説明

包装材からなるボビンの取扱操作装置

ボビンとして存在するウェブ状包装材を機械、すなわち包装機に供給するために、ガントリー16を有するボビン貯蔵部15が設置され、このボビン貯蔵部内でボビン10〜13がパレット14上に用意されている。屈曲アーム27を備えたガントリーロボット20が必要に応じて、ガントリー16の外に配置された巻付け装置29〜32にボビン10〜13を受け渡す。この巻付け装置から、材料ウェブが反対側に向かってガントリー16の縦方向に対して平行な方向に消費機械まで搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビンが垂直な支持部材とほぼ水平な上側の支持フレームとを有する材料貯蔵部のガントリー内で、パレット上に用意され、その都度1個のボビンがガントリーに連結され昇降ヘッドを有するロボットによって、ボビンを1個ずつ収容するための作業ピンを備えた複数の巻付け装置の1つに供給可能である、紙巻きたばこ包装体の製作に関連して、消費材料、特に紙、薄いボール紙、フィルムまたはスズ箔からなる、ボビンとして巻かれたウェブを、製造機械に供給するため、特に包装機に供給するための装置に関する。本発明はさらに、ロボットから巻付け装置の作業ピンにボビンを移送するための装置に関する。ボビンを掴んで搬送するための特別な昇降ヘッドも本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
紙巻きたばこまたは類似の複合体、すなわち複数のブランクからなる包装体を製作するための高出力の設備は、多数の消費機械、特に包装機のための包装材を用意するために、(中間)貯蔵部を備えている。この貯蔵部は垂直な支持部材と上側の水平な支持フレームを備えた、長く延びた長方形のガントリーによって画成されている。ボビンはガントリー内でパレット上に配置されている。ボビンを1個ずつ掴むための昇降ヘッドを備えた(門形)ロボットは、ボビンを収容して巻付け装置に移送するために、ガントリー内で移動可能である。多数の巻付け装置がガントリー内に配置されている(特許文献1)。巻付け装置の範囲において、包装材の異なるウェブがボビンから繰り出されて、ガントリーの縦方向に対して横向きに機械に供給される。ロボットの昇降ヘッドは、ボビンを掴むためにボビンの中央穴に固着された搬送ピンを備えている。
【0003】
さらに、オーバーヘッドコンベヤによって搬送されるボビンを、作業ピン上で縦方向に摺動可能であるフランジ付きホイールによって補助して、包装機の揺動可能な作業ピンに垂直な姿勢で受け渡すことが知られている(特許文献2)。作業ピンが垂直な位置にあるときに、フランジ付きホイールが上端位置へ移動させられる。オーバーヘッドコンベヤの搬送ピンに保持されたボビンは、作業ピン上で軸方向に向けられた状態で解放され、そして下降運動によってフランジ付きホイール上に達する。そして、このフランジ付きホイールはボビンと一緒に作業位置に下方へ移動する。その後で、作業ピンは水平位置に移動する。
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第4018266号明細書
【特許文献2】独国特許発明第4221052号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底をなす課題は、ボビンが巻付け装置または包装機に確実にかつ高出力で供給されるように、ボビン用の取扱操作機構とガントリーの形成を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係る装置は次の特徴、すなわち
a)ガントリーの外側においてガントリーの縦辺のすぐ隣に、特に複数の巻付け装置が設けられ、
b)ロボットが水平平面内で揺動可能なブラケットアームを備え、このブラケットアームの自由端部に、ボビンを掴むための昇降ヘッドが配置され、
c)ガントリーの縦方向に移動可能なロボットに関連して、パレットから1個のボビンを収容可能であり、かつガントリーの外側にある付設されたその都度1個の巻付け装置にボビンを移送できるように、ブラケットアームが採寸されていること
を有する。
【0007】
本発明において、一方では材料貯蔵部の範囲と他方ではボビンの加工の範囲が、互いに空間的に分離されているので、ガントリーの範囲内に入らずに、巻付け装置の必要な手段を実施することができる。さらに、ガントリーの外に巻付け装置を位置決めすることにより、貯蔵部またはガントリーと比較して一層良好に包装機を配置すると共に、材料ウェブを新しい方法で案内することができる。
【0008】
