説明

包装容器

【課題】特に再封性と開封性に優れているとともに成形性も良好で多量生産にも向いており、更に、強度的にも優れた包装容器を提供する。
【解決手段】頂面に形成した開口部11の縁端に側壁の内周への落込み段部12と水平方向のフランジ13が突設された有底の容器本体1と、周縁に容器本体の落込み段部への嵌合部21とフランジに重なる受けフランジ2が形成された蓋体2とからなる包装容器において、容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部とに互いに取り外し可能に係着するホックを形成するための嵌合凸部31および嵌合凹部32を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば総菜等の食品を密封状態で収容するための包装容器、殊に、合成樹脂シートを押型・成形して形成された比較的浅い蓋付きの箱状を呈する包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、総菜等の食品を密封状態で収容して長期の保存を可能にするとともに開封後に再封鎖が可能な包装容器が用いられているが、殊に、透明の合成樹脂シートを押型・成形して形成された比較的浅い蓋付きの箱状を呈する包装容器が内包した商品が視認されることや製造の容易性、価格が安いなどの点で有利であり、多量に用いられている。
【0003】
そして、この種の包装容器は、例えば図3に示すように、容器本体1における開口部11の周縁に沿って落込み段部12を形成して蓋体3の裏面に突出させた嵌合部31を嵌合させたり、開口部11の縁端に水平方向のフランジ13を突設させるとともに蓋体2の周縁に前記容器本体1のフランジ13に重なる受けフランジ22が形成されたものが知られてる。
【0004】
また、この種の包装容器では、前記容器本体1と蓋体2との嵌合面との間に嵌合突起や嵌合リブ或いは係合突片を設けることにより開封後の再封鎖における密封性を図るものが知られている。
【0005】
ところが、前記従来の嵌合リブや嵌合突起或いは係合突片の場合には、係合力が弱いので充分な密封性を担保することができにくい。また、フランジや受けフランジは開封時に変形してしまうこともあり、再封性に欠けるという問題もある。
【0006】
また、フランジと受けフランジとの間に嵌合凸部および嵌合凹部からなるホックを設けて互いに取り外し可能に係着する包装容器が例えば特開2007−4595号公報等に提示されているが、ホック自身は改良されて密着性が向上されているが、ホックがフランジと受けフランジとの間に形成されていることから容器本体と蓋体とは密着していても容器本体の開口部分に隙間が生じることから密封性が充分でないという問題がある。
【特許文献1】特開2007−4595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、特に再封性と開封性に優れているとともに成形性も良好で多量生産にも向いており、更に、強度的にも優れた包装容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明は、頂面に形成した開口部の縁端に側壁内周への落込み段部と水平方向のフランジが突設された有底の容器本体と、周縁に前記容器本体の落込み段部への嵌合部と前記フランジに重なる受けフランジが形成された蓋体とからなる包装容器において、前記容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部とに互いに取り外し可能に係着するホックを形成するための嵌合凸部および嵌合凹部の何れか一方がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、嵌合凸部および嵌合凹部からなる互いに取り外し可能に係着するホックを容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部とに設けたことにより、容器本体と蓋体とを容器本体の開口部において互いに係着することができることから、容器本体内を確実に密封することができるばかりか、開封時に容器本体のフランジや蓋体の受けフランジが変形したとしても、これらの部分は直接的に封鎖手段には関与しない。
【0010】
また、本発明において、前記嵌合凸部の先端に突条が形成されているともに前記嵌合凹部の底端には前記突条に嵌装する溝条とが形成されている場合には、ホックとしての機能が向上するので更に優れた密封効果を期待することができる。
【0011】
更に、前記容器本体および蓋体が平面において角形を有するとともに、前記容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部における角部に前記ホックが形成されている場合には、容器本体の強度を増すとことができるとともに蓋体を被せるときに容器本体と蓋体との位置を合わせてホックを容易且つ確実に係着させることができる。
【0012】
更にまた、前記容器本体に形成されたフランジの内周と蓋体に形成された受けフランジの内周に互いに嵌合する環状突条と環状溝条とが形成されている場合には、容器本体および蓋体の強度を容易に増加することができるとともに美観も良好となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の手段を有する本発明は、構造が複雑でなく、美観も良好であるばかりか、特に、開封後の再封鎖が容易で且つ確実に密封することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
