包装用容器

【課題】内容物の消費後、極めて容易かつ安全にコンパクトな状態に圧縮することのできる包装用容器の提供。
【解決手段】それ自体では保形性を付与し得ない柔軟性素材を用いて少なくとも容体周壁部を内・外二重構造とし、かつ当該内・外二重周壁間に気体又は液体を封入したことを特徴とする包装用容器。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は包装用容器、更に詳細には水、茶、清涼飲料、果実飲料、スープ、ソース、醤油、食用油脂、みそ等の食品や、工業油、塗料等の化学物質等の各種液状又はペースト状物質を収容するための包装用容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、液状又はペースト状物質の包装用容器としては、ガラス、金属、合成樹脂等を素材とした種々のものが実用に供され、近年に於てはその軽便性の故に所謂ペットボトルが汎用されている。
【０００３】然しながら、従来の容器はペットボトルを初めとして、内容物を消費し、空になった場合容器が嵩張るため、保管効率や運送効率が悪く、ゴミ処理上大きな問題となっている。而して、従来は、当該嵩をできるだけ小さくするため、一般家庭に於ては押しつぶしてゴミ出ししていたのが実状であったが、斯かる操作は甚だ面倒であるにも拘らず、平板状に押しつぶすことは極めて困難であり、しかも時として負傷をしてしまうと云う危険性があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は斯かる従来の問題に鑑みてなされたものであり、内容物の消費後、極めて容易に、かつ安全にコンパクトな状態に圧縮することのできる包装用容器を提供することを目的とする。
【０００５】而して、本発明者は上記目的を達成すべく、容器構造について種々研究を重ねた結果、それ自体では保形性を付与し得ない柔軟性素材を用いて二重容器構造とした上、当該二重構造により形成されるスペース部に気体や液体を封入すれば、容体として十分なる保形性を付与し得る一方、内容物を消費して空になった場合には、二重構造部に封入した当該気体や液体を抜き取れば、容体の保形性が消失するので、自然に縮小してコンパクトな状態となると云う極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【０００６】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はそれ自体では保形性を付与し得ない柔軟性素材を用いて少なくとも容体周壁部を内・外二重構造とし、かつ当該内・外二重周壁間に気体又は液体を封入したことを特徴とする包装用容器により上記目的を達成したものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】本発明に於て、二重構造とする部分は底部を含めた容体全体であっても良いが、少なくとも容体周壁部を内・外二重構造とすることが必要である。尚、容体自体の形態は円筒状、角筒状等その如何を問わない。
【０００８】本発明に於て、斯かる二重構造部の素材は、それ自体としては保形性を付与し得ない柔軟性素材を用いることが、空容器をコンパクト化する上で必須であり、例えばナイロン等の厚さ５０〜２００μｍの合成樹脂フィルムが好ましいものとして挙げられる。尚、該二重構造部以外の容体素材はその種類の如何を問わないが、二重構造部と同一の素材を用いるのが成形上及びコンパクト化上更にはゴミ処理上好ましい。
【０００９】本発明に於て、内・外二重周壁間に封入される気体や液体としては、例えば空気や水が取り扱い性並びに抜き取り廃棄性に優れ、好ましい。
【００１０】本発明に於ける内・外二重周壁は、容体頸部のみで止着接合し、他は全て内・外周壁間にスペースを形成せしめたものであっても良いが、適宜箇所に於て、更に接合部を設けるのが保形性を向上せしめる上でより有利である。尚、この場合接合部により当該スペースを完全に区分けし、互に流通性ない複数の区分室とすれば、仮に一部の区分室が破損し、気体や液体が漏出しても、全体としては尚保形性を保持せしめることができ、特に良い結果が得られる。
