説明

包装袋、及びスパウト付きパウチ容器

【課題】 本発明は、冷やした状態で取り出した後、結露した水分によって袋表面が濡れにくいように改良されたスパウト付きパウチ容器を提供することを課題とする。
【解決手段】 可撓性の積層フィルムからなる表裏面部を少なくとも有し、その周縁部を熱融着することにより袋状に形成されている袋本体と、袋本体に取り付けられたスパウトとを備え、積層フィルムは、表面フィルム層51の内面に吸水性を有する吸水層52が設けられ、表面フィルム層51に、吸水層52に通じる通水用の孔部6が複数形成されていると共に、少なくとも孔部6の開口周面部に親水化処理が施されているスパウト付きパウチ容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋及びスパウト付きパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料やゼリー状食品などを充填する容器として、可撓性の積層フィルムからなる袋本体の上部に充填物注出用のスパウトが取り付けられたスパウト付きパウチ容器が知られている。また、アイスクリームなどの氷菓を充填したスパウト付きパウチ容器も知られている。かかる容器は、冷蔵庫や冷凍庫から取り出されると、急速に結露が生じ、持ち手や載置面を濡らすという問題点がある。特に高温多湿な場所ではこの問題が顕著である。
この点、特開2001−130586には、発泡樹脂シートが積層されたフィルムからなるスパウト付きパウチ容器が開示されている。かかるパウチ容器によれば、発泡樹脂シートによって断熱性が付与されるため、袋表面への結露を防止できるという優れた効果を有している。
しかしながら、このように発泡樹脂シートを積層しても、袋表面に水滴が付着することを防止することは困難である。
【0003】
【特許文献1】特開2001−130586
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冷やした状態で取り出した後、結露した水分によって袋表面が濡れにくいように改良された包装袋及びスパウト付きパウチ容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、断熱材を用いて袋表面に水滴が付着することを完全に防止することは困難である点に鑑み、表面に付着した水分を、袋の内側へ導いて表面から除去するという着想に至り、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、可撓性の積層フィルムを袋状に形成してなり、表面フィルム層の内面に、吸水性を有する吸水層が設けられており、表面フィルム層が、通水可能である包装袋を提供する。
【0006】
上記包装袋は、例えば飲料やアイスクリームなどの冷菓を充填し、これを冷やして取り出した後、表面フィルム層の外面に水分が付着するが、かかるフィルム層は通水可能であるため、付着した水分はフィルム層を通過して吸水層に吸収される。このように吸水層にて結露した水分を吸収させることによって、袋の表面フィルム層に付着する水分を除去することができる。
【0007】
さらに、本発明の第2の手段は、可撓性の積層フィルムからなる表裏面部を少なくとも有し、その周縁部を熱融着することにより袋状に形成されている袋本体と、袋本体に取り付けられたスパウトとを備え、積層フィルムは、表面フィルム層の内面に吸水性を有する吸水層が設けられ、且つ表面フィルム層が通水可能であるスパウト付きパウチ容器を提供する。
【0008】
上記スパウト付きパウチ容器は、例えば飲料やアイスクリームなどの冷菓を充填して使用される。そして、これを冷やして取り出した後、表面フィルム層の外面に付着した水分は、該フィルム層を通過して吸水層に吸収される。
上記スパウト付きパウチ容器の好ましい態様では、上記表面フィルム層に、吸水層に通じる通水用の孔部が複数形成されていると共に、少なくとも孔部の開口周面部に親水化処理が施されているものであり、かかるパウチ容器は、孔部の開口周面部が親水化されているので、表面フィルム層の外面に付着した水分が移動して孔部の開口周面部に至ると、該孔部の開口周面部に素早く拡がって、水分を吸水層へと浸透し吸収される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装袋及びスパウト付きパウチ容器は、表面フィルム層の外面に付着する水分を吸水層にて吸収することができる。従って、冷やした状態で庫外に取り出しても、袋表面に水滴が溜まらず、持ち手や載置面を濡れ難くすることができる。
