説明

包装体

【課題】開口部を覆うラベル部材を剥離した場合に、このラベル部材が包装体本体から分離されにくく、且つ、ラベル部材が開口部を覆う状態に戻りにくい包装体を提供すること。
【解決手段】開口部11が設けられた包装体本体10と、包装体本体10の外面側から開口部11を開閉可能に覆うラベル部材30と、を備える包装体1であって、ラベル部材30は、包装体本体10の外面における開口部11の周縁に剥離自在に接着される下層シート31と、下層シート31の外面側に積層される本体部321及び下層シート31の一端側から延出して包装体本体10の外面に剥離困難に接着される延出部322を有する上層シート32と、上層シート32における本体部321と延出部322との境界近傍に形成されるスリット部323と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。詳しくは、開口部が設けられた包装体本体と、この包装体本体の開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のウェットティッシュが収容された包装体が提案されている。このような包装体は、複数枚のウェットティッシュを収容すると共に、これら複数枚のウェットティッシュを取り出し可能な開口部を有する包装体本体と、この包装体本体の開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える。
【0003】
このような包装体として、例えば、特許文献1には、第1のシートと第2のシートとが積層された本体部分と、第2のシートのみが延長された延長部分とを有するラベル部材を備え、このラベル部材の延長部分が本体部分よりも強い接着力で包装体本体に接着された包装体が提案されている。また、特許文献2には、2つのフィルム層により構成されたラベル部材を有する包装体において、一方のフィルム層におけるラベル部材の剥離開始側とは反対側の端部に切込みが設けられた包装体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−268783号公報
【特許文献2】特開平10−324277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案された包装体では、延長部分が本体部分よりも強い接着力で包装体本体に接着されているので、ウェットティッシュを取り出すためにラベル部材を剥離したときに、ラベル部材が包装体本体から分離してしまうことを防止できる。しかしながら、ラベル部材の大きさ等によっては、ラベル部材を構成する第2のシートの反発力により、剥離した状態のラベル部材が開口部を覆う状態に戻ってしまう場合があった。
特許文献2で提案された包装体では、一方のフィルム層に切込みを入れることにより、ラベル部材が剥離した状態を維持できるように構成しているが、切込みを入れない他方のフィルム層の材質によっては、剥離した状態のラベル部材が開口部を覆う状態に戻ってしまう場合があった。また、特許文献2で提案された包装体では、ラベル部材の包装体本体に対する接着力が均一であるため、ラベル部材を剥離した場合に、ラベル部材が包装体本体から分離してしまう場合があった。
【0006】
従って、本発明は、開口部を覆うラベル部材を剥離した場合に、このラベル部材が包装体本体から分離されにくく、且つ、ラベル部材が開口部を覆う状態に戻りにくい包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開口部が設けられた包装体本体と、該包装体本体の外面側から前記開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える包装体であって、前記ラベル部材は、前記包装体本体の外面における前記開口部の周縁に剥離自在に接着される下層シートと、該下層シートの外面側に積層される本体部及び該下層シートの一端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される延出部を有する上層シートと、前記上層シートにおける前記本体部と前記延出部との境界近傍に形成されるスリット部と、を備える包装体に関する。
【0008】
また、前記下層シート及び前記上層シートは、それぞれ、横長状に形成され、前記延出部は、前記下層シートにおける長手方向の一端側から延出することが好ましい。
【0009】
また、前記スリット部は、前記上層シートの幅方向における略中央部に、該上層シートの幅方向に沿って延びるように形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記スリット部は、前記上層シートの幅方向における一端及び他端に、それぞれ、該上層シートの幅方向に沿って延びるように形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記下層シートにおける前記スリット部に重なる位置に設けられる下層スリット部を更に備えることが好ましい。
【0012】
