頭のブタが深刻に歩行困難であることが観察され、安楽死させて死体解剖を行った。11月中頃にさらに3頭のブタ、歩行困難なデュロック1頭、健全なヨーク1頭及び健全なデュロック1頭(歩行困難なブタと同じリッター)を安楽死させて観察の目的で死体解剖を行った。
【0086】
研究の終りにブタを実験室に移送し、そこでそれらを安楽死させて死体解剖を行った。グループB及びグループAそれぞれの6頭のブタは研究の終りの7日間は対照飼料に切り替えた。
【0087】
死体解剖では、肝臓、心臓、腎臓、脂肪、骨格筋、脛骨近位端、血液、及び鼻先端部の試料を保持し、化学分析の前に−40℃で冷凍した。軸骨格のすべての関節を骨軟骨症の大きな病変の存在について評価し、5点の尺度で格付けした。(5点尺度:1=大きな異常なし;2=関節の形態における軽微な不完全性又は関節の赤化が存在するが、軟骨の侵食はない;3=軟骨は損なわれていないが軟骨の表面に凸凹がある;4=関節軟骨の亀裂又は侵食が明白;5=全厚みにわたる軟骨の病変又は軟骨のはためき、離断性骨軟骨炎が明らかに存在する)。
【0088】
大腿骨近端(大腿骨頭)及び関節表面及び膝関節、後脚の膝、肩、肘及び手根骨と結合している成長板を帯鋸で切片とし、約0.5〜1.0cmの切片をホルマリン中で固定した。骨の切片はギ酸/クエン酸ナトリウムで脱灰しパラフィンに埋め込んで5ミクロンの切片にした。切片は標準的な手順に従って脱パラフィンした。それぞれの関節及び成長板から2つの切片を作り、関節軟骨、軟骨下骨及び成長板の評価のためにヘマトキシリン/エオシン(H&E)で又はトルイジンブルー(pH4)/ファストグリーンで染色した。
【0089】
治療による及びホウ素及びアスコルビン酸塩因子による平均関節病変スコア、成長速度及び健全性スコアを変動の解析、及び適切な場合はt検定を使用して比較した。健全性スコアを2値カテゴリー変数、跛行あり(健全性スコア>2)及び欠陥なし(健全性<2)、に二分し、2値変数をカイ二乗及びロジスティック回帰によって解析した。
【0090】
骨軟骨症の病変の存在についてH&Eで染色した組織試料を顕微鏡観察で調べた。トルイジンブルー染色はプロテオグリカンの保持又は軟骨の細胞外マトリックス(ECM)からの喪失の評価を可能にした。それぞれの組織切片は処置のことは知らない有資格の病理学者によって採点された。
【0091】
さらに、特定の関節及び構造がより詳細な組織形態計測による解析のために選択される。骨端の試料及び成長板の試料の両方がホウ素処置された動物及び処置されていない動物から得られた。
【0092】
結果はホウ素の補足が成長中のブタにおける骨軟骨症の発生に随伴する跛行の減少に有効であり得るということを示している。ホウ素で補足された動物は補足のホウ素を有していない基本飼料を与えられたものよりも健康な関節を有していた(図1)。ホウ素を与えられていないブタにおける増加する健全性スコア(より高い得点=増加する跛行/脚の不健全性)は増加する跛行と関連している(図2)。図3は初期の急速な成長の(10月23日の体重)、研究終了時(12月18日)の健全性スコアに対する影響を例示している。ホウ素を与えられず且つ急速に成長したブタは脚の不健全性及び跛行を発現しがちである。ホウ素の補足は急速に成長しているブタにおける軟骨の保護及び跛行の予防に有用であったが、処置されなかったグループはブタにおける骨軟骨症に特有の軟骨の損傷の存在と明らかに関連する跛行及び脚の不健全性の高い発生率を示した。
【0093】
軟骨のさらなる顕微鏡解析では、141個の軟骨及び成長板の切片を、ギ酸塩脱灰及びH&E及びトルイジンブルーを用いる染色によって調製した。トルイジンブルー(TBlue)染色は硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)含有量の半定量的な目安を提供した。ホウ素を補足されたグループ内の一貫してより高いTBlue染色強度は、ホウ素を補足されたブタからの軟骨中のより高いsGAG含有量を示唆していた。(ホウ素のこの効果はSGAG分析手順によって確認されている)。病変はブタの組織を専門とする経験のある有資格の病理学者によって評価された。病変は2つの要因に分類される。1つの要因は、壊死、不完全骨折(亀裂)、出血又は好酸性マトリックス条斑の有無を含み、軟骨表面の構造的完全性の目安を提供し、もう1つの因子は、過形成及び異常な分化を含み、成長板の拡幅に関連する成長板の状態の目安を提供する。拡幅に随伴する成長板の病変は、ホウ素25ppmを与えられているブタからの組織の19%と比較して、補足されていないグループからの組織の57%に見出される。関節軟骨の病変(壊死、出血、不完全骨折、又は条斑)は、補足のB25ppmを与えられているブタからの組織の4%と比較して、補足されていないブタからの組織の21%に見出される。これらのデータは、ホウ素の補足が関節軟骨及び成長板の構造的完全性を向上させることができることを示している。
【0094】
飼料又は飲料水に添加されたホウ素の連続した実験的使用からの事例証拠は、様々な生産環境及び遺伝的特徴にあるブタにおける一貫した持続性の正の応答を示す。この証拠は実施例6で記載する。
【0095】
(実施例2)
グリコサミノグリカンの研究
ホウ素栄養分は軟骨のグリコサミノグリカン濃度を、軟骨の圧縮力に耐える機能を果たすために又は軟骨の荷重を支える能力を維持するために、軟骨にとって必要な正常で健康的なレベルに維持するために必要である。
