説明

包装用容器

【課題】 この発明は、外容器に内容器を収納して容器側壁の縁に口を付けて飲用に供される飲料用包装容器において、内容器の容量を少なくしつつも外容器を大きくし、かつ、飲用時には内容器が外容器内で安定し、こぼさずに飲料を飲むことができる飲料用包装容器を得ることを課題とする。
【解決手段】 この発明の飲料用包装容器は、上部が開口した平面視多角形の外容器Aと、この外容器に回転可能に収納された内容器Bとを備え、前記外容器Aの側壁2(4)にはスリット23(43)を形成し、前記内容器Bには外向きの係止片71を形成し、飲用時には、前記内容器Bを回転させて係止片71を前記スリット23(43)に係止することにより前記内容器Bを外容器Aに固定できるようにして構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酒などの飲料その他の飲食物を包装するための容器であって、飲用にも適した包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カップ酒や缶入り飲料のように、容器の縁に直接口を付けて飲用に供される飲料用包装容器は、円筒形状のものが一般的である。円筒形状であれば、周壁に角がないので持ちやすい上、容器の縁に口を付けて飲む際に飲料の流れが口元方向に規制され、飲みやすいからである。
他方、紙パック飲料のような直方体形状の飲料用包装容器も存在するものの、このような包装容器を用いて包装された飲料を飲む場合、付属のストローを包装容器のストロー差込口に突き刺して飲用に使用するのが通常であり、包装容器に直接口を付けて飲料を飲むことはない。
【0003】
直方体形状をした飲料用包装容器であって、飲用時に直接容器に口を付けて包装された飲料を飲むことができる容器として、例えば、特開2001−247163号公報に記載された発明がある。
この発明は、上部が開口した升状の外容器に、上蓋で開封可能に封止された内容器が収納された乾杯用容器である。
この発明によれば、内容器は上蓋で封止された状態で外容器に収納されるので、飲料用包装容器として使用することができるとともに、飲用時には、外容器に内容器を収納したまま内容器の上蓋を開封し、外容器の飲み口に口を付けて飲料を飲むことができる。
【特許文献1】特開2001−247163号公報
【0004】
しかしながら、この発明は古来からある升に内容器を装着することによって包装用容器としても使用できるようにしたものにすぎず、内容器は外容器の内周に接する大きさであって安定した状態で装着されており、その結果、容量の大小がそのまま外容器の大きさに反映され、小容量としながら外容器を大きくすることはできない。また、飲み口は升を模した外容器の隅角部分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、外容器に内容器を収納して内容器に内容物を包装するようにした包装用容器において、内容器の容量を少なくしつつも外容器を大きくし、かつ、飲食時には内容器が外容器内で安定しこぼさずに飲食することができる、特に飲料用に適した包装用容器を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の包装用容器は、上部が開口した平面視多角形の外容器と、この外容器に回転可能に収納された内容器とを備え、前記外容器の側壁にはスリットを形成し、前記内容器には外向きの係止片を形成し、飲用時には、前記内容器を回転させて係止片を前記スリットに係止することにより前記内容器を外容器に固定できるようにして構成する。
【0007】
外容器を平面視多角形とするのは、内容器を回転させて係止片をスリットに係止させるためである。
スリットは、内容器に形成された係止片を係止させることができる切れ目であればよく、その形状は問わない。このスリットは、少なくとも外容器の一の側壁に一つ形成されていればよいが、対向する一対の側壁に形成するなど、複数の側壁に形成すると安定性が増す。
【0008】
外容器の一又は複数の側壁上縁に抉り部を形成すると飲みやすくなる。この抉り部は、側壁上縁の中央部付近が側壁上縁の水平ラインよりも低くなるように形成してあればよく、その形状は問わない。
【0009】
係止片は、内容器の外側に形成される板状の片であって前記スリットに係止可能なものであればよいが、内容器の周壁上端縁にフランジとして形成すると、製造が容易であり、かつ係止させやすい。
【0010】
