説明

動画再生装置及び動画再生方法

【課題】N倍速再生時に、画像欠落による違和感を軽減する。
【解決手段】本発明に係る動画再生装置は、動画をN倍速で再生可能な動画再生装置であって、前記動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定する重み付け決定部21と、前記重み付けに基づき前記N枚のフレームを合成して合成フレームを生成するフレーム合成部3と、前記N倍速での再生時に前記合成フレームを表示させるフレーム同期制御部4と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動画再生装置及び動画再生方法に関し、特に、動画をN倍速(Nは2以上の整数)で再生可能な動画再生装置及び動画再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル動画の位置検索方法には、早送り、早戻し機能がある。一般に固定フレームレートのモニタで早送り、早戻しを表現する場合、画像(フレーム)が間引かれて表示される。たとえばN倍速再生においては、Nフレームおきの画像が再生されるため、N−1のフレームが間引かれることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5は、N倍速再生において、再生されるフレームと間引かれるフレームとの関係を示す図である。図5では、再生されるフレームを実線で示し、間引かれるフレームを点線で示している。図5(a)のように等倍速再生(通常再生)時は、各フレームが全て再生されるが、図5(b)の2倍速再生や、図5(c)の4倍速再生では、それぞれ、2フレームおき、4フレームおきのフレームのみが再生されることになる。すなわち、2倍速再生及び4倍速再生では、それぞれ、1フレーム及び3フレームの画像が間引かれて表示される。
【0005】
図6は、図5(a)の等倍速再生(通常再生)における再生イメージを示す図であり、図7は、図5(b)の2倍速再生における再生イメージを示す図である。図6の等倍速再生においては、図6(a)に示す全ての動画フレームが再生されるため、図6(b)に示す再生イメージでは各フレームに含まれる動きが忠実に再現される。一方、図7の2倍速再生においては、図7(a)に示す動画フレームのうち、図7(b)に示す奇数フレームのみが再生されるため、図7(c)に示す再生イメージは図6(b)に示す等倍速再生における再生イメージに比べ違和感の大きいものとなる。
【0006】
図5〜図7で説明したとおり、フレームを間引いてN倍速再生を行う上記従来技術の場合、本来連続であるフレームの情報が破棄されてしまうため、動きの激しい場面では、各画像間の連続性が大きく損なわれ、利用者が再生位置情報を正しく認識しにくくなるという問題がある。また、動き自体が不自然であり利用者が違和感を覚えるという問題があった。
【0007】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、N倍速再生時(早送り/早戻し再生時)に、動きの激しい場面においても、動画位置情報の把握を容易にし、画像欠落による違和感を軽減することが可能な、動画再生装置及び動画再生方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による動画再生装置は、動画をN倍速(Nは2以上の整数)で再生可能な動画再生装置であって、前記動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定する重み付け決定部と、前記重み付けに基づき前記N枚のフレームを合成して合成フレームを生成するフレーム合成部と、前記N倍速での再生時に前記合成フレームを表示させるフレーム同期制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0010】
例えば、本発明を方法として実現させた第2の発明による動画再生方法は、動画をN倍速(Nは2以上の整数)で再生可能な動画再生装置における動画再生方法であって、前記動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定するステップと、前記重み付けに基づき前記N枚のフレームを合成して合成フレームを生成するステップと、前記N倍速での再生時に前記合成フレームを表示させるステップと、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る動画再生装置及び動画再生方法によれば、N倍速再生時(早送り/早戻し再生時)に、動きの激しい場面においても、動画位置情報の把握を容易にし、画像欠落による違和感を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る動画再生装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明による2倍速再生におけるフレーム合成を示す図である。
【図3】本発明による2倍速再生における再生イメージを示す図である。
【図4】本発明による4倍速再生におけるフレーム合成を示す図である。
【図5】従来のN倍速再生において再生されるフレームと間引かれるフレームとの関係を示す図である。
【図6】等倍速再生(通常再生)における再生イメージを示す図である。
【図7】従来の2倍速再生における再生イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画再生装置の概略構成を示す図である。本発明の一実施形態に係る動画再生装置は、再生速度入力部1と、重み付け決定部21を有する再生制御部2と、フレーム合成部3と、フレーム同期制御部4と、画像再生部5と、表示部6とを備える。なお、以降の説明において、「N倍速再生」とは、順方向のN倍速再生(早送り)及び逆方向のN倍速再生(早戻し)のいずれをも含むものである。
【0015】
再生速度入力部1は、利用者からの再生速度の入力を受け付け、入力された再生速度を再生制御部2に送信する。なお、再生速度入力部1は、例えば赤外線受信器などから構成され、利用者のリモコン操作などによる再生速度の入力を受け付けることができる。
【0016】
再生制御部2において、重み付け決定部21は、動画の各フレームに対し再生速度に従った重み付けを決定する。N倍速再生時に、重み付け決定部21は、動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定する。重み付け決定部21は、再生速度を基にした算術式や、予め用意したテーブルを基に重み付けを決定することができる。例えば、重み付け決定部21は、N倍速再生においてN枚のフレームを合成する場合、各フレームの合成比率をn(1≦n≦N)とした算術式により、重み付けを決定することができる。例えば、重み付け決定部21は、2倍速再生の場合、奇数フレームの重み付けを20%(=1/(1+2))、偶数フレームの重み付けを80%(=2/(1+2))と決定することができる。また、重み付け決定部21は、予め定めたテーブルを基に、例えば2倍速再生の場合、奇数フレームの重み付けを70%、偶数フレームの重み付けを30%と決定することができる。なお、重み付け決定部21は、重み付けが0となるフレームが生じないように、重み付けを行うことが好ましい。重み付け決定部21は、決定した重み付けをフレーム合成部3に送信する。また、再生制御部2は、画像再生部5に画像再生の指示を出し、フレーム同期制御部4に再生速度を送信する。
【0017】
画像再生部5は、所定の表示期間中に再生される、動画中の連続する複数のフレームの画像を再生(デコード)し、フレーム合成部3に画像データを送信する。
【0018】
フレーム合成部3は、重み付け決定部21により決定された重み付けに従い、画像再生部5から取得したフレームを合成する。フレーム合成部3は、合成したフレームをフレーム同期制御部4に送信する。
【0019】
図2は、2倍速再生時のフレーム合成部3によるフレーム合成の概要を示す図である。フレーム合成部3は、画像再生部5から取得した各フレーム(図2(a))の奇数フレーム(1、3、5、・・・、2m−1)と偶数フレーム(2、4、6、・・・、2m)とを合成し、図2(b)に示す合成フレーム(1’、3’、5’、・・・、(2m−1)’)を生成する。
【0020】
図3は、2倍速再生時のフレーム合成による再生イメージを示す図である。例えば、重み付け決定部21が奇数フレーム及び偶数フレームの合成比をそれぞれ70%及び30%と決定している場合、フレーム合成部3は、図3(a)に示す各フレームから図3(b)に示す合成フレームを生成する。図3(c)に示すとおり、図3(b)に示す合成フレームによる再生イメージには各フレームの動き情報が合成して含まれることになる。
【0021】
なお、フレーム合成部3は、2倍速再生に限らず任意のN倍速再生に対してフレーム合成を行うことができる。例えば、図4は、4倍速再生時のフレーム合成部3によるフレーム合成の概要を示す図である。フレーム合成部3は、画像再生部5から取得した各フレーム(図4(a))を4フレーム毎に合成し、図4(b)に示す合成フレーム(1’、5’、・・・、(4m−3)’)を生成する。各フレームの合成比率は、重み付け決定部21が適宜設定することができる。
【0022】
フレーム同期制御部4は、再生制御部2より入力された再生速度(フレームレート)に従い、N倍速での再生時に、フレーム合成部3から取得した合成フレームを表示部6に送信して表示させる。
【0023】
表示部6は、フレーム同期制御部4から受信した合成フレームを画面上に表示する。例えば図3(c)に示すとおり、合成フレームによる再生イメージには各フレームの動き情報が含まれているため、ユーザが視聴時に感じる違和感は軽減されることになる。
【0024】
このように、本実施形態によれば、重み付け決定部21が動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定し、フレーム合成部3が重み付けに基づきN枚のフレームを合成して合成フレームを生成し、フレーム同期制御部4がN倍速での再生時に合成フレームを表示させる。このため、N倍速再生時(早送り/早戻し再生時)に、動きの激しい場面においても、動画位置情報の把握を容易にし、画像欠落による違和感を軽減することが可能となる。即ち、本発明では画像の重み付けを行い合成することで欠落する情報を補完し、動画場面の印象を損なうことなく高速再生を可能とすることができる。
【0025】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 再生速度入力部
2 再生制御部
21 重み付け決定部
3 フレーム合成部
4 フレーム同期制御部
5 画像再生部
6 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画をN倍速(Nは2以上の整数)で再生可能な動画再生装置であって、
前記動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定する重み付け決定部と、
前記重み付けに基づき前記N枚のフレームを合成して合成フレームを生成するフレーム合成部と、
前記N倍速での再生時に前記合成フレームを表示させるフレーム同期制御部と、を備えることを特徴とする動画再生装置。
【請求項2】
動画をN倍速(Nは2以上の整数)で再生可能な動画再生装置における動画再生方法であって、
前記動画中の連続するN枚のフレームの重み付けを決定するステップと、
前記重み付けに基づき前記N枚のフレームを合成して合成フレームを生成するステップと、
前記N倍速での再生時に前記合成フレームを表示させるステップと、を含むことを特徴とする動画再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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