説明

包装用容器

【課題】容器本体と蓋体との間に内容物が噛み込まれてしまうのを抑制することができると共に、蓋体の天面部における印刷可能な面積をより広く確保することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】開口部の周縁より外方に延出する本体フランジ部22dを備えた容器本体と、容器本体の開口部を覆う蓋体とを備えた包装用容器において、蓋体は、容器本体に取付けられた際に、容器本体の開口部の周縁よりも外方に外周端部が位置する天面部31と、天面部より容器本体側へ突出して本体フランジ部に上方から当接する蓋体突出部31aとを備え、蓋体突出部は、天面部の外周に沿って部分的に備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する容器本体と、該容器本体に対して着脱可能に構成された蓋体とを備える包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、弁当、寿司、惣菜、肉や刺身等の生鮮品、調理素材といった各種の食品等(以下、内容物と記す)を収容する包装用容器として、内容物を収容可能に構成された容器本体と、該容器本体に対して着脱可能に構成された蓋体とを備えた包装用容器が知られている。かかる包装用容器は、蓋体が容器本体の開口部を覆うように形成されている。
【0003】
前記包装用容器としては、具体的には、下記特許文献1に記載のものが例示される。該容器は、容器本体の開口部の周縁より外方へ延出するように形成された本体フランジ部(フランジ部4)を容器本体に備える一方、蓋体には、天面部の外周に沿って形成された蓋体側壁部から外方に延出するように形成された蓋体フランジ部(フランジ部5)を備えている。前記本体フランジ部及び蓋体フランジ部は、容器本体の開口部及び蓋体の外周に沿って連続的に形成されており、容器本体に蓋体が取付けられた際に、本体フランジ部と蓋体フランジ部とが当接することにより、容器本体と蓋体とを安定した状態で取り付けることが可能となっている。
【0004】
また、蓋体の天面部には様々な印刷が施され、意匠性、情報の伝達性の向上が図られている。このため、天面部を可能な限り広く形成し、印刷可能な面積を広く確保することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−67140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような包装用容器は、本体フランジ部及び蓋体フランジ部が連続的に形成されているため、容器本体に蓋体を取付けた際に本体フランジ部と蓋体フランジ部との間に内容物が噛み込まれてしまい、内容物の品質を低下させてしまう場合がある。
【0007】
また、蓋体の外周には蓋体フランジ部が形成されているため、平面視において蓋体フランジ部が形成された領域には印刷を施すことができなくなっており、印刷可能な面積を広く確保することが困難となっている。
【0008】
そこで、本発明は、容器本体と蓋体との間に内容物が噛み込まれてしまうのを抑制することができると共に、蓋体の天面部における印刷可能な面積をより広く確保することができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる包装用容器は、開口部の周縁より外方に延出する本体フランジ部を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う蓋体とを備えた包装用容器において、前記蓋体は、容器本体に取付けられた際に、容器本体の開口部の周縁よりも外方に外周端部が位置する天面部と、該天面部より容器本体側へ突出して本体フランジ部に上方から当接する蓋体突出部とを備え、該蓋体突出部は、前記天面部の外周に沿って部分的に備えられていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、天面部より容器本体側へ突出して本体フランジ部に上方から当接するように構成された蓋体突出部が天面部の外周に沿って部分的に備えられていることで、容器本体に蓋体が取付けられた際に、内容物が容器本体と蓋体との間に噛み込まれてしまうのを抑制することができる。
【0011】
具体的には、蓋体突出部が天面部の外周に沿って部分的に備えられていることで、本体フランジ部と蓋体突出部との当接位置が容器本体の開口部の周縁に沿って部分的に形成されることとなるため、従来技術のように本体フランジ部と蓋体フランジ部とが連続的に形成されている場合よりも、内容物が噛み込まれてしまう箇所を減少させることができる。このため、内容物が容器本体と蓋体との間に噛み込まれてしまうのを抑制することができる。
