包装装置
【課題】熱転写による印字装置によって印字機能を付与した場合に生じる各種問題点を解決し、かつその場合よりも安価に装置を提供できる印字機能付きの包装装置を得る。
【解決手段】インク含有の印材を有するスタンプ94を有するスタンプ装置91を設け、そのスタンプ94でフィルムロール19から引き出された包装フィルムに捺印するように構成した。これにより、熱で印字箇所に縮みや穴開きが生じることがなくなる。また、印字装置に待機時間がなく、作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。しかも、スタンプ94はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価であるし、市販のスタンプ94を利用すれば調達も容易である。このため、熱転写による印字装置を用いた場合に比べて装置を安価に提供できる。
【解決手段】インク含有の印材を有するスタンプ94を有するスタンプ装置91を設け、そのスタンプ94でフィルムロール19から引き出された包装フィルムに捺印するように構成した。これにより、熱で印字箇所に縮みや穴開きが生じることがなくなる。また、印字装置に待機時間がなく、作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。しかも、スタンプ94はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価であるし、市販のスタンプ94を利用すれば調達も容易である。このため、熱転写による印字装置を用いた場合に比べて装置を安価に提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物の包装作業に用いるべく、包装シートを所望の長さに切断する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーや農家等では、包装フィルムがロール状に巻回されたフィルムロールから包装フィルムを引き出して所望の長さに切断する包装装置が用いられている。被包装物としては、例えば、生鮮食料品や惣菜などである。このように包装フィルムを用いて包装された商品には、消費者への情報提供の観点から、製造年月日や製造・生産者名等が表示される。その表示手法としてはシールを貼付することが既に行われているが、コストの低減や作業効率の向上を図るため、包装フィルムに直接印字することが望まれている。
【0003】
そのような直接印字する構成としては、熱転写材をサーマルヘッドで包装フィルムに熱転写する印字装置を設けることが考えられる。包装作業を全て自動で行う自動包装装置では、そのような印字装置を設けた構成が従来から知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる熱転写による印字装置を用いた場合、サーマルヘッドにより包装フィルムにも熱が加えられるため、その熱によって包装フィルムに縮みが生じたり、穴が開いたりしてしまうという問題があった。また、印字装置に電源を投入すれば直ちに使用可能となるわけではなく、サーマルヘッドが熱転写可能な状態になるまでの待機時間が必要となるため、使用者にストレスを感じさせてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平7−81036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱転写による印字装置によって印字機能を付与した場合に生じる各種問題点を解決し、かつその場合よりも安価に装置を提供できる印字機能付きの包装装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果、より踏み込んだ具体的手段等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されない。
【0007】
手段1.包装シート(包装フィルム17)を巻回したシート巻回物(フィルムロール19)を、回動可能な状態で支持する支持機構(支持機構20)と、
前記シート巻回物から所望の長さに引き出された包装シートを切断するカッタ(カッタ62)と
を備えた包装装置において、
インク含有の印材を有する印字体(スタンプ94)を用いて前記包装シートに捺印する捺印手段(スタンプ装置91)を設けたことを特徴とする包装装置。
【0008】
手段1によれば、インク含有の印材を有する印字体を用いた捺印手段によって包装シートに捺印されるため、包装シートとして包装フィルムを用いた場合でも、印字装置に発生した熱によって印字箇所に縮みや穴開きが生じることがなくなる。また、インク含有の印材を有する印字体を用いているため、捺印手段に待機時間は存在せず、作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。しかも、かかる印字体はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価である。市販されている印字体を利用すれば、容易に調達することもできる。このため、手段1によれば、熱転写による印字装置を適用した場合に比べて装置を安価に提供できるというメリットもある。
【0009】
ここで、熱転写による印字装置では、包装シートの送り出し量の制御が必要であり、シート巻回物から手動で包装シートを引き出す包装装置にかかる印字装置を適用することは考えにくい。このため、前記捺印手段を設けて包装シートに捺印する上記構成は、手動で包装シートを引き出す手動包装装置において特に有用である。
【0010】
手段2.前記捺印手段は、前記印字体を着脱可能な状態で保持する印字体保持部(スタンプ部92)と、その印字体保持部に保持された印字体の印材を包装シートに圧接させる圧接手段(シリンダ131等)とを備えたことを特徴とする手段1に記載の包装装置。
【0011】
手段2によれば、印字体が着脱可能となっているため、印字内容の変更等により印字体を交換する必要がある場合にその交換が可能となる。また、市販の印字体の仕様に合わせて印字体保持部を構成すれば、印字体の調達が容易となり、捺印手段ひいては包装装置のコストを低減させることができる。そして、圧接手段により印字体の印材と包装シートとが圧接され、これにより包装シートに捺印される。
【0012】
手段3.装置本体(本体フレーム12,上板21)には、前記印字体保持部が固着されて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持するとともに、装置本体に対する取付位置が包装シートの引き出し方向に変更可能とする印字体支持部材(支持基板41,渡り板45)を設けたことを特徴とする手段2に記載の包装装置。
【0013】
手段3によれば、印字体保持部は支持部材に固着されているため、支持部材に支持されている位置を変更できない。このため、支持部材の取付位置を包装シートの引き出し方向に変更すれば、包装シートと印字体との相対位置は引き出し方向に変更される。それに伴って、捺印位置もその方向に変更される。その結果、包装シートの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることができる。
【0014】
ここで、熱転写による印字装置を用いた場合、包装シートの引き出し方向に印字位置を変更するには印字開始時を制御すれば足りるため、印字装置を引き出し方向に移動させる必要はない。これに対し、前記捺印手段を設けた構成では、前記印字体それ自身の位置を変更する必要がある。このため、印字位置を引き出し方向に変更するために印字体の位置を変更するという課題は、前記捺印手段を設けた構成において初めて問題となる。
【0015】
前記支持部材を引き出し方向に変更可能とする構成としては、支持部材の固定部(平面部42)に固定部材(固定ネジ143)が挿入される固定孔(固定孔141)を設け、その固定孔を引き出し方向に延びる長円形状に形成することが好ましい。この構成によれば、支持部材は引き出し方向にスライド調節されるため、その引き出し方向への位置変更が容易となる。
【0016】
手段4.装置本体(本体フレーム12,上板21)に、前記印字体保持部が取付けられて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持する印字体支持部材(支持基板241,渡り部材245)を設け、前記印字体保持部の前記印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更可能としたことを特徴とする手段2に記載の包装装置。
【0017】
手段4によれば、印字体保持部の印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更することができる。これにより、捺印手段の印字体と包装シートとの相対位置を左右方向に変更することができ、包装シートに捺印する位置もその方向に変更することが可能となる。その結果、包装する商品の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることが可能となる。
【0018】
手段5.前記印字体支持部材には、前記シート巻回物から装置本体上に引き出された包装シートを上から押えるシート押え部(押えローラ52,56、第1及び第2のシート押え部部246b,297b)を設けたことを特徴とする手段3又は4に記載の包装装置。
【0019】
手段5によれば、印字体保持部を支持する支持部材にシート押え部が設けられているため、その両者をそれぞれ別個の支持部材に支持する構成に比べ、両者の構成をコンパクトにまとめることができる。
【0020】
なお、前記シート押え部材は前記印字体保持部の前後に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが前後で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0021】
手段6.前記シート押え部を、前記印字体支持部材の下部における曲げ部(第1及び第2のシート押え部246b,297b)により形成したことを特徴とする手段5に記載の包装装置。
【0022】
手段6によれば、簡易な構成で包装シートの浮き上がりを防止できる。
【0023】
なお、前記シート押え部は前記印字体保持部の前後に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが前後で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0024】
前記シート押え部は前記印字体保持部の左右両側に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが印字体保持部の左右両側で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
前記シート押え部を形成する曲げ部は、滑らかな曲げ部であることが好ましい。これにより、曲げ部で包装シートを押える際に、包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。
【0025】
前記シート押え部を下に凸の曲面状に形成するとともに、前記シート押え部の自由端部を前記シート部材の引き出し方向側に設けることが好ましい。シート押え部を下に凸の曲面状に形成することで、包装シートがシート押え部に当接した際に、包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。また、シート押え部の自由端部を前記シート部材の引き出し方向側に設けることで、包装シートを下に凸のシート押え部に当接させながら包装シートを引き出す際に、シート押え部の自由端部で包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。
【0026】
