説明

勾配磁場コイルアセンブリ

【課題】MRIS用勾配磁場コイルアセンブリでのコイル間の部分放電を防止する。
【解決手段】アセンブリ2Aは、第1の導電性コイル部3Xを含む第1のコイル層と、第2の導電性コイル部3Yを含む第2のコイル層とを備える。第1の遮蔽層6Xは、第1のコイル層3Xと第2のコイル層3Yとの間に配置され、少なくとも1枚の遮蔽材料のシートを含む。絶縁材料を含む少なくとも1つの絶縁層4Xは、第1の導電性コイル部3Xと第1の遮蔽層6Xとの間に設けられる。また、アセンブリ2Aは、第1の導電性コイル部3Xを遮蔽材料のシート6Xへ電気的に接続する、少なくとも1つの個別の接触手段7を備える一方で、遮蔽材料のシート6Xは、当該少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つの絶縁材料のシート4Xによって第1の導電性コイル部3Xと電気的に接触されない。遮蔽材料のシートは、典型的には、半導電性材料のシートである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像および分光法(MRIS)にて用いられる勾配磁場コイルアセンブリに関する。
一般的には、MRI装置は、少なくとも3つの独立した電気巻線(electrical windings)を有する。各電気巻線は、デカルト座標(X、Y、及びZ)をエンコードするために用いられるのが一般的である。それゆえ、MRI装置の勾配磁場コイルアセンブリには、Xコイル、Yコイル、及びZコイルが存在することが一般的である。
【0002】
巻線は数百アンペアの電流を流すことが可能であって、通常、100マイクロ秒ほどの短い時間の間に印加されたり遮断されたりする。このような切替を行うためには、高い電圧(一般的には2kVまで)を巻線に印加する必要がある。この高電圧は数マイクロ秒にわたって印加される。個別の巻線はそれぞれ独立して印加及び遮断されるが、場合によっては、1つ以上の巻線が同時に印加または遮断され得る。この場合には、コイル構造に存在する電位差がさらに増大されてしまう。
【0003】
良好な電気的及び機械的な完全性を確実にするために、一般的には、勾配磁場コイルアセンブリは組み立ての後にエポキシ樹脂で含浸される。そのような樹脂システムが有する周知の特性は、電位差についての一定の閾値を超えた場合に、「部分放電」として知られる現象が、高い電気的ストレスが生じている領域で発生することである。この現象は、誘電体において空隙の内側表面の周囲で微小規模の電荷再分配が行われたことによって生じるものである。このような放電によって、MRISにて用いられる高感度の高周波検出システムに悪影響を及ぼす、高帯域の電気的干渉が引き起こされる。
【0004】
絶縁システムに気泡があるか、勾配磁場コイルアセンブリの巻線を構成する金属コイル部に尖り(sharp points)が存在するかのいずれかの場合に、部分放電開始電圧(PDIV)がより低い電圧レベルで生じることは、一般的に認められている。
【0005】
一般的な勾配磁場コイルを構成するXコイル、Yコイル、及びZコイルは、電流通路を形成するためのカットパターンを有する銅板や別の好適な金属の板から製造され得る。あるいは、それらのコイルは、中空ではないまたは中空の金属導体から巻かれ得る。電流通路が形成されると、その結果生じるコイルは機械的に強固となり、それゆえ、無制御下での金属巻線のほぐれや形状の変化を伴うことなく、当該コイルを扱うことが可能である。コイルは、強個にされ、ある種の非導電性のバッキング/基板によって所定の位置に置かれることが多い。
【0006】
1つの方法では、コイルは形成されたコイルパターンを有し、そのコイル巻線を強個にするために、エポキシ樹脂又は他の樹脂、及び、加熱プレスを用いて、複合バッキング(composite backing)を当該コイルに結合する。強個にされると、電流通路が望まれない形態で移動(moving)することなく、コイルを必要に応じて非平面形状に形成することができる。勾配磁場コイルが形成されると、当該勾配磁場コイルによって勾配磁場コイルアセンブリが組み立てられる。アセンブリ全体は、通常、エポキシ樹脂またはほかの樹脂で真空含浸されて、アセンブリ全体を強個にするために所定期間硬化される。
【0007】
エポキシ樹脂、ガラス繊維布、及び、他の絶縁材料は、一般的に、高い絶縁耐力を有し、かつ、約2から6の比較的高い比誘電率を有する。エポキシ樹脂、ガラス繊維布、及び、他の絶縁材料は、欠陥が存在しなければ、MRISにて一般的に使用される電圧レベルに耐え得る。しかしながら、絶縁体に空隙がある場合は、材料と空隙との間の比誘電率における差異が大きく、それによって当該空隙の電場が増強されてしまう。また、比較的低い電圧レベル(例えば、1kV)でもPDIVとなり得ることもある。
【0008】
低い電圧レベルでもPDIVとなり得る主な2つの原因は、金属コイルにある気泡、及び、尖りまたはバリである。
気泡がある場合は、その気泡における電場が当該気泡を囲む材料における電場よりもはるかに高くなることがある。放電が起こるのは、磁界強度が約3kV/mmの空気中である。この種の磁界強度は、MRIS装置の勾配磁場コイルアセンブリにある気泡にて生じ得る。
【0009】
