説明

包装容器及び包装体

【課題】中箱を繰り返しスライドさせても、ストッパ片が折り曲がったり損傷したりしないようにする。
【解決手段】 筒状の周壁19を備えた外箱18の中に中箱14をスライド自在に収納し、前記中箱14は、底面板11とその底面板11の前記スライド方向両端部に立ち上がる端面板12,12、及び前記底面板11の幅方向両端部に立ち上がる側面板13,13とを備え、前記周壁19の前記スライド方向一方側の端部に、その周壁19の内面から突出するストッパ片32を設けられている。前記ストッパ片32が前記側面板13に設けた係合部31に係合することによって、前記中箱14が前記外箱18の前記スライド方向一方側の開口から脱落するのが防止される。前記ストッパ片32に、そのストッパ片32の剛性を高めるための補強罫線32aを形成している。補強罫線32aの介在によってストッパ片32の剛性が高まれば、そのストッパ片32の折れ曲がりや損傷が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種食品、その他物品用の包装容器及び包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、菓子や乳製品など各種食品、その他物品を収納する包装容器として、筒状の外箱(スリーブ)の中に、凹状の中箱(トレー)をスライド自在に収納した包装容器がある。
【0003】
この包装容器は、例えば、図11(a)に示すように、底面板1と、その底面板1の周囲に立ち上がる端面板2,2、及び側面板3,3を備えた凹状の中箱4を備え、その中箱4の凹部に複数の内容物pが入れられて用いられる。
その中箱4が、筒状を成す外箱8内にすっぽりと入り込んで、中箱4の凹部内の空間は外箱8によって閉じられる。
【0004】
出荷時には、その中箱4が外箱8内から出ないように、糊付け等により中箱4と外箱8とが固定される(以下、「未開封状態」という)。また、その外周をプラスチックフィルム等で覆う場合もある。
図11(a)では、中箱4の一方の端面板2に連設した離脱防止片6(貼着片5)が、外箱8の周壁9(上壁9a)の外面に糊付けで固定されている。糊付けは、その周壁9に形成した切目線cに囲まれた部分で行う。
【0005】
内容物pを取り出す際には、前記「未開封状態」の包装容器が、前記プラスチックフィルムで覆われている場合にはそのフィルムを開封し、また、前記貼着片5を引張って糊付け部分を切り離すことで開封し、前記外箱8と中箱4とをスライド可能な状態(以下、「開封状態」という)とする。
【0006】
その「開封状態」で、外箱8内から中箱4を引き出し、中箱4の凹部が外箱8の外に出れば、内容物pを取り出すことができる。必要数の内容物pの取出しが終われば、中箱4を再度外箱8内に差し入れると、残りの内容物pはこぼれないように保護される。
【0007】
また、中箱4が外箱8から脱落しないように、ストッパを設けた包装容器もある。例えば、図12に示す包装容器は、前記外箱8の周壁9の端部に、その周壁9の内面から突出するストッパ片32が設けられている。
そのストッパ片32が側面板3に設けた係合部31に係合することによって、前記中箱4が前記外箱8から脱落するのを防止する。
【0008】
この係合部31は、図12(a)に示すように、中箱4の側壁3に設けた孔部31aであったり、あるいは、図12(b)に示すように、その中箱4の側壁3から外側に突出する延長片31bである場合もある(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【0009】
【特許文献1】実公昭41−20061号公報
【特許文献2】実開昭54−74628号公報
【特許文献3】特表2005−530654号公報
【特許文献4】実公昭63−3929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記図12に示す包装容器によれば、外箱8に対して中箱4を繰り返しスライドさせていると、ストッパ片32が係合部31周囲に何度も当接する。このため、ストッパ片32がその途中折り曲がったり、あるいは、ストッパ片32の端縁が損傷してしまう場合がある。
【0011】
ストッパ片32が折り曲がったり損傷したりすると、係合部31への係合が正常に作用しなくなる場合がある。ストッパ片32と係合部31との係合が正常でないと、中箱4が外箱8から脱落してしまうので好ましくない。
【0012】
そこで、この発明は、中箱を繰り返しスライドさせても、ストッパ片が折り曲がったり損傷したりしないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明は、筒状の周壁を備えた外箱の中に中箱を前記筒軸方向へスライド自在に収納し、前記中箱は、底面板とその底面板の前記スライド方向両端部に立ち上がる端面板、及び前記底面板の幅方向両端部に立ち上がる側面板とを備え、前記周壁の前記スライド方向一方側の端部に、その周壁の内面から突出するストッパ片を設け、前記ストッパ片が前記側面板に設けた係合部に係合することによって、前記中箱が前記外箱の前記スライド方向一方側の開口から脱落するのを防止する包装容器において、前記ストッパ片に、そのストッパ片の剛性を高めるための補強罫線を形成した構成を採用した。
