説明

動画データ配信システム、動画データ配信方法及びプログラム

【目的】 多くの動画データから、利用者の単純な作業によって、適切な動画データを配信することが可能な動画データ配信システム等を提供する。
【構成】 動画データ配信システム1において、配信サーバ9は、コンシューマ装置11に対して動画データを配信する。配信制御部7は、コンシューマ装置11の利用者が指定したジャンルに含まれる動画データから、一つ又は複数の動画データを選択する。特に、コンシューマ装置11の利用者は、動画生成部13により動画データを投稿する。配信制御部7は、投稿した動画データと、動画データ記憶部5の各画像データとの関連性を用いて、一つ又は複数の動画データを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画データ配信システム、動画データ配信方法及びプログラムに関し、特に、配信サーバがコンシューマ装置に対して動画データを配信する動画データ配信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、広告配信サーバが、アクセスを受け付けたクライアント装置に対して、一方的に広告を配信することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、利用者が入力した検索条件により検索処理を行い、デジタルコンテンツのリストを作成することが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、利用者が視聴した番組の視聴履歴等により、切替信号に呼応して、番組の頻度順序に応じて番組を切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−181555号公報
【特許文献2】特開2011−91646号公報
【特許文献3】特開2010−193210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあるように、従来の配信サーバは、クライアント装置に対して、配信サーバ側が配信したい情報を、一方的に配信するものであった。そのため、クライアント装置の利用者は、配信される情報の受け手としての地位に固定されていた。
【0007】
他方、特許文献2にあるように、一般的な動画配信サーバでは、利用者は、検索条件を入力するという積極的な作業を行うことが必要であった。適切な検索条件を入力するためには、検索対象となるデータを知悉することが必要である。そのため、一般的な利用者では、適切な検索条件を入力することは期待できない。そのため、利用者は、より適切な動画データを得ることが困難となっていた。
【0008】
特許文献3記載の技術は、利用者の使用履歴によって番組を切り替えるものではある。しかし、その時点で配信されている番組について、適切なチャンネル選択ができること等に関するものである。そのため、特許文献1と同様、配信サーバ側が配信したい情報を一方的に配信することを前提として、単なる過去の延長上のものとして、適切に選択することをサポートするためのものである。
【0009】
したがって、本願発明は、動画データの提供者は単純に動画データを登録するだけで足り、視聴者は、例えば、そのときの気持ちに従ってそのまま見るか、次の動画にするかなどの単純な操作を行うだけで、登録された多くの動画データから、適切な動画データを配信することが可能な動画データ配信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、配信サーバがコンシューマ装置に対して動画データを配信する動画データ配信システムであって、複数の動画データを記憶する動画データ記憶手段と、前記複数の動画データから一つ又は複数の動画データを選択する配信制御手段を備え、前記配信サーバは、前記配信制御手段により選択された動画データを前記コンシューマ装置に対して配信するものであり、前記コンシューマ装置は、前記配信制御手段に対して、当該コンシューマ装置の利用者の動作に関する情報である利用者情報を送信する利用者情報送信手段を備え、前記配信制御手段は、過去に送信された利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段を備え、前記利用者情報送信手段から送信された利用者情報と前記利用者情報記憶手段に記憶された利用者情報とを比較して前記利用者の感情レベルを分析し、前記分析された感情レベルに応じて前記動画データ記憶手段に記憶された動画データから一つ又は複数の動画データを選択するものである。
【0011】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の動画データ配信システムであって、前記配信制御手段は、前記利用者情報送信手段から送信された利用者情報の変化が不規則な場合に、前記利用者の感情レベルを分析して、前記分析された感情レベルに応じて一つ又は複数の動画データを選択するものである。