また、前記スリット部は、該スリット部の一端側に設けられ前記延出部の延出方向に延びる第1スリットと、該スリット部の他端側に設けられ前記延出方向に延びる第2スリットと、該第1スリットと該第2スリットとの間に設けられ前記延出方向に略直交する方向に延びる第3スリットと、を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、開口部が設けられた包装体本体と、該包装体本体の外面側から前記開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える包装体であって、前記ラベル部材は、前記包装体本体の外面における前記開口部の周縁に剥離自在に接着される下層シートと、前記下層シートの外面側に積層される本体部、該下層シートの一端縁における一端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される第1延出部、及び前記一端縁における他端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される第2延出部を有する上層シートと、前記第1延出部と前記第2延出部との間に形成され前記下層シート及び前記上層シートが配置されない切り欠き部と、を備える包装体に関する。
【0014】
また、前記第1延出部と前記本体部との境界部分である第1境界部、及び前記第2延出部と前記本体部との境界部分である第2境界部は、いずれも前記第1延出部及び前記第2延出部の延出方向に略直交する方向に延びて形成され、前記第1境界部及び前記第2境界部は、互いに略同一直線上に配置されることが好ましい。
【0015】
また、前記第1延出部の延出端側における前記延出方向に直交する方向における長さは、前記第1境界部の長さよりも長く、前記第2延出部の延出端側における前記延出方向に直交する方向における長さは、前記第2境界部の長さよりも長いことが好ましい。
【0016】
また、前記上層シート及び下層シートにおける前記切り欠き部との境界部分である中央境界部は、前記延出方向に凸となるように湾曲した湾曲部を有し、該湾曲部の一端及び他端は、前記第1境界部及び前記第2境界部よりも内側に位置することが好ましい。
【0017】
また、前記上層シート及び下層シートにおける前記切り欠き部との境界部分である中央境界部は、前記延出方向に略直交する方向に延びる第1直線部と、該第1直線部の一端及び他端からそれぞれ前記ラベル部材の内側に延びる一対の第2直線部と、を備え、前記第1直線部は、前記第1境界部及び前記第2境界部と略同一直線上に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の包装体によれば、開口部を覆うラベル部材を剥離した場合に、このラベル部材が包装体本体から分離されにくく、且つ、ラベル部材が開口部を覆う状態に戻りにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の包装体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の包装体におけるラベル部材の平面図である。
【図3】第1実施形態の包装体におけるラベル部材の分解斜視図である。
【図4】図2におけるX−X線断面図である。
【図5】図2におけるY−Y線断面図である。
【図6】ラベル部材を剥離した状態の包装体を示す平面図である。
【図7】図6におけるZ−Z線断面図である。
【図8】第2実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図9A】第3実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図9B】図9AにおけるA−A線断面図である。
【図10】第4実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図11A】第5実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図11B】第6実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図12】第7実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図13A】第8実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図13B】第8実施形態のラベル部材の上層シートを示す平面図である。
【図13C】第8実施形態のラベル部材の下層シートを示す平面図である。
【図14A】第9実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図14B】第9実施形態のラベル部材の上層シートを示す平面図である。
【図14C】第9実施形態のラベル部材の下層シートを示す平面図である。
【図15A】第10実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図15B】第10実施形態のラベル部材の上層シートを示す平面図である。
【図15C】第10実施形態のラベル部材の下層シートを示す平面図である。
