説明

動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びそれを用いたシステム

【課題】 飲水量及び排尿量を同時に連続自動測定し、飲水量と排尿量とを一元的に示す経時的データを取得する。
【解決手段】 コンピュータ(32)と、給水重量、零水重量、排尿重量の変化を測定し、それぞれ電気信号として出力する給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)と、電気信号をデジタルデータに変換し、コンピュータに送信する手段(5)と、動物を格納するケージ(31)と、動物に給水する手段(35)と、動物が零す水を採取する手段(37)と、動物が排出する尿を採取する手段(40)とを備え、コンピュータ(32)に送信されるデジタルデータによって、零水量を補正した飲水量と排尿量とについて、所与の時間間隔ごとの詳細データ、及び該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔ごとの定時データを出力するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の飲水量・排尿量を経時的に自動測定する装置、及びそれを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
犬などの動物を用いて排尿量や排尿回数を測定し、それを動物の健康状態や薬剤の影響を調べるための指標とすることが、泌尿器領域の薬理学的研究等において行われている。
そして、排尿量や排尿回数が飲水量の影響を受けることは周知であり、薬理試験においては、動物の飲水量も同時に測定し、排尿量と飲水量との時間的及び量的な関連性を明らかにすることが重要視されている。
【0003】
従来、動物の飲水量あるいは排尿量の測定は、例えば目盛を付設したサイフォン式容器内の飲水量の変化、あるいはメスシリンダーに採取された排尿量の変化を、一定時間ごと目視チェックすることにより行われていたが、多大な労力を必要とするという問題があった。
かかる問題を解消するために、長時間任意の設定時間間隔で飲水量、排尿量を自動記録可能とした装置を提供するものとして、それぞれ特許文献1、特許文献2がある。特許文献1には、水飲み容器にセンサーを設け、信号を出力して、動物の摂水量を自動記録するようにした動物用摂水量自動測定装置が記載されている。一方、特許文献2には、排尿容器にセンサーを設け、信号を出力して、動物の排尿量を自動記録するようにした動物用排尿量自動測定装置が記載されている。
さらに、特許文献1に記載された装置と、特許文献2に記載された装置とを用いて、
飲水量及び排尿量を連続して自動測定したものとして、非特許文献1がある。
【0004】
【特許文献1】実開昭63−165519
【特許文献2】実開平4−30431
【非特許文献1】樽見千利、高橋達彦、増田裕著「実験用犬の摂水量および尿量の連続測定装置の開発」Exp.Anim.41(3),1992、p373〜377
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記文献を含めた従来の方法によれば、飲水量と排尿量とを別々の装置で測定することから、それぞれの装置間での時間軸のずれが、特に長時間の測定の際には無視できないほどに蓄積してしまうことに加え、飲水量と排尿量との関連性を考察するために、データを再入力して解析する必要があることから、依然として多大な時間・労力を要していた。
さらに、飲水量及び排尿量のデータとしては、特に動物が飲水・排尿を行う際の飲水量・排尿量の変化がわかるように詳細なものが得られることが望ましいが、設定時間間隔を短くするとデータが膨大な量となってしまい、一方で、設定時間間隔を長くすると必要な飲水量・排尿量の変化がわかり難いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、飲水量及び排尿量を同時に連続自動測定し、飲水量と排尿量とを一元的に示す経時的データを取得するとともに、動物が飲水・排尿を行うときにのみ詳細なデータを自動的に出力することを可能とした動物用飲水量・排尿量自動測定装置、及びそれを用いたシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の動物用飲水量・排尿量自動測定装置は、コンピュータに接続し、零水量を補正した飲水量と、排尿量とを自動測定するための装置であって、
動物へ給水することにより生じる給水重量の変化を測定し、電気信号として出力する給水重量測定部と、
動物が摂水する際に零すことにより生じる零水重量の変化を測定し、電気信号として出力する零水重量測定部と、
動物が排尿することにより生じる排尿重量の変化を測定し、電気信号として出力する排尿重量測定部と、
上記によって出力された電気信号をそれぞれデジタルデータに変換し、コンピュータに送信する手段と、を備えたことを要旨とする。
【0008】
また、請求項2記載の動物用飲水量・排尿量自動測定システムは、コンピュータ接続された請求項1記載の構成の装置と、動物を格納するケージとを備え、
該ケージに近接して、
該給水重量測定部に接続され、該給水重量測定部によって給水重量の変化を測定可能に、動物に給水する手段と、
