説明

包装容器

【課題】食品トレイの主部分とICタグとを別々に回収する。
【解決手段】食品トレイ3は、ICタグ2を備えている。ICタグ2が配置される部分3aと、その他の部分3bとの境界には、屈曲により破断する破断溝13が形成されている。食品トレイ3がこのような切離し構造を有していることにより、食品トレイ3をICタグ2が配置される部分3aとその他の部分3bとに容易に分離することができる。このため、ICタグ2と、食品トレイ3の主たる部分とを別々に回収することが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などの物品を収容するための包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットなどの店舗においては、一般に、生鮮食料品や総菜などの食品は発泡スチロール製のトレイなどの包装容器に包装された状態で販売される。従来より、資源の有効利用の観点から、使用された包装容器を消費者から回収してリサイクルすることが実施されている。
【0003】
なお、本発明に関連する技術を開示する先行技術文献として、下記の文献がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−225049号公報
【特許文献2】特開2001−114336号公報
【特許文献3】特開2002−347944号公報
【特許文献4】特開平9−110116号公報
【特許文献5】特開2003−168172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、食品流通の効率化や食品の安全性の確保などを目的として、食品の包装容器のそれぞれに、記録素子であるICタグを付与し、各種の情報をICタグに記憶させることが提案されている。
【0006】
しかしながら、このようなICタグは、包装容器をリサイクルする際においては不純物となり、包装容器のリサイクルが困難となる。一方で、ICタグのコストは比較的高いため、ICタグをリユースしたいという要望もある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録素子を有する包装容器から、記録素子と包装容器とのそれぞれを有効に再利用できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、前記第1部分と前記第2部分との境界に所定の切離し構造が形成されている。
【0009】
また、請求項2の発明は、書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、前記第1部分と前記第2部分との境界が、当該境界の前後よりも脆弱に形成されている。
【0010】
また、請求項3の発明は、書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、前記第1部分と前記第2部分との境界の断面積が、当該境界の前後における断面積よりも小さく形成されている。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の包装容器において、前記包装容器は、食品を収容可能な本体部分と前記本体部分を囲む周縁部分とを有し、前記第1部分は、前記周縁部分の一部である。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の包装容器において、前記第1部分において前記記録素子が配置される位置の表面に、所定のマークを付した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし5の発明によれば、記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とを容易に分離できるため、記録素子と第2部分とを別々に回収してそれぞれを有効に再利用できる。
【0014】
また、特に請求項4の発明によれば、本体部分の食品の収容機能を維持したままで、本体部分から記録素子を分離できる。このため、記録素子の分離後においても、本体部分を有効に再利用できる。
【0015】
また、特に請求項5の発明によれば、いずれの部分に記録素子が配置されているかを容易に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において「電磁的な記録」とは、電気的及び磁気的に記録することのみならず、電磁波としての光を用いて読み書き可能な記録を含む概念である。
【0017】
<1.再利用の方法>
図1は、本実施の形態に係る包装容器を再利用する方法を説明するための図である。この例に示す包装容器は、食品の販売時に使用される食品トレイ3であり、電磁的な記録素子を有している。すなわち、食品トレイ3は、例えば、発泡スチロール製である発泡トレイ1に、ICタグ(RFIDタグ)2を貼付して製造される(ステップS1)。ICタグ2は、非接触にて各種データの書込や読出が可能な電磁的な記録素子である。ICタグ2への書込と読出とは、繰り返して実行することが可能である。
