説明

包装袋

【課題】簡単な構成でガスを排出し得ると共に気密性を確保し得る包装袋を提供する。
【解決手段】包装袋10は、フィルムの端縁を重合した重合部12の延在方向の両端部に、横シール部20が形成される。重合部12は、気密性の縦シールが施された縦シール部14と、袋の内部と外部とを連通可能な通路18がフィルム間に形成された通路形成部16とを有する。また袋内側には、重合部12における内側端縁12aを全長に亘り跨ぐように不織布24が貼着される。更に、通路形成部16には、通路18を閉塞可能なシリコーンオイルが充填してある。袋内部の圧力が所定圧まで高まった際にはシリコーンオイルによる通路18の閉塞状態が解除され、該通路18からガスの排出を許容する。そして、袋内部の圧力が低下すると通路18が再びシリコーンオイルで閉塞された状態に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコーヒ豆等の如く、保存中にガスを発生する内容物を充填した包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焙焼したコーヒー豆等の如く保存中にガスを発生させる内容物を密封包装すると、コーヒー豆から発生したガスにより包装袋が膨張して破裂する問題がある。そこで、包装袋に孔や切り込みを形成し、この孔や切り込みを形成した箇所に特殊なガス抜き用弁を貼付し、包装袋の内圧が高まった際にガスをガス抜き用弁から外部に排出することが行なわれている。
【0003】
しかし、特殊なガス抜き用弁を包装袋に貼付する工程が煩雑であると共に、該弁が高価であるために製品コストが上昇する原因となる。このことから、特許文献1に開示されている簡易な構成で弁機能を有する包装袋が提案されている。特許文献1の包装袋は、合掌されるフィルムの両端縁部間に感圧性接着剤が塗布されると共に、フィルムの重合端縁部にシール部と非シール部とが交互に形成されている。そして、袋内部で発生したガスで袋の内圧が一定圧以上になると、非シール部が感圧性接着剤の粘着力に抗して押し広げられて通気路となり、該通気路からガスを排出し、ガスの排出に伴い袋の内圧が低下すると、フィルムの両端縁部が、感圧性接着剤の粘着力で閉じることになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4059753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装袋では、ガスの排出に伴い袋の内圧が低下した際に、通気路を閉じるようにフィルムの両端縁部が近づくものの、そのときに両端縁部が外力によって押し付けられる訳ではないため、感圧性接着剤の粘着力によって非シール部のフィルム全体が接着されず、必要な気密性を確保し得なくなるおそれがある。また、通気路の開放・閉鎖が繰り返されることによって感圧性接着剤の粘着性が低下すると通気路が開放したままとなってしまい、外部空気が侵入して内容物が酸化する問題を招く。
すなわち本発明は、従来の技術に係る包装袋に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、簡単な構成でガスを排出し得ると共に必要な気密性を確保し得る包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る包装袋は、
フィルムの端縁を重合した重合部が形成されると共に、該重合部の延在方向に離間して気密的に封止する横シールが施された横シール部が形成された包装袋であって、
前記重合部は、気密的に封止する縦シールが施された縦シール部と、前記横シール部の近傍であって、内容物を夫々収容した各包装袋を集積させて置いた状態で袋胴部同士が離間する部位に設けられ、袋の内部と外部とを連通可能な通路がフィルム間に形成された通路形成部とを有し、
前記重合部における内側端縁を全長に亘り跨ぐように不織布が袋内部に貼着され、