【0014】
その補強罫線は、周壁の内面から突出するストッパ片が、その途中で折れ曲がったり、あるいは、縁の部分が損傷したりするのを防止する機能を有する位置、形状、方向、範囲であればよい。このため、補強罫線は、例えば、前記ストッパ片の突出方向に沿って伸びる場合は、その突出方向全長に亘って設けられていてもよいし、前記突出方向一部の範囲に形成されていてもよい。また、補強罫線が、前記ストッパ片の高さ方向に沿って伸びる場合は、その高さ方向全長に亘って設けられていてもよいし、前記高さ方向一部の範囲に設けられていてもよい。また、補強罫線は複数本形成されていてもよく、その場合、複数本の補強罫線が並行に伸びていてもよいし、異なる方向に伸びる罫線が混在していてもよい。
【0015】
なお、前記ストッパ片としては、前記周壁の前記スライド方向一方側の端部において、その周壁の内面から内側に突出するものであればよく、ストッパ片を外箱のブランクに一体に形成する、あるいは、ブランクとは別体に形成したものを固定するなど、その設置位置、構造は自由である。
例えば、前記ストッパ片として、前記周壁の前記スライド方向一方側の縁に折目線を介して連設され、そのストッパ片が前記折目線で前記周壁から内側に折り込まれている構成を採用することができる。
【0016】
また、前記係合部としては、例えば、前記側面板の前記スライド方向他方側の端部において、その側面板から外側に突出する延長片からなる構成を採用してもよいし、あるいは、前記側面板の前記スライド方向他方側の端部に形成された孔部からなる構成を採用することもできる。
【0017】
なお、前記補強罫線は、前記側面板側から前記ストッパ片の突出方向に沿って伸びている構成とすれば、そのストッパ片の突出側端部が前記スライド方向に押された際における、その押圧力に対抗し得る剛性を高めやすい。このため、前記補強罫線は、前記スライド方向に並行に伸びている構成とすることが最も好ましい。
【0018】
さらに、そのストッパ片は、前記補強罫線で折り曲げられていてもよいし、折り曲げられずに単に補強罫線を形成しただけでも、上記剛性を高める効果を発揮し得る。
特に、補強罫線が前記突出方向に沿って伸びる場合は、その折り曲げによる剛性向上の効果が高い。
また、本発明の包装体は、以上のような包装容器の中に物品を収納してなるものである。このような物品は、包装容器に内容物として収納するものであり、例えば、固形状、半固形状、可塑性の食品、特に乳製品を例示することができる。乳製品としては固形状のチーズ、例えば、アルミ箔で包装したチーズ等が物品として好適である。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、ストッパ片に、そのストッパ片の剛性を高める補強罫線を形成したので、中箱を繰り返しスライドさせても、ストッパ片が折り曲がったり損傷したりしないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態は、図1及び図2に示すように、断面長方形の角筒状の外箱(スリーブ)18の中に、凹状の中箱(トレー)14をスライド自在に収納した包装容器20である。
【0021】
図3は、外箱18を構成する紙製のブランクb1の展開図である。ブランクb1の構成を説明すると、図3に示すように、上壁19aの幅方向(前記スライド方向に直交する方向)一方側の端縁に、折目線rを介して連結壁19bが連設されている。また、その上壁19aの幅方向他方側の端縁に、折目線rを介して接着片19cが連設されている。
【0022】
前記上壁19aに連設された連結壁19bには、その上壁19aの反対側の縁に、折目線rを介して下壁19dが連設されている。また、その下壁19dの前記連結壁19bの反対側の縁には、折目線rを介して連結壁19eが連設されている。
【0023】
図4に示すように、前記各折目線rを折り込んで前記ブランクb1を角筒状に形成し、前記連結壁19eの外面に前記接着片19cが糊付けされる。
これにより、上壁19a、下壁19d、両連結壁19b,19e、及び前記接着片19cは、前記角筒状の外箱18の周壁19を構成する。
【0024】
また、前記上壁19aと前記下壁19dの筒軸方向(前記スライド方向と同方向)他方の端部には、それぞれ折目線rを介して端面壁19f,19gが連設されている。
さらに、連結壁19b,19eの筒軸方向他方の端部には、それぞれ折目線rを介して舌片19h,19iが連設されている。
【0025】