【0018】
製造された食品トレイ3は、食品加工工場などにおいて包装装置や値付装置などを利用して、食品を収容した状態でラップフィルムによって包装され、さらに、売価が示されたラベル39が貼付される(ステップS2)。この過程において、ICタグ2には、当該食品の加工履歴や原料の生産履歴を示すトレーサビリティ情報、並びに、商品としての売価や消費期限などの商品情報が記録される。
【0019】
その後、食品を収容した食品トレイ3は、スーパーマーケットなどの店舗において、商品として消費者9に販売される。この販売における精算処理の際には、食品トレイ3のICタグ2に記憶された売価が利用される(ステップS3)。
【0020】
商品としての役目を終えた食品トレイ3は、店舗の店頭に置かれた回収ボックスにおいて消費者9から回収される。この際、食品トレイ3にはICタグ2が含まれているため、このICタグ2が配置される食品トレイ3の一部分(以下、「タグ配置部分」3aという。)は、その他の部分(以下、「主部分」という。)3bから消費者9によって切り離される。そして、主部分3bとタグ配置部分3aとが、別々に回収される(ステップS4)。なお、この回収の際には、一定の金銭やポイントを消費者9に供与するようにしてもよい。
【0021】
回収された主部分3bは、リサイクル、あるいは、リユースされる。リサイクルされる場合は、主部分3bは、まず、粉砕されて各種の製品の原料となるペレットに加工される(ステップS5)。その後、このペレットを原料として、再生品としての発泡トレイ1が再生されたり、その他の製品が再生される(ステップS6)。主部分3bは、再生上において不純物となるICタグ2が含まれていない純粋な発泡スチロールであるため、有効にリサイクルすることが可能である。また、リユースされる場合は、主部分3bは、洗浄された後(ステップS7)、再度、食品を収容した状態で包装及び値付がなされ、商品として販売される(ステップS8)。
【0022】
一方、回収されたタグ配置部分3aからは、ICタグ2が取り出され、このICタグ2がリユースされる。すなわち、ICタグ2は、洗浄された後(ステップS9)、記録されたデータが消去される(ステップS10)。その後、再び、発泡トレイ1への貼付などに利用されることになる。
【0023】
以上のように、この包装容器の再利用方法では、ICタグ2を有する食品トレイ3を、主部分3bとタグ配置部分3aとに分離した上で、これらをそれぞれ個別に回収する。このため、主部分3bとICタグ2との双方を有効に再利用できることになる。
【0024】
<2.食品トレイ>
上記のように、食品トレイ3は、回収する際に主部分3bとタグ配置部分3aとに分離される。このため、食品トレイ3はこの分離が容易なように所定の切離し構造を有している。図2は、食品トレイ3を示す斜視図である。
【0025】
前述のように食品トレイ3は、発泡トレイ1にICタグ2を貼付したものである。図に示すように、発泡トレイ1は、食品を載置して収容可能な器状の本体部分11と、その本体部分11の周囲を囲む周縁部分12とから構成される。ICタグ2は、この周縁部分12にある四つの角のうちの一の裏側(図中の下面側)に貼付した状態で配置される。
【0026】
周縁部分12のうち、このようにICタグ2が配置された一部分が、図3に示すように、タグ配置部分3aとして主部分3bから切り離されることになる。このため、タグ配置部分3aと主部分3bとの境界には、切り離しが容易なように、屈曲により破断する破断溝13が形成されている。
【0027】
図4は、図2のIV−IV位置から見たタグ配置部分3aの近傍の断面図である。図に示すように、ICタグ2が配置されたタグ配置部分3aと、その他の主部分3bとは一体的に連続形成されている。その一方で、タグ配置部分3aと主部分3bとの境界は、断面積が当該境界の前後における断面積よりも小さくされ、破断溝13が形成される。この破断溝13は、当該境界の前後よりも脆弱である。
【0028】
このため、消費者9の力fで、主部分3bに対してタグ配置部分3aを屈曲させると、図5に示すように、この破断溝13の部分が簡単に破断する。したがって、タグ配置部分3aと主部分3bとを容易に分離できることになる。
【0029】
このように食品トレイ3が切離し構造を有していることにより、専門的知識のない消費者9であっても、食品トレイ3をタグ配置部分3aと主部分3bとに容易に分離することができる。このため、タグ配置部分3aと主部分3bとを別々に回収することが容易となり、タグ配置部分3aと主部分3bとのそれぞれを有効に再利用できることになる。
【0030】
また、図2に示すように、タグ配置部分3aは周縁部分12の一部であることから、主部分3bは、食品の収容機能のある本体部分11の全てを含むことになる。したがって、本体部分11の食品の収容機能を維持したままで、本体部分11からICタグ2を分離できるため、ICタグ2を分離した後においても、本体部分11を有効にリユースできることになる(図1:ステップS8)。
