説明

包装袋

【課題】従来の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムとして使用した場合でもひねりの少ない平面性が良好な包装袋を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 少なくとも二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層から構成される積層体を用いてヒートシール性樹脂層同士の熱融着により製袋されてなる包装袋であって、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°以下であることを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関するものであり、さらに詳しくは、ひねりを低減させることにより食品や非食品の包装工程において好適に使用できる包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品、雑貨などに使用される包装袋は基本的に基材フィルムとヒートシール性樹脂フィルム(シーラントフィルムとも呼ばれる)から構成される。基材フィルムは内容物保護の観点からの強度や、情報提供を目的とした印刷適性などが要求され、一般的には二軸延伸されたポリエステルフィルムやポリアミド樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルムなどが使用されている。また、ヒートシール性樹脂フィルムは密封性が要求され、未延伸のポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂が使用されることが多い。
【0003】
このような包装袋に内容物を充填するまでの工程は大きく2種類に分けられる。1つは基材フィルムに印刷しヒートシール性樹脂フィルムをラミネートした後、ラミネートフィルムの状態で充填機に掛け、包装袋を形成しながら内容物を充填していく方法である。もう1つは、あらかじめ包装袋を作成した後に内容物を充填し、最後に充填口を密封する方法である。
【0004】
後者においては、一般的に「S字カール」と呼ばれるひねり現象が充填前の包装袋に生じる場合がある。このひねりが包装袋に発生すると充填工程で包装袋がうまく充填機に送られず工程トラブルが起こるという問題がある。このひねりはラミネート加工や製袋加工時の条件、またヒートシール性樹脂フィルムの厚みムラ等に起因して発生することもあるが、一方で基材フィルムの物性に起因する場合も多い。
【0005】
基材フィルムは強度等の諸物性を向上させるために前述の通り二軸延伸されたものを使用するのが一般的であるが、この二軸延伸によって「ボーイング現象」が発生することが知られている。このボーイング現象はフィルムの幅方向の物性値を不均一にする原因となっている。すなわち、ボーイング現象によって長手方向に傾いた主配向軸が生じ、その主配向軸の角度は幅方向で異なる傾向がある。
【0006】
この結果、フィルムの収縮特性や伸長特性、強伸度特性などがフィルムの幅方向で異なることとなる。包装袋とした場合のひねりはこの主配向軸の傾きに起因した収縮特性や伸長特性に起因するところが大きい。あらかじめ包装袋を作成する場合、通常ヒートシール性樹脂フィルム同士を向かい合わせた形でラミネートフィルムが半折され、ヒートシールすることによって作成されるが、この半折によって表裏の基材フィルムの主配向軸がクロスするためである。
【0007】
特に二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムとした場合の包装袋のひねりは、熱による収縮挙動と吸湿による伸長挙動が複雑に影響するため、制御することは容易ではない。結果的に幅方向において主配向軸の傾きの小さい部分を選択して使用することによりひねりを抑制するのが一般的であるが、取り位置が限定されるという問題があり、端部を有効に使うことが出来ない。
【0008】
二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおけるボーイング現象を抑制する方法としては、例えば製造時の延伸において幅方向に温度分布をもたせる条件などが検討されている(特許文献1)。しかしながら、この方法ではボーイング現象は抑制されるものの、その効果は十分ではなく、包装袋とした時のひねりを低減することは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−361734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の状況に鑑み、本発明は、従来の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムとして使用した場合でも、ひねりの少ない、平面性が良好な包装袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、基材フィルムとして従来の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用した場合の包装袋の表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの主配向軸方向が成す鋭角を規定することにより、包装袋としたときのひねりが低減できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)少なくとも二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層から構成される積層体を用いてヒートシール性樹脂層同士の熱融着により製袋されてなる包装袋であって、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°以下であることを特徴とする包装袋。
