説明

包装容器

【課題】内部に商品を収納するに際して包装容器が容易に缶形状にできるとともに、消費者側においてもこの包装容器から商品を取り出すときに商品の落下が生じ難くし、使い勝手の良い包装容器を用いて包装袋での充填商品を自動販売機により販売できるようにする。
【解決手段】セルフヒンジ8を介して一対の半割体4が開閉可能に連結されてなる包装容器1であり、半割体4それぞれにおけるセルフヒンジ8とは反対側の樋側辺部には、収納空間側に凹陥してなる凹部10を備えて、一方の半割体4の凹部10に設けた係止体15が他方の半割体4の凹部10に設けた被係止体16に係脱可能に係合してなる筒胴閉鎖手段9を、凹部10が連なった凹部連続部11に位置して、筒胴2の円柱状外周面位置から外方に非突出状態に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状の缶飲料商品の形態と同様の形態にして、缶飲料商品の自動販売機のストッカーに装填できる包装容器であり、柔軟な包装体に飲料などを充填してなる商品を収容した状態で自動販売機に装填できる包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から手軽に飲んだり食したりすることのできる飲料や食品の商品形態としては、缶容器を用いているものの他に、柔軟な包装材料を貼り合わせてなるパウチにキャップ付き飲み口を取り付けた包装袋に飲料や食品(例えばクラッシュゼリー食品)が充填されているものがあり、近年にあっては多く販売されるようになってきている。
【0003】
このようなパウチに飲み口を取り付けた包装袋を利用した商品は、コンビニエンスストア
などの一般小売店舗において低温に管理された商品棚などにて並べて陳列販売されているが、店舗販売によることなく屋外においても消費者が手軽に購入できるようにしたいとの要望から、缶飲料の商品形態と同様の形状とした包装容器にこのパウチ飲料商品などを入れて、この包装容器を缶飲料の自動販売機のストッカーに収めて販売する試みがあり、そのための包装容器として、特許文献1に示されているように、飲料缶を縦割りしたごとくの形状をなす半割体を二つ用意してこれを組み合わせてその内部に商品を収めるようにしたものが提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3147147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の包装容器は元々二個の独立した部材を組み合わせてなるものであることから、商品を内部に収めながらその二個の部材を組み合わせる操作が非常に煩雑なものとなり易く、また、消費者側の取り扱いにおいて内部の商品を採り出すときに半割体を完全に割ってしまうと商品が落下してしまう可能性がある。
【0006】
そこで本発明は上記事情に鑑み、内部に商品を収納するに際して包装容器が容易に缶形状にできるとともに、消費者側においてもこの包装容器から商品を取り出すときに上述したような商品の落下が生じ難くすることを課題とし、使い勝手の良い包装容器を用いて包装袋での充填商品を自動販売機により販売できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、合成樹脂材からなる一対の半割体が組み合わされて、筒胴外周面が略円柱状外周面形状となる筒胴の両端が閉鎖板で閉じられる略円柱体形状の容器であって、前記半割体それぞれが、筒胴形成用樋状部と、この筒胴形成用樋状部の両端それぞれに位置する閉鎖板形成用半円板部とからなり、略円柱体形状となるようにした一対の半割体の組み合わせにより内部に収納空間が形成される包装容器において、
前記筒胴形成用樋状部の略円柱体形状時に相対する樋側辺部の内、一方の樋側辺部ではその間にセルフヒンジが設けられて、該セルフヒンジを介して一対の半割体が開閉可能に連結されており、
半割体それぞれにおける前記セルフヒンジとは反対側の樋側辺部には、収納空間側に凹陥してなる凹部を備えていて、一方の半割体の凹部に設けた係止体が他方の半割体の凹部に設けた被係止体に係脱可能に係合してなる筒胴閉鎖手段が前記凹部が連なった凹部連続部に位置して、筒胴の円柱状外周面位置から外方に非突出状態に設けられていることを特徴とする包装容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0008】
