説明

包装袋及びその包装機と包装方法

【課題】本発明は、充填時は液体状で後に固体状に変化する重量が大きい固体物の包装袋において、開封が容易であり、且つ取り出しが簡単な包装袋及びその包装機と包装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)を用いて袋の形状に熱融着することで内容物(8)を包装する包装袋において、前記包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を所定の位置に設け、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を設けたことを特徴とする包装袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填時は液体状で後に固体状に変化する、例えば、マーガリンなどの食品分野、固形石鹸などの非食品分野における内容物の重量が大きい固体物の包装袋及びその包装機と包装方法に関するものであり、さらに詳しくは、開封が容易であり、且つ取り出しが簡単な包装袋及びその包装機と包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、充填時は液体状で後に固体状に変化する、例えば、マーガリンなどの食品分野、固形石鹸などの非食品分野における内容物の重量が大きい固体物の包装袋を開封する場合、開封手段の代表的なものとしては、次のようなものがある。
【0003】
例えば、図5に示すように、包装袋の上部熱融着部(3)にノッチ(切り込み部)(10)を設け、そのノッチ(10)をきっかけにして、引き裂く方法があるが、この場合は、包装袋が伸び易い材質の場合は、図6に示すように、フィルムが伸びて開封困難となる問題点がある。
【0004】
また、図7に示すように、ノッチを入れず、ハサミやカッター等の刃物(11)を使用して開封する場合があるが、この場合は、包装袋とは一体化しておらず、別途部品として必要であり、取り扱いにおいてもケガをする恐れもあり問題点が多い。
【0005】
また、ティアテープ付き包装袋には、一般的に、ティアテープの端部を摘み易いように包装袋の端辺から舌片状に突出させた構成のものや(例えば、特許文献1参照。)、ティアテープ端辺部に非接着部を設けて浮かし、この端辺部を摘むことができるようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)などがある。
【0006】
しかしながら、前記ティアテープの端部を摘み易いように包装袋の端辺から舌片状に突出させた構成のものの場合は、該包装袋の取り扱い中や輸送等の移動時の衝撃等によって、ティアテープの端部を摘んで引き剥がす際に、ティアテープの突出端部で引き千切れて、開封が円滑にできなくなることがあるという問題点がある。
【0007】
また、前記ティアテープ端辺部を非接着とした包装袋の場合は、ティアテープ端辺部の位置が分かりずらい上に、摘み難いという問題点がある。
【0008】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】実開平5−71843号公報
【特許文献2】登録実用新案第3003279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、充填時は液体状で後に固体状に変化する、例えば、マーガリンなどの食品分野、固形石鹸などの非食品分野における内容物の重量が大きい固体物の包装袋において、開封が容易であり、且つ取り出しが簡単な包装袋及びその包装機と包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)を用い
て袋の形状に熱融着することで内容物(8)を包装する包装袋において、前記包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を所定の位置に設け、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を設けたことを特徴とする包装袋である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出す手段と、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着する手段と、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設ける手段と、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向のすでに融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を作製する手段と、開口部から内容物(8)を充填する手段と、内容物(8)の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設ける手段とを、備えたことを特徴とする包装機である。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項2記載の包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着し、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設け、長手方向のすでに融着された前記底部熱融着部(2)と前記切断を促す部材(6)とが交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を作製し、内容物(8)の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設けたことを特徴とする包装方法である。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、請求項2記載の包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着し、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設け、内容物(8)の充填後、開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設け、前記上部熱融着部(3)と前記切断を促す部材(6)とが交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を作製したことを特徴とする包装方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る包装袋は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料を用いて袋の形状に熱融着することで内容物を包装する包装袋において、前記包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を所定の位置に設け、内容物の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部、もしくは内容物の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部のいずれか一箇所と前記切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を設けたことにより、充填時は液体状で後に固体状に変化する、例えば、マーガリンなどの食品分野、固形石鹸などの非食品分野における内容物の重量が大きい固体物の包装袋の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。