ボビンコンベヤによって供給されるボビンを巻取り装置または包装機の作業ピンに移送するための手段に特徴がある。本発明に従い、ボビンは中間コンベヤ上に降ろされる。この中間コンベヤはボビンコンベヤとは関係なく、垂直な作業ピンへのボビンの受け渡しを可能にする。
【0009】
さらに、ボビンコンベヤ、特にロボットのための昇降ヘッドの形成も本発明の特徴である。この特徴は、昇降ヘッドが異なる作業方法に基づく2個の保持機構、すなわち一方ではボビンの中央穴内に固定可能な搬送ピンと、他方ではボビンの上面に作用する吸込み機構、特にベル形吸込体を備えていることにある。それによって、大きな直径および/または大きな自重を有するボビンを確実に掴んで取扱操作することができる。
【0010】
次に、本発明の他の詳細を、図に基づいて詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図には、包装体の製作に関連して包装材の取扱操作が示してある。具体的には、ヒンジ式箱またはヒンジリッドパック構造の紙巻たばこ包装体の製作である。この古典的なタイプの紙巻たばこ包装体の製作の際、一方では予め製作されたブランクが、そして他方ではウェブ状材料が加工される。ボビン10、11、12、13として供される材料ウェブの取扱操作が重要である。材料と大きさが異なるボビン10〜13は、包装体の異なるブランクを製作するためのものである。ボビン10は包装体の中身を内側被包するためのスズ箔ウェブ(あるいは紙)からなっている。ボビン11はカラーを製作するためのものであり、それ故薄いボール紙からなっている。ボビン12は包装束(紙巻たばこロッド)を包むための紙またはフィルムからなる巻いたウェブである。最後に、ボビン13は(個々の)包装体を外側被包するための巻いた(引き裂き糸付き)フィルムウェブである。
【0012】
ボビン10〜13は「1種類毎に」パレット14に供される。従って、ボビンの各種類に1個のパレット14が付設されている。このようなパレット14を全部揃えたセットがボビン貯蔵部15の範囲内に用意されている。ボビン貯蔵部15はガントリー16、すなわちほぼ長方形または直方体の支持台によって取り囲まれている。このような長方形のフレーム17は安定するように、(4本の)コーナー支持部材18と中間支持部材19に載っている。背面側の中間支持部材19は均一な間隔をおいて配置されている。それによって、パレット14を空いた中間室に供給し、位置決めすることができる。
【0013】
ボビンコンベヤ、すなわちガントリーロボット20がボビン10〜13の取扱操作または搬送の働きをする。このガントリーロボットは特別に形成および配置されている。垂直なロボット支柱21はガントリー16上でその縦方向に移動可能である。ガントリーロボット20は中心からずれた位置に、すなわちフレーム17の側方の縦方向部材22に配置されている。この縦方向部材の内側には、特別な走行レール23が取付けられ、この走行レールに沿ってまたはこの走行レールの上でガントリーロボット20の走行装置が定置されたサーボモータ24によって往復移動可能である。
【0014】
ロボット支柱21上で昇降機構25が同様にモータ駆動装置によって昇降可能である。昇降機構25には昇降ヘッド26用支持機構が取付けられている。この支持機構は水平平面内で揺動可能である昇降ヘッド用支持アームからなっている。この支持アームはほぼ中央にヒンジを有する屈曲アーム27として形成されている。従って、昇降ヘッド26は昇降可能であり、かつ水平平面内において屈曲アーム27の揺動とヒンジによる付加的な運動成分とに基づいて、取扱操作すべき各ボビン10〜13の上方の正確な位置に合わせることが可能である。ガントリー16は下側範囲内にボビンから間隔をおいて、ガントリー16の三辺にわたって延在する、安定性を高めるための支持機構を備えている。ガントリーロボットまたはそのロボット支柱21はその下側範囲がガントリー16の縦方向成形部材28に支持されている。
【0015】
ボビン貯蔵部15に用意されたボビン10〜13はガントリーロボット20によって消費機械に移送される。この場合、消費機械は巻付け装置29、30、31、32である。この巻付け装置は各ボビン10〜13から材料ウェブを繰り出し、そして各包装機にウェブを直接供給する働きをする。各巻付け装置29〜32はボビン10〜13用の少なくとも2個のホルダ、すなわち横方向に突出する水平向きの作業ピン33、34を備えている。この作業ピンはそれぞれボビン10〜13の中央穴35に入る。中央穴35は一般的にスリーブ状の円筒形ボビン芯36によって形成され、このボビン芯上にそれぞれの材料ウェブが巻付けられている。各巻付け装置29〜32は作動状態のボビンと予備のボビンを備えている。終わりまで繰り出されたウェブに新しいボビンを接続するために、各巻付け装置29〜32は接合機構37を備えている。すべての巻付け装置29〜32がガントリー16の外に位置決めされ、しかも縦辺に沿って平行に配列して位置決めされていることに特徴がある。