該零水重量測定部によって零水重量の変化を測定可能に、動物が零す水を採取する手段と、
該排尿重量測定部によって排尿重量の変化を測定可能に、動物が排出する尿を採取する手段とが配設され、
コンピュータに送信される該デジタルデータによって、零水量を補正した飲水量と、排尿量とについて、所与の時間間隔ごとの詳細データ、及び該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔ごとの定時データを出力するようにしたことを要旨とする。
【0009】
また、請求項3記載の動物用飲水量・排尿量自動測定システムは、コンピュータ接続された請求項1記載の構成の装置と、動物を格納するケージとを備え、
該ケージに近接して、
該給水重量測定部に接続され、該給水重量測定部によって給水重量の変化を測定可能に、動物に給水する手段と、
該零水重量測定部によって零水重量の変化を測定可能に、動物が零す水を採取する手段と、
該排尿重量測定部によって排尿重量の変化を測定可能に、動物が排出する尿を採取する手段とが配設され、
コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段として機能させるようにしたことを要旨とする。
【0010】
また、請求項4記載の動物用飲水量・排尿量自動測定プログラムは、請求項2記載の構成のシステムを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0011】
また、請求項5記載の配信サーバ装置は、請求項2記載の構成のシステムを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段と、
配信先の配信要求に応じて配信する配信手段として機能させるためのプログラムを配信することを要旨とする。
【0012】
また、請求項6記載の動物用飲水量・排尿量自動測定方法は、動物の飲水量と排尿量とを自動測定するための方法であって、
動物へ給水することにより生じる給水重量の変化を測定し、所与の時間間隔で給水重量測定値を取得するステップと、
動物が排尿することにより生じる排尿重量の変化を測定し、所与の時間間隔で排尿重量測定値を取得するステップと、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回るか否かを判別するステップと、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回るか否かを判別するステップと、
上記いずれかの設定しきい値を上回っていると判別される場合にのみ、飲水量と排尿量とを、給水重量測定値及び排尿重量測定値を取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、出力するステップと、
給水重量測定値及び排尿重量測定値を取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、出力するステップと、を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、飲水量と排尿量とを、コンピュータ上のタイムラグはあるが略同時に連続して自動測定し、飲水量と排尿量とを一元的に示す経時的データを取得できるため、得られたデータを用いて飲水量と排尿量との関連性を容易に考察することが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、飲水量、排尿量の変化量について大きな変化があった場合にのみ、所与の時間間隔ごとの詳細データを自動で出力するようにしたため、必要な飲水量・排尿量の変化について詳細な分析を行うことができるとともに、出力されるデータの全体量を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、動物の飲水量と排尿量とが相互に関係が深いことに鑑み、飲水量と排尿量とを同一の時間軸で経時的に同時測定し、同一のフォーマットによって出力可能とするものである。
本発明において、「零水」とは、動物が与えられた「給水」を摂取する際に零す水のことを指し、「飲水」とは、「給水」から「零水」を除いた、動物が正味に体内に摂取する水のことを指すものとする。
【0016】
本発明は、動物の飲水量と排尿量とを最終的に得ることを目的とするものであり、「飲水量」、「排尿量」は、重量として得ることとする他、容積等で得ることとしてもよいが、本発明ではそれらを得るために、給水重量、零水重量、排尿重量の変化を測定するという手段を特に用いるものである。
そのために、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びシステムは、給水重量、零水重量、排尿重量の変化を測定し、電気信号として出力する荷重センサーを備えて構成される。
荷重センサーとしては、例えば歪みゲージ式のロードセル(荷重変換器)を代表的に用いることができる。このロードセルは、荷重を受けて変形する起歪体に、歪みゲージを接着し、引張又は圧縮荷重を電圧変化として測定し、負荷荷重に応じた電気信号を出力して重量を検出する構造を有するものとして、よく知られるものである。