また、尖りはPDIVを低くならしめるが、これは、一般的に言って、尖りに磁界が集中するためである。勾配磁場コイルの絶縁材料にある気泡の領域にバリが存在する場合は、当該バリによって磁界が増大されることで、部分放電が引き起こされやすくなる。
【0010】
先に述べたように、勾配磁場コイルアセンブリを構築するには、個別のコイル/巻線を強個にし、それらのコイルを一体のコイルアセンブリとして構築することが通常である。それゆえ、コイルは、部分的に硬化されたエポキシ樹脂含浸材(B−ステージ材料として周知である)にて裏打ち(backed)される。B−ステージ材料には空洞部分があり、その空洞部分は実際には完全に除去することができない。
【0011】
また、コイルの巻線には尖りが存在する。コイルを機械処理して強個にし、当該処理の終了時に気泡やバリが存在しなくなることを期待するのは妥当ではない。
しかしながら、B−ステージ材料が無い領域において、真空含浸処理によって空洞が無い領域を設け得ることを期待するのは妥当であろう。
【0012】
それゆえ、B−ステージ材料及びバリが低磁場強度の領域のみに限定されている勾配磁場コイルアセンブリを構成することができれば、より高いPDIVを有する勾配磁場コイルアセンブリを構成することが可能であると考えられてきた。
【0013】
本発明の第1局面によれば、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリが提供され、当該MRIS用勾配磁場コイルアセンブリは、第1の導電性コイル部を含む第1のコイル層と、第2の導電性コイル部を含む第2のコイル層と、第1のコイル層と第2のコイル層との間に配置され、少なくとも1枚の遮蔽材料のシートを含む第1の遮蔽層と、第1の導電性コイル部と第1の遮蔽層との間に設けられ、絶縁材料を含む少なくとも1つの絶縁層とを備え、当該アセンブリは、第1の導電性コイル部を遮蔽材料のシートへ電気的に接続する少なくとも1つの個別の接触手段を備え、かつ、遮蔽材料のシートは、当該少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つの絶縁材料のシートによって第1の導電性コイル部と電気的に接触されない。
【0014】
2つのコイル層の間にある遮蔽層であって、当該2つのコイル層の1つに接続されており、当該1つのコイル層の電位に従う電位を有し得る遮蔽層が設けられることで、遮蔽層と各コイル部との間における領域の電場を減少させることにより、当該領域における部分放電を最小限に抑えられ得る。
【0015】
一般的に、遮蔽層は、簡易な導電体よりも導電性が低く、例えば、コイル部よりも導電性が低く、絶縁層よりも導電性が高い。勾配磁場コイルがその全体の機能を果たすことを妨げないようにしながら、当該遮蔽層が遮蔽機能を果たすようにするためである。遮蔽層は、勾配電流の波形の一般的な周波数において磁場を透過させなければならない。シート状であって本質的には二次元導体を扱う場合には、二次元比抵抗あるいは単位平方あたりの抵抗といった概念を用いることが有用である。この抵抗は、(任意のサイズの)材料の四角形状シートの対向する両端の間における抵抗である。均質で等方性材料の場合は、厚さに対するバルク抵抗率の比と等しい。遮蔽材料のシートにおける単位平方あたりの好適な最小抵抗は、勾配磁場コイルの大きさと勾配波形にみられる周波数とによって決まるだろう。
【0016】
遮蔽材料のシートにおける抵抗率は、コイル部の抵抗率よりも大きく、絶縁層の抵抗率よりも小さいことが説明されよう。
本明細書における「シートの抵抗率」とは、当該シートを構成する任意の1つあるいは複数の材料の抵抗率を指しているのではなく、シート全体としての抵抗率を指していることが理解されよう。シートは、当該シート中に高い導電率(低い抵抗率)の材料を有しているかもしれないが、全体の導電率は比較的低い(全体の抵抗率は高い)ものである。具体的な例としては、高導電性金属からなるメッシュである。
【0017】
あるいは、遮蔽材料のシートにおける単位平方あたりの抵抗は、コイル層の単位平方あたりの平均抵抗値よりも大きく、絶縁層の単位平方あたりの抵抗よりも小さい。本明細書では、コイル層の単位平方あたりの平均抵抗値は、当該層の全体にわたって塗付されたそれぞれのコイル部の代表値である。その値は、本実施例では、データブックに示されるであろう材料層の三次元バルク特性というよりもむしろ、重要な層の二次元特性または層特性であることがわかる。
【0018】
または、遮蔽材料のシートにおける単位平方あたりの抵抗は、導電性コイル部の材料から作製される固体のシートについて想定される単位平方あたりの抵抗よりも大きく、かつ、絶縁層の単位平方あたりの抵抗よりも小さいことが言えよう。
【0019】
少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、半導電性材料のシートであってもよい。
本明細書において、「半導電性」という表現は、導電体の導電性と絶縁体の導電性との間の導電性を有するシート材料を指すために用いられていることが理解されよう。この用語は、従来の結晶シリコンまたはゲルマニウムをベースとした「半導体」材料あるいは同等のものの使用を意味または提案するものではなく、単に、シート材料の導電特性のみを指すものである。「半導電性」の表現は、高電圧絶縁業界において上述の意味で広く用いられている。
【0020】