【0015】
本発明に係る包装機は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出す手段と、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着する手段と、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設ける手段と、内容物の充填前の段階において、長手方向のすでに融着された底部熱融着部、もしくは内容物の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部のいずれか一箇所と前記切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製する手段と、開口部から内容物を充填する手段と、内容物の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部を設ける手段とを、備えたことにより、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【0016】
本発明に係る包装方法は、前記包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着し、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設け、長手方向のすでに融着された前記底部熱融着部と前記切断を促す部材とが交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製し、内容物の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部を設けたことことを特徴とする包装方法である。このような包装方法により、内容物の重量が大きい固体物の包装袋の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。さらに、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【0017】
また、本発明に係るその他の包装方法は、前記包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着し、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設け、内容物の充填後、開口部を熱融着し上部熱融着部を設け、前記上部熱融着部と前記切断を促す部材とが交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製したことを特徴とする包装方法である。このような包装方法により、前述と同様に、内容物の重量が大きい固体物の包装袋の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。さらに、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明に係る包装袋の1実施例を示す平面図であり、図2は本発明に係る包装袋を引き剥がし用つまみ部を用いて開封した状態を示す平面図であり、図3は本発明に係る包装袋の包装材料の切断を促す部材を接着する状態を示す斜視図であり、図4は本発明に係る包装袋の上部熱融着部と切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製する状態を示す斜視図である。
【0020】
本発明に係る1実施例の包装袋は、図1に示すように、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)を用いて袋の形状に熱融着することで内容物(8)を包装する包装袋において、前記包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を所定の位置に設け、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を設けたことを特徴とする包装袋である。
【0021】
前記プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)のフィルムの種類としては、熱融着性を有するフィルムなら特に制限されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム等からなる熱融着性の単層フィルムや、フィルム基材に熱融着性樹脂層が積層された積層体が挙げられる。
【0022】
前記フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの延伸又は無延伸フィルムを使用することができる。
【0023】
さらに、本発明の包装袋(A)は、前述のように、袋の開封をより一層安定的に直線状に開封するため、前記フィルム基材が直線引裂き性を有するフィルムからなることが好ましい。具体的には、直線引裂き性を有するフィルムとは、一方向に延伸した一軸延伸フィルムや縦横の延伸倍率を変えた二軸延伸フィルムなどがある。
【0024】
通常二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)や二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)などが多用されている。直線引裂き性を有するフィルムは、フィルムの長手(縦)方向[MD(machine direction、押し出し方向)方向]および幅(横)方向[TD(transverse direction)方向)の少なくとも、いずれかの方向に直線的に容易に引き裂かれ得る性能(易引き裂き性)を有している。
【0025】