【0012】
更に、天面部の外周端部が容器本体の開口部の周縁よりも外方に位置するように形成されているため、天面部における印刷可能な面積を広く確保することができる。具体的には、前記蓋体突出部が本体フランジ部に当接するように構成されているため、従来技術における蓋体フランジ部を形成することなく、蓋体フランジ部が形成されていた領域にまで天面部を形成することができる。このため、天面部の面積を広く形成することができ、天面部における印刷可能な面積を広く確保することができる。
【0013】
なお、「外方」とは、包装用容器の中心から見て水平方向に広がる方向をいう。但し、この「外方」なる用語は、水平方向と一致する場合のみならず、それに対してある程度の角度範囲で傾斜する方向も含むものである。
【0014】
また、前記蓋体は、前記天面部の外周に沿って形成された蓋体側壁部と、前記本体フランジ部に接触して係合する蓋体係合部とを備えることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、蓋体が前記天面部の外周に沿って形成された蓋体側壁部と、前記本体フランジ部に接触して係合する蓋体係合部とを備えることで、本体フランジ部と蓋体とか蓋体係合部によって確実に固定されると共に、本体フランジ部と蓋体係合部との係合を解くことで容易に取り外しを行なうことができる。
【0016】
また、前記蓋体は、蓋体突出部が平面視においてそれぞれ異なる位置となるように形成された所定数量の蓋体のうちから選択された一つであることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、前記蓋体は、蓋体突出部の形成位置が平面視においてそれぞれ異なる位置となるように形成された所定数量の蓋体のうちから選択された一つであることで、蓋体同士を重ね合わせた際に、蓋体同士が密着して離れなくなること(いわゆる、ブロッキング)を防止することができる。具体的には、前記蓋体突出部は、天面部の外周に沿って凹状部が形成されることで、天面部より容器本体側へ突出するように形成されるため、平面視において、蓋体突出部の形成された位置と凹状部が形成された位置とが同一となる。このため、複数の蓋体同士を重ね合わせると、凹状部に蓋体突出部が入り込み、蓋体同士が密着した状態となって蓋体同士を分離することが困難となる場合がある。しかしながら、所定数量の蓋体の蓋体突出部が平面視においてそれぞれ異なる位置となるように形成されていることで、複数の蓋体同士を重ね合わせる際に、接触する蓋体同士の蓋体突出部の位置関係が平面視において異なった位置となるように重ね合わせることができる。これにより、一の蓋体の蓋体突出部は、他の蓋体の天面部に当接することとなり、接触する蓋体同士の間に間隔が形成される。このため、蓋体同士が密着することがなくなり、ブロッキングを防止することができる。
【0018】
また、前記蓋体は、蓋体の外周縁部から外方に向かって延出するように形成された舌片部を備えることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、蓋体の外周縁部から外方に向かって延出すように舌片部を備えることで、容器本体に蓋体が取付けられた状態から、舌片部を摘んで引き上げることができ、蓋体を容器本体から容易に取り外すことができる。具体的には、従来技術のように蓋体フランジ部が形成されている場合には、蓋体側壁部と舌片部との間に蓋体フランジ部が形成されるため、舌片部を摘んで引き上げた際の力は、蓋体フランジ部に伝わり、蓋体を容器本体から取り外す方向に直接働きにくいものであった。しかしながら、本願のように蓋体フランジ部が形成されないことにより、舌片部を摘んで引き上げた際の力が蓋体を容器本体から取り外す方向に直接働くため、蓋体フランジ部が形成されている場合よりも蓋体を容器本体から容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、容器本体と蓋体との間に内容物が噛み込まれてしまうのを抑制することができると共に、蓋体の天面部における印刷可能な面積をより広く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態にかかる包装用容器の平面図及び側面図。
【図2】図1におけるX−X断面を示した断面図。