前記通路形成部には、袋内部の圧力に応じて流動して前記通路を開閉可能なシリコーンオイルが充填されたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記通路は、袋の内部から外部に非直線状に形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記通路形成部は、該通路形成部で重合するフィルムの内面同士を部分的にシールした部分シール部とシールされない非シール部を有し、該非シール部によって前記通路が非直線状に形成されることを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記通路形成部には、前記部分シール部が相互に離間して複数形成されていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記通路形成部の内側端縁に、前記部分シール部が形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項6に係る発明では、縦形製袋充填機により筒状に成形されたフィルムが間欠的に給送されて停止する毎に、該フィルムの端縁を重合した重合部を一対の縦シール板で挟持することで前記縦シール部が形成され、該縦シール部は、縦シール板で1回挟持された部分と複数回挟持された部分とを有し、前記通路形成部は、前記縦シール板で1回挟持された縦シール部間に隣接していることを要旨とする。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記通路形成部は、両横シール部の近傍に夫々設けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項8に係る発明では、前記不織布は、前記重合部との間に空間が形成されるように袋内部に貼着されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、シリコーンオイルの流動性を利用して、袋内部からガスを排出し得ると共に、ガス排出後に通路を確実に閉塞して包装袋に必要な気密性を維持し得る。また、シリコーンオイルは性状が変化し難いので、通路の開放と閉塞とが繰り返されても、ガス排出後には通路を確実に閉塞することができ、長期に亘って必要な気密性を維持して内容物の酸化等を防止し得る。しかも、フィルムの重合部に形成した通路にシリコーンオイルを充填した簡単な構成であるので、製造コストを低廉に抑えることができる。なお、重合部の内側端縁を跨ぐように袋内部に貼着した不織布により、通路が開放した際にガスと共に内容物が排出されるのを防止し得る。
請求項2に係る発明によれば、通路に充填したシリコーンオイルがガスと共に外部に流出するのを抑制し得る。
請求項3に係る発明によれば、簡単な構成で通路を非直線状に形成し得る。
請求項4に係る発明によれば、シリコーンオイルが外部に流出するのをより確実に抑制し得る。
請求項5に係る発明によれば、通路形成部の内側端縁側のフィルムが大きく開くのを抑制し、ガス排出後にシリコーンオイルで通路を確実に閉塞することができる。
請求項6に係る発明によれば、包装袋は縦形製袋充填機により製造することが可能である。
請求項7に係る発明によれば、ガスの排出を効率的に行なうことができる。
請求項8に係る発明によれば、ガスの排出をより効率的に行ない得る。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る包装袋を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る重合部の通路形成部を拡大して示す説明図である。
【図3】第1実施形態に係る包装袋を段積みした状態で、通路形成部の形成箇所を示す説明図である。
【図4】第1実施形態に係る不織布と重合部との間に空間が形成されることを示す包装袋の部分説明断面図である。
【図5】第1実施形態に係る包装袋を製造する縦形製袋充填機の概略構成図である。
【図6】第1実施形態に係る縦形製袋充填機の縦シール板を示すものであって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は部分シール面部の拡大図である。
【図7】第1実施形態に係る縦シール板により重合部に縦シールが重複して施される箇所があることを示す説明図である。
【図8】第2実施形態に係る不織布と重合部を示す包装袋の部分説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る包装袋につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、第1実施形態に係る包装袋10を示すものであって、該包装袋10には、例えばコーヒー豆を挽いたコーヒー粉末等のように、保存中にガスを発生する内容物が収容されている。包装袋10の内部に窒素ガス等の不活性ガスを充填して、内容物の酸化を防止するように、包装袋10の素材としては、厚みが12μmのPET、厚み10μmのPETにアルミを2μm蒸着したアルミ蒸着PET、厚みが40μmのPEの層を有するガスバリア性等に優れたフィルムが用いられる。