【0096】
健康な軟骨の主要な成分であるプロテオグリカンは、それらが荷重を支えることを可能にする水を引き寄せ且つ保持する。本発明者らはプロテオグリカンの主要な従属成分であるグリコサミノグリカン(GAG)を測定してそれがホウ素で補足されていないブタの軟骨組織中では顕著に低減されていることを見出した。本発明者らのデータ及び文献は、低いGAGレベルを有する軟骨はより高いGAGのレベルを有する軟骨よりもずっと機能しなくなりやすいという記述を支持するであろう。
【0097】
後脚の膝関節及び肘関節は死体解剖で2つの給飼料グループのブタから得た:1つのグループは50mgB/kg飼料で補足された市販飼料を与えられ、もう一方は標準的な市販のブタ飼料だけを与えられた。
【0098】
軟骨片は40個の後脚膝関節の関節表面から#5(10.5mm)コルクボーラーを使用して摘出した。サンプルはパパイン消化させてからFarndaleら(1986年)から適合させた分光光度計マイクロプレート分析手順を使用し、コンドロチン硫酸標準品を使用して硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)の濃度を分析した。この方法は全硫酸化グリコサミノグリカンを測定し、その大部分はアグリカンのコンドロイチン硫酸及びケラタン硫酸成分である。アグリカンは軟骨の浸透圧を創り出すこと及び維持することに関与する軟骨の大きな凝集したプロテオグリカンである。したがって、sGAG濃度の定量は軟骨の荷重支持性及び摩擦防止性の目安を提供し且つ軟骨の質及び耐久性の目安である。
【0099】
50ppmのホウ素を与えられたブタの軟骨中のsGAG濃度(乾燥物質基準)は、補足されていないブタについての5045ng/gと比較して11050ng/gであった。この相違はp<0.01で有意であった。これらのデータはホウ素の軟骨保護性が少なくとも部分的には軟骨中の増加したsGAGレベルに導く機序によって仲介されることを示している。
【0100】
(実施例3)
成熟雌ブタにおける生殖毒性
成熟雌ブタが妊娠後期及び泌乳初期に補足のホウ素50ppmを含有する飼料を与えられたときには一様性、成長及び全般的成長(general thrift)によって評価される子ブタの質が向上し、且つ離乳前の子ブタの死亡率が低減することが観察された。予備的な試験的研究がこれらの観察を確認した。雌ブタは標準的なトウモロコシ−大豆飼料を与えられた。雌ブタの半数は体重1kg当たり1mgのホウ素を与えるためのホウ素補助食品の経口投与を受けた。他の半数は何も補足されなかった。最初の600頭のブタからのデータの予備的解析は、ホウ素の妊娠中及び授乳中の雌ブタへのホウ素の提供は、補足されていないグループと比較して離乳前の死亡率を23%から16%へ低減させ、且つ12日齢の子ブタの体重を8.0ポンドから8.5ポンドへ増加させることを示した。
【0101】
成熟雌ブタ及びそれらのリッターに対するホウ素の効果を試験するために、ある大きな商業的ブタ事業においてブタウイルス性の生殖及び呼吸器の疾患(PRRSV)の発生中に1つの試行が設定された。51頭のグループの個別に枠内で飼われた雌ブタに、1日に体重1ポンド当たり1mgの割合で分娩の1週間前にホウ素の経口投与を開始して、子ブタを14日齢で離乳させるまで続けた。これらのブタの成績を同一の遺伝的特徴並びに同一の飼育枠及び飼育条件でホウ素を与えられなかった50頭の雌ブタの集団の成績と比較した。ホウ素処置は1日1回の投与で与え離乳の際に終了した。すべての成熟雌ブタに標準的な市販の雌ブタ用の飼料を与えた。
【0102】
出生時のリッターのサイズ又は子ブタの出生体重に対する影響はなかった。ホウ素を消費している成熟雌ブタによって育てられた子ブタは12日齢で、対照雌ブタによって育てられた子ブタの8.32ポンドと比較して、9.01ポンドの体重であった(p=0.06)。ホウ素処置されたグループにおける子ブタの死亡率は、対照での20.3%と比較して、15.2%であった(p=0.03)。ホウ素を与えられた雌ブタは対照雌ブタよりも平均1.6日早く発情期へ復帰した(p=0.047)。ホウ素処理された雌ブタは、対照雌ブタの1.2倍妊娠見込みがあった。この結果は商業的なブタ飼育事業において顕著な肯定的影響を有すると予想されるであろう。
【0103】
ホウ酸塩はそのOCDの予防における有益な効果を細胞外マトリックス(ECM)の調節及び安定化によって及ぼすと主張されている。プロテオグリカン及びコラーゲンからなるECMを豊富に有する軟骨のような組織では、ホウ素の主な効果は軟骨ECMの機械的(材料)特性の変化によって仲介されると思われる。しかし、重要な機能を有する多くの他の組織もECM成分及び細胞外受容体を有しており、それらの構造は細胞から細胞へのシグナル伝達、受容体機能、及び接着機能におけるそれらの機能性を向上させるホウ素架橋によって安定化されている可能性がある。生殖に対するホウ素の影響はこの種の機序によって調節されていると主張されている。
【0104】
(実施例4)
リンの消化率及び排泄並びに飼料転換に対するホウ素の効果