【図3】本実施形態にかかる蓋体を重ね合わせた状態を示した断面図。
【図4】本実施形態にかかる蓋体を重ね合わせた状態の平面図。
【図5】他の実施形態にかかる包装用容器の蓋体突出部近傍の断面を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかる包装用容器(以下、単に容器と記す)1について図1〜4を用いて説明する。また、以下の説明において、「外方」、「内方」なる用語が用いられることがあるが、「外方」とは、容器の中心から見て水平方向に広がる方向をいい、「内方」とは、水平方向において容器の外側から中心側に向かう方向をいう。但し、これら「外方」、「内方」なる用語は、水平方向と一致する場合のみならず、それに対してある程度の角度範囲で傾斜する方向も含むものである。
【0023】
本実施形態にかかる容器1は、弁当や食品等の内容物を収容可能に構成されている。具体的には、図1に示すように、容器1は、内容物を収容可能に構成された容器本体2と、該容器本体2に対して着脱可能に構成された蓋体3とから構成されている。そして、容器本体2に蓋体3を取付けた際に、容器本体2と蓋体3との間に内容物を収容する収容空間が形成されるように構成されている。
【0024】
容器1の形状としては、特に限定されるものではなく、容器本体2に蓋体3が取付けられた状態において平面視(蓋体3側から容器1を見た状態)で、円形状、四角形状、楕円形状或いはこれらを組み合わせた形状を採用することができる。本実施形態においては、容器1は、俵形状を有している。
【0025】
容器本体2及び蓋体3は、プラスチックシート(合成樹脂製シート)を熱成形して構成され、プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリスチレン(PS)等を単独、或いは、2種類以上を混合したものを用いることができる。また、これらの樹脂にタルクや炭酸カルシウムなどの無機物を添加してもよく、2種類以上の樹脂を混合して用いる際には相溶化剤を添加してもよい。また、容器本体2は、着色が施された非発泡シート、もしくは、発泡シートであってもよく、蓋体3は、内容物を視認することができるようにする場合には透明であるのが好ましい。
【0026】
前記容器本体2は、図1に示すように、収容した内容物を載置する底部21と、該底部21の外周部から起立する本体周壁部22とを備えている。前記底部21の形状としては、特に限定されるものではなく、本実施形態では、平面視において俵形状に形成されている。
【0027】
また、前記本体周壁部22は、底部21の外周に沿って形成されている。本実施形態では、本体周壁部22は、底部21の外周の全域に亘って連続的に形成されている。これにより、本体周壁部22の上端部によって、容器本体2の開口部(詳しくは、平面視俵形状の開口部)が形成されている。また、本体周壁部22は、図2に示すように、底部21から外方に傾斜するように形成された傾斜側壁部22aと、該傾斜側壁部22aの上端から鉛直方向上方に向かって形成された垂直側壁部22bとを備えている。即ち、容器本体2の開口部は、垂直側壁部22bの上端部によって形成されている。
【0028】
本体周壁部22が傾斜側壁部22aを備えることで、容器本体2は、平面視における断面積が底部21側から開口部側に向かって広くなるように形成されている。これにより、容器本体2同士を重ねるに際し、一の容器本体2を他の容器本体2の内側に入れ込んで重ねることができるため、複数の容器本体2を重ねた際の容器本体2同士の間隔を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0029】
また、前記容器本体2は、容器本体2の開口部の周縁(以下、開口部周縁と記す)より外方に延出するように形成された本体フランジ部22dを備えている。該本体フランジ部22dは、容器本体2の開口部に沿って連続的に形成されている。また、本体フランジ部22dは、容器本体2に蓋体3が取付けられた状態(以下、閉蓋状態と記す)において、蓋体3に接触するように構成されている。具体的には、本体フランジ部22dは、先端部(開口部周縁から離間した位置の端部)が蓋体3と係合するように構成されている。より詳しくは、本体フランジ部22dは、閉蓋状態において、蓋体3に形成された蓋体係合部32c(蓋体係合部32cについては後述する)と係合するように構成されたフランジ係合部22eを先端部に備えている。
【0030】