【0017】
さらに、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びシステムは、上記荷重センサーによって出力された電気信号を、コンピュータによって処理可能とするための手段を備えて構成される。
このような手段としては、例えば歪みゲージより出力される微小な電気信号をデジタル処理可能に変換し、デジタルデータをコンピュータに送信する変換器(コンバータ)や制御装置等を用いることができる。
【0018】
本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定システムにおいては、パーソナル・コンピュータ(本発明では単に「コンピュータ」と呼ぶ)が用いられるが、「コンピュータ」としては、OS(Operating system)等の制御プログラム、各種データの一時蓄積のための内部メモリ等の記憶手段、コンピュータに指示やデータを入力するためのマウス・キーボード等の入力手段、コンピュータで処理されたデータを取り出すためのモニタ・プリンタ等の出力手段、さらに本発明に係るプログラムを機能させるための各種手段の他、本発明に係るシステムを稼動させるために必要となるハードウェア、ソフトウェアの諸手段を備えたものが用いられる。
【0019】
また、本発明に係るプログラムやファイル等を、CD−ROM等の記録媒体に記録して、他のコンピュータにインストールして用いる他、配信サーバ装置を利用して、ネットワークを介して他のコンピュータへダウンロードして用いたり、機能のみを利用させたりすることとしてもよい。
さらに、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定システムは、1組あるいは複数組の装置及びケージに対して、1台のコンピュータを接続して用いることとする他、1組あるいは複数組の装置及びケージに対して、複数台のコンピュータを接続してネットワークを構成して用いることとしてもよい。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例を図1〜図3に基づいて説明する。本実施例は、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びそれを用いたシステムについて示すものである。
【0021】
図1に示すように、本実施例に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置(1)は、給水重量、零水重量、排尿重量のそれぞれの変化量を別個に測定する給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)、さらに制御盤(5)を備えて構成されるものである。
給水重量測定部(2)は、外部から手動にて補給可能な給水タンク(9)と、給水タンク(9)を懸吊してその重量変化を給水重量の変化として測定するロードセル(10)とを備えており、タイヤ(7)によって床面上を移動自在とされたフレーム(6)の所要の位置に、高さ調節可能に固定されている。
【0022】
一方、零水重量測定部(3)、及び排尿重量測定部(4)は、動物が摂水する際に零す水を採取するための採水カップ(50)、及び動物が排出する尿を採取するための採尿カップ(51)(図3参照)を載置し、それらの重量変化をそれぞれ零水重量、排尿重量の変化として測定するロードセル(11)(12)をそれぞれ備えており、アーム(15)(16)を介してフレーム(6)の所要の位置に、高さ調節可能に、かつ水平面内における位置調節自在に固定されている。
【0023】
制御盤(5)は、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)とそれぞれ配線接続されて、ロードセル(10)(11)(12)から受けた電気信号をデジタルデータに変換して出力する機能を有するものであり、フレーム(6)と一体に固設されている。
制御盤は、例えば図2に示すように、正面に、ロードセル(10)(11)(12)による測定値を表示する給水重量表示部(20)、零水重量表示部(21)、排尿重量表示部(22)、背面に、ロードセル配線口(23)、電源コード接続口(24)、社内LAN接続口(25)、さらに左側面に、電源スイッチ(26)、サービスコンセント(27)、LAN接続口(28)等を設けて構成する。
【0024】
次に、上記の装置(1)を用いて構成した動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)について、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、本実施例に係る動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)は、上記した装置(1)と、装置(1)近傍の所要の位置にセットされるケージ(31)と、回線(55)を介して装置(1)と接続されるコンピュータ(32)とから構成されるものである。
【0025】
ケージ(31)は、試験対象の動物(57)を格納するためのもので、図3に示すように、タイヤ(46)によって床面上を移動自在とされた支持枠(45)を下方に備えて構成される。