【0012】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の動画データ配信システムであって、前記配信制御手段は、前記コンシューマ装置に対して配信した動画データの履歴である配信履歴情報を記憶する配信履歴記憶手段を備え、前記配信制御手段は、前記感情レベルが低い場合に、前記配信履歴記憶手段に記憶された配信履歴情報に基づいて、過去に送信した動画データに関連性が強い動画データを選択し、前記感情レベルが高い場合に、前記配信履歴記憶手段に記憶された配信履歴情報に基づいて、過去に送信した動画データに関連性が強いものに加えて、過去に送信した動画データに関連性が低い動画データをも選択するものである。
【0013】
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の動画データ配信システムであって、前記利用者情報には、利用者により指定されたジャンルが含まれており、前記配信制御手段は、前記動画データ記憶手段に記憶された動画データのうち、前記指定されたジャンルに含まれるものから選択するものである。
【0014】
本願発明の第5の観点は、第4の観点において、前記コンシューマ装置は、前記動画データ記憶部に対して、新たに動画データを記憶させるものであり、前記配信制御手段は、前記動画データ記憶手段に記憶された動画データのうち、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データから、前記一つ又は複数の動画データを選択するものである。
【0015】
本願発明の第6の観点は、第5の観点において、新たに動画データを生成する動画生成手段を備え、前記コンシューマ装置は、コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記動画生成手段に対して前記コンテンツを送信する投稿情報送信手段を備え、前記動画生成手段は、前記コンテンツを紹介するキャラクタの動作を生成して、新たに前記動画データを生成して、前記動画データ記憶手段に対して前記新たに動画データを記憶させるものであり、前記配信制御手段は、前記コンシューマ装置によって記憶された動画データと、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データとの関連性によって、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データから前記一つ又は複数の動画データを選択するものである。
【0016】
本願発明の第7の観点は、配信サーバがコンシューマ装置に対して動画データを配信する動画データ配信方法であって、前記コンシューマ装置の利用者情報送信手段が、配信制御手段に対して、ジャンルの指定を送信する指定ステップと、前記配信制御手段が、動画データ記憶手段に記憶された複数の動画データのうち、前記指定されたジャンルに含まれるものから、一つ又は複数の動画データを選択する選択ステップと、前記配信サーバが、前記配信制御手段により選択された一つ又は複数の動画データを前記コンシューマ装置に対して配信する配信ステップを含むものである。
【0017】
本願発明の第8の観点は、コンピュータを、動画データ記憶手段に記憶された複数の動画データのうち、コンシューマ装置の利用者により指定されたジャンルに含まれるものから、一つ又は複数の動画データを選択する選択手段として機能させるためのプログラムである。
【0018】
なお、本願発明において、利用者情報について、利用者がコンシューマ装置を操作したか否かという情報では、操作した種類と頻度の変化や、コンシューマ装置が把握した入力者の音声・映像のように継続的な情報ではその情報量の大きさや周波数の変化などから、感情レベルの識別を行ってもよい。また、時期や時間帯などに応じても、動画データを選択するようにしてもよい。特に、利用者の視聴環境に着目し、視聴環境の類似性に着目して抽出した利用者情報と比較して感情レベルの分析及び/又は動画データの選択を実現してもよい。
【0019】
また、本願発明の第2の観点において、規則的な場合には、動画データのうち一般的に関心の高い情報(例えば新着情報や、「いい」と高く評価されている情報など)に基づき、動画データを選択するようにしてもよい。
【0020】
