説明

包装体

【課題】 蓋体の透明性、防曇効果が損なわれず、密封可能でかつ易シール性、イージーピール性を兼ね備えることにより、ガス充填包装やボイル、レトルト等の殺菌処理工程にも耐え得る包装体を提供する。
【解決手段】 第一の基材層14と、イージーピール層16を有するフランジ付容器10と、第二の基材層24と、易シール層26を有するフランジ付蓋体20を具備し、イージーピール層16と易シール層26が密封シール可能で、かつ密封シール後は蓋体20を容易に剥離可能であり、易シール層26は、蓋体20の第二の基材層24を構成する材料より融点が10℃以上低い材料からなり、イージーピール層16は、蓋体20の第二の基材層24を構成する材料より融点が10℃以上低い材料からなり、蓋体20の内面は、防曇処理が施されている包装体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に、特に食品を入れるための包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニ、スーパー等で販売される惣菜、弁当等はプラスチック容器に二軸延伸ポリスチレン(OPS)、アモルファス−ポリエチレンテレフタレート(A−PET)等の透明成形蓋を被せ、場合によってはその周りにシュリンクフィルム等がまかれて陳列販売されている。蓋材は内容物を美味しく見せるために透明性が求められかつ大半の場合がチルド、冷凍流通や、冷蔵保存、電子レンジ加熱等に供されるため蓋内面には防曇処理が施されている。
【0003】
これらの容器は蓋を嵌合によって係止するだけの機構であるため、特に汁物や液状物を含む内容物においては液漏れを起こすことがしばしばあった。これを防止するためにシュリンクフィルムを巻く場合もあるが、嵌合部からの汁漏れは防止できず、シュリンクフィルムを剥がしたときに零れ出してしまった。また、このような商品は食する前にその包装形態のまま電子レンジ加熱することが多く、これまでのOPS、A−PET等では耐熱性に欠け容器が変形しやすかった。さらに、これら容器は、密封性が得られないためガス置換包装やボイル、レトルト等の殺菌ができず、大半が日配品となり、賞味期限が短く、余った場合は廃棄せざるをえない、環境適性に劣る包装形態であった。
【0004】
これらの問題点を克服すべく、透明性、防曇性、耐熱性、密封性、イージーピール性等の幾つかの提案もなされているが、全てを同時に兼ね備えた提案はなされていない。
【0005】
成形容器に成形蓋を被せ密封する方法として、特許文献1では容器内容物を充填して、蓋をした後シュリンク包装する方法が提案されているが、これは被包装体全面をフィルムで覆うため透明蓋材を用いた場合透明性に劣り、フィルムの収縮力が強い場合は容器が変形してしまった。また単純なシュリンク包装では気密性を完全に達成することが難しかった。
【0006】
特許文献2には嵌合フランジ部を伸縮性帯状フィルムによって封緘する方法が提案されているが、これも透明性の維持、包材コストの節減には前記提案に比べ効果はあるものの伸縮性帯状フィルムによる容器の変形、完全密封性には欠ける。
【0007】
完全密封の提案として、特許文献3でガス置換し易い嵌合蓋体をフィルム包装袋の中でガス置換し、フィルム包装袋を完全シールする方法が提案されているが、密封性はあるものの、汁物の場合袋内に液体が零れるという欠点があるばかりか包材コスト面、環境的性面でも廃棄物が増え好ましくなかった。
【0008】
また、蓋用シートシール側内面にイージーピール剤をフランジ相当部にパートコートする手法も考えられるが、蓋材成形段階でのピッチ調整が困難でかつ耐熱性がないため熱成形時の条件調整、安全面で電子レンジ加熱での不純物溶出等の問題がある。
【0009】
特許文献4では透明蓋材のフランジ部シール形態が提案されている。これは上記の問題を解決するに優れた手法ではあるが蓋内面への防曇処理を施した場合の安定したシール性や、蓋材の透明性を維持するためのシール層の提案が不充分である。
【特許文献1】特開平11−171260号公報
【特許文献2】特開2005−22688号公報
【特許文献3】特開平9−309517号公報
【特許文献4】特開2003−231540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、蓋体の透明性、防曇効果が損なわれず、密封可能でかつ易シール性、イージーピール性を兼ね備えることにより、ガス充填包装やボイル、レトルト等の殺菌処理工程にも耐え得る包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下の包装体が提供される。
1.第一の基材層と、イージーピール層を有するフランジ付容器と、
第二の基材層と、易シール層を有するフランジ付蓋体を具備し、