前記舌片19h,19iが折目線rを介して内側へ折り曲げられて、さらに、端面壁19f,19gが折目線rを介して内側に折り曲げられる。前記上壁19a側の端面壁19fの外面に、下壁19d側の端面壁19gの内面が糊付けされて、前記角筒状の外箱18の他方の端部開口が閉じられる。
【0026】
また、前記上壁19aの筒軸方向一方の端部に、半円形の切目線cが形成されている。その切目線cと前記上壁19aの筒軸方向一方の端縁とで囲まれた部分は、前記周壁19から切り離し可能な切取片17となっている。
【0027】
なお、前記両連結壁19b,19eの筒軸方向一方の端部には、それぞれ折目線rを介して、内側に折り込み可能なストッパ片32,32が連設されている。また、前記下壁19dの筒軸方向他方の端部に形成されている切目線c’は、包装容器20を解体する際に用いるものである。
【0028】
図5は、中箱14を構成する紙製のブランクb2の展開図である。ブランクb2の構成を説明すると、図5に示すように、平面視長方形の底面板11と、その底面板11の周囲に立ち上がる端面板12,12、及び側面板13,13が、それぞれ底面板11の周縁に折目線rを介して連設されている。
【0029】
また、その中箱14の前記スライド方向一方の前記端面板12の上縁12aに、折目線rを介して貼着片25が連設され、その貼着片25の前縁25aに、折目線rを介して支え片22が連設されている。
【0030】
また、その支え片22の前縁22aには、折目線rを介して固定片27が連設されている。その支え片22と固定片27との間の折目線rの途中には、コ字状の切目線eが2箇所に設けられている。
【0031】
前記貼着片25が、図6(a)に示すように、前記一方の端面板12の上縁12aから内側に折り込まれ、前記支え片22が前記貼着片25の前縁25aから前記底面板11側に折り込まれて、その支え片22の前縁22aが前記底面板11の上面11aに当接する。
【0032】
また、前記固定片27が、前記支え片22の前縁22aから前記底面板11に沿って前記他方の端面板12側に折り曲げられる。固定片27の下面は、図6(b)に示すように、前記底面板11の上面11aに接した状態とされる。
【0033】
このとき、前記前縁22aの折目線rには、前記コ字状の切目線eが形成されているので、前記固定片27の向く方向と反対方向に突出する張り出し部26が形成され、その張り出し部26が、底面板11の上面に接することで、前記支え片22が安定して支持される。
【0034】
このように、中箱14の前記スライド方向一方の端部に、フラットな上面(貼着片25)を有する中空の補強部21が設けられる。
この補強部21は、前記中箱14が外箱18内に収納された状態で、前記外箱18の前記切目線cを形成した側の端部に位置する。
【0035】
さらに、この実施形態では、図2に示すように、中箱14の底面板11上に敷板30を載せているので、支え片22及び固定片27は、前記中箱14内に折り込んだ状態に安定して維持されるようになっている。なお、図1では、理解がしやすいように、敷板30や内容物pの図示を省略している。
【0036】
また、前記支え片22の幅方向両側縁22b,22bに、折目線rを介して第一折込片23,23が連設されている。その第一折込片23,23は、前記支え片22の幅方向側縁22bから前記側面板13の内面に沿って前記他方の端面板12側に折り込まれる。
【0037】
さらに、前記一方の端面板12の幅方向両側縁12b,12bに、折目線rを介して第二折込片24,24が連設されている。その第二折込片24,24は、前記一方の端面板12の幅方向側縁12bから、前記側面板13の内面に沿って前記他方の端面板12側に折り込まれる。すなわち、前記第一折込片23,23と同方向に折り込まれる。
【0038】
このとき、図7(b)に示すように、その第一折込片23の下縁23aが前記底面板11の上面11aに僅かな隙間w4をもって対向する。また、第二折込片24の下縁24aが前記底面板11の上面11aに隙間w2をもって対向する。隙間w2は、隙間w4よりも大きく設定されている。
【0039】
なお、前記第一折込片23は、前記支え片22の幅方向側縁22bから他方の前記端面板12側へ折り込まれており、また第二折込片24も同方向に折り込まれており、両折り込み片23,24は、図7(b)に示すように、前記スライド方向の重複部分w5を有している。
【0040】
また、前記側面板13の上縁13aに補強片15が連接されている。その補強片15は、図6(b)に示すように、前記側面板13の上縁13aから内側に折り込まれる。また、その補強片15の内側縁15aに折目線rを介して連設された案内片16が、その折目線rで前記底面板11の上面11aに沿うように折り曲げられる。案内片16の下面は、前記底面板11の上面11aに接した状態とされる。この補強片15及び案内片16は、前記中箱14の幅方向両側に設けられている。
【0041】