図3に示すように、ケージ(31)の側壁面、及び底面には、格納された動物(57)が飲水を摂取可能とする給水部(32)、及び格納された動物の排尿を処理可能とする排尿部(33)がそれぞれ外設されている。
【0026】
ケージ(31)側壁面の給水部(32)が外設される部分には、格納された動物(57)がケージ(31)の外に顔を出せる程度の大きさの開口(図示せず)が設けられ、給水部(32)には、格納された動物(57)が給水重量測定部(2)から給水される水を摂取できるように飲み口(35)が配設されている。
飲み口(35)は、図3に示すように、給水重量測定部(2)の給水タンク(9)と給水ホース(36)を介して接続されるとともに、給水タンク(9)よりも下方に配置されており、動物が摂水を望むときに舌等で飲み口(35)を押圧すると、給水ホース(36)内を自然流下する水が放出され、押圧を解除すると、水の放出が停止される構造を有している。
給水部(32)下部の飲み口(35)下方には、採水口(37)が設けられ、採水口(37)に向う傾斜面によって動物が摂水時に零す水を収集し、下方に載置される採水カップ(50)に零水を漏れなく流下させるようになされている。
【0027】
一方で、排尿部(33)下部には採尿口(40)が設けられるとともに、排尿部(33)上方には格納される動物(57)を載置する底板兼糞尿分離網(41)が設けられており、底板兼糞尿分離網(41)を通じて糞と分離された排尿を、採尿口(40)に向う傾斜面によって収集し、下方に載置される採尿カップ(51)に排尿を漏れなく流下させるようになされている。
【0028】
コンピュータ(32)は回線(55)を介して制御盤(5)と接続されるが、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)から送られる電気信号を、制御盤(5)がデジタルデータに変換したものを、それぞれ給水重量測定値、零水重量測定値、排尿重量測定値として、コンピュータ(32)が所与の時間間隔(例えば2秒間隔)で取得している。
なお、本実施例では、給水重量測定値、零水重量測定値、排尿重量測定値は、それぞれ給水タンク(9)、採水カップ(50)、採尿カップ(51)自体の重量を含んだ値として測定され取得されるものであるが、給水タンク(9)、採水カップ(50)、採尿カップ(51)自体の重量を除いた実質の給水重量、零水重量、排尿重量が直接に測定値として取得される設定としてもよい。
【0029】
本実施例に係るシステム(30)の使用に際しては、装置(1)の給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)を最適の位置に調整しつつ、ケージ(31)、コンピュータ(32)を配置し、さらに採水カップ(50)及び採尿カップ(51)を、それぞれ採水口(37)、採尿口(40)との関係で適宜の位置となるようにロードセル(11)(12)上にセットする。
また、給水重量測定部(2)の給水タンク(9)には、あらかじめ所要の量の水を補給しておく。給水タンク(9)の容量は任意に設定可能であるが、長期間に亘って測定を行う場合には、給水タンク(9)に水を適宜手動補給することとしてもよい。
そして、制御盤(5)等の電源を入れ、コンピュータ(32)において所定のプログラムを起動させれば、測定が開始可能となる。このプログラム、及び具体的な測定手順等については後述する(実施例2、実施例3)。
【0030】
本実施例に係る装置(1)及びシステム(30)を用いれば、動物の飲水量及び排尿量を連続して同時測定することが可能となる。
従来、動物の飲水量を測定する場合には、与えた水の減少量を飲水量として測定するという方法が用いられていたが、実際には動物が摂水時に零してしまう水の量が無視できない場合が多かった。本実施例に係る装置であれば、給水した水の減少量と同時に動物が零した水の量をも測定できるため、零した水の量(零水量)を補正した正確な飲水量を経時的に測定することが可能となる。
【0031】
なお、採水カップ(50)、採尿カップ(51)に漏斗を被せて用いることとすれば、採取した零水・排尿の蒸発を抑制することができ、より正確な測定を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0032】
本発明の第2の実施例を図4に基づいて説明する。本実施例は、第1の実施例により構成された動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)を機能させるためのプログラムの処理手順について示すものである。
【0033】
図4に示すように、まず、S1によって給水重量測定値(X)が取得される。この給水重量測定値(X)は、給水タンク重量を測定した給水重量測定部(2)のロードセル(10)からの電気信号を、制御盤(5)がデジタルデータに変換処理し、コンピュータ(32)に送信しているものである。
そして、S2によって開始から10秒以内であるか否かが判定されるが、これは出力されるデータの変化をわかりやすくするために、測定開始直後10秒間は取得したデータを出力しないように設定したもので(S5、S8も同様)、任意の時間を設定してよく、必ずしもこのような設定を行わなくてもよい。
以下は測定開始直後10秒を経過しているものとして説明する。