従来の結晶質半導電体材料は、一般的に「半導電性」であるが、多くの他の材料のシートにおいても同様であり、またはあり得る。本発明では、従来の結晶質半導体ベースの材料は、当該材料の機械的特性がゆえに最良の選択とはなり得ない。
【0021】
遮蔽材料のシートは、グラファイトが浸透されたシート材料であってもよい。
遮蔽材料のシートは、導電性材料からなるメッシュであってもよい。導電性材料は、例えば、銅、リン青銅、または、ステンレス鋼であってもよい。その場合は、当該メッシュにおけるワイヤーのゲージ及び当該メッシュにおける開口部の大きさは、当該メッシュ全体として好適なレベルの導電性をもたらす、つまり半導電性シート材料をもたらすために選択され得る。
【0022】
一般的な勾配磁場コイル駆動電圧に対する変化の期間よりも短い期間で均一の電位に到達し得るように、遮蔽材料のシートが選択されることが好ましい。使用中の勾配磁場コイルに適用された電圧の波形にみられる最大周波数の逆数よりも短い期間で均一の電位に到達し得るように、遮蔽材料のシートが選択されることが好ましい。
【0023】
MRISを損なうような時間にわたって渦電流が誘導されないようにするために、遮蔽材料のシートが選択されることが好ましい。
遮蔽材料のシートは、単位平方あたり10ミリオームから単位平方あたり10キロオームの範囲にある単位平方あたりの抵抗を有し得る。
【0024】
遮蔽材料のシートは、好ましくは、単位平方あたり30ミリオームから単位平方あたり10キロオームの範囲で、単位平方あたりの抵抗を有する。この値の範囲は、MRIS全体にて用いられる勾配磁場コイルアセンブリにおいて特に好適である。
【0025】
コイルアセンブリは、第1の遮蔽層と第2の導電性コイル部との間に、少なくともさらに1つの絶縁材料の層を有し得る。
追加の遮蔽層が第2のコイル層に関連して設けられ得る。以下、この特徴を具体的に定義する。
【0026】
アセンブリは、第1の遮蔽層と第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第2の遮蔽層を備える。当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つのそれぞれ個別の接触手段を介して第2の導電性コイル部と電気的に接続し、当該少なくとも1つのそれぞれ個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つのそれぞれの絶縁材料の層によって第2の導電性コイル部と電気的に接続されない。
【0027】
第1の遮蔽層と第2の遮蔽層との間に、少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられ得る。そうではあるが、当該2つの遮蔽層が互いに接触している場合には、いかなる場合またはほぼすべての場合において、絶縁層が当該2つの遮蔽層の間に設けられる。
【0028】
アセンブリは第3の導電性コイル部を有する第3のコイル層を備える。第2のコイル層が第1のコイル層と第3のコイル層との間に配置されるように、第3のコイル層が配置される。
【0029】
第2のコイル層と第3のコイル層との間に、1つまたは複数の遮蔽層が設けられ得る。以下、この特徴を具体的に定義する。
アセンブリは、第3のコイル層と第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第3の遮蔽層を備える。当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つの各個別の接触手段を介して第3の導電性コイル部と電気的に接続し、当該少なくとも1つの各個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つのそれぞれの絶縁材料の層によって第3の導電性コイル部と電気的に接続されない。
【0030】
アセンブリは、第3の遮蔽層と第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第4の遮蔽層を備える。当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つの各個別の接触手段を介して第2の導電性コイル部と電気的に接続し、少なくとも1つの各個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つの各絶縁材料の層によって第2の導電性コイル部と電気的に接続されない。
【0031】
第3の遮蔽層と第4の遮蔽層との間に、少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられ得る。
コイルアセンブリは、前記または各コイル部と、そのコイル部の遮蔽材料の各シートとの間に唯一の個別の電気接続がなされるように、配置され得る。コイルアセンブリは、前記または各コイル部と、そのコイル部の遮蔽材料の各シートとの間に最大3つの個別の電気的接続がなされるように配置され得る。接続の数を最小限とすることで、それぞれのコイルと並行して、遮蔽層を抵抗性分路として機能させないようにする。
【0032】