これにより、前記第一折込片23及び前記第二折込片24は、それぞれ、前記側面板13と前記補強片15との間に挟まれて固定される。また、特に、前記重複部分w5においては、前記第一折込片23と前記第二折り込み片24とが、2枚重なった状態でしっかりと固定される。
なお、前記敷板30を載せることによって、前記補強片15及び前記案内片16が、前記中箱14内に折り込んだ状態に安定して維持されるようになっている点は、前記支え片22及び前記固定片27の場合と同様である。
【0042】
前記補強片15及び前記案内片16が折り込まれた状態で、図7(b)に示すように、第一折込片23の立上がり高さh23は、第二折込片24の高さh24よりも高くなっており、そのうち、第一折込片23の上縁23bは、前記側面板13と補強片15との間の折目線r部分に僅かな隙間w3をもって対向する。
また、第二折込片24の上縁24bは、前記貼着片25の下面との間に隙間w1をもって対向する。隙間w1は隙間w3よりも大きく設定されており、前記貼着片25が内側に折り込まれるのに支障のない高さとなっている。
【0043】
なお、前記補強部21を設けた側の反対側の端面板12(他方の端面板12)の上縁12aには、端部補強片28が連接されている。その端部補強片28は、前記他方の端面板12の上縁12aから内側に折り込まれる。また、その端部補強片28の前縁28aに折目線rを介して連設された端部案内片29が、その折目線rで前記底面板11の上面11aに沿うように折り曲げられる。端部案内片29の下面は、前記底面板11の上面11aに接した状態とされ、その上に敷板30が載せられるようになっている。
【0044】
この中箱14が、前記外箱18の中にその筒軸方向へスライド自在に収納される。前記中箱4の凹部には、個別にパッケージされた小さな内容物pが、前記スライド方向に沿って複数並列して収められている。
図2(a)は、中箱14を外箱18内に入れる前段において、底面板11上に敷板30を載せ(図中矢印C参照)て、その中箱14を外箱18内に差し入れようとしている(図中矢印D参照)状態を示し、図2(b)は、中箱14内の敷板30上に内容物pを収容し、その中箱14を、実際に外箱18内に押し込む(図中矢印E参照)状態を示している。
【0045】
また、前記貼着片25に、前記切取片17の切目線cに沿う半円形の補助切目線dが形成されている。切目線cと補助切目線dとは、上下に重なりあう位置関係、あるいはほぼ重なり合う位置関係となっている。前記切目線cと前記上壁19aの筒軸方向一方の端縁とで囲まれた部分(以下、切取片17という)を外側から指で押せば、この補助切目線dも前記切目線cとともに切断されるようになっている。補助切目線dは、このように、切目線cの切断時に同時に切断される位置、形状であればよい。
【0046】
以下、この包装容器20を開封する際の手順について説明する。
まず、商品の「未開封状態」で、図1(a)に矢印Aで示すように、前記上壁19aに形成された前記切取片17の部分を、外側から指で押さえる。
【0047】
切取片17は、前記切目線cの切断によって外箱18の周壁19から離脱し、中箱14と外箱18とが分離し、「開封状態」となる。
このとき、その切取片17の内面は、前記中箱14の前記貼着片25の上面に接着されているので、切取片17は、図8に示すように、前記補強部21の貼着片25側に接着した状態が維持される。
【0048】
また、その切取片17の下に前記補強部21が介在しているので、切取片17を指で押した際に、その切取片17周囲の上壁19aが、前記底面板11側へ接近する方向に歪むのが抑制される。このとき、補強部21の剛性が高められているので、その歪み抑制の効果が高くなっている。
上壁19aの歪みが抑制されれば、前記矢印Aの方向へ指で押す力が切目線cに沿って作用しやすくなるので、切目線cを速やかに切断し、その切取片17の前記上壁19aからの離脱がスムーズである。
【0049】
また、前記補強部21の貼着片25には、前記切取片17の切目線cに沿う補助切目線dが形成されているので、切取片17を押えた際に、その補助切目線dが切断されることによって、切取片17の内側への押し込みが容易になる。切取片17の内側への押し込みが容易であれば、その切取片17の前記上壁19aからの切り離しがさらにスムーズである。また、外箱18の歪みをさらに確実に抑制できる。
【0050】
なお、前記補強部21は、前記支え片22及び固定片27が、前記貼着片25と底面板11との間に介在することによって、その貼着片25及び上壁19aの歪みが抑制されているほか、前記第一折込片23及び第二折込片24によって補強部21全体の剛性が高められて、同様の効果を発揮している点は、前述の通りである。
【0051】