【0034】
S1によって取得された給水重量測定値(X)については、S3により、以下の式(数式1)を満たすか否かが判別される。すなわち、給水重量測定値(X)と、2、4、6、8、10秒前にそれぞれ取得していた給水重量測定値(α)との差異値を絶対値として演算し、そのいずれかが、給水重量についてあらかじめ設定されたしきい値(a)を上回っている場合には、(数式1)を満たすとして、S3’により、詳細データ出力のための詳細出力フラグが立てられる。演算された絶対値のいずれもが、設定しきい値(a)以下である場合には、(数式1)を満たさないものとして、詳細出力フラグは立てられない。
(数1)
|α−X|>a
(ただし、α:2、4、6、8、10秒前の給水重量測定値、a:設定しきい値)
【0035】
次いで、S4によって零水重量測定値(Y)が取得される。この零水重量測定値(Y)は、採水カップ(50)重量を測定した零水重量測定部(3)のロードセル(11)からの電気信号を、制御盤(5)がデジタルデータに変換処理し、コンピュータ(32)に送信しているものである。
【0036】
S4によって取得された零水重量測定値(Y)については、S6により、以下の式(数式2)を満たすか否かが判別される。すなわち、零水重量測定値(Y)と、2、4、6、8、10秒前にそれぞれ取得していた零水重量測定値(β)との差異値を絶対値として演算し、そのいずれかが、零水重量についてあらかじめ設定されたしきい値(b)を上回っている場合には、(数式2)を満たすとして、S6’により、詳細データ出力のための詳細出力フラグが立てられる。演算された絶対値のいずれもが、設定しきい値(b)以下である場合には、(数式2)を満たさないものとして、詳細出力フラグは立てられない。
(数2)
|β−Y|>b
(ただし、β:2、4、6、8、10秒前の零水重量測定値、b:設定しきい値)
【0037】
次いで、S7によって排尿重量測定値(Z)が取得される。この排尿重量測定値(Z)は、採尿カップ(51)重量を測定した排尿重量測定部(4)のロードセル(12)からの電気信号を、制御盤(5)がデジタルデータに変換処理し、コンピュータ(32)に送信しているものである。
【0038】
S7によって取得された零水重量測定値(Z)については、S9により、以下の式(数式3)を満たすか否かが判別される。すなわち、排尿重量測定値(Z)と、2、4、6、8、10秒前にそれぞれ取得していた排尿重量測定値(γ)との差異値を絶対値として演算し、そのいずれかが、排尿重量についてあらかじめ設定されたしきい値(c)を上回っている場合には、(数式3)を満たすとして、S9’により、詳細データ出力のための詳細出力フラグが立てられる。演算された絶対値のいずれもが、設定しきい値(c)以下である場合には、(数式3)を満たさないものとして、詳細出力フラグは立てられない。
(数3)
|γ−Z|>c
(ただし、γ:2、4、6、8、10秒前の排尿重量測定値、c:設定しきい値)
【0039】
そして、S10によって、上記工程によっていずれかの詳細出力フラグが立てられているか否かが判別される。詳細出力フラグが一つでも立てられていると判別される場合には、S10’によって、取得した給水重量測定値(X)、零水重量測定値(Y)、排尿重量測定値(Z)とともに、それらに基いて演算した飲水量、排尿量が、詳細データとして、一のファイルに出力される。詳細出力フラグが一つも立てられていないと判別される場合には、詳細データは出力されない。
【0040】
さらに、S11によって、あらかじめ設定した一定時間間隔(本実施例では1分間隔)毎でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かが判別される。合致していると判別される場合には、S11’によって、給水重量測定値(X)、零水重量測定値(Y)、排尿重量測定値(Z)とともに、それらに基いて演算した飲水量、排尿量が、定時データとして、詳細データとは別のファイルに出力される。合致していないと判別される場合には、定時データは出力されない。
この定時データ出力のための一定時間間隔は、任意に設定することができる。
【0041】
以上の工程は、きわめて短い時間内でコンピュータ処理されるものであり、停止操作がなされるまで、本実施例においては2秒毎に同一の処理が繰り返される。「2秒毎」としたのは、飲水量・排尿量の詳細な変化を分析するために必要十分である点を考慮したものであるが、この時間間隔は任意に設定することができる。
なお、本実施例では給水重量測定値(X)、零水重量測定値(Y)、排尿重量測定値(Z)の順に処理を行っているが、処理の順番は順不同であることはいうまでもない。
【0042】
前立腺肥大症等の病態動物では、短時間の間に数回に分けて排尿が行われることがあり、また、通常の連続的な排尿であっても、その排尿速度が重要なデータとなる場合がある。このようなことから、排尿の状態を、飲水との関係でより詳細にとらえるためには数秒間隔での詳細なデータ取得が必要となるが、そのような詳細なデータを常に取り込むと、特に長時間の測定を行う場合には膨大なデータ量なってしまう。
