説明

包装容器製造装置及び包装容器製造方法

【課題】包装容器内にダストが混入するのを防止することができ、包装容器のコストを低くすることができるようにする。
【解決手段】ウェブ状の包材10を繰り出す繰出機と、繰り出された包材10と対向させて配設され、包材10を除電する除電装置72、73と、除電された包材10と対向させて配設され、包材10に付着しているダストを除去する集塵装置74とを有する。この場合、包材10が除電され、除電された包材10から集塵装置74によってダストが除去されるので、包装容器内にダストが混入するのを自動的に防止することができる。また、ダストの付着状態、混入状態等の監視を目視、抜取検査等によって行う必要がないので、作業を簡素化することができる。したがって、包装容器のコストを低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器製造装置及び包装容器製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、例えば、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動性を有する食品、すなわち、流動性食品を収容するブリック型等の包装容器を製造する包装容器製造装置においては、ウェブ状の包材が使用され、該包材の所定の箇所がヒートシール、超音波シール等の手法によってシールされることにより、包装容器が形成されるようになっている。すなわち、包材は、あらかじめ所定の箇所に折り目が作られ、リール状に巻かれて充填(てん)機にセットされる。そして、充填機において、前記包材は、繰り出されてチューブ状にされ、包材の内側からストリップテープを押し当てて縦シール装置によって縦方向にシールされた後、チューブ状の包材内に流動性食品を充填しながら、所定の間隔で横シール装置によって横方向にシールされて切断され、枕(まくら)状の原型容器が形成される。さらに、該原型容器を所定の形状に成形することによって包装容器が完成させられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、前記包材は、裁断装置によって幅の広い原紙を幅方向における複数箇所で縦方向に裁断し、それぞれリール状に巻くことによって形成される。したがって、前記裁断装置に異常が発生すると、包材を裁断する際等に発生した紙基材の紙粉、前記紙基材に被覆されたフィルムを構成する樹脂の樹脂粉、アルミニウム片等がダストとして包材に付着することがある。
【0004】
その場合、包材にダストが付着したまま包装容器が形成されると、包装容器内にダストが混入してしまう。
【0005】
そこで、前記充填機において繰り出された包材を目視することによって、ダストの付着状態を監視したり、完成した包装容器に対して抜取検査を行うことによって、包装容器内ヘのダストの混入状態を監視し、ダストの付着、混入等が検出されると、包装容器製造装置を停止させ、異常が発生したロットの包装容器を廃棄するようにしている。
【特許文献1】特開平6−191693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の包装容器製造装置においては、ダストの付着状態、混入状態等の監視が目視、抜取検査等によって行われるので、監視のための作業が煩わしいだけでなく、監視の精度が低下してしまう。したがって、包装容器の歩留りが悪くなり、包装容器のコストがその分高くなってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の包装容器製造装置の問題点を解決して、包装容器内にダストが混入するのを防止することができ、包装容器のコストを低くすることができる包装容器製造装置及び包装容器製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の包装容器製造装置においては、ウェブ状の包材を繰り出す繰出機と、該繰出機によって繰り出された包材と対向させて配設され、包材を除電する除電装置と、除電された包材と対向させて配設され、包材に付着しているダストを除去する集塵装置とを有する。
【0009】
本発明の他の包装容器製造装置においては、さらに、前記集塵装置は、負圧によってダストを除去する。
【0010】
本発明の更に他の包装容器製造装置においては、さらに、前記集塵装置は、粘着力によってダストを除去する。
【0011】
本発明の包装容器製造方法においては、ウェブ状の包材を繰り出し、繰出機によって繰り出された包材を除電し、除電された包材に付着しているダストを除去する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装容器製造装置においては、ウェブ状の包材を繰り出す繰出機と、該繰出機によって繰り出された包材と対向させて配設され、包材を除電する除電装置と、除電された包材と対向させて配設され、包材に付着しているダストを除去する集塵装置とを有する。
【0013】