28日間の給飼料試行が大きな商業的農場施設で当初の体重24kgの144頭の交配種ブタについて行われた。ブタは常温に制御された環境で鋼鉄格子床を有する家畜小屋中の1つの囲い当たり6頭の24の囲いに無作為に割り当てられた。それぞれの囲いは1つ穴の給飼料器を備えていた。水はニップル給水器から自由選択で飲めた。ブタはリン0.5%に加えてホウ素0又は50mg/kg及びカルシウムレベル0.5又は0.65%のどちらかを2×2の要因計画で含有する市販のブタ用飼料を与えられた。糞尿は研究の最後の3日間にそれぞれの囲いから採取して集めた分割量を乾燥して化学分析に回した。酸化イットリウムが飼料に0.05%で加えられ、リンの消化率のためのマーカーとして働いた。研究の最後にブタの成長及び飼料の消費量を、囲いを実験単位として測定した。データは変動の単変量及び多変量解析及びt検定によってホウ素及びカルシウムの効果を求めるために解析した。
【0105】
補足のホウ素は平均の1日当たりの体重増加を増大させ、飼料転換率及びリンの消化率を向上させ、成長の1単位当たりの糞尿へのリンの排泄を低減した(p<0.05)(表2)。1日あたりの飼料摂取量はホウ素又はカルシウムのレベルによって顕著には変更されなかった(p>.20)。カルシウムレベルを低減することは飼料転換率を向上させた(p<0.05)。ホウ素とカルシウムの間には飼料転換率又はリンの排泄に対する有意な相互作用の効果はなかった(p>.25)。
【0106】
消化率及びリンの糞尿排泄は畜産農業にとっては重要な関心事である。リンは高価な飼料成分であり、また畜産廃棄物中のリンは環境汚染物質になり得る。本研究では、単位生産量あたりのリンの排泄が飼料にホウ素を添加することによって15%低減された。ホウ素は全体的な試料転換率に対しても有意な効果を生み出した。これらのホウ素の効果は環境汚染の低減に加えて畜産農業における生産コストの低減にも有意な効果を有することが予想される。
【表2】

【0107】
(実施例5)
3−NPBの研究
ホウ素は四価の架橋によってブタにおけるその効果を仲介すると仮定された。ホウ素架橋の強力な阻害剤である3−ニトロフェニルホウ酸(3−NPB)を体重約100kgのブタに0及び1グラムの割合で0及び50ppmの割合の補足のホウ素と飼料中で組み合わせて経口投与した。3−NPBは10日間投与した。ブタは跛行について毎日評価し、13日目に安楽死させて関節及び他の器官を検査した。
【0108】
3−NPBを与えられたが補足のホウ素は与えられなかったブタのすべてが10日以内にOCDの臨床症状を発症したが、補足のホウ素を与えられた5頭のブタ中の1頭だけが3−NPBを与えられたときに跛行を発症した(表3)。カイ二乗解析は跛行の誘導における3−NPBの有意な(p<0.05)影響及び3−NPBによって誘導される跛行の予防における補足のホウ素の有意な効果を示した。
【0109】
肩、膝関節、後脚の膝、及び肘の関節の検査は3−NPBで処置され補足のホウ素なしのブタが骨軟骨症病変のより高い有病率及び他の処置グループよりも病変のより強度の重症度を有し、補足のホウ素を与えられ3−NPBは与えられなかったブタでは最も低い病変の有病率及び最も低い重症度であったことを示した。ホウ素と一緒の3−NPBの投与は、補足されなかったブタで観察されたものと類似の全体的な関節病変の有病率及び重症度をもたらした。(図4及び5)。
【0110】
結論としては3−NPBは競合的なホウ酸塩の阻害剤として作用しているということであった。
【0111】
一般的に考えられていることは、ブタは哺乳動物における骨軟骨症の典型的なモデル種であるということである(Reiland S.「ブタにおける骨軟骨症(Osteochondrosis in the pig)」、Acta Radiol 1〜118頁、1975年を参照されたい)。ブタにおける骨軟骨症(OCD)の臨床症状において頂点に達する次々に起こる病態生理学事象は、OCDを発症する他の哺乳動物種、特にウマ、イヌ、反芻動物及びヒトにおいても起こる事象であると一般的に考えられている。ブタは他の哺乳動物におけるOCDに関するモデルであり、ホウ素がブタにおけるOCDの予防及び治療に有用であることが実証されてきたため、ホウ素が他の哺乳動物においても類似の効果を有するはずであり、且つその効果は類似の生物化学的機序によって仲介されるはずであるということが論理的についてくる。
【0112】
したがって、結論としてはOCDになる可能性はあるが有病率は低いことが知られている種、特にウシ、ウマ、及びイヌにおける3−NPBの投与は、軟骨中のホウ素受容体の存在を示唆する軟骨病変を発生させるはずである。
【0113】
平均体重が約250ポンドの3頭の健康なホルスタインの去勢された子ウシ及び平均体重が約500ポンドの3頭の健康なクォーターホースの雌の子ウマに3−NPBを1日当たり10mg/kg体重の割合で投与した。子ウシには毎日の腹腔内注入によって3−NPBを与え、ウマには3−NPBの毎日の投与量を試料に混合して投与した。すべての動物は市販の飼料の標準的な量及び自由選択のアルファルファ草混合干草を摂取した。
【0114】
跛行は3−NPB処置の7日目に子ウシで最初に観察された。1頭の子ウシは処置14日目に安楽死させ、他の2頭は21日目に安楽死させた。深刻なOCD病変はすべての子ウシの後脚の膝及び肘の関節に見られ、3−NPBにかかる時間の増加と共に重症度の増大が見られた。
【0115】
