説明

包装装置

【課題】物品の包装において、包装のための箱材の内側フラップが該箱材の内側に折り曲げられることに起因する不良を早期かつ確実に発見する。
【解決手段】包装装置200は、複数の折り曲げ部を有する板状の箱材を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によって物品を包装する。包装装置200は、箱形状にされる途中の状態にある箱材10の内側に物品20を押し込む押し込み機構75と、箱材10の内側フラップ1が規定角度を超えて折り曲げられた異常が発生したことを検知するセンサ82と、箱材10の内側フラップ1と外側フラップ2とが重なる部分に糊を提供する糊提供部30と、箱材10の外側フラップ2を内側フラップ1に押し付けて外側フラップ2を内側フラップ1に接着させる押圧機構50と、センサ82によって異常の発生が検知された際にエラー処理を実行するエラー処理部84とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に係り、特に、複数の折り曲げ部を有する板状の箱材を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によって物品を包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の折り曲げ部を有する板状の箱材(カートン材)を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によってビール入り缶等の製品或いは物品を包装する包装装置(例えば、ケーサーとも呼ばれる)が知られている。
【0003】
図1は、包装装置の構成を模式的に示す図である。包装装置100は、板状の箱材(カートン材)10を折り曲げて箱状態に成形しながら、ビール缶或いは飲料缶等の物品20を包装するように構成されている。物品20の包装において、板状態で積み重ねられた複数の箱材10からなる箱材群10Sから1枚ずつ箱材10が取り出されて、例えば、Aに示すように胴部(本体部)の2辺を折り曲げて搬送路(コンベア)60上に載置される。以後、箱材10は、搬送路60上を搬送されながら処理される。
【0004】
次いで、Bに示すように、箱形状にされる途中の箱材10の内側に押し込み機構75によって物品20が押し込まれる。ここで、押し込み機構20は、駆動機構70によって、搬送路60上の箱材10と同一速度で駆動される。図2は、箱形状にされる途中の箱材10の内側に物品20が押し込まれた後の様子を示している。
【0005】
次いで、C、Dに示すように、内側フラップ1が約90度折り曲げられた後に、折り曲げられた内側フラップ1の外側表面の適所に糊噴射ノズル30によって糊が吹き付けられる。
【0006】
次いで、フラップ折曲領域40rにおいて、箱材10は、胴部(本体部)の残りの1辺が約90度折り曲げられて四角形の筒状にされるとともに、4つの外側フラップ2が鉛直方向に折り曲げられる。
【0007】
次いで、物品を包装した箱材10は、フラップ押圧領域50rを通して更に下流側に搬送される。この際に、箱材10は、ガイド機能を兼用する押圧機構50によって外側フラップ2が内側フラップ1に押圧されながら外側フラップ2が内側フラップ1に接着されて完全な箱10になる。
【特許文献1】特開2000−79903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3は、箱形状にされる途中の状態にある箱材10の内側に物品20を押し込む際に発生しうる問題を示している。箱材10の内側に物品20が押し込まれる際は、物品20側の2つの内側フラップ1は、物品20の移動を妨げないように開いている必要がある。ところが、(a)に示すように、内側フラップ1は、何らかの原因で箱材10の内側に折り曲げられている場合がある。このような状態において、箱材10の内側に物品20が押し込まれると、(b)に示すように、内側フラップ1は、物品20によって更に内側に折り曲げられて、(c)に示すように、最終的には箱材10の内側に完全に折り曲げられることになる。
【0009】
内側フラップ1が箱材10の内側に折り曲げられていると、その後に、内側フラップ1に糊を吹き付ける工程(図1のD)において、糊は、内側フラップ1ではなく、物品20に吹き付けられる。この場合、物品20が糊で汚れて物品自体の品質不良が発生する他、外側フラップ2を内側フラップ1に糊付けることができないために包装不良が発生する。
【0010】
このような不良が看過されて製品が出荷されることは避けなければならないが、押圧領域50によって外側フラップ2が内側フラップ1に押し付けられると、糊付けが適正になされているように見えてしまう可能性があり、不良を発見できない場合も想定される。しかも、1つの外側フラップが糊付けされる2つの内側フラップ1のうち一方の内側フラップ1のみが箱材10の内側に折り曲げられているような場合には、他方の内側フラップ1には外側フラップ2が糊付けされるので、外側フラップ2が浮き上がることがなく、不良の発見は一層困難である。