そして、本発明では、上記半割体それぞれにおけるセルフヒンジ側の樋側辺部に沿った外表面が、収納空間側に寄った平坦面形状に形成されていて、この平坦とされた外表面それぞれに、筒胴の径方向に凸となってリブ稜線が筒胴の円柱状外周面位置となるリブが設けられ、一方の半割体側の前記リブと他方の半割体側のリブとが、半割体間を境にして非対称配置とされていることが良好である。
【0009】
また、本発明では、上記半割体それぞれの筒胴形成用樋状部には、複数の貫通部が設けられていることが良好である。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明の効果)
本発明によれば、収納容器がセルフヒンジを介して開閉可能に連結された一対の半割体からなるものであるので、セルフヒンジを中心にして閉じるという簡易な操作で、上述したような小型の商品を内部に収めて略円柱状の形態とすることができる。また、一対の半割体を組み合わせて略円柱状となった状態を維持する筒胴閉鎖手段が筒胴の外部に出っ張らないため、自動販売機のストッカーにこの包装容器を装填した場合にストッカー内部の各種の機構部分に筒胴閉鎖手段が引っ掛からず、ストッカー内部で包装容器の開きを起こさずに適正にストッカー内部を転がり通すことができるようになる。さらに、消費者側において包装容器を開く際にも筒胴閉鎖手段の係合を解いてからセルフヒンジの部分を中心にして一対の半割体を開く操作をすることとなり、その開いた筒胴の内で商品が受けられた状態となって現われるため、商品の落下を消費者側で簡単に防止できる。
【0011】
(請求項2の発明の効果)
また、セルフヒンジの外方突出寸法より筒胴径方向への突出が大きいリブがセルフヒンジ側にあってそのリブもリブ稜線が筒胴の円柱状外周面位置であるため、包装容器は自動販売機のストッカー内をより適正に転がり通すことができるようになる。そして、セルフヒンジの外方突出部分がストッカー内の機構部分に接触するのを防止できるため、そのセルフヒンジの強度を損なうことがない。
【0012】
(請求項3の発明の効果)
また、半割体それぞれに貫通部が設けられているので、その貫通部を通して内部の商品確認ができるとともに、ストッカー内部での商品に対する冷蔵作用を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る包装容器の一実施例における筒胴閉鎖手段側を示す説明図である。
【図2】一実施例での半割体間のセルフヒンジ側を示す説明図である。
【図3】一実施例での一方の半割体を示す説明図である。
【図4】一実施例での閉鎖板側を示す説明図である。
【図5】一実施例でのもう一方の半割体を示す説明図である。
【図6】図3のB−B線に沿った断面を示す説明図である。
【図7】図3のA−A線に沿った断面を示す説明図である。
【図8】図3のC−C線に沿った断面を示す説明図である。
【図9】一例における半割体を開いた状態での筒胴形成用樋状部内方側を示す説明図である。
【図10】一実施例における半割体を開いた状態での閉鎖板形成用半円板部側を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は外観が略円柱体形状となる包装容器で、筒胴外周面が略円柱状外周面形状となる筒胴2の両端が円板形状の閉鎖板3で閉じられていて、一般的な円柱体形状の飲料缶と同様の形状と大きさとされて自動販売機のストッカーに装填できるものである。この包装容器1は合成樹脂材から成形されていて、前記円柱体形状の飲料缶を縦割りしたときの半部材のごとくの形状を呈する半割体4を一対にして組み合わせたものである。
【0015】
前記半割体4それぞれは、この一対の半割体4を組み合わせたときに前記筒胴2となる樋状の筒胴形成用樋状部5と、前記筒胴形成用樋状部5の両端それぞれに位置し、一対の半割体4を組み合わせたときに前記閉鎖板3となる半円板状の閉鎖板形成用半円板部6とからなり、筒胴形成用樋状部5と閉鎖板形成用半円板部6とが一体となっている。そして、この一対の半割体4における筒胴形成用樋状部の内方部分を相対させて、容器全体形状が略円柱体形状となるように組み合わせることで、向かい合った筒胴形成用樋状部5の樋側辺部同士が連続する筒胴2となるとともに、向かい合った閉鎖板形成用半円板部6同士が連続して円板状の閉鎖板3となり、内部に収納空間が形成された包装容器1となる。