さらに、孔部の開口周面部が親水化されているスパウト付きパウチ容器は、フィルム層の外面に付着した水分を孔部にて捕らえて吸水層へと浸透させることができるので、フィルム層の外面に付着した水分をより確実に且つ素早く除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1〜図4に於いて、1は、表裏面部2,2と、側面ガセットを構成する両側面部3,3とからなる袋本体5に、スパウト8が取り付けられたスパウト付きパウチ容器を示す。かかるスパウト付きパウチ容器1は、充填後に於いて、表裏面部2,2の下方部を折り返して載置用の底面1aが構成される自立型パウチである。
【0011】
袋本体5は、表面部2、裏面部2及び両側面部3,3の4面の可撓性フィルム片からなり、各面部2,3の周縁部の内面を互いに熱融着することにより袋状に形成されている。
表裏面部2,2及び両側面部3,3を構成する可撓性フィルムは、通水性のある表面フィルム層51の内面に吸水層52がラミネート加工された積層フィルムからなる。具体的には、かかる積層フィルムは、図3に示すように、外側から内側に向かって順に、例えば、表面摩擦や耐熱性などを付与するための表面フィルム層51と、水分を吸収可能な吸水層52と、袋の強度(耐屈曲性、耐ピンホール性など)を保持し且つガスバリア性(及び遮光性)などを付与するためのバリア層を有する基材フィルム層53と、各面部2,3同士を熱融着して袋状に形成するためのシーラント層54と、が積層されて構成されている。
尚、図3では、各層51,52,53,54を接着するための接着層は図示していない。以下、積層フィルムを示す他の断面図に於いても同様。
【0012】
表面フィルム層51は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレン、ナイロンなどのポリアミド系フィルム又は2種以上の積層体などを用いることができ、更に、合成樹脂製フィルムの場合は延伸フィルムを用いることが好ましい。これらのうち熱融着時の耐熱性、寸法安定性などに優れるポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルムを用いることが好ましい。表面フィルム層51の厚みは、例えば、10〜70μm程度である。尚、特に図示しないが、表面フィルム層51の内面又は外面には、商品名、絵柄などの表示が印刷された意匠印刷が施されており、この意匠印刷を内面に施す場合には、表面フィルム層51は透明なものが用いられる。
【0013】
かかる表面フィルム層51は、それ自体は水を通さない耐水性のフィルムからなるが、このフィルム層51を貫通する複数の孔部6が形成されていることにより、層間を水分が通過可能とされている。具体的には、表面フィルム層51全体には、図4(b)に示すように、フィルムの外面から内面にまで貫通する孔部6が複数形成されている。複数の孔部6は、規則的に形成されていてもよいし、或いは、特にきまりなく不規則に形成されていてもよい。
孔部6は、同図に示すように正面略円形状に形成されているが、その他の形状でも構わない。1つの孔部6の大きさは、特に限定されないが、表面フィルム層51に意匠印刷を施した場合には、そのデザイン性を損ねないようにすることを考慮すると、略円形状の孔部6の場合で直径0.05〜0.5mm程度が好ましい。また、各孔部6の形成間隔は、例えば1〜7mm程度に形成される。
尚、孔部6は、表面フィルム層51だけでなく、吸水層52までをも貫通するように形成されていてもよい。
【0014】
さらに、表面フィルム層51には、親水化処理が施されている。具体的には、図4(b)に示すように、表面フィルム層51の外面51a及び孔部6の開口周面部6aに、親水化処理が施されている(図4(b)に於いて、親水化されている部分を密な細斜線で表している)。親水化処理としては特に限定されず、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、コーティング剤処理などの公知の手段を用いることができる。このように親水化されていることにより、表面フィルム層51の外面51aに付着した水分は大きな水滴にならず、表面フィルム層51の外面51aに膜状に拡がって孔部6の周面部6aに確実に導かれると共に、孔部6に至った水分は、毛細管現象等によって吸水層52に速やかに吸収される。かかる親水化は、表面フィルム層51の外面51a及び孔部6の開口周面部6aのぬれ張力(ぬれ指数)が、40mN/m以上(JIS K−6768の濡れ試験方法に準じた値)となるようにすることが好ましい。
【0015】
吸水層52は、表面フィルム層51の内面全体にほぼ接するように積層されている。吸水層52としては、50〜200ml/m程度の吸水量を有するものを用いることが好ましい。吸水層52の材質としては特に限定されず、吸水紙、水を吸収しうる不織布や多孔質の吸水性発泡シートなどを用いることができる。また、ポリアクリル酸塩架橋物、澱粉−ポリアクリル酸塩などの吸水性ポリマーを表面フィルム層51の内面に塗布することにより吸水層52として構成することもできる。中でも、吸水性に優れていることからレーヨン紙などの吸水紙を用いることが好ましい。
また、吸水性のみならず断熱性を付与できることから、吸水層52として、吸水性の発泡シートや不織布を用いることが好ましく、特に不織布を用いることがより好ましい。かかる不織布としては、レーヨン、コットン、パルプなどの吸水性繊維からなる不織布、ポリプロピレンなどの非吸水性繊維と吸水性繊維が混合された混合繊維又は複合された複合繊維からなる吸水性不織布、非吸水性繊維に親水化処理が施された繊維からなる吸水性不織布、より吸水性を高めるため吸水性ポリマーを併用したもの、例えば吸水性繊維又はアクリル繊維などの非吸水性繊維に吸水性ポリマーがコーティングされた繊維からなる吸水性不織布などを用いることができる。不織布は、ニードルパンチ法、スパンボンド法、接着法、メルトブロー法などの公知の成形法によって作製したものを用いることができる。また、水分を早く且つ多量に吸収するために、デニール約1.0〜3.0d程度、目付量約10〜30g/m2程度のものを用いることが好ましい。厚みは約100〜200μm程度のものがよい。
【0016】
基材フィルム層53は、比較的強度に優れるものであれば特に限定されず、ナイロンなどのポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン系フィルムなどの合成樹脂製フィルム、合成紙、又は2種以上の積層体などを用いることができる。これらのうち耐屈曲性に優れる6ナイロン、6,6ナイロンなどのポリアミド系フィルムを用いることが好ましい。さらに、このフィルムにアルミニウム箔をラミネートする又はアルミニウムなどのガスバリア性素材を蒸着若しくはコーティングすることにより、基材フィルム層53にガスバリア性が付与されている。基材フィルム層53の厚みは、例えば、10〜70μm程度である。尚、表面フィルム層51によって袋強度が維持できる場合には、基材フィルム層51を省略することもできる。また、充填物によってはガスバリア性が不要な場合もあるので、この場合には、積層フィルム中にバリア層を有しないものでもよい。
シーラント層54は、熱融着可能な素材であれば特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを用いることができる。これらのうち熱融着性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。シーラント層54の厚みは、例えば、30〜150μm程度である。
【0017】
スパウト8は、着脱可能なキャップが取り付けられた注出口と袋本体5への取付部分である被融着部を備え、その材質は、各種の合成樹脂、アルミニウムなどの金属などで形成することができるが、袋本体5の上縁部と簡易に取り付けることができることから、少なくとも被融着部の周面が表裏面部の内面と熱融着可能なものが好ましい。スパウト8は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂成型品によって形成することができ、良好に熱融着できることから、表裏面部2のシーラント層と同種の材質のものが好ましい。
【0018】
上記スパウト付きパウチ容器1は、下記の手順で製造することができる。
内面に意匠印刷が施された表面フィルム層51の内面側に、シート状の吸水層52を積層して第1積層体を作製する。吸水層52のラミネート方法としては、ポリエチレンなどを用いた押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーションなどの公知の手法によって積層することができる。中でも、吸水層52へ樹脂成分が浸透し難く、吸水性が低下し難いという点から、押出ラミネーションで行うことが好ましい。
次に、得られた第1積層体に、針状又は打抜き型の穿孔ヘッドを有する穿孔装置を用いて、複数の貫通孔(孔部6)を穿設する。穿孔方向は特に限定されないが、貫通孔の周縁が表面フィルム層51の外面51aから盛り上がらないようにするため、表面フィルム層51が溶融しうる温度(約200〜300℃程度)に加熱された針状等の穿孔ヘッドを用い、吸水層52の内面側から穿孔することが好ましい。かかる加熱された穿孔ヘッドを吸水層52の内面側から出退させると、図5(a)に示すように、穿孔ヘッド10を表面フィルム層51に貫通させた際にフィルムが溶融し、同図(b)に示すように、穿孔ヘッド10を後退させた際に溶融樹脂がこれに追従して内側に引き寄せられる。この場合、表面フィルム層51の外面51aに於ける孔部6の周囲には、僅かに窪んだ傾斜面6bが形成され、この傾斜面6bを介して水分を孔部6内へ導き易くできる。尚、貫通孔の周縁がフィルム層51の外面51aから盛り上がらないようにする他の手段として、非加熱の穿孔ヘッドを用い、表面フィルム層51の外面側から孔部6を穿孔してもよい。
【0019】
次に、この表面フィルム層51にコロナ放電処理などを行い、孔部6の開口周面部6a及び表面フィルム層51の外面51a全体を親水化する。
そして、別個に作製しておいたシーラント層54と基材フィルム層53からなる第2積層体の該基材フィルム層53に、第1積層体の吸水層52を重ね合わせ且つラミネートすることにより、本発明の積層フィルムが得られる。尚、基材フィルム層53と吸水層52の積層についても上記と同様に押出ラミネーションによって行うことが好ましい。
事後、公知の製法に従い、得られた積層フィルムのシーラント層54を重ね合わせ、袋本体5の表裏面部2,2及び側面部3,3を形成するように周縁部を熱融着し、所定形状に裁断して上縁開口型の袋本体5を得、該上縁部にスパウト8の被融着部を挟み込んだ状で熱融着することにより、上記スパウト付きパウチ容器1を製造することができる。
【0020】
上記スパウト付きパウチ容器1は、孔部6の穿設された表面フィルム層51の内面に吸水層52が介在しているので、例えばこれを冷やして取り出した後、経時的に表面フィルム層51の外面51aに水分が付着し始めても、かかる水分は、孔部6を通じて吸水層52へと浸透し、表面フィルム層51の外面51aから除去される。特に、表面フィルム層51の外面51a及び孔部6の開口周面部6aは親水化されているので、付着した水分は大きな水滴にならず、表面フィルム層51に膜状に拡がりながら孔部6に至り、毛細管現象等によって吸水層52へと速やかに吸収される。従って、冷菓を充填したスパウト付きパウチ容器1を、例えば高温多湿な場所に比較的長時間放置しておいても、表面に多量の水分が付着せず、持ち手に水が付着し難く、又載置面を濡らすことも防止できる。
さらに、表面フィルム層51に複数の孔部6が形成されているので、僅かな凹凸が生じ、滑りにくいスパウト付きパウチ容器1となる。
また、吸水層52として不織布や発泡シートを用いた場合には、充填物の温度が表面フィルム層51に伝わり難く、よって、結露防止効果に優れている。従って、上記吸水層52による吸水と相乗して、水分が表面に付着することを防止できる。
【0021】
以上のように本発明の種々の実施形態を示したが、本発明は、上記種々の構成に限られず、適宜設計変更することができる。以下、主として上記各実施形態と異なる部分を説明し、同一の構成についてはその説明を省略し、名称及び図番を援用する。
上記各実施形態に於ける袋本体5は、吸水層52と基材フィルム層53(基材フィルム層53を積層しない場合にはシーラント層54。以下同じ)が全面接着されている積層フィルムからなるが、例えば、図6(a)に示すように、周縁部を除いて、吸水層52と基材フィルム層53の間に空隙部7が設けられている積層フィルムを用いてもよい。かかる空隙部7が設けられている袋本体5は、吸水層52が膨らみ易く、より多量の水分を吸収し保持することができるので好ましい。また、空隙部7の存在により、袋本体5をより柔軟に構成することができる。従って、袋本体5を握り潰しながら充填物を注出するスパウト付きパウチ容器1に特に好適である。
【0022】
この空隙部7の形成手段としては特に限定されないが、例えば、図6(b)に示すように、基材フィルム層53の外面に副シーラント層55を積層し、且つ該副シーラント層55に熱融着しうる材質の吸水層52を積層し、吸水層52の周縁部のみを副シーラント層55に熱融着させることによって、空隙部7を構成することができる。この場合、副シーラント層55としては、例えばポリエチレン系、ポリプロピレン系の樹脂などを積層すればよい。吸水層52としては、副シーラント層55に熱融着可能な繊維であって、少なくとも表面に高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱融着性樹脂を有する繊維を含む不織布などを用いることができる。このような繊維としては、例えば、ポリエチレンなどの熱融着性樹脂からなる中実繊維又は中空繊維や、図7(a)に示すように、芯材91の周囲に熱融着性樹脂92が被覆された繊維9などが例示され、これらの中でも、加圧に強く不織布の空気保持性を確保できることから、ナイロンなどのポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維などの比較的強度に優れる芯材91の周囲に、直鎖状低密度ポリエチレンなどの熱融着性樹脂92が被覆された熱融着性複合繊維が好ましい。このような熱融着性のフィラメント9としては、商品名エルベス(ユニチカ株式会社製)などが例示できる。
【0023】
また、他の手段として、図6(c)に示すように、基材フィルム層53の外面のうち、空隙部7の形成予定領域にシリコーンやポリアミド硝化綿系樹脂コート剤などの剥離剤56をグラビア印刷法などで塗工し、この基材フィルム層53と吸水層52をドライラミネート法などで積層することにより、剥離剤塗工部分が非接着となって空隙部7を形成することができる。
その他の手段として、基材フィルム層53の外面の所望箇所に接着剤を塗布し、これに吸水層52を積層することにより空隙部7を形成することもできる。
尚、上記空隙部7は、周縁部を除く略全範囲に設けられていている以外に、例えば、図7(b)に示すように、複数に分割形成されていてもよく、又、一箇所だけに設けられていてもよい。
【0024】
また、上記各実施形態に於いては、シート状の吸水層52と表面フィルム層51は、全面接着されているが、例えば、部分的に接着することもできる。このように両層51,52間を部分的に接着することにより、表面フィルム層51に形成された孔部6の開口が、接着層によって塞がれることを防止することができる。特に、予め孔部6が形成された表面フィルム層51を吸水層52に積層接着する場合に有効である。
【0025】
また、上記各実施形態では、孔部6は、袋本体5の全体に形成されているが、孔部6は袋本体5の一部分に形成されていてもよい。例えば、図8(a)に示すように、袋本体5の周縁部(熱融着部)を除いた部分に孔部6が形成されているものや、同図(b)に示すように、側面部3に孔部6が形成されておらず、表裏面部2にのみ孔部6が形成されているものや、特に図示ないが、表裏面部2,2の下方部(スパウト付きパウチ容器1の底面1a)を除く範囲に孔部6が形成されているものなどが例示される。尚、この孔部6の形成領域に対応するように、吸水層52を部分的に設けることも可能である。従って、例えば、孔部6や吸水層52を有しない積層フィルムで両側面部3を構成してもよい。
また、親水化処理については、孔部6の開口周面部6a及び表面フィルム層51の外面51aの双方に設けられているものに限られず、例えば、孔部6の開口周面部6aのみに設けられているものでもよく、又、孔部6の開口周縁部6aを除いた部分(例えば、表面フィルム層51の外面51a全体又はその一部のみ)に親水化処理が施されているものでもよい。尚、親水化処理を全く施さないものも本発明に含まれる。
【0026】
さらに 図9に示すように、例えば、孔部6に吸水層52の一部が突出するように構成されていてもよい。このように吸水層52が孔部6の開口周面部6aの内側に覗き出るように突出していると、表面フィルム層51の外面51aを伝って流れる水分が、孔部6を通り越してしまう虞がなく、より確実に吸水層52へと導くことができる。吸水層52を孔部6に突出させる手段としては、例えば、孔部6を穿設した後、吸水層52の内面側から表面フィルム層51側へと加圧する方法などが挙げられる。特に、不織布などのように繊維素が絡み合って構成されているものからなる吸水層52は、該繊維が孔部6の内側に出やすいという利点がある。
【0027】
また、表面フィルム層51として、例えば、外面から内面に至るまで連続的に通じる気泡を有する発泡シートを用いれば、孔部6の穿孔加工を省略でき、連続気泡を通じて水分を吸水層52へ吸収させることができる。表面フィルム層51は、水分が層間を移動する通水可能なものであれば、種々のものを用いることができる。
【0028】
また、上記各実施形態では、袋本体5は、表裏面部2,2及び両側面部3,3の4面からなる両面ガゼット付き自立型のものであるが、袋本体5はこの形態に限られず、例えば、表裏面部2の周端部同士を接着した2面からなる扁平型や、表裏面部2,2と側面部3の3面からなる片面ガセット付き自立型や、表裏面部2,2と底面部の3面からなる自立型など、各種の形態に形成することができる。また、表裏面部2及び側面部3は、それぞれ別個独立したフィルム片からなるが、例えば、1枚のフィルムを適宜折り畳んで、表裏面部2及び側面部3が形成されている所謂ワンサイドシーム型の袋本体5でもよく、又、2枚のフィルム片を適宜折り畳んで、表裏面部2及び側面部3が形成されている袋本体5でもよい。
さらに、上記各実施形態では、袋本体5にスパウト8を取り付けたスパウト付きパウチ容器1を例示しているが、本発明は、スパウト8を取り付けていない包装袋(袋本体)として使用することも可能である。
尚、本発明の包装袋及びスパウト付きパウチ容器1は、冷やして飲用する飲料、ゼリー状食品、アイスクリームなどの冷菓を充填することが効果的であるが、冷菓充填以外の用途に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】充填状態のスパウト付きパウチ容器の一実施形態を示す斜視図。
【図2】スパウト付きパウチ容器の一実施形態を示す平面図。
【図3】図1のA−A線断面図(各層を接着する接着層は図示せず。他の断面図に於いても同様)。
【図4】(a)は、図2の丸囲いB部分の拡大図、(b)は、図3の丸囲いC部分の拡大図。
【図5】孔部の穿設工程を示す一部省略断面図。
【図6】(a)〜(c)共に、空隙部が設けられた積層フィルムを示す断面図。
【図7】(a)は、不織布の繊維を示す一部断面を含む斜視図。(b)は、分割した空隙部が設けられたスパウト付きパウチ容器を示す平面図。
【図8】(a)、(b)共に、スパウト付きパウチ容器の他の実施形態を示す斜視図。
【図9】孔部に吸水層の一部が突出した状態を示す一部省略断面図。
【符号の説明】
【0030】
1…スパウト付きパウチ容器、2…表面部、裏面部、3…側面部、5…袋本体、51…表面フィルム層、51a…表面フィルム層の外面、52…吸水層、53…基材フィルム層、54…シーラント層、55…副シーラント層、56…剥離層、6…孔部、6a…開口周面部、6b…傾斜面、7…空隙部、8…スパウト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の積層フィルムを袋状に形成してなり、
表面フィルム層の内面に、吸水性を有する吸水層が設けられており、前記表面フィルム層が通水可能であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
可撓性の積層フィルムからなる表裏面部を少なくとも有し、その周縁部を熱融着することにより袋状に形成されている袋本体と、前記袋本体に取り付けられたスパウトとを備え、
前記積層フィルムは、表面フィルム層の内面に吸水性を有する吸水層が設けられ、且つ前記表面フィルム層が通水可能であることを特徴とするスパウト付きパウチ容器。
【請求項3】
前記表面フィルム層に、前記吸水層に通じる通水用の孔部が複数形成されていると共に、少なくとも前記孔部の開口周面部に親水化処理が施されているスパウト付きパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−44733(P2006−44733A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227874(P2004−227874)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】