【0011】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、内側フラップが箱材の内側に折り曲げられることに起因する不良を早期かつ確実に発見することができる包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の包装装置は、複数の折り曲げ部を有する板状の箱材を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によって物品を包装する包装装置として構成され、該包装装置は、箱形状にされる途中の状態にある箱材の内側に物品を押し込む押し込み機構と、該箱材の内側フラップが規定角度を超えて折り曲げられた異常が発生したことを検知するセンサと、該箱材の内側フラップと外側フラップとが重なる部分に糊を提供する糊提供部と、該箱材の外側フラップを内側フラップに押し付けて外側フラップを内側フラップに接着させる押圧機構と、前記センサによって前記異常の発生が検知された際にエラー処理を実行するエラー処理部とを備える。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記センサは、例えば、物品が押し込まれた後において前記異常の発生を検知するように配置されうる。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、前記センサは、例えば、内側フラップが予定位置に存在しない場合に前記異常が発生したものと判断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装装置によれば、内側フラップが箱材の内側に折り曲げられることに起因する不良を早期かつ確実に発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0017】
図4は、本発明の好適な実施形態の包装装置の構成を模式的に示す図である。本発明の好適な実施形態の包装装置200は、複数の折り曲げ部を有する板状の箱材(カートン材)10を折り曲げて箱状態に成形しながら、例えばビール缶或いは飲料缶等の物品20を包装するように構成されている。図4に示す例では、物品20は、ビール缶或いは飲料缶等の缶製品であり、例えば、4×6本からなる集合体が箱材10によって包装されうる。なお、いわゆるマルチパック製品では、典型的には、2×3本を単位としてそれぞれ包装された4個のマルチパックからなる集合体が箱材10によって包装されうる。
【0018】
物品20の包装において、板状態で積み重ねられた複数の箱材10からなる箱材群10Sから1枚ずつ箱材10が取り出されて、例えば、Aに示すように胴部(本体部)の2辺を折り曲げて搬送路(コンベア)60上に載置される。以後、箱材10は、搬送路60上を搬送されながら処理される。
【0019】
次いで、Bに示すように、箱形状にされる途中の箱材10の内側に押し込み機構75によって物品20が押し込まれる。ここで、押し込み機構20は、駆動機構70によって、搬送路60上の箱材10と同一速度で駆動される。図2は、箱形状にされる途中の箱材10の内側に物品20が押し込まれた後の様子を示している。
【0020】
この実施形態では、箱形状にされる途中の箱材10の内側に押し込み機構75によって物品20が押し込まれた後に、内側フラップ1の折り曲げ異常が発生しているか否かが確認される。具体的には、押し込み機構20の下流側には、図5に例示的に示すように、4つの内側フラップ1のそれぞれについて折り曲げ異常の発生を検知するセンサ82が配置されている。折り曲げ異常は、内側フラップ1が規定角度(例えば、90度)を超えて折り曲げられた異常を意味する。センサ82は、例えば、検知領域内(予定位置)において内側フラップ1の存在を検知できない場合に折り曲げ異常が発生したと判断するように構成されうる。
【0021】
折り曲げ異常は、図3を参照して例示的に説明したように、例えば、押し込み機構75が物品20を箱材10の内側に押し込む際に、内側フラップ1が物品20に引っ掛かることによって起こりうるが、その他、種々の原因により起こりうる。また、一般的に頻度は低いが、物品10が押し込まれる側の反対側の内側フラップ1についても折り曲げ異常が発生する可能性がある。
【0022】