手段7.前記カッタを配置するカッタ配置空間(カッタ配置空間69)を有し、そのカッタ配置空間内にカッタが配置される第1の状態(通常状態)とカッタの先端部がカッタ配置空間から突出して前記包装シートと接触する第2の状態(回動状態)とに変動する変動部材(揺動体61)を設け、
前記圧接手段を、前記変動部材が第1の状態から第2の状態に変動する動作と連動して圧接するように構成したことを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の包装装置。
【0027】
手段7によれば、変動部材を第2の状態とすれば、包装シートが切断されるとともに、捺印手段による捺印も併せて行われる。このため、包装シートを切断すれば、次の包装作業に用いる捺印済みの包装シートが用意される。これにより、包装シートに捺印するためだけの操作が不要となり、捺印された包装シートによる包装作業を効率化することができる。
【0028】
なお、変動部材の動作と圧接手段による圧接とが連動する構成としては、変動部材が第2の状態に変動したことを検知する検知手段(検出スイッチ136)を設け、圧接手段を前記検知手段による検知に基づいて圧接を行うように構成することが好ましい。
【0029】
手段8.前記シート巻回物が装置正面から見て左右方向に変動することを規制するとともに、その規制位置を左右に変更可能とする規制部材(挟持部材151,152)を設けたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の包装装置。
【0030】
手段8によれば、規制部材により、包装シートを引き出すときにシート巻回物が左右にぶれることが抑制される。これにより、包装シートの引き出しを円滑に行うことができる。しかも、規制部材による規制位置を左右方向に変更すれば、包装シートが引き出される位置が左右に変更される。これにより、捺印手段の印字体と包装シートとの相対位置が左右方向に変更され、包装シートに捺印する位置もその方向に変更される。その結果、包装シートの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることができる。
【0031】
ここで、熱転写による印字装置では、サーマルヘッドを左右に移動させて所望の位置で印字する構成を採用できるため、印字位置を変更する場合に被印字物を左右に移動させる必要は小さい。これに対し、前記捺印手段を設けた構成では、前記印字体それ自身の位置又は包装シートの左右位置を変更しなければ、捺印位置を変更できない。このため、印字位置を変更するために印字体又は包装シートの左右位置を変更するという課題は、前記捺印手段を設けた構成において大きな問題となる。
【0032】
そして、印字体又は包装シートの左右位置を変更するための構成は、その位置変更が容易に行える構成であることが望ましい。しかしながら、それを印字体側で実現しようとした場合、構成が複雑化するという問題が生じる。それは、シート巻回物から連続して引き出される包装シートとの干渉を回避しながら印字体を包装シートから離間した位置で支持しなければならない、という点が一つの要因となっている。
【0033】
そこで、手段8のように、シート巻回物の位置を規制する規制部材について、規制位置を左右に変更する構成とすれば、引き出された包装シートとの干渉を考慮する必要がないため、構成を簡素化できる。また、簡素な構成である以上、製造コストの低減にもつながる。
【0034】
なお、手段4及び手段8を併せ持つ構成では、前記印字体保持部及び前記包装シートの両者の位置を左右に変更することができる。このため、両者の位置を離反する側へ変更することで、包装装置が小型でも捺印位置の調整範囲を拡大することが可能となる。
【0035】
手段9.前記規制部材は、前記シート巻回物をその左右両側から挟持する一対の挟持部材であり、少なくとも一方の挟持部材には、シート巻回物に当接してそのシート巻回物を押圧するとともに、その押圧量を調整可能とする押圧部材(押付板164)を設けたことを特徴とする手段8に記載の包装装置。
【0036】
手段9によれば、シート巻回物が一対の挟持部材により挟持されることで、左右への変動が規制される。そして、押圧部材の押圧量を調整すれば、シート巻回物が回転する際の回転し易さを調整することができる。手動で包装シートを引き出す場合に、作業者によって、シート巻回物から包装シートを引き出す力が異なるため、作業者に合わせてその回転し易さを調整すれば、包装シートの引き出しすぎてしまったり、引き出しが困難となったりすることを防止できる。また、シート巻回物と挟持部材との当接状態が不完全であっても、押付部材の押付量を調整することによってシート巻回物の挟持を確実に行うことができる。
【0037】
手段10.包装シートが装置本体の上方に引き出される包装装置であって、
前記装置本体には、引き出された包装シートの下方に、装置正面から見た左右幅が包装シートよりも幅広の凹部(凹部75)を設け、その凹部を形成する底部(上板21)と包装シートの裏面とを離間した状態で包装シートを保持したことを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載された包装装置。
【0038】
手段10によれば、裏面に粘着部を設けた包装シートを用いた場合であっても、粘着部全体が装置本体の上面に貼り付くことが防止されるため、かかる包装シートの装置本体への貼り付きを抑制できる。
【0039】
なお、前記凹部を装置本体の前記左右方向全域に設け、その凹部を形成する前記底部に、前記印字体支持部材を設けることが構成として好ましい。このように前記凹部が全域に設けることで、包装シートの左右位置を変更した場合にも、包装シートの貼り付きを抑制するという効果を維持することができる。
【0040】
手段11.包装シートが手動で引き出される手動包装装置であって、
前記印字体支持部材は、装置正面から見て包装シートの左右両側方に設けられた支持側部(支持側板43,44)と、その支持側部間に橋渡された渡し部材(渡り板45)とを備え、その渡し部材に前記印字体保持部を固着して、印字体保持部を包装シートから上方に離間した位置で支持するようにし、併せて、前記支持側部は、捺印が実行される状態(閉状態)とその状態から包装シート上方の空間を広げた状態(開状態)とに支持状態が変更されるように渡り板を支持したことを特徴とする手段2乃至10のいずれかに記載の包装装置。
【0041】
手段11によれば、渡り部材の支持状態を包装シート上方の空間を広げた状態に変更すると、渡り部材と手が干渉する作業を行う場合に、その干渉の程度が小さくなる。これにより、その作業を行いやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
[第1実施形態]
以下、発明を具体化した第1の実施形態である手動包装装置について説明する。以下の説明では、手動包装装置をその正面から見た状態を基準として前後左右、上下の方向を記載するものとする。
【0043】
最初に、手動包装装置の基本的構成について、図1乃至図5に基づいて説明する。なお、図1は手動包装装置を示す斜視図であり、図2は手動包装装置の左側面図であり、図3はフィルム押え装置を示す斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図に後述する空圧回路構成図を合わせて図示した図であり、図5は切断装置を示す概略横断面図である。
【0044】
図1及び図2に示すように、この手動包装装置11は本体フレーム12を備えている。本体フレーム12は左右の本体側板13,14と、その本体側板13,14の前端部を連結する本体前面板15と、本体側板13,14の後端部を連結する後側連結板16とで構成されている。本体前面板15はその上端部が後側に折り曲げられ、それにより上面部15aが設けられている。後側連結板16はその板面が本体側板13,14の下端縁と当接するように設けられている。
【0045】
本体フレーム12の後側には、包装シートとしての包装フィルム17を芯筒18に巻回したシート巻回物としてのフィルムロール19を支持する支持機構20が設けられている。本実施形態では、包装フィルム17をその左右両端部の裏面にフィルムの延びる方向に沿って一筋の粘着部17a,17bがそれぞれ設けられたものとする。支持機構20の前側であって本体フレーム12の前後中央部には、左右の本体側板13,14間に橋し渡されて本体フレーム12の上部を覆う上板21が設けられている。上板21の上面にはフィルムロール19から引き出された包装フィルム17を押えるフィルム押え装置22が設けられている。フィルム押え装置22の前側であって本体フレーム12の前側には、包装フィルム17を切断する切断装置23が設けられている。なお、上板21と前記本体フレーム12とで装置本体が構成されている。
【0046】
前記支持機構20は、そのフィルムロール19の芯筒18に挿通されるロール挿通体26と、ロール挿通体26を支持する構成とを備えている。ロール挿通体26は、左右の本体側板13,14間の長さよりも長く、その長手方向の全体にわたって横断面が凸状形状をなすように板体が折り曲げ形成されている。そして、ロール挿通体26は水平部27と、その水平部27からその前後両方向に延びる一対の傾斜部28と、その両傾斜部から鉛直方向に沿って下方に延び、互いに平行をなす一対の側面部29とで構成されている。これら各部27〜29は、図2に示したようにロール挿通体26がフィルムロール19の芯筒18に挿通されたとき、水平部27及び傾斜部28で形成される第1の角30、及び傾斜部28と側面部29とで形成される第2の角31が、芯筒18の内面と当接するように形成されている。また、側面部29の下端には、矩形状に切り欠かれて切り口がL字状をなす切欠部32,33が左右両端に形成されている。
【0047】
ロール挿通体26を支持する構成として、左右の本体側板13,14の上端縁には、矩形状に切り欠かれて切り口がコ字状をなす凹状切欠36,37がそれぞれ形成されている。各凹状切欠36,37はその前後方向の長さが前記ロール挿通体26を構成する側面部29同士の間の長さと同じであり、この左右の凹状切欠36,37に、フィルムロール19に挿通された状態のロール挿通体26の左右両端部が嵌め込まれる。そして、ロール挿通体26の前記切欠部32,33を形成する水平縁が凹状切欠36,37を形成する水平縁に載置されることで、ロール挿通体26が左右の本体側板13,14に支持される。これにより、フィルムロール19が手動包装装置11に装着される。
【0048】
図3及び図4に示すように、前記フィルム押え装置22は支持基板41を備えている。支持基板41は前記上板21に固定される平面部42を有し、平面部42の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板43,44が設けられている。各支持側板43,44の上端部の後側には、同端部が内側に折り曲げられて水平方向に延びる受け片43a,44aがそれぞれ設けられている(図7参照)。この両受け片43a,44aの間には渡り板45が設けられている。渡り板45は左右の受け片43a,44a上に載置される平面部46と、平面部46の前後両端部で同端部が下方に折り曲げ形成された一対の垂部47,48とを備えている。平面部46は受け片43a,44aと前後幅が略同様に形成され、一対の垂部47,48との間に受け片43a,44aが収容されるようになっている。したがって、渡り板45はその左右両端部においてその両端部にある受け片43a,44aによって支持側板43,44に支持されている。
【0049】
渡り板45の平面部46の下方には、その左右両端部で支持された回動軸51を中心として回動可能なシート押え部材としての第1の押えローラ52が設けられている。渡り板45の平面部46の左右両端部には、略L字状に折り曲げ形成されたローラ支持板53,54がそれぞれ設けられている。各ローラ支持板53,54は渡り板45の前方に向かって延び、先端部が下方向に向くように設けられている。そして、両ローラ支持板53,54の先端部で支持された回動軸55により、左右のローラ支持板53,54の間にシート押え部材としての第2の押えローラ56が回動可能に設けられている。
