説明

包装用フィルム及びそれで包装されたコード表示包装物品

【課題】 商品管理情報を記入したバーコード等を印刷したシールによって物品を管理するため、シールを剥がして貼り替えると、正確な価格管理、鮮度保持等ができなくなる。また、包装した物品の鮮度保持もできなかった。
【解決手段】 本願発明の包装フィルムは、樹脂製フィルムの一部にコードを印刷でき且つ印刷されたコードを読み取り可能な色の下地が表示されているものである。この包装フィルムの表面には、鮮度保持加工を施すこともできる。本願発明のコード表示包装物品は、物品が前記包装用フィルムで包装された包装物品であり、包装用フィルムとして前記包装用フィルムを使用し、包装前又は包装後に同フィルムの下地部の上に一次元又は二次元のコードを表示してあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は野菜、果物、魚、肉、惣菜、生菓子といった生鮮食品とか他の食品などの各種物品を包装するための包装フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人商店やスーパー等の小売店では販売物品、特に、生鮮食品は包装フィルムで包装して販売し、野菜、果物などの生産者や出荷場等ではそれら物品を包装して出荷している。いずれの場合も、物品を直接包装したり、トレイにのせたり容器に収容したりしてから樹脂製の透明な薄い包装フィルムで包装している。また、包装後の包装フィルム表面に価格、製造年月日、賞味期限、生産地、生産者等の商品管理情報を表示した一次元のバーコードや二次元のQRコード等を印刷したシールを貼って商品管理をしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
物品を包装した包装フィルムにシールを貼って商品を管理する従来の管理方法では、貼ったシールが剥がれることがあり、剥がれると正しい商品管理が不能になる。また、貼ってあるシールを剥がして、内容が虚偽表示された別のシールに貼り替えることができるため、貼り替えた場合は正確な価格管理、品質管理等ができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は包装フィルムに小売店の店内で或いは出荷場内で包装フィルムに直接、バーコードやQRコード等(以下単に「コード」と記す。)を表示(印刷)できるようにした包装用フィルムと、それで包装した包装物品を提供するものである。
【0005】
本願発明の包装フィルムは、請求項1記載のように、樹脂製フィルムの一部にコードを印刷でき且つ印刷されたコードを読み取り可能な色の下地が表示されている。この包装フィルムの表面には請求項2記載のように鮮度保持加工を施すこともできる。
【0006】
本願発明のコード表示包装物品は、請求項3記載のように、物品が包装用フィルムで包装された包装物品であり、包装用フィルムとして前記包装用フィルムを使用し、包装前又は包装後に同フィルムの下地部の上に一次元又は二次元のコードを表示してある。
【発明の効果】
【0007】
本件出願の請求項1記載の包装フィルムは、樹脂製フィルムの一部にコードを印刷でき且つ印刷されたコードを読み取り可能な色の下地部が表示されているので次のような効果がある。
(1)小売店や出荷場などで下地部にコードを印刷できるので、小売店や出荷場などが自己の商品管理体制に合ったコードを印刷することができ、便利である。
(2)レジの読み取り機でのコード読み取りを確実に行うことができる。
(3)物品包装前・後のいずれにおいてもコードを印刷できるので、商品別に包装日時、包装者などをも印刷することができ、細やかな商品管理ができる。
【0008】
本件出願の請求項2記載の包装フィルムは、フィルムに鮮度保持加工が施されているため、上記各効果に加えて、包装した物品を長期間新鮮なまま保存することができるという効果もある。
【0009】
本件出願の請求項3記載のコード表示包装物品は前記包装フィルムにより包装して、その包装フィルムの下地部に直接コードを表示してあるため次のような効果がある。
(1)包装フィルムにシールを貼り付ける場合と違って剥がすことができないため商品管理が正確にできる。
(2)シールを貼る場合は裏面の剥離紙がごみとなって発生するが本願発明ではそのようなことが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(包装フィルムの実施形態)
本発明の実施形態の一例を図1〜図3に基づいて説明する。この包装フィルム1は、図1、図2(b)に示すようにロール状に巻かれている透明な樹脂製フィルムの表面(ロール状に巻いたときに外側になる面)の幅方向一端寄りの位置に下地部2が帯状に着色表示されている。下地部2は樹脂製フィルムのメーカーにおいて、その製造時に印刷とか吹きつけ等の手段で表示してある。下地部2の色はコード3を印刷でき且つ印刷されたコード3を読み取り機で読み取り可能な色であれば任意の色とすることができるがコード3と対照的な色とするのが好ましい。例えば、印刷するコード3が黒色や青色の場合はコード3の読取り精度を向上させるために白色が適する。
【0011】
