説明

包装用緩衝パッド

【課題】底トレイ(2)の側面(2g)と被包装物である製品(5)の側板(5a)との間の隙間に入れて製品を保護するように段ボールのブランクを折り曲げて形成される包装用緩衝パッド(10)によって製品(5)の強度の弱い部分が損傷してしまうのを防止する。
【解決手段】製品(5)の側板(5a)の縁部の所定幅に形成される第1領域(A1)に対応する第1緩衝部(B1)と、第1領域(A1)よりも低強度の第2領域(A2)に対応する第2緩衝部(B2)とを包装用緩衝パッド(10)に形成する。第1緩衝部(B1)を荷役時や輸送時の荷重を主として受けるように複数枚の段ボール積層構造に構成し、第2緩衝部(B2)は製品(5)の側板(5a)の移動を許容するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製のブランクを折り曲げて形成される包装用の緩衝パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールのブランクを折り曲げて形成した包装用緩衝パッドは、種々の製品(被包装物)を包装する際に用いられている。例えば、この包装用緩衝パッドは、業務用空調機の室内ユニットのような直方体形状の製品を梱包する際に、底トレイや天トレイなどの梱包外装材とともに用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この緩衝パッドは、製品の側板が梱包外装材の側面に接触しないように、梱包外装材の底面や天面の側縁部(底面や天面の四辺のうちの少なくとも対向する二辺)に入れられる。こうすることにより、製品を包装したとき、梱包外装材の側面と製品の側板との間の隙間を緩衝パッドで維持することができるので、荷役時の衝撃および輸送時の振動で製品の側板に衝撃が加わるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−103462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、業務用空調機の室内ユニットのように、ケーシングが金属の薄いプレートを稜部で接合した構成である場合、ケーシングの稜部の接合部のわずかな範囲(例えば稜部近辺の20mm程度の範囲)だけは強度が強くなるが、稜部近辺から離れた部分(例えば上記の20mmを超える範囲)ではケーシングの強度が弱くなる。そのため、荷役時の衝撃や輸送時の振動などで上記包装用緩衝パッドが製品強度の弱い部分に当接すると、ケーシングの側板が変形するなど、損傷してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、梱包外装材の底面や天面の側縁部に入れて製品を保護する包装用緩衝パッドにより製品強度の弱い部分が損傷するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、段ボールのブランク(20)を折り曲げることにより形成されるとともに、底トレイ(2)や天トレイ(3)などの梱包外装材(2,3)の側面と被包装物(5)の側板(5a)との間の隙間に装着される包装用緩衝パッドを前提としている。
【0008】
そして、この包装用緩衝パッドは、被包装物(5)の縁部の所定幅に形成される側板(5a)の第1領域(A1)に対応する範囲に形成される基部である第1緩衝部(B1)と、該被包装物(5)の縁部よりも低強度で側板(5a)の第1領域(A1)に隣接する第2領域(A2)に対応する範囲に形成される先端部である第2緩衝部(B2)とを備え、上記第1緩衝部(B1)が荷役時および輸送時の荷重を主として受けるように複数枚の段ボール積層構造に構成される一方、上記第2緩衝部(B2)は上記被包装物(5)の側板(5a)の移動を許容するように構成され、上記第1緩衝部(B1)には、被包装物(5)の側板(5a)に対する当接面に複数の切り欠き(24)が形成されていることを特徴としている。
【0009】