【0050】
図5に示すように、前記切断装置23は変動部材としての揺動体61と、包装フィルム17を切断するカッタ62とを備えている。揺動体61は上平面部63aを有する本体部63を有している。上平面部63aの後端部は下方に折り曲げ形成された後、再度後方に折り曲げられている。これにより、本体部には下平面部63bが設けられている。本体部63の前方において、前記本体前面板15の上面部15aの上方には前面板64が設けられている。前面板64と本体部63とは両者の左右両端に設けられた揺動側板65(左側の揺動側板のみ図示)により連結されている。左右の揺動側板65は本体側板13,14に設けられた回動支軸66によって回動可能に支持されており、これにより揺動体61はその回動支軸66を中心として回動可能となっている。また、揺動側板65と本体側板13,14との間には左右両側においてコイルバネ67(左側のコイルバネのみ図示)が設けられ、このコイルバネ67によって揺動体61は後方側に回転するように付勢されている。そして、前記本体部63の下平面部63bには、図示しないフレームと当接して揺動体61が後方に回転することを規制する規制片68が設けられている。この規制片68により、揺動体61は通常、本体部63の上平面部63aが若干斜め上方を向いた状態で保持されている。これを通常状態という。そして、揺動体61の前側を下方に押圧する力が加わると、揺動体61は前記コイルバネ67の付勢力に抗し、前記回動支軸66を中心として前方に回動する。この回動は、前面板64の下端が本体前面板15の上面部15aと当接するまで行われる。その当接状態では、揺動体61は本体部63の上平面部63aが斜め下方を向いた状態となっている。この状態を回動状態という。そして、回動状態において前記押圧力が加わらなくなると、コイルバネ67の付勢力により揺動体61は通常状態に復帰する。
【0051】
前記カッタ62は、本体前面板15の上面部15aに設けられた支持部15bに支持され、揺動体61の本体部63と前面板64との間のカッタ配置空間69に配設されている。その配設状態をより詳細に説明すると、本体部63の上平面部63aの上面を含む面を想定したときに、揺動体61の通常状態ではその想定面よりもカッタ62の上端が下方に位置し、揺動体61の回動状態では前記想定面からその上端が突出する位置にカッタ62が配設されている。このカッタ62は金属板によって折り曲げ形成され、その内部に図示しない電熱線が配設されている。図示を省略した電源供給装置からこの電熱線に通電すると、カッタ62は加熱される。このため、揺動体61が回動状態となってカッタ62の上端が揺動体61から突出すると、包装フィルム17がこのカッタ62の上端に押し付けられて同包装フィルム17が溶断される。
【0052】
次に、上記の如く構成された手動包装装置11の作用を説明する。
【0053】
まず、フィルムロール19の芯筒18内にロール挿通体26を挿通させ、そのロール挿通体26を本体側板13,14の凹状切欠36,37に嵌め込む。そして、図2に示すように、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出し、さらに、その包装フィルム17を第1及び第2の押えローラ52,56の下を通して本体フレーム12の前面側まで引き出す。そして、図示しない電源スイッチをONにしてカッタ62の電熱線に通電し、カッタ62を溶断可能な状態とする。併せて、本体フレーム12の前方に被包装物Hを用意し、この被包装物Hに引き出された包装フィルム17を巻きつける。その際、包装フィルム17の粘着部17a,17bにより、同フィルム17を被包装物Hに貼り付ける。その後、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると(例えば、図2の矢印X方向に押さえつけると)、切断装置23の揺動体61が通常位置から回動位置に回動する(図5参照)。すると、カッタ62の上端が揺動体61から突出して包装フィルム17がこのカッタ62に押し付けられる。これにより、包装フィルム17が溶断される。包装フィルム17が溶断されれば、揺動体61は押圧力から解放されるため、元の通常位置に自動的に復帰する。そして、この溶断された包装フィルム17を被包装物Hに巻きつければ、当該被包装物Hに対する包装は完了する。
【0054】
新たな被包装物Hを包装する場合は、揺動体61の本体部63に貼り付いている包装フィルム17を、下平面部63b上方の空間に指を入れて包装フィルム17をつまむ等して引き剥がす。その後、包装フィルム17を手動包装装置11の前方に引き出して、包装フィルム17を被包装物Hに巻き付ける。次いで、前述したように包装フィルム17を押さえつければ包装フィルム17はカッタ62によって溶断される。このような手順を順次繰り返すことで、手動包装装置11を用いた被包装物Hの包装が繰り返し行われる。
【0055】
次に、この手動包装装置11は前述した基本的構成に加えて、複数の特徴的な構成を備えている。以下、その特徴的構成について上記図1乃至図5に加えて図6乃至図12に基づいて説明する。
【0056】
第1の特徴として、手動包装装置11は、粘着部17a,17bを有する包装フィルム17が前記上板21の上面に貼り付くことを最小限に抑える構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図1乃至図4に基づいて説明する。
【0057】
図1及び図2に示したように、前記支持機構20の前側において、左右の本体側板13,14の上端縁に上板用切欠71,72がそれぞれ形成されている。この左右の上板用切欠71,72の水平縁間を橋し渡すように、前記上板21が設けられている。そして、図3及び図4に示すように、上板21にはその前後両端部に左右方向全体にわたり立ち上がり板73,74が設けられている。この立ち上がり板73,74は前記上板用切欠71,72の深さに相当する高さを有し、その上端部は湾曲するように折り曲げられている。これにより、上板21と立ち上がり板73,74とで凹部75が形成されている。
【0058】
このように、上板21は本体側板13,14の上端縁よりも一段下がった位置に配置されている。このため、フィルムロール19から引き出されて前記第1及び第2の押えローラ52,56の下を通る包装フィルム17は、図2に示すようにその粘着部17a,17b全体が上板21に貼り付いてしまうことはなく、前記立ち上がり板73,74の上端部に貼り付くだけの構成となっている。これにより、包装フィルム17の上板21への貼り付きが最小限に抑えられている。
【0059】
第2の特徴として、手動包装装置11は、前記フィルム押え装置22がフィルムロール19から引き出された包装フィルム17を通しやすくする構成となっている。具体的には次の構成であり、それを図3、図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6はフィルム押え装置の正面図であり、図7はフィルム押え装置の開放状態を示す正面図である。
【0060】
前述したように、フィルム押え装置22は、支持基板41と、左右の支持側板43,44により支持された渡り板45とを備えている。図3に示したように、渡り板45と左側の支持側板43とはヒンジ装置81によって連結されている。このため、図6に示したように渡り板45は前記受け片43a,44aに載置されて左右の支持側板43,44間を橋し渡した閉状態と、図7に示したように平面部42の上方が開放された開状態との間を、ヒンジ装置81のヒンジ軸を中心として回動可能となっている。
【0061】
渡り板45の右端には鉤部82が設けられるとともに、右側の支持側板44にはその鉤部82と係合可能なロック装置83が設けられている。そして、この両者を係合させることにより、閉状態とされた渡り板45が固定されるようになっている。ロック装置83を解除すれば前記鉤部82との係合が外れ、渡り板45を開状態とすることが可能となる。また、左側の支持側板43には前記ヒンジ装置81の外側に回動規制板84が設けられている。そして、渡り板45が開状態となったときに、ヒンジ装置81の回動片がこの回動規制板84と当接することにより、渡り板45のそれ以上の回動が規制され、その開状態が維持される。
【0062】
次に、上記の如く構成されたフィルム押え装置22の作用を説明する。
【0063】
フィルムロール19から包装フィルム17を引き出す前に、前記ロック装置83を解除し、渡り板45をヒンジ装置81の回動片が回動規制板84と当接するまで回動させて渡り板45を開状態とする。この開状態では支持基板41の平面部42の上方が開放されるため、包装フィルム17をつかんだ手が渡り板45や第1及び第2の押えローラ52,56と干渉することはなく、容易に包装フィルム17を引き出せる。包装フィルム17を本体フレーム12の前面側まで引き出した後は、渡り板45を逆方向に回動させて元の閉状態に戻し、ロック装置83によってその状態を固定する。
【0064】
また、上記した包装作業の開始当初だけでなく、例えば包装フィルム17の不具合に対処するなど、包装作業中又はその終了時において、包装フィルム17に対する作業を行う際に手がフィルム押え装置22と干渉してしまう場合には、上記したのと同様に渡り板45を開状態とすれば、それらの作業が行いやすくなる。
【0065】
第3の特徴として、手動包装装置11は包装フィルム17に捺印する捺印手段としてのスタンプ装置91を備えている。具体的には次の構成であり、それを図1乃至図5、図8及び図9に基づいて説明する。なお、図8はスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図であり、図9はスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図である。
【0066】
図3及び図4に示すように、スタンプ装置91は、前記フィルム押え装置22に設けられた印字体保持部としてのスタンプ部92と、スタンプマット93と、スタンプ部92に設けられた印字体としてのスタンプ94による印字を実行する構成とで構成されている。なお、本実施形態におけるスタンプ94は、包装フィルム17のような非吸収面に印字可能なインクが用いられたものであり、一般に市販されているものである。また、スタンプ部92は前記支持基板41及び前記渡り板45により支持されるため、この両者によって印字体支持部材が構成されている。
【0067】
前記スタンプ部92は、渡り板45の平面部46においてその左右方向の中央部に設けられた支持部材96を備えている。図8に示すように、支持部材96は板体を折り曲げて形成され、前記渡り板45の平面部46に固定される固定部97と、その固定部97の前端部で上方に折り曲げ形成された基部98と、その基部98の上端部で前方に折り曲げ形成された載置部99とで構成されている。基部98にはその前面側にスタンプ収容部材101が設けられている。
【0068】
基部98における前側の面には、リップ溝形に形成されたガイド部材109が固定ネジ107で固定されている。ガイド部材109は、リップ部109aが前方を向くとともに背面部109bが基部98に当接するように配置されている。また、ガイド部材109の溝部109cは上下方向に延びるように配置されている。
【0069】
スタンプ収容部材101は、同スタンプ収容部材101に収容するスタンプ94の形状に合わせて背面部102、左右両側の側面部103,104及び上面部105が設けられている。
【0070】
背面部102における後側の面には介在部材106が固定ネジ107で固定されている。介在部材106の前側の面には、前方に突出する凸部106aが縦方向に延びるように形成されている。また、その左右両側には縦方向に延びる被ガイド部106bが形成されている。介在部材106は、ガイド部材109の端部から挿入して上下方向にスライドできるようにその各部の寸法設定がなされており、スタンプ収容部材101に固定された後にガイド部材109の溝部109c内に挿入される。
【0071】