【0016】
一対の半割体4を組み合わせて包装容器1が略円柱体形状とされているときは二つの筒胴形成用樋状部5は上述したように向かい合っていて、その向かい合った筒胴形成用樋状部5同士で相対している樋側辺部7は連続しており、二組の相対している樋側辺部7の内、一方の組の樋側辺部7ではその間にセルフヒンジ8が設けられていて、このセルフヒンジ8を介して前記一対の半割体4が開閉可能に連結されており、一対の半割体4は前記セルフヒンジ8を介在させた連結形態で一体にして成形されている。このように包装容器1では、容器縦方向(閉鎖板対向方向)に沿った一部分に位置することになるセルフヒンジ8を中心にして筒胴2を開くことができるものとなっており、収納空間に配した上記包装袋商品を取り出すときに筒胴2を開くようにすれば、すなわち、一対の半割体4をセルフヒンジ8を中心にして開けば、開いた状態で繋がっている二つの半割体4で包装袋商品を受けることとなり、上述したように包装容器を開いたときに包装袋商品を落下させることがない。また、その包装袋商品を内部に配するに際しても、収納空間に包装袋商品が位置するようにして、繋がっている二つの半割体4を閉じればよく、簡単に包装袋商品を収納することができる。
【0017】
包装容器1では一対の半割体4を組み合わせて閉じた略円柱体形状が安定するようにするために筒胴閉鎖手段9を有している。筒胴閉鎖手段9は、筒胴2におけるセルフヒンジ側とは反対側の樋側辺部7が相対している部分に形成される凹所に位置するものであり、後述するようにその凹所に係合状態(略円柱体形状時)の筒胴閉鎖手段9が位置することで、筒胴2の円柱状外周面位置から外方にその筒胴閉鎖手段9が突出しない非突出状態となるように、筒胴閉鎖手段9を構成する部材の形状や大きさが設定されている。
【0018】
図示するように上記筒胴閉鎖手段9が位置する凹所は、半割体4のそれぞれにおけるセルフヒンジ8とは反対側の樋側辺部7の二か所に、収納空間側に段付き状に凹陥させた凹部10を備えていて、一対の半割体4を組み合わせて筒胴2が形成されたときに前記凹部10が連なり、筒胴2の周方向に二つの凹部10が連なってなる凹部連続部12が、前述の凹所となる。
【0019】
上記筒胴閉鎖手段9は、一方の半割体4の凹部10にセルフヒンジ12を介して容器外方に向けて立て起こし可能に連結されて先端側に係止孔13を開口させた平板状舌片形態の係止体14と、他方の半割体4の凹部10に設けられた凸部の被係止体15とからなり、筒胴形態時に前記係止体4をその他方の被係止体15側に倒し込んで係止孔13を係脱可能に掛け止めることができ、この係止体14を被係止体15に掛け止めてなる筒胴閉鎖手段9によって、上述したように一対の半割体4の組み合わせ状態が維持され、係止体14を被係止体15から外すことで包装容器1を開くことができる。そして、前記係止体14は平板状であって、なおかつ被係止体15側に倒し込んで係止させた状態でも凹部連結部11の空間内に収まる形状とされ、被係止体15も凹部連結部11の空間から外方に突出することのない凸形状とされている。
【0020】
上述したように包装容器1の筒胴2の凹部連続部11に筒胴閉鎖手段9が位置し、筒胴2の円柱状外周面位置aからその筒胴閉鎖手段9が突出しないため、包装容器1を自動販売機のストッカーに装填しても、流れ落ちる時点で、筒胴閉鎖手段9がストッカー内の各種部材に直接接触するのを防止し、よって、筒胴閉鎖手段9での係合状態が解かれるのを防止できる。
【0021】
包装容器1の一対の半割体4を連結するセルフヒンジ8は包装容器1が略円柱体形状となっているときにわずかながら外方に吐出する凸条の形態となり、ストッカーに流し落とすときにその吐出するセルフヒンジ8が損傷しないように、そして、包装容器1がストッカーの所定の経路を適正に転がり落ちるようにした工夫が図られている。
【0022】