少なくとも一つの個別の前記又は各接続手段は、遮蔽層とコイル層との間にあるそれぞれの絶縁層における切断部を有する。それぞれの絶縁層には、個別に接続可能となるようにガラステープの層のある1箇所に切断部が設けられている。少なくとも一つの個別の前記又は各接続手段は、コイル部と遮蔽材料のシートの両方に接続された導体素子を有する。導体素子は、それぞれの絶縁層における切断部の位置でコイル部と接続され得る。
【0033】
少なくともいくつかの絶縁材料はB−ステージ材料である。B−ステージ材料は、遮蔽層と当該遮蔽層が接続されているコイル層との間の層に限定されるのが好ましい。
勾配磁場コイルアセンブリは、X−コイル、Y−コイル、及びZ−コイルを有し得る。X−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちの1つを有し得る。Y−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちの1つを有し得る。Z−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちの1つを有し得る。
【0034】
好ましくは、X−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちの1つを有し、Y−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちのもう1つを有し、また、Z−コイルは、第1、第2、及び第3のコイル部のうちのさらにもう1つを有する。
【0035】
勾配磁場コイルアセンブリは、駆動巻線(あるいは内側の巻線)と遮蔽巻線(あるいは外側の巻線)とを備え得る。X−コイル駆動及び遮蔽巻線、Y−コイル駆動及び遮蔽巻線、及びZ−コイル駆動及び遮蔽巻線があってもよい。駆動巻線及び遮蔽巻線の一対(例えば、1対=X−コイル駆動巻線及び遮蔽巻線)内の巻線は、互いに接続されても接続されなくてもよい。
【0036】
上述の構成は、コイルアセンブリの駆動巻線および/または遮蔽巻線において用いられ得る。すなわち、駆動巻線はコイル部の1つを有し、および/または、遮蔽巻線はコイル部の1つを有するということである。
【0037】
それゆえ、X、Y、及びZ駆動及び遮蔽巻線を用いるある実施例では、6つのコイル部とそれに対応した遮蔽層及び絶縁層が、駆動巻線における近傍のコイル部の間、および、遮蔽巻線における近傍のコイル部の間に、存在する。同様のほかの実施例では、対応する遮蔽層及び絶縁層が、駆動巻線に関してのみ設けられる。そのような場合には、遮蔽巻線にて生じる絶対電圧を最小化するために、例えば米国特許第7,145,337号に記載の技術を用いて勾配磁場コイルアセンブリを配置してもよい。
【0038】
本発明のもう1つの局面によれば、上記に定義された勾配磁場コイルアセンブリを作製する方法が提供される。
本発明のさらにもう1つの局面によれば、上記に定義された勾配磁場コイルアセンブリを備えるMRI装置が提供される。
【0039】
本発明の実施例は、単なる例示として、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】MRI装置の概略図である。
【図2】図1に示されるタイプのMRI装置において用いられる従来の勾配磁場コイルアセンブリの部分概略図である。
【図3】図1に示されるタイプのMRI装置において用いられるのにも好適な、本発明の実施形態としての勾配磁場コイルアセンブリの部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、一般的な従来のタイプのMRI装置を示す。図1では、説明を明確にするために極めて概略的に示され、かつ細部が省略されている。図1に示されるMRI装置1は、勾配磁場コイルアセンブリ2を備える。本実施例では、勾配磁場コイルアセンブリ2は、内側にある一組の駆動コイル2Aと、外側にある一組のシールドコイル2Bとを有する。
【0042】
内側にある一組の駆動コイル2Aは、Xコイル、Yコイル、及びZコイルを構成する巻線を有する。同様に、外側にあるシールドコイル2Bは、Xシールドコイル、Yシールドコイル、及びZシールドコイルを構成する巻線を有する。
【0043】
図2は、従来の勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aの一部を概略的に示す図である。勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aは、図1に示されるタイプのMRI装置において駆動コイルアセンブリとして用いられ得る。また、駆動コイルアセンブリとしては、図1に配置が示されるように勾配磁場コイルアセンブリ2の全体を構成するために、同様の勾配磁場シールドコイルアセンブリ2Bが補完的に設けられてもよい。しかしながら、図2では勾配磁場コイルアセンブリ2の駆動コイル部2Aのみが示される。
【0044】
従来の勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aは、その一部が図2に示されているが、3つの巻線あるいはコイル部3X、3Y、3Zを有する。コイル部3X、3Y、3Zは、MRI装置1において用いられた場合に、X駆動コイル、Y駆動コイル、及びZ駆動コイルとして機能する。これらのコイル部3X、3Y、3Zは、それぞれ別の層に設けられている。加えて、他の層が、コイル部3X、3Y、3Z自身のそれぞれの導電性材料の間に設けられている。具体的には、各コイル部3X、3Y、3Zは、それぞれに対応するB−ステージ層4X、4Y、4Zを有する。B−ステージ層4X、4Y、4Zは、それぞれの巻線/コイル部3X、3Y、3Zを構成するための製造方法が用いられることで存在する。さらに、コイル部3X、3Y、3Zの間には、さらなる層である絶縁層5が設けられる。具体的には、絶縁層5は、Zコイル巻線3ZとYコイル巻線3Yに対応するB−ステージ材料層4Yとの間、及び、Yコイル巻線3YとXコイル巻線3Xに対応するB−ステージ材料層4Xとの間に設けられる。