この場合、包材が除電され、除電された包材から集塵装置によってダストが除去されるので、包装容器内にダストが混入するのを自動的に防止することができる。また、ダストの付着状態、混入状態等の監視を目視、抜取検査等によって行う必要がないので、作業を簡素化することができる。したがって、包装容器の歩留りを良くすることができ、包装容器のコストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図2は本発明の第1の実施の形態における包装容器製造装置の充填機を示す概念図である。
【0016】
図において、10はウェブ状の包材であり、該包材10は、リール31の状態でカセット32に収容され、該カセット32を介して充填機の図示されないマガジンエリア、すなわち、送出部にセットされる。前記包材10は、紙基材、及び該紙基材の両面に樹脂としてのポリエチレン樹脂のフィルムが被覆された可撓(とう)性の積層体から成り、必要に応じて紙基材とフィルムとの間にアルミニウム箔(はく)、ガスバリヤ性樹脂等から成るバリヤ層が形成され、包装容器の表面に相当する部分にあらかじめ外装用の印刷が施される。
【0017】
図示されない繰出機によって、前記送出部から繰り出された包材10は、搬送手段としての図示されない送り装置によって間欠的に矢印A方向に搬送され、ベンディングローラr1、ダンパローラr2等を介して、ストリップテープ貼(ちょう)着装置33に送られ、該ストリップテープ貼着装置33によって包材10の一方の縁部に沿ってストリップテープ34が貼着される。
【0018】
続いて、包材10は、ベンディングローラr3、r4を介して用紙テンショナ35に送られた後、ベンディングローラr5に送られる。その間に、搬送される包材10の所定の箇所に、パンチ装置37によって穴開加工が施されてパンチ穴が形成され、貼着装置38によって、包材10の外側からプルタブが、包材10の内側からインナテープが貼着されて、前記パンチ穴が外側及び内側からシールされる。そのために、前記パンチ装置37と前記貼着装置38との間に供給装置39が配設され、該供給装置39において、プルタブが包材10の上方から、インナテープが包材10の下方から供給される。
【0019】
続いて、包材10は、用紙テンショナ43及びベンディングローラr6、r7を介して殺菌槽61に送られ、該殺菌槽61において包材10は過酸化水素等の殺菌液に浸され、殺菌される。なお、62は該殺菌液を収容する底部トレイである。
【0020】
その後、包材10は、カレンダローラr8を介してエアナイフ45に送られ、該エアナイフ45によって乾燥させられた後、ベンディングローラr9、クリースローラr10及びベンディングローラr11を介してアッパ成形リング48に送られる。そして、包材10は、前記アッパ成形リング48、可動成形リング49、分割成形リング50及びロワ成形リング51によって徐々に変形させられてチューブ状にされ、縦シール装置53によって縦方向にシールされ、充填パイプ52を介して供給された流動性食品が包材10内に充填される。
【0021】
続いて、包材10は、チューブ支持ローラr12によって案内され、シール・切断部p1に送られ、該シール・切断部p1において、図示されないシール・切断装置によって挟まれ、所定の間隔ごとに横方向にシールされ、切断されて枕状の原型容器36が形成される。そして、該原型容器36は、図示されない最終成形搬送装置によって搬送されるとともに、所定の形状に成形され、一定量の流動性食品を収容する包装容器が完成する。
【0022】
ところで、前記包材10は、図示されない裁断装置によって幅の広い原紙を幅方向における複数箇所で縦方向に裁断し、それぞれリール状に巻くことによって形成される。したがって、前記裁断装置に異常が発生すると、包材10を裁断する際等に発生した紙基材の紙粉、前記フィルムを構成するポリエチレン樹脂の樹脂粉、アルミニウム箔のアルミニウム片等がダストとして包材10に付着することがある。
【0023】
その場合、包材10にダストが付着したまま包装容器が形成されると、包装容器内にダストが混入してしまう。
【0024】
そこで、本実施の形態においては、前記送出部から繰り出された直後の包材10からダストを除去するために、包材10の搬送方向における送出部より下流側であって、前記ストリップテープ貼着装置33より上流側にダスト除去装置71が配設される。本実施の形態においては、送出部より下流側にダスト除去装置71が配設されるようになっているが、送出部内にダスト除去装置71を配設することもできる。
【0025】
次に、該ダスト除去装置71について説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるダスト除去装置を示す斜視図である。
【0027】
図において、10は前記繰出機によって繰り出され、矢印方向に搬送される包材、71は前記包材10と対向させて配設されたダスト除去装置であり、該ダスト除去装置71は、前記包材10の搬送方向における上流側に配設され、包材10の表面を除電する除電装置(イオナイザ)72、73、及び該除電装置72、73より下流側に配設され、除電された包材10に付着しているダストを除去する集塵装置74を備える。