内容器は、外容器内に収納可能であればその形状は問わない。また、内容器は、飲料を充填することができる素材で構成されていればよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上部が開口した平面視多角形の外容器と、この外容器に回転可能に収納された内容器とを備え、前記外容器の側壁にスリットを形成するとともに前記内容器には外向きに突出した係止片を形成し、飲用時には内容器を回転させて係止片を外容器のスリットに係止して内容器を外容器に固定できるものとしたので、内容器の容量を少なくしながら外容器を大きくし、かつ、飲用時等に内容器を外容器内に固定することができ安定するので、こぼさずに飲料を飲むなど内湯物を飲食することができる。
また、飲用時には外容器の隅角部ではなく側壁側から飲むことができるので、飲みやすい。
【0012】
請求項2の発明によれば、外容器の対向する一対の側壁にスリットを形成してあるので、この一対のスリットに係止片を係止させることによって内容器をバランスよく外容器内に固定することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、外容器の一又は複数の側壁上縁に抉り部を形成したので、この抉り部によって内容器の飲み口が外容器から露出され、直接飲み口に口を当てることができる。特に、抉り部を対向する二つの側壁上縁に形成した場合には、内容器を回転させて係止片をスリットに係止させる際、この抉り部から外容器内に収納された内容器を持つことができ、係止操作を容易に行うことができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、係止片は、内容器の周壁上端縁にフランジとして形成したので、内容器にフィルムなどで蓋をする際のヒートシール部としてのフランジを係止片として利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、この発明の包装用容器の概要を示す分解図である。この発明の包装用容器は、上部が開口した略方形の外容器Aと、この外容器Aに収納可能な略方形の内容器Bとを備える。
【0016】
外容器Aは、やや厚手の紙で構成され、底部1及び側壁2,3,4,5を備える。対向する側壁2,4の上縁21,41には、それぞれ上縁21,41を折り目として折り曲げ可能なフラップ22,42が連設され、上縁21,41の中央にはスリット23,43が形成されている。また、もう一方の対向する側壁3,4の上縁31,51にはそれぞれ凹弧状の抉り部32,52が形成されている。
なお、外容器Aは折り畳み可能な箱体として構成することもできる。
【0017】
内容器Bは、飲料が充填される容器であって、ポリエチレン、PET等の合成樹脂で構成され、外容器A内に回転可能に収納される大きさの略方形に形成されている。内容器Bの隅部にはRを形成し、飲みやすい形状としてある。周壁上端縁の外側にはフランジ7がその全周に亘って形成されている。
前記隅部のRは、内容器を回転させた際に外容器の側壁内面に無理なく摺接してなめらかに回転させるという効果も有するものであり、併せて内容器を無理なく回転させるために、前記外容器のスリットは、引用時に係止する部分の左右に余裕を持って形成してある。
このフランジ7の外周は、外容器A内に収納されるよう外容器Aの内周よりもやや小さく形成されているものの、外容器Aの内周とほぼ同じ形状、大きさに形成し、運搬時の安定性を高めてある。前記フランジ7の隅部が係止片71となる。
また、フランジ7の上面には、フィルムからなる蓋8がヒートシールされ、これにより内容器Bの開口部6が開封可能に密封されている。
また、蓋8の隅部には蓋開封用の開封片81が設けられている。
【0018】
図2は、外容器Aに内容器Bを収納した状態を示す図である。
内容器Bの収納時において、外容器Aのフラップ22,42はそれぞれ内側に折り曲げられ、内容器Bは外容器A内にすっぽり収納される。
【0019】
図3は、この発明の包装用容器の内容器Bを回転させて外容器Aに固定させた状態を示す図である。この状態にする手順を以下に説明する。
図2の状態の包装用容器において、外容器Aの側壁3,5に形成された凹弧状の抉り部32,52から内容器Bのフランジ7を持ち、そのまま蓋8の開封片81が外容器Aの抉り部32,52の何れか側に位置するように、内容器Bを外容器Aの中で水平方向に回転させる。このとき、外容器Aの内周とほぼ同じ大きさに形成された内容器Bのフランジ7の隅部である係止片71,71がスリット23,43に挿入されて外容器Aの側壁3,5の外側へ突出してスリットに係止し、外容器Aと内容器Bとが固定される。
この状態で、蓋8の開封片81を持って蓋8をはがし、内容器Bを開封すると、外容器Aの側壁3側に飲み口9が得られる(図4)。
【0020】