背面部102及び左右の側面部103,104の下端には、下端部を内側に折り曲げて形成されたスタンプ支持片108が設けられている。このスタンプ支持片108により、前面の開放側からスタンプ収容部材101内に嵌め込まれたスタンプ94の下端が支えられ、それによってスタンプ94はスタンプ収容部材101内に収容された状態で保持される。
【0072】
一方、前記載置部99には透孔111が形成されている。
【0073】
前記スタンプマット93は、前記支持基板41の平面部42上に設けられた基台113の上面に設けられている。スタンプマット93は弾力性を有する樹脂により構成され、硬質面上で印字するよりも鮮明な印影を形成するために設けられている。
【0074】
スタンプ94による印字を実行する構成として、前記本体フレーム12を構成する左側の本体側板13には図1及び図4に示すように第1接続口121と第2接続口122が設けられている。第1接続口121には一端が空気源123(図1では図示を省略)に接続された第1外配管124の他端が接続されている。また、第1接続口121は第1内配管125(図1では図示を省略)を介して前記左側の本体側板13の裏面に設けられた電磁弁126に接続されている。このため、コンプレッサ等によって圧縮された空気が空気源123から第1内外配管124,125を介して電磁弁126に供給される。図4に示したように、この電磁弁126は2位置3ポート型の電磁切換弁である。電磁弁126の残る2ポートのうち、一方は大気に開放されている。前記第2接続口122は第2内配管127(図1では図示を省略)を介して電磁弁126のもう一方のポートと接続されている。第2接続口122は第2外配管128の一端が接続されている。そして、電磁弁126が備える電磁ソレノイドのOFF時には第2内外配管127,128内が大気に開放される。他方、電磁ソレノイドのON時には第2内外配管127,128が第1内外配管124,125及び電磁弁126を介して空気源123に連通され、圧縮空気が第2内外配管127,128に供給される。
【0075】
図8に示すように、前記支持部材96の載置部99にはシリンダ131が設けられている。シリンダ131はそのロッド132が載置部99の透孔111に挿通するようにロッド132を下向けた状態で、固定ネジ133により固定されている。また、図4に示すように、ロッド132の先端には、押圧板132aが固定されている。この押圧板132aは、収容部材101の上面部105にも固定されている。シリンダ131に設けられた一対のポートのうち、上側に位置するポート134(上部ポート134)には前記第2外配管128が接続されている。下側に位置するポート135(図4参照)は大気開放とされている。
【0076】
したがって、図4において、電磁弁126の電磁ソレノイドがONにされると、第2外配管128からシリンダ131の上部ポート134に圧縮空気が供給される。これにより、ロッド132が下方に突出し、押圧板132aを介して収容部材101に下向きに力が加えられる。その結果、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下方に移動する。一方、電磁弁126の電磁ソレノイドがOFFにされると、第2外配管128は大気に開放されるため、シリンダ131内の図示しないピストンを押圧していた圧縮空気は大気中に排出される。これにより、ロッド132は非突出状態に戻り、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94も元位置に戻る。この電磁弁126、シリンダ131等により圧接手段が構成されている。
【0077】
図5に示すように、前記本体フレーム12を構成する右側の本体側板14の裏面には、前記切断装置23の揺動体61が通常状態にあるか、回転状態にあるかを検出する検出スイッチ136が設けられている。揺動体61の本体部63に設けられた前記規制片68には、その先端部に検出スイッチ136の押圧ピン136aを押圧可能な板片137が設けられている。この板片137により、揺動体61が通常位置にあるときは押圧ピン136aが押圧され、回動位置にあるときはその押圧が解除されるようになっている。そして、検出スイッチ136はその押圧ピン136aが押圧された状態から押圧が解除された状態となるとスイッチがONし、検出信号を出力する。図4に示すように、前記電磁弁126はこの検出スイッチ136に接続されており、検出スイッチ136からの検出信号の有無によって電磁弁126の電磁ソレノイドがON/OFFされる。したがって、電磁弁126の電磁ソレノイドは揺動体61の動作に連動してON/OFFされる。
【0078】
次に、上記の如く構成されたスタンプ装置91の作用を説明する。
【0079】
揺動体61が通常状態にあるときは、検出スイッチ136のスイッチはOFFとなっているため電磁ソレノイドもOFFとなり、第2外配管128が大気に開放される。このため、シリンダ131のロッド132は非突出状態にある。図9(a)に示すように、この状態ではスタンプ94による印字はなされない。包装フィルム17をフィルムロール19から引き出したり、その引き出した包装フィルム17を手動包装装置11の前方に用意された被包装物Hに巻きつけたりするとき、揺動体61は通常状態にあるため包装フィルム17に印字されない。そして、包装フィルム17をカッタ62で溶断すべく、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると、揺動体61は通常位置から回動位置に回動し、検出スイッチ136のスイッチがONとなる。これにより、電磁ソレノイドもONとなり、第2外配管128に圧縮空気が供給される。すると、図9(b)に示すように、シリンダ131のロッド132が突出することにより、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下方に移動する。この結果、スタンプ94の印字部がスタンプマット93上の包装フィルム17の表面に押圧され、その表面に印字される。したがって、包装フィルム17が溶断されるのに合わせて、次の包装作業に用いられる印字済みの包装フィルム17が用意される。
【0080】
第4の特徴として、手動包装装置は前記スタンプ装置91による印字位置を前後に変更する構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図3に基づいて説明する。
【0081】
図3に示すように、前記支持基板41の平面部42には、その左右両端部に前後方向に沿って長円形状をなす固定孔141がそれぞれ形成されている。固定孔141を介して前記上板21に設けられたネジ孔に固定ネジを締め付けることにより、支持基板41が上板21に固定される。そして、固定ネジ143を緩めれば支持基板41は前後方向にスライド可能となる。このため、固定孔141の形成された範囲で支持基板41を前後方向にスライドさせれば、フィルム押え装置22は前後方向の所望の位置で固定される。また、上板21には前記ネジ孔142が前後方向に複数形成されている。固定ネジ143が設けられるネジ孔142を適宜変更すればフィルム押え装置22のさらなる前後方向の位置変更が可能となる。
【0082】
次に、上記の如く構成されたことの作用を説明する。
【0083】
所望のネジ孔142に固定ネジ143を設け、その固定ネジ143を緩めた状態としてフィルム押え装置22の支持基板41を前後方向にスライド調節し、スタンプ装置91を所望の位置に調節する。そして、その位置で固定ネジ143を締め付けてフィルム押え装置22を上板21に固定する。これにより、包装フィルム17には前後方向の特定位置で印字される。
【0084】
その特定位置から印字位置を前後方向に変更する場合には、固定ネジ143を緩めて支持基板41を固定孔141の範囲で前後方向にスライド調節したり、さらにはネジ孔142を変更したりする。その変更後の位置で固定ネジ143を締め付けてフィルム押え装置22を上板21に固定する。スタンプ94による印字が行われるとき包装フィルム17は前後方向に移動しないため、フィルム押え装置22の前後位置を変更すれば、同装置に固定されたスタンプ部92との間で、前後方向の相対位置が変更される。このため、包装フィルム17には前記特定位置とは前後方向に異なる位置で印字される。このようにして、スタンプ装置91による印字位置は前後方向の所望の位置に適宜変更可能となっている。
【0085】
第5の特徴として、手動包装装置は前記スタンプ装置91による印字位置を左右方向に変更する構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図10乃至図12に基づいて説明する。なお、また、図10は支持機構を示す横断面図であり、図11は一対の挟持部材を示す平面図であり、図12は右挟持部材を拡大して示す横断面図である。
【0086】
図10に示したように、前記本体フレーム12を構成する後側連結板16には、前記フィルムロール19を挟持する規制部材としての挟持部材151,152が一対設けられている。両挟持部材151,152のうち、左側の挟持部材151(左挟持部材151)は後側連結板16に固定される固定板153を備えている。図11に示すように、固定板153には左右方向に沿って長円形状をなす固定孔154が形成されている。固定孔154を介して後側連結板16に形成されたネジ孔に固定ネジ155を締め付けることにより、左挟持部材151が後側連結板16に固定される。そして、固定ネジ155を緩めれば固定板153は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔154の形成された範囲で固定板153を左右方向にスライドさせれば、左挟持部材151を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。固定板153のフィルムロール19側(右側)の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成された挟持板156が設けられている。挟持板156はフィルムロール19の左端と当接し、後述する右側の挟持部材152(右挟持部材152)とともにフィルムロール19を挟持する。
【0087】
図12に示すように、右挟持部材152は第1固定板157を備えている。第1固定板157と後側連結板16との間には、第2固定板158が設けられている。第2固定板158は、左右方向の長さが第1固定板157よりも長く形成されている。そして、両固定板157,158はフィルムロール19と反対側(右側)の端部を揃えた状態で溶接等により接合されている。第1及び第2固定板157,158には、左右方向に沿って長円形状をなす固定孔159が形成されている。固定孔159を介して後側連結板16に形成されたネジ孔に固定ネジ160を締め付けることにより、右挟持部材152が後側連結板16に固定される。そして、固定ネジ160を緩めれば両固定板157,158は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔159の形成された範囲で両固定板157,158を左右方向にスライドさせれば、右挟持部材152を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。
【0088】
第1固定板157の左側の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成されたネジ取付板161が設けられている。ネジ取付板161の上部には透孔162が形成され、その透孔162には先端部が左向きとなるように調整ネジ163が設けられている。第2固定板158の左側の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成された押圧部材としての押付板164が設けられている。押付板164はフィルムロール19の右端と当接し、前述した左挟持部材151の挟持板156とともにフィルムロール19を挟持する。また、前記調整ネジ163を締め付けると、その先端が押付板164を押圧し押付板164はフィルムロール19側に変形する。逆に、調整ネジ163を緩めれば、押付板164は自身の復元力によりその変形状態から調整ネジを緩めた量に応じて非変形状態へ復帰する。このため、調整ネジ163の締め付け量を調整することで、押付板164のフィルムロール19側への変形量が調整される。