経口の3−NPBで処置されたウマの中で、1頭の雌の子ウマは処置10日目の運動中に前脚の跛行のはっきりした兆候を示し、14日目に安楽死させた。他の2頭のウマは処置28日目に安楽死させたが、このとき2頭の内1頭には運動中に跛行が見られた。様々な程度のOCD病変が、すべてのウマの肩、肘、けづめ、及び後脚の膝の関節に観察された。注目すべき病変としては、1cm×1cmの軟骨の壊死病変が左前P1の近位関節表面で14日目に見出され、進行中のフラップ病変が脛骨遠位で28日目に、またもう1頭のウマでは軟骨の激しい薄化と明白な軟骨の磨耗線が左前のけづめ及び左肘で28日目に観察された。
【0116】
10週齢の正常で健康な交配種の猟犬(体重8kg)の実験では、10mg/kg体重の1日1回の投与量としての3−NPB投与は12日という早さで見て分かる前脚の跛行を生じた。死体解剖は尺骨遠位成長板における全体的な壊死の病変及び出血を明らかにした。また脛骨遠位及び尺骨近位の関節表面における軟骨の侵食の証拠もあった。尺骨遠位成長板における全体的な病変はブタにおける骨軟骨症に伴う病理学的変化に似ていた。
【0117】
結論としては、ブタは肉食動物を含めた反芻動物及び非反芻動物の両方におけるOCDの適当なモデルであること、及びすべての哺乳動物種にはホウ素受容体部位が存在すること、並びに補足のホウ素はすべての哺乳動物種において有効な予防薬及び治療薬であると予想される。
【表3】

【0118】
(実施例6)
農場状況にあるブタにおけるホウ素の使用
ホウ素は雌ブタの飼料中にホウ酸として1mg/kg体重で添加した。生殖又は繁殖力に対する悪影響はなかった。雌ブタは正常な発情活動及び正常な受胎率を有しているようで、周期的活動に対する又は生まれたブタに対する又は子ブタの生存能力に対する悪影響はなかった。目立って深刻に歩行困難であった3頭の雌ブタは完全に健全になった。95頭の子ブタのグループでは出生から離乳までの死亡は2頭の子ブタであった。この農場に関しては通常の死亡率は約5〜7%であった。これらの子ブタはホウ素50ppmに加えてアスコルビン酸塩125ppmの摂取を続けた。1頭のブタを約85ポンドの体重で安楽死させて調べた。どの関節にも異常は観察されなかった。四肢骨格のすべての骨を帯鋸で切片化した。骨は優れた石灰化を有し、成長板は、OC関連異常の初期好発部位である尺骨遠位の成長板を含めて、幅が狭く且つ境界がはっきりしていた。
【0119】
あるアイオワの農場が約100頭のブタのグループをホウ酸として50ppmのホウ素で処置した。これらのブタには跛行又は不健全性の如何なる兆候をも現したものはなかった。農場主はこれらのブタは彼が育てた最も健全なものであると報告した。推定された以前の跛行/不健全性の比率は約25〜30%であり、この試験グループではゼロであった。これらのブタは優れた成長速度を示した。跛行及び後脚の膝の腫れの不在が観察された。ホウ酸で処置されていないより若いブタ及びより高齢のブタの中から後脚の膝の腫れがあった2頭のブタを安楽死させた。体重が約50ポンドのより若いブタは後脚の膝の初期OC変化の証拠を示した。右後脚の膝に重症の跛行があった体重が約250ポンドのより高齢のブタは安楽死させた。重症の進行したOCDが後脚の膝に観察され、且つ成長板の異常が骨を切片にしたときに観察された。後脚の膝関節の培養は陰性であり、細菌感染は除外して、OCが可能性の高い跛行の原因であることを示していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物飼料中の補足のホウ素の濃度が約1〜約500ppmである補足のホウ素を含有する前記動物飼料を動物に提供することを含む、動物の軟骨及び関節下骨における病変の発生率及び程度を低減する方法。
【請求項2】
補足のホウ素の濃度が約1〜約150ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
補足のホウ素の濃度が約25〜約50ppmである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
動物飼料が液体である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
補足のホウ素が、有機ホウ素含有化合物、無機ホウ素含有化合物、ホウ素含有鉱物、高められたホウ素レベルを有する植物材料及び高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物から選択される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
無機ホウ素含有化合物が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
有機ホウ素含有化合物が、ホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ホウ素含有鉱物が、ホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイヤーホッファライト、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイトからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
動物飼料中の補足のホウ素の濃度が約1〜約500ppmである補足のホウ素を含有する前記動物飼料を動物に提供することを含む、動物の関節表面又は関節下骨における壊死の発生を予防する又は低減する方法。
【請求項10】
壊死が梗塞の数を決定することによって評価される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