【0018】
前記包装袋10には、帯状のフィルムを筒状にしてその両端縁を合掌状に重合した所定幅の重合部12が、袋胴部10aから延出して形成され、該重合部12は、袋胴部10aに沿うように折曲げられている。この重合部12には、図1に示す如く、該重合部12に沿ってフィルムを所定幅で熱シールした縦シール部14と、袋内部と外部とを連通する通路18をフィルム間に形成した通路形成部16とが形成されている。また、包装袋10における長手方向(重合部12の延在方向)の両端部に、フィルムの内面同士が重合されて所定幅で熱シールされて気密的に封止された横シール部20が夫々袋幅方向に横断するように延在して形成されている。すなわち、横シール部20,20は、重合部12に施された縦シール部14と交差するよう袋胴部10aの両端に形成されている。なお、縦シール部14および通路形成部16は、重合部12の外側端縁12bまで施されていてもよいが、重合部12の外側端縁12bから所定幅でフィルムが熱シールされていない未シール領域が形成されるように縦シール部14および通路形成部16を形成するのが好ましい。
【0019】
前記縦シール部14は、フィルムを封止して袋内部を気密的に維持し得るよう、フィルムの内面同士が、該縦シール部14の幅方向の全長に亘って連続的に熱シールされている。前記通路形成部16は、図2に示す如く、縦シール部14,14間に位置してフィルムの内面同士を部分的に熱シールした部分シール部22と、熱シールされない非シール部によって形成された前記通路18を有する。すなわち、包装袋10は、縦シール部14および横シール部20で必要な気密性が確保されると共に、通路形成部16の通路18を介してのみ袋内部と外部とが連通可能に構成される。そして、通路形成部16には、前記通路18を閉塞可能な量のシリコーンオイルが充填され、該シリコーンオイルは、包装袋10の内部圧力に応じて流動して前記通路18を開閉するようになっている。すなわち、包装袋10の内圧が所定値以下の状態では、該シリコーンオイルにより通路18を閉塞状態に維持して、該通路形成部16においても袋内部と外部との気密性を確保し得ると共に、包装袋10の内圧が所定値より上昇したときには、後述するようにシリコーンオイルが流動して通路18を開放するようになっている。
【0020】
第1実施形態の通路形成部16は、図2に示す如く、フィルム同士を部分的に熱シールした部分シール部22が、重合部12の長手方向および幅方向に隙間をあけて複数形成されて、各部分シール部22,22間の隙間によって包装袋10の内部と外部とを連通する前記通路18が重合部12の幅方向(袋の内外方向)に非直線状に複数形成されている。
【0021】
前記通路形成部16の構成を更に具体的に説明すれば、例えば、図2に示す如く、通路形成部16の幅寸法wが12mm、長手方向の寸法lが15mm前後に設定され、各部分シール部22は、1辺の長さnが3mm程度の正四角形で、各正四角形の対角線が重合部12の幅方向および長手方向に整列し、各正四角形が千鳥状に配置されるよう隣り合う部分シール部22,22の対向する辺間の隙間mが3mmに設定されている。なお、後述するガス排出時に通路形成部16における一対のフィルムの内側端縁12aおよび外側端縁12bが大きく離間するのを規制し得るよう通路形成部16の内側端縁12aおよび外側端縁12bに、夫々2つの部分シール部22が形成されている。
【0022】
前記通路形成部16は、各横シール部20の近傍であって、内容物を夫々収容した各包装袋10を集積させて置いた状態で各包装袋10の袋胴部10a同士の離間した部位に設けられる。すなわち、図3に示すように、包装袋10を袋胴部10aが重なるように段積みした状態では、重合部12における各横シール部20の近傍は、包装袋10が直に載置される載置面または上下に対向する包装袋10,10の間に隙間が生じ、この部位(図3で円で囲った部位)に通路形成部16を形成することで、段積みされた上側の包装袋10によって通路形成部16が押されて非シール部においてフィルムが密着して通路18が閉鎖されてしまうのを防ぐことができる。
【0023】
前記通路形成部16の形成位置については、包装袋10を長手方向に3分割した際に、長手方向の端から1/3の領域内が好ましく、横シール部20と袋胴部10aとの境界から袋胴部10a側に横シール部20の幅分離れた位置とするのがより好適である。すなわち、通路形成部16を横シール部20に近づけて形成することによって、重合部12と交差するように形成されている横シール部20によって通路形成部16におけるフィルム剛性が高くなり、フィルムが皺になり難く、通路18を画成するフィルム間の間隔が変化し難くなる。