【0028】
ところで、包材10が帯電していると、静電気力によって前記包材10に付着しているダストの付着力が大きくなるので、ダストを除去するのが困難になる。そこで、前記除電装置72、73は、包材10の両面を除電するために、包材10の表側及び裏側の面とそれぞれ対向させて配設される。各除電装置72、73は、それぞれ、例えば、直流型のイオナイザの場合、ケーシングに、包材10に向けて取り付けられ、正電極針及び負電極針から成る放電針、該各放電針に高電圧を印加するための高圧電源を備え、該高圧電源によって放電針に高電圧が印加されると、前記放電針からイオンが放出され、包材10に照射される。したがって、包材10の除電が行われるので、静電気力が小さくなり、包材10に付着しているダストの付着力が小さくなる。
【0029】
また、前記集塵装置74は、包材10の表側及び裏側を包囲して配設された集塵ノズル75、接続管76、図示されない真空源等を備え、該真空源によって発生させられた負圧は、接続管76を介して集塵ノズル75に送られる。したがって、前記負圧によって付着力が小さくなったダストを包材10から容易に除去し、収集することができる。
【0030】
ところで、前記充填機には、包材10を殺菌するために前記殺菌槽61(図2)が配設され、包材10は底部トレイ62内の殺菌液に浸されるようになっている。そこで、底部トレイ62を殺菌液に代えて水で満たし、ダスト除去装置71を配設した場合と、配設しない場合とで底部トレイ62内の水によって捕集されたダストの量を比較した。
【0031】
底部トレイ62を3回洗浄し、充填機を40分間運転して、包材10を底部トレイ62内の水に浸して殺菌槽61を通過させ、底部トレイ62内の水によって捕集されたダストを調べると、ダスト除去装置71を配設しない場合、1〔mm〕以下の樹脂粉が数十個、1〔mm〕以下のアルミニウム片が10個見つかった。これに対して、ダスト除去装置71を配設した場合、樹脂粉及びアルミニウム片のいずれも見つからなかった。
【0032】
このように、ダスト除去装置71が配設されるので、包装容器内にダストが混入するのを自動的に防止することができる。また、ダストの付着状態、混入状態等の監視を目視、抜取検査等によって行う必要がないので、作業を簡素化することができる。したがって、包装容器の歩留りを良くすることができ、包装容器のコストを低くすることができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0034】
図3は本発明の第2の実施の形態におけるダスト除去装置を示す斜視図である。
【0035】
図において、10は矢印方向に搬送される包材、71は前記包材10と対向させて配設されたダスト除去装置であり、該ダスト除去装置71は、前記包材10の搬送方向における上流側に配設された除電装置(イオナイザ)72、73及び下流側に配設された集塵装置74を備える。
【0036】
該集塵装置74は、包材10の表側及び裏側と接触させて回転自在に配設された粘着ローラ78、79から成る。したがって、該粘着ローラ78、79の粘着力によって付着力が小さくなったダストを包材10から容易に除去し、収集することができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるダスト除去装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における包装容器製造装置の充填機を示す概念図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるダスト除去装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
10 包材
72、73 除電装置
74 集塵装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ウェブ状の包材を繰り出す繰出機と、
(b)該繰出機によって繰り出された包材と対向させて配設され、包材を除電する除電装置と、
(c)除電された包材と対向させて配設され、包材に付着しているダストを除去する集塵装置とを有することを特徴とする包装容器製造装置。
【請求項2】
前記集塵装置は、負圧によってダストを除去する請求項1に記載の包装容器製造装置。
【請求項3】
前記集塵装置は、粘着力によってダストを除去する請求項1に記載の包装容器製造装置。
【請求項4】
(a)ウェブ状の包材を繰り出し、
(b)繰出機によって繰り出された包材を除電し、
(c)除電された包材に付着しているダストを除去することを特徴とする包装容器製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−256674(P2006−256674A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79080(P2005−79080)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】