説明

動的メニューボタンを表示する方法

【課題】動的メニューボタンを付加する。
【解決手段】光学記憶媒体はしばしば、タイトル、チャプター、パラメータなどの選択に適したメニューのためのデータ構造を含んでいる。このようなメニューは通常、各々1つの状態を有する表示されるべき複数のボタンを含む。ボタンがとり得る状態は「選択されていない」、「選択されている」、または「活動化されている」である。メニューボタンの表示はボタンの状態に応じて変えることができる。ユーザにアニメーションを提供する画像または画像シーケンス、例えば、漫画をボタン状態に対応付けることができる。さらに、音または音のシーケンス、例えば、メロディまたはクリックをボタン状態に対応付けてもよく、またボタンがこの状態に入ったときに再生してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は光学記憶媒体に動的メニューボタン(アニメーション・ボタン)を付加する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の光学記憶媒体フォーマットは、例えばコンテンツ管理または制御の機能のための視覚的メニューをサポートすることができる。このような視覚的メニューの用途は、ディスク上で複数のタイトルのうちから1つを選択することや、タイトル内でチャプターを選択することなどである。ユーザの観点からは、このようなメニューはディスプレイに表示された多数のボタンから構成されている。ユーザは例えばリモコンで上、下、左、及び右ボタンを押してメニューボタンを選択することによりメニュー内を進むことができ、またリモコンの何らかの「OK」ボタンによりメニューボタンを活動化させることができる。通常は強調表示や矢印であるインディケータがユーザにフィードバックを提供し、どのボタンが現在選択または活動化されているかを示す。メニューボタンは「正常」、「選択済み」、または「活動化済み」の状態のうちの1つを有するようにすることができる。
【0003】
しかし、公知のDVDメニューは静止した視覚的ボタンしか有していないため、追加機能に関してはかなり制限されている。
【0004】
さらに、ビデオシーケンスへの字幕スーパーの埋め込みに関しては、欧州電気通信標準化機構(ETSI)により提供されている文献“ETS 300 743:Digital Video Broadcasting(DVB);Subtitling System” (DVB−ST)に含まれた字幕入れの規格が公知である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、光学記憶媒体に関連したメニューを操作するユーザに対してより多くのフィードバックを提供するために使用することができる。このフィードバックは視覚的及び/または聴覚的に動的なボタン(アニメーション・ボタン)から構成されている。このようなフィードバックを提供する方法は請求項1に開示されている。
【0006】
動的メニューを含んだ記憶媒体は請求項9に開示されている。
【0007】
このようなメニューを提示するのに適した装置は請求項10に開示されている。
【0008】
本発明によれば、ディスプレイに表示されるメニューボタンはその状態に応じて異なった外見を有することができる。メニューボタンの状態は「正常」、「選択済み」、または「活動化済み」としてよい。これらの状態の各々に対して、ボタンは異なる色または形を有することができる。さらに、メニューボタン状態に応じて幾つかのまたはすべてのメニューボタンに音または音のシーケンスを対応付けることもできる。音の例としては、クリックもしくはメロディ、または音声シーケンスが挙げられる。本発明はこれらの追加機能を記述することのできるデータ構造を提供する。
【0009】
本発明の有利な実施形態は従属請求項、以下の説明、及び図面に開示されている。
【0010】
本発明の実施例は図1における添付図面を参照して説明される。図1は、本発明によるオンスクリーンメニューと、相応するリモコンとを示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によるオンスクリーンメニューと、相応するリモコンとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、ボタン2,3とボタンを説明する関連テキストとから構成されたメニューを含んだビデオスクリーン1が示されている。ユーザがリモコン4でボタン5,6を押すと、ボタン2,3の状態とボタン2,3の表示が変わる。図1では、1つのボタン2が選択されており、選択されていないボタン3とは異なって見えている。ユーザが例えばリモコンで「右」ボタン6を押すと、現在選択されているボタン2の右にある別のボタン3が選択される。ユーザが「OK」ボタン5を押すと、選択されたボタンが活動化され、選択されたボタンに対応付けられた機能が実行される。本発明に従って、選択されたボタン2は動的であり、例えば、選択されていないボタン3とは別の色と別の形を有し、その色と形は変化することができる。特に、ボタンの状態に応じて、ボタンを動くシンボルや、アニメーションなどで置き換えることもできる。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)により提供されている文献“ETS 300 743:Digital Video Broadcasting(DVB);Subtitling System” (DVB−ST)に含まれた字幕入れ規格のシンタクスとセマンティクスとに基づいている。光学記憶媒体に関連したメニューの能力を向上させるために、DVB−STで定義されたページ組版セグメント(page composition segment)は、動的メニューボタンを記述するように、また音または音のシーケンスをボタンに対応付けるように拡張される。拡張されたページ組版セグメントはここでは「メニューページ組版セグメント(menu page composition segment)」と呼ばれる。
【0014】
本発明は、DVB_STと同様に、ディスプレイ上の1つまたは複数の矩形領域の位置を記述するためにページ組版セグメントを使用する。ただしその際、領域は或る状態の1つのボタンの表現を例えばピクセルデータまたはビットマップとして含んでいるものと仮定される。したがって、各ボタン画像は識別子(ID)、すなわち、“region_id”によりアドレス指定可能である。本発明のこの実施形態では、メニューページ組版セグメントに対して対応付けられたセグメントタイプIDを使用することにより、DVB−STとの後方互換性が保たれる。メニューページ組版セグメントは表1に列挙されているように定義される。
【0015】
本発明による「メニューページ組版セグメント」は、例えばDVB−STにおける元のページ組版セグメントに取って代わることができる。メニューページ組版セグメントはメニューを記述し、必要なレイアウトとタイミング情報ならびに付加的な制御情報も提供する。
【0016】
本発明の或る実施形態は、静的なメニューを持った単純なケースであり、各ボタンが例えば3つの画像で表現される。第1の画像は「正常な」状態のボタンを表し、第2の画像は「選択された」状態のボタンを表し、第3の画像は「活動化された」状態のボタンを表す。これらの画像は例えばビットマップファイルとして記憶媒体に格納することができ、メニューの表示に使用することができる。
【0017】
別の実施形態は、静的なメニューを超えるものであり、メニューページ組版セグメントは動的ボタン(アニメーション・ボタン)の記述も可能にする。このケースでは、ボタンの「正常な」状態と「選択された」状態はスクリーン上でそれぞれ表示される一連の画像により表現され、その一連の画像は例えば周期的に繰り返されてもよく、その結果、アニメーション効果が得られる。また、ボタンの「活動化された」状態に対してもアニメーションを定義することができるが、ここではアニメーション・フェーズは一度だけ表示することが有利である。というのも、メニューは通常、ボタンが活動化された後に消滅または変更されるからである。
【0018】
メニューのすべてのボタン・アニメーションについて、メニューの作者はアニメーション・フレーム速度を指定して、アニメーションの各フェーズがどれだけ長く表示されるかを決めることができる。
【0019】
有利には、本発明はユーザに聴覚的なフィードバックを提供することも可能である。ボタンが「選択された」状態であるかまたは「活動化された」状態であれば、音に対応付けられた音識別子をボタンに割当ててもよい。なお、この音識別子は記憶媒体に格納しておくことができる。対応する音は、ボタンが各々のボタン状態に入ると再生される。本発明の或る実施形態では、ボタンが各々の状態に留まっている限り、対応する音は繰り返し再生される。
【0020】
メニューページ組版セグメントの構造とメニューページ組版セグメントのフィールドのセマンティクスは、DVB−ST、セクション7.2.1「ページ組版セグメント」において与えられている構造とセマンティクスに基づいている。付加的なセマンティクス定義は本発明による拡張メニューのために使用される。
【0021】
表1は本発明によるメニューページ組版セグメントの構造を示している。行1−8はDVB−STの字幕セグメントと同じであり、後方互換性を維持することが可能である。表1に示されているフィールドの意味は以下で説明される。ピクセルのアドレス指定は、対応するビデオスクリーンの左上コーナーによって原点の定められた座標系に基づいている。ピクセルアドレスは左から右及び上から下へと増大する。対応するビデオの寸法は、video_width*video_heightとして定義される。
【0022】
【表1】

【0023】
セグメントは一般にストレージエリア内のデータ単位である。segment_typeがそのタイプを規定する。メニューページ組版セグメントは、例えばsegment_type=0x18と設定することにより識別される。なぜならば、この値はDVB−STではまだ使用されていないからである。表1の行2−8の他のフィールドはセグメントデータセットを規定している。
【0024】
animation_frame_rate_codeフィールドは、動的ボタンが使用されている場合に、アニメーションのフレーム速度を指定する。これはstart_region_id_xxxとend_region_id_xxxにより指定された領域の範囲に適用される。ここで、“xxx”はボタンの状態を指している。start_region_id_xxxとこれに対応するend_region_id_xxxが異なっていれば、これらはこのアニメーション・フレーム速度で表示されることになる領域の範囲を定める。正常な状態と選択された状態に関しては、表示は周期的に繰り返される。「活動化された」状態に関しては、表示は一度だけ実行される。start_region_id_xxxが対応するend_region_id_xxxに等しい場合、これは静的なボタン状態または動的でないボタン状態を意味している。start_region_id_xxxにより指示された領域だけが表示され、そのボタン状態にとってanimation_frame_rate_codeは意味がない。
【0025】
表2はanimation_frame_rate_codeのリストの一例を示している。アニメーションは最高ビデオフレーム速度、例えば毎秒30画像で見ることができる。このことはビデオフレームごとにアニメーションのまた別のフェーズが表示されることを意味している。また、ビデオフレーム1つおきに動的ボタンの別のフェーズを表示するだけでも十分であり、これにより別の効果が得られる。さらに、フレーム速度を相対的または絶対的に定めることも可能である。それゆえ、animation_frame_rate_codeフィールドは、対応するビデオの存否に応じて2つの異なる意味を有する。このケースでは、animation_frame_rate_codeはビデオフレーム速度に相対的なアニメーション・フレーム速度を与える。さもなければ、絶対フレーム速度を与える。
【0026】
【表2】

【0027】
button_numberフィールドは、ボタンの内的識別子である数を指定し、例えばneighbour_info()の下に定義されたフィールドに対して使用される。さらに、button_numberがユーザインタフェース(UI)を介して直接入力されると、対応するボタンは活動化される。それゆえ、button_numberはメニュー内で一意的である。それは例えば0と99の間の範囲内の二桁の数である。
【0028】
本発明によりメニューアニメーションに使用される幾つかのフィールドはボタンごとに個別に指定されなければならない。これらのフィールドは、すべてのボタンにわたるループが開始する表1の行11から列挙されている。ループの各々の実行例は1つのボタンに関わっている。暗に、menu_page_composition_segment()内のwhileループの第1の実行例により記述されるボタンは、メニューが入力されたときに「選択された」と見なされ、メニューのページタイムアウトが送信され、アクティブになったときに、「活動化された」と見なされる。
【0029】
button_horizontal_addressフィールドは、ボタンの左上ピクセルの水平アドレスを指定する。指定された水平位置は0とvideo_width−1との間にある。同様に、button_vertical_addressフィールドは、ボタンの左上ピクセルの垂直アドレスを指定する。指定された垂直位置は0とvideo_height−1との間にある。
【0030】
upper_button_numberフィールドは、ユーザが現在のボタンから上方へ進んだときにボタンが選択されるように指定する。lower_button_numberフィールドは、ユーザが現在のボタンから下方へ進んだときにボタンが選択されるように指定する。left_button_numberフィールドは、ユーザが現在のボタンから左へ進んだときにボタンが選択されるように指定する。そして、right_button_numberフィールドは、ユーザが現在のボタンから右へ進んだときにボタンが選択されるように指定する。
【0031】
start_region_id_normalフィールドは正常な状態のボタン表示のために提供される最初の領域のIDを指定し、end_region_id_normalフィールドは正常な状態のボタン表示のために提供される最後の領域のIDを指定する。start_region_id_normalとend_region_id_normalの間の及びこれらを含んだすべての領域が存在することになる。start_region_id_normalがend_region_id_normalとは異なっていれば、領域のその範囲はanimation_frame_rate_codeにより決定されるアニメーション・フレーム速度で周期的に表示されることになる。
【0032】
start_region_id_selectedフィールドは選択された状態のボタン表示のために提供される最初の領域のIDを指定し、end_region_id_selectedフィールドは選択された状態のボタン表示のために提供される最後の領域のIDを指定する。start_region_id_selectedとend_region_id_selectedの間の及びこれらを含んだすべての領域が存在することになる。start_region_id_selectedがend_region_id_selectedとは異なっていれば、領域のその範囲はanimation_frame_rate_codeにより記述されるアニメーション・フレーム速度で周期的に表示されることになる。
【0033】
start_region_id_activatedフィールドは活動化された状態のボタン表示のために提供される最初の領域のIDを指定し、end_region_id_activatedフィールドは活動化された状態のボタン表示のために提供される最後の領域のIDを指定する。start_region_id_activatedとend_region_id_activatedの間の及びこれらを含んだすべての領域が存在することになる。start_region_id_activatedがend_region_id_activatedとは異なっていれば、領域のその範囲はanimation_frame_rate_codeにより記述されるアニメーション・フレーム速度で一度だけ表示されることになる。
【0034】
button_command_info()フィールドはボタンに対応付けられたコマンドのための入れ物として機能し、このボタンが活動化されたときに実行すべきコマンドを指定するものである。
【0035】
最後に、selected_sound_idフィールドは、ボタンが「選択された」状態に入ったときに再生されるべき音のIDを指定し、activated_sound_idフィールドは、ボタンが「活動化された」状態に入ったときに再生されるべき音のIDを指定する。
【0036】
本発明は特にBlu−rayディスクに記憶されたメニューに使用することができるが、DVDや他の光学式または非光学式大容量記憶媒体にも使用することができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
可換記憶媒体に格納されたビデオデータの表示を制御するためのメニューを表示する方法であって、メニューボタン(2,3)が正常(3)、選択済み(2)、または活動化済みの3つの状態のうちの1つを有し、
前記メニューボタンを記述するデータも前記可換記憶媒体に格納し、該データが各ボタンに関する画像データを含み、
正常(3)、選択済み(2)、または活動化済みのメニューボタンの状態に応じて、異なる画像データに対応する異なる画像によりメニューボタンを表示する、ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
ディスプレイ上の特定のメニューボタンの状態を表す前記画像データが画像シーケンスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ボタンが1つの状態に留まる限り、当該ボタンを表す前記画像シーケンスを繰り返し表示する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記画像シーケンスを表示する速度はビデオフレーム速度に対して相対的であり、該フレーム速度を定める値が前記記憶媒体に格納されている、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
音または音のシーケンスをメニューボタンの状態に対応付け、ボタンが対応付けられた状態に入ると前記音または音のシーケンスが再生されるようにする、請求項1〜4のうちいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
メニューボタンの状態に対応付けられる音が音声シーケンスである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記記憶媒体に格納された領域識別子がメニューボタンの表示位置を特定する、請求項1〜6のうちいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記記憶媒体上でのデータ構造はページ組版を定義するセグメントを含み、当該データセグメントはメニューボタンを表す前記データを含む、請求項1〜7のうちいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ビデオデータと該ビデオデータの表示を制御するメニューのためのメニューデータを表すデータセグメントとを含む可換記憶媒体であって、当該メニューはメニューボタンを含み、当該メニューボタン(2,3)は、正常(3)、選択済み(2)、または活動化済みの3つの状態のうちの1つを有しており、
前記メニューボタンを記述するデータは画像データと近隣情報とを含み、
前記メニューボタンは、正常(3)、選択済み(2)、または活動化済みの状態に応じて、異なる画像データに対応する異なる画像で表示される、ことを特徴とする可換記憶媒体。
【請求項10】
メニューをスクリーンに表示するための装置であって、
前記メニューは記憶媒体から読み出されたメニューデータにより制御され、前記メニューはメニューボタンを含み、当該メニューボタンは請求項1〜8のうちいずれか1項記載の方法により表示される、前記装置。


【図1】
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【公開番号】特開2012−230697(P2012−230697A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−149256(P2012−149256)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2010−264948(P2010−264948)の分割
【原出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu−ray
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】