(2)少なくとも二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層から構成される積層体を2枚使用して、それぞれのヒートシール性樹脂層同士を向かい合わせて熱融着させることを特徴とする(1)記載の包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ひねりの少ない平面性の良好な包装袋が得られるため、内容物の充填適性に優れた包装材料として、レトルト食品をはじめとする食品だけでなく、医薬品、サニタリー、雑貨に至る幅広い分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フィルムの半折によって主配向軸方向と寸法変化方向がクロスすることを示す概略図である。
【図2】製袋品ひねり現象とカール高さを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明におけるポリアミド樹脂の例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、及びそれらの混合物や共重合体、複合体等が挙げられる。特にコストパフォーマンスに優れるナイロン6が、生産性や性能の面で好ましい。
【0016】
これらのポリアミド樹脂は、溶融時のモノマー生成を抑制するために、有機グリシジルエステル、無水ジカルボン酸、安息香酸などのモノカルボン酸、ジアミンなどを末端封鎖剤として含んでいることがより好ましい。
【0017】
上記のポリアミド樹脂の相対粘度は、特に限定されるものではないが、溶媒として96%硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が1.5〜5.0であることが好ましい。さらに好ましくは、2.5〜4.5、さらに好ましくは3.0〜4.0の範囲である。この相対粘度が1.5未満のものは、フィルムの力学的特性が著しく低下しやすくなる。また、5.0を超えるものは、フィルムの製膜性に支障をきたしやすくなる。
【0018】
本発明においては、レトルト処理などの高温熱水処理時におけるポリアミド樹脂フィルムの強度低下などを防ぐための酸化防止剤やスリップ性向上を目的とした各種無機系滑剤や有機系滑剤がポリアミド樹脂に添加されてもよい。
【0019】
ポリアミド樹脂にはさらに必要に応じて、フィルムの性能に悪影響を与えない範囲で、顔料、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を1種あるいは2種以上を添加してもよい。
【0020】
ポリアミド樹脂は、以下のような方法により二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムとすることができる。
【0021】
例えば、ポリアミド樹脂を押出機で加熱溶融してTダイよりフィルム状に押出し、エアーナイフキャスト法、静電印可キャスト法など公知のキャスティング法により回転する冷却ドラム上で冷却固化して未延伸フィルムを製膜し、この未延伸フィルムに延伸処理を施すことで、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムが得られる。未延伸フィルムが配向していると、後工程で延伸性が低下することがあるため、この未延伸フィルムは、実質的に無定形、無配向の状態であることが好ましい。
【0022】
延伸処理には、縦方向に延伸した後、横方向に延伸処理する逐次二軸延伸と、縦横同時に延伸処理を行う同時二軸延伸とがある。いずれの延伸方法においても、0.05以上の面配向係数が得られるように面倍率が9倍以上になるようにして延伸処理することが好ましく、その延伸方法は、特に限定されない。
【0023】
本発明で使用される二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの表面には、必要に応じてコロナ放電処理、オゾン処理、メッキ処理、各種コート等の物理的・化学的処理を施してもよい。
【0024】
また、本発明において、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、包装用途としては、ハンドリングや包装機械適性の点から8〜50μm、より好ましくは10〜30μmが好ましい。
【0025】
ヒートシール性樹脂層を構成する樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂等を用いることができる。これらは単独で用いても、他の樹脂や成分と共重合や溶融混合して用いてもよい。その厚みは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmである。
【0026】
二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層は、例えばドライラミネーション法、無溶剤ドライラミネーション、ウェットラミネーション、押出しラミネーション法などの公知の方法を用い、ラミネート接着剤層を介して積層される。
【0027】
ラミネート接着剤層を形成するためのコート剤としては、公知のものが使用でき、例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のコート剤を挙げることができる。これらの中で、密着性、耐熱性、耐水性などの効果を勘案すると、イソシアネート系、ポリウレタン系、およびポリエステル系のコート剤が好ましい。
【0028】
ラミネート接着剤層の厚みは、密着性を充分高めるために0.1μm〜10μm、好ましくは0.5〜7μm、さらに好ましくは1〜5μmである。なお、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムには必要に応じて印刷インキ層が設けられてもよい。
【0029】