【0089】
次に、上記の如く構成された一対の挟持部材151,152による作用を説明する。
【0090】
フィルムロール19の左端に挟持板156、右端に押付板164が当接し、かつフィルムロール19が所望の左右位置に配置されるように、固定ネジ155,160を緩めて左右の挟持部材151,152をスライド調節する。そして、その調節された位置で固定ネジ155,160を締め付けて左右の挟持部材151,152を後側連結板16に固定する。これにより、フィルムロール19は左右方向の特定位置に配置される。そして、フィルムロール19の位置が特定すれば、左右方向に位置変更不能な前記スタンプ部92との間で、左右方向の相対位置が特定されるため、包装フィルム17にはその左右方向の特定位置で印字される。
【0091】
その特定位置から印字位置を左右方向に変更する場合には、固定ネジ155,160を緩めて左右の挟持部材151,152をそれぞれ固定孔154,159の範囲で左右方向にスライド調節する。その調節は、左右方向に位置変更後にもフィルムロール19と挟持板156及び押付板164とが当接することを考慮する。そして、調節された位置で固定ネジ155,160を締め付けて左右の挟持部材151,152を後側連結板16に固定すれば、フィルムロール19の左右方向の位置が変更される。これにより、スタンプ部92との相対位置も変更されるため、フィルムロール19から引き出される包装フィルム17には前記特定位置とは左右方向に異なる位置で印字される。このようにして、スタンプ装置91による印字位置は左右方向の所望の位置に適宜変更可能となっている。
【0092】
また、左右の挟持部材151,152が後側連結板16に固定された状態で、右挟持部材152の前記調整ネジ163を締め付けると、押付板164はその変形によってフィルムロール19に押し付けられる。調整ネジ163を締め付ける程この押し付け力は強くなり、それに伴ってフィルムロール19は回転しにくくなる。逆に、調整ネジ163を緩める程に押し付け力は緩和され、それに伴ってフィルムロール19は回転しやすくなる。したがって、左右の挟持部材151,152は左右位置の変更だけでなく、フィルムロール19の回転し易さを調整する機能も備えている。
【0093】
そして、このように押付板164が変形可能な構成としているため、左右の挟持部材151,152の位置調節をする場合に、フィルムロール19と挟持板156及び押付板164との当接状態が不完全であっても、その不完全さは押付板164の変形によって吸収される。
【0094】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0095】
本実施の形態では、上板21を本体側板13,14の上端縁よりも一段下がった位置に配置し、その前後両端部には立ち上がり板73,74を設けて、上板21の上面から離間した状態で包装フィルム17が引き出されるように構成した。これにより、本実施の形態のように粘着部17a,17bを設けた包装フィルム17を用いた場合でも、粘着部17a,17b全体が上板21に貼り付くことを防止できる。これにより、包装フィルム17の上板21への貼り付きが最小限に抑えられている。
【0096】
本実施の形態では、押えローラ52,56を設けた渡り板15の左端部にヒンジ装置81を設けて、渡り板45が閉状態から開状態に回動するように構成している。これにより、押えローラ52,56や渡り板45と手が干渉する作業を行う場合に、渡り板45を開状態とすればその作業が行いやすくなる。
【0097】
本実施の形態では、スタンプ94を用いて包装フィルム17に捺印することで、包装フィルム17に印字する構成とした。このため、熱転写による印字装置を用いた場合と比べ、以下の点で優れている。まず、熱によって印字箇所に縮みや穴開きが生じることがない。また、待機時間が存在せず作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。さらに、スタンプ94はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価であるし、市販のものを利用すれば調達することも容易である。このため、印字機能付きの手動包装装置11を安価に提供できる。
【0098】
本実施の形態では、スタンプ94がスタンプ収容部材101に対して着脱可能であり、スタンプ収容部材101は市販されたスタンプ94の仕様に合わせて形成した。このため、印字内容の変更等によりスタンプ94を交換する必要がある場合にその交換が可能であるし、スタンプ94の調達も容易である。これにより、手動包装装置11のコストを低減できる。
【0099】
本実施の形態では、固定ネジ143を緩めることで、支持基板41の取付位置が固定孔141の範囲で前後方向にスライド調整される構成としている。また、前後方向に複数形成されたネジ孔142を適宜変更すれば、より広い範囲で前後方向の位置変更される構成としている。支持基板41の前後位置を変更すれば、包装フィルム17とスタンプ94との前後の相対位置が変更されて、包装フィルム17上の捺印位置も変更される。これにより、包装フィルム17の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、印字機能付きの手動包装装置11の汎用性を高めることができる。
【0100】
そして、支持基板41に支持された渡り板45に、押えローラ52,56とスタンプ部92を設けている。このため、その両者をそれぞれ別個の部材に設ける構成に比べ、両者の構成をコンパクトにまとめることができる。また、押えローラ52,56はスタンプ部92の前後に設けているため、包装フィルム17に捺印する際にスタンプ94の下方に位置する包装フィルム17の浮き上がりを前後で防止できる。これにより、包装フィルム17の捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0101】
本実施の形態では、揺動体61の揺動動作に連動してシリンダ131に圧縮空気が給排されて、スタンプ94による捺印動作と捺印状態からの復帰動作を行うように構成した。このため、揺動体61が回動状態として包装フィルム17を切断すれば、次の包装作業に用いる捺印済みの包装フィルム17が用意される。これにより、包装フィルム17に捺印するためだけの操作が不要となり、捺印された包装フィルム17による包装作業を効率化できる。
【0102】
本実施の形態では、一対の挟持部材151,152でフィルムロール19を挟持している。これにより、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出すときにフィルムロール19が左右にぶれることが抑制されるため、包装フィルム17の引き出しを円滑に行うことができる。また、挟持部材151,152は固定孔154,159の範囲内で左右方向にスライド調整される構成としている。これにより、スタンプ部92と包装フィルム17との左右の相対位置が変更されて、包装フィルム17の捺印位置が変更される。これにより、包装フィルム17の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、印字機能付き手動包装装置11の汎用性を高めることができる。そして、挟持部材151,152の位置を変更する構成としては、固定孔154,159を長円形状とすれば足り、簡単かつ安価な構成で左右に捺印位置を変更することを実現できる。
【0103】
本実施の形態では、押付板164の押圧量を調整して、フィルムロール19の回転し易さを調整する構成としている。作業者によって、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出す力が異なるため、作業者に合わせてその回転し易さを調整すれば、包装フィルム17を引き出しすぎてしまったり、引き出しが困難となったりすることを防止できる。また、フィルムロール19と挟持板156及び押付板164の当接状態が不完全であっても、押付板164の押付量を調整すればその不完全さを吸収でき、挟持を確実に行うことができる。
【0104】
[第2実施形態]
次に本発明を具体化した第2の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図13は、第2実施形態におけるフィルム押え装置を示す斜視図である。図14は、スタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図である。図15は、図13のB−B線断面図及びスタンプ装置を駆動する機構を模式的に示す図である。そして、図16は、スタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図である。なお、第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0105】
図13及び図15に示すように、フィルム押え装置222は支持基板241を備えている。支持基板241は上板21に固定される平面部242を有し、平面部242の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板243,244が設けられている。各支持側板243,244の上端部には、同端部が内側に折り曲げられて水平方向に延びる受け片243a,244aが設けられている。
【0106】
この両受け片243a,244aの間には渡り部材245が設けられている。渡り部材245は、左右の受け片243a,244a上に載置される平面部246を有している。平面部246における中央部の前側には矩形状の切欠き部246aが形成されている。切欠き部246aが設けられている部分における平面部246の前後方向の長さは、ガイド部材109の厚さと等しく設定されている。
【0107】
平面部246の後端部には同端部が上方に折り曲げられた背面部247が設けられている。そして、平面部246の後端を略L字状に折り曲げたアール部により第1シート押え部246bが形成されている。また、平面部246の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板248,249が設けられている。
【0108】
図13に示すように、支持基板241の左側の支持側板243と渡り部材245の左側の支持側板248とは、第1実施形態と同様、ヒンジ装置281によって連結されている。そして、渡り部材245は、ヒンジ装置281のヒンジ軸を中心として回動可能となっている。
【0109】
渡り部材245には、支持部材296が固定されている。支持部材296は、渡り部材245の平面部246上に載置される平面部297と、平面部297の後端部で上方に折り曲げて形成された基部298と、その基部298の上端部で後方に折り曲げて形成された上面部299とを有している。基部298の中央部298aは、その左右両側よりも上方に延びている。そして、前記上面部299は基部298の中央部298aの上端を折り曲げて形成されている。
【0110】
平面部297における中央部の前側には矩形状の切欠き部297aが設けられている。切欠き部297aが設けられている部分における平面部246の前後方向の長さは、ガイド部材109の厚さと等しく設定されている。切欠き部297aの左右両側における平面部297の前端には、前端部を斜め前下方に折り曲げた後に斜め前上方曲げて下に凸の曲面状とした第2シート押え部297bが設けられている。
【0111】
