説明

動物生体振動監視通報装置

【課題】本発明は、微小な振動を検出できる高感度振動センサを動物が接する床に置くことにより動物に無拘束で接した状態で、心臓の鼓動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を検出する。検出された振動情報をもとに動物の体調異変を判断して通報する動物生体振動監視通報装置の提供を目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために本発明の動物生体振動監視通報装置は、動物の心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を検出し振動性電気信号を出力する多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムの生体振動センサ手段を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物生体の心臓の拍動、肺呼吸の状態、身体の動きを監視し通報する動物生体振動監視通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動物病院等において、動物の手術中の心拍及び呼吸の体調管理には人間同様に「電極型心電計」や「呼吸モニター」を装着した状態で体調異変を監視ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
動物の手術後及び病気入院では、「動物用ICU装置」又は「ペットケイジ」に入れ体調管理を行っている。しかし「動物用ICU装置」は、「空調管理(冷暖房機能)」及び「酸素投与」の装置内の環境管理であって、直接動物自身の体調異変の監視は行われない。ただ「動物用ICU装置」や「ペットケイジ」に入れた状態でも動物に「電極型心電計」や「呼吸モニター」などを装着すれば良いのあるが、しかし動物自身が外してしまう可能性があり、継続的な体調異変の監視は困難となる。
【0004】
そこで本発明は、微小な振動を検出できる高感度振動センサを動物が接する床に置くことにより、動物に無拘束で接した状態で、心臓の鼓動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を検出する。検出された振動情報をもとに動物の体調異変を判断して通報する動物生体振動監視通報装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の動物生体振動監視通報装置は、多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムが動物生体に直接又は物体を介在して間接的に接することで、動物生体の、心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を検出し、振動性電気信号として出力する多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムの生体振動センサ手段と、振動性電気信号から、心臓の拍動による心臓振動性電気信号、肺呼吸による肺呼吸振動性電気信号を抽出する生体振動信号抽出フィルタ手段と、振動性電気信号、心臓振動性電気信号、肺呼吸振動性電気信号の何れか一つの該当する信号又は、何れかの組み合わせの各各に該当する信号が消滅することを監視し通報信号を発する生体振動信号監視手段と、通報信号をもとに音、光、文章表示の何れか一つ又は何れかの組み合わせで通報する通報手段を有することを特徴としている。
【0006】
生体振動信号記憶装置手段は、振動性電気信号、心臓振動性電気信号、肺呼吸振動性電気信号の何れか一つの該当する信号又は、何れかの組み合わせの各各に該当する信号の情報を、経過時間順に保存することを特徴としている。
【0007】
生体振動センサ手段の多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムにかえて、高分子圧電体であるポリフッ化ビニリデンフィルム、加速度センサ、加重センサの何れか一つであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、「動物用ICU装置」や「ペットケイジ」などに設置することにより、動物自身に対して無拘束で心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、及び身体の動きによる振動を検出し監視することで、動物の体調異変を感知して通報することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の動物生体振動監視通報装置を図面に基づいて説明する。図2は実施例における装置構成の概要を示すブロック図である。生体振動センサ手段100の多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルム110は、ポリプロピレン高分子フィルムの内部に無数の空孔を形成した構造であって、さらに高電圧放電を加えて空孔に電荷を蓄積させている。このフィルムの両面を導電性シート、導電性ペーストなどで挟み込み電極端子を構成する。このフィルムの面に圧力が加わると電極端子に電圧が生じることを特徴としている。またこの多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルム110はEMFiフィルム(ElectroMechanicalFilm)の名称でも表される。この多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルム110に、動物が直接又は物体を介在して接する状態において、心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を電圧の変化として検出することができる。検出された振動は、電気信号である「振動性電気信号」120として出力される。「振動性電気信号」120は、必要に応じて電気信号増幅部130で増幅される。