この点、例えば、従来例に示す図11(b)の包装容器20によれば、前記補強部21が設けられていないので、切取片7を外箱8から切り離す際に、その外箱8の切目線cに囲まれた部分を外側から指で強く押すと、図11(c)のように切目線cがスムーズに切り離しできず、例えば、図11(d)に示すように、外箱8が歪んで中箱4内に入り込み、その形状が崩れてしまうことがある。一旦、外箱8の形状が歪むと元の形状に戻らなくなり、包装容器20の美観を損なうので好ましくない。
【0052】
この実施形態では、前記中箱14に前記補強部21を設けたことにより、このような問題点を解消している。
【0053】
このように切取片17を上壁19aから離脱させた後、中箱14を外箱18に対してスライドさせて外側に引き出す。中箱14の凹部が外箱18の外に出れば、内容物pが取出し可能である。
【0054】
このとき、前記補助切目線dの切断によって、切取片17が、中空の前記補強部21内に完全に入り込むので、その切取片17が、中箱14のスライドに支障しないようになっている。
【0055】
また、前記側面板13の前記スライド方向他方側の端部に係合部31としての孔部31aが形成されている。また、前記連結壁19c,19eの前記スライド方向一方側の端部にストッパ片32が設けられている。
このため、図9(a)(b)に示すように、そのストッパ片32が前記孔部31a(係合部31)内に入り込むことによって、前記中箱14が前記外箱18から脱落するのが防止される。
【0056】
このとき、前記ストッパ片32には、側面板13側から突出側端部へ直線状に伸びる1本の補強罫線32aが形成されている。この補強罫線32aによって、ストッパ片32の剛性が高められている。
【0057】
すなわち、この補強罫線32aの向きは、ストッパ片32が外箱18内に折り込まれた状態において、その外箱18内に挿入される中箱14の底面板1に並行(前記中箱14の挿入状態で、前記スライド方向に並行)である。
このため、特に、ストッパ片32に対して、その補強罫線32aが伸びる方向に沿って圧縮力が働いた際に、そのストッパ片32が折れ曲がりにくくなるように、その剛性が高められている。
【0058】
ストッパ片32の剛性が高められているから、外箱18に対して中箱14を繰り返しスライドさせることにより、ストッパ片32が孔部31aに幾度となく係脱しても、そのストッパ片32がその途中で折り曲がったり、あるいは、ストッパ片32の端縁が損傷してしまうことがない。補強罫線32aは、図9(b)に示すように、ストッパ片32の根元部から突出側端部の縁まで連続して形成されていることが望ましい。
【0059】
また、前記補強罫線32aは、前記ストッパ片32を外箱18内へ折り込んだ状態で、前記スライド方向に並行に伸びている構成とすることが最も望ましいが、例えば、図10(a)に示すように、前記スライド方向に対してやや傾斜した方向の補強罫線32aを採用してもよい。
また、図10(b)に示すように、並行に伸びる複数本の補強罫線32aを形成してもよい。さらに、図10(c)に示すように、途中で交差する複数本の補強罫線32aを形成した構成としてもよい。
【0060】
なお、前記補強部21の態様において、前記第一折込片23及び第二折込片24は、この実施形態のように、中箱14の幅方向両側に設けることが望ましいが、幅方向いずれかの側にのみ設けた構成も考えられる。また、この第一折込片23及び第二折込片24は、この実施形態のように、両方を併せて備えた構成にしても良いし、いずれか一方のみを備える構成としてもよい。
【0061】
また、前記第一折込片23及び第二折込片24の双方を備える場合において、前記重複部分w3を設けないようにした構成、あるいは、前記第二折込片24を筒軸方向他方側に向かって折り込み、第一折込片23を筒軸方向一方側に向かって折り込んだ構成も考えられる。
【0062】
また、これらの実施形態では、上壁19aの切目線cを、その上壁19aの端縁に臨ませて形成したが、その切目線cを環状に形成することによって、その切目線cで囲まれた部分を前記切取片17としてもよい。
【0063】
さらに、前記貼着片25を底面板11側に近づけないように支える部材として、支え片22以外を用いた構成を採用することもできる。例えば、貼着片25と底面板11の上面との間に任意の支え板を介在させて突っ張らせる手法が考えられる。
その支え板は、その面方向が、底面板11の面方向に直交する方向であることが望ましく、例えば、前記貼着片25の幅方向両側縁に、折目線を介して連設した任意の形状の折込片を下方へ折り込み、その折り込んだ後において、前記折込片の下端が前記底面板11の上面11aに当接する構成などが考えられる。このようにすれば、支え片22の設置の有無は任意に選択できる。また、前記第二折込片24を貼着片25の直下に位置させて、底面板11の上面11aと貼着片25との間に突っ張らせる手法も考えられる。
【0064】