また、本体フランジ部22dは、蓋体3と当接するように構成されている。具体的には、本体フランジ部22dは、前記先端部(即ち、フランジ係合部22e)よりも基端側(開口部周縁側)の領域が先端部よりも肉厚に形成されたフランジ膨出部22fを備え、該フランジ膨出部22fが蓋体3に形成された蓋体突出部31a(蓋体突出部31aについては後述する)と当接するように構成されている。
【0031】
前記蓋体3は、図1及び2に示すように、容器本体2の開口部を覆うように形成されている。具体的には、蓋体3は、開口部を覆うように形成された天面部31と、該天面部31の外周に沿って形成された蓋体側壁部32とから構成されている。前記天面部31は、容器本体2の開口部に対応した形状(即ち、平面視、俵形状)に形成されている。また、天面部31は、閉蓋状態において、容器本体2の開口部周縁よりも外方に外周端部が位置するように形成されている。即ち、天面部31の面積は、平面視における開口部周縁によって囲まれた領域の面積よりも広い面積となるように形成されている。
【0032】
一方、蓋体側壁部32は、図2に示すように、閉蓋状態において、天面部31の外周端部から下方に向かって形成され、本体フランジ部22dが天面部31と蓋体側壁部32とで囲まれた空間内に位置するように構成されている。
【0033】
また、蓋体側壁部32は、天面部31の外周端部から下方に向かって形成された第1側壁部32aと、該第1側壁部32aよりも外方に位置し、第1側壁部32aの先端部(天面部31から離れる側の端部)から更に下方に向かって形成された第2側壁部32bとから構成されている。これにより、蓋体3同士を重ねるに際し、一の蓋体3を他の蓋体3の内側に入れ込んで重ねることができる。詳しくは、図3に示すように、蓋体3同士を重ねた際に、一の蓋体3の天面部31及び第1側壁部32aが他の蓋体3の天面部31及び第2側壁部32bによって形成された空間内に配置することができる。これにより、複数の蓋体3を重ねた際の蓋体3同士の間隔を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0034】
また、蓋体側壁部32は、端部(即ち、蓋体3の外周縁部)が外方に向かって僅かに延出するように形成されている。また、その端部は、図示しないが、熱成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えるようになっている。これにより、蓋体3の外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、蓋体3を開閉する際の指先を保護することができ、また、包装フィルム(図示しない)を使用してラッピングする際に包装フィルムが裂断するのを防止することができる。さらに、蓋体3の外周縁の強度が増し、蓋体3が裂断するのを防止する効果もある。なお、上記した外周縁のエッジの鋭利さを解消するための種々の施策は、容器本体2の外周縁部(即ち、本体フランジ部22dの先端部)に施してもよい。
【0035】
また、蓋体3は、本体フランジ部22dと係合する蓋体係合部32cを備えている。該蓋体係合部32cは、蓋体側壁部32に備えられ、本体フランジ部22d(詳しくは、フランジ係合部22e)に下方から接触して係合するように構成されている。具体的には、蓋体係合部32cは、第2側壁部32bの一部が内方に向かって屈曲するように成形されることで、内方に向かって凸状となるように形成されたものである。
【0036】
また、蓋体係合部32cは、蓋体3の外周方向に所定の長さで形成されている。蓋体係合部32cが形成される箇所としては、特に限定されるものではないが、蓋体3の平面視における外周に沿って間隔を空けて複数個所に形成されることが好ましい。本実施形態では、蓋体係合部32cは、蓋体3の平面視における外周に沿って等間隔で8カ所設けられている。
【0037】
また、蓋体3の外周縁部には、図1に示すように、外方に向かって延出するように形成された舌片部32dが形成されている。該舌片部32dは、蓋体側壁部32(具体的には、第2側壁部)の端縁部から外方に向かって形成され、蓋体3を容器本体2から取り外す際に指で摘んで引き上げることができるように構成されている。なお、舌片部32dにも上記した外周縁のエッジの鋭利さを解消するための種々の施策が施されている。
【0038】