【0010】
生体振動信号抽出フィルタ手段200は、心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動が混在した状態での振動性電気信号120から、心臓振動性電気信号抽出フィルタ部210で、アナログフィルタ処理又はデジタルフィルタ処理を行うことで心臓振動性電気信号211を抽出する。肺呼吸振動性電気信号抽出フィルタ部220で、アナログフィルタ処理又はデジタルフィルタ処理を行うことで肺呼吸性振動電気信号221を抽出する。「アナログORデジタルフィルタ処理」230、240でのアナログフィルタ処理は、オペアンプ等でフィルタ回路を構成する。またデジタルフィルタ処理の場合は、振動性電気信号120をA/Dコンバータを介在してアナログ信号からデジタル信号へと数量化に変換した後に、CUP(中央演算処理装置)でソフトウェア演算によるフィルタ処理を施して、該当する心臓振動性電気信号211、肺呼吸振動性電気信号221を抽出する。
【0011】
生体振動信号監視手段300は、コンピュータ処理部310で、振動性電気信号120、心臓振動性電気信号211、肺呼吸性振動電気信号221の内で選択された該当する信号が消滅することを監視し通報信号320を発する。振動性電気信号120にあっては、A/Dコンバータ330を介して、コンピュータ処理部310が判断可能なアナログ信号からデジタル信号へと数量化に変換する。
【0012】
通報手段400は、通報信号320の通知により「ブザーやスピーカーの音」、「電球ライトなどの光」、「液晶表示器などへの文章表示」の何れか一つ又は何れかの組み合わせで動物の体調異変を通報する。
【0013】
生体振動信号記憶装置手段500は、振動性電気信号120を経過時間順に記憶素子510に保存する。本発明の動物生体振動監視通報装置は、この実施例に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の動物生体振動監視通報装置は、人にも利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は、実施例における運用の概要を示す図である。
【図2】は、実施例における装置構成の概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0016】
100 生体振動センサ手段
110 多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルム
120 振動性電気信号
130 電気信号増幅部
200 生体振動信号抽出フィルタ手段
210 心臓振動性電気信号抽出フィルタ部
211 心臓振動性電気信号
220 肺呼吸振動性電気信号抽出フィルタ部
221 肺呼吸性振動電気信号
230 アナログorデジタルフィルタ処理
240 アナログorデジタルフィルタ処理
300 生体振動信号監視手段
310 コンピュータ処理部
320 通報信号
330 A/Dコンバータ
400 通報手段
500 生体振動信号記憶装置手段
510 記憶素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムが動物生体に直接又は物体を介在して間接的に接することで、前記動物生体の、心臓の拍動による振動、肺呼吸による振動、身体の動きによる振動を検出し、振動性電気信号として出力する前記多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムの生体振動センサ手段と、前記振動性電気信号から、心臓の拍動による心臓振動性電気信号、肺呼吸による肺呼吸振動性電気信号を抽出する生体振動信号抽出フィルタ手段と、前記振動性電気信号、前記心臓振動性電気信号、前記肺呼吸振動性電気信号の何れか一つの該当する信号又は、何れかの組み合わせの各各に該当する信号が消滅することを監視し通報信号を発する生体振動信号監視手段と、前記通報信号をもとに音、光、文章表示の何れか一つ又は何れかの組み合わせで通報する通報手段を有することを特徴とする動物生体振動監視通報装置。
【請求項2】
請求項1記載の動物生体振動監視通報装置において、さらに前記振動性電気信号、前記心臓振動性電気信号、前記肺呼吸振動性電気信号の何れか一つの該当する信号又は、何れかの組み合わせの各各に該当する信号の情報を、経過時間順に保存する生体振動信号記憶装置手段を有する動物生体振動監視通報装置。
【請求項3】
請求項1記載の動物生体振動監視通報装置において、前記生体振動センサ手段の前記多孔性ポリプロピレンエレクトレットフィルムにかえて、高分子圧電体であるポリフッ化ビニリデンフィルム、加速度センサ、加重センサの何れか一つであることを特徴とする動物生体振動監視通報装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−75651(P2010−75651A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274921(P2008−274921)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(591143294)
【Fターム(参考)】