【図16A】第11実施形態の包装体のラベル部材を示す平面図である。
【図16B】第11実施形態のラベル部材の上層シートを示す平面図である。
【図16C】第11実施形態のラベル部材の下層シートを示す平面図である。
【図17A】ラベル部材の変形例の一例を示す平面図である。
【図17B】ラベル部材の変形例の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の包装体の好ましい各実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態の包装体を示す斜視図である。
第1実施形態の包装体1は、図1に示すように、開口部11を有する包装体本体10と、この包装体本体10の内部に収容される複数のウェットティッシュ20と、包装体本体10の外面に取り付けられ開口部11を覆うラベル部材30と、を備える。
【0021】
包装体本体10は、図1及び図2に示すように、シート状部材により構成され、平面視において略矩形形状を有する袋状に形成されている。包装体本体10を構成するシート状部材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔等が積層されて形成された液体不透過性のフィルム材料が挙げられる。
開口部11は、包装体本体10の上面における略中央部に設けられる。この開口部11は、包装体本体10を構成するシート状部材の一部が切り欠かれて形成される。
【0022】
複数のウェットティッシュ20は、略矩形形状に形成されている(図示せず)。これら複数のウェットティッシュ20は、それぞれ、互いに略平行に設けられる複数の折線(図示せず)において所定の形状に折り畳まれた状態で積層されて包装体本体10に収容される。
複数のウェットティッシュ20は、例えば、一方の側縁が開口部11から露出するように配置されると共に、他方の側縁が下方に配置されている他のウェットティッシュに挟み込まれるように配置される。これにより、最も開口部11側に位置するウェットティッシュ20を開口部11から取り出した場合に、この取り出されたウェットティッシュ20の下層に配置されたウェットティッシュ20の一部が開口部11から突出する。よって、包装体本体10に収容されたウェットティッシュ20を取り出しやすくなる。
【0023】
図2は、第1実施形態におけるラベル部材30の平面図であり、図3は、分解斜視図である。図4は、図2におけるX−X線断面図であり、図5は、Y−Y線断面図である。
ラベル部材30は、図1及び図2に示すように、平面視で横長状の略矩形形状を有している。ラベル部材30は、このラベル部材30の長手方向が包装体本体10の長手方向に沿うように包装体本体10に取り付けられる。
ラベル部材30は、図3に示すように、包装体本体10側に配置される下層シート31と、この下層シートの外面に積層される上層シート32と、を備える。
【0024】
下層シート31は、図4に示すように、開口部11の大きさよりも大きく構成される。この下層シート31は、図3に示すように、略矩形形状における長手方向の一方の端縁が円弧状に形成された形状を有している。この下層シート31における包装体本体10に対向する面(下面)には、図4に示すように、円弧状に形成された部分の先端側を除く部分に接着剤41が塗布されている。この接着剤41は、下層シート31が包装体本体10に繰り返し接着及び剥離が可能な程度の接着力を有している。このような接着剤としては、ポリエステル系やアクリル系の感圧接着剤が挙げられる。
下層シート31を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルムが挙げられる。
【0025】
上層シート32は、図2〜図5に示すように、下層シート31の外面側(上面側)に積層される本体部321と、この本体部321の一端側から延出する延出部322と、本体部321と延出部322との境界近傍に形成されるスリット部323と、を備える。
本体部321は、図3に示すように、下層シート31と略同形状に形成されている。具体的には、本体部321の長手方向における一端側は直線状に形成され、他端側は円弧状に形成されている。
延出部322は、図3に示すように、本体部321の長手方向における一端側の直線状に形成された端縁から延出している。この延出部322における上層シート32の幅方向の長さは、本体部321における上層シート32の幅方向の長さと略等しく構成されている。また、延出部322の延出長さは、延出部322における上層シート32の幅方向の長さよりも短く構成されている。
【0026】
スリット部323は、図4に示すように、上層シート32の一部が切り抜かれて形成される。このスリット部323は、図2及び図3に示すように、ラベル部材30の幅方向の略中央部に設けられ、ラベル部材30の幅方向に沿って延びている。第1実施形態では、スリット部323は、図4に示すように、本体部321と延出部322との境界近傍における延出部322側に設けられている。つまり、ラベル部材30は、スリット部323が設けられた部分に貫通穴を有している。
【0027】