このようにして得られた積層体は、半折しヒートシール性樹脂層面同士を向かい合わせて三辺をヒートシールすることにより包装袋となる。この包装袋において本発明の目的とするひねりを低減するには、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°以下であることが必要であり、さらに好ましくは20°以下である。表裏フィルムの主配向軸方向が成す鋭角が30°より大きいと包装袋のひねり、つまり包装袋の隣り合う角部において片側が上に、もう一方が下にカールした「S字カール」と呼ばれるひねり現象が大きくなり、充填する際に袋取り不良などのトラブルが発生する。
【0030】
二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは一般的に主配向軸方向の寸法変化が大きい。つまり、この方向において、熱による収縮や吸湿による伸長が大きい。通常、テンターにより延伸された二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、幅方向の中央部分において主配向軸はTD方向に対し平行となり、中央から両端部に行くに従って主配向軸の傾きが大きくなる。両端部ではTDに対しおよそ45°の傾きを示すことがある。また、その傾きは中央部分を挟んでほぼ対称となっている。
【0031】
一般に、包装袋を作成する場合には、ラミネートフィルムを半折することによってヒートシール性樹脂面同士を向かい合わせヒートシールされる。この半折によって表裏フィルムの主配向軸方向がクロスすることとなるため、主配向軸の傾きの大きい二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用した場合にはひねりが大きくなると考えられる。
【0032】
しかしながら、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを基材フィルムとした場合の製袋品のひねりを低減させることは容易ではない。前述した通り、製袋品を作成する段階でのヒートシールによる熱収縮と、製袋作業時や製袋品保管時の温湿度環境による伸長(吸湿伸び)が複雑に影響するためである。その解析も極めて難しい。現実的に収縮と伸長の程度を予測した設計は不可能となり、結果として表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの主配向軸方向を考慮した対応が最も効果的となる。
【0033】
ひねりを低減させるには、理想的には表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの主配向軸方向を平行にすればよいことになる。しかしながら、現実的には完全に平行とすることは不可能であるため、表裏フィルムの主配向軸方向の成す鋭角に着目し、これが30°以下であれば実用上問題となる包装袋のひねりが抑制できる。
【0034】
表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°以下となるような包装袋を得る方法としては、例えば、延伸機幅の中央に対して両側からスリットされた2枚の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムをそれぞれラミネートし、ヒートシール性樹脂層同士を向かい合わせてヒートシールする方法が挙げられる。
【0035】
上記のようにすることで、従来の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用しても、ひねりが少なく、平面性の良好な包装袋を得ることができ、内容物の充填適性に優れた包装材料として、レトルト食品をはじめとする食品だけでなく、医薬品、サニタリー、雑貨に至る幅広い分野で好適に利用できる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は必ずしも下記の例に限定されるものではない。実施例、比較例における各種物性の評価方法、材料は次の通りである。
【0037】
1.評価方法
<フィルムの主配向角と主配向軸方向の測定>
フィルムの主配向角と主配向軸方向は回転ステージを装着した偏光顕微鏡(ニコン社製 OPTIPHOT−POL)にて測定した。
二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを30mm×30mmの大きさにサンプリングし、流れ方向(MD)および幅方向(TD)の標線を引き、スライドガラスにシワが入らないように貼り付ける。これを角度が0°の状態の回転ステージ上に置き、偏光顕微鏡のピントを合わせる。さらに試験片に書いたMDの表線と顕微鏡の接眼レンズの十字線の縦線が平行になるようにスライドガラスの位置を微調整する。回転ステージを回し、0〜90℃の間で最も暗くなる角度を測定し、これをθとする。
次にコンペンセイターを偏光顕微鏡に取り付け、コンペンセイターの目盛りが0であることを確認する。回転ステージをθ+45°にセットした後、コンペンセイターのダイヤル目盛りを回し、黒の干渉縞の中央部が接眼レンズの十字線の中央部に来るように調整する。このときのコンペンセイターの目盛りを読み取りi45とする。続いて、回転ステージをθ+135°にセットした後、同様の操作を行い、その値をi135°とする。
i45とi135の値のうち、大きい方を採用しiとし、以下の通り、主配向角と主配向軸方向を決定する。
i=i45の場合、主配向角は、左上がりの90°−θ
i=i135の場合、主配向角は、右上がりのθ
【0038】
<包装袋のひねりの評価>
包装袋10袋重ねた束を20℃×65%RHの環境下に1週間放置し、カールの高さ(h)を指標としてひねりの程度を評価した。下記評価において、包装袋としての使用可能なレベルは○および△である。
○: 0mm≦h≦5mm
△: 5mm<h≦10mm
×: 10mm<h
【0039】
2.使用した材料
使用したヒートシール性樹脂フィルム、および接着剤は次の通りである。
【0040】
(1)ヒートシール性樹脂フィルム
東セロ社製L−LDPEフィルム「TUX−FCS−50μm」
【0041】
(2)接着剤
