説明

包装袋

【課題】電子レンジで加熱調理しても、内容物から発生する蒸気を抜くことが可能で、かつ包装袋の周囲や電子レンジ内を汚染しない包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】三方を熱シールして底シール部と側シール部が設けられ、天シール予定部の開口部から内容物が充填され、天シール部がシールされる包装袋において、
表側の本体フィルムに、天シール部近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて内板面部と外板面部とが相対してなる折り込み部が形成され、前記内板面部のシーラント層と前記外板面部のシーラント層とが相対して熱シールされ、熱シール部が形成された包装袋であって、前記熱シール部に、蒸気を抜くための蒸気抜き口と、該蒸気抜き口に連接した蒸気抜きを誘導するための誘導手段と、
を備えたことを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などを収容する包装袋において、食品などの内容物を収容した状態で、電子レンジで加熱調理できると共に、内容物から発生する蒸気の圧力で蒸気抜きができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱性のプラスチックフィルムからなる包装袋に収容した調理済または半調理済の食品を食する時に、電子レンジで加熱できる包装食品が広く市販されている。
【0003】
しかし、このような包装食品は、包装袋を開封しないで電子レンジで加熱すると、加熱時に内容物から発生する蒸気で内部圧が上昇し、包装袋が破裂して内容物が飛散し、電子レンジの内部を汚染してしまうことがある。
【0004】
このため、電子レンジで加熱する前に、予め包装袋に、例えばハサミなどを用いて小さい切欠部や通気孔など開けて、包装袋の内部圧の上昇を抑えて破裂を防止している。
【0005】
しかしこの方法では、加熱時に発生する蒸気は、直ぐに包装袋の外に放出されるため、蒸気による蒸し調理効果が低減されるともに内容物の乾燥が進行して、食品の品質劣化をきたす場合がある。
【0006】
これらの問題を解決するために、図10に示すように、表裏二枚からなる本体フィルムの表側本体フィルム32を、天シール部34近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部34と平行してZ状に折り曲げて内板面部41と外板面部42が相対してなる折り込み部が形成され、この折り込み部38に蒸気抜き口が設けられ、かつ折り込み部の相対するフィルムの間にイージーピールテープ56が挿入され、蒸気抜き口を覆うようにヒートシールされた包装袋20で、包装袋の内部圧が上昇するとイージーピールテープ56が剥離し、蒸気抜きをする提案がある(特許文献1)。
【0007】
またプラスチックフィルムを筒状にして、そのフィルムの対向する両端部の同一面側を合掌状に互いに重ね合わせシールし、そのシール部を筒体の一端側に片寄らせた後に、該ヒートシール部の下辺部を除いて筒体の下辺部をヒートシールし、その後筒体の上辺部の開口部から内容物を充填しシールした包装袋がある。その合掌されたシール部を形成する際にその合掌の間に、シール部を易開封するためのイージーピールテープを挿入して、加熱により包装袋の内部圧が上昇したときに、イージーピールテープが剥離して蒸気抜きする提案がある(特許文献2)。
【0008】
これらの提案は、イージーピールテープを用いた開封部が包装袋の表面にあり、かつ蒸気が上方に抜けるようにした提案で効果がある。しかし包装袋を形成するフィルムとは別の素材を用いるために価格面で高くなる問題がある。
【0009】
さらに、包装袋の背シール部の一部領域に狭いシール幅で形成した狭幅シール部を設け、その狭幅シール部の領域内で切り込みをして、包装袋の内部圧の上昇で狭幅シール部が剥離し開口するようにした提案がある(特許文献3)。
【0010】
この包装袋では、内部圧が上昇してヒートシール部が剥離したときに、内容物の飛散が生じるために、完全な状態での内容物の飛散を回避し、電子レンジ内部の汚染を回避できるとは言い難いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2005/009869号公報
【特許文献2】特開平9−150864号公報
【特許文献3】特開平11−278557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
背景技術の問題を鑑みて、電子レンジで加熱調理しても、内容物から発生する蒸気を抜くことが可能で、かつ包装袋の周囲や電子レンジ内を汚染しない包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、互いにシーラント層を有する表裏二枚の本体フィルムが、前記シーラント層を内側にして相対向させて重ね合わされ、三方を熱シールして底シール部と側シール部が設けられ、天シール予定部の開口部から内容物が充填され、天シール部がシールされる包装袋において、