【0016】
巻付け装置29〜32は、ガントリー16の範囲に入らないで、正面側と背面側の範囲からアクセスできるように、ボビン貯蔵部15の外またはガントリー16の外に位置決めされている。さらに、昇降ヘッド26がガントリー16の範囲内で各ボビン10〜13を掴んで適切な各巻付け装置29〜32に移送できるように、ガントリーロボット20の採寸および運動性と共に相対位置が選定されている。パレット14が当該のボビン10〜13を収容する巻付け装置29〜32のすぐ隣に位置決めされていると合目的である。
【0017】
ボビンコンベヤまたは昇降ヘッド26から、それぞれの材料を加工する装置のピンまたは作業ピン33、34へのボビン10〜13の移送に特徴がある。各巻付け装置29〜32の両作業ピン33、34は揺動可能に支承されている、すなわち水平な作業位置(図8)と垂直な収容位置の間で傾動可能に支承されている。各巻付け装置29〜32の両ピン33、34は互いに独立して動くことができ、それぞれ揺動運動用の軸38に支承されている。駆動装置と自在軸受はハウジング39内にあり、このハウジングは、作業ピン33、34が端位置にあるときおよび作業ピンの揺動運動中に作業ピンを通過させるための、コーナーを経て延在する穴40を有する。
【0018】
ボビン10〜13は必要に応じて巻付け装置29〜32に供給され、それぞれ垂直位置にある(図7)作業ピン33、34に移送される。そのために、ボビン10〜13用の中間コンベヤが各作業ピン33、34に付設されている。この中間コンベヤは昇降ヘッド26からボビン10〜13を受取り、そしてそれぞれ垂直な作業ピン33、34にボビンを受け渡す。中間コンベヤは、ボビン10〜13を作業ピン33、34に受け渡した後で、別個の可動の中間コンベヤによって妨害されることなく、作用ピンが水平作業位置に揺動できるように形成されている。中間コンベヤは好ましくは支持板41として形成され、作業ピン33、34の上方のほぼ中央に配置されている。各支持板41は独立して動くことができる、すなわち昇降可能である。従って、支持板41は昇降装置、本例では(2本の)昇降ロッド42に取付けられている。この昇降ロッドは例えば圧力媒体シリンダによって昇降可能である。
【0019】
各ボビン10〜13は昇降ヘッド26によって、上方の収容位置で適切な支持板41上に降ろされる(図5)。垂直な作業ピン33、34に受け渡すために、支持板41は下降させられる。支持板41の中央穴、すなわち作業ピン33、34の揺動運動の方向に開放した長穴43は、下降運動の結果としての作業ピン33、34上へのボビン10〜13の移送を可能にする。その際、作業ピン33、34はボビン10〜13の中央穴35に入る。
【0020】
中間コンベヤすなわち支持板41は、ボビン10〜13が作業ピン33、34のストッパ、すなわち横断面拡張部またはつば44に接触するまで、作業ピン33、34と相対的に下降させられる。このストッパは、ボビンがこのストッパに接触する際にピン上の正確な作業位置を占めるように取付けられている。ボビンのその後の運動に基づいて、すなわち下降運動によって(図7の一点鎖線)、中間コンベヤすなわち支持板41が解放される。今や、作業ピン33、34はボビンと共に水平作業位置に動かされる。その際、作業ピン33、34は長穴43の開放側を経て支持板41の範囲から外へ移動させられる。そして、この支持板は上側の出発位置、すなわち収容位置に戻される。従って、巻付け装置29〜32へのボビンの供給が作業ピン33、34の位置に依存しないで行われるので、きわめて高出力の材料供給が達成される。
【0021】
ガントリー16の外側に巻付け装置29〜32を位置決めしたことにより、消費機械、すなわち包装機の方へ直接「斜めに」に方向を変えることなく、ボビン10〜13からの材料ウェブの巻き戻しが可能になる。材料ウェブはそれぞれのボビン10〜13から来て垂直平面内を搬送され、そして方向変更ローラ45によって水平搬送平面内に方向を変えられる。各ウェブに付設された方向変更ローラ45がずらした位置に配置されているので、ウェブは高さをずらした水平平面内で搬出可能である(図2、図3)。
【0022】