【0045】
従来の勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aは、その一部が図2に示されているが、以下の工程で底から上方へ向かって組み立てられて構築される。
1.金属プレート又は巻かれている金属を機械にかけて所望の形状にして、コイル巻数(3X、3Y、3Z)を形成する。
2.B−ステージ材料のシートを用いて、コイル部(3X、3Y、3Z)の底表面を設ける。この材料のおかげでコイルが機械的に強固となる。一般的には、コイル部(3X、3Y、3Z)とそのB−ステージバッキング(4X、4Y、4Z)は、加熱されたプレスに置かれて、B−ステージの樹脂材料が硬化される。
3.選択された任意の手段によって、強固にされたコイルを所望の形状に形成する。
4.当該コイルを勾配磁場コイルアセンブリに取り付ける。
5.1つ以上の絶縁層を追設し、各層間において適切な間隙を維持する。
6.アセンブリを完成させるために必要な回数でステップ1からステップ5を繰り返す。ただし、最終のコイル層(3X)に対してはステップ5を省略する。
【0046】
言うまでも無く、さらなる層を導入し得る。例えば、駆動コイル及びシールドコイルの双方を有する勾配磁場コイルアセンブリを作製すべき場合は、同様の技術を用いてシールドコイル層を追設し得る。
【0047】
また、場合によっては、B−ステージ材料層4X、4Y、4Zを、他の種類の絶縁材料と置き換えてもよい。例えば、コイル部3X、3Y、3Zを絶縁材料で覆ってもよい。広く理解されているように、B−ステージ材料は、絶縁をもたらすことに加えて、コイルを強個とするのに有益である。そのように強個とすることが必要でない場合もあれば、別の強化層が用いられる場合もある。さらに、コイルの巻線は、B−ステージ材料を用いて強個にされるものもあれば、B−ステージ材料を用いて強個にされないものもある。
【0048】
上述された種類の構造の場合に、本明細書の導入部で説明された問題が起こりがちである。すなわち、B−ステージ材料層4X、4Y、4Zに気泡が存在する、および/または、コイル部3X、3Y、3Zにバリ(つまり、先鋭な端部または尖り)が存在するがゆえに、使用中に部分放電が起こりがちとなる。
【0049】
そのため、勾配磁場コイルアセンブリ2の代替の構成が提案される。
図3は勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aを示す。この勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aもまた、従来の種類のMRI装置1にて使用可能である。ここでもまた、図3は勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aを示し、以下に説明される構成及び技術は、勾配磁場シールドコイルアセンブリ2B、あるいは、駆動コイル及びシールドコイルの両方を備える勾配磁場コイルアセンブリ2においても同様に用いられ得る。
【0050】
図3に示される新たに提案された勾配磁場駆動コイルアセンブリ2Aにおいても、X、Y、及びZ駆動コイルに対応する3つのコイル部あるいは巻線3X、3Y、及び3Zが設けられている。さらに、これらのX、Y、及びZ、駆動コイル3X、3Y、及び3Zは、それぞれ、強化絶縁複合層、すなわち、B−ステージ材料層である4X、4Y、4Zに、設けられている。また、絶縁層5が様々な位置に設けられている。
【0051】
それぞれの遮蔽層6X、6Y1、6Y2、6Zもまた、勾配磁場コイルに設けられている。各遮蔽層は遮蔽材料のシートを有し、それぞれのコネクタ7(図面に概略で示されている)を介して、コイル部3X、3Y、3Zの1つに接続されている。それゆえ、第1の遮蔽層6Xはそのコネクタ7を介して、Xコイル巻線3Xに接続される。第2の遮蔽層6Y1は、そのコネクタ7を介して、Yコイル巻線3Yに接続される。第3の遮蔽層6Zは、そのコネクタ7を介して、Zコイル巻線3Zに接続される。第4の遮蔽層6Y2は、そのコネクタ7を介して、Yコイル巻線3Yに接続される。
【0052】
本明細書で提案されている種類の勾配磁場コイルアセンブリ2Aを作製する工程は、従来の勾配磁場コイルアセンブリを作製するための前述の工程と同様であって、以下のとおりであってもよい。
1.金属プレートまたは巻かれている金属を機械にかけて所望の形状にして、コイル巻数(3X、3Y、3Z)を形成する。
2.B−ステージ材料のシートを用いて、コイル部(3X、3Y、3Z)の底表面を設ける。この材料のおかげでコイルが機械的に強個となる。一般的には、コイル部(3X、3Y、3Z)とそのB−ステージバッキング(4X、4Y、4Z)は、加熱されたプレスに置かれて、B−ステージの加熱された樹脂材料が硬化される。