DIC社製ポリウレタン系接着剤「LX401/SP−60」
【0042】
<実施例1>
平均粒径1.0μmのシリカを0.1質量%含有するナイロン6(相対粘度:3.03)を用いて、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/D=45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)から、270℃の条件でTダイオリフィスよりシート状に押し出した。続いて、これを表面温度18℃に調節されたキャスティングロール上に密着させて急冷し、厚み150μmの未延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを水槽に導き吸水率4.0%に調整した後、同時二軸延伸機に導き、予熱温度225℃、予熱時間5秒間、延伸温度195℃の条件で縦方向3.3倍、横方向3.0倍に同時二軸延伸し、さらに熱固定温度215℃、熱固定時間5秒間の条件で熱処理を施し、厚み15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。
このようにして得られた二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムにおいて、使用する部分の主配向角は左上がりの33°であった。
この二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用し、その片面にポリウレタン系接着剤(DIC社製LX401/SP−60)を塗布厚みが3.0g/m(dry)となるように塗布し、80℃、10秒の条件で乾燥させた後、ヒートシール性樹脂フィルムとしてTUX−FCS−50と貼り合わせた。さらに40℃にて3日間のエージング処理を行い、2層構成の積層体を得た。
この積層体からMDに500mm、TDに500mmのサイズで2枚を切り出し、1枚を固定した。もう1枚の積層体をヒートシール性樹脂面同士が向かい合うように重ね、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向の成す角度が15°となるように回転させた。このように重ね合わせた2枚の積層体を予め固定した積層体のMDに沿って、MD300mm、TD200mmのサイズで切り出し、幅10mmのシールバーにて温度160℃、圧力3kg/cmにて1秒間ヒートシールし、短軸を袋口とする縦取り(MD300mm×TD200mm)の三方シール袋を得た。
【0043】
<実施例2、3、比較例1、2>
実施例1と同様の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用した積層体を2枚用いて、実施例1と同様にして、主配向軸方向の成す角度が表1の通りになるようにして重ね合わせ、製袋品を作成した。
【0044】
<比較例3>
実施例1と同様の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを使用した積層体を1枚用いて、MDに対し半折し、MD300mm、TD200mmのサイズで切り出し、幅10mmのシールバーにて温度160℃、圧力3kg/cmにて1秒間ヒートシールし、短軸を袋口とする縦取り(MD300mm×TD200mm)の三方シール袋を得た。
【0045】
実施例1〜3、および比較例1〜3で得られた三方シール袋のひねり性評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例1、2では三方シール袋の表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が20°以下であったためひねりが極めて小さい平面性に優れた包装袋を得ることができた。
【0048】
実施例3も使用可能なレベルではあるが、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が20°を超えていたため平面性がやや劣る包装袋となった。
【0049】
これに対し、比較例1および2は表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°を超えたためひねりの大きい包装袋となった。特に、比較例3では半折により製袋品を作成したため、表裏フィルムの主配向軸方向が成す鋭角は66°となりひねりの非常に大きい包装袋となった。
【符号の説明】
【0050】
1 フィルム
1a 半折後の表面フィルム
1b 半折後の裏面フィルム
2 主配向軸方向
3 半折個所(谷折)
4a 表面フィルムの主配向軸方向
4b 裏面フィルムの主配向軸方向
5a 表面フィルムの寸法変化方向
5b 裏面フィルムの寸法変化方向
6 流れ方向(MD)
10 重ねられた製袋品
20 カール高さ(h)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層から構成される積層体を用いてヒートシール性樹脂層同士の熱融着により製袋されてなる包装袋であって、表裏の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層の主配向軸方向が成す鋭角が30°以下であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
少なくとも二軸延伸ポリアミド樹脂フィルム層とヒートシール性樹脂層から構成される積層体を2枚使用して、それぞれのヒートシール性樹脂層同士を向かい合わせて熱融着させることを特徴とする請求項1記載の包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−254804(P2012−254804A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128254(P2011−128254)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】