前記直線引裂き性を有するフィルムである二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)は、例えば、重量平均分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール(PTMG)単位を5〜20重量%含有したポリブチレンテレフタレート(変性PBT)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)とを、PET/変性PBT=70/30〜95/5(重量比)の割合で混合した原料を用いて製造された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)を挙げることができる。
【0026】
次に、二軸延伸ポリアミドフィルム(ON)としては、例えば、脂肪族ポリアミド(PA)とポリメタキシレンアジパミド(MXD6)とを、PA/MXD6=80/20〜95/5(重量比)の割合で混合した原料を用いて製造された二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)を挙げることができる。
【0027】
前記フィルム基材の厚さは、加工性を考慮すると、10〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
【0028】
次に、熱融着性樹脂層を構成する材質としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂、またはこれらの樹脂を成膜化したフィルムを使用することができる。
【0029】
また、該熱融着性樹脂層の厚さは、ヒートシール強度、加工性などを考慮すると、15〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜170μmの範囲内がより好ましい。
【0030】
次に、基材フィルムと熱融着性樹脂層とをラミネーションして積層体を形成する方法は、例えば、ドライラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及び該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
【0031】
次に、積層体は、基材フィルムの片面または両面にバリア層が積層されている構成でも良い。
【0032】
前記バリア層としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着フィルム、無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の薄膜を有する樹脂フィルムやエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などのフィルム、或いはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などにポリ塩化ビニリデン(PVDC)を塗工したフィルム、またこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層体を使用することができる。
【0033】
尚、該積層体は、上記の構成の他に印刷層、アンカーコーティング層などを含んでいても良い。
【0034】
先ず、基材フィルムへの印刷層を設ける場合、該フィルムの印刷面は表裏どちらでも印刷可能であるが、一般的なプラスチックフィルム袋への印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して、フィルムの内面に商品の販売促進効果を向上させるなどの理由で美麗な絵柄の印刷層を設けることが好ましい。
【0035】
該印刷層を形成する印刷インキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
【0036】
該印刷層を設ける印刷方式は、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、シルクスクリーン印刷方式などを用いることができる。
【0037】
尚、前記基材フィルムに印刷する際、該基材フィルムと印刷インキとの密着性を向上させるため必要ならば、該基材フィルムの印刷層を設ける面にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すことが好ましく、更に、アンカーコート剤などをコーティングしても良い。
【0038】
これらのフィルムは、その熱融着性面が向き合う状態で、フィルム端縁同士を熱融着することにより製袋される。
【0039】
本発明において包装袋(A)の形態は、端縁のいずれか一端が開口されている限り如何なるものであっても良い。具体的な袋の形態としては、2枚のフィルムを重ねて3方の端縁を接合した3方シール袋、フィルムを折曲して背面でフィルム端縁を接合し、さらに開口する端縁の一方を接合した背貼りシール袋(ピロー包装袋)等が挙げられる。尚、こうした開口端は、袋内への内容物の収納に利用される。
【0040】
本発明の包装袋(A)は、前記プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)の表面フィルムと裏面フィルムとから構成され、少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を形成する。部材(6)としては、例えば、ティアテープ、線状樹脂等を用いて、接着または封入して形成する。
【0041】
前記部材(6)を包装袋(A)に取り付ける箇所は、前述した外面の他に、包装袋(A)が一重袋の場合は、内面、もしくは外面と内面の両面に、さらに、包装袋(A)が二重袋の場合は、外側の外袋の外面又は/及び内面、内側の内袋となる袋の外面又は/及び内面に設けても構わない。
【0042】
前記包装材料(1)の切断を促す部材(6)、例えば、ティアテープの場合は、該ティアテープの材質が、包装袋(A)を構成するプラスチックフィルム単体、もしくはその積層体よりも高強度の樹脂テープが制限なく使用できる。具体的には、1軸または2軸延伸ポリプロピレン製テープ、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート製テープ等が用いられ、特に2軸延伸ポリプロピレン製テープが好ましい。
【0043】
該ティアテープを包装袋(A)の少なくとも外面の長手方向に接着する方法は、接着剤を用いて行っても良いし、ティアテープの該接着面側に低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂層を積層し、熱融着しても良い。
【0044】
次に、線状樹脂の場合は、該樹脂の種類が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、合成ゴム、ABS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、等の1種類または複数を混合した熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0045】
前記樹脂がペレット又は線材として押出し成形機に供給され、加熱溶融された後、ノズルより押出されて固化し帯状の線状樹脂が製造される。
【0046】
前記部材(6)の幅や厚さは、包装袋(A)のサイズ、包装材料などによって適宜選択されるが、一般的には、5〜20mmの範囲が好ましく、厚さは、機械的強度を考慮して10〜100μmの範囲が好ましい。
【0047】
また、該部材(6)の長さは、収納される内容物(8)の取出しが可能なサイズであれば、特に制限されるものではないが、通常は、引き剥がし用つまみ部(7)の先端から他方の端縁までの全長にわたる長さであるのが好ましい。必要に応じてかかる他方の端縁側に位置する部材(6)の端末にも、同様の引き剥がし用つまみ部(7)を形成し、対抗する袋のどちらの端縁からも開封が行える構造にしても良い。
【0048】
次に、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向のすでに融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に開口部を融着してなる上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で円形状の切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を設ける。
【0049】
このような切り込み(7A)を形成する方法としては、レーザー加工、刃物などによる機械加工、ヒートバーなどによる熱加工などが挙げられる。
【0050】
以上のように、本発明に係る包装袋は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)を用いて袋の形状に熱融着することで内容物(8)を包装する包装袋において、前記包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を所定の位置に設け、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を設けたことにより、充填時は液体状で後に固体状に変化する、例えば、マーガリンなどの食品分野、固形石鹸などの非食品分野における内容物の重量が大きい固体物の包装袋の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。
【0051】
次に、このような本発明の包装袋(A)を製造する包装機は、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出す手段と、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着する手段と、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設ける手段と、内容物(8)の充填前の段階において、長手方向のすでに融着された底部熱融着部(2)、もしくは内容物(8)の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部(3)のいずれか一箇所と前記切断を促す部材(6)が交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を作製する手段と、開口部から内容物(8)を充填する手段と、内容物(8)の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設ける手段とを、備えたことにより、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【0052】
本発明に係る包装方法は、前記包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着し、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設け、長手方向のすでに融着された前記底部熱融着部(2)と前記切断を促す部材(6)とが交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れて引き剥がし用つまみ部(7)を作製し、内容物(8)の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設けたことを特徴とする包装方法である。このような包装方法により、内容物の重量が大きい固体物の包装袋(A)の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。さらに、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【0053】
また、本発明に係るその他の包装方法は、前記包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料(1)をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料(1、1)が重なった状態で各側端熱融着部(4、5)および底部熱融着部(2)の三方を熱融着し、包装材料(1)の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料(1)の切断を促す部材(6)を設け、内容物(8)の充填後、開口部を熱融着し上部熱融着部(3)を設け、前記上部熱融着部(3)と前記切断を促す部材(6)とが交差する部分に前記部材(6)を跨いで包装機内で切り込み(7A)を入れ
て引き剥がし用つまみ部(7)を作製したことを特徴とする包装方法である。このような包装方法により、前述と同様に内容物の重量が大きい固体物の包装袋(A)の開封が容易であり、且つ取り出しが簡単になる。さらに、インライン充填包装ができるので生産スピードが上がり、生産性が高いので製造コストが安くなり、従来のように別途付属する刃物等の部品も必要ないのでトータル的に包装コストが安くなる効果を有するものである。
【実施例】
【0054】
以下に、本発明の包装袋(A)について、具体的にいくつかの実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
【0055】
<実施例1>
本発明の包装袋を構成するフィルムとしては、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)フィルムを2枚使用し、三方を熱融着させた袋を作製した。袋のサイズは、縦60cm、幅40cm、シール幅1cmとした。袋の縦方向に沿って、片側外面に帯状の線状樹脂を接着し、固形内容物を10Kg封入し、開口部をシール幅1cmで熱融着して封緘した。開口部を熱融着した部分と線状樹脂接着部が重なる箇所に、円形状の切り込みを入れて引き剥がし用摘み部を形成し、引っ張る際のきっかけとした実施例1の包装袋を得た。
【0056】
<実施例2>