さらに、本願発明において、動画データを分析して得られた感情類型を用いて、例えば利用者の感情レベルを落ち着かせたり、利用者がプラスの感情を増幅させたりするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の第1の観点によれば、動画データの配信者は、動画データ記憶手段に動画データを記録すればよい。コンシューマ装置の利用者は、コンシューマ装置を、そのときの気持ちに従って操作すればよい。本願発明の第1の観点によれば、配信サーバは、コンシューマ装置の利用者に対して、利用者の感情レベルの変化に応じて、利用者の現状に適した動画データを自動的に配信することが可能になる。特に、第2の観点にあるように、利用者の動作が不規則に変化する場合、その動作には、意識的/無意識的に、その利用者の個性が反映されているものと考えられる。そのため、その動作の変化に適した動画データを配信することにより、例えば、利用者の関心を維持し、さらに、動画データの感情類型を用いることにより、マイナスの感情を減少させ、プラスの感情を高めることが可能になる。さらに、視聴時間等の視聴状態に着目して、適切な動画データを選択するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本願発明の第4、第7及び第8の観点によれば、コンシューマ装置の利用者は、単に、動画データのジャンルを選択することのみによって、配信制御部7が、利用者に適した動画データを選択して、配信サーバが配信処理を実現することが可能になる。ジャンルは、利用者に対して、事前に提示することができる。そのため、コンシューマ装置の利用者は、検索条件の入力処理などの作業を行うことなく、利用者に適切な動画データを提供することが可能になる。
【0023】
また、本願発明の第5の観点によれば、コンシューマ装置の利用者が投稿した動画データを参照して、コンシューマ装置の利用者に配信すべき動画データの選択を行う。これにより、配信サーバ側では動画データをより容易に収集することが可能になる。他方、コンシューマ装置の利用者側では、投稿した動画データに関連して、他の人から投稿された動画データを、自動的に配信されることが可能になる。
【0024】
さらに、本願発明の第6の観点によれば、コンシューマ装置の利用者は、単にコンテンツを投稿するだけでなく、これを紹介するための情報を含めて動画データとして投稿することが可能になる。これにより、他のコンシューマ装置の利用者に、コンテンツを、より伝わりやすい情報にして配信することが可能になる。
【0025】
出願人は、これまで、特別な技術がなくとも動画データを制作が可能になるシステム(クリエータ)や、双方向での質疑応答ができるシステム(アクトショー)、タッチパネルで関連情報を提供することができるシステム(コンシエルジュ)などを提供し、リアルタイムで、複数個所に、同時に配信することができるソフトウエアを作成してきた。このようなシステムは、素人が作成した動画を素人が視聴するという、いわば「素人による配信」を実現することにより、「素人間での動画を介したコミュニケーション」を確立することができるようになった。
【0026】
これまでの動画配信は、TV局・放送局にあるように、プロフェッショナルが作成した動画を素人が視聴するという、動画の送り手と受け手の立場が固定するものであった。そのため、これを、そのまま、出願人により実現した「素人間での動画を介したコミュニケーション」に拡張することは、配信側の負担が大きく、実現が困難になる。配信側としては、素人が自ら作った番組などを登録するだけで、受け手のアクセスを待つだけの状態となる必要がある。
【0027】
他方、インターネット上での動画サイトなどでは、動画の送り手が、検索キーワードなどを自ら駆使して、動画を選択することが必要であった。しかしながら、このような検索キーワードは、適切なものを選択して入力するためには、高度な知識が必要となる。特に、どのような動画データがあるかが不明な素人が、適切な検索キーワードを設定し、適切な動画データを選択することは、事実上困難である。また、番組を見るときには、情報(知識)ではなく、そのときの気持ち(感情・感覚)により選択したいときもある。従来の検索キーワード等は、形式的な表現(情報)による選択に適したものであり、このようなニーズに応えるものではなかった。素人の受け手としては、作り手側で動画を解析して放映するという「検索をサポートする機能」が重要となる。本願発明は、このような「検索をサポートする機能」に関するものであり、さらに、情報の受け手の感情レベルの変化に着目した動画選択を実現可能とするものである。素人の動画の受け手は、単に、自分の気持ちで番組を選び、気にくわなければ番組を変更しさえすればよい。さらに、従来のインターネット上の動画サイトでは情報の一方通行であったが、例えばアクトショーを応用することにより、動画の内容に疑問を持ったりした場合、その内容の詳細を即座に聞くことができる。このような、動画をきっかけとした個別のコミュニケーションの確立をも実現可能にするものである。本願発明は、「動画を利用した新たなコミュニケーションの補助機能」を実現するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本願発明の実施例1における動画データ配信システムの構成及び動作の一例を説明するための概略ブロック図である。
【図2】図1の表示装置25における表示例を示す図である。
【図3】図1の動画データ配信システム1の動作の概要の一例を示すフロー図である。