具体的には、図示されているように、上記半割体4のそれぞれにおけるセルフヒンジ8側の樋側辺部7に沿った外表面16が平坦面とされていて、上記筒胴の円柱状外周面位置aから外部に出ないように収納空間側に寄った位置で平坦とされている。そして、平坦な外表面それぞれ16それぞれに、筒胴2の径方向に凸となって筒胴周方向に亘るリブ稜線17の位置が上記筒胴の円柱状外周面位置aと合致するリブ18が設けられている。このリブ18は一対の半割体4を開いたときに互いにぶつかり合わせずに十分な開き状態が得られるようにしていて、一方の半割体側の外表面16にあるリブ18と、他方の半割体側の外表面16にあるリブ18とが、半割体間(セルフヒンジ8を通る位置)を中心としたときに非対象の配置とされている。リブ18の突出状態は、そのリブ18のリブ稜線17が筒胴の円柱状外周面位置aであって、セルフヒンジ8の凸条形態での突出寸法より大きいものであり、すなわち、セルフヒンジ8の凸条形態での突出寸法は筒胴の円柱状外周面位置aに達しないように形成されている。よって、上述したように包装容器1が略円柱体形状となってストッカー内を転がり落ちる場合での、セルフヒンジ8が直接ストッカー内の各種機構部分に接触することがなく、セルフヒンジ8の損傷を防止して強度が低下しないようにしている。また、両外表面16にあるリブ18のリブ稜線17が筒胴の円柱状外周面位置aにあって円弧形状を呈するものとなっているため、筒胴2の曲面を呈している外周面形状にそのリブ稜線形状が連続することとなり、ストッカー経路内で適正に包装容器が転がり移動できる。
【0023】
包装容器1の収納空間に収め入れる包装袋商品をこの包装容器1に収め入れたときに目視確認できるように、半割体4それぞれの筒胴形成用樋状部5に複数の貫通部19が設けられている。そして、包装容器1は複数個の貫通部19を備えているものとなっているため、収納容器に包装袋商品を収め入れた状態のこの包装容器1を自動販売機などのストッカーに装填して冷却する場合でも、収納空間に収め入れた商品に対する冷却効果が向上する。
【符号の説明】
【0024】
1…包装容器
2…筒胴
3…閉鎖板
4…半割体
5…筒胴形成用樋状部
6…閉鎖板形成用半円板部
7…樋側辺部
8…セルフヒンジ
9…筒胴閉鎖手段
10…凹部
11…凹部連続部
12…セルフヒンジ
13…係止孔
14…係止体
15…被係止体
a…筒胴の円柱状外周面位置
16…外表面
17…リブ稜線
18…リブ
19…貫通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材からなる一対の半割体が組み合わされて、筒胴外周面が略円柱状外周面形状となる筒胴の両端が閉鎖板で閉じられる略円柱体形状の容器であって、前記半割体それぞれが、筒胴形成用樋状部と、この筒胴形成用樋状部の両端それぞれに位置する閉鎖板形成用半円板部とからなり、略円柱体形状となるようにした一対の半割体の組み合わせにより内部に収納空間が形成される包装容器において、
前記筒胴形成用樋状部の略円柱体形状時に相対する樋側辺部の内、一方の樋側辺部ではその間にセルフヒンジが設けられて、該セルフヒンジを介して一対の半割体が開閉可能に連結されており、
半割体それぞれにおける前記セルフヒンジとは反対側の樋側辺部には、収納空間側に凹陥してなる凹部を備えていて、一方の半割体の凹部に設けた係止体が他方の半割体の凹部に設けた被係止体に係脱可能に係合してなる筒胴閉鎖手段が前記凹部が連なった凹部連続部に位置して、筒胴の円柱状外周面位置から外方に非突出状態に設けられていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記半割体それぞれにおけるセルフヒンジ側の樋側辺部に沿った外表面が、収納空間側に寄った平坦面形状に形成されていて、この平坦とされた外表面それぞれに、筒胴の径方向に凸となってリブ稜線が筒胴の円柱状外周面位置となるリブが設けられ、一方の半割体側の前記リブと他方の半割体側のリブとが、半割体間を境にして非対称配置とされている請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
上記半割体それぞれの筒胴形成用樋状部には、複数の貫通部が設けられている請求項1または2に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105327(P2011−105327A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260507(P2009−260507)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)
【Fターム(参考)】