渡り部材245の背面部247には左右方向に沿って長円形状をなす固定孔247aが設けられている。また、支持部材296の基部298にはネジ孔298bが設けられている。支持部材296は、固定孔247aを介してネジ孔298bに固定ネジ250を締め付けることにより、渡り部材245に固定されている。そして、固定ネジ250を緩めれば支持部材296は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔247aの形成された範囲で支持部材296を左右方向にスライドさせれば、支持部材296を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。
【0112】
なお、支持部材296の平面部297における切欠き部297aの左右方向の長さは、スタンプ収容部材101横方向長さよりも若干長く設定されている。また、渡り部材245の平面部246における切欠き部246aの左右方向の長さは、支持部材296における切欠き部297aの左右方向の長さよりも長く設定されている。そして、支持部材296を渡り部材245に対して左右方向にスライド可能な範囲において、スタンプ収容部材101が両切欠き部297a,246aの重複部分を上下方向に移動可能となっている。
【0113】
本実施形態では、介在部材106とスタンプ収容部材101との間には、略L字状に折り曲げて形成された駆動力伝達部材201が設けられている。この駆動力伝達部材201は、固定部202と上面部203とを有している。固定部202は、スタンプ収容部材101の背面部102と介在部材106の凸部106aとの間に固定されている。また、上面部203は、固定部202の上端部を後方に折り曲げて形成されている。図15に示すように、駆動力伝達部材201の上面部203は支持部材296の上面部299の上方に位置しており、両上面部299,203は対向している。支持部材296及び駆動力伝達部材201の両上面部299,203には透孔211,212がそれぞれ形成されている。
【0114】
本実施形態では、ガイド部材109は、その下端を平面部246上に当接させるとともに背面部109bを基部298に当接させた状態で、基部298に固定されている。
【0115】
本実施形態ではスタンプ94による印字を実行する構成として、電磁ソレノイド231及びそれに接続されたワイヤケーブル224が設けられている。図15に示すように、電磁ソレノイド231は本体フレーム12内部に設けられている。電磁ソレノイド231にはプランジャ232が設けられており、電磁ソレノイド231に通電することによりプランジャ232が電磁ソレノイド231側に引き寄せられるように構成されている。ワイヤケーブル224はインナワイヤ224aとその外側のアウタワイヤ224bとから構成されており、インナワイヤ224aはアウタワイヤ224b内を摺動することが可能となっている。
【0116】
左側の本体側板13には接続口221が形成されており、その接続口221には本体フレーム12の外側からアウタワイヤ224bの一方の端部が嵌入されている。これにより、アウタワイヤ224b一方の端部は、本体フレーム12に固定されている。インナワイヤ224aの一方の端部は、接続口221から本体フレーム12内に延び、プランジャ232に接続されている。
【0117】
支持部材296の上面部299に形成された透孔211には、筒状のアウタワイヤ固定部材225が取り付けられている。アウタワイヤ固定部材225は、その一端側を下方から透孔111に挿入した後、上方からナット226を螺合させることにより、上面部299に取り付けられている。アウタワイヤ固定部材225の他端側からはアウタワイヤ224bのもう一方の端部が嵌入されて固定されている。
【0118】
インナワイヤ224aのもう一方の端部は、アウタワイヤ固定部材225、両上面部299,203間に配設されたコイルバネ227及び透孔212を貫通している。また、インナワイヤ224aの端部には、球状のストッパ部材228が固定されている。ストッパ部材228は係止部材229に係止され、その係止部材229が上面部203に固定ネジ230で固定されている。これにより、インナワイヤ224aの端部が透孔212の上方から下方へ抜け落ちることが防止されている。図15に示すように、手動包装装置11の非作動状態におけるコイルバネ227のつりあい位置は、スタンプ94の下端が平面部297よりも上方に位置するように設定されている。
【0119】
なお、図13に示すように、ワイヤケーブル224は包装フィルム17に干渉しないように、本体フレーム12の左側に引き出してから、左側の本体側板13に形成された接続口221に接続されている。
【0120】
上記構成において、検出スイッチ136からの信号により電磁ソレノイド231がONされると、プランジャ232が電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。これにより、プランジャ232に一端が接続されているインナワイヤ224aも電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。そして、インナワイヤ224aの他端のストッパ部材228は駆動力伝達部材201の上面部203に係止されているため、上面部203にはインナワイヤ224aによって下向きに力が加えられる。この結果、コイルバネ227が縮められるとともに、駆動力伝達部材201、それに固定されているスタンプ収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下降する。
【0121】
一方、検出スイッチ136からの信号により電磁ソレノイド231がOFFされると、プランジャ232が元位置に戻る。そして、インナワイヤ224aによって上面部203に加えられていた下向きの力が解除される。この結果、コイルバネ227の復元力により上面部203に上向きの力が加えられ、駆動力伝達部材201、スタンプ収容部材101及びスタンプ94が上昇して元位置に戻る。
【0122】
次に、上記の如く構成されたスタンプ装置91の作用を説明する。
【0123】
揺動体61が通常状態にあるときは、検出スイッチ136のスイッチはOFFとなっているため電磁ソレノイド231もOFFとなり、インナワイヤ224aは電磁ソレノイド側に引き寄せられていない。このため、コイルバネ227はつりあい位置にある。図16(a)に示すように、この状態ではスタンプ94による印字はなされない。そして、包装フィルム17をカッタ62で溶断すべく、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると、揺動体61は通常位置から回動位置に回動し、検出スイッチ136のスイッチがONとなる。これにより、電磁ソレノイド231もONとなり、インナワイヤ224aが電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。すると、図16(b)に示すように、スタンプ94が下降してその印字部がスタンプマット93上の包装フィルム17の表面に押圧され、その表面に印字される。したがって、包装フィルム17が溶断されるのに合わせて、次の包装作業に用いられる印字済みの包装フィルム17が用意される。
【0124】
なお、図16に示すように、包装フィルム17は、第1及び第2のシート押え部246b,297bに当接して浮き上がりが防止されている。また、捺印前の状態において、包装フィルム17は、渡り部材245における平面部246の下面と対向している。これにより、捺印位置の左右両側での包装フィルム17の浮き上がりが防止されている。
【0125】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0126】
本実施形態では、固定ネジ250を緩めることで、支持部材296の取付位置が固定孔259の範囲で左右方向にスライド調整できる構成となっている。このため、スタンプ部92と包装フィルム17との相対位置を変更して、包装フィルム17の捺印位置を変更することができる。これにより、被包装物Hの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、手動包装装置11の汎用性を高めることができる。特に、スタンプ部92側を左右にスライドさせる構成とすることで、捺印位置の微調整が容易となる。
【0127】
また、本実施形態では、フィルムロール19の挟持部材151,152を左右にスライド調整する構成も有しているので、フィルムロール19及びスタンプ部92の両者を左右にスライド調整することができる。このため、手動包装装置11が小型でも両者を離反する側へスライドさせることで、スタンプ捺印位置の調整範囲を拡大することが可能となる。さらに、本実施形態では、支持基板41の取付位置を固定孔141の範囲で前後方向にスライド調整させる構成も有している。これにより、包装フィルム17上の捺印位置を前後及び左右方向に変更可能となり、印字機能付きの手動包装装置11の汎用性をより高めることができる。
【0128】
本実施形態では、電磁ソレノイド231をONすることによりインナワイヤ224aを引き寄せ、スタンプ部92を下降させた。また、電磁ソレノイド231をOFFすることにより、コイルバネ227の復元力でスタンプ94を元位置に復帰させた。これにより、簡易な構成で捺印動作及び復帰動作させることが可能となる。また、スタンプ94の復帰位置は、スタンプ94の印字部が渡り部材245の平面部246より上方に位置すればよく、復帰位置の精度はさほど要求されない。このため、経時変化によりコイルバネ227の弾性力がわずかに低下した場合でも、所定の復帰位置にスタンプ94を復帰させることが可能である。
【0129】
本実施形態では、渡り部材245における平面部246の後端の折り曲げ部により第1シート押え部246bを形成した。また、支持部材296における平面部297の前端の折り曲げ部により第2シート押え部297bを形成した。これにより、第1実施形態で用いた第1及び第2の押えローラ52,56が不要となり、コストを低減することが可能となるとともに、簡易な構成で包装フィルム17の浮き上がりを防止できる。また、第1及び第2のシート押え部246b,297bを滑らかな曲面部により形成した。これにより、第1及び第2のシート押え部246b,297bで包装フィルム17を押える際に、包装フィルム17に穴、破れ等が発生することを抑止することができる。さらに、第2シート押え部297bの前端の自由端部は包装フィルム17の引き出し方向側となっている。これにより、包装フィルム17を引き出す際に第2シート押え部297bの前端部分で包装フィルム17に穴、破れ等が発生することを抑止することができる。
【0130】
本実施形態では、包装フィルム17が渡り部材245の平面部246の下面と対向している。これにより、捺印位置の左右両側での包装フィルム17の浮き上がりを防止できる。この結果、包装フィルム17の捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0131】
本実施形態では、ガイド部材109の下端を支持部材296の平面部297に上に当接させた状態で、ガイド部材109を支持部材296の基部298に固定した。すなわち、ガイド部材109を、その背面部109b及び下端部で支持されるように固定した。このため、背面部109bのみで支持されていた第1実施形態の場合に比べて、スタンプ収容部材101等と一体化された介在部材106がガイド部材109の溝部109c内を上下にスライド移動する際の安定性が向上する。
【0132】
[他の実施形態]
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0133】
上記各実施の形態では、板体が折り曲げ形成されたロール挿通体26を用いて支持機構20を構成したが、支持機構20の構成はこれに限定されない。例えば、筒状に形成されたロール挿通体を用いてもよい。また、ロール挿通体を芯筒18に挿通するのではなく、一対の支軸部材を芯筒18の両端開口部に密に嵌合させ、本体側板13,14がその支軸部材を回動可能に支持する構成であってもよい。
【0134】