3.選択された任意の手段によって、強個にされたコイルを所望の形状に形成する。
4.当該コイル部(3X、3Y、3Z)を勾配磁場コイルアセンブリに取り付けて、(例えばガラステープの)薄い層を追設する。
5.ガラステープの1箇所を破き、当該ガラステープの下層にあるコイル部(3X、3Y、3Z)を露出させる。
6.当該テープを覆って遮蔽材料(6X、6Y1、6Y2、6Z)のシート1枚を敷設し、上述の露出された箇所において当該遮蔽材料のシートをそれぞれのコイル(3X、3Y、3Z)と接続させる。
7.絶縁層を付設して、各層の間において適正な空隙を維持する。
8.遮蔽材料のシートをもう1枚、当該絶縁層に敷設する。この絶縁層は、次に敷設されるコイルの下方に位置されている。(例えば)ガラステープの薄い層を追設する。
9.ガラステープの1箇所を破き、当該ガラステープの下層にある遮蔽層(6X、6Y1、6Y2、6Z)を露出させる。
10.ステップ1から3のように構成され形成されたコイルをもう1つ用意し、そのコイルを勾配磁場コイルアセンブリに取り付けて、上述の露出された箇所において、下層にある遮蔽層(6X、6Y1、6Y2、6Z)と接続させる。
11.(例えば)ガラステープの薄い絶縁層を追設する。
12.コイルを完成させるために必要な回数でステップ5から11を繰り返す。最終層の後は、ステップ11を省略してもよい。
【0053】
また、代替例では、B−ステージ材料を用いず、絶縁材料にあるコイル導電通路を単に覆うことによって1つ以上のコイル巻数(3X、3Y、3Z)を絶縁し得ることが言えよう。
【0054】
上述のように構成され、図3に示されるコイルアセンブリでは、遮蔽材料の層6X、6Y1、6Y2、6Zは、コイル部3X、3Y、3Zのうち隣接する2つの間に設けられ、かつ、各遮蔽層6X、6Y1、6Y2、6Zとそれぞれのコイル部3X、3Y、3Zとの間でB−ステージ材料層4X、4Y及び絶縁層5を適切に挟み込むように設けられている。これによって、コイルアセンブリに設けられたB−ステージ材料および/または他の絶縁層における部分放電の発生を最小限に抑えることができる。
【0055】
本出願人は、コイルからすべてのバリを取り除くこと、あるいは、気泡がない(ガラスまたはポリエステルのB−ステージである)複合材料の強化層を設けることは現実的だと考えていない。本技術は、1枚以上の遮蔽材料のシートを用いて気泡及びバリを遮蔽することによって、気泡及びバリが勾配磁場コイル層間の電場において有する影響を低減させることを意図している。
【0056】
遮蔽材料6X、6Y1、6Y2、6Zの各シートは、上述のように、それぞれのコネクタ7によって、それぞれの対応する1つのコイル部3X、3Y、及び3Zに接続される。しかしながら、遮蔽材料とそれに対応するコイル部とは1点のみで接続されることが好ましい。実施形態によっては、接触点を1つ以上とすることが必要または適切であることもあるが、その場合は、接触点の数を少なくし、かつ、コイル部におけるそれぞれ対応する点の電圧が互いに近似である位置が接触点として選択される。遮蔽層6X、6Y1、6Y2、6Zがコイル部3X、3Y、3Zと並行して、それぞれの抵抗性分路として機能する状況は避けられるべきである。しかしながら、所望の目的は、コネクタとコイル部との間における、それぞれのコイル部の接触点における電位と同じ電位で、遮蔽層に等電位表面を形成させることである。
【0057】
想定していることは、勾配磁場コイルアセンブリのコイル間における区間で気泡及びバリ、あるいは気泡及びバリの少なくとも大多数が、コイル部とそれに対応する遮蔽層との間の領域に制限されることである。上述の配置を用いれば、当該領域にわたって存在する電位差は、一般的に言えば、コイル部3X、3Y、3Zの特定の部分、及びコイル部3X、3Y、3Zとそれぞれに対応する遮蔽層6X、6Y1、6Y2、6Zとの間の接触点の電圧差がせいぜい最大となる。
【0058】
本実施例では、各遮蔽層は遮蔽材の一部によって構成され、当該遮蔽層は、本出願の導入部で説明された意味において半導電性と考えられ得るものであって、具体的には、本実施例では1枚の半導電性材料のシートである。本発明の関心は、勾配磁場コイルアセンブリの一部として形成することが可能である、適切な導電特性及び必要な機械的特性を有するシート材料にある。
【0059】
一方で、遮蔽層は等電位表面として機能し得なければならず、そのため、勾配磁場コイル駆動電圧に対する変化の期間よりも短い期間内で、遮蔽層の全体に渡って電位を変化させる必要がある。しかし、そうはいっても、MRI装置を使用して実行されるMRIS処理が損なわれるであろう時間にわたって、渦電流が支えられてはならない。
【0060】
現在までに、本出願人によって、高電圧絶縁分野において、例えばグラファイトが浸透されたポリエステルガラス繊維(例えば、Contafel(RTM)2716)のような市販の半導電性シート材が好適な材料であることがわかっている。
【0061】
他の好適な遮蔽材料としては、メッシュあるいは他の構成に作製されたものがある。当該メッシュの物質自体が導電体であってもよく、シート材料の全体の導電特性が、半導電性として説明され得るものであることが理解されよう。
【0062】