この第1の発明では、被包装物(5)は包装用緩衝パッドとともに梱包外装材(2,3)で梱包される。このとき、包装用緩衝パッドは、被包装物(5)の側板(5a)の強度が相対的に強い第1領域(A1)に第1緩衝部(B1)が対応して位置し、被包装物(5)の側板(5a)の強度が相対的に弱い第2領域(A2)に第2緩衝部(B2)が対応して位置する。そして、被包装物(5)の荷役や輸送をしているときに梱包外装材(2,3)に衝撃や振動が加わると、その荷重は、上記第1緩衝部(B1)で受けることになる。一方、第2緩衝部(B2)は、梱包外装材(2,3)に荷役時や輸送時の衝撃が加わっても被包装物(5)が移動できるように構成されているため、被包装物(5)の側板(5a)の強度が弱い第2領域(A2)に衝撃荷重が加わるのを阻止できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1緩衝部(B1)と第2緩衝部(B2)を覆って被包装物(5)に沿って延在するガイドフラップ(16)を有し、該ガイドフラップ(16)は、第1緩衝部(B1)の基部側端部から第2緩衝部(B2)の先端側端部へ向かって、被包装物(5)の側面から離れるように傾斜していることを特徴としている。
【0011】
この第2の発明では、梱包外装材(2,3)の底面や天面の側縁部に先に包装用緩衝パッドを装着した状態で被包装物(5)を梱包する際に、ガイドフラップ(16)の傾斜に沿って被包装物(5)を入れることができる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記第1緩衝部(B1)の積層された複数の段ボール同士を留めるように、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)と、該凸部(24a)が嵌合する(24b)とが上記ブランク(20)に形成されていることを特徴としている。
【0013】
この第3の発明では、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)をブランク(20)の凹部(24b)に係合させることにより、第1緩衝部(B1)を構成する複数枚の段ボールが重ねられた状態に保持される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被包装物(5)の側板(5a)の強度が相対的に強い第1領域(A1)に対応する第1緩衝部(B1)と、該側板(5a)の強度が相対的に弱い第2領域(A2)に対応する第2緩衝部(B2)とを包装用緩衝パッドに設け、主として第1緩衝部(B1)で荷役時や輸送時の荷重を受ける一方、第2緩衝部(B2)は梱包外装材(2,3)に荷役時や輸送時の衝撃が加わっても被包装物(5)が移動できるようにしているので、梱包外装材(2,3)に衝撃が加わっても、被包装物(5)の側板(5a)の強度が弱い第2領域(A2)には大きな衝撃荷重は与えられない。このように、本発明によれば、被包装物(5)の側板(5a)の強度が弱い第2領域(A2)を効果的に保護できるので、被包装物(5)の側板(5a)が変形したり損傷したりするのを防ぐことが可能になる。また、第1緩衝部(B1)には、被包装物(5)の側板(5a)に対する当接面に複数の切り欠き(24)を形成することにより該第1緩衝部(B1)の強度を調整することができるので、上記第1領域(A1)を受けるのに適した強度に設定することができる。
【0015】
上記第2の発明によれば、梱包外装材(2,3)の底面や天面の側縁部に先に包装用緩衝パッドを装着した状態で被包装物(5)を梱包する際に、ガイドフラップ(16)の傾斜に沿って被包装物(5)を案内することができるので、包装作業を容易に行うことができる。また、ガイドフラップ(16)を設けることにより、被包装物(5)が包装用緩衝パッドに乗り上げて位置がずれてしまうのを防止できる。
【0016】
上記第3の発明によれば、第1緩衝部(B1)の積層された複数の段ボール同士を留めるように、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)をブランク(20)の凹部(24b)に嵌合させることにより、第1緩衝部(B1)を構成する複数枚の段ボールを重ねた状態に保持することができる。したがって、包装用緩衝パッドの第1緩衝部(B1)を簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係る包装用緩衝パッドを用いて空気調和装置の室内機を梱包する状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、室内機を梱包用外装材で梱包した状態を示す部分断面図である。
【図3】図3は、包装用緩衝パッドの部分斜視図である。
【図4】図4(A)は上記室内機の平面図、図4(B)は室内機の側面図である。
【図5】図5は、包装用緩衝パッドを形成するためのブランクの平面図である。