補足のホウ素の濃度が約1〜約150ppmである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
補足のホウ素の濃度が約25〜約50ppmである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
動物飼料が液体である、請求項9から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
補足のホウ素が、有機ホウ素含有化合物、無機ホウ素含有化合物、ホウ素含有鉱物、高められたホウ素レベルを有する植物材料及び高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物から選択される、請求項9から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
無機ホウ素含有化合物が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機ホウ素含有化合物が、ホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ホウ素含有鉱物がホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイヤーホッファライト、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイトからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
動物飼料中の補足のホウ素の濃度が約1〜約500ppmである補足のホウ素を含有する前記動物飼料を動物に提供することを含む、動物における過形成、壊死又は出血を低減する方法。
【請求項19】
過形成、壊死又は出血の低減が成長板の幅によって評価される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
補足のホウ素の濃度が約1〜約150ppmである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
補足のホウ素の濃度が約25〜約50ppmである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
動物飼料が液体である、請求項18から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
補足のホウ素が、有機ホウ素含有化合物、無機ホウ素含有化合物、ホウ素含有鉱物、高められたホウ素レベルを有する植物材料及び高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物から選択される、請求項18から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
無機ホウ素含有化合物が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
有機ホウ素含有化合物が、ホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ホウ素含有鉱物が、ホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイヤーホッファライト、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイトからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
動物飼料中の補足のホウ素の濃度が約1〜約500ppmである補足のホウ素を含有する前記動物飼料を動物に提供することを含む、動物における軟骨、成長板及び骨の異形成の低減のための方法。
【請求項28】
異形成の低減が成長板の幅によって評価される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
補足のホウ素の濃度が約1〜約150ppmである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
補足のホウ素の濃度が約25〜約50ppmである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
動物飼料が液体である、請求項27から30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
補足のホウ素が、有機ホウ素含有化合物、無機ホウ素含有化合物、ホウ素含有鉱物、高められたホウ素レベルを有する植物材料及び高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物から選択される、請求項27から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
無機ホウ素含有化合物が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