材料ウェブの上記の移動方向によって、ボビン貯蔵部15またはガントリー16に対する包装機の特別な位置決めが可能である(レイアウト)。特に図1から判るように、材料を消費する機械はガントリー16の両側または巻付け装置29〜32の列の両側に配置されている。本実施の形態の場合、ボビン貯蔵部15の一方の側に紙巻きたばこ包装体を作るための包装機、すなわちヒンジリッドパックを製作するためのHLパッカー46が配置されている。この種の包装体の普通の構造に相応して、2つの材料ウェブがHLパッカー46に供給される。薄いボール紙からなる比較的に狭いカラーウェブ47が(第1の)巻付け装置29の範囲のボビン11から繰り出され、下側の搬送平面に沿って延在する。さらに、スズ箔ウェブ48がHLパッカー46に供給され、しかもボビン10を備えた(第2の)巻付け装置30から出発して上側平面から供給される。ウェブ47、48は相対位置に基づいてHLパッカー46の加工すべき装置に直接達する。
【0023】
この種の包装体のためのブランクは通常は、包装装置の外で製作され、ブランク積層体としてパレット上に供給される。ブランク積層体を積層体コンベヤ50に載せてHLパッカー46に運ぶことにより、別個の積層体ステーション49はこの包装材を加工する。HLパッカーは通常のごとくブランクマガジンを備えている。ブランクマガジンはブランク積層体を受取り、1枚ずつばらばらにして折畳み回転体に移送する。
【0024】
出来上がった紙巻きたばこ包装体はHLパッカー46から、上から見てU字状に配置された包装体コンベヤ51によってボビン貯蔵部15を迂回して、他の包装機に供給される。この包装体コンベヤはオーバーヘッドコンベヤとして形成され、包装体を外側被包用の包装機、すなわちセロパッカー52に搬送する。このセロパッカーはHLパッカー46から来る包装体に、フィルムからなる外側被包物を取付ける。それによって完成した包装体は続いて、束包装体、いわゆる紙巻きたばこロッドを製作するために、束パッカー53に移送される。そのために、束パッカー53によって、包装体の1つのグループが紙またはフィルム製の1つの束ブランクに包まれる。
【0025】
最後に述べたパッカー52、53には巻付け装置31、32が付設されている。この巻付け装置の材料ウェブは巻付け装置29、30とは反対方向に搬送される。下側平面内にフィルムウェブ54が延在している。このフィルムウェブはエッジ側の巻付け装置32の(フィルム)ボビン13から繰り出される。このフィルムウェブ54はセロパッカー52に案内されている。巻付け装置31の範囲内において、束被包のためのボビン12が用意される。フィルムウェブまたは紙ウェブ55は方向変更ローラ45から来てフィルムウェブ54の上方の平面内を束パッカー53まで案内され、その際セロパッカー52の上方を搬送される。
【0026】
他の特徴は、中央穴35を有するボビンの取扱操作、すなわち昇降および搬送のための昇降機構25または昇降ヘッド26の形成にある。昇降機構、ここでは屈曲アーム27に取付けられた昇降ヘッド26は、中央穴35に入るピン、すなわち搬送ピンまたは支持ピン78を備えている。このピンは中央穴35内でまたはボビン芯36内で挟持機構によって固定される。円筒状のピン78は中空体として形成され、リング状または円筒状のケース56を備えている。このケースの外径は中央穴35よりも少しだけ小さい。ケース56は上側の支持部材、すなわちヘッドプレート57に連結されている。このヘッドプレートはブラケットまたは屈曲アーム27に連結された支持機構に取付けられている。この支持機構は1本または複数本の支持ロッド58、59である。支持ピン78内には、横方向または半径方向に移動可能な挟持機構、すなわち挟持ジョー60が支承されている。複数個、本例の場合5個のウェブ状の挟持ジョー60は、ピン78の周方向において互いに均一な間隔をおいて分配配置されている(図11)。挟持位置において、挟持ジョー60はその外面がボビン芯36に接触する。
【0027】
ピン78内において複数の挟持ジョー60には共通の1個の操作機構が付設されている。この操作機構は締付け円錐体61である。この締付け円錐体はケース56内の中央に移動可能に配置されている。締付け円錐体61は上方に向かって縮小する、すなわち斜めに向いた締付け面62を有する。挟持ジョー60の対応する傾斜した相手方面63がこの締付け面に接触する。中央に配置された締付け円錐体61の上昇運動によって、締付け面62と相手方面63が作用することにより、挟持ジョー60は一緒に半径方向外側へ挟持位置に移動する。その際、挟持ジョー60はピンまたはケース56内のスリット状切欠き64を通過する。締付け円錐体61には操作機構、すなわちヘッドプレート57の上方またはヘッドプレート上の中央に配置された圧力媒体シリンダ65(短ストロークシリンダ)が付設されている。この圧力媒体シリンダはピストンロッドを介して締付け円錐体61に連結され、締付け円錐体61の昇降運動のために制御可能である。互いに等しい角度間隔をおいて位置決めされた(5個の)挟持ジョー60は相対運動を保証しながら、特にあり溝ガイド77によって締付け円錐体61に連結されている。