エラー処理部84は、いずれかのセンサ82によって折り曲げ異常の発生が検知されると、予め設定されたエラー処理を実行する。エラー処理には、種々の処理が含まれうる。エラー処理部84は、エラー処理として、例えば、包装装置200における包装処理を停止させる処理、及び/又は、表示装置(例えば、ランプ、液晶表示装置等)やスピーカ等を使ってエラーの発生を報知する処理、及び/又は、上位のコントローラに対してエラーの発生を通知する処理、及び/又は、エラーの発生に係る箱材10を特定する処理、及び/又は、エラーの発生に係る箱材にマークを付す処理、などが含まれうる。
【0023】
センサ82の下流側では、Dに示すように、内側フラップ1が約90度折り曲げられた後に、折り曲げられた内側フラップ1の外側表面の適所に糊噴射ノズル(糊提供部)30によって糊が吹き付けられる。ここで、糊は、外側フラップ2の内側に提供されてもよい。つまり、糊は、内側フラップ1と外側フラップ2とが糊付けされうるように、内側フラップ1と外側フラップ2とが重なる部分の適所(例えば、後述の押圧機構50によって押圧される部分)に提供されればよい。
【0024】
次いで、フラップ折曲領域40rにおいて、箱材10は、胴部(本体部)の残りの1辺が約90度折り曲げられて四角形の筒状にされるとともに、4つの外側フラップ2が鉛直方向に折り曲げられる。
【0025】
次いで、物品を包装した箱材10は、フラップ押圧領域50rを通して更に下流側に搬送される。この際に、箱材10は、ガイド機能を兼用する押圧機構50によって外側フラップ2が内側フラップ1に押圧されながら外側フラップ2が内側フラップ1に接着されて完全な箱10になる。
【0026】
以上のように、本発明の好適な実施形態によれば、折り曲げ異常の発生を検知するセンサ82を設けることにより、折り曲げ異常の発生を速やかに検知しエラー処理を実行することができる。特に、内側フラップ1に糊が提供される前に折り曲げ異常を検知して包装処理を停止させることにより、折り曲げ異常に起因して物品20に糊が付着することを防止することができ、物品20を洗浄したり廃棄したりする必要性がなくなる。また、品質不良や包装不良を当該不良の発生後に検知するのではなく、それらに比べて検知が容易な内側フラップの折り曲げ異常の発生の段階で検知することによって不良の発生を早期かつ確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】包装装置の構成を模式的に示す図である(課題を説明するための図)。
【図2】箱形状にされる途中の箱材の内側に物品が押し込まれた後の様子を示す図である。
【図3】箱形状にされる途中の状態にある箱材の内側に物品を押し込む際に発生しうる問題を説明するための図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の包装装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】折り曲げ異常の発生を検知するセンサの配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 内側フラップ
2 外側フラップ
10 物品
30 糊噴射ノズル(糊提供部)
40r フラップ折曲領域
50 押圧機構
50r フラップ押圧領域
60 搬送路(コンベア)
70 駆動機構
75 押し込み機構
82 センサ
84 エラー処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の折り曲げ部を有する板状の箱材を折り曲げて箱形状に成形しながら該箱材によって物品を包装する包装装置であって、
箱形状にされる途中の状態にある箱材の内側に物品を押し込む押し込み機構と、
該箱材の内側フラップが規定角度を超えて折り曲げられた異常が発生したことを検知するセンサと、
該箱材の内側フラップと外側フラップとが重なる部分に糊を提供する糊提供部と、
該箱材の外側フラップを内側フラップに押し付けて外側フラップを内側フラップに接着させる押圧機構と、
前記センサによって前記異常の発生が検知された際にエラー処理を実行するエラー処理部と、
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記センサは、物品が押し込まれた後において前記異常の発生を検知するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記センサは、内側フラップが予定位置に存在しない場合に前記異常が発生したものと判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−341859(P2006−341859A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167249(P2005−167249)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】