しかし、本実施例に係るプログラムによれば、給水重量測定値(X)、零水重量測定値(Y)、排尿重量測定値(Z)について、一定の時間間隔(1分間隔)ごとに定時データを出力しつつ、所定時間(2、4、6、8、10秒)前に取得していた値と比較した変化量が、設定しきい値(a)、(b)、(c)を上回る場合にのみ、所与の時間間隔(2秒間隔)ごとの詳細データを出力するようにしたため、給水重量、零水重量、排尿重量についての所定の変化を、飲水・排尿の行為としてとらえ、その状態を詳細に分析することが可能となる。
特に、本実施例のように、「2、4、6、8、10秒前」という過去一定時間内における複数の値との比較で、それぞれ変化量を算出して、設定しきい値と比較することとすれば、とりわけ、設定しきい値を小幅に設定した場合において、測定時点のずれ等によるデジタル変換時の微細な数値変動から生じる検知漏れを確実に防止することが可能となる。
【実施例3】
【0043】
本発明の第3の実施例を図5〜図12に基いて説明する。本実施例は、実施例1及び実施例2により構成される動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)を用いて測定を行う際の、より具体的な手順について示すものである。図12は、本実施例に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置をケージにセットした状態を示している。
なお、本実施例における収集データは、ビーグル犬(オス、体重17kg、9歳齢、前立腺肥大)を対象に、温度23℃、湿度55%に保たれた試験室内で、夕刻から翌朝(約15時間半)にかけて測定して得たものである。
【0044】
図5は、本発明に係るプログラムを起動させたときのメイン画面の例を示すものである。プログラムは、実行ファイル、設定ファイル、表示ファイルの3つのファイルから構成されており、実行ファイルを選択実行することで、メイン画面とともに、出力されるデータを表示するためのソフト(例えば表計算ソフト)が同時に立ち上がるようになっている。
【0045】
図5に示すように、メイン画面(70)においては、しきい値(71)、保存先(72)、測定間隔(73)を設定可能に構成されている。「しきい値」とは、給水重量、零水重量、排尿重量について一定の重量変化が生じたときに、それを動物の飲水・排尿の行為によるものとしてとらえて、詳細データの出力を開始するための基準となる値であり、しきい値(71)は、給水重量、零水重量、排尿重量のそれぞれについて任意の値を設定できるようになっている。本実施例では、いずれも2(単位g)で設定しているため、給水重量、零水重量、排尿重量のいずれかにおいて、所定の時間内に2グラムを超える変化が生じた場合には、詳細データの出力が開始されることとなる。
保存先(72)は、出力される定時データを保存するファイルを選択設定するためのものであり、本実施例ではデータを表示するソフトで編集可能なCSV形式によりファイル保存するようにしている。また、詳細データについては、この設定に依存した特定の名称での別ファイルが自動作成されて、保存されるようになされている。
測定間隔(73)は、定時データを出力するための時間間隔を設定するためのものであり、本実施例では1分間隔に設定している。
【0046】
上記により、しきい値(71)、保存先(72)、測定間隔(73)を設定した後、開始ボタン(74)をクリックすると、コンピュータ(32)が装置(1)と通信可能に接続されて、データの測定・取得が開始される。通信ログ(76)には、接続の状況、取得されるデータが順次表示される。
取得されるデータは、実施例2で示したごとくの手順により、図6、図9に示すように、定時データ及び詳細データとして出力され、それぞれ所定のファイルに保存される。
【0047】
定時データとしては、図6に示すように、設定した測定間隔(1分間隔)ごとに、「給水重量」、「零水重量」、「排尿重量」の測定値とともに、「(初期の給水重量−給水重量)−(零水重量−初期の零水重量)」によって演算される「飲水量」、及び「排尿重量−初期の排尿重量」によって演算される「排尿量」が出力される。
本実施例において、「初期の給水重量」、「初期の零水重量」、「初期の排尿重量」とは、測定開始直後に給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)によってそれぞれ測定されたものである。
【0048】
なお、本実施例では、数値としての定時データ(図6)、さらに、これに基づいて自動作成される給水重量、零水重量、排尿重量についてのグラフ(図7)、並びに飲水量、排尿量についてのグラフ(図8)が、メイン画面とは別ウィンドウで、測定中にリアルタイムで表示されるようになされている。
【0049】
詳細データは、実施例2で示したごとくの手順により、給水重量、零水重量、排尿重量の測定値(現在値)の、過去の10秒間における2秒毎のそれらの測定値に対する変化量が、それぞれの設定しきい値を超えると、出力が開始されるようになっている。さらに、本実施例では、詳細データ出力開始後一定時間(例えば2分間)は、その後の変化の状況に関わらず継続して詳細データが出力されるように設定されている。
また、詳細データは、変化をわかりやすくするために、設定しきい値を超える変化の生じた一定時間前(例えば10秒前)まで遡って出力を開始するように設定されている。