【0028】
ピンまたは支持ピン78は重量に依存して挟持ジョー60の締付け力を増大させる。そのために、ケース56は弾性的な押圧力を受けて別個の部材として(間接的に)ヘッドプレート57に連結されている。互いに間隔をおいて配置された多数の支持ボルト66がケース56の穴内を案内されている。この支持ボルトはヘッドプレート57に固定連結されている。ケース56はばね67に載っており、このばねは各支持ボルト66の下側の端ストッパ68に支持されている。ケース56の下向きの荷重が増大すると、ケースはばね67を圧縮しながらヘッドプレート57と相対的に下方へ移動する。締付け円錐体61の相対位置が不変であるので、ケース56の下降運動は面62、63の範囲における押圧力を増大させ、それに伴いボビンの自重によって締付け力を増大させることになる。
【0029】
他の特徴は、第2の独立した昇降手段を備えた昇降ヘッド26の形成にある。この第2の昇降手段は吸引機構、すなわちリング状のベル形吸込体69である。このベル形吸込体は下側が開放した中空体からなっている。この中空体は取扱操作すべきボビン10〜13の上面に装着される。ベル形吸込体69は負圧によってボビンに固定される。そのために、ベル形吸込体69はリング状の中空体として形成されている。内室70は負圧源に通じる吸込み管71に接続されている。内室70に十分な負圧を生じるために、複数本の、すなわち少なくとも2本のこのような吸込み管71が設けられている。リング状のベル形吸込体69の寸法は、下方に向いた吸込み開口72の一部範囲がボビン芯36を覆うように選定されている(図9)。
【0030】
ベル形吸込体69は付加的な昇降手段として、支持ピン78と相対的に昇降可能である。そのために、ベル形吸込体69は連結部材73を介して案内部材74に接続されている。この案内部材はベル形吸込体69と共に、ロッド、すなわち支持ロッド59上を昇降可能である。このベル形吸込体は締付け機構75により、支持ピン78に対して任意の相対位置に固定可能である。この締付け機構は、圧縮空気によって相手方機構に固定可能である締付けカートリッジである。圧縮空気は管76から供給される。締付け機構75は支持ロッド58に支承され、この支持ロッド上の任意の位置に固定可能であり、それによってベル形吸込体69の位置が決定される。
【0031】
このように形成された組み合わせ式昇降ヘッド26を使用する際、ピン78は中央穴35に挿入され、しかも好ましくは下側範囲まで挿入される(図10)。この位置で、挟持ジョー60がピン78を固定するために外側へ移動させられる。ベル形吸込体69は締付け機構75の圧力低下時にボビンの上面に載っている(図9)。ピン78の挿入運動が続けられると、案内部材74は支持ロッド59上で下方に滑動する。ピン78が挟持位置に達して固定されると、締付け機構75が操作され、それによってベル形吸込体69がボビン10〜13を掴む位置に吸込み空気によって固定される、すなわち図10の載置位置に固定される。そして、ベル形吸込体69が負圧によって付勢されるので、ボビン10〜13を持ち上げる際に支持力がボビン芯36内とボビンの上面に伝達される。このように形成された昇降ヘッド26はボビンのための任意の昇降機構において使用可能である。
【0032】
図示および説明した装置または設備は、類似の変更および適合を行うと、ソフトコップ包装体またはシェル・アンド・スライドタイプの包装体のような他の種類の包装体、特に紙巻きたばこ包装体を製作するためにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】紙巻きたばこ包装体を製作する設備の平面図である。
【図2】図1の設備の細部、すなわち材料貯蔵部またはボビン貯蔵部の斜視図である。
【図3】図2の貯蔵部の正面図である。
【図4】図2と図3の貯蔵部の平面図である。
【図5】図2〜4の貯蔵部の細部を拡大して示す、図3のような正面図である。
【図6】貯蔵部のステーション、すなわち巻付け装置の細部を、図5の矢印VI方向に見た平面図である。
【図7】図5のステーションの他の細部を、図5の切断面VII−VIIに沿って切断した断面図である。
【図8】機構の位置が変更された状態の図7の細部を示す図である。
【図9】ボビン貯蔵部の他の細部、すなわちボビンコンベヤの昇降ヘッドの垂直断面図である。
【図10】昇降ヘッドの機構の相対位置を変更した状態の図9の細部を示す図である。