表側の本体フィルムに、天シール部近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて内板面部と外板面部とが相対してなる折り込み部が形成され、
前記内板面部のシーラント層と前記外板面部のシーラント層とが相対して熱シールされ、熱シール部が形成された包装袋であって、
前記熱シール部に、蒸気を抜くための蒸気抜き口と、該蒸気抜き口に連接した蒸気抜きを誘導するための誘導手段と、
を備えたことを特徴とする包装袋である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、前記誘導手段が、前記熱シール部の内側辺に一個以上の三角状突起であることを特徴とする請求項1項記載の包装袋である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、前記三角状突起が、幅が5〜15mm、高さが5〜15mmからなる三角形状であることを特徴とする請求項1または2記載の包装袋である。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明は、前記蒸気抜き口が、小孔もしくはスリットでることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の包装袋である。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、前記側シール部の天シール部近傍に、易カット手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装袋である。
【0019】
本発明の請求項6に係る発明は、一枚のフィルムを折り曲げて底テープとし、前記表側の本体フィルムと裏側の本体フィルムの間に挿入して、周辺部をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1によれば、互いにシーラント層を有する表裏二枚の本体フィルムが、前記シーラント層を内側にして相対向させて重ね合わされ、三方を熱シールして底シール部と側シール部が設けられ、天シール予定部の開口部から内容物が充填され、天シール部
がシールされる包装袋において、
表側の本体フィルムに、天シール部近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて内板面部と外板面部とが相対してなる折り込み部が形成され、
前記内板面部のシーラント層と前記外板面部のシーラント層とが相対して熱シールされ、熱シール部が形成された包装袋であって、
前記熱シール部に、蒸気を抜くための蒸気抜き口と、該蒸気抜き口に連接した蒸気抜きを誘導するための誘導手段と、
を備えたことを特徴とする。天シール部近傍で表側本体フィルムをZ状に折り曲げて、折り込み部を形成し、該折り込まれた部分を熱シールして、熱シール部を形成する。包装袋の内部圧が上昇したとき、折り込み部を挟んで短片側が膨張による張力によって略起立状にされると共に、反対側の長片側の包装袋の張力により、折り込み部が包装袋の上面に対して起き上がり、折り返し部が上方に傾斜する。折り込み部を形成する部位は、包装袋の表側の中心より天シール側にあるとよい。また熱シール部の一部に蒸気を抜くための蒸気抜き口と、かつ該蒸気抜き口に連接して蒸気抜きを誘導するための誘導手段と、を備えたことで、包装袋の内部圧が上昇したときに、蒸気抜きを誘導する誘導手段が徐々に剥離しながら、内容物から発生する蒸気を蒸気抜き口に誘導し、蒸気を上向き方向に排出する。内容物が包装袋から出て、電子レンジ内を汚染することがない包装袋である。また蒸気抜きを徐々にするため、蒸し効果も有する包装袋である。
【0021】
本発明の請求項2によれば、前記誘導手段が、前記熱シール部の内側辺に一個以上の三角状突起であることを特徴とする。熱シール部の内側辺に三角状突起を備えることで、包装袋の内部圧が上昇したときに、この三角状突起の突起部から剥離が始まり、徐々に連接した蒸気抜き口へと剥離が誘導され、蒸気が抜けるのである。三角状突起は、一個以上は設けることで安定して蒸気抜きができる。内容物、包装袋のサイズ、折り込み部の高さなどから適宜個数を決めればよい。
【0022】
本発明の請求項3によれば、前記三角状突起が、幅が5〜15mm、高さが5〜15mmからなる三角形状であることを特徴とする。三角状突起の幅が5mm未満になると包装袋の内部圧が上昇すると強度不足から剥離し、内容物が漏れ出す場合がある。また15mm以上では、強度が強くなり、包装袋の内部圧が上昇しても剥離せず破裂する場合がある。また三角状突起の高さは、5〜15mmであることが必要である。特に内容物、包装袋サイズ、折り込み部の高さなどからこの範囲で決めればよい。また三角状突起を含んだ熱シー部は、折り込み部の高さより3mm以上低くすることが好ましい。包装袋を製造する製袋機上で折り曲げ、熱シールなどのバラツキから、包装袋として不定形な形状になり、蒸気抜きの効果にバラツキが生じる。よって三角状突起の幅および高さが上記の範囲であれば、安定して剥離ができ蒸気抜き口から蒸気を抜くことができる。