【0024】
前記包装袋10の内部には、図1に示す如く、前記重合部12の全長に亘って該重合部12の内側端縁12aをフィルム幅方向に跨ぐように不織布24が貼着されている。この不織布24の素材としては、PPやPE等が好適に用いられると共に、内容物を外部に飛散させることがない目の粗さに設定される。不織布24は、図1または図4に示す如く、幅方向における両端縁24a,24aが重合部12の内側端縁12aを基準に対称となるように置かれ、両端縁24a,24aが、フィルム内面に熱シールされている(図4において重合部12を挟む両側で黒く塗りつぶして表わした部分)と共に、不織布24の長手方向における両端が横シール部20でフィルム内面に熱シールされており、該不織布24と重合部12の内側端縁12aとの間には、袋胴部全長に亘って連通する空間Sが形成されている。
【0025】
前述のように構成された包装袋10は、例えば図5に示す縦形製袋充填機により製造することができる。縦形製袋充填機では、フィルム供給源26から引き出した帯状フィルムにおける通路形成部16の形成予定位置に、オイル塗布手段28を介してシリコーンオイルが塗布される。この帯状フィルムは、製袋手段30に供給されて筒状に成形されると共にフィルム幅方向の端縁が合掌状に重合され、筒状フィルムは充填パイプ32に沿って下方に向けて間欠的に給送される。また、布供給源34から引き出された不織布24は、筒状フィルムの内側を重合部12の内側端縁12aを跨ぐ状態で充填パイプ32に沿って筒状フィルムと共に間欠的に給送される。そして、筒状フィルムおよび不織布24の給送停止時に、布溶着手段36によって筒状フィルムの内側に不織布24が、重合部12の内側端縁12aを跨いだ状態で溶着される。
【0026】
また、前記筒状フィルムの給送停止時に、筒状フィルムの重合部12に縦シール装置38により縦シールが施されると共に、前記充填パイプ32を介して筒状フィルムに供給された内容物を挟む前後の筒状フィルムに横シール装置40により横シールを施すと共に切断することにより、前記包装袋10が製造される。
【0027】
前記縦シール装置38は、筒状フィルムの前記重合部12を挟持する所定長さの一対の縦シール板42,42(図5では一方のみ図示)を備える。一方の縦シール板42には、図6(a)に示す如く、フィルムに対向する面が全て平坦なベタシール面部44と、長手方向に離間する一対の部分シール面部46とが形成される。なお、他方の縦シール板42には、フィルムに対向する面が全て平坦なベタシール面部44のみが形成されている。また、部分シール面部46は、図6(b)または図6(c)に示す如く、ベタシール面部44の表面から所定高さで凹ませた凹部46a内に、表面がベタシール面部44と同一レベルに位置するように複数のシール凸部46bが突設されて構成される。各シール凸部46bの形状、寸法および配置は、前記通路形成部16に前述した形状、寸法および配置で部分シール部22が形成されるように設定されている。すなわち、一対の縦シール板42,42で給送停止した筒状フィルムの重合部12を挟持することで、前記縦シール部14と通路形成部16とが同時に形成される。
【0028】
ここで、縦形製袋充填機では、フィルムを間欠給送して停止時に前記縦シール板42,42で重合部12を挟持して縦シールを施す際には、重合部12において長手方向に未シール部が発生しないように、フィルムの間欠給送長さに対して縦シール板42の長さを長く設定し、図7に示す如く、1回縦シールが施された重合部12を再び縦シール板42,42で挟持して2回の縦シールを施す部位(二重シール部)を設けるようにしている。そして、第1実施形態の包装袋10を製造する場合では、前記縦シール板42に形成される部分シール面部46の形成位置を、縦シール板42のベタシール面部44で重合部12を二重シールする部位から外れた位置に形成する。これにより、包装袋10における通路形成部16は、縦シール板42,42で二重シールされる領域以外に形成され、該通路形成部16の長手方向の両側には縦シールが1回のみ施された縦シール部14,14が隣接するようになっている。
【0029】