【図6】図6は、底トレイの展開形状と組立状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、包装用緩衝パッドを底トレイに取り付ける状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態は、被包装物である空気調和装置の室内機を梱包外装材(底トレイと天トレイ)で梱包する例を示す実施形態である。
【0019】
図1は、梱包外装材である底トレイ(2)および天トレイ(3)と本発明に係る包装用緩衝パッド(10)を用いて上記室内機(5)を梱包する状態を示す斜視図、図2は、上記室内機(5)を梱包外装材(2,3)で梱包した状態を示す部分拡大断面図、図3は、包装用緩衝パッド(10)の部分斜視図、図4(A)は上記室内機(5)の平面図、図4(B)は室内機(5)の側面図である。
【0020】
上記室内機(5)は、図4に示すように平面から見て長方形で箱形のケーシング(6)を有している。このケーシング(6)の内部には、室内ファン(7)や室内熱交換器(図示せず)が収納されている。室内機(5)のケーシング(6)の天面には、空気吸込口(8a)と空気吹出口(8b)が形成されている。空気吸込口(8a)は室内ファン(7)に対応した位置に形成された円形の開口により構成され、空気吹出口(8b)は、ケーシング(6)の長手方向に沿う細長い開口により構成されている。ケーシング(6)は、金属の薄いプレート材を稜部で接合することにより構成されている。
【0021】
この室内機(5)は、室外に設置される室外機(図示せず)と冷媒配管で接続されて、冷媒回路が構成されるようになっている。そして、空気吸込口(8a)から室内空気を吸い込む一方、冷媒回路内を冷媒が循環する際に、室内空気を室内ファン(7)で室内熱交換器に通過させて該室内空気を冷却または加熱し、この空気を空気吹出口(8b)から室内に供給することで室内の冷房または暖房が行われる。
【0022】
上記包装用緩衝パッド(10)は、図1及び図2に示すように、底トレイ(2)の底面や天トレイ(3)の天面の側縁部において、底トレイ(2)および天トレイ(3)の側面(底トレイ2の側面:2g)の内側と室内機(5)の側板(5a)との間の隙間に装着されるようになっている。包装用緩衝パッド(10)は、具体的には、底トレイ(2)に組み付けられている。底トレイ(2)は、段ボールで形成された長方形のトレイである。そして、上記包装用緩衝パッド(10)は、底トレイ(2)の短辺側の縁部に組み付けられて保持された状態で、底トレイ(2)と一緒になっている。
【0023】
また、包装用緩衝パッド(10)は、天トレイ(3)の側面内側にも組み付けられる。天トレイ(3)も長辺寸法と短辺寸法が底トレイ(2)と同様に構成されている。天板側の包装用緩衝パッド(10)は、天トレイ(3)の短辺側の縁部に組み付けられるようになっている。本実施形態では、底板側の包装用緩衝パッド(10)についてのみ説明し、天板側の包装用緩衝パッド(10)については説明を省略する。天板側の包装用緩衝パッド(10)と底板側の包装用緩衝パッド(10)は形状は若干異なるものの、基本的な構成はほぼ同じである。なお、包装用緩衝パッド(10)は、底板側と天板側が同じものであってもよい。
【0024】
上記包装用緩衝パッド(10)は、段ボール製の1枚のブランク(20)(図5参照)を折り曲げることにより形成されている。包装用緩衝パッド(10)は、図1〜図3に示すように、底板(11)と背板(12)と天板(13)と前板(14)とからほぼ角形の筒状に形成されるとともに、筒の両端を閉塞する側板(15)を有している(図3では前板(14)と側板(15)を省略している)。
【0025】
上記室内機(5)は、側板(5a)における上下の縁部の所定幅(例えばケーシング(6)の上下端の稜部から幅20mm)の領域を第1領域(A1)とし、側板(15)における第1領域(A1)を除く領域を第2領域(A2)とすると、第1領域(A1)はケーシング(6)の稜部で金属のプレート材同士を接合した箇所またはその近傍の部位であるから比較的高強度であり、第1領域(A1)に隣接する第2領域(A2)は上記稜部の接合箇所から離れた領域であるため、第1領域(A1)よりも低強度である。
【0026】
そして、上記包装用緩衝パッド(10)は、上記室内機(5)の側板(5a)の第1領域(A1)に対応する範囲に形成される基部である第1緩衝部(B1)と、上記室内機(5)の側板(5a)の第2領域(A2)に対応する範囲に形成される先端部である第2緩衝部(B2)とを備えている。
【0027】
上記第1緩衝部(B1)は、荷役時や輸送時の荷重を主として受けるように、複数枚の段ボールを重ね合わせて高強度にした積層構造に構成されている。一方、上記第2緩衝部(B2)は、上記室内機(5)の側板(5a)の移動を許容するように低強度の部分として構成されている。また、上記第1緩衝部(B1)には、室内機(5)の側板(5a)に対する当接面に複数の切り欠き(24)が形成されている。