有機ホウ素含有化合物が、ホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ホウ素含有鉱物が、ホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイヤーホッファライト、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイトからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
動物飼料中の補足のホウ素の濃度が約1〜約500ppmである補足のホウ素を含有する前記動物飼料を動物に提供することを含む、動物における関節軟骨の損傷を低減する方法。
【請求項37】
補足のホウ素の濃度が約1〜約150ppmである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
補足のホウ素の濃度が約25〜約50ppmである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
動物飼料が液体である、請求項36から38までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
補足のホウ素が、有機ホウ素含有化合物、無機ホウ素含有化合物、ホウ素含有鉱物、高められたホウ素レベルを有する植物材料及び高められたホウ素レベルを有する酵母などの微生物から選択される、請求項36から39までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
無機ホウ素含有化合物が、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ハロゲン含有ホウ酸塩、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カリウム、鉄及びマグネシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸タンタル、ホウ酸ベリリウム、鉄及びニッケル含有ホウ酸塩、炭酸塩含有ホウ酸塩、ナトリウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ヒ酸塩含有ホウ酸塩、カルシウム及び希土類含有ホウ酸塩、硫酸塩含有ホウ酸塩、マグネシウム及びカルシウム含有ホウ酸塩、ホウ酸マンガン、ホウ酸アルミニウム、カルシウム及びストロンチウム含有ホウ酸塩、リン酸塩含有ホウ酸塩、ホウ酸錫、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、ホウケイ酸アルミニウム、カルシウム及び希土類含有ホウケイ酸塩、ホウケイ酸鉛、ホウケイ酸バリウム、ホウケイ酸リチウム、並びにフルオロホウ酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
有機ホウ素含有化合物が、ホウ素と、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ソルボース、スレオニン、メチオニン、修飾デンプン、デンプン加水分解物、酸化デンプン、非修飾デンプン、デキストリン、アミド化糖、グルコサミン、マンノースアミン、グリセリン脂肪酸エステル、サリチル酸錯体、ビスオキサラート酸の塩、カルシウムボロスクロース、アルコール、アルコールアミン、糖酸、サッカリン酸、グルコン酸、アミノ化糖酸、及びボログルコン酸カルシウムとによって形成される錯体及び化合物からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
ホウ素含有鉱物が、ホウ砂、コールマナイト、ハイドロボラサイト、カーナイト、ウレキサイト、ダトーライト、ダンビュライト、ザイベリアイト、スーアナイト、インデライト、サッソライト、インヨーアイト、プロバータイト、ハウライト、エンソーライト、カーナコバイト、マイヤーホッファライト、プライセイト、ノボライト、及びシアーレサイトからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
動物が哺乳動物である、請求項1、9、18、27、又は36に記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物がヒトである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
哺乳動物が、ブタ、ウマ、ラバ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ラマ、イヌ、及びネコから選択される、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538906(P2009−538906A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513127(P2009−513127)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/046687
【国際公開番号】WO2007/142684
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(507385062)ユー.エス.ボラックス インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】