以上のように、コーヒー豆等の内容物を充填した包装袋10では、内容物から発生したガスが不織布24と重合部12の内側端縁12aとの間に形成された空間Sに侵入する。そして、発生したガスによって包装袋10の内部圧力が所定値より上昇すると、前記通路形成部16の通路18を閉塞しているシリコーンオイルがガスによって押し分けられて通路18の閉塞状態が解除され、開放した通路18を介してガスが外部へ排出される。これによって、包装袋10の内圧が高まって袋が破裂等するのを防ぐことができる。また、空間Sが袋胴部10aの全長に亘って形成されていることから、内容物に邪魔されることなく通路形成部16に向けて発生したガスが移動できる。更に、不織布24が袋胴部10aの全長に亘って重合部12の内側端縁12aを跨ぐように貼着されているから、内容物が通路18から外部にガスと共に排出されずに済み、例えば内容物が通路18に付着した際のバルブ機能の低下等を未然に防止し得る。
【0030】
前記通路18からのガスの排出によって包装袋10の内圧が所定値より低下すると、シリコーンオイルが流動して通路18を閉塞する状態に戻り、包装袋10の内部を必要な気密状態に維持し得る。従って、包装袋10の内部に外部空気が侵入することによる内容物の酸化や変質等を防ぐことができる。またシリコーンオイルは、揮発性が少なく、粘度の変化が非常に少ないものであるので、通路18の開放・閉塞が繰り返された場合であっても、ガス排出後にはシリコーンオイルによって通路18を確実に閉塞状態に戻すことができ、長期に亘って必要な気密性を維持し得る。しかも、図2に示す如く、前記通路形成部16における外側端縁12bおよび内側端縁12aに部分シール部22が臨んでいるから、該通路形成部16で対向する一対のフィルムが大きく離間するのは抑制され、包装袋10の内圧が所定値より低下したときには、シリコーンオイルで通路18を確実に閉塞することができる。
【0031】
第1実施形態では、図2に示す如く、前記通路形成部16における部分シール部22を千鳥状に配置して通路18が袋の内外方向に非直線状になるよう構成したので、ガスの排出時にシリコーンオイルが外部に流出するのを抑制することができる。また、通路形成部16内に複数の部分シール部22が存在することにより、シリコーンオイルの流出をより抑制し得る。更に、各部分シール部22を四角形としたことで、シリコーンオイルがガスにより押し分けられて通路18内を移動する際に、部分シール部22を形成した四角形の各辺が抵抗となってシリコーンオイルの通路18外部への流出を抑制することができる。
【0032】
また、各横シール部20の近傍に通路形成部16を設けたことから、空間Sのガスを、何れかの通路18から良好に排出することができる。
【0033】
前記通路形成部16に充填されるシリコーンオイルは、揮発性が少なく、耐熱性に優れており、フィルムを熱シールする際のシール温度に対しても殆ど酸化することがないから、フィルムを熱シールする前に予めフィルムに塗布しておくことができ、包装袋10の製造が容易となる。
【0034】
図8は、包装袋10の第2実施形態を示すものであって、図8(a)に示すように、不織布24の両端縁24a,24aの位置が、重合部12の内側端縁12aの位置に対して非対称になるように、包装袋10の内部にて、重合部12の全長に亘って該重合部12の内側端縁12aをフィルム幅方向に跨ぐように、不織布24がフィルムの内側に貼着されている点で第1実施形態と相違し、包装袋10における他の部分については第1実施形態の包装袋10と同じであるため、説明を省略する。
そして、図8(a)に示すように第2実施形態の包装袋10は、空間Sが広がる前の状態において、図4と比較して、重合部12の内側端縁12aより空間S側のフィルム同士が重なり難くされており、包装袋10内部にガスが発生すると、不織布24と重合部12の内側端縁12aとの間に形成された空間Sを図8(b)のように大きく広げ、空間S内のガスを、空間Sの側方の重合部12の通路形成部16から容易に排出し得るようにされている。
このことにより、包装袋10の内部のガスを所定値で安定的に外部に排出することができ、袋が破裂等するのを防ぐことができる。
【0035】
(変更例)
本発明は各実施形態の構成に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のようにも変更可能である。
(1) 実施形態では、重合部12の全てを覆うように単一の不織布24を袋内側に貼着したが、通路形成部毎に不織布24を熱シールあるいは接着等で貼着してもよい。
(2) 実施形態では、通路形成部16を各横シール部20の近傍に形成したが、一方の横シール部20の近傍にのみ通路形成部16を形成したものであってもよい。
(3) 実施形態では、通路形成部16における部分シール部22を熱シールにより形成したが、接着剤等によるコールドシール等で形成してもよい。