【0028】
また、上記包装用緩衝パッド(10)は、上記第1緩衝部(B1)と第2緩衝部(B2)を覆い、室内機(5)に沿って延在するガイドフラップ(16)を有している。このガイドフラップ(16)は、第1緩衝部(B1)の基部側端部から第2緩衝部(B2)の先端側端部へ向かって、室内機(5)の側板(5a)から離れるように傾斜している。さらに、この包装用緩衝パッド(10)は、上記第1緩衝部(B1)における積層された複数枚の段ボール同士を留める構成が採用されている。具体的な構造は後述するが、上記ブランク(20)に、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)と、該凸部(24a)が嵌合する凹部(24b)とが形成されている。
【0029】
次に、上記包装用緩衝パッド(10)を形成するためのブランク(20)の構成について説明する。
【0030】
図5は、包装用緩衝パッド(10)を形成するためのブランク(20)の平面図(包装用緩衝パッド(10)の展開図)である。このブランク(20)は、横長の1枚の段ボールにより形成され、図5の下方から順に、背板部(26)、天板部(27)、前板部(28)(ガイドフラップ(16))及び底板部(25)を有している。また、このブランク(20)には、背板部(26)と天板部(27)の間、天板部(27)と前板部(28)の間、前板部(28)と底板部(25)の間に、それぞれ折り曲げ罫線(L1,L2,L3)が形成されている。
【0031】
このブランク(20)の段ボールは波板の両側に厚紙が貼り付けられた両面段ボールである。ブランク(20)の波板(20a)の波の畝ないし稜線の方向(P)は、上記の各折り曲げ罫線(L1,L2,L3)と直交する方向に設定され、梱包外装材(2,3)に加わる衝撃荷重に対して底板部(25)や天板部(27)が変形しにくくなるようにしている。
【0032】
底板部(25)は、下層の第1層底板(25a)と、上層の第2層底板(25b)と、中間層の第3層底板(25c)とから、3枚重ねの積層構造に構成されている。第2層底板(25b)と第3層底板(25c)の間には、両側端部に折り曲げ部(25d)が設けられている。また、この第2層底板(25b)と第3層底板(25c)の左右両側の折り曲げ部(25d)の間では、第2層底板(25b)と第3層底板(25c)は切り離されている。上記折り曲げ部(25d)により、第2層底板(25b)と第3層底板(25c)は互いに密着した状態で重なるように構成されている。
【0033】
第1層底板(25a)と第2層底板(25b)との間には、両側端部に折り曲げ部(25e)が設けられている。また、第1層底板(25a)と第2層底板(25b)の左右両側の折り曲げ部(25e)の間では、第1層底板(25a)と第2層底板(25b)は切り込み線(25f)により切り離されている。上記の構成により、互いに重ね合わせた第2層底板(25b)と第3層底板(25c)が、第1層底板(25a)に第3層底板(25c)が密着した状態で重なるように構成されている(図2参照)。
【0034】
第1層底板(25a)、第2層底板(25b)及び第3層底板(25c)を重ね合わせることにより、上記室内機(5)の縁部の第1領域(A1)に対応する第1緩衝部(B1)が構成されている。この第1緩衝部(B1)は上記のように複数枚の段ボールの積層構造に構成され、荷役時や輸送時の荷重を主として受けるように構成されている。
【0035】
第1層底板(25a)、第2層底板(25b)、及び第3層底板(25c)には、互いに位置が揃えられた切り欠き(24)が形成されている。この切り欠き(24)は、上記室内機(5)の側板(5a)に対する当接面に位置するように形成されている。
【0036】
また、第1層底板(25a)には折り曲げ片(凸部(24a))が形成されている。この折り曲げ片は、この実施形態では9つある切り欠き(24)のうちの2つの切り欠き(24)の一部として形成されている。この2つの切り欠き(24)については、折り曲げ片を折り曲げて起ち上げることにより、切り欠き(24)の大きさが他の切り欠き(24)と同じになるように構成されている。そして、この折り曲げ片を起ち上げると、該折り曲げ片は第1層底板(25a)と第2層底板(25b)の対応する切り欠き(24)に噛み合う。つまり、第1層底板(25a)の折り曲げ片が凸部(24a)になり、第2層底板(25b)及び第3層底板(25c)の切り欠き(24)が凹部(24b)になって、凸部(24a)が凹部(24b)に嵌合し、3層の底板(25a,25b,25c)が重なった状態に保持される。
【0037】
背板部(26)と前板部(28)と第1層底板(25a)のそれぞれの両端部には、側板構成片(30a,30b,30c)が形成されている。具体的には、背板部(26)と前板部(28)には、それぞれサイドフラップ(30a,30b)が形成され、第1層底板(25a)にはメインフラップ(30c)が形成されている。そして、背板部(26)と天板部(27)と前板部(28)と底板部(25)を折り曲げ罫線(L1,L2,L3)で折り曲げて包装用緩衝パッド(10)を筒状に形成した状態で、背板部(26)と前板部(28)のサイドフラップ(30a,30b)を内側に折り曲げ、さらに第1層底板(25a)のメインフラップ(35c)を折り曲げる。メインフラップ(35c)の先端部には差し込み片(30d)が形成されており、この差し込み片(30d)を、天板部(27)とサイドフラップ(30a,30b)の間に形成される隙間に挿入することにより、角筒状の包装用緩衝パッド(10)の両端が、それぞれ3枚の側板構成片(30a,30b,30c)からなる側板部(30)で閉塞される。
【0038】
上記ブランク(20)は、各部が折り曲げられて組み立てられ、そうすることによって本実施形態の包装用緩衝パッド(10)が形成される。
【0039】
一方、底トレイ(2)は、展開形状と組立状態を表す図6に示すように、長方形形状の底板部(2a)と、底板部(2a)の短辺側の縁部に連接する短辺側側板部(2b)と、底板部(2a)の長辺側の縁部に連接する長辺側側板部(2c)とを有し、包装用緩衝パッド(10)と同様に段ボールにより構成されている。
【0040】
この底トレイ(2)は、底板部(2a)に対して短辺側側板部(2b)を折り曲げて立ち上げ、短辺側側縁部(2b)の両端のフラップ(2d)を二重構造の長辺側側板部(2c)で挟み込み、さらに長辺側側板部(2c)の先端の係合凸部(2e)を底板部(2a)の係合凹部(2f)に差し込んで留めることにより組み立てられる。
【0041】
そして、図6で組み立てた底トレイ(2)に、上記の通り組み立てた包装用緩衝パッド(10)を図7に示すようにして取り付けて、室外機(5)の梱包が行われる。
【0042】
このとき、包装用緩衝パッド(10)は、図2に示しているように、上記第1緩衝部(B1)が、室内機(5)のケーシング(6)の強度が高い第1領域(A1)に対応して位置し、主として荷役時や輸送時の荷重を受ける。また、上記ケーシング(6)の強度が低い第2領域(A2)に対応して位置する第2緩衝部(B2)には、ガイドフラップ(16)だけが設けられる。このことにより、第1緩衝部(B1)が室内機(5)の第1領域(A1)の移動を規制する一方、第2緩衝部(B2)は室内機(5)の第2領域(A2)に対して移動を規制しない。
【0043】
この実施形態において、室内機(5)の荷役や輸送をするときに梱包外装材(2,3)に荷重が加わると、その荷重は、上記第1緩衝部(B1)から側板(5a)の第1領域(A1)に伝わるが、第1領域(A1)は強度が強いので変形を抑えられる。一方、第2緩衝部(B2)は室内機(5)の移動を許容するように構成されているので、室内機(5)の側板(1a)の強度が弱い第2領域(A2)には大きな力は加わらない。
【0044】
また、この実施形態では、梱包外装材(2,3)の底面や天面の側縁部に先に包装用緩衝パッド(10)を装着した状態で室内機(5)を梱包する際に、ガイドフラップ(16)の傾斜に沿って室内機(5)を入れることができる。
【0045】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、室内機(5)の側板(5a)の強度が相対的に強い第1領域(A1)に対応して位置する第1緩衝部(B1)と、該側板(5a)の強度が相対的に弱い第2領域(A2)に対応して位置する第2緩衝部(B2)を包装用緩衝パッド(10)に設け、主として第1緩衝部(B1)で荷役時や輸送時の荷重を受ける一方、第2緩衝部(B2)は梱包外装材(2,3)に荷役時や輸送時の振動や衝撃が加わっても室内機(5)が移動できるようにしているので、第2領域(A2)には大きな衝撃荷重は与えられない。このように、本実施形態によれば、室内機(5)の側板(5a)の強度が弱い第2領域(A2)を効果的に保護できるので、室内機(5)の側板(5a)が変形したり損傷したりするのを防ぐことが可能になる。
【0046】