前記イージーピール層と前記易シール層が密封シール可能で、かつ密封シール後は蓋体を容易に剥離可能であり、
前記易シール層は、前記蓋体の第二の基材層の主構成材料より融点が10℃以上低い材料からなり、
2.前記イージーピール層は、前記蓋体の第二の基材層の主構成材料より融点が10℃以上低い材料からなり、
前記蓋体の内面は、防曇処理が施されている包装体。
前記イージーピール層が、蓋体を容器から剥がした際に剥離破壊する1に記載の包装体。
3.前記蓋体のフランジの厚みが50μm〜500μmであり、前記易シール層の厚みは5μm以上であり、前記イージーピール層の厚みが1μm以上である1又は2に記載の包装体。
4.前記蓋体の防曇処理が、防曇剤を含むバインダー樹脂をコーティングすることである1〜3のいずれか記載の包装体。
5.前記蓋体の易シール層が、ランダムポリプロピレン、又はランダムポリプロピレンと、前記ランダムポリプロピレンより低い融点を有する樹脂からなる1〜4のいずれか記載の包装体。
6.前記容器のイージーピール層が、ランダムポリプロピレンと、前記ランダムポリプロピレンと相溶性の悪い樹脂からなる1〜5のいずれか記載の包装体。
7.前記容器と前記蓋体が嵌合可能であり、前記蓋体を密封シールして、さらに剥離した後、前記蓋体が前記容器に再度嵌合可能である1〜6のいずれか記載の包装体。
8.前記第一の基材層と前記第二の基材層がガスバリア層を有する1〜7のいずれか記載の包装体。
9.1〜8のいずれか一記載の包装体が密封シールされていて、この包装体の内部が、不活性ガスで置換されていて、食品を収容している包装体。
10.1〜9のいずれか記載の包装体がボイル又はレトルト殺菌処理を施された包装体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、これらの成形蓋体の透明性、防曇効果が損なわれず、密封可能でかつ易シール性、イージーピール性を兼ね備えることにより、ガス充填包装やボイル・レトルト等の殺菌工程にも耐え得る包装体が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の包装体の一実施形態を示す断面図である。
図1(a)は密封する前の包装体の断面図であり、図1(b)は密封した後の包装体の断面図であり、図1(c)は密封した後蓋体を剥離したときの断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、本発明の包装体1は、容器10と、容器10に嵌合する蓋体20からなる。容器10は基材層(第一の基材層)14とイージーピール層16からなり、フランジ12を有する。蓋体20は基材層(第二の基材層)22と易シール層26からなり、フランジ22を有する。
容器のフランジ12は、蓋体のフランジ22に対向する面にイージーピール層16が有り、フランジ22は、フランジ12に対向する面に易シール層26が有る。また易シール層26には防曇処理が施されている。
【0015】
図1(b)に示すように、蓋体20を容器10に嵌合させ、イージーピール層16と易シール層26を重ねた後、フランジ12,22をシールをする。シールされた部分についてイージーピール層16と易シール層26とが接着し、包装体1が密封される。このイージーピール層16は、蓋体20を容器10のフランジ12から剥がす時の力で凝集剥離するような材料からなるため、蓋体20を軽い力で剥がせる(イージーピール性)のに加え、蓋体20と容器10のフランジ12のシール安定性に優れる。
【0016】
図1(c)に示すように、シールした後、蓋体20は、容器10から簡単に引き剥がすことができる。このとき、イージーピール層16の一部は16Bとして蓋材に移行し、一部は16Aとして残る。
尚、図1では、蓋体20と容器10のフランジ12,22が嵌合する形態を記載したが、本発明の権利範囲はその形態に限らず、フランジ12,22が嵌合しない形態も権利範囲に含むものである。また、易シール層26やイージーピール層16は、最低限、フランジ12,22に設けられておれば、図1に示したように基材層14,24の全面に積層していなくても構わない。
【0017】
図2は、本発明の包装体の他の実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、本発明の包装体2は、容器30と、容器30に被さる蓋体40からなる。容器30は基材層(第一の基材層)32からなり、フランジ32を有する。蓋体40は基材層(第二の基材層)42からなり、フランジ42を有する。
この包装体2は、蓋体20と容器10が嵌合可能な形状でない点が、上記の実施形態と異なる。
【0018】