包装フィルム1の表裏両面又はいずれか一方の面には野菜、果物、肉、魚等の熟成や腐敗を抑制する鮮度保持加工を施すことができる。鮮度保持加工用の鮮度保持剤には例えばエチレンモノオキシゲナーゼを含有する生竹、竹酢液等を使用することができ(特開2004−187549参照。)、それら鮮度保持剤に包装フィルム1を浸漬したり、包装フィルム1に鮮度保持剤を塗布したり吹き付けたりすることによって、鮮度保持剤を包装フィルム1に定着することができる。
【0012】
(包装フィルムの実施形態2)
下地部2は包装フィルム1の裏面に表示しておくこともできる。下地部2の形状は帯状以外の形状、例えば、方形、長方形、円形等でもよく、それらを一定間隔で断続的に表示しておくこともできる。樹脂製フィルムは透明なものに限られず半透明や薄い色が着色されたものとすることができる。包装された内容物が外部から見えなくとも販売に支障のないものの場合は、樹脂製フィルムの幅方向半分とか樹脂製フィルム全部を光、特に紫外線(UV)が透過しないように濃い色で着色したものであってもよい。濃い色で着色した場合は下地部2の色を白色とか黄色といった明るい色にし、その上に黒、青などの色でコード3を印刷するとコード3の読み取りが容易且つ確実になる。
【0013】
(コード表示包装物品の実施形態)
前記包装フィルム1を使用して包装されたコード表示包装物品の一例を図2、図3に基づいて説明する。このコード表示包装物品6は、図2(a)に示すような容器4に収容された物品(商品)5を容器4ごと前記包装フィルム1で包装し、その包装フィルム1に二次元のコード3を表示する場合の一例であり、次の手順で包装される。
(1)図2(b)に示すようにロール状に巻かれた包装フィルム1を引き出して、商品が収容された容器4の開口部分の上に被せる。
(2)図3(a)に示すように包装フィルム1を容器4の底まで巻回して容器4内の物品を容器4ごと包装する。
(3)図3(b)に示すように、容器4を包装した包装フィルム1の下地部2の上にコード3を印刷する。コード3は二次元コードではなくバーコード等の一次元コードであってもよい。これらコード3は引き出した包装フィルム1に、包装前に印刷することもできる。印刷には片手で持って印刷可能なハンドラベラータイプのものが適する。本発明の包装フィルム1は物品5を容器4に収容することなく物品5を直に包装することも当然可能である。
【0014】
上記使用例の容器4は図2(a)に示すように上方開口であり、発泡スチロールとか他の樹脂製である。容器4に収容される物品5は野菜、果物、魚、肉、惣菜、生菓子といった生鮮食品をはじめとする任意の物品である。
【0015】
前記コード3には価格、製造年月日、賞味期限、生産地、包装者、包装日時などの商品管理情報が含まれている。コード3にはQRコード、PDF417、DataMatrix、MaxiCodeといった任意の二次元コードを用いることができる。コード3の色は任意の色とすることができるがコード3を確実に読み取る上では下地部2の色と対照的な色が望ましい。また、コード3を印刷するために使用する塗料(インク)は速乾性のもので、食品衛生上安全なものを使用する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の包装フィルム及びその包装フィルムによって包装された包装物品は、生鮮食品の包装には限られず、生花の包装や、調味料の包装等、任意の物品の包装にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装フィルムの実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】(a)、(b)は、本発明の包装フィルムの使用例の一例を示す説明斜視図。(a)は容器に入れられた物品の様子、(b)は包装フィルムで容器の開口部を覆う様子を夫々示す。
【図3】(a)、(b)は、本発明の包装フィルムの使用例の一例を示す説明斜視図。(a)は包装フィルムで容器を包装する様子、(b)は容器を包装した包装フィルムの下地にバーコードを印刷した様子を夫々示す。
【符号の説明】
【0018】
1 包装フィルム
2 下地部
3 コード
4 容器
5 物品
6 包装物品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用フィルムにおいて、樹脂製フィルムの一部に一次元又は二次元のコードを印刷でき且つ印刷されたコードを読み取り可能な色の下地が表示されたことを特徴とする包装用フィルム。
【請求項2】
請求項1記載の包装用フィルムにおいて、樹脂製フィルムの表面が鮮度保持加工されたことを特徴とする包装用フィルム。
【請求項3】
物品が包装用フィルムで包装された包装物品において、包装用フィルムが請求項1又は請求項2記載の包装用フィルムであり、包装前又は包装後に同フィルムの下地部の上に一次元又は二次元のコードが表示されたことを特徴とするコード表示包装物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−7124(P2008−7124A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176451(P2006−176451)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(391052622)株式会社都ローラー工業 (19)
【Fターム(参考)】