【００１１】本発明に於ては、当該容体の開口部端面に、更に開閉用の凹凸嵌合ラインファスナーを備えた柔軟性素材より成る突出ノズルを、当該開口部に連通せしめて形成するのが、内容物を一回で使用し切れなかった場合等に於て、当該凹凸嵌合ラインファスナーの開閉操作により残量を密封保存し得る一方、必要な時に再使用することができ、より望ましい。しかも、斯かるノズルを設けた場合には、金属製キャップ等を用いた場合の如き分別回収の問題が生じず、ゴミ処理上も有利である。尚、当該凹凸嵌合ラインファスナーの形設本数としては密封性の保持をより確実なものとするため、複数本とするのが好ましい。
【００１２】また、上記の如き突出ノズルを形設する場合には、当該突出ノズルの外側部に、凹凸嵌合ラインファスナーの嵌合状態をより容易に離脱せしめてノズルを開口するために、更に一対の嵌合離脱操作用つまみ突片を付設するのが好ましい。
【００１３】
【実施例】以下実施例を示す図面と共に本発明を更に説明する。
【００１４】図１及び図２は本発明の第一の実施例を示すもので、容体１はその全体がそれ自体では保形性を付与し得ないナイロンフィルム（厚さ１２０μｍ）で円筒状に成形されており、その周壁部１１は内周壁１１ａと外周壁１１ｂの内・外二重構造となっている。この内周壁１１ａと外周壁１１ｂとの間には空気２が封入され、容体１の直立状態を保持している。３は突出ノズルで、同様にナイロンフィルムで構成され、ノズル口３１を容体１の開口部１４に連通せしめて突出形成されている。この突出ノズル３には、圧扁時対接する内面に、ノズル口３１を開閉する凹凸嵌合ラインファスナー４が上下平行に二本設けられていると共に、その上部外側に一対の嵌合離脱操作用つまみ突片５が付設されている。
【００１５】図３は本発明の第二の実施例を示すもので、周壁部１１が内周壁１１ａと外周壁１１ｂとの内・外二重構造となっているのみならず、底壁部１２も内底壁１２ａと外底壁１２ｂとの内・外二重構造となっており、しかも当該内・外二重構造部には適宜箇所に接合部１３が設けられて複数の区分室が形成され、その各区分室に空気２が封入されているものである。尚、他の符号は第一の実施例と同一部材を示す。
【００１６】斯かる本発明の両実施例によれば、内・外二重構造部に空気が封入されているので、容体１は保形性が付与され、その直立状態が保持され、通常のペットボトルと同様に内容物を充填収容し得ると共に、内容物を消費し、空になった場合には、当該二重構造部を適宜破披等して封入されている空気を抜き取れば、最早保形性を保持し得ないので、自然に縮小する。更に必要があれば手等で押圧するだけで、手軽によりコンパクトな状態とすることができる。また、残量のある場合には、凹凸嵌合ラインファスナー４を適宜利用することにより一旦封止（図４）し、必要なときに開封して再利用することができる。この開封に際しては、つまみ突片５を持ち、互いに反対方向（図４中矢印方向）に引くことにより、容易に嵌合状態が離脱し、ノズル口３１が開口される。
【００１７】
【発明の効果】本発明によれば、包装用容器を内容物の消費後、極めて容易に、かつ安全にコンパクトな状態に圧縮することができるので、ゴミ処理上に於ける嵩の問題を効果的に解消し得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明包装用容器の第一の実施例を示す斜視図。
【図２】本発明包装用容器の第一の実施例を示す断面説明図。
【図３】本発明包装用容器の第二の実施例を示す断面説明図。
【図４】ノズル部の拡大断面説明図。
【符号の説明】
１：容体
１１：周壁部
１１ａ：内周壁
１１ｂ：外周壁
１２：底壁部
１２ａ：内底壁
１２ｂ：外底壁
１３：接合部
２：空気
３：突出ノズル
４：凹凸嵌合ラインファスナー
５：つまみ突片

【特許請求の範囲】
【請求項１】それ自体では保形性を付与し得ない柔軟性素材を用いて少なくとも容体周壁部を内・外二重構造とし、かつ当該内・外二重周壁間に気体又は液体を封入したことを特徴とする包装用容器。
【請求項２】内・外二重周壁を適宜箇所で接合したことを特徴とする請求項１記載の包装用容器。
【請求項３】内・外二重周壁間に複数の区分室を形成したことを特徴とする請求項１又は２記載の包装用容器。
【請求項４】更に、開閉用の凹凸嵌合ラインファスナーを備えた柔軟性素材より成る突出ノズルを有することを特徴とする請求項１〜３の何れか１項記載の包装用容器。
【請求項５】更に、突出ノズルの外側部に一対の嵌合離脱操作用つまみ突片を有することを特徴とする請求項４記載の包装用容器。

【図４】