【図11】切断面XI−XIに沿った図10の昇降ヘッドの横断面図である。
【図12】図10の昇降ヘッドの細部XIIの拡大図である。
【符号の説明】
【0034】
10 (カラー)ボビン
11 (スズ箔)ボビン
12 (ロッド)ボビン
13 (フィルム)ボビン
14 パレット
15 ボビン貯蔵部
16 ガントリー
17 フレーム
18 コーナー支持部材
19 中間支持部材
20 ガントリーロボット
21 ロボット支柱
22 縦方向部材
23 走行レール
24 サーボモータ
25 昇降機構
26 昇降ヘッド
27 屈曲アーム
28 縦方向成形部材
29 巻付け装置
30 巻付け装置
31 巻付け装置
32 巻付け装置
33 作業ピン
34 作業ピン
35 中央穴
36 ボビン芯
37 接合機構
38 軸
39 ハウジング
40 穴
41 支持板
42 昇降ロッド
43 長穴
44 つば
45 方向変更ローラ
46 HLパッカー
47 カラーウェブ
48 スズ箔ウェブ
49 積層体ステーション
50 積層体コンベヤ
51 包装体コンベヤ
52 セロパッカー
53 束パッカー
54 フィルムウェブ
55 紙ウェブ
56 ケース
57 ヘッドプレート
58 支持ロッド
59 支持ロッド
60 挟持ジョー
61 締付け円錐体
62 締付け面
63 相手方面
64 切欠き
65 圧力媒体シリンダ
66 支持ボルト
67 ばね
68 端ストッパ
69 ベル形吸込体
70 内室
71 吸込み管
72 吸込み開口
73 連結部材
74 案内部材
75 締付け機構
76 管
77 あり溝ガイド
78 支持ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビン(10〜13)が垂直な支持部材(18、19)とほぼ水平な上側のフレーム(17)とを有するボビン貯蔵部(15)のガントリー(16)内で、パレット(14)上に用意され、その都度1個のボビン(10〜13)がガントリー(16)に連結され昇降ヘッド(26)を有するロボットまたはガントリーロボット(20)によって、ボビン(10〜13)を1個ずつ収容するための作業ピン(33、34)を備えた複数の巻付け装置(29〜32)の1つに供給可能である、紙巻きたばこ包装体または類似の包装体の製作に関連して、消費材料、すなわち紙、薄いボール紙、フィルムまたはスズ箔からなる、ボビン(10、11、12、13)として巻かれたウェブを、製造機械に供給するため、特に包装機に供給するための装置において、
a)ガントリー(16)の外側においてガントリーの縦辺のすぐ隣に、特に複数の巻付け装置(29〜32)が設けられ、
b)ガントリーロボット(20)が水平平面内で揺動可能なブラケットアーム、特に屈曲アーム(27)を備え、このブラケットアームの自由端部に、ボビン(10〜13)を掴むための昇降ヘッド(26)が配置され、
c)ガントリー(16)の縦方向に移動可能なガントリーロボット(20)に関連して、パレット(14)から1個のボビン(10〜13)を収容可能であり、かつガントリー(16)の外側にある付設されたその都度1個の巻付け装置(29〜32)にボビンを移送できるように、ブラケットアームまたは屈曲アーム(27)が採寸されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
ブラケットアームまたは屈曲アーム(27)が垂直なロボット支柱(21)上で昇降可能であり、ロボット支柱(21)が、好ましくは下側の縦方向成形体(28)に支持されて、巻付け装置(29〜32)寄りのガントリー(16)の縦方向部材(22)上で縦方向部材(22)の方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ボビン貯蔵部(15)またはガントリー(16)の範囲内に、各巻付け装置(29〜32)のためのボビン(10〜13)を備えた少なくとも1個のパレット(14)、好ましくはボビン(10〜13)をそれぞれ1種類ずつ載せた、4個の巻取り装置(29〜32)用の4個のパレット(14)が配置され、この場合好ましくはパレット(14)が付設の巻付け装置(29〜32)に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
巻付け装置(29〜32)の範囲内において、材料ウェブがボビン(10〜13)からガントリー(16)の縦方向に対して平行な方向に搬出可能であり、特にその都度グループをなしてまたは対をなして反対方向に搬出可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2および3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
材料ウェブが巻付け装置(29〜32)またはその作業ピン(33、34)から先ず最初に垂直平面に沿って、そして方向変更ローラ(45)の範囲における方向変更に基づいて水平平面内に沿って搬送可能であり、この場合その都度同じ方向に搬送されるウェブが上下に位置する搬送平面に沿って案内されることを特徴とする請求項4、または請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
別個に作られたブランクで包装体を製作するために、特にヒンジ式箱のタイプの紙巻きたばこ包装体を製作するために、ブランク積層体用の別個の材料貯蔵部がHLパッカー(46)に隣接して配置され、この材料貯蔵部がHLパッカー(46)にブランク積層体を受け渡すための積層体ステーション(49)を備え、HLパッカー(46)によって製作された包装体がボビン貯蔵部(15)の範囲の外側で包装体コンベヤ(51)によって、好ましくは上向きでセロパッカー(52)に供給可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
ボビン(10〜13)がボビンコンベヤによって、特にガントリーロボット(20)によってまたはガントリーロボット(20)のブラケットアームに配置された昇降ヘッド(26)によって、1個の巻付け装置(29〜32)等の範囲内の移動可能な中間支持体に降ろすことが可能であり、かつ中間支持体によって付設の作業ピン(33、34)に供給可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各巻付け装置(29〜32)が、互いに間隔をおいて配置されかつ作業位置で水平に向いている、各々1個のボビン(10〜13)のための作業ピン(33、34)を2個備え、作業ピン(33、34)が水平な作業位置から、ボビン(10〜13)を中間支持体から受け取るための垂直な受取り位置へ、水平な軸の回りに互いに独立して揺動可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
各々1個のボビン(10〜13)のための中間支持体が昇降可能な支持機構、特に支持板(41)からなり、中間支持体または支持板(41)に降ろされたボビン(10〜13)が、中間支持体または支持板(41)の下降運動によって垂直な作業ピン(33、34)に受け渡すことが可能であり、そして作業ピン(33、34)がボビン(10〜13)と共に水平な作業位置に揺動できるように、中間支持体または支持板(41)が作業ピンの範囲から外へ移動可能であることを特徴とする請求項7、または請求項1〜6、または8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
中間支持体または支持板(41)が穴、特にボビン(10〜13)の中央穴(35)に合致する長穴(43)を有し、この穴が作業ピン(33、34)の揺動運動方向に開放していることを特徴とする請求項9、または請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ボビン(10〜13)が中間支持体または支持板(41)の下降運動によって、ボビン(10〜13)の作業位置に対応する作業ピン(33、34)の突起またはつば(44)に降ろすことができ、そしてボビン(10〜13)が作業ピン(33、34)にのみ載るように、支持板(41)が更に下方へ移動可能であり、作業ピン(33、34)を作業位置に移動させた後で、支持板(41)が上昇運動によってボビン(10〜13)用の上側の収容位置に戻されることを特徴とする請求項7、または請求項1〜6および8〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
a)ボビンコンベヤ、特にガントリーロボット(20)の屈曲アーム(27)が、ボビン(10〜13)の中央穴(35)に入れるための下向きの搬送ピンまたは支持ピン(78)を有する昇降ヘッド(26)を備え、
b)搬送ピンまたは支持ピン(78)を固定するために、搬送ピンまたは支持ピン(78)が横方向または半径方向に移動可能な挟持機構を備え、
c)挟持機構が挟持ジョー(60)であり、操作機構、特に昇降可能な締付け円錐体(61)によって、締付け面(62)と相手方面(63)が協働して、挟持ジョーが半径方向外側に移動可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
複数のウェブ状の挟持ジョー(60)が、支持ピン(78)の周囲に沿って互いに等しい角度間隔をおいて配置され、中央の締付け円錐体(61)によって一緒に付勢可能であることを特徴とする請求項12、または請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
挟持ジョー(60)が、特に締付け面(62)と相手方面(63)に相応して斜めに向いたあり溝継手(77)を介して、締付け円錐体(61)に相対的に動くことができるようにかみ合い連結されていることを特徴とする請求項12、または請求項1〜11および13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
a)支持ピン(78)が実質的に円筒状ケース(56)からなり、
b)ケース(56)が支持ピン(78)の支持部分と相対的に、特に横方向に向いた上側の支持プレートまたはヘッドプレート(57)と相対的に昇降可能であり、
c)挟持ジョー(60)がケース(56)に連結され、特にケース(56)の各々1つの切欠き(64)内で半径方向に摺動可能に支承され、
d)ケース(56)がボビン(10)の荷重に基づいて、挟持ジョー(60)の締付け力を高めながら、挟持ジョー(60)と共に締付け円錐体(61)と相対的に下方へ移動可能であることを特徴とする請求項12、または請求項1〜11、13および14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
スリーブとして形成されたケース(56)が、軸線平行なまたは垂直な支持ボルト(66)を介して支持ピン(78)のヘッドプレート(57)に連結され、ケース(56)が支持ボルト(66)上に配置されたばね(67)上に弾性的に支持され、かつ出発位置でヘッドプレート(57)に対して押し付けられていることを特徴とする請求項15、または請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
a)ボビンコンベヤ、特にガントリーロボット(20)の昇降ヘッド(26)が、ボビン(10〜13)の中央穴(35)に挿入するための搬送ピンまたは支持ピン(78)を備え、
b)昇降ヘッド(26)がボビン(10〜13)を掴んで保持するための他の支持機構として、空気圧式昇降機構、特にベル形吸込体(69)を備え、このベル形吸込体が負圧によってボビン(10〜13)の上面に固定可能であることを特徴とする請求項1、または請求項2〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
ボビン(10〜13)の中央穴(35)に対して同心的な範囲と特にこの中央穴のすぐ隣の範囲においてボビンを掴むために、ベル形吸込体(69)がリング状に形成されていることを特徴とする請求項17、または請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
ベル形吸込体(69)が支持ピン(78)と相対的に調節可能に昇降ヘッド(26)に支承され、特にボビンコンベヤまたはそのブラケットアームと支持ピン(78)との間の連結部材としての働きをする垂直な案内ロッドまたは支持ロッド(58)に、ベル形吸込体(69)が支承され、その際ベル形吸込体(69)が支持ピン(78)に対する任意の相対位置に固定可能であるように支承されていることを特徴とする請求項17、または請求項1〜16および18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
ベル形吸込体(69)は、締付け機構を固定保持することによってこのベル形吸込体(69)の位置を制御可能に固定するために、締付け機構(75)または空気圧で付勢可能な締付けカートリッジに連結されていることを特徴とする請求項19、または請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−533297(P2009−533297A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504580(P2009−504580)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001261
【国際公開番号】WO2007/118537
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(504265684)フォッケ・ウント・コンパニー(ゲゼルシャフト・ミト・べシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト) (31)
【Fターム(参考)】