容器30は、基材層34とイージーピール層36からなる積層シート又はフィルムを成形することにより得られる。蓋体40は、基材層44と易シール層46からなる積層シート又はフィルムを成形することにより得られる。
【0019】
包装体2は、図1の包装体1と同様の方法でシールし、シールした後蓋体40をイージーピールしすることが可能である。
【0020】
次に本発明の包装体を構成する層について詳細に説明する。
容器の基材層(第一の基材層)は、基本的には熱成形可能な素材であれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート等が例示される。これらは単独でも組み合わせてもよい。好ましくは、ポリプロピレンを用いる。ポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、プロピレンとエチレン、プロピレンとエチレンとブテンとのブロックコポリマー、ランダムコポリマー等が例示される。
【0021】
また、ポリプロピレンとポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン等のポリマーアロイを用いて剛性、成形性を改善させることができる。
さらに、基材層は、樹脂に各種添加剤を含むことができる。例えば、剛性を向上させるために、無機フィラーを含む。
【0022】
容器の基材層は、用途に応じて、一層だけから構成されるだけでなく、複数の層を積層して構成してもよい。例えば、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド等のガスバリア性樹脂層、接着性樹脂層等を含むこともできる。
【0023】
容器のイージーピール層を構成する材料として、好ましくは耐熱性の観点から容器の基材層にポリプロピレンを選択するため、ランダムポリプロピレンを用いる。ランダムポリプロピレンとして、プロピレンとエチレン、プロピレンとエチレンとブテン等のランダム共重合体を使用できる。
【0024】
さらに好ましくは、ランダムポリプロピレンと、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等に例示されるランダムポリプロピレンと相溶性の悪い樹脂の混合樹脂を用いる。ランダムポリプロピレンと相溶性の悪い樹脂を配合することにより、イージーピール層における凝集剥離がより容易になり、安定した易剥離性が得られる。
混合樹脂において、ランダムポリプロピレンと相溶性の悪い樹脂の配合量は、通常、10質量%以上であり、好ましくは15〜50質量%である。
【0025】
易シール性を向上させるには、イージーピール層は、蓋体の基材層の主構成材料より、融点が10℃以上低いことが好ましく、融点が20℃以上低いことがさらに好ましい。蓋体の基材層が多層であるときは、主構成材料は、最外層の主構成材料である。また、イージーピール層が2以上の樹脂からなる場合は、イージーピール層の融点は、イージーピール層の主成分の融点である。
【0026】
イージーピール層は、凝集剥離するタイプでも、界面剥離するタイプでもよい。好ましくは前者である。イージーピール層が、蓋体を剥がす力で界面剥離するタイプであると、蓋体と容器のフランジ同士を、密封でき、かつイージーピール性が発現するようにヒートシールできる条件がシビアになる場合がある。
【0027】
容器の基材層の厚みは特に限定されないが、通常、50〜2000μmである。
イージーピール層の厚みは、1μm以上が好ましく、5〜100μmがより好ましい。イージーピール層の厚みが1μm未満であるとシール性に欠ける恐れがある。
【0028】
蓋体の基材層(第二の基材層)は、特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が例示される。これらは単独でも組み合わせてもよい。好ましくは、ポリプロピレンを用いる。
【0029】
また、蓋体の基材層は、単層でも多層体でもよい。例えば、ポリプロピレン層と、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド等のガスバリア性樹脂からなるガスバリア層、接着性樹脂層等を含む積層体を使用できる。この場合、ポリプロピレン層を外面層とする。
蓋体の基材層は、本発明の効果を損なわない限り、各種添加剤を含むことができる。
【0030】
蓋体の易シール層を構成する材料として、好ましくは耐熱性の観点からランダムポリプロピレンを用いる。直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のランダムポリプロピレンより融点が低い樹脂を配合することもできる。
低融点樹脂の配合量は、混合樹脂全体に対して好ましくは10〜40質量%である。
【0031】
蓋体は透明であることが好ましくは、透明度が全ヘイズ60%以下であることが好ましい。