【図4】本願発明の実施例2における動画データ配信システム41の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】図4の動画データ配信システム41の動作の概要の一例を示すフロー図である。
【図6】図5の動画データ配信システム41について、感情レベルの分析を説明するための図である。
【図7】本願発明の実施例1及び実施例2を組み合わせた動画データ配信システム51の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本願発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1による動画データ配信システムの構成及び動作の一例を説明するための概略ブロック図である。動画データ配信システム1(本願請求項の「動画データ配信システム」の一例)は、配信情報提供部3と、動画データ記憶部5(本願請求項の「動画データ記憶手段」の一例)と、配信制御部7(本願請求項の「配信制御手段」の一例)と、配信サーバ9(本願請求項の「配信サーバ」の一例)と、コンシューマ装置11(本願請求項の「コンシューマ装置」の一例)と、動画生成部13(本願請求項の「動画生成手段」の一例)を備える。
【0031】
コンシューマ装置11は、利用者情報送信部21(本願請求項の「利用者情報送信手段」の一例)と、視聴再生部23と、表示装置25と、コンテンツ記憶部27(本願請求項の「コンテンツ記憶手段」の一例)と、投稿情報送信部29(本願請求項の「投稿情報送信手段」の一例)を備える。
【0032】
配信制御部7は、分析部31と、選択部33(本願請求項の「選択手段」の一例)を備える。
【0033】
動画データ記憶部5は、複数の動画データを記憶するものである。本実施例では、動画データ記憶部5に記憶される動画データには、配信情報提供部3によるものと、動画生成部13により生成されたものが存在する。
【0034】
配信情報提供部3は、コンシューマ装置11以外で、動画データを配信することを希望する者が利用するものである。例えば、自動生成システムによる定時番組を制作するものである。データベース等にアクセスして、定時に情報を読み取り、動画データを自動的に作成するものである。配信情報提供部3は、動画データ記憶部5に対して、動画データを記憶する。ここで記憶される動画データは、例えば、既に完成されたものでもよく、クリエイター等が動画作成プログラムを利用して作成したものでもよい。本実施例では、配信情報提供部3は、同時に、配信制御部7に対して、各動画データに対応する配信制御情報を送信する。配信制御情報は、各動画データを配信するために使用される情報である。例えば、動画データのジャンル等である。
【0035】
配信制御部7において、分析部31は、利用者情報送信部21から送信された利用者情報と、配信情報提供部3から送信された各動画データの配信制御情報とを利用する。分析部31は、各動画データと、コンシューマ装置11の利用者との関連性を分析する。選択部33は、分析部31の分析結果を用いて、動画データ記憶部5に記憶された複数の動画データから、一つ又は複数の動画データを選択する。例えば、各動画データは、配信制御情報によって、ジャンルに分類することが可能である。利用者情報送信部21は、コンシューマ装置11の利用者が指定したジャンルを送信する。利用者情報送信部21は、例えば、コンシューマ装置11の利用者が投稿した動画データの配信制御情報を自動的に送信する。なお、この配信制御情報は、コンテンツそのものではなく、コンテンツを紹介する部分(コンテンツの説明やキャラクタのセリフなど)から生成するようにしてもよい。
【0036】
これにより、コンシューマ装置11の利用者は、単にジャンルを指定して、見たいコンテンツを抽象的に指定するだけで、配信制御部7の選択部33は、コンシューマ装置11の利用者が投稿した動画データに関連する動画データ群を、コンシューマ装置11に自動的に配信することができる。よって、コンシューマ装置11の利用者は、具体的な検索条件等を利用しなくとも、自分の知りたい動画データを受信することができる。
【0037】
さらに、動画データの収集と配信との関連性を持たせることにより、動画データ記憶部5には、コンシューマ装置11からより多くの動画データを収集することができる。さらに、動画生成部13がコンテンツを説明するための情報をも含めて動画データを生成することにより、動画データの相互関係が明確になり、多くの動画データの整理をも自動的に行うことが容易になるとともに、分析部31の分析処理の精度がよくなる。そのため、配信すべき動画データ群を充実させることができる。
【0038】
配信サーバ9は、コンシューマ装置11に対して、選択部33が選択した動画データを配信する。コンシューマ装置11において、表示装置25は、例えばディスプレイ等の表示機能を有する装置である。視聴再生部23は、表示装置25に対して、配信サーバ9から配信された動画データを表示させる。
【0039】