上記各実施の形態では、包装フィルム17の上方にスタンプ部92を配置して包装フィルム17の表面に捺印するように構成したが、包装フィルム17の下方にスタンプ部92を配置して包装フィルム17の裏面に捺印するように構成してもよい。
【0135】
上記第1の実施形態では、空圧シリンダ131のロッド132を下方に突出させることでスタンプ94を上から押圧して捺印するように構成したが、スタンプ94の印字部と包装フィルム17とを圧接させる圧接手段としてはこれに限定されない。例えば、アクチュエータとしては電動シリンダや、ラック・ピニオン機構を用いてもよい。また、使用するスタンプ94の仕様に合わせて、スタンプ94を押圧するだけでなく、スタンプ収容部材101も下方に移動させるように構成してもよい。さらに、包装フィルム17を上方に移動させてスタンプ94と圧接させるように構成してもよい。
【0136】
上記各実施の形態では、揺動体61が揺動して包装フィルム17を切断する動作に連動して包装フィルム17への捺印が行われるように構成したが、各動作がそれぞれ個別の操作に基づいて行われるように構成してもよい。
【0137】
上記各実施の形態では、支持基板41に長円形状の固定孔141を形成してフィルム押え装置22を前後方向に移動可能に構成したが、その構成は省略してもよい。また、挟持部材151,152に長円形状の固定孔154,159を設けて、それによるフィルムロール19の挟持位置を左右に変更可能としたが、その変更可能とする構成を省略してもよい。もっとも、この省略構成では捺印位置が特定位置だけに固定されてしまうため、装置の汎用性を高めるには本実施の形態の如く構成することが好ましい。
【0138】
上記各実施の形態では、渡り板45の左端部にヒンジ装置81を設けて渡り板45を閉状態と開状態とに回動可能な構成としたが、渡り板45の支持状態を閉状態と開状態とに変更する構成としてはこの構成に限定されない。例えば、ヒンジ装置81は右端部に設けてもよいし、ヒンジ装置81の代わりに左右両端部にロック装置83を設け、渡り板45を外してしまう構成としてもよい。
【0139】
上記各実施の形態では、包装シートとして包装フィルムを用いたが、包装シートとしてはそれに限定されるものではなく、例えば包装紙であってもよい。
【0140】
上記各実施の形態では、電熱線を内蔵したカッタを用いたが、カッタとしてはそれに限定されるものではなく、例えば刃を有するカッタであってもよい。
【0141】
上記各実施の形態では、包装フィルム17の引き出しと切断を手動で行う手動包装装置としたが、それらを自動的に行う自動包装装置であってもよい。
【0142】
上記第2実施形態では、スタンプ捺印位置を左右に調整するために、フィルムロール19側を左右にスライド調整する構成及びスタンプ部92側を左右にスライドさせる構成の両方を設けた。しかし、スタンプ部92側を左右にスライドさせる構成のみを設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】第1実施形態の手動包装装置を示す斜視図。
【図2】第1実施形態の手動包装装置の左側面図。
【図3】第1実施形態のフィルム押え装置を示す斜視図。
【図4】図3のA−A線断面図及び空圧回路構成図。
【図5】第1実施形態の切断装置を示す概略横断面図。
【図6】第1実施形態のフィルム押え装置の正面図。
【図7】第1実施形態のフィルム押え装置の開放状態を示す正面図。
【図8】第1実施形態のスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図。
【図9】第1実施形態のスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図。
【図10】第1実施形態の支持機構を示す横断面図。
【図11】第1実施形態の一対の挟持部材を示す平面図。
【図12】第1実施形態の右挟持部材を拡大して示す横断面図。
【図13】第2実施形態のフィルム押え装置を示す斜視図。
【図14】第2実施形態のスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図。
【図15】図13のB−B線断面図及びスタンプ装置の駆動機構を模式的に示す図。
【図16】第2実施形態のスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図。
【符号の説明】
【0144】
12…装置本体を構成する本体フレーム、17…包装シートとしての包装フィルム、19…シート巻回物としてのフィルムロール、20…支持機構、21…装置本体を構成する上板、41…印字体支持部材を構成する支持基板、45…印字体支持部材を構成する渡り板、52…シート押え部材を構成する第1の押えローラ、56…シート押え部材を構成する第2の押えローラ、61…変動部材としての揺動体、62…カッタ、69…カッタ配置空間、75…凹部、91…捺印手段としてのスタンプ装置、92…印字体保持部としてのスタンプ部、94…印字体としてのスタンプ、126…圧接手段を構成する電磁弁、131…圧接手段を構成するシリンダ、151,152…規制部材としての挟持部材、164…押圧部材としての押付板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物の包装作業に用いるべく、包装シートを所望の長さに切断する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーや農家等では、包装フィルムがロール状に巻回されたフィルムロールから包装フィルムを引き出して所望の長さに切断する包装装置が用いられている。被包装物としては、例えば、生鮮食料品や惣菜などである。このように包装フィルムを用いて包装された商品には、消費者への情報提供の観点から、製造年月日や製造・生産者名等が表示される。その表示手法としてはシールを貼付することが既に行われているが、コストの低減や作業効率の向上を図るため、包装フィルムに直接印字することが望まれている。
【0003】
そのような直接印字する構成としては、熱転写材をサーマルヘッドで包装フィルムに熱転写する印字装置を設けることが考えられる。包装作業を全て自動で行う自動包装装置では、そのような印字装置を設けた構成が従来から知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる熱転写による印字装置を用いた場合、サーマルヘッドにより包装フィルムにも熱が加えられるため、その熱によって包装フィルムに縮みが生じたり、穴が開いたりしてしまうという問題があった。また、印字装置に電源を投入すれば直ちに使用可能となるわけではなく、サーマルヘッドが熱転写可能な状態になるまでの待機時間が必要となるため、使用者にストレスを感じさせてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平7−81036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱転写による印字装置によって印字機能を付与した場合に生じる各種問題点を解決し、かつその場合よりも安価に装置を提供できる印字機能付きの包装装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果、より踏み込んだ具体的手段等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されない。
【0007】
手段1.包装シート(包装フィルム17)を巻回したシート巻回物(フィルムロール19)を、回動可能な状態で支持する支持機構(支持機構20)と、
前記シート巻回物から所望の長さに引き出された包装シートを切断するカッタ(カッタ62)と
を備えた包装装置において、
インク含有の印材を有する印字体(スタンプ94)を用いて前記包装シートに捺印する捺印手段(スタンプ装置91)を設けたことを特徴とする包装装置。
【0008】
手段1によれば、インク含有の印材を有する印字体を用いた捺印手段によって包装シートに捺印されるため、包装シートとして包装フィルムを用いた場合でも、印字装置に発生した熱によって印字箇所に縮みや穴開きが生じることがなくなる。また、インク含有の印材を有する印字体を用いているため、捺印手段に待機時間は存在せず、作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。しかも、かかる印字体はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価である。市販されている印字体を利用すれば、容易に調達することもできる。このため、手段1によれば、熱転写による印字装置を適用した場合に比べて装置を安価に提供できるというメリットもある。
【0009】
ここで、熱転写による印字装置では、包装シートの送り出し量の制御が必要であり、シート巻回物から手動で包装シートを引き出す包装装置にかかる印字装置を適用することは考えにくい。このため、前記捺印手段を設けて包装シートに捺印する上記構成は、手動で包装シートを引き出す手動包装装置において特に有用である。
【0010】
手段2.前記捺印手段は、前記印字体を着脱可能な状態で保持する印字体保持部(スタンプ部92)と、その印字体保持部に保持された印字体の印材を包装シートに圧接させる圧接手段(シリンダ131等)とを備えたことを特徴とする手段1に記載の包装装置。
【0011】
手段2によれば、印字体が着脱可能となっているため、印字内容の変更等により印字体を交換する必要がある場合にその交換が可能となる。また、市販の印字体の仕様に合わせて印字体保持部を構成すれば、印字体の調達が容易となり、捺印手段ひいては包装装置のコストを低減させることができる。そして、圧接手段により印字体の印材と包装シートとが圧接され、これにより包装シートに捺印される。
【0012】
手段3.装置本体(本体フレーム12,上板21)には、前記印字体保持部が固着されて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持するとともに、装置本体に対する取付位置が包装シートの引き出し方向に変更可能とする印字体支持部材(支持基板41,渡り板45)を設けたことを特徴とする手段2に記載の包装装置。
【0013】
手段3によれば、印字体保持部は支持部材に固着されているため、支持部材に支持されている位置を変更できない。このため、支持部材の取付位置を包装シートの引き出し方向に変更すれば、包装シートと印字体との相対位置は引き出し方向に変更される。それに伴って、捺印位置もその方向に変更される。その結果、包装シートの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることができる。
【0014】
ここで、熱転写による印字装置を用いた場合、包装シートの引き出し方向に印字位置を変更するには印字開始時を制御すれば足りるため、印字装置を引き出し方向に移動させる必要はない。これに対し、前記捺印手段を設けた構成では、前記印字体それ自身の位置を変更する必要がある。このため、印字位置を引き出し方向に変更するために印字体の位置を変更するという課題は、前記捺印手段を設けた構成において初めて問題となる。
【0015】
前記支持部材を引き出し方向に変更可能とする構成としては、支持部材の固定部(平面部42)に固定部材(固定ネジ143)が挿入される固定孔(固定孔141)を設け、その固定孔を引き出し方向に延びる長円形状に形成することが好ましい。この構成によれば、支持部材は引き出し方向にスライド調節されるため、その引き出し方向への位置変更が容易となる。
【0016】
手段4.装置本体(本体フレーム12,上板21)に、前記印字体保持部が取付けられて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持する印字体支持部材(支持基板241,渡り部材245)を設け、前記印字体保持部の前記印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更可能としたことを特徴とする手段2に記載の包装装置。