また、補強部21の貼着片25側の補助切目線dの形成を省略した態様も考えられる。この態様においても、補強部21の介在によって外箱18の歪みが抑制されるので、切取片17の切り離しはスムーズである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一実施形態の開封の手順を示し、(a)は未開封状態の斜視図、(b)は開封状態にして中箱を外箱からわずかに引き出した状態、(c)は中箱を外箱から完全に引き出した状態を示す斜視図
【図2】同実施形態の包装の手順を示し、(a)は外箱、中箱及び敷板の斜視図、(b)は、敷板を載せた中箱を外箱内に差し入れる状態を示す斜視図
【図3】同実施形態の外箱のブランクを示す展開図
【図4】図3のブランクを組み立てる際の状態を示す斜視図
【図5】同実施形態の中箱のブランクを示す展開図
【図6】(a)(b)は、図5のブランクを組み立てる際の状態を示す斜視図
【図7】図5のブランクを組み立てた中箱の詳細を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のc−c断面図、(d)は右側面図、(e)は(a)のe−e断面図
【図8】同実施形態の要部拡大断面図
【図9】(a)は、同実施形態のストッパの機能を示す要部拡大平面図、(b)は、同正面図
【図10】(a)(b)(c)は、他の実施形態のストッパ片を示す正面図
【図11】(a)は従来例の斜視図、(b)(c)(d)は他の従来例を示す断面図
【図12】(a)(b)は、従来例の斜視図
【符号の説明】
【0066】
1,11 底面板
2,12 端面板
3,13 側面板
4,14 中箱(トレー)
5,25 貼着片
6 離脱防止片
7,17 切取片
8,18 外箱(スリーブ)
9,19 周壁
12a,13a 上縁
12b 側縁
15 補強片
16 案内片
19a 上壁
20 包装容器
21 補強部
22 支え片
22a 前縁
22b 側縁
23 第一折込片
23a,24a 下縁
23b,24b 上縁
24 第二折込片
25a 前縁
26 張り出し部
27 固定片
28 端部補強片
29 端部案内片
30 敷板
31 係合部
31a 孔部
32 ストッパ片
32a 補強罫線
c,c’,e 切目線
d 補助切目線
r 折目線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の周壁19を備えた外箱18の中に中箱14を前記筒軸方向へスライド自在に収納し、前記中箱14は、底面板11とその底面板11の前記スライド方向両端部に立ち上がる端面板12,12、及び前記底面板11の幅方向両端部に立ち上がる側面板13,13とを備え、前記周壁19の前記スライド方向一方側の端部に、その周壁19の内面から突出するストッパ片32を設け、前記ストッパ片32が前記側面板13に設けた係合部31に係合することによって、前記中箱14が前記外箱18の前記スライド方向一方側の開口から脱落するのを防止する包装容器において、
前記ストッパ片32に、そのストッパ片32の剛性を高めるための補強罫線32aを形成したことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記ストッパ片32は、前記周壁19の前記スライド方向一方側の縁に折目線rを介して連設され、そのストッパ片32が前記折目線rで前記周壁19から内側に折り込まれていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記係合部31は、側面板13の前記スライド方向他方側の端部に形成された孔部31aであることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記補強罫線32aは、前記側面板13側から前記ストッパ片32の突出方向に沿って伸びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の包装容器。
【請求項5】
前記補強罫線32aは、前記スライド方向に並行に伸びていることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記ストッパ片32は、前記補強罫線32aに沿って折り曲げられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の包装容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の包装容器の中に、物品を収納したことを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−126185(P2010−126185A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302072(P2008−302072)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006127)森永乳業株式会社 (269)
【出願人】(000166258)古林紙工株式会社 (19)
【Fターム(参考)】