以上の上層シート32は、下層シート31よりも剛性が小さく構成されている。具体的には、上層シート32の厚さを下層シート31の厚さよりも薄く構成することで、上層シート32の剛性を下層シート31の剛性よりも小さく構成している。また、第1実施形態では、上層シート32は、透明部材により構成されている。このような上層シート32は、下層シート31と同様の素材を用いて構成できる。
上層シート32の下面の略全域には、図4及び図5に示すように、下層シート31の下面に塗布された接着剤よりも接着力の強い接着剤42が塗布されている。この接着剤42により、下層シート31と上層シート32とが接着されると共に、延出部322が包装体本体10の外面に接着される。
【0028】
次に、第1実施形態のラベル部材30の製造方法の一実施態様につき説明する。
まず、互いに同じ幅に形成された下層シート31を構成するシート材及び上層シート32を構成するシート材を準備する。
次いで、下層シート31を構成するシート材のみを所定の幅(延出部322の延出長さ)で切断する。
次いで、下層シート31を構成するシート材の上に、上層シート32を構成するシート材を積層する。ここで、下層シート31を構成するシート材と上層シート32を構成するシート材とを、上層シート32を構成するシート材の一端縁の位置が下層シート31を構成するシート材の一端縁から延出するように積層する。
次いで、下層シート31を構成するシート材と上層シート32を構成するシート材との積層体を、ラベル部材30の形状に切断すると共に、この積層体における上層シート32の延出部分にスリット部323を形成する。これにより、延出部322及びスリット部323を有するラベル部材30が製造される。
【0029】
以上のラベル部材30は、図4及び図5に示すように、上層シート32の延出部322において包装体本体10の外面に剥離困難に接着される。また、ラベル部材30は、下層シート31と上層シート32の本体部321との積層部分において開口部11を覆うと共に、包装体本体10における開口部11の周縁に剥離自在に接着される。
ラベル部材30の好ましい大きさ等について説明する。ラベル部材30を構成する上層シート32の本体部321の長手方向の長さは、好ましくは45mm〜60mmであり、幅方向の長さは、好ましくは30mm〜40mmである。また、第1実施形態におけるスリット部323の長さは、好ましくは10mm〜20mmである。ラベル部材30の大きさを上述の範囲内とすることにより、剥離した状態のラベル部材が開口部を覆う状態に戻りにくくなる。
【0030】
次に、第1実施形態の包装体1の使用方法について説明する。
包装体1は、図1に示すように、使用されない状態では、ラベル部材30により開口部11が覆われており、包装体本体10に収容されたウェットティッシュ20の乾燥が防止されている。そして、包装体1を使用する場合には、ラベル部材30の長手方向の一端側に位置する円弧状に形成された部分を把持して、このラベル部材30を長手方向の他端側(延出部322側)に向けて引っ張る。すると、ラベル部材30における下層シート31と包装体本体10との接着部分が剥離されて、開口部11が露出される。ここで、下層シート31と包装体本体10とは剥離自在に接着されているが、延出部322と包装体本体10とは剥離困難に接着されているので、延出部322と包装体本体10との接着部分は剥離されない。これにより、ラベル部材30を剥離して開口部11を露出させた状態(以下、開状態ともいう)では、図6及び図7に示すように、ラベル部材30は、延出部322において包装体本体10に接着されると共に、上層シート32の本体部321と延出部322との境界部近傍を支点として表裏反転した状態となる。つまり、上層シート32の本体部321と延出部322との境界部近傍は、ラベル部材30を剥離する場合におけるヒンジ部として機能する。
【0031】
ここで、上層シート32は、下層シート31よりも厚さが薄く構成されている。また、ヒンジ部として機能する上層シート32における本体部321と延出部322との境界近傍には、スリット部323が設けられている。これにより、開状態におけるラベル部材30は、開口部11を覆う状態(以下、閉状態ともいう)に戻りにくい。
【0032】
以上の包装体1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ラベル部材30を下層シート31と上層シート32とを含んで構成し、この上層シート32における本体部321と延出部322との境界近傍にスリット部323を設けた。これにより、ヒンジ部として機能する本体部321と延出部322との境界近傍におけるラベル部材30の剛性を小さくでき、ラベル部材30の反発力を小さくできる。よって、開状態のラベル部材30が開口部11を覆う状態に戻りにくい。
また、ヒンジ部として機能する本体部321と延出部322との境界近傍におけるラベル部材30の剛性を小さくしたので、下層シート31の大きさ及び上層シート32の本体部321の大きさを小さく構成できる。また、ラベル部材30の厚さを薄く構成できる。
【0033】