図1及び図2は本発明における最良の実施の形態の一例を示すものであり、全体の構成は従来から実施されているこの種の包装容器とほぼ同様であり例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの適宜の厚さを有する合成樹脂シートを用いて真空成型やブロー成型により形成され、頂面に形成した開口部11の縁端に側壁14の内周への落込み段部12と水平方向のフランジ13が突設された有底のほぼ平面が四角形を呈する容器本体1と、周縁に容器本体1の落込み段部12への嵌合部21とフランジ13に重なる受けフランジ22が形成された蓋体2とから構成される。
【0016】
そして、容器本体1の落込み段部12の四隅に落込み段部12と蓋体2の嵌合部21の裏面との間に互いに取り外し可能に係着するホック3を形成するための嵌合凸部31および嵌合凹部32がそれぞれ一体的に形成されている。
【0017】
特に、嵌合凸部31の先端に突条33が形成されているともに嵌合凹部32の底端には前記突条33に嵌装する溝条34が形成されている。
【0018】
更にまた、容器本体1に形成されたフランジ13の内周と蓋体2に形成された受けフランジ22の内周に互いに嵌合する環状突条15と環状溝条23とが形成されている。
【0019】
以上の構成を有する本実施の形態は、容器本体1内に内容物を収容した後、例えば不活性ガスを充填するか脱酸素剤を収容し、蓋体2に形成されている嵌合凹部32を嵌合凸部31に嵌合してホック3を係着するとともに容器本体1に形成された環状突条15と蓋体2に形成されている環状溝条23とを嵌合させ、蓋体2を容器本体1に被せるととともに、容器本体1に形成された環状突条15と蓋体2に形成された環状溝条23との間を熱可塑性の接着剤や熱硬化性の接着シートなどを介在させて熱圧着等により容器本体1と蓋体2とを密封する。
【0020】
このような本実施例によれば、蓋体2に形成されている嵌合凹部32を嵌合凸部31に嵌合しているとともに容器本体1に形成されたフランジ13の内周と蓋体2に形成された受けフランジ22の内周に互いに嵌合する環状突条15と環状溝条23とが互いに嵌合し、加えて四隅に形成されたホック3が確実に容器本体1と蓋体2とを係着するので、従来のこの種の包装容器のように多くの補強リブ等を形成することなしに補強容器本体1および蓋体2の強度を増強することができる。
【0021】
また、本実施の形態では、ホック3は、図2(a)および(b)に示したように、嵌合凹部32の底端には前記突条33が嵌装する溝条34が形成されているとともに嵌合凸部31の先端に突条33が形成されており、図2(c)に示すように嵌合凸部31が嵌合凹部32に嵌挿されてホック3が係着状態となることから係着状態を確実に判別することができるばかりか、高度の密封性も発揮させることができる。
【0022】
特に、本実施の形態におけるホック3は容器本体1の開口部11に落込み段部12を介して直接的に形成されているので密封性がきわめて良好であり、フランジ13や受けフランジ22が変形したりしても何ら再密封に影響がない。
【0023】
また、本実施の形態では、環状突条15と環状溝条23とにより容器本体1と蓋体2とを接着していることからフランジ13や受けフランジ22との間を接着することを要しないので、蓋体2を取り外すときにフランジ13だけを簡単に掴めるのできわめて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明における最適な実施形態の一例を示す蓋体を開けた状態の斜視図。
【図2】(a)は図1のA−A線に沿う拡大断面図、(b)は図1のB−B線に沿う拡大断面図、(c)は(a)と(b)とを嵌合させた状態の拡大断面図。
【図3】従来例における蓋体を開けた状態の斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1 容器本体、2 蓋体、3 ホック、11 開口部、14 側壁、12 落込み段部、13 フランジ、21 嵌合部、22 受けフランジ、31 嵌合凸部、32 嵌合凹部 33 突条、34 溝条


【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面に形成した開口部の縁端に側壁内周への落込み段部と水平方向のフランジが突設された有底の容器本体と、周縁に前記容器本体の落込み段部への嵌合部と前記フランジに重なる受けフランジが形成された蓋体とからなる包装容器において、前記容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部とに互いに取り外し可能に係着するホックを形成するための嵌合凸部および嵌合凹部の何れか一方がそれぞれ形成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記嵌合凸部の先端に突条が形成されているともに前記嵌合凹部の底端には前記突条に嵌装する溝条とが形成されている請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
前記容器本体および蓋体が平面において角形を有するとともに、前記容器本体の落込み段部と蓋体の嵌合部における角部に前記ホックが形成されている請求項1または2記載の包装容器。
【請求項4】
前記容器本体に形成されたフランジの内周と蓋体に形成された受けフランジの内周に互いに嵌合する環状突条と環状溝条とが形成されている請求項1,2または3記載の包装容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−260560(P2008−260560A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105645(P2007−105645)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000119438)井和工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】