続いて、コンシューマ装置11が動画データ記憶部5へ動画データを投稿する処理について説明する。
【0040】
コンテンツ記憶部27は、コンテンツを記憶する。コンテンツは、大きく、素材データと言葉データに分類される。素材データには、例えば、デジタルカメラ等で撮影することにより得られた画像・映像素材や、BGMに使用される音楽素材が含まれる。言葉データには、例えば、素材データの説明や、キャラクタの発する音声が含まれる。
【0041】
投稿情報送信部29は、動画生成部13に対して、コンテンツ記憶部27に記憶されたコンテンツを、キャラクタの動作を示す指定コマンドと共に送信する。
【0042】
動画生成部13は、音として、音楽素材とキャラクタの発する音声とを同期して生成する。また、映像として、画像・映像素材と、これを紹介するキャラクタの動作とを同期して生成する。このとき、キャラクタの動作は、発する音声によって口元のデータを修正する。さらに、指定コマンドにより指定されたものを基準として、コンテンツから分類される感情類型に従って修正するようにしてもよい。そして、生成した音と映像を同期させて動画データを生成する(例えば、特開2011−55483号公報参照)。動画生成部13は、動画記憶部5に対して、生成された動画データを記憶する。
【0043】
このように、コンシューマ装置11の利用者は、例えばデジタルカメラ等で撮影することにより得られた画像・映像素材であっても、それをそのまま投稿するのではなく、キャラクタにより紹介する形で加工して配信することが可能になる。そのため、動画データ記憶部5に記憶された動画データの質が向上する。
【0044】
図2は、図1の表示装置25における表示例を示す図である。表示領域51は、動画データ再生領域53、ジャンル指定領域55及び動画データ登録領域57を含む。この表示は、1つのアプリケーションで実現可能である。そのため、コンシューマ装置11の利用者は、アイコンを1回クリックするだけで、手軽に視聴することができる。そのため、自宅でも見ることができる「専用テレビ」を実現できる。また、施設内の複数のモニターで同時放送を行い、電子看板を実現することもできる。
【0045】
動画データ再生領域53は、動画データを表示する領域である。コンシューマ装置11の利用者は、視聴者として、様々な動画データの中なら、いつでも、必要なものだけを見ることができる。
【0046】
ジャンル指定領域55は、コンシューマ装置11の利用者が、見たい動画データのジャンルを指定するための領域である。図2では、8個のアイコンが表示されている。これらのアイコンは、例えば、予め設定されたものでもよく、コンシューマ装置11の利用者が予め設定されたものからいくつかを指定したものなどであってもよい。
【0047】
動画データ登録領域57は、新たな動画データを登録する処理を指定するための領域である。利用者がこの領域を指定すると、例えば、コンテンツ記憶部27に記憶されたコンテンツの一覧を表示して、指定されたコンテンツに対して、修正等の作業をしたり、キャラクタの動作についての指定コマンドを入力して動画生成部13への送信の指示をしたりするための表示に切り替わる。これにより、コンシューマ装置11の利用者は、製作者として、動画データの内容を、いつでも、手軽に変更して動画データ記憶部5に記憶させることができる。
【0048】
例えば、さらに、新たな領域を設けて、動画データ再生領域53に表示されている動画データについて、コンシューマ装置11の利用者が、より詳細な説明などを表示させることを指定するようにしてもよい。ここで、より詳細な説明としては、例えば、インターネット等によりアクセスして得たものである。また、例えば、動画データに現れた商品を電子商取引によって購入するための情報を提示するものであってもよい。これにより、視聴者は、「情報を探す」ことなく、的確な情報へアクセスすることができる。
【0049】
図3は、図1の動画データ配信システム1の動作の概要の一例を示すフロー図である。図3を参照して、図1の動画データ配信システム1の動作の一例について説明する。
【0050】
まず、新たな動画データが、配信情報提供部3及び/又は動画生成部13から生成されたか否かを判断する(ステップST1)。新たな動画データがある場合には、動画データ記憶部5へ記憶して(ステップST2)、ステップST3へ進む。新たな動画データがない場合には、ステップST3へ進む。
【0051】
続いて、コンシューマ装置11の利用者が図2のジャンル指定領域55に表示されたアイコンの一つを選択して、ジャンルを指定したか否かを判断する(ステップST3)。ジャンル指定処理がない場合には、ステップST1へ戻る。ジャンルが指定された場合には、配信制御部7により動画データを選択する(ステップST4)。配信サーバ9は、動画データを配信する(ステップST5)。コンシューマ装置11は、表示装置25の動画データ再生領域53に、受信した動画データを再生する(ステップST6)。
【実施例2】
【0052】