また、第1緩衝部(B1)には、室内機(5)の側板(5a)に対する当接面に複数の切り欠き(24)を形成することにより該第1緩衝部(B1)の強度を調整することができるので、上記第1領域(A1)を受けるのに適した強度に設定することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、梱包外装材(2,3)の底面や天面の側縁部に先に包装用緩衝パッド(10)を装着した状態で室内機(5)を梱包する際に、ガイドフラップ(16)の傾斜に沿って室内機(5)を入れることができるので、包装作業を容易に行うことができる。また、ガイドフラップ(16)を設けることにより、室内機(5)が包装用緩衝パッド(10)に乗り上げて位置がずれてしまうのを防止できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、第1緩衝部(B1)において積層された複数の段ボール同士を留めるように、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)をブランク(20)の凹部(24b)に嵌合させることにより、第1緩衝部(B1)を構成する複数枚の段ボールを重ねた状態に保持することができる。したがって、包装用緩衝パッド(10)の第1緩衝部(B1)を簡単な構成で実現できる。
【0049】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0050】
例えば、上記実施形態では、第1緩衝部(B1)を段ボールの三層積層構造にしているが、積層する枚数は適宜変更してもよい。また、切り欠き(24)の個数および寸法等も適宜変更してもよい。
【0051】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、段ボール製のブランクを折り曲げて形成される包装用緩衝パッドについて有用である。
【符号の説明】
【0053】
2 底トレイ(梱包外装材)
3 天トレイ(梱包外装材)
5 室内機(被包装物)
5a 側板
10 包装用緩衝パッド
16 ガイドフラップ
20 ブランク
24 切り欠き
24a 凸部
24b 凹部
A1 第1領域
A2 第2領域
B1 第1緩衝部
B2 第2緩衝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールのブランク(20)を折り曲げることにより形成されるとともに、梱包外装材(2,3)の側面と被包装物(5)の側板(5a)との間の隙間に装着される包装用緩衝パッドであって、
被包装物(5)の縁部の所定幅に形成される側板(5a)の第1領域(A1)に対応する範囲に形成される基部である第1緩衝部(B1)と、該被包装物(5)の縁部よりも低強度で側板(5a)の第1領域(A1)に隣接する第2領域(A2)に対応する範囲に形成される先端部である第2緩衝部(B2)とを備え、
上記第1緩衝部(B1)が荷役時や輸送時の荷重を主として受けるように複数枚の段ボール積層構造に構成される一方、上記第2緩衝部(B2)は上記被包装物(5)の側板(5a)の移動を許容するように構成され、
上記第1緩衝部(B1)には、被包装物(5)の側板(5a)に対する当接面に複数の切り欠き(24)が形成されていることを特徴とする包装用緩衝パッド。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1緩衝部(B1)と第2緩衝部(B2)を覆って被包装物(5)に沿って延在するガイドフラップ(16)を有し、該ガイドフラップ(16)は、第1緩衝部(B1)の基部側端部から第2緩衝部(B2)の先端側端部へ向かって、被包装物(5)の側面から離れるように傾斜していることを特徴とする包装用緩衝パッド。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記第1緩衝部(B1)の積層された複数の段ボール同士を留めるように、段ボールの折り曲げ片で構成された凸部(24a)と、該凸部(24a)が嵌合する凹部(24b)とが上記ブランク(20)に形成されていることを特徴とする包装用緩衝パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71755(P2013−71755A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212306(P2011−212306)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】