以上のように、内容器の容量を小さくしながら外容器を大きくし、かつ、飲用時には内容器を外容器内に安定して固定させることができ、飲料を飲む際に内容器が外容器から外れてしまうようなことがない。
また、飲み口9は外容器Aの側壁側に得られ、しかも、Rを形成した内容器Bの隅部で構成されているから、飲料の流れが飲み口方向に規制され、飲用時に口元の脇からこぼれてしまうこともない。
そして、飲み口9近傍の外容器Aの側壁上側部には抉り部32が設けられているので、飲み口9に口を付ける際に側壁3が邪魔にならず、直接飲み口に口を付けて飲むことができる。
【0021】
この包装用容器に飲料を包装して流通過程に置く場合、図5に示すように、内容器Bを収納した外容器Aの上部、側壁3,5、底面を覆うようにスリーブCを巻き付けることもできる。スリーブCは合成樹脂フィルムや厚紙などのシート状素材で構成し、開封しやすいように切り取り線を設けておいてもよい。
このようにスリーブCによって、外容器A上部の開口部、側壁3,5の抉り部32,52を覆い隠すことができ、外容器A内への異物混入を防止することができると共に、包装パッケージとして優れた美感を得ることができる。
また、外容器やスリーブに種々の図柄や商標、商品説明などを表示することができる。そして、外容器は内容器よりも大きくすることができるので、広い表示スペースを得ることができ、かつ商品のボリュームを増大させ得ることができるので売り場で目立たせることができる。
【0022】
図6は内容器Bの本体形状を略円筒形とした実施例(実施例2)であり、内容器Bの本体形状を外容器A内に収納される大きさの略円筒形に形成した点以外は、フランジ7の外周形状も含めて上記実施例(実施例1)と同じ構成である。
【0023】
図7は外容器Aを平面視六角形とし、内容器Bをこの外容器A内に収納される大きさの略六角形に形成した実施例(実施例3)であり、外容器Aの一つおきの側壁の上縁にそれぞれ折り曲げ可能なフラップを連設してスリットを形成し、スリットが形成されてない側壁の上側縁にそれぞれ凹弧状の抉り部を形成した点以外は、上記実施例(実施例1)と同じ構成である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、酒などの飲料その他の飲食物を包装するための容器であって、飲用にも適した包装用容器に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1の実施例において外容器Aと外容器Bを分離した状態を示す図
【図2】同じく外容器Aに内容器Bを収納した状態を示す図
【図3】同じく内容器Bを回転させた状態を示す図
【図4】同じく蓋8を開封した状態を示す図
【図5】同じくスリーブCを巻き付けた状態を示す図(内容器Bは省略)
【図6】この発明の第2の実施例において内容器Bを回転させた状態を示す図
【図7】この発明の第3の実施例において内容器Bを回転させた状態を示す図
【符号の説明】
【0026】
A 外容器
B 内容器
C スリーブ
1 底面
2,3,4,5 側壁
21,31,41,51 上側縁
22,42 フラップ
23,43 スリット
32,52 抉り部
6 開口部
7 フランジ
71 係止片
8 蓋
81 開封片
9 飲み口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した平面視多角形の外容器と、この外容器に回転可能に収納された内容器とを備え、
前記外容器の側壁にはスリットが形成され、
前記内容器には外向きに突出した係止片が形成され、
飲用時には、前記内容器を回転させて係止片を前記スリットに係止することにより前記内容器を外容器に固定できるようにした、
包装用容器。
【請求項2】
スリットは、外容器の対向する一対の側壁に形成された、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
外容器の一又は複数の側壁上縁に抉り部が形成された、請求項1又は2記載の包装用容器。
【請求項4】
係止片は、内容器の周壁上端縁にフランジとして形成された、請求項1ないし3の何れかに記載の包装用容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101821(P2012−101821A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251481(P2010−251481)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(593119387)株式会社三宅本店 (1)
【出願人】(597102886)株式会社クルー (1)
【Fターム(参考)】