【0031】
また、図4に示すように、ICタグ2の周辺にはプラスチックなどの樹脂被膜21が形成されており、ICタグ2はこれにより防水される。したがって、ICタグ2をリユースする際に、洗浄によりICタグ2の機能が損なわれることがないため、ICタグ2をより有効に再利用できることになる(図1:ステップS9)。
【0032】
<3.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「代表形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0033】
<3−1.ミシン目>
上記代表形態では、食品トレイ3に形成される切離し構造は、屈曲により破断する破断溝13であると説明したが、これに限定されるものではない。タグ配置部分3aと主部分3bとの境界が当該境界の前後よりも脆弱に形成されるか、あるいは、その境界の断面積が当該境界の前後における断面積よりも小さく形成されていれば、これらの切り離しは容易となる。このため、食品トレイ3の切離し構造は、このような条件を満足するような構造であればよい。
【0034】
例えば、図6に示すように、タグ配置部分3aと主部分3bとの境界にミシン目(所定形状に沿って、連続的に形成される複数の穴)14を形成してもよい。
【0035】
<3−2.マーク>
また、ICタグ2は、比較的小さいものであるため、いずれの位置にICタグ2が存在しているかを把握しにくい場合もある。このため、図7に示すように、ICタグ2が配置されている位置の表面に、ICタグ2の存在を示す所定のマーク4を付するようにしてもよい。
【0036】
これによれば、消費者9は、食品トレイ3のうちのいずれの部分をタグ配置部分3aとして切り離すべきか、また、分離した後にどちらの部分をタグ配置部分3aとして回収させるべきかを容易に判断することが可能である。なお、このようなマーク4を付すことは、ICタグ2が表面に露出しないように、食品トレイ3に埋め込み配置した場合においてより有効である。
【0037】
<3−3.その他の変形例>
また、代表形態では、包装容器は、主として発泡スチロールで構成されていたが、プラスチックなどの樹脂、アルミなどの金属、紙など、リサイクルやリユース可能な他の素材で構成されるものであってもよい。また、包装容器はトレイに限定されるものではなく、例えば、牛乳パックやペットボトルなどの他の種類の包装容器であっても本実施の形態に係る技術を適用することが可能である。また、包装容器は、食品用のみならず、他の物品用の包装容器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】包装容器を再利用する方法を説明する図である。
【図2】破断溝が形成された食品トレイを示す斜視図である。
【図3】分離された食品トレイを示す斜視図である。
【図4】タグ配置部分の近傍の断面図である。
【図5】タグ配置部分の近傍の断面図である。
【図6】ミシン目が形成された食品トレイを示す斜視図である。
【図7】マークが付された食品トレイを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
2 ICタグ
3 食品トレイ
4 マーク
11 本体部分
12 周縁部分
13 破断溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、
前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、
前記第1部分と前記第2部分との境界に所定の切離し構造が形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、
前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、
前記第1部分と前記第2部分との境界が、当該境界の前後よりも脆弱に形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
書込と読出とを繰り返して実行可能な電磁的な記録素子を有する包装容器であって、
前記記録素子が配置される第1部分とその他の第2部分とが一体的に連続形成されており、
前記第1部分と前記第2部分との境界の断面積が、当該境界の前後における断面積よりも小さく形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装容器において、
前記包装容器は、食品を収容可能な本体部分と前記本体部分を囲む周縁部分とを有し、
前記第1部分は、前記周縁部分の一部であることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包装容器において、
前記第1部分において前記記録素子が配置される位置の表面に、所定のマークを付したことを特徴とする包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate