説明

包装袋体の押圧攪拌装置

【課題】その搬送中に包装袋体内の流動物を撹拌・混合などをすることができ、包装袋体に充填された流動物を効率的に冷却調整処理を行うことができる押圧攪拌装置を提供する。
【解決手段】包装袋体に充填された調味料や具材などの充填物を押圧攪拌処理するための包装袋体の押圧攪拌装置であって、包装袋体P又は包装袋体Pが多数帯状に連結された包装袋体集合体を搬送するスチールベルトやステンレススチールベルトなどからなる搬送部11と、搬送部11の上方に設けられ、搬送部11に載置された包装袋体Pの一部又は全部を搬送部11に向けて押圧する包装袋体押圧部材12と、を有することを特徴とする包装袋体の押圧攪拌装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋体に密封保持された調味料や具材などの流動物を、連続的に押圧、攪拌、混合調整したり、冷却したりするための包装袋体の押圧攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たれや醤油、ソースなどの調味料を保持させた包装袋体が、そば、そうめん、弁当などの容器に添えて提供されている。包装袋体は、プラスチックフィルムなどを所定の大きさにカットされ三方又は四方をシールされて袋状に形成され内部に調味料などの流動物を内包させたものであり、加熱状態の流動物が袋体の開口部から充填された後、密封シールされて形成される。
このような高温の流動物が内包された包装袋体を効率的に冷却するための冷却装置として、例えば、特許文献1には、多数の包装袋体が連結された帯状体を上下に隣り合うスチールベルトコンベヤの一方の下面部と他方の上面部との間に挟み込みながら、冷却雰囲気に維持された筐体内を上下方向に蛇行させて冷却させるようにした装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−104337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の冷却装置では、スチールベルトコンベヤの一方の下面部と他方の上面部との間に包装袋体を挟み込みながら蛇行させるだけなので、包装袋体内に充填された比較的高粘性の流動物は静止状態に保持され、この包装袋体の表面側は優先的に冷却されるが、包装袋体に充填されたその中心部分に滞留した充填物を効率的に冷却し難いという問題があった。また、包装袋体が大きくなると、充填物の冷却が効率よく行えないという問題があった。
さらに、従来の冷却装置では、包装袋体の冷却にあたっては、冷却水噴射、水浴浸漬などの手段により行っていたので、包装袋体の外部に付着した水滴の除去に手間がかかり、特に包装袋体の折り曲げシール部(センターピラーシール部)に水滴が入り込み、これらの除去を手作業で行わなければならないという問題があった。
【0004】
また、上下2段のスチールベルトコンベアを同期させて駆動して、包装袋体を挟み込みながら上下方向に蛇行移動させるので、これらの駆動制御や機械的構成が複雑となり、そのメンテナンスが困難となり易いという欠点があった。
本発明は前記従来の問題点を解決するためになされたもので、その搬送中に包装袋体内の流動物を押圧して撹拌させることができ、包装袋体内に充填された流動物を効率的に、混合などの調整処理を行うことができるとともに、比較的単純な構成により、包装袋体の乾式冷却ができ、そのメンテナンス性にも優れた包装袋体の押圧攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の包装袋体の押圧攪拌装置は、包装袋体に充填された調味料や具材などの充填物を押圧処理するための包装袋体の押圧攪拌装置であって、前記包装袋体を搬送するスチールベルトやステンレススチールベルトなどからなる搬送部と、前記搬送部の上方に設けられ、前記搬送部に載置された包装袋体の一部又は全部を前記搬送部に向けて押圧する包装袋体押圧部材と、を有することを特徴とする。
【0006】
(2)本発明の包装袋体の押圧攪拌装置は、前記(1)において、前記包装袋体押圧部材が互い違いに上下動する一対の包装袋体押圧部材であって、前記一対の包装袋体押圧部材の間隔が、包装袋体の搬送方向の長さ寸法よりも小さくなるように前記搬送部上に配置されるとともに、静止及び移動を繰り返して間欠駆動される前記搬送部に同期して、搬送部の静止時に前記片方の押圧部材が包装袋体を押圧するように設定されていることを特徴とする。
【0007】
(3)本発明の包装袋体の押圧攪拌装置は、前記(1)又は(2)において、前記搬送部が上下方向に多段配置されて、前記包装袋体が前記搬送部の一端からその下方側の搬送部の一端へとジグザグ状に移動しながら降下するとともに、前記搬送部を含む押圧攪拌装置本体の内部が冷却装置を介して所定温度に保持されていることを特徴とする。
【0008】
(4)本発明の包装袋体の押圧攪拌装置は、前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記搬送部のベルト下面又は上面に当接して設けられたベルト冷却部を有することを特徴とする。
(5)本発明の包装袋体の押圧攪拌装置は、前記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記包装袋体が多数帯状に連結された包装袋体集合体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装袋体を搬送するスチールベルトやステンレススチールベルトなどからなる搬送部と、搬送部の上方に設けられ、搬送部に載置された包装袋体の一部又は全部を搬送部に向けて押圧する包装袋体押圧部材と、を有するので、その搬送中に包装袋体内の内容物の一部を押圧して、包装袋体に充填された流動物を強制的に撹拌や混合などの処理を行うことができる。これによって、例えば高温状態の充填物の冷却を促進させたり、充填物の具材などを調味料などと馴染ませたりする混合調整処理を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施の形態に係る包装袋体の押圧攪拌装置は、流動物を充填する略偏平状の包装袋体又はこの包装袋体を多数帯状に連結した包装袋体集合体を搬送するための搬送部を備えた搬送部と、偏平状の包装袋体の一部を前記搬送部に向けて押圧する包装袋体押圧部材と、を有する。これによって、包装袋体を搬送しながら、その充填物の一部を押圧してその撹拌・混合などの処理を効率的に行うことができ、高温の充填物を限られた狭いスペース内でも効果的に冷却することができる。
また、包装袋体の製造工程において、加熱状態で流動物を充填封入する工程、これらの包装処理によって連続的に形成される包装袋体の搬送の工程において、包装と冷却とを一連化し、これらの処理を円滑かつ高速に行うことができる。
【0011】
包装袋体としては、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの可撓性プラスチックフィルムを用い、この2枚のプラスチックフィルム間の周囲を熱圧着して形成される袋体の空間に充填機にて流動物を充填した単体の密封状の袋体が挙げられる。本発明では充填容量が比較的大きな、例えば300mL〜5000mLのものに好ましく適用される。
流動物としては、各種の液体、各種の粘性流体、及び液体と固形物との混合物、粉末、などが挙げられる。食品の分野においては、流動物として、ラーメンスープ、具材を含むスープ液、調味液、チーズ、羊羹、キムチ、漬け物などが挙げられる。
【0012】
包装袋体は、例えば、三方シール包装や四方シール包装によって形成される。このような三方シール包装又は四方シール包装では、ベースフィルムの一面側に加熱により溶融するシーラント層を備えたプラスチックフィルムなどを用いてなされる。
三方シール包装は、一枚のフィルムを、シーラント層を内側とするように二つ折りにして搬送させながら、この折った側と反対の側となるフィルムの縁部に当該フィルムの長さ方向に沿った縦熱シール部を形成させると共に、このように縦熱シール部が形成されて筒状にされたフィルムの幅方向に当該フィルムの搬送方向に間隔を開けて断続的に横熱シール部を形成させることによりなされる。
【0013】
四方シール包装の場合には、二枚のフィルムを前記シーラント層を向き合わせるようにして搬送させながら、かかる二枚のフィルムの左右縁部にそれぞれ当該フィルムの長さ方向に沿った縦熱シール部を形成させると共に、このように縦熱シール部が形成されて筒状にされたフィルムの幅方向に当該フィルムの搬送方向に間隔を開けて断続的に横熱シール部を形成させることによりなされる。
【0014】
流動物を包装袋体に充填する場合には、先行して施された横熱シール部を底として、縦熱シール部が形成されて筒状にされたフィルム内に当該流動物を送り込ませると共に、当該先行して施された当該横熱シール部との間に一定の間隔を開けて後続の横熱シール部を施させることにより充填される。なお、隣り合う一対の横熱シール部の間を切断したものが単体の包装袋体として形成され、切断しないものが包装袋体集合体として形成される。ここで、包装袋体集合体とは、多数の包装袋体の端部どうしを搬送方向に多数連結して長尺の帯状になった帯状体をいう。
【0015】
搬送部としては、熱伝導性に優れたステンレススチールやスチールなどの無端帯状のベルトを、左右の回転ローラ間に巻き回し駆動モータを介して周回移動させるようにしたものが挙げられる。これらの搬送部は複数台を、例えば上下方向に多段配置して、前記包装袋体を上方から下方に向かってジグザグ状に移動させるようにして、狭い装置スペース内における包装袋体の移動距離を長く設定し、充填物の攪拌や冷却処理の工程を長距離確保することができる。
搬送部により搬送される包装袋体は、切り離されて一つ一つが独立になっている単体の包装袋体や、これらの包装袋体が多数連結した帯状の包装袋体集合体などが考えられる。
【0016】
包装袋体押圧部材は、例えば、回転駆動される羽根車状やローラ状、上下移動するシリンダー状のものが挙げられる。これらの押圧部材によって、偏平状の包装袋体の一部を搬送部に向けて押圧して、包装袋体に充填された流動物を押し込むことで、包装袋体内における充填物の撹拌や混合を促すことができるようにしている。
【0017】
支持ローラ部としては、巻き回したベルトを挟んで包装袋体押圧部材に対向して配置されベルト下面に当接して回転する支持部材が挙げられ、ベルトが垂れ下がるのを防止するとともに、包装袋体押圧部材を駆動させることによる押圧力が包装袋体の充填物に確実かつ効果的に作用するようにしている。
【0018】
また、本実施の形態の包装袋体の押圧攪拌装置は、包装袋体押圧部材が互い違いに上下動する一対の包装袋体押圧部材であって、一対の包装袋体押圧部材の間隔が、包装袋体の搬送方向の長さ寸法よりも小さくなるように搬送部上に配置されるとともに、静止及び移動を繰り返して間欠駆動される搬送部に同期して、搬送部の静止時に片方の押圧部材が包装袋体を押圧するように設定されているようにすることもできる。このように構成することによって、包装袋体に充填された流動物をその包装袋体ごとに確実に攪拌や混合させることができ、冷却などの調整処理をさらに効果的に行うことができる。
このような一対の押圧部材としては、例えば、(1)餅つきの杵状のものや、(2)ヤジロベエ状に動作するもの、(3)包装袋体の左右端部側を互い違いに押さえるタイプのものなど、種々適用することができる。
【0019】
本実施の形態の包装袋体の押圧攪拌装置は、搬送部が上下方向に多段配置されて、包装袋体が搬送部の一端からその下方側の搬送部の一端へとジグザグ状に移動しながら降下するとともに、搬送部を含む押圧攪拌装置本体の内部が冷却装置を介して所定温度に保持されているようにすることもできる。このように構成することによって、押圧攪拌装置本体内における包装袋体の搬送方向における長さを短くし、装置本体内における包装袋体の搬送時間をできる限り長くすることができ、省スペースで効果的な攪拌や冷却処理を施すことができる。
【0020】
なお、例えば、冷却処理を行う場合において、装置本体の保持温度としては、0℃〜10℃とすることが以下の理由から望ましい。すなわち、この保持温度が0℃より低くなると、多くの冷却エネルギーを要し、逆に10℃を超えると、包装袋体内の充填物の冷却効果が著しく低下する傾向が生じるからである。
【0021】
さらに、本実施の形態の包装袋体の押圧攪拌装置は、搬送部のベルト下面又は上面に当接して設けられたベルト冷却部を備えることもできる。このような構成によって、冷却されたベルト面を包装袋体に直接接触させ、包装袋体内の加熱された充填物を効果的に冷却することができる。
ベルト冷却部としては、例えば、ベルト冷却部内に水温−3℃〜5℃の冷却水を満たした水槽などが挙げられ、走行するベルトの下面又は上面にその冷却水が当接して摺動するように固定配置されている。なお、ベルト冷却部における走行ベルトとのシール面はシリコンラバーなどで被覆し、冷却水が水槽からこぼれない要にしている。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の実施例1に係る包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。図1において、10は実施例1の包装袋体の押圧攪拌装置であり、包装袋体Pを搬送するためのベルト11aを備えた搬送部11と、ベルト11aに載置された包装袋体Pの一部を搬送部11に向けて押圧するための羽根車状に形成された包装袋体押圧部材12と、包装袋体押圧部材12に対向してベルト11a下面に当接して配置された支持ローラ部13を備えている。
【0023】
包装袋体Pはポリエチレン樹脂などのプラスチックフィルムにより略正方形状や矩形状に構成され、そのシールされた内容積が約300mL程度の密封空間に加熱された調味料などが充填されている。搬送部11は、無端状ベルト11aを左右の回転ローラ11b、11c間に巻き回して形成されており、図示しない駆動モータなどの駆動源によってベルトを周回させる。包装袋体Pはこれによって、例えば図1において左方向に毎分1m〜15m程度の搬送速度で移送される。
なお、無端状のベルト11aとしては、その面を貫通する複数のパンチ孔を形成させたパンチングメタル状のベルトを用いることもできる。ベルト11aに複数のパンチ孔を形成させておいた場合、搬送部11が内蔵される装置本体内における下方から上方に向けた冷却エアの流れを円滑にさせることができると共に、図示しない吹き付け手段などにより吹き出される冷却エアをパンチ孔を通じて直接的に包装袋体Pの外面に吹きかけて、包装袋体Pに充填された流動物の冷却効率を向上させることもできる。
【0024】
包装袋体押圧部材12は、回転軸上に互いに120度の角度をおいて外向きに放射状に形成された3枚の羽根部12aを有し、羽根部12aの基端が固定配置された回転軸を中心に回転するようになっており(図面に回転方向を示す)、羽根部12aの最下端位置と搬送部11aの上端間に所定の間隔、例えば2〜10mmの間隔ができるように配置されている。包装袋体押圧部材12は搬送部11aの上部に沿って、包装袋体Pの移動方向の長さLに対して、例えばその50%〜90%の間隔で配置され、1個の包装袋体Pに対して少なくとも2台の包装袋体押圧部材12が、包装袋体Pの移動中であっても上方に常に配置されるようになっている。
支持ローラ部13は、包装袋体押圧部材12の対向位置となるベルト11aの下方に当接して複数配置された、円筒状のローラで形成された回転しながらベルトを支持する部材である。
【0025】
図1に示すように、包装袋体Pが搬送部11aのベルト11a上を搬送されると、これに伴って、回転可能に配置された包装袋体押圧部材12の羽根部12aによって、包装袋体Pの一部が押圧される。こうして、包装袋体Pが複数の包装袋体押圧部材12を経由することによって、包装袋体Pに充填された流動物がその密封空間内で流動撹拌される。この結果、包装袋体Pの内部に滞留している充填物がその包装袋体Pの表面部に流動しベルト11aと接触して、充填物を効率的に冷却することができる。
【実施例2】
【0026】
図2は本発明の実施例2に係る包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。なお、以下の説明において、実施例1と同様の機能を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
図2において、20は実施例2の包装袋体の押圧攪拌装置であり、ベルト11a上に載置された包装袋体Pの一部を搬送部11に向けて互い違いに押圧する一対の押圧部21a、21bを備えた包装袋体押圧部材21と、ベルト11aの裏面側に配置された支持ローラ部22と、ベルト11aの下面に当接して設けられたベルト冷却部23を備える。
【0027】
一対の押圧部21a、21bは、搬送部11に固定配置された支点21cを軸にしてそれぞれ上下動可能に搬送部11上に配置されるとともに、1個の包装袋体Pに対して2個の押圧部21a、21bが互い違いに当接されるように配設されている。ベルト冷却部23は、例えば冷却水で満たされた水タンクであって、その上部が走行するベルト11aに接触してベルト11aを冷却し、この冷却されたベルト11aを介して加熱された流動物を充填している包装袋体Pと熱交換できるようにしている。
【0028】
実施例2の包装袋体の押圧攪拌装置20においては、包装袋体Pの一つに対して一対の押圧部21a、21bが当接するように搬送部11上に配置されるとともに、静止及び移動を繰り返して間欠駆動される搬送部11に同期して、その静止時に一対の押圧部21a、21bが支点21cを介して互い違いに上下動して、包装袋体Pを押圧する。また、搬送部11は連続的に駆動することもある。これによって、包装袋体Pに充填された流動物を、その搬送方向の前後に交互に押し出すように押圧攪拌するとともに、包装袋体Pが冷却されたベルト11aに接触して効率的な冷却処理がなされる。
【実施例3】
【0029】
図3は本発明の実施例3に係る包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。図3において、30は実施例3の包装袋体の押圧攪拌装置であり、包装袋体Pの一部を搬送部11に向けて押圧する回転ロール31aを備えた包装袋体押圧部材31と、ベルト11aの裏面側に配置された支持ローラ部32と、を備える。
包装袋体押圧部材31の回転ロール31aは搬送部11a上に所定の間隔、例えば包装袋体Pの(搬送方向)長さの1/2の間隔で固定配置され、搬送部11上を移動する包装袋体Pをその進入方向に沿って絞り出すように押圧して、多数の包装袋体押圧部材31毎に、通過する包装袋体Pに充填された流動物を順次押圧するようにしている。
これによって、実施例3の包装袋体の押圧攪拌装置30は、搬送部11を駆動するだけで、そのベルト11a上に載置された包装袋体Pに充填された流動物を順次強制的に撹拌して、流動物を冷却したり混合したりする処理を効果的に行うことができる。
【実施例4】
【0030】
図4は本発明の実施例4に係る包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。図4において、40は実施例4の包装袋体の押圧攪拌装置であり、包装袋体Pを、上から下方向にジグザク状に搬送するための上下5段の搬送部41〜45と、搬送部41〜45を内蔵する装置本体46と、を備える。
【0031】
装置本体46は、その内部空間を図示しない冷却装置を介して冷却雰囲気に維持する程度の気密状態を保つように構成されている。上下方向に多段配置される搬送部41〜45は順次逆方向に走行するように配置され、各搬送部41〜45は、ほぼ同じ長さと幅とを持つように構成してある。無端状をなす各ベルト11aは、それぞれ一対の回転ローラ11b、11c間に巻き回すことによって構成され、図示しない駆動モータにより周回されるようになっている。
搬送部41〜45には、実施例1と同様に搬送部11の表側に包装袋体押圧部材12が配設され、ベルト11aの裏側に支持ローラ部13が所定間隔で配設されている。これによって、装置本体46内を5℃に保持した条件下において、容積300mL、温度85℃の水を充填した包装袋体Pを38℃まで3分間で冷却処理することができた。
実施例4の包装袋体の押圧攪拌装置40によれば、実施例1の作用に加えて、包装袋体Pを装置本体46内でジグザグ状に上から下方へ移動させて、装置本体46における包装袋体Pの搬送滞留時間を長くすることができるので、省スペース性に優れた効果的な冷却処理を行うことができる。
【0032】
図5は、本発明の押圧部材の機構の例を示したものであり、
(a)一対の杵を交互に上下させるようにした押圧部を有したものや、
(b)一対のローラー状の押圧部をヤジロベエ式に上下に動作させるもの、
(c)前記ヤジロベエ式の押圧部のローラーをベルトの動きに連動させて回転させる。例えばベルトに設けられたスプロケットとローラーをチェーンなどで連結する。その結果、ベルトの速度とローラーの回転速度が一致する。
(d)包装袋体Pの端部を一対の斜面状の部材で包み込むようにして交互に押さえるようにしたものなどを、その使用条件に応じて適宜使用することができる。
また、ベルト11a上には必要に応じて、それぞれ個別の包装袋体を位置付けるための矩形状の窪みなどを備えた区画部を設けることもできる。これによって、搬送部11によって搬送される包装袋体Pが押圧作用によって移動することを防止することができる。
【0033】
以上、実施例1〜4の包装袋体の押圧攪拌装置について説明したが、本発明は、搬送部上に載置された包装袋体Pの一部を押圧して、その搬送中に包装袋体に充填された流動物を攪拌や混合、冷却などの処理をすることを要旨としたものであって、これに該当するものは本発明の権利範囲である。
例えば、本実施例では、この押圧攪拌装置を包装袋体Pに充填された流動物を押圧、攪拌、混合、冷却などの処理をするのに適用したが、包装袋体押圧部材を用いて包装袋体Pの搬送中に固形分を含む流動物を圧潰したり、漬け物具材をその調味液に馴染ませたりするような調理処理を行うことも可能である。
また、包装袋体Pを搬送する搬送部に高周波電磁加熱装置などを設けて包装袋体Pを加熱調整するようにしてもよい。
なお、搬送部が1段及び5段構成のものについて説明したが、これらの特定段数のものに限定されるものではない。さらに本発明は実施例で示したような個別包装袋体のみならず、それぞれが連結された状態の包装袋体集合体に対しても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1の包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。
【図2】実施例2の包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。
【図3】実施例3の包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。
【図4】実施例4の包装袋体の押圧攪拌装置の説明図である。
【図5】押圧攪拌装置における包装袋体押圧部材の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10 実施例1の包装袋体の押圧攪拌装置
11 搬送部
11a ベルト
12 包装袋体押圧部材
12a 羽根部
13 支持ローラ部
20 実施例2の包装袋体の押圧攪拌装置
21 包装袋体押圧部材
21a、21b 押圧部
21c 支点
22 支持ローラ部
23 ベルト冷却部
30 実施例3の包装袋体の押圧攪拌装置
31 包装袋体押圧部材
31a 回転ロール
32 支持ローラ部
40 実施例4の包装袋体の押圧攪拌装置
41〜45 搬送部
46 装置本体
P 包装袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋体に充填された調味料や具材などの充填物を押圧・攪拌処理するための包装袋体の押圧攪拌装置であって、
前記包装袋体を搬送するスチールベルトやステンレススチールベルトなどからなる搬送部と、
前記搬送部の上方に設けられ、前記搬送部に載置された包装袋体の一部又は全部を前記搬送部に向けて押圧する包装袋体押圧部材と、を有することを特徴とする包装袋体の押圧攪拌装置。
【請求項2】
前記包装袋体押圧部材が互い違いに上下動する一対の包装袋体押圧部材であって、
前記一対の包装袋体押圧部材の間隔が、包装袋体の搬送方向の長さ寸法よりも小さくなるように前記搬送部上に配置されるとともに、
静止及び移動を繰り返して間欠駆動される前記搬送部に同期して、搬送部の静止時に前記片方の押圧部材が包装袋体を押圧するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋体の押圧攪拌装置。
【請求項3】
前記搬送部が上下方向に多段配置されて、前記包装袋体が前記搬送部の一端からその下方側の搬送部の一端へとジグザグ状に移動しながら降下するとともに、
前記搬送部を含む押圧攪拌装置本体の内部が冷却装置を介して所定温度に保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装袋体の押圧攪拌装置。
【請求項4】
前記搬送部のベルト下面又は上面に当接して設けられたベルト冷却部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋体の押圧攪拌装置。
【請求項5】
前記包装袋体が多数帯状に連結された包装袋体集合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋体の押圧攪拌装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−30897(P2007−30897A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213517(P2005−213517)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(505243940)有限会社豊浜技研 (4)
【Fターム(参考)】