【0050】
詳細データの出力中は、図5に示すように、メイン画面(70)において、出力の残り時間(最大2分間)が詳細出力(77)に棒グラフで表示されるようになっている。
また、詳細データ出力中に、再度設定しきい値を上回る変化が発生した場合には、詳細データ出力の残り時間が延長される。
【0051】
詳細データとしては、図9に示すように、コンピュータ(32)が装置(1)からデータを取得する間隔(2秒間隔)ごとに、給水重量、零水重量、排尿重量とともに、定時データと同様にして演算される「飲水量」、「排尿量」、さらに、「(設定しきい値前給水重量−給水重量)−(零水重量−設定しきい値前零水重量)」によって演算される「今回飲水量」、及び「排尿重量−設定しきい値前排尿重量」によって演算される「今回排尿量」が出力される。
本実施例において、「設定しきい値前給水重量」、「設定しきい値前零水重量」、「設定しきい値前排尿重量」とは、設定しきい値を超える変化が生じる直前に、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)によって、それぞれ測定されたものである。
【0052】
本実施例では、定時データと同様に、数値としての詳細データ(図9)、さらに、これに基づいて自動作成される給水重量、零水重量、排尿重量についてのグラフ(図10)、並びに今回飲水量、今回排尿量についてのグラフ(図11)が、メイン画面とは別ウィンドウで、測定中にリアルタイムで表示されるようになされている。
【0053】
測定を終了・停止する場合には、停止ボタン(75)をクリックすれば、プログラムが終了して、コンピュータ(32)と装置(1)との通信が停止される。
【0054】
このように、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置(1)及びシステム(30)は、非常に簡単な操作で用いることができる。
また、給水重量、零水重量、排尿重量の測定値において、設定しきい値を超える大きな変化があれば、詳細データを変化の10秒前まで遡り、少なくとも継続して2分間出力することとしたため、変化時の様子を容易に把握することが可能となる。
さらに、本実施例のように、連動してグラフを自動作成することとすれば、変化を視覚的に捉えることが可能となり、データの分析に多大な効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、飲水量及び排尿量を同時に連続自動測定し、飲水量と排尿量とを一元的に示す経時的データを取得するとともに、動物が飲水・排尿を行うときのみ詳細なデータを自動的に出力することを可能とした動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びそれを用いたシステムを提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】動物用飲水量・排尿量自動測定装置を示す立面図である。
【図2】動物用飲水量・排尿量自動測定装置の制御盤を示す図である。
【図3】動物用飲水量・排尿量自動測定システムの全体構成を示す図である。
【図4】動物用飲水量・排尿量自動測定プラグラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】動物用飲水量・排尿量自動測定システムにおけるコンピュータ上のメイン画面の例を示す図である。
【図6】定時データの数値による出力例を示す図である。
【図7】定時データ(測定値)のグラフによる出力例を示す図である。
【図8】定時データ(計算値)のグラフによる出力例を示す図である。
【図9】詳細データの数値による出力例を示す図である
【図10】詳細データ(測定値)のグラフによる出力例を示す図である。
【図11】詳細データ(計算値)のグラフによる出力例を示す図である。
【図12】動物用飲水量・排尿量自動測定装置をケージにセットした状態を示す外観図である。
【符号の説明】
【0057】
1 動物用飲水量・排尿量自動測定装置
2 給水重量測定部
3 零水重量測定部
4 排尿重量測定部
5 制御部
6 フレーム
7 タイヤ
9 給水タンク
10、11、12 ロードセル
15、16 アーム
20 給水重量表示部
21 零水重量表示部
22 排尿重量表示部
23 ロードセル配線口
24 電源コード接続口
25 社内LAN接続口
26 電源スイッチ
27 サービスコンセント
28 LAN接続口
30 動物用飲水量・排尿量自動測定システム
31 ケージ
32 給水部
33 排尿部
35 飲み口
36 給水ホース
37 採水口
40 採尿口
41 底板兼糞尿分離網
45 支持枠
46 タイヤ
50 採水カップ
51 採尿カップ
55 回線
57 動物
70 メイン画面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに接続し、零水量を補正した飲水量と、排尿量とを自動測定するための装置であって、
動物へ給水することにより生じる給水重量の変化を測定し、電気信号として出力する給水重量測定部と、
動物が摂水する際に零すことにより生じる零水重量の変化を測定し、電気信号として出力する零水重量測定部と、