(2)下層シート31の下面と包装体本体10とを剥離自在に接着し、上層シート32の延出部322と包装体本体10とを剥離困難に接着した。これにより、開口部11を覆うラベル部材30を開いた場合に、このラベル部材30が包装体本体10から分離されにくくなる。よって、包装体1の利便性を向上できる。
【0034】
(3)スリット部323を、本体部321と延出部322との境界近傍において、ラベル部材30の幅方向に延びるように設けた。これにより、ラベル部材30の幅を広く構成しても本体部321と延出部322との境界近傍におけるラベル部材30の剛性を小さくできる。よって、ラベル部材30の幅方向の長さを長く(幅を広く)構成できるので、ラベル部材30のデザインの幅を広げられる。
【0035】
(4)スリット部323を、上層シート32の幅方向の略中央部に設けた。これにより、ラベル部材30を繰り返し剥離したり、接着したりした場合においても、スリット部323が設けられた部分から上層シート32が破損しにくい。よって、ラベル部材30の耐久性を向上できる。
【0036】
次に、本発明の包装体1の第2実施形態〜第7実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態〜第7実施形態においては、ラベル部材30の構成が異なる他は、第1実施形態の包装体1と同様の構成を有する。
【0037】
第2実施形態におけるラベル部材30Aは、図8に示すように、スリット部323Aの形状において第1実施形態と異なる。具体的には、第2実施形態におけるスリット部323Aは、上層シート32の幅方向に長い略楕円形状に形成されている。この第2実施形態においては、スリット部323Aは、本体部321と延出部322との境界部分を跨いで本体部321側及び延出部322側に形成されている。
【0038】
第3実施形態におけるラベル部材30Bは、図9A及び図9Bに示すように、下層シート31に設けられた下層スリット部311を備える点で、第2実施形態と異なる。具体的には、下層スリット部311は、上層シート32に設けられたスリット部323Bに重なる位置において、下層シート31が切り欠かれて形成される。
第2実施形態及び第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0039】
第4実施形態におけるラベル部材30Cは、図10に示すように、スリット部323Cが上層シート32の幅方向における一端及び他端に、それぞれ、上層シート32の幅方向に沿って延びるように形成されている点で、第1実施形態と異なる。
【0040】
第5実施形態におけるラベル部材30Dは、図11Aに示すように、スリット部323Dの形状が異なる点及び下層スリット部311Dを備える点で、第4実施形態と異なる。具体的には、スリット部323Dは、上層シート32の幅方向における一端及び他端に設けられると共に、それぞれ、平面視で略正方形形状に形成されている。この第5実施形態においては、スリット部323Dは、本体部321と延出部322との境界部分を跨いで本体部321側及び延出部322側に形成されている。また、下層スリット部311Dは、上層シート32に設けられたスリット部323Dに重なる位置に設けられる。
【0041】
第6実施形態におけるラベル部材30Eは、図11Bに示すように、スリット部323Eの形状が平面視で略半円形状に形成されている点で、第5実施形態と異なる他は、第5実施形態と同様の構成を有する。
【0042】
第4実施形態〜第6実施形態におけるスリット部323C〜323Eそれぞれにおける上層シートの幅方向に沿う方向の長さは、好ましくは7mm〜12mmである。
第4実施形態〜第6実施形態によれば、上記(1)〜(3)の効果を奏する。
【0043】
第7実施形態におけるラベル部材30Fは、図12に示すように、スリット部323Fが上層シート32の幅方向に、所定間隔をあけて複数設けられている点で、第1実施形態と異なる。具体的には、スリット部323Fは、ラベル部材30Fの幅方向における一端側、他端側及び略中央部の3箇所に設けられている。
第7実施形態によれば、上記(1)〜(3)の効果を奏する。
【0044】
第8実施形態におけるラベル部材30Gは、図13A〜図13Cに示すように、スリット部323Gが第1スリット324Gと、第2スリット325Gと、第3スリット326Gと、第4スリット327Gと、第5スリット328Gと、を含んで構成される点で、第1実施形態と異なる。
【0045】
第1スリット324Gは、スリット部323Gの一端側を構成し、延出部322Gの延出方向に沿って延びる。
第2スリット325Gは、スリット部323Gの他端側を構成し、延出部322Gの延出方向に沿って延びる。
これら第1スリット324G及び第2スリット325Gの長さは、好ましくは1.0mm〜5.0mm、より好ましくは1.5mm〜3、0mmである。
【0046】
第3スリット326Gは、第1スリット324Gと第2スリット325Gとの間に設けられ、延出部322Gの延出方向に略直交して延びる。この第3スリット326Gは、第1スリット324Gの内側に位置する端部、及び第2スリット325Gの内側に位置する端部よりも内側に設けられる。
【0047】
第4スリット327Gは、延出部322Gの延出方向に対して所定角度(例えば45度)傾斜して延びる。この第4スリット327Gは、第3スリット326Gの一端と第1スリット324Gの内側の端部とをつなぐ。
第5スリット328Gは、延出部322Gの延出方向に対して所定角度(例えば45度)傾斜して延びる。この第5スリット328Gは、第3スリット326Gの他端と第2スリット325Gの内側の端部とをつなぐ。
つまり、第3スリット326Gの一端は、第4スリット327Gを介して第1スリット324Gに連続しており、第3スリット326Gの他端は、第5スリット328Gを介して第2スリット325Gに連続している。
【0048】
また、第8実施形態では、下層シート31Gにも、上層シート32Gに重なる位置に、下層スリット部311Gが設けられる。
【0049】
第8実施形態によれば、上記(1)〜(4)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0050】
(5)第1実施形態のラベル部材30を製造する場合に、スリット部323を形成する工程において、スリット部323の位置が延出部322の延出方向にわずかにずれてしまう場合がある。このような場合には、ヒンジ部として機能する本体部321と延出部322との境界部分の位置と、第3スリット326の位置とが延出方向にずれてしまうことに起因して、スリット部323によるラベル部材30の反発力の低減効果が小さくなってしまうおそれがある。
そこで、第8実施形態では、スリット部323Gを、延出部322Gの延出方向に延びる第1スリット324G及び第2スリット325Gを含んで構成した。これにより、ラベル部材30Gにおけるスリット部323Gを設ける位置が延出部322Gの延出方向にわずかに(例えば、1mm程度)ずれて、ヒンジ部として機能する本体部321と延出部322との境界部分の位置と、第3スリット326Gの位置とが延出方向にずれた場合であっても、第1スリット324G及び第2スリット325Gがヒンジ部をまたいで配置される。よって、ラベル部材30Gにおけるスリット部323Gを設ける位置が延出部322Gの延出方向にわずかにずれた場合であっても、ヒンジ部と第3スリット326Gとを第1スリット324G、第4スリット327G、第2スリット325G、及び第5スリット328Gを介してつなぐことができるので、第3スリット326Gによるラベル部材30Gの反発力の低減効果を確保できる。
【0051】
第9実施形態におけるラベル部材30Hは、図14A〜図14Cに示すように、主として、延出部の構成が異なる点、及びスリット部に代えて切り欠き部33Hを有する点で、第1実施形態と異なる。
第9実施形態におけるラベル部材30Hは、下層シート31Hと、上層シート32Hと、切り欠き部33Hと、を備える。
下層シート31Hは、図14Cに示すように、矩形形状における第1方向D1の一端縁の中央部が外側に凸となるように湾曲すると共に、この一端縁の一端側及び他端側が第1方向D1に直交する第2方向D2に直線状に延びた形状を有している。下層シート31Hの一端縁の一端側と他端側とは、略同一直線上に位置する。また、この一端縁の中央部の湾曲端の位置もこれら一端縁の一端側及び他端側と略同一直線上に位置する。
また、下層シート31Hの第1方向D1の他端縁は、下層シート31Hの第2方向D2における長さを直径とする円弧状に突出すると共に、この湾曲端から第2方向D2の長さよりも小さな径を有する円弧状に更に突出している。
【0052】
上層シート32Hは、図14A及び図14Bに示すように、本体部321Hと、第1延出部34Hと、第2延出部35Hと、を備える。
本体部321Hは、下層シート31Hの形状と略同一の形状を有する。
第1延出部34Hは、下層シート31Hの第1方向D1の一端縁における一端側から第1方向D1に延出する。第2延出部35Hは、下層シート31Hの第1方向D1の一端縁における他端側から第1方向D1に延出する。これら第1延出部34H及び第2延出部35Hは、包装体本体の外面に剥離困難に接着される。
切り欠き部33Hは、下層シート31H及び上層シート32Hが配置されない領域であり、第2方向D2における第1延出部34Hと第2延出部35Hとの間に形成される。
【0053】
以上のラベル部材30Hでは、第1延出部34Hと本体部321Hとの境界部分である第1境界部341H、及び第2延出部35Hと本体部321Hとの境界部分である第2境界部351Hは、いずれも第1延出部34H及び第2延出部35Hの延出方向である第1方向D1に略直交する第2方向D2に延びる。また、これら第1境界部341H及び第2境界部351Hは、互いに略同一直線上に配置される。
【0054】
また、積層された上層シート32H及び下層シート31Hにおける切り欠き部33Hとの境界部分である中央境界部331Hは、第1方向D1に凸となるように湾曲した湾曲部332Hを有して構成される。この湾曲部332Hの一端及び他端は、図14Aに示すように、第1境界部341H及び第2境界部351Hよりも第1方向D1における内側に位置する。また、この湾曲部332Hの湾曲端は、第1境界部341H及び第2境界部351Hを結ぶ直線上に位置する。
【0055】