【0032】
蓋体の内面は防曇処理されている。防曇処理として、WO02/32984に記載の方法を使用できる。
防曇処理として、防曇剤を含むバインダー樹脂からなるコート剤を塗布してもよい。例えば、共押出して作られた、基材層と易シール層からなる蓋体用積層シートの、易シール層表面に、防曇剤を含むバインダー樹脂からなるコート剤を塗布する。このようなコート剤を塗布することにより、防曇処理した多層シートを熱成形しても、防曇性能が低下することを抑制できる。
【0033】
防曇剤は、特に限定されないが、ショ糖、ショ糖系脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸3級アミド、高級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等を、単独又は2種以上を混合して使用することができる。この中ではショ糖や脂肪酸エステル等が好ましい。
【0034】
バインダー樹脂は、特に限定されないが、アクリル系接着剤が好ましく、ポリアクリル酸エステル等の共重合体を用いることができる。ここで、ポリアクリル酸エステルを構成するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル等を用いることができる。これらのアクリル酸エステルを、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル等と共重合させたポリマーを用いることができる。また、上記アクリル酸エステルを、アクリル酸、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ヒドロキシジアルキルメタクリレート等の種々の官能性モノマーと共重合させたポリマーを用いることができる。
【0035】
蓋体の少なくとも片面に、防曇剤及びバインダー樹脂を含むコート層を有すると、防曇剤のみのコート層と比べて、塗膜強度を高めることができるとともに、コート層表面のべたつきを抑えることができる。しかも、バインダー樹脂を用いているから、コート層表面のべたつきをより一層低下させることができるとともに、当該防曇性蓋体シートを熱成形して得られる成形体においても、効果的に防曇性を発揮させることができる。
【0036】
コート層は、好ましくは、蓋体シートに、前記防曇剤及びバインダー樹脂を固形分量としてそれぞれ4〜400mg/m塗布、乾燥して形成する。
ここで、シート表面のバインダー樹脂の単位面積当たり重量が4mg/m未満であると、コート層の強度が低下する可能性がある。一方、400mg/mを超えると防曇効果が低下する可能性がある。
また、シート表面の防曇剤の単位面積当たり重量が、4mg/m未満であると、十分な防曇効果が得られない可能性がある。一方、400mg/mを超えると、コート層の強度が低下する可能性があるとともに、べたつきが発生することがある。
【0037】
易シール性を向上するために、易シール層は、蓋体の基材層の主構成材料よりも、融点が10℃以上低く、好ましくは20℃以上低い。蓋体の基材層が多層であるときは、主構成材料は、最外層の主成分である。また、易シール層が2以上の樹脂からなる場合は、易シール層の融点は、易シール層の主成分の融点である。
【0038】
蓋体のフランジの厚みは、通常、50〜500μmであり、蓋体のフランジの厚みが50μm未満であると、蓋体の剛性が劣る恐れがある。蓋体のフランジの厚みが500μmを超えるとシールしにくくなる恐れがある。
【0039】
易シール層の厚さは好ましくは5μm以上である。5μm未満であるとシール性が劣る恐れがある。易シール層の厚さはより好ましくは10〜50μmである。
【0040】
容器は、基材層とイージーピール層を有する多層シート又はフィルムを共押出法やラミネート法により製造し、その積層シート又はフィルムから容器を熱成形して製造することができる。
【0041】
蓋体の原材料として基材層と易シール層を有する多層シート又はフィルムを用い、これを例えば特開平9−136346号公報で示されるベルト急冷法を用いて、共押出して製造すると、蓋体の透明性を向上できるので好ましい。
また、基材層と易シール層をラミネート成形で製造することもできる。
次に、蓋体は原材料シート又はフィルムの易シール層面に前記防曇処理を行い、熱成形して製造することができる。
【0042】
容器と蓋体を密封シールする方法として、熱シール、超音波シール、インパルスシール等が使用できる。密封シールの方法は、用途、容器に入れる内容物に応じて適宜選択することができる。
【0043】