動物が排尿することにより生じる排尿重量の変化を測定し、電気信号として出力する排尿重量測定部と、
上記によって出力された電気信号をそれぞれデジタルデータに変換し、コンピュータに送信する手段と、
を備えた動物用飲水量・排尿量自動測定装置。
【請求項2】
コンピュータ接続された請求項1記載の装置と、
動物を格納するケージとを備え、
該ケージに近接して、
該給水重量測定部に接続され、該給水重量測定部によって給水重量の変化を測定可能に、動物に給水する手段と、
該零水重量測定部によって零水重量の変化を測定可能に、動物が零す水を採取する手段と、
該排尿重量測定部によって排尿重量の変化を測定可能に、動物が排出する尿を採取する手段とが配設され、
コンピュータに送信される該デジタルデータによって、零水量を補正した飲水量と、排尿量とについて、所与の時間間隔ごとの詳細データ、及び該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔ごとの定時データを出力するようにした動物用飲水量・排尿量自動測定システム。
【請求項3】
コンピュータ接続された請求項1記載の装置と、
動物を格納するケージとを備え、
該ケージに近接して、
該給水重量測定部に接続され、該給水重量測定部によって給水重量の変化を測定可能に、動物に給水する手段と、
該零水重量測定部によって零水重量の変化を測定可能に、動物が零す水を採取する手段と、
該排尿重量測定部によって排尿重量の変化を測定可能に、動物が排出する尿を採取する手段とが配設され、
コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段として機能させるようにした動物用飲水量・排尿量自動測定システム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムを機能させるためのプログラムであって、
コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段として機能させるための動物用飲水量・排尿量自動測定プログラム。
【請求項5】
請求項2記載のシステムを機能させるためのプログラムであって、
コンピュータを、
給水重量測定値と、零水重量測定値と、排尿重量測定値とのデータをそれぞれ所与の時間間隔で取得する手段と、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した零水重量測定値と、所定時間前に取得していた零水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、零水重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回る場合に、詳細データ出力のためのフラグを立てる手段と、
上記いずれかのフラグが立てられているか否かを判別し、フラグが立てられていると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、データを取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、一のファイルに出力する手段と、
データを取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、給水重量測定値と零水重量測定値と排尿重量測定値とに基いて演算した、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、別ファイルに出力する手段と、
配信先の配信要求に応じて配信する配信手段として機能させるためのプログラムを、
配信する配信サーバ装置。
【請求項6】
動物の飲水量と排尿量とを自動測定するための方法であって、
動物へ給水することにより生じる給水重量の変化を測定し、所与の時間間隔で給水重量測定値を取得するステップと、
動物が排尿することにより生じる排尿重量の変化を測定し、所与の時間間隔で排尿重量測定値を取得するステップと、
該取得した給水重量測定値と、所定時間前に取得していた給水重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、給水重量の変化量についての設定しきい値を上回るか否かを判別するステップと、
該取得した排尿重量測定値と、所定時間前に取得していた排尿重量測定値との差異値を演算し、その絶対値が、排尿重量の変化量についての設定しきい値を上回るか否かを判別するステップと、
上記いずれかの設定しきい値を上回っていると判別される場合にのみ、飲水量と排尿量とを、給水重量測定値及び排尿重量測定値を取得している該所与の時間間隔ごとの詳細データとして、出力するステップと、
給水重量測定値及び排尿重量測定値を取得している該所与の時間間隔よりも長い一定の時間間隔でのデータ出力のタイミングと合致しているか否かを判別し、合致していると判別される場合にのみ、飲水量と排尿量とを、該一定の時間間隔ごとの定時データとして、出力するステップと、
を含む動物用飲水量・排尿量自動測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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