また、蓋体3は、天面部31より容器本体2側へ突出するように形成された蓋体突出部31aを備えている。該蓋体突出部31aは、天面部31の外周に沿って部分的に形成されている。具体的には、蓋体突出部31aは、天面部31の外周に沿った位置に容器本体2側へ向かって凹状部31bが成形されることで、天面部31より容器本体2側に突出するように形成されたものである。即ち、平面視において、蓋体突出部31aが形成された位置と凹状部31bが形成された位置とは、同一となっている。本実施形態では、閉蓋状態において本体フランジ部22dの上方に位置する蓋体3の領域に凹状部31bが形成されることによって、蓋体突出部31aが形成されている。また、これに伴い、蓋体側壁部32(詳しくは、第1側壁部32a)の一部が切り欠かれるように形成されている。即ち、本実施形態では、天面部31と蓋体側壁部32とで形成された角部の一部が容器本体2側に向かって凹状となるように成形されることで凹状部31bが形成され、これにより、該凹状部31bに対応した形状の蓋体突出部31aが天面部31の外周に沿って形成されている。そして、蓋体突出部31aは、閉蓋状態において、本体フランジ部22d(具体的には、フランジ膨出部22f)に上方から当接するように形成されている。
【0039】
また、蓋体突出部31aは、天面部31の外周に沿って部分的に備えられている。具体的には、蓋体突出部31aは、天面部31の外周に沿って間隔を空けて複数形成されている。蓋体突出部31a(即ち、凹状部31b)の形成される箇所としては、特に限定されるものではないが、平面視における蓋体3の中心部に対して略対称な位置に形成されることが好ましい。また、蓋体突出部31aの形成位置は、所定数量の蓋体3を作製した際にそれぞれ異なる位置となるように形成されている。例えば、10個の蓋体3を作製した際に各蓋体に備えられた蓋体突出部31aの形成位置が蓋体毎に異なるように形成されている。これにより、複数の蓋体3を重ね合わせた際には、接触する蓋体3同士の蓋体突出部31a(即ち、凹状部31b)の位置関係が平面視において異なる位置となるように重ね合わせることができる。具体的には、図4に示すように、接触する蓋体3同士のうち、一の蓋体3における凹状部31b(蓋体突出部31a)の位置と他の蓋体3における蓋体突出部31a(凹状部31b)の位置とが平面視において重なり合わないように構成されている。なお、容器本体2に取付けられる蓋体3は、上記所定数量の蓋体3のうちから選択された一つである。
【0040】
次に、閉蓋状態における容器本体2と蓋体3との関係について説明する。容器本体2に蓋体3を取付ける際には、容器本体2の上端部(即ち、開口部及び本体フランジ部22d)を上方から覆うようにして蓋体3を取付ける。この際、蓋体係合部32cは、フランジ係合部22eを上方から乗り越えて、図2に示すように、フランジ係合部22eの下方に位置する。これにより、蓋体係合部32cとフランジ係合部22eとが係合した状態(いわゆる、外嵌合した状態)となる。そして、蓋体突出部31aは、本体フランジ部22d(詳しくは、フランジ膨出部22f)に上方から当接した状態となる。これにより、蓋体3が容器本体2に下方から支えられ、安定した取付け状態を維持することが可能となっている。
【0041】
以上のように、本願実施形態に係る容器1は、容器本体2と蓋体3との間に内容物が噛み込まれてしまうのを抑制することができると共に、蓋体3の天面部31における印刷可能な面積をより広く確保することができる。
【0042】
即ち、前記容器1は、蓋体3が天面部31の外周に沿って部分的に形成された蓋体突出部31aを備えることで、本体フランジ部22dと蓋体突出部31aとが容器本体2の開口部の周縁に沿って部分的に当接することとなる。このため、本体フランジ部22dと蓋体突出部31aとの間に内容物が噛み込まれてしまうのを抑制することができる。更に、天面部31の外周端部が容器本体2の開口部の周縁よりも外方に位置するように形成されているため、天面部31における印刷可能な面積を広く確保することができる。
【0043】
また、蓋体3が容器本体2に取付けられた際に、蓋体3(具体的には、蓋体側壁部32)が本体フランジ部22dに下方から接触して係合するように構成された蓋体係合部32cを備えることで、容器本体2と蓋体3とが外嵌合し、蓋体3を容器本体2に確実に固定することできると共に、本体フランジ部22dと蓋体係合部32cとの係合を解くことで容易に取り外しを行なうことができる。
【0044】
また、前記容器1は、蓋体突出部31aの形成位置がそれぞれ異なる位置となるように形成された所定数量(例えば、5〜10個)の蓋体3のうちから選択された一つの蓋体3が容器本体2に取付けられるものである。かかる構成によれば、複数の蓋体3を重ね合わせる際に、接触する蓋体3同士の蓋体突出部31aと凹状部31bとの位置関係が平面視において異なる位置となるように重ね合わせることができる。これにより、一の蓋体3の蓋体突出部31aは、他の蓋体3の天面部31に当接することとなり、接触する蓋体3同士の間に間隔が形成される。このため、蓋体3同士が密着することがなくなり、ブロッキングを防止することができる。