図4は、本発明の実施例2における動画データ配信システム41の構成の一例を示すブロック図である。動画データ配信システム41の構成のうち、図1の動画データ配信システム1の構成に対応するものは、同じ符号で示している。
【0053】
図4において、配信制御部7は、選択部33と、分析部31と、利用者情報記憶部43(本願請求項の「利用者情報記憶手段」の一例)と、配信履歴記憶部45(本願請求項の「配信履歴記憶手段」の一例)を備える。利用者情報記憶部43は、コンシューマ装置11の利用者情報送信部21が過去に送信した利用者情報を記憶する。配信履歴記憶部45は、配信サーバ9がコンシューマ装置11の利用者に対して配信した動画データの履歴である配信履歴情報を記憶する。
【0054】
コンシューマ装置11は、利用者情報送信部21(本願請求項の「利用者情報送信手段」の一例)と、視聴再生部23と、表示装置25と、ボタン入力部47と、音声入力部49を備える。
【0055】
図5を参照して、図4の動画データ配信システム41の動作について説明する。図5は、図4の動画データ配信システム41の動作の一例を示すフロー図である。
【0056】
配信制御部7の分析部31は、利用者情報送信部21から送信された利用者情報を分析する(ステップSTP1)。図4のコンシューマ装置11の利用者情報送信部21が送信する利用者情報には、利用者が、コンシューマ装置11のボタン入力部47及び音声入力部49に対して行った操作に関する情報が含まれている。ボタン入力部47は、利用者が、ボタンを操作して、ボタンのそれぞれ又は組み合わせに応じて、動画データの詳細な情報を表示させたり、リピート再生をさせたり、何も操作しなかったり、スキップしたり、メニューを選択したりするなど、定型的な操作を指示するためのものである。音声入力部49は、利用者が、音声を用いて、操作を指示するものである。音声入力部49に入力された音声を用いて、利用者は、コンシューマ装置11の表示装置25に表示されたキャラクタと会話することも可能である。また、利用者が意識的に入力する音声だけでなく、継続して環境音等を入力して、利用者の現在の環境から発せられている音を入力してもよい。
【0057】
利用者が、キャラクタとの対話を指示する場合(ステップSTP2)、キャラクタとの対話を実現する(以下、「対話モード」という。)(ステップSTP3)。本願発明の特徴は、特別の技術を持たない利用者に、簡易に画像データによる情報を与えることができることである。その情報の提供は、これまでのテレビ等のように、一方的なものではなく、利用者の状況に合わせたものとすることができる。さらに、特別のキャラクタと会話することにより、単なる情報のやり取りにとどまらず、個々のコミュニケーションとして成立した情報の交換が実現することになる。この対話モードは、例えば、特許第4725918号などの技術を利用して実現することが可能である。この特許技術を利用することにより、利用者は、特別な技術を必要とすることなく、簡易に、情報提供者との対話を通じたコミュニケーションを確立することが可能になる。
【0058】
分析部31は、利用者情報の変化の規則性を分析する(ステップSTP4)。コンシューマ装置11の利用者が動画データを見る状態には、2つのレベルが存在すると考えられる。
【0059】
一つは、ネットサーフィン的に、単なる情報として、ただ見ている状態である。この段階では、情報の種類に関心があり、全体像を知りたいと考え、動画データの再生時間及び/又は再生割合と操作との関係では、ほぼ一定の操作(例えば、次の動画データに移行するための指示など)が規則的に連続して繰り返される(図6(a)参照)。そのため、配信制御部33は、一定の操作が規則的に連続して繰り返される状態では、利用者情報を利用者情報記憶部43に記憶しつつ、新着映像や再生回数が多い映像など、一般的に関心が高い画像データを優先して選択する(ステップSTP5)。さらに、視聴している時期・時間帯に合わせた番組選択をしてもよい。すなわち、土曜日・日曜日や正月等の休日であれば幅広い年齢層に支持されている番組を選択したり、クリスマス・バレンタイン等のイベントの時期であればプレゼント等の情報などを提供する番組を選択したり、夏休み等であれば若い世代に支持されている番組を選択したり、時間帯に応じて、例えば、朝は気持ちが前向きになり、夕方は、家族・友人等の間で共有して話題になる番組や情報を提供し、夜は、気分が落ち着くような番組を提供するようにしてもよい。
【0060】
もう一つは、再生されている動画データを、興味をもって見ている状態である。この状態では、利用者の興味の程度によって、興味が高い状態では動画データの再生時間及び/又は再生割合が長く、興味が低くなると頻繁に操作が行われて動画データの再生時間及び/又は再生割合が短くなるように、動画データの再生時間及び/又は再生割合と操作との関係で、利用者の操作が不規則に変化する(図6(b)参照)。そのため、このような状態では、利用者の操作には、利用者の個性が反映していると考えられる。そこで、選択部33は、利用者情報を利用者情報記憶部43に蓄積しつつ、利用者情報記憶部43の利用者情報と比較して、現在の利用者の感情レベル(例えばテンションの高さなど)を分析し(ステップSTP6)、これに応じた動画データを選択する(ステップSTP7)。ここで、既述のように、視聴している時期・時間帯に合わせた番組選択をしてもよい。
【0061】
図6(c)を参照して、感情レベルの識別の一例について説明する。例えば利用者がボタン操作により入力する場合、動画データの詳細な情報を表示させたり、リピート再生をさせたり、何も操作しなかったり、スキップしたり、メニューを選択したりするなど、ボタン操作そのものには、利用者の個性は反映していない。そのため、ボタン操作そのものから利用者の感情を判別することは困難であると考えられる。また、動画データと、それを見ている利用者の感情とは、動画データの情報内容は、映像制作側の感情であり、観る側の感情とは異なるため、これらを直接結びつけることは困難である。また、例えば利用者が音声等により入力する場合、頭の中で感情処理をして、結果、「何をしたい」という指示が多くなる。すなわち、「今日は楽しいから、買い物がしたい」のようなものではなく、単に「買い物がしたい」という指示になる。そのため、判別要素が不足し、感情を判別することは困難であると考えられる。
【0062】
しかしながら、利用者の操作の変化により、その時点(その日、その時)での気分の度合い(感情レベル)は、識別することができると考えられる。すなわち、例えばボタン操作であれば操作の種類と頻度などから、例えば音声入力等の場合には、声の大きさ(音量)や高さ(周波数)から、感情レベルを判別することができると考えられる。例えば、ボタン操作の変化では、操作の種類や頻度が、利用者情報記憶部43に記憶された平常時のものよりも多い(高い)場合には感情レベルが高く、平常時のものよりも少ない(低い)場合には感情レベルが低いと考えられる。例えば、音声入力の変化では、音声の大きさ(高さ)が、平常時よりも大きい(高い)場合には感情レベルが高く、平常時の者よりも小さい(低い)場合には感情レベルが低いと判別する(図5(c)参照)。なお、このようなボタン操作等が不規則に変化する状態では、利用者の個性が反映されていると考えられる。そのため、利用者情報記憶部43の利用者情報のうち、当該利用者に関連するものから平常の状態を予測し、これと現状を比較するようにしてもよい。さらに、時期・時間帯等による習慣性を利用したり、音声入力部49が収集した環境音等から利用者の視聴環境に類似する環境下での利用者情報を利用したりしてもよい。これにより、利用者に合わせた情報を提供することが可能になる。
【0063】
さらに、興味がない情報(無興味情報)に対して受け入れる姿勢は、感情レベルと関連性があると考えられる。すなわち、感情レベルが低ければ無興味情報の受け入れ姿勢は低いのに対し、感情レベルが高ければ無興味情報でも柔軟に受け入れるものと考えられる。そのため、感情レベルが低い場合には、配信履歴記憶部45に記憶された配信履歴情報から、利用者が日ごろ興味の高い情報を優先的に表示するようにする。他方、感情レベルが高い場合には、利用者が日ごろ興味の高い情報と共に、興味の低い情報であっても、表示するようにする。なお、この情報の類似性は、内容の類似性によって選択するようにしてもよい。また、実施例1において説明したように、利用者が投稿した動画データを考慮して、感情レベルの分析に基づき動画データを選択してもよい。また、例えば、再生している動画データを分析して得られた感情類型に基づき、利用者の感情レベルの上昇が、喜び、期待、希望等のプラスの動画データで生じるのであれば、それを継続・助長するように選択し、利用者が、プラスの動画データを嫌い、恐れ、心配等のマイナスの情報で生じるのであれば、ボタン等の操作の変化を平常に近づけるように動画データを選択するようにしてもよい。
【0064】
さらに、コンシューマ装置が接続しているIPアドレス等の情報からコンシューマ装置が存在している場所を取得し、当該コンシューマ装置が存在する場所の情報を表示するようにしてもよい。これにより、コンシューマ装置がスマートフォン等であっても、容易に、所在エリアに合わせた情報に変更することが可能になる。
【0065】
そして、配信サーバ9は、動画データ記憶部5の動画データから選択されたものをコンシューマ装置11の視聴再生部23に送信し(ステップSTP8)、視聴再生部23は、表示装置25に表示させる(ステップSTP9)。
【0066】
なお、図7にあるように、実施例1と実施例2を加味して、配信制御部7の配信制御部7は、動画データを選択するようにしてもよい。すなわち、利用者情報を分析し、既に投稿した動画(実施例1)と、現在の感情レベルとに基づき、動画データを選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 動画データ配信システム、3 配信情報提供部、5 動画データ記憶部、7 配信制御部、9 配信サーバ、11 コンシューマ装置、13 動画生成部、21 利用者情報送信部、23 視聴再生部、25 表示装置、27 コンテンツ記憶部、29 投稿情報送信部、31 分析部、33 選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信サーバがコンシューマ装置に対して動画データを配信する動画データ配信システムであって、
複数の動画データを記憶する動画データ記憶手段と、
前記複数の動画データから一つ又は複数の動画データを選択する配信制御手段を備え、
前記配信サーバは、前記配信制御手段により選択された動画データを前記コンシューマ装置に対して配信するものであり、
前記コンシューマ装置は、前記配信制御手段に対して、当該コンシューマ装置の利用者の動作に関する情報である利用者情報を送信する利用者情報送信手段を備え、
前記配信制御手段は、
過去に送信された利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段を備え、
前記利用者情報送信手段から送信された利用者情報と前記利用者情報記憶手段に記憶された利用者情報とを比較して前記利用者の感情レベルを分析し、前記分析された感情レベルに応じて前記動画データ記憶手段に記憶された動画データから一つ又は複数の動画データを選択する、動画データ配信システム。
【請求項2】
前記配信制御手段は、前記利用者情報送信手段から送信された利用者情報の変化の規則性を分析し、利用者情報の変化が不規則な場合に、前記分析された感情レベルに応じて一つ又は複数の動画データを選択する、請求項1記載の動画データ配信システム。
【請求項3】
前記配信制御手段は、前記コンシューマ装置に対して配信した動画データの履歴である配信履歴情報を記憶する配信履歴記憶手段を備え、
前記配信制御手段は、
前記感情レベルが低い場合に、前記配信履歴記憶手段に記憶された配信履歴情報に基づいて、過去に送信した動画データに関連性が強い動画データを選択し、
前記感情レベルが高い場合に、前記配信履歴記憶手段に記憶された配信履歴情報に基づいて、過去に送信した動画データに関連性が強いものに加えて、過去に送信した動画データに関連性が低い動画データをも選択する、請求項1又は2に記載の動画データ配信システム。
【請求項4】
前記利用者情報には、利用者により指定されたジャンルが含まれており、
前記配信制御手段は、前記動画データ記憶手段に記憶された動画データのうち、前記指定されたジャンルに含まれるものから選択する、請求項1から3のいずれかに記載の動画データ配信システム。
【請求項5】
前記コンシューマ装置は、前記動画データ記憶部に対して、新たに動画データを記憶させるものであり、
前記配信制御手段は、前記動画データ記憶手段に記憶された動画データのうち、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データから、前記一つ又は複数の動画データを選択する、請求項4記載の動画データ配信システム。
【請求項6】
新たに動画データを生成する動画生成手段を備え、
前記コンシューマ装置は、
コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記動画生成手段に対して前記コンテンツを送信する投稿情報送信手段を備え、
前記動画生成手段は、前記コンテンツを紹介するキャラクタの動作を生成して、新たに前記動画データを生成して、前記動画データ記憶手段に対して前記新たに生成された動画データを記憶させるものであり、
前記配信制御手段は、前記コンシューマ装置によって記憶された動画データと、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データとの関連性によって、前記コンシューマ装置以外から記憶された動画データから前記一つ又は複数の動画データを選択する、請求項5記載の動画データ配信システム。
【請求項7】
配信サーバがコンシューマ装置に対して動画データを配信する動画データ配信方法であって、
前記コンシューマ装置の利用者情報送信手段が、配信制御手段に対して、ジャンルの指定を送信する指定ステップと、
前記配信制御手段が、動画データ記憶手段に記憶された複数の動画データのうち、前記指定されたジャンルに含まれるものから、一つ又は複数の動画データを選択する選択ステップと、
前記配信サーバが、前記配信制御手段により選択された一つ又は複数の動画データを前記コンシューマ装置に対して配信する配信ステップを含む動画データ配信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
動画データ記憶手段に記憶された複数の動画データのうち、コンシューマ装置の利用者により指定されたジャンルに含まれるものから、一つ又は複数の動画データを選択する選択手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate