説明

包装材切開除去装置

【課題】ローラを利用して除去した包装材の張り付きを防止することが可能な包装材切開除去装置を提供する。
【解決手段】缶蓋群を包む包装材102を切開し、切開された包装材102を一対のローラ11で挟み込んで缶蓋群の周囲から除去する包装材切開除去装置において、ローラ11間を通過した包装材102が落とし込まれるダクト20にイオンエアを送り込むことにより、包装材102のの静電気を除去する静電気除去装置22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋群等の包装対象物を収容した包装材を切開し、その切開された包装材を一対のローラで挟み込んで剥ぎ取るように除去する包装材切開除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料缶等の缶製品の製造工程では、缶本体とは別工程で製造された多数枚の缶蓋が厚さ方向に並べられた状態で包装材で包装された包装品の形態で供給される場合がある。この場合、包装品から缶蓋群を取り出して、缶蓋の巻き締め工程に一枚ずつ缶蓋を送り出す処理が必要となる。缶蓋群の包装品から包装材を除去して缶蓋群を取り出す装置としては、包装品を缶蓋の並び方向に送り出しつつ包装材をカッタの切開手段で長手方向に切開し、その切開された包装材を一対のローラで挟み込んで缶蓋群の周囲から剥ぎ取るように除去する包装材切開除去装置が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−86918号公報
【特許文献2】特開平8−53112号公報
【特許文献3】特開平5−139426号公報
【特許文献4】特開平5−124631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置では、ローラにて除去された包装材がダクトを介して下方に排出されるが、剥ぎ取られた包装材がそのダクトに張り付いてトラブルが生じることがある。例えば、包装材が正しく除去されたか否かを確認するためのセンサがダクト内に設けられている場合、ダクトに張り付いた包装材によってセンサが誤作動し、装置の停止を余儀なくされるといった不都合が生じることがある。
【0005】
そこで、本発明は、ローラを利用して除去した包装材の張り付きを防止することが可能な包装材切開除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、包装対象物を包む包装材(102)を切開し、切開された包装材を一対のローラ(11)で挟み込んで前記包装対象物の周囲から除去する包装材切開除去装置(1)において、前記ローラ間を通過した包装材の静電気を除去する静電気除去手段(22)が設けられることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
包装材の張り付きは、ローラにて包装材がしごかれる過程で静電気が発生して包装材が帯電することに起因する。従って、静電気除去手段により、ローラ間を通過した包装材の静電気を除去すれば包装材の張り付きを防止することができる。
【0008】
本発明の包装材切開除去装置においては、前記ローラの直下には、除去された包装材が落とし込まれるダクト(20)が設けられ、前記静電気除去手段は、前記ダクト内にイオンエア(A)を送り込むように構成されてもよい。これによれば、ダクト内のイオンエアを包装材と接触させて包装材の静電気を効率よく除去することができる。
【0009】
さらに、前記静電気除去手段からの前記イオンエアの吹き出し位置が、前記ダクトの入口部に設定されてもよい。これによれば、ダクト内に包装材が落とし込まれた直後に、包装材をイオンエアと接触させて静電気を除去することができる。そのため、ダクト内に落とし込まれた包装材の張り付きをさらに確実に防止することができる。
【0010】
前記静電気除去手段から前記ダクト内への前記イオンエアの吹き出し方向が、水平方向に対して斜め下方に傾けられてもよい。これによれば、ダクトの入口部からダクト内に満遍なくイオンエアを送り込んで広範囲で包装材の張り付きを防止することができる。
【0011】
前記ダクト内には、前記ローラ間から落下した包装材を検出する包装材検出センサ(21)が設けられ、前記イオンエアの吹き出し位置が、前記包装材検出センサよりも上方に設定されてもよい。これによれば、包装材検出センサによる検出位置に包装材が達する以前にイオンエアと包装材とを接触させてその静電気を除去することができる。よって、包装材検出センサの付近における包装材の張り付きを確実に防止して、包装材検出センサの誤検出を防止することができる。
【0012】
本発明において、イオンエアの極性は包装材の帯電極性と反対に設定されていればよい。例えば、紙を主体とした包装材をローラでしごいた場合にはその包装材がプラスに帯電するため、イオンエアをマイナス極性に設定すればよい。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明の包装材切開除去装置においては、切開された包装材の静電気を除去する静電気除去手段を設けるようにしたため、ローラにて包装材がしごかれる過程で静電気が発生して包装材が帯電した場合でも、その包装材の張り付きを防止して、包装材の張り付きに起因する各種のトラブルの発生を未然に防止し、それにより装置の稼働率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一形態に係る包装材切開除去装置の概略を示し、図5はその包装材切開除去装置にて処理される包装品を示している。図5に示した包装品100は、厚さ方向に積み重ねるようにして並べられた多数枚の缶蓋101の群(包装対象物)を包装紙等からなる包装材102で包装して製造されたものであって、概略円柱状の形態を有している。図1の包装材切開除去装置1は、工場等の床面FLに設置される基台2と、その基台2上に取り付けられた装置本体3とを有している。装置本体3には、図1の左側から右側に向かって下り勾配を描くように傾けられた搬送経路4が設けられるとともに、その搬送経路4の上端側から下端側に向かって、移送ユニット5、切開ユニット6及び除去ユニット7が順次設けられている。また、装置本体3の側方には、包装品100の一方の側部(図1において手前側)には包装品導入部8が設けられ、反対側の側部には缶蓋搬送部(不図示)が設けられている。
【0016】
包装品100は、不図示の供給装置により包装品導入部8に供給されて一時的に保管される。移送ユニット5は、包装品導入部8から1本の包装品100を取り込み、その包装品100の後端部をガイドロッド5aに沿って往復動作するプッシャ5bにより搬送経路4の下端側へ送り込む。包装品100の軸線方向と搬送経路4に沿った送り方向とは一致している。切開ユニット6は、移送ユニット5によって送られる包装品100に上方から吸引力を作用させることにより、缶蓋101の群の上端部と包装材102との間に弛みを生じさせるとともに、その弛み部分にカッタ(図示略)を切り込んで包装材102を包装品100の軸線方向に切開する。移送ユニット5及び切開ユニット6の構成は公知の包装材切開除去装置と同様でよく、適宜の変更が可能である。
【0017】
包装材102が切開された包装品100は、移送ユニット5によりさらに除去ユニット7に送られる。除去ユニット7は、包装品100を移送ユニット5から受け取って送り経路4の下端側にさらに搬送するベルト装置10と、そのベルト装置10にて搬送された包装品100が搭載される左右一対のローラ11(図3参照)と、そのローラ11の上方に配置された包装品押え12と、包装品押え12をローラ11に対して昇降させる昇降機構13とを備えている。図3に示すように、ローラ11は左右方向(送り経路4を横断する方向)に包装材102が通過できる程度の隙間を挟んで対向配置されている。
【0018】
さらに、ローラ11は、それらの上部に包装品100が搬送されると、不図示のローラ駆動装置により、図3に矢印Rで示した方向、すなわち、ローラ11の上端部がそれらの間に載置される包装品100に向かって漸次接近する方向に回転駆動される。包装品100が包装品押え12にてローラ11に押し付けられた状態でローラ11が上記の方向に回転することにより、切開されている包装材102がローラ11間に引き込まれて缶蓋101の群の周囲から剥ぎ取られるように除去される。除去された包装材102はローラ11の直下に連ねるようにして設けられたダクト20に落下する。ダクト20の下端は、床面FLを掘り込んで設けられた包装材回収部9に通じている。一方、包装材102が除去されてローラ11上に露出した缶蓋群は、不図示の取り出し装置により缶蓋搬送部へと搬出されて缶蓋の巻き締め工程へと送られる。
【0019】
図2及び図3に示すように、ダクト20には、包装材102を検出する包装材検出センサとして、エリアセンサ21が設けられている。包装材切開除去装置1においては、ローラ11による包装材102の除去が開始された後、一定時間が経過してもエリアセンサ21が包装材102を検出しない場合、包装材102の除去に失敗したとみなされて所定のエラー処理が実行される。除去ユニット7のここまで説明した構成は公知の包装材切開除去装置のそれと同様でよく、適宜の変更が可能である。以下、本形態の除去ユニット7の特徴的部分について説明する。
【0020】
除去ユニット7においては、包装材102がローラ11にてしごかれる過程で静電気が発生する。その静電気を放置すると、帯電した包装材102がダクト20の内面に張り付き、エリアセンサ21が包装材102の検出信号を絶えず出力するといった不都合が生じることがある。そこで、本形態の包装材切開除去装置1においては、ローラ11にて除去された包装材102から電荷を除去することにより、包装材102のダクト20内への張り付きを防止するために、ダクト20に静電気除去装置22が取り付けられている。
【0021】
図4に示すように、静電気除去装置22は、一方向に長い箱形形状に形成された筐体23の一側面に、複数の電極部24と送風口25とが交互に設けられた構成を有している。電極部24内の放電針(不図示)からの放電によってイオンが生成され、それらのイオンが送風口25から送り出されるエアに混ぜ合わされてイオンエアAが生成され、そのイオンエアAが除電対象に接触して静電気が除去される。この種の静電気除去装置22としては種々の製品が市場に提供されている。例えば、オムロン株式会社が提供する商品名「イオナイザZJ−BA」を静電気除去装置22として使用することができる。
【0022】
静電気除去装置22から送り出すイオンエアAの極性は、包装材102の帯電極性と反対極性に定めればよい。本形態では、包装材102がプラスに帯電するため、マイナスイオンとしている。イオンエアAの吹き出し位置は、ローラ11の直下、すなわちダクト20の入口部であって、かつ、エリアセンサ21よりも上方に設定されている。さらに、図3から明らかなように、イオンエアAの吹き出し方向は、水平方向に対して斜め下方に角度θだけ傾けられている。つまり、本形態ではイオンエアAをローラ11に向けて吹き付けるのではなく、包装材102が張り付くおそれある相手部品であるダクト20の内面に向かってイオンエアAを吹き付けている。角度θはダクト20の形状、寸法に応じて適宜に設定してよいが、本形態では角度θが40〜45°の範囲に設定される。