(4) 実施形態では、部分シール部22を四角形とした場合で説明したが、三角形や丸形等、その他各種形状を採用し得る。また部分シール部22の形成パターンについても、千鳥状に限らず、各種のパターンを採用し得る。
(5) 実施形態の包装袋10は、縦形製袋充填機に限らずその他各種の包装機で製造することが可能である。
(6) 実施形態では、縦形製袋充填機での製造過程において帯状フィルムの段階でシリコーンオイルを塗布した場合で説明したが、縦形製袋充填機により袋を製造した後に、シリコーンオイルが通路形成部16に充填されたものであってもよい。
(7) 包装袋10の内部圧力によって、重合部12の縦シール部14が剥離し難くするために、不織布24における両端縁24a,24aの間の不織布24の長さが、各端縁24aからフィルムの重合部12の内側端縁12aまでのフィルム長さの和と等しく、あるいは長くなるように、重合部12に通路形成部16を形成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
10a 袋胴部,12 重合部,12a 内側端縁,14 縦シール部
16 通路形成部,18 通路,20 横シール部,22 部分シール部,24 不織布
42 縦シール板,S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの端縁を重合した重合部(12)が形成されると共に、該重合部(12)の延在方向に離間して気密的に封止する横シールが施された横シール部(20,20)が形成された包装袋であって、
前記重合部(12)は、気密的に封止する縦シールが施された縦シール部(14)と、前記横シール部(20)の近傍であって、内容物を夫々収容した各包装袋(10)を集積させて置いた状態で袋胴部(10a)同士が離間する部位に設けられ、袋の内部と外部とを連通可能な通路(18)がフィルム間に形成された通路形成部(16)とを有し、
前記重合部(12)における内側端縁(12a)を全長に亘り跨ぐように不織布(24)が袋内部に貼着され、
前記通路形成部(16)には、袋内部の圧力に応じて流動して前記通路(18)を開閉可能なシリコーンオイルが充填された
ことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記通路(18)は、袋の内部から外部に非直線状に形成される請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記通路形成部(16)は、該通路形成部(16)で重合するフィルムの内面同士を部分的にシールした部分シール部(22)とシールされない非シール部を有し、該非シール部によって前記通路(18)が非直線状に形成される請求項2記載の包装袋。
【請求項4】
前記通路形成部(16)には、前記部分シール部(22)が相互に離間して複数形成されている請求項3記載の包装袋。
【請求項5】
前記通路形成部(16)の内側端縁(12a)に、前記部分シール部(22)が形成されている請求項4記載の包装袋。
【請求項6】
縦形製袋充填機により筒状に成形されたフィルムが間欠的に給送されて停止する毎に、該フィルムの端縁を重合した重合部(12)を一対の縦シール板(42,42)で挟持することで前記縦シール部(14)が形成され、該縦シール部(14)は、縦シール板(42,42)で1回挟持された部分と複数回挟持された部分とを有し、前記通路形成部(16)は、前記縦シール板(42,42)で1回挟持された縦シール部(14)間に隣接している請求項1〜5の何れか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記通路形成部(16)は、両横シール部(20,20)の近傍に夫々設けられている請求項1〜6の何れか一項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記不織布(24)は、前記重合部(12)との間に空間(S)が形成されるように袋内部に貼着されている請求項1〜7の何れか一項に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−131550(P2012−131550A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286603(P2010−286603)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】