【0023】
本発明の請求項4によれば、前記蒸気抜き口が、小孔もしくはスリットであることを特徴とする。熱シール部に設ける蒸気抜き口は、熱シール部が熱シールによって形成されるときに、該熱シール部領域に、金属刃を用い小孔もしくはスリットを設ける。この設ける部位は、蒸気抜きを誘導する三角状突起に連接する部位に設ける。包装袋の内部圧が上昇したときに蒸気を抜くことができる。
【0024】
本発明の請求項5によれば、前記側シール部の天シール部近傍に、易カット手段が備えられていることを特徴とする。本発明の包装袋は電子レンジで加熱し、包装袋の内部圧が上昇すると、熱シール部に設けた蒸気抜き口から蒸気を抜いて調理することができる。加熱調理後の内容物を包装袋から取り出すときには、側シール部の天シール部近傍に易カット手段、即ちVノッチ、一ノッチなどを備えたことで、この部分からカットすることにより、内容部を容易に取り出すことができる。
【0025】
本発明の請求項6によれば、一枚のフィルムを折り曲げて底テープとし、前記表側の本体フィルムと裏側の本体フィルムの間に挿入して、周辺部をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする。包装袋をスタンディングパウチ形状にすることで、加熱時でも安定した状態を保ち、内容物から発生する蒸気を上向き方向に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の包装袋の一例を示す正面説明図である。
【図2】本発明の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図3】図2の包装袋のA−A´線の断面説明図である。
【図4】図2の包装袋が電子レンジで加熱された状態の一例を示す断面説明図である。
【図5】本発明の包装袋の折り込み部の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の包装袋の三角状突起の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の包装袋の折り込み部の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の包装袋(スタンディングパウチ形状)の一例を示す斜視説明図である。
【図9】本発明の本体フィルムの一例を示す断面図である
【図10】従来の包装袋の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
【0028】
図1は、本発明の包装袋10の一例を示す正面説明図である。内容物が収容された包装袋である。この包装袋は四方シールされたもので、表側の本体フィルム32にはZ状に折り込まれた折り込み部38と、その折り込み部の領域に熱シールされた熱シール部37と、を包装袋の表面の天シール部34側に設けている。この熱シール部37には、蒸気抜き口として熱シール部37を貫くスリット50を備えている。該スリット50は、熱シール部37の内側辺に設けた三角状突起43に連接されている。電子レンジで加熱すると包装袋の内部圧が上昇し、三角状突起の突起部44から徐々に剥離され、蒸気抜き口のスリット50まで剥離されるとスリット50から蒸気が抜けるのである。また側シール部35には、天シール部34の近傍に易カット手段としてVノッチ、一ノッチ51を備えている。このノッチを用いて包装袋を易カットすることができるため、包装袋から内容物を容易に取り出すことができる。
【0029】
図2は、本発明の包装袋10の一例を示す斜視説明図である。折り込み部38は包装袋の表側の天シール部34側に設けている。折り込み部38には、熱シールされた熱シール部37を有し、該熱シール部37には三角状突起43が形成されている。
【0030】
図3は、図2の包装袋のA−A´線の断面説明図である。表裏二枚の本体フィルム32、33からなり、天シール部34、底シール部36、折り込み部38とその折り込み部の熱シール部37には、蒸気抜き口のスリット50を備えている。
【0031】
図4は、図3の包装袋が電子レンジで加熱された状態の一例を示す断面説明図である。(図4−1)は、包装袋を横にした状態で加熱前を示したものである。(図4−2)は、包装袋を横にした状態で加熱後を示したものである。図4−2に示すように、包装袋の内部圧が上昇すると、折り込み部38が、折り込み部38を挟んで短片側が膨張による張力によって略起立状にされると共に、反対側の長片側の包装袋の張力により、折り込み部38が包装袋の上面に対して起き上がり、折り込み部38が上向きになる。包装袋の内部圧が上昇すると三角状突起の突起部44から徐々に剥離され、スリット50まで達すると、該スリット50から蒸気が抜ける。即ち蒸気55が上の方へ向かって抜けるので、内容物39が漏れ出すことはなく、電子レンジ内を汚染することもない。また徐々に蒸気が抜けるため、内容物に対し蒸し効果がある。
【0032】