本出願人が上述の実施例を実施するために用いたシート材は、単位平方あたりの抵抗が、単位平方あたり1000−4000オームの範囲であるシート材である。MRIS全体に使用される勾配磁場コイルアセンブリに関して、一般的には、単位平方あたりの抵抗が単位平方あたり1000−10,000オームであるシート材料を用いることを、現在のところ本出願人は想定している。しかしながら、上述したように、最適な性能が得られるのは、実際には、単位平方あたりの抵抗がより低い、具体的には、本明細書の導入部で説明された範囲である抵抗を有するシート材であると、現在のところは考えられている。
【0063】
特殊なMRI装置または特殊なタイプのMRI装置の場合には当然のことながら、遮蔽層の所望の導電性は経験的に決定され得る。
遮蔽材料の遮蔽層/シート6X、6Y1、6Y2、6Zは、絶縁層(B−ステージ材料あるいはそうでないもの)によってそれぞれ対応するコイル部3X、3Y、3Zから分離されることがわかる。また、接触点は1つのみ、または、接触点はごく少ない数で、遮蔽層とコイル部との間に設けられることがわかる。このように構成されておらず、導電性または半導電性材料がコイル部と密接に接触して配置される場合には、結果として望ましくない渦電流の流れが勾配磁場コイルアセンブリに生じてしまう。当該勾配磁場コイルアセンブリには、勾配磁場フィールドの質を害する影響がもたらされてしまう。それゆえ、例えば、半導電性層を直接導電コイル部に設けることや、導電性の粉末/粒子を有する絶縁材料を載設することは望ましくないと考えられている。なぜなら、そのような構成は、コイル部と導電性/半導電性の層とを継続的または密接に接触させてしまうからである。また、これは、1箇所における個別の接続または少数の箇所における個別の接続を設けている本発明の技術とは異なる。上述の望ましくない配置のようにコイル部と導電性/半導電性層とが継続的または密接に接触されると、当該コイルを迂回することによって代替の低インダクタンス電流経路が設けられ、磁場の性能及び磁場の遮蔽が損なわれてしまう。これは、すべての箇所が同等の電位である個別の数箇所のみでコイルと遮蔽とが接続されている場合には生じ得ないものである。
【0064】
本発明で説明された勾配磁場コイルアセンブリを作製するための構造及び方法によれば、非現実的なほど高価でありおよび/または実際には不可能である除去処理によってコイル部のバリまたは絶縁材料の気泡を完全に除去しようとせずとも、コイルアセンブリにおいて良好な性能を得ることができる。
【0065】
第1の遮蔽層6X及び第2の遮蔽層6Y1の間と、第3の遮蔽層6Z及び第4の遮蔽層6Y2の間とに設けられる絶縁層5は、いかなるB−ステージ材料も使用せず、高品質真空含浸処理を用いて導入されてもよい(なぜなら、これらの絶縁層は、組み立てられる間、コイル部に構造的完全性をもたらすために用いられないからである)。それゆえ、これらの領域では気泡が生じないことが望まれ、さらに、これらの領域はいずれの巻線からも離れているため、当該領域ではバリの問題が生じることはない。
【0066】
完成を期して、図2及び図3の様々な部分に含まれているハッチング及び同様のシェ−ディングの有無は、断面の部分と断面でない部分とを区別するためというよりは、むしろ、共通の構成を有する層の説明を助けるためだけに意図されていることが説明される。
【0067】
本明細書では、硬化前後の材料を共にB−ステージ材料と称していることが理解される。つまり、B−ステージとして導入されてその後に硬化された材料も、変わらずB−ステージ材料と称される。
【0068】
上述の実施例で設けられているX、Y、及びZコイルの特定の順序は、重要ではないことが理解されよう。X、Y、及びZコイルは、本技術を用いた場合にアセンブリにおいて任意の都合のよい順で設けられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
第1の導電性コイル部を含む第1のコイル層と、
第2の導電性コイル部を含む第2のコイル層と、
前記第1のコイル層と前記第2のコイル層との間に配置され、少なくとも1枚の遮蔽材料のシートを含む第1の遮蔽層と、
前記第1の導電性コイル部と前記第1の遮蔽層との間に設けられ、絶縁材料を含む少なくとも1つの絶縁層とを備え、
前記アセンブリは、前記第1の導電性コイル部を前記遮蔽材料のシートへ電気的に接続する、少なくとも1つの個別の接触手段を備え、かつ、前記遮蔽材料のシートは、前記少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、前記少なくとも1つの絶縁材料のシートによって前記第1の導電性コイル部と電気的に接触されないことを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、半導電性材料のシートであることを特徴とするMRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記遮蔽材料のシートは、グラファイトが浸透されたシート材料、または、導電性材料からなるメッシュであることを特徴とするMRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記遮蔽材料のシートは、一般的な勾配磁場コイル駆動電圧に対する変化の期間よりも短い期間で均一の電位に到達し得るように、かつ、MRISを損なうような時間にわたって渦電流が誘導されないようにするために、前記遮蔽材料のシートが選択されることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記遮蔽材料のシートは、単位平方あたり10ミリオームから単位平方あたり10キロオームの範囲の抵抗であって、好ましくは単位平方あたり30ミリオームから単位平方あたり1キロオームの範囲の抵抗を有することを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、前記第1の遮蔽層と前記第2の導電性コイル部との間に、少なくともさらに1つの絶縁材料の層を有することを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、第3の導電性コイル部を含む第3のコイル層を備え、前記第2のコイル層が前記第1のコイル層と前記第3のコイル層との間に配置されるように、前記第3のコイル層が配置されることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、前記第2のコイル層と前記第3のコイル層との間に、1つまたは複数の遮蔽層が設けられていることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記第1の遮蔽層と前記第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第2の遮蔽層を備え、当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つの個別の接触手段を介して前記第2の導電性コイル部と電気的に接続し、前記少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つのそれぞれの絶縁材料の層によって前記第2の導電性コイル部と電気的に接続されないことを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、前記第1の遮蔽層と前記第2の遮蔽層との間に、少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられていることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、請求項7に従属する場合は、前記第3のコイル層と前記第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第3の遮蔽層を備え、当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つの個別の接触手段を介して前記第3の導電性コイル部と電気的に接続し、前記少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つのそれぞれの絶縁材料の層によって前記第3の導電性コイル部と電気的に接続されないことを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記第3の遮蔽層と前記第2のコイル層との間に配置されており、少なくとも1つの遮蔽材料のシートを有する第4の遮蔽層を備え、当該少なくとも1つの遮蔽材料のシートは、少なくとも1つの個別の接触手段を介して前記第2の導電性コイル部と電気的に接続し、前記少なくとも1つの個別の接触手段を介する場合を除き、少なくとも1つのそれぞれの絶縁材料の層によって前記第2の導電性コイル部と電気的に接続されないことを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、前記第3の遮蔽層と前記第4の遮蔽層との間に、少なくとも1つのさらなる絶縁層が設けられていることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
前記コイルアセンブリは、前記または各コイル部と当該コイル部のそれぞれの遮蔽材料のシートとの間に最大3つの個別の電気的接続がなされるように配置されることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のMRIS用勾配磁場コイルアセンブリであって、
少なくとも1つの遮蔽層と当該少なくとも1つの遮蔽層が接続される前記コイル層との間にある前記または少なくとも1つの前記絶縁層は、B−ステージ材料であることを特徴とする、MRIS用勾配磁場コイルアセンブリ。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の勾配磁場コイルアセンブリを作製する方法。
【請求項17】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の勾配磁場コイルアセンブリを備える、MRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−66084(P2012−66084A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207726(P2011−207726)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(597068227)テスラ エンジニアリング リミテッド (2)
【Fターム(参考)】