【0023】
以上のように構成された包装材切開除去装置1によれば、除去ユニット7にて缶蓋群から剥ぎ取られた包装材102がローラ11にしごかれて帯電しても、ダクト20内に供給されているマイナスのイオンエアAにて包装材102が除電される。従って、ダクト20の内面に包装材102が張り付くおそれがなく、ローラ11間からダクト20内に落とされた包装材102が包装材回収部9に確実に回収される。よって、包装材102の張り付きに起因する各種のトラブルを回避し、装置1の稼働率を向上させることができる。
【0024】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、ダクト20内における静電気除去装置22の位置は、ローラ11とエリアセンサ21との間に限定されず、包装材102の張り付きを防止できる限りにおいて適宜の位置に設けてよい。静電気除去手段は図示の静電気除去装置22に限定されず、各種の形態の静電気除去手段が使用されてよい。ダクト内に複数の静電気除去手段が配置されてもよい。ローラとダクトとの間に静電気除去手段が配置されてもよい。
【0025】
本発明の包装材切開装置において、静電気除去手段はイオンエアを除電対象に吹き付けて静電気を除去するタイプに限定されることなく、ローラ間を通過した包装材の静電気を除去できる限りにおいて、適宜の変更が可能である。但し、イオンエアをダクト内に送り込むように静電気除去手段を構成した場合には、包装材がダクトの内壁に達する前に包装材をイオンエアと接触させて静電気を迅速に除去することができる。そのため、包装材の張り付きの防止に優れた効果を奏する。イオンエアを利用して静電気を除去する場合には、包装材の切開過程等で生じた塵埃が静電気除去手段内に侵入して蓄積されないように対策を講じてもよい。例えば、送風口25の周囲に塵埃の侵入を抑えるカバーを取り付け、あるいはイオンエアが遮られない程度のエアカーテンを送風口25の付近に形成してもよい。切開ユニット6と除去ユニット7との間に、包装品が通過できる程度の開口を有する仕切壁を設け、切開時に発生した塵埃のダクト側への侵入を抑えてもよい。
【0026】
本発明の包装材切開除去装置は、缶蓋を包装した包装品を対象とする例に限らず、包装材をローラで挟み込んで除去する構成を備える限りにおいて、各種の包装品を対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一形態に係る包装材切開除去装置の概略を示す図。
【図2】包装材の除去ユニットのローラよりも下部の領域を中心として示す図。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図。
【図4】静電気除去装置の斜視図。
【図5】包装材切開除去装置にて処理される包装品の一例を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 包装材切開除去装置
5 移送ユニット
6 切開ユニット
7 除去ユニット
8 包装品導入部
9 包装材回収部
11 ローラ
12 包装品押え
20 ダクト
21 エリアセンサ(包装材検出センサ)
22 静電気除去装置(静電気除去手段)
24 電極部
25 送風口
100 包装品
101 缶蓋
102 包装材
A イオンエア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象物を包む包装材を切開し、切開された包装材を一対のローラで挟み込んで前記包装対象物の周囲から除去する包装材切開除去装置であって、前記ローラ間を通過した包装材の静電気を除去する静電気除去手段が設けられていることを特徴とする包装材切開除去装置。
【請求項2】
前記ローラの直下には、除去された包装材が落とし込まれるダクトが設けられ、前記静電気除去手段は、前記ダクト内にイオンエアを送り込むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装材切開除去装置。
【請求項3】
前記静電気除去手段からの前記イオンエアの吹き出し位置が、前記ダクトの入口部に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の包装材切開除去装置。
【請求項4】
前記静電気除去手段から前記ダクト内への前記イオンエアの吹き出し方向が、水平方向に対して斜め下方に傾けられていることを特徴とする請求項3に記載の包装材切開除去装置。
【請求項5】
前記ダクト内には、前記ローラ間から落下した包装材を検出する包装材検出センサが設けられ、前記イオンエアの吹き出し位置が、前記包装材検出センサよりも上方に設定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の包装材切開除去装置。
【請求項6】
前記イオンエアがマイナス極性を帯びていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の包装材切開除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−161210(P2009−161210A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340988(P2007−340988)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】