本発明の包装体は、食品を収容する食品包装体として好適に使用できる。本発明の包装体は、耐熱性に優れているので、電子レンジ、ボイル、レトルト等の加熱処理を行う食品の包装体として使用できる。また、本発明の包装体は、密封性に優れているので、酸化しやすい食品を包装体に入れて、包装体の内部を窒素等の不活性ガスで置換して、密封シールすることにより、食品を長期に保存することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例に示した物性の測定方法及び評価方法は以下の通りである。
【0045】
(1)防曇性
容器中に水を入れて蓋をし、蓋フランジと容器フランジをヒートシールして接着した。その容器を4℃の冷蔵庫に24時間静置した後、常温に戻して、蓋内面への水滴の付着有無を目視で確認した。
◎ 容器の中が視認できる。 × 蓋が曇って容器の中が見えない。
【0046】
(2)シール性
◎ 蓋フランジと容器フランジを、ヒートシール部の外観を悪化させず、イージーピール可能にヒートシール可能な適正温度範囲が広い。
△ シール時に蓋が破れたり、熱板に付着してシール不良現象を起こす場合がある。
○ △に記載した不良現象はおきないが、前記適正温度範囲が◎より狭い。
× 蓋が破れるか、熱板に付着して、ヒートシールできない。
【0047】
(3)イージーピール性
10人の試験者が、蓋と容器が密封された試験サンプルについて、蓋を容器から手で剥がして、軽い力でスムーズに剥がせるか否か判断した。
◎ 10人の試験者のうち8人以上が、軽い力でスムーズに蓋を容器から剥がせる(イージーピール)と判断し、残りの試験者もイージーピールでない(×である)とは判断しなかった。
× 10人の試験者全員がイージーピールでないと判断した。
○ 10人の試験者のうち4〜7人がイージーピールと判断し、残りの試験者も、イージーピールでない(×である)とは判断しなかった。
【0048】
(4)密封性
容器中に水を入れて蓋をし、蓋フランジと容器フランジをヒートシールして接着した。その容器を、蓋がほぼ垂直に立つように傾けて、水のこぼれ有無を目視で確認した。
◎ 水のこぼれなし
× 水がフランジ間から漏れた。
△ 水がフランジ間から少し漏れた。
○ 水がフランジ間から滲む程度(△より、フランジは濡れていない)
【0049】
(5)耐熱性
カレーを容器内に入れて、蓋をし、蓋フランジと容器フランジをヒートシールして接着した後、一度容器を回転させて、蓋にカレーを付着させた。それを、電子レンジにかけて加熱した後、取り出して、容器の変形有無を目視で確認した。
◎蓋の変形がなし ×蓋の変形あり
【0050】
(6)剥離状態
蓋を容器から剥がした後、容器フランジと蓋フランジの剥離面を目視で確認して、界面剥離か凝集剥離か確認した。
【0051】
実施例及び比較例で使用した樹脂を以下に示す。
樹脂A:ホモポリプロピレン(融点162℃、MFR=0.5g/10分)
樹脂B:低密度ポリエチレン(密度920kg/m、MFR=0.3g/10分)
樹脂C:エチレンプロピレンランダムポリプロピレン(融点132℃、MFR=7.5g/10分)
樹脂D:低密度ポリエチレン(密度920kg/m、MFR=8g/10分)
樹脂E:ホモプロピレン(融点162℃、MFR=2.8g/10分)
樹脂F:エチレンプロピレンランダムポリプロピレン(融点142℃、MFR=2.6g/10分)
樹脂G:直鎖状低密度ポリエチレン(密度905kg/m、MFR=3.5g/10分)
また、各実施例又は比較例における、層の構成材料、組成物ならその配合比及び層厚を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例1
容器の基材層として、樹脂A80質量部、樹脂B20質量部からなる組成物、及びイージーピール層として樹脂C70質量部、樹脂D30質量部からなる組成物を用いて、2層からなる積層シートを多層共押出法で成形した。
基材層の厚さは380μm、イージーピール層の厚さは20μmの多層シートを得た。
得られたシートを真空成形法により図1に示す容器形状(フランジ外周が110mm×110mm、容器の高さが25mm)に成形した。
【0054】
蓋の基材層として樹脂E、及び易シール層として樹脂Cを用い、2層からなる積層シートを多層共押出法で成形し、ベルト急冷法により透明化させた。
基材層の厚さは230μm、易シール層の厚さは20μmの多層シートを得た。
得られた多層シートの易シール層表面に、防曇剤成分としてショ糖を含むアクリル系バインダーを400mg/mとなるようにコーティングして防曇処理した。その防曇処理済み多層シートを、圧空成形法により図1に示す蓋形状に成形した。
【0055】
得られた容器及び蓋を嵌合して、フランジをヒートシールして密着させた包装体について評価を行った。結果を表2に示す。
【0056】
実施例2−6、比較例1−4
表1に示すように、樹脂、厚み、防曇処理等を変えた他は、実施例1の方法で容器及び蓋を得た。
得られた容器及び蓋をヒートシールして密着させた包装体について実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0057】
比較例5
容器としてポリプロピレン単層容器、蓋として二軸延伸ポリスチレン単層蓋を用いた。容器及び蓋の形状は実施例1と同じであるが、イージーピール層と易シール層を有さない。
蓋の内面を防曇処理した後、容器と蓋を嵌合させてフランジ部分をシュリンクフィルムでラッピングした。
この包装体について実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の包装体は、内容物を美味しく見せるために蓋体の透明性が求められる包装分野、汁物等の液状物が充填され汁零れ等のない液体密封性が求められる包装分野、油分食品等が充填され電子レンジ加熱されても変形や劣化のない耐熱性、耐油性が求められる包装分野、ガス置換による日持ち効果をもたせる気体密封性が求められる包装分野で好適に使用できる。具体的にはコンビニ、スーパー等の惣菜、弁当容器等に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a)は本発明の一実施形態にかかる包装体であって、密封シール前の包装体を示す断面図、(b)は密封シール後の包装体を示す断面図、(c)は蓋体を剥離したときの断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態にすする包装体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,2 包装体
10,30 容器
12,32 容器のフランジ
14,34 容器の基材層(第一の基材層)
16,36 イージーピール層
20,40 蓋体
22,42 蓋体のフランジ
24,44 蓋体の基材層(第二の基材層)
26,46 易シール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材層と、イージーピール層を有するフランジ付容器と、
第二の基材層と、易シール層を有するフランジ付蓋体を具備し、
前記イージーピール層と前記易シール層が密封シール可能で、かつ密封シール後は蓋体を容易に剥離可能であり、
前記易シール層は、前記蓋体の第二の基材層の主構成材料より融点が10℃以上低い材料からなり、
前記イージーピール層は、前記蓋体の第二の基材層の主構成材料より融点が10℃以上低い材料からなり、
前記蓋体の内面は、防曇処理が施されている包装体。
【請求項2】
前記イージーピール層が、蓋体を容器から剥がした際に凝集剥離する請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記蓋体のフランジの厚みが50μm〜500μmであり、前記易シール層の厚みは5μm以上であり、前記イージーピール層の厚みが1μm以上である請求項1又は2に記載の包装体。
【請求項4】
前記蓋体の防曇処理が、防曇剤を含むバインダー樹脂をコーティングすることである請求項1〜3のいずれか一項記載の包装体。
【請求項5】
前記蓋体の易シール層が、ランダムポリプロピレン、又はランダムポリプロピレンと前記ランダムポリプロピレンより低い融点を有する樹脂からなる請求項1〜4のいずれか一項記載の包装体。
【請求項6】
前記容器のイージーピール層が、ランダムポリプロピレンと、前記ランダムポリプロピレンと相溶性の悪い樹脂からなる請求項1〜5のいずれか一項記載の包装体。
【請求項7】
前記容器と前記蓋体が嵌合可能であり、前記蓋体を密封シールして、さらに剥離した後、前記蓋体が前記容器に再度嵌合可能である請求項1〜6のいずれか一項記載の包装体。
【請求項8】
前記第一の基材層と前記第二の基材層がガスバリア層を有する請求項1〜7のいずれか一項記載の包装体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の包装体が密封シールされていて、この包装体の内部が、不活性ガスで置換されていて、食品を収容している包装体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項記載の包装体がボイル又はレトルト殺菌処理を施された包装体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−22589(P2007−22589A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207049(P2005−207049)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】