【0045】
また、前記容器1は、蓋体3の外周縁部から外方に向かって延出すように舌片部32dが形成されることで、容器本体2に蓋体3が取付けられた状態から、舌片部32dを摘んで引き上げた際の力が蓋体側壁部32に直接伝わるため、蓋体3を容器本体2から容易に取り外すことができる。
【0046】
なお、本発明にかかる包装用容器は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、蓋体側壁部32が第1側壁部32aと第2側壁部32bとから構成されているが、これに限定されるものではなく、図5(a)に示すように、閉蓋状態において、天面部の外周端部が本体フランジ部の先端部に至るように形成され、天面部の外周端部から垂下するように蓋体側壁部が形成されてもよい。かかる構成によれば、上記実施形態における天面部31の外周端部の位置よりも外方に天面部31の外周端部が位置することとなるため、天面部31の面積がより広いものとなり、印刷可能な面積をより広く確保することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、蓋体突出部31a(凹状部31b)が形成されることで、天面部31と第1側壁部32aとによって形成された角部が切り欠かれるように形成されているが、これに限定されるものではなく、図5(b)に示すように、第1側壁部32aから離れた位置に蓋体突出部が形成されてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、天面部31の外周に沿って凹状部31bが形成されることで、凹状部31bに対応した形状の蓋体突出部31aが形成されているが、これに限定されるものではなく、天面部とは別体として、蓋体突出部を形成し、天面部の外周に沿って容器本体側に該蓋体突出部を取付けるようにしてもよい。かかる構成によれば、凹状部31bが形成されないため、上記実施形態で凹状部31bが形成されていた領域にも印刷を施すことが可能となり、印刷可能な面積をより広く確保することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…包装用容器、2…容器本体、3…蓋体、21…底部、22…本体周壁部、22a…傾斜側壁部、22b…垂直側壁部、22d…本体フランジ部、22e…フランジ係合部、22f…フランジ膨出部、31…天面部、31a…蓋体突出部、31b…凹状部、32…蓋体側壁部、32a…第1側壁部、32b…第2側壁部、32c…蓋体係合部、32d…舌片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁より外方に延出する本体フランジ部を備えた容器本体と、該容器本体の開口部を覆う蓋体とを備えた包装用容器において、
前記蓋体は、容器本体に取付けられた際に、容器本体の開口部の周縁よりも外方に外周端部が位置する天面部と、該天面部より容器本体側へ突出して本体フランジ部に上方から当接する蓋体突出部とを備え、該蓋体突出部は、前記天面部の外周に沿って部分的に備えられていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記天面部の外周に沿って形成された蓋体側壁部と、前記本体フランジ部に接触して係合する蓋体係合部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記蓋体は、蓋体突出部が平面視においてそれぞれ異なる位置となるように形成された所定数量の蓋体のうちから選択された一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記蓋体は、蓋体の外周縁部から外方に向かって延出するように形成された舌片部を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−16539(P2011−16539A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160786(P2009−160786)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】