第9実施形態によれば、上記(2)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0056】
(6)ラベル部材30Hを、第1延出部34H及び第2延出部35Hを有する上層シート32Hと、これら第1延出部34Hと第2延出部35Hとの間に形成される切り欠き部33Hと、を含んで構成した。これにより、ヒンジ部として機能する第1境界部341H及び第2境界部351Hにおけるラベル部材30Hの剛性を小さくでき、ラベル部材30Hの反発力を小さくできる。よって、開状態のラベル部材30Hが開口部を覆う状態に戻りにくい。
また、ヒンジ部として機能する第1境界部341H及び第2境界部351Hにおけるラベル部材30Hの剛性を小さくしたので、下層シート31Hの大きさ及び上層シート32Hの本体部321Hの大きさを小さく構成できる。また、ラベル部材30Hの厚さを薄く構成できる。
【0057】
(7)中央境界部331Hの湾曲端を、第1境界部341H及び第2境界部351Hを結ぶ直線上に位置させた。これにより、ヒンジ部として機能する第1境界部341H及び第2境界部351Hを結ぶ直線上に中央境界部331Hの湾曲端が位置するので、この湾極端を、ラベル部材30Hを開状態から閉状態に戻す場合におけるガイド部として機能させられる。よって、ラベル部材30Hを開状態から閉状態に戻す場合に生じるラベル部材の位置ずれを低減できる。
【0058】
第10実施形態におけるラベル部材30Iは、図15A〜図15Cに示すように、主として、第1延出部34I及び第2延出部35Iの形状が異なる点で、第9実施形態と異なる。より具体的には、第10実施形態では、第1延出部34Iの延出端側における第2方向D2の長さは、第1境界部341Iの長さよりも長く構成されている。また、第2延出部35Iの延出端側における第2方向D2の長さは、第2境界部351Iの長さよりも長く構成されている。
【0059】
第10実施形態によれば、上記(2)、(6)及び(7)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0060】
(8)第1延出部34Iの第2方向D2における長さを第1境界部341Iの長さよりも長く構成し、第2延出部35Iの第2方向D2における長さを第2境界部351Iの長さよりも長く構成した。よって、第1延出部34I及び第2延出部35Iによる包装体本体10との接着力を強固にできるので、ラベル部材30を包装体本体10から分離しにくくできる。
【0061】
第11実施形態におけるラベル部材30Jは、図16A〜図16Cに示すように、主として、中央境界部331Jの形状が異なる点で、第9実施形態と異なる。より具体的には、第11実施形態では、中央境界部331Jは、第1直線部333Jと、一対の第2直線部334Jと、を備える。
第1直線部333Jは、第2方向D2に延びる。この第1直線部333Jは、第1境界部341J及び第2境界部342Jと略同一直線上に形成される。
一対の第2直線部334Jは、第1直線部333Jの一端及び他端からそれぞれラベル部材30Jの内側に延びる。一対の第2直線部334Jは、第1方向D1に対して所定角度(例えば45度)傾斜して延びる。
【0062】
第11実施形態によれば、上記(2)及び(6)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0063】
(9)中央境界部331Hを、第1直線部333J及び一対の第2直線部334Jを含んで構成し、第1直線部333Jを、第1境界部341H及び第2境界部351Hを結ぶ直線上に位置させた。これにより、ヒンジ部として機能する第1境界部341H及び第2境界部351Hを結ぶ直線上に第1直線部333Jが位置するので、この第1直線部333Jを、ラベル部材30Hを開状態から閉状態に戻す場合におけるガイド部として機能させられる。よって、ラベル部材30Hを開状態から閉状態に戻す場合に生じるラベル部材の位置ずれを低減できる。
【0064】
以上、本発明の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上述した第1実施形態〜第7実施形態では、ラベル部材30の長手方向を、包装体本体10の長手方向に沿うように配置したがこれに限らない。即ち、ラベル部材の長手方向を、包装体本体の幅方向に沿うように配置してもよい。
【0065】
また、ラベル部材30の形状は、上述した各実施形態に示される形状に限らない。即ち、ラベル部材30を、図17Aに示すように、幅広の形状に構成してもよい。また、図17Bに示すように、ラベル部材30の外周部分に配置される枠部材50を包装体本体の外面に配置してもよい。
【0066】
本発明は、おしりふき等に用いられるウェットティッシュを収容する包装体、キッチン周り、浴室、洗面台等の水周りの汚れ清掃に用いられる清拭シートを収容する包装体等に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 包装体
10 包装体本体
11 開口部
30 ラベル部材
31 下層シート
32 上層シート
311 下層スリット部
321 本体部
322 延出部
323 スリット部
324G 第1スリット
325G 第2スリット
326G 第3スリット
33H、33I、33J 切り欠き部
34H、34I、34J 第1延出部
35H、35I、35J 第2延出部
331H、331I、331J 中央境界部
332H、332I 湾曲部
333J 第1直線部
334J 第2直線部
341H、341I、341J 第1境界部
351H、351I、351J 第2境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた包装体本体と、該包装体本体の外面側から前記開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える包装体であって、
前記ラベル部材は、
前記包装体本体の外面における前記開口部の周縁に剥離自在に接着される下層シートと、
前記下層シートの外面側に積層される本体部及び該下層シートの一端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される延出部を有する上層シートと、
前記上層シートにおける前記本体部と前記延出部との境界近傍に形成されるスリット部と、を備える包装体。
【請求項2】
前記下層シート及び前記上層シートは、それぞれ、横長状に形成され、
前記延出部は、前記下層シートにおける長手方向の一端側から延出する請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記スリット部は、前記上層シートの幅方向における略中央部に、該上層シートの幅方向に沿って延びるように形成される請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記スリット部は、前記上層シートの幅方向における一端及び他端に、それぞれ、該上層シートの幅方向に沿って延びるように形成される請求項2に記載の包装体。
【請求項5】
前記下層シートにおける前記スリット部に重なる位置に設けられる下層スリット部を更に備える請求項1〜4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記スリット部は、該スリット部の一端側に設けられ前記延出部の延出方向に延びる第1スリットと、該スリット部の他端側に設けられ前記延出方向に延びる第2スリットと、該第1スリットと該第2スリットとの間に設けられ前記延出方向に略直交する方向に延びる第3スリットと、を備える請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
開口部が設けられた包装体本体と、該包装体本体の外面側から前記開口部を開閉可能に覆うラベル部材と、を備える包装体であって、
前記ラベル部材は、
前記包装体本体の外面における前記開口部の周縁に剥離自在に接着される下層シートと、
前記下層シートの外面側に積層される本体部、該下層シートの一端縁における一端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される第1延出部、及び前記一端縁における他端側から延出して前記包装体本体の外面に剥離困難に接着される第2延出部を有する上層シートと、
前記第1延出部と前記第2延出部との間に形成され前記下層シート及び前記上層シートが配置されない切り欠き部と、を備える包装体。
【請求項8】
前記第1延出部と前記本体部との境界部分である第1境界部、及び前記第2延出部と前記本体部との境界部分である第2境界部は、いずれも前記第1延出部及び前記第2延出部の延出方向に略直交する方向に延びて形成され、
前記第1境界部及び前記第2境界部は、互いに略同一直線上に配置される請求項7に記載の包装体。
【請求項9】
前記第1延出部の延出端側における前記延出方向に直交する方向における長さは、前記第1境界部の長さよりも長く、
前記第2延出部の延出端側における前記延出方向に直交する方向における長さは、前記第2境界部の長さよりも長い請求項8に記載の包装体。
【請求項10】
前記上層シート及び下層シートにおける前記切り欠き部との境界部分である中央境界部は、前記延出方向に凸となるように湾曲した湾曲部を有し、該湾曲部の一端及び他端は、前記第1境界部及び前記第2境界部よりも内側に位置する請求項8又は9に記載の包装体。
【請求項11】
前記上層シート及び下層シートにおける前記切り欠き部との境界部分である中央境界部は、前記延出方向に略直交する方向に延びる第1直線部と、該第1直線部の一端及び他端からそれぞれ前記ラベル部材の内側に延びる一対の第2直線部と、を備え、
前記第1直線部は、前記第1境界部及び前記第2境界部と略同一直線上に形成される請求項8又は9に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2011−26002(P2011−26002A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90764(P2010−90764)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】