図5は、本発明の包装袋の折り込み部の一例を示す説明図である。折り込み部38は、熱シール部37を有し、その熱シール部37の内側の辺に一個以上の三角状突起43が形成されている。また熱シール部37を貫くスリット50は、三角状突起43の内側まで形成されている。包装袋の内部圧が上昇すると三角状突起の突起部44から徐々に剥離し、スリット50に到達すると蒸気が抜けるのである。矢印方向は、内部圧が上昇したときに、剥がれていく方向を示している。安定して蒸気抜きをすることができる。また三角状突起を含んだ熱シール部37は、折り込み部の高さ47より低く形成する。
【0033】
図6は、本発明の包装袋の三角状突起43の一例を示す説明図である。三角状突起43の形状は、幅45を5〜15mm、高さ46を5〜15mmがよい。内容物、包装袋のサイズ、折り込み部の高さなどから、三角状突起の形状を適宜決めればよい。
【0034】
図7は、本発明の包装袋の折り込み部38の一例を示す説明図である。表側の本体フィルム32をZ状に折り曲げて内板面部41と外板面部42とが相対してなる折り込み部38を形成したものである。また内板面部41のシーラント層と前記外板面部42のシーラント層とが相対して熱シールされ、熱シール部37を形成したものである。熱シール部にはスリット50が形成されている。
【0035】
図8は、本発明の包装袋(スタンディングパウチ形状)10´の一例を示す斜視説明図である。一枚の底テープ40を折り曲げて表側本体フィルム32と裏側本体フィルム33の間に挿入して周辺部をシールしてスタンディングパウチ形状にした包装袋である。スタンディングパウチ形状にすることにより、電子レンジ内ターンテーブル57に載置し易い。また加熱時に包装袋の内部圧が上昇すると蒸気がスリット50から上の方へ向かって抜けるので、内容物が漏れ出すことはなく、電子レンジ内を汚染することもない。
【0036】
図9は、本発明の本体フィルム31の一例を示す断面図である。本体フィルム31は基材層52とシーラント層54を積層した積層フィルムから構成される。基材層52は、シート状またはフィルム状のものであって、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリイミドなど)、あるいはこれらの高分子の共重合物など、通常包装材料として用いられる耐熱性プラスチックフィルムまたはシートが使用できる。
【0037】
また基材層に、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。必要に応じて適宜添加される。さらに基材の表面をコロナ放電処理、アンカーコート処理などの表面処理を行い、上記シーラント層などとの接着性を向上させることもできる。
【0038】
また本体フィルムのガスバリア性を向上させるために、基材層52とシーラント層54との間に、中間層53としてアルミニウム箔を積層したり、基材層52として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどの無機酸化物を20〜100nm程度の厚さに蒸着した透明蒸着フィルムを用いることもできる。この透明蒸着フィルムに用いる基材は、延伸されたポリエステルフィルムが使用される。
【0039】
シーラント層54としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体、飽和ポリエステルなどの熱融着性のある樹脂であれば使用できるが、電子レンジ適正を考慮すると厚さが60〜100μm程度のポリプロピレン樹脂(フィルム)がより好ましい。ま
た内容物としてボイル、レトルト食品を収容する場合は、厚さが60〜80μm程度のポリプロピレン樹脂(フィルム)を使用することが好ましい。
【0040】
また内容物により落下強度、突き刺し強度を向上させる必要がある場合は、基材層52とシーラント層54の間に中間層53を介在させることができる。中間層53として、例えばナイロンフィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましい。またこの中間層にも酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着したポリエステルフィルムを使用できる。
【0041】
基材層52とシーラント層54、または基材層52と中間層53、中間層53とシーラント層54との貼り合わせは、例えば二液反応型のポリウレタン樹脂系接着剤を使用してドライラミネート法などの公知のラミネート方法を用いて貼りあわせ積層することができる。
【0042】
本体フィルムの構成として、例えば、ポリエステルフィルム/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレンフィルム、透明蒸着ポリエステルフィルム/無延伸ポリプロピレンフィルム、透明蒸着ポリエステルフィルム/ナイロンフィルム/無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム/ナイロン/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム/ポリ塩化ビニリデンフィルム/無延伸ポリプロピレンフィルム、などが挙げられる。包装袋への要求品質から基材層、中間層およびシーラント層の材質選定、厚みの設定など適宜決めればよい。
【0043】
また必要に応じて、基材層52の表面または裏面に印刷を行い、絵柄、文字表現を行うことができる。印刷する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷など、通常使用される公知の印刷方式で可能である。
【0044】
本発明をさらに詳しく説明する。
【0045】
本発明の包装袋は、図5、図7に示すように、互いにシーラント層を有する表裏二枚の本体フィルムを、前記シーラント層を内側にして相対向させ、表側本体フィルム32を天シール部34近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行してZ状に折り曲げて、内板面部41と外板面部42とが相対してなる折り込み部38を形成し、内板面部41のシーラント層と外板面部42のシーラント層とを相対して熱シールし、熱シール部37を形成する。このときに使用する熱シール板を、熱シール部の内側辺に一個以上の三角状突起を有する形状にする。熱シール板は、通常製袋機などで用いられているものを使用できる。
【0046】
次に三角状突起43に連接した熱シール部37に小孔もしくはスリット50を所定の部位に設ける。蒸気抜き口のスリット50を有した熱シール部が得られる。次に表裏二枚の本体フィルムの端部をシールし、底シール部36とし、その後側シールして側シール部35とする。天シール部予定部は内容物を充填するための開口部になる。
【0047】
本発明に備える蒸気抜き口を形成する方法は、所望する形状の切り込み刃を備えた金型、トムソン抜き型を用いて、熱シール部37の所望の部位に小孔、切り欠け、スリットなどを設けることができる。
【0048】
また側シール部35の天シール部近傍に易カット手段を設ける。即ち、易カット手段としてVノッチ、一ノッチ51を用いることできる、側シール部を形成するとき、あるいは三方シール包装袋の状態で側シール部の所望の部位に設けることができる。また形成する方法は、一般的に使用される切り込み刃を備えた金型、トムソン抜き型などを用いること
ができる。
【0049】
内容物に、ボイル、レトルトなどの加熱殺菌をする食品を収容する場合は、包装袋として密封性が必要になる。三角状突起43のシール強度が23N/15mm以上必要である。また電子レンジ加熱で包装袋の内部圧が上昇したときに、この三角状突起の突起部44から剥離することから、シール強度は、50N/15mm以下がよい。特に23〜40N/15mmが好ましい。
【0050】
本発明の包装袋に収容する内容物としては、調理済みの食品を挙げることができる。例えば、カレー、シチュー、ハンバーグ、うなぎの蒲焼などのレトルト食品、小豆、煮込みなどのセミレトルト食品、ハム・ソーセージ、コンニャクなどのボイル食品などが代表例で挙げられる。本発明の包装袋は、調理済み内容物を加熱殺菌して流通する包装食品に可能である。また予め調理されたピザ、チキン、焼き餃子、お好み焼きなどの冷凍された包装食品にも可能である。
【0051】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0052】
包装袋の本体フィルムとして、酸化アルミニウムを40nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム12μmの基材に、中間層として延伸ナイロンフィルム15μm、シーラント層として無延伸ポリプロピレンフィルム60μmを、二液型のウレタン系接着剤を用い、それぞれドライラミネート法に貼り合わせ、本体フィルムを作成した。構成は、酸化アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm/延伸ナイロンフィルム15μm/無延伸ポリプロピレンフィルム60μmである。
【0053】
表裏二枚の本体フィルムを用い、縦165mm、横130mm、シール幅7mmにて三方シールした包装袋を作成した。天シール部は開口している。作成する際に、表側の本体フィルムを、天シール部近傍で袋の横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて、内板面部のシーラント層と外板面部のシーラント層とを相対して熱シールし、シール幅7mm、高さ15mmの折り込み部を形成した。尚、熱シール部の内側辺に三角状突起を以下に示すように熱シール板を作成し熱シール部を形成した。また蒸気抜き口であるスリットを、熱シール部を貫くように三角状突起の内側まで形成した。金属刃を用いスリットを形成した。三角状突起は、幅5mm×高さ5mm、幅5mm×高さ10mm、幅10mm×高さ5mm、幅10mm×高さ10mm、幅15mm×高さ10mm、幅20mm×高さ10mm、それぞれ三角状突起の数を1〜3にした三方シール袋を作成した。
【実施例2】
【0054】
折り込み部の高さを20mm、三角状突起を、幅10mm×高さ12mmにした以外は、実施例1と同様に三方シール袋を作成した。