実施例1と同構成のフィルムを4枚用いて、三方を熱融着させた2重袋を作製した。袋のサイズは、縦60cm、幅40cm、シール幅1cmとした。袋の縦方向に沿って、外袋の片側外面及び内袋の片側内面に帯状の線状樹脂を接着し、固形内容物を10Kg封入し、開口部をシール幅1cmで熱融着して封緘した。開口部を熱融着した部分と線状樹脂接着部が重なる箇所に、円形状の切り込みを入れて引き剥がし用摘み部を形成し、引っ張る際のきっかけとした実施例2の包装袋を得た。
【0057】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0058】
<比較例1>
実施例1と同構成及び同寸法のフィルムを2枚用いて、通常の三方シール袋を作製し、固形内容物を10Kg封入し、開口部をシール幅1cmで熱融着して封緘した。一方の熱融着部にノッチ(切り込み部)を入れ、これを開封手段とした、比較例1の包装袋を得た。
【0059】
<比較例2>
実施例1と同構成及び同寸法のフィルムを4枚用いて、通常の三方シールの2重袋を作製し、固形内容物を10Kg封入し、開口部をシール幅1cmで熱融着して封緘した。一方の熱融着部にノッチ(切り込み部)を入れ、これを開封手段とした、比較例2の包装袋を得た。
【0060】
<比較例3>
実施例1と同構成及び同寸法のフィルムを2枚用いて、通常の三方シール袋を作製し、固形内容物を10Kg封入し、開口部をシール幅1cmで熱融着して封緘した。熱融着部にノッチ(切り込み部)を入れない比較例3の包装袋を得た。
【0061】
(評価)
実施例1〜2、比較例1〜3で得た包装袋の必要設備、生産スピード、製造コスト、開封性、別途必要部品、トータル包装コストの比較評価を行った。評価基準は、次の通りである。◎:優、○:良、△:可、×:不可。その評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

表1は、実施例1〜2、比較例1〜3で得た包装袋のそれぞれの項目における評価結果を示す表である。
【0063】
(結果)
実施例1は、全ての項目において、優れていた。実施例2は、包装袋の形態が2重袋の関係でトータル包装コストが若干悪かったが、その他の項目については、優れていた。比較例1及び2は、生産スピードは比較的良好であったが、それ以外は良くなかった。比較例3は、開封手段が袋に施されていないので、特に開封性が悪く刃物等の別部品が必要であり、利便性が悪く実用的でなかった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る包装袋の1実施例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る包装袋を引き剥がし用つまみ部を用いて開封した状態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る包装袋の包装材料の切断を促す部材を接着する状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る包装袋の上部熱融着部と切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製する状態を示す斜視図である。
【図5】従来の包装袋にノッチを入れた状態の1実施例を示す平面図である。
【図6】図5の包装袋をノッチから開封した状態の1実施例を示す平面図である。
【図7】従来の包装袋にノッチを入れない状態の1実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
A・・・包装袋
1・・・包装材料
2・・・底部熱融着部
3・・・上部熱融着部
4・・・側端熱融着部
5・・・側端熱融着部
6・・・部材
7・・・引き剥がし用つまみ部
7A・・・切り込み
8・・・内容物
9・・・充填ノズル
10・・・ノッチ(切り込み部)
11・・・刃物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料を用いて袋の形状に熱融着することで内容物を包装する包装袋において、前記包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を所定の位置に設け、内容物の充填前の段階において、長手方向の融着された底部熱融着部、もしくは内容物の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部のいずれか一箇所と前記切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を設けたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出す手段と、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着する手段と、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設ける手段と、内容物の充填前の段階において、長手方向のすでに融着された底部熱融着部、もしくは内容物の充填後に融着させる開口部の上部熱融着部のいずれか一箇所と前記切断を促す部材が交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製する手段と、開口部から内容物を充填する手段と、内容物の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部を設ける手段とを、備えたことを特徴とする包装機。
【請求項3】
請求項2記載の包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着し、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設け、長手方向のすでに融着された前記底部熱融着部と前記切断を促す部材とが交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製し、内容物の充填後に前記開口部を熱融着し上部熱融着部を設けたことを特徴とする包装方法。
【請求項4】
請求項2記載の包装機を用いて、プラスチックフィルム単体、もしくはその積層体からなる包装材料をそれぞれ繰り出し、それぞれの包装材料が重なった状態で各側端熱融着部および底部熱融着部の三方を熱融着し、包装材料の少なくとも外面の長手方向、もしくは幅方向に、引っ張ることで該包装材料の切断を促す部材を設け、内容物の充填後、開口部を熱融着し上部熱融着部を設け、前記上部熱融着部と前記切断を促す部材とが交差する部分に前記部材を跨いで包装機内で切り込みを入れて引き剥がし用つまみ部を作製したことを特徴とする包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−173313(P2009−173313A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14804(P2008−14804)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】