【実施例3】
【0055】
折り込み部の高さを25mm、三角状突起を、幅10mm×高さ15mmにした以外は、実施例1と同様に三方シール袋を作成した。
【実施例4】
【0056】
作成した本体フィルムを用いて40mm幅の底テープを作成した。この底テープを表側の本体フィルムと裏側の本体フィルムの間に挿入して、縦165mm、横130mm、シール幅7mm、底シール部の角部は13mmにて三方シールしたスタンディングパウチ形状の包装袋を作成した。天シール部は開口している。また作成する際に、実施例1と同様
に、表側の本体フィルムを、天シール部近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて、内板面部のシーラント層と外板面部のシーラント層とを相対して熱シールし、シール幅7mm、高さ15mmの折り込み部を形成した。三角状突起を幅10mm×高さ5mm、幅10mm×高さ10mm、それぞれの三角状突起の数を1〜3にしたスタンディングパウチ形状の包装袋を作成した。蒸気抜き口であるスリットは実施例1と同様に作成した。
【0057】
実施例1〜3で作成した三方シール袋、実施例4で作成したスタンディングパウチ形状の包装袋に、それぞれ水100mlを充填し、シール幅7mmにてシールして、水が収容された包装袋を作成した。
【0058】
500W電子レンジを用い、包装袋を一袋ごと電子レンジのターンテーブルに載置し、120秒加熱し、包装袋の蒸気抜き評価を行った。蒸気抜き口から蒸気が抜けた包装袋を○とした。また包装袋が破裂したものを×とした。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

評価結果から、三角状突起の幅が5〜15mmで、高さ5〜15mmで蒸気抜きが可能であった。しかし幅が20mmでは包装袋の内部圧の上昇で破裂した。また高さは、三角状突起を含んだ熱シール部が、折り込み部の高さより3mm低くければ問題なかった。また製袋機上で製袋にも問題がなかった。またスタンディングパウチ形状の包装袋でも本発明の範囲であれば問題がなかった。
【符号の説明】
【0060】
10 本発明の包装袋
10´本発明の包装袋(スタンディングパウチ形状)
20 通常の包装袋
31 本体フィルム
32 表側本体フィルム
33 裏側本体フィルム
34 天シール部
35 側シール部
36 底シール部
37 熱シール部
38 折り込み部
39 内容物
40 底テープ
41 内板面部
42 外板面部
43 三角状突起
44 三角状突起の突起部
45 幅(三角状突起)
46 高さ(三角状突起)
47 折り込み部の高さ
50 スリット
51 ノッチ
52 基材層
53 中間層
54 シーラント層
55 蒸気
56 イージーピールテープ
57 電子レンジ内ターンテーブル
58 剥離する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにシーラント層を有する表裏二枚の本体フィルムが、前記シーラント層を内側にして相対向させて重ね合わされ、三方を熱シールして底シール部と側シール部が設けられ、天シール予定部の開口部から内容物が充填され、天シール部がシールされる包装袋において、
表側の本体フィルムに、天シール部近傍で袋横幅全体にわたって前記天シール部と平行して表側の本体フィルムをZ状に折り曲げて内板面部と外板面部とが相対してなる折り込み部が形成され、
前記内板面部のシーラント層と前記外板面部のシーラント層とが相対して熱シールされ、熱シール部が形成された包装袋であって、
前記熱シール部に、蒸気を抜くための蒸気抜き口と、該蒸気抜き口に連接した蒸気抜きを誘導するための誘導手段と、
を備えたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記誘導手段が、前記熱シール部の内側辺に一個以上の三角状突起であることを特徴とする請求項1項記載の包装袋。
【請求項3】
前記三角状突起が、幅が5〜15mm、高さが5〜15mmからなる三角形状であることを特徴とする請求項1または2記載の包装袋。
【請求項4】
前記蒸気抜き口が、小孔、もしくはスリットであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記側シール部の天シール部近傍に、易カット手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
一枚のフィルムを折り曲げて底テープとし、前記表側の本体フィルムと裏側の本体フィルムの間に挿入して、周辺部をシールしてなるスタンディングパウチ形状としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−218782(P2012−218782A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87103(P2011−87103)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】