【0017】
手段4によれば、印字体保持部の印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更することができる。これにより、捺印手段の印字体と包装シートとの相対位置を左右方向に変更することができ、包装シートに捺印する位置もその方向に変更することが可能となる。その結果、包装する商品の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることが可能となる。
【0018】
手段5.前記印字体支持部材には、前記シート巻回物から装置本体上に引き出された包装シートを上から押えるシート押え部(押えローラ52,56、第1及び第2のシート押え部部246b,297b)を設けたことを特徴とする手段3又は4に記載の包装装置。
【0019】
手段5によれば、印字体保持部を支持する支持部材にシート押え部が設けられているため、その両者をそれぞれ別個の支持部材に支持する構成に比べ、両者の構成をコンパクトにまとめることができる。
【0020】
なお、前記シート押え部材は前記印字体保持部の前後に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが前後で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0021】
手段6.前記シート押え部を、前記印字体支持部材の下部における曲げ部(第1及び第2のシート押え部246b,297b)により形成したことを特徴とする手段5に記載の包装装置。
【0022】
手段6によれば、簡易な構成で包装シートの浮き上がりを防止できる。
【0023】
なお、前記シート押え部は前記印字体保持部の前後に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが前後で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0024】
前記シート押え部は前記印字体保持部の左右両側に設けることが好ましい。この構成により、包装シートに捺印する際に印字体の下方に位置する包装シートの浮き上がりが印字体保持部の左右両側で防止される。これにより、捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
前記シート押え部を形成する曲げ部は、滑らかな曲げ部であることが好ましい。これにより、曲げ部で包装シートを押える際に、包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。
【0025】
前記シート押え部を下に凸の曲面状に形成するとともに、前記シート押え部の自由端部を前記シート部材の引き出し方向側に設けることが好ましい。シート押え部を下に凸の曲面状に形成することで、包装シートがシート押え部に当接した際に、包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。また、シート押え部の自由端部を前記シート部材の引き出し方向側に設けることで、包装シートを下に凸のシート押え部に当接させながら包装シートを引き出す際に、シート押え部の自由端部で包装シートに穴、破れ等が発生することを抑止できる。
【0026】
手段7.前記カッタを配置するカッタ配置空間(カッタ配置空間69)を有し、そのカッタ配置空間内にカッタが配置される第1の状態(通常状態)とカッタの先端部がカッタ配置空間から突出して前記包装シートと接触する第2の状態(回動状態)とに変動する変動部材(揺動体61)を設け、
前記圧接手段を、前記変動部材が第1の状態から第2の状態に変動する動作と連動して圧接するように構成したことを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の包装装置。
【0027】
手段7によれば、変動部材を第2の状態とすれば、包装シートが切断されるとともに、捺印手段による捺印も併せて行われる。このため、包装シートを切断すれば、次の包装作業に用いる捺印済みの包装シートが用意される。これにより、包装シートに捺印するためだけの操作が不要となり、捺印された包装シートによる包装作業を効率化することができる。
【0028】
なお、変動部材の動作と圧接手段による圧接とが連動する構成としては、変動部材が第2の状態に変動したことを検知する検知手段(検出スイッチ136)を設け、圧接手段を前記検知手段による検知に基づいて圧接を行うように構成することが好ましい。
【0029】
手段8.前記シート巻回物が装置正面から見て左右方向に変動することを規制するとともに、その規制位置を左右に変更可能とする規制部材(挟持部材151,152)を設けたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の包装装置。
【0030】
手段8によれば、規制部材により、包装シートを引き出すときにシート巻回物が左右にぶれることが抑制される。これにより、包装シートの引き出しを円滑に行うことができる。しかも、規制部材による規制位置を左右方向に変更すれば、包装シートが引き出される位置が左右に変更される。これにより、捺印手段の印字体と包装シートとの相対位置が左右方向に変更され、包装シートに捺印する位置もその方向に変更される。その結果、包装シートの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、捺印手段を備えた包装装置の汎用性を高めることができる。
【0031】
ここで、熱転写による印字装置では、サーマルヘッドを左右に移動させて所望の位置で印字する構成を採用できるため、印字位置を変更する場合に被印字物を左右に移動させる必要は小さい。これに対し、前記捺印手段を設けた構成では、前記印字体それ自身の位置又は包装シートの左右位置を変更しなければ、捺印位置を変更できない。このため、印字位置を変更するために印字体又は包装シートの左右位置を変更するという課題は、前記捺印手段を設けた構成において大きな問題となる。
【0032】
そして、印字体又は包装シートの左右位置を変更するための構成は、その位置変更が容易に行える構成であることが望ましい。しかしながら、それを印字体側で実現しようとした場合、構成が複雑化するという問題が生じる。それは、シート巻回物から連続して引き出される包装シートとの干渉を回避しながら印字体を包装シートから離間した位置で支持しなければならない、という点が一つの要因となっている。
【0033】
そこで、手段8のように、シート巻回物の位置を規制する規制部材について、規制位置を左右に変更する構成とすれば、引き出された包装シートとの干渉を考慮する必要がないため、構成を簡素化できる。また、簡素な構成である以上、製造コストの低減にもつながる。
【0034】
なお、手段4及び手段8を併せ持つ構成では、前記印字体保持部及び前記包装シートの両者の位置を左右に変更することができる。このため、両者の位置を離反する側へ変更することで、包装装置が小型でも捺印位置の調整範囲を拡大することが可能となる。
【0035】
手段9.前記規制部材は、前記シート巻回物をその左右両側から挟持する一対の挟持部材であり、少なくとも一方の挟持部材には、シート巻回物に当接してそのシート巻回物を押圧するとともに、その押圧量を調整可能とする押圧部材(押付板164)を設けたことを特徴とする手段8に記載の包装装置。
【0036】
手段9によれば、シート巻回物が一対の挟持部材により挟持されることで、左右への変動が規制される。そして、押圧部材の押圧量を調整すれば、シート巻回物が回転する際の回転し易さを調整することができる。手動で包装シートを引き出す場合に、作業者によって、シート巻回物から包装シートを引き出す力が異なるため、作業者に合わせてその回転し易さを調整すれば、包装シートの引き出しすぎてしまったり、引き出しが困難となったりすることを防止できる。また、シート巻回物と挟持部材との当接状態が不完全であっても、押付部材の押付量を調整することによってシート巻回物の挟持を確実に行うことができる。
【0037】
手段10.包装シートが装置本体の上方に引き出される包装装置であって、
前記装置本体には、引き出された包装シートの下方に、装置正面から見た左右幅が包装シートよりも幅広の凹部(凹部75)を設け、その凹部を形成する底部(上板21)と包装シートの裏面とを離間した状態で包装シートを保持したことを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載された包装装置。
【0038】
手段10によれば、裏面に粘着部を設けた包装シートを用いた場合であっても、粘着部全体が装置本体の上面に貼り付くことが防止されるため、かかる包装シートの装置本体への貼り付きを抑制できる。
【0039】
なお、前記凹部を装置本体の前記左右方向全域に設け、その凹部を形成する前記底部に、前記印字体支持部材を設けることが構成として好ましい。このように前記凹部が全域に設けることで、包装シートの左右位置を変更した場合にも、包装シートの貼り付きを抑制するという効果を維持することができる。
【0040】
手段11.包装シートが手動で引き出される手動包装装置であって、
前記印字体支持部材は、装置正面から見て包装シートの左右両側方に設けられた支持側部(支持側板43,44)と、その支持側部間に橋渡された渡し部材(渡り板45)とを備え、その渡し部材に前記印字体保持部を固着して、印字体保持部を包装シートから上方に離間した位置で支持するようにし、併せて、前記支持側部は、捺印が実行される状態(閉状態)とその状態から包装シート上方の空間を広げた状態(開状態)とに支持状態が変更されるように渡り板を支持したことを特徴とする手段2乃至10のいずれかに記載の包装装置。
【0041】
手段11によれば、渡り部材の支持状態を包装シート上方の空間を広げた状態に変更すると、渡り部材と手が干渉する作業を行う場合に、その干渉の程度が小さくなる。これにより、その作業を行いやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
[第1実施形態]
以下、発明を具体化した第1の実施形態である手動包装装置について説明する。以下の説明では、手動包装装置をその正面から見た状態を基準として前後左右、上下の方向を記載するものとする。
【0043】
最初に、手動包装装置の基本的構成について、図1乃至図5に基づいて説明する。なお、図1は手動包装装置を示す斜視図であり、図2は手動包装装置の左側面図であり、図3はフィルム押え装置を示す斜視図であり、図4は図3のA−A線断面図に後述する空圧回路構成図を合わせて図示した図であり、図5は切断装置を示す概略横断面図である。
【0044】
図1及び図2に示すように、この手動包装装置11は本体フレーム12を備えている。本体フレーム12は左右の本体側板13,14と、その本体側板13,14の前端部を連結する本体前面板15と、本体側板13,14の後端部を連結する後側連結板16とで構成されている。本体前面板15はその上端部が後側に折り曲げられ、それにより上面部15aが設けられている。後側連結板16はその板面が本体側板13,14の下端縁と当接するように設けられている。
【0045】
本体フレーム12の後側には、包装シートとしての包装フィルム17を芯筒18に巻回したシート巻回物としてのフィルムロール19を支持する支持機構20が設けられている。本実施形態では、包装フィルム17をその左右両端部の裏面にフィルムの延びる方向に沿って一筋の粘着部17a,17bがそれぞれ設けられたものとする。支持機構20の前側であって本体フレーム12の前後中央部には、左右の本体側板13,14間に橋し渡されて本体フレーム12の上部を覆う上板21が設けられている。上板21の上面にはフィルムロール19から引き出された包装フィルム17を押えるフィルム押え装置22が設けられている。フィルム押え装置22の前側であって本体フレーム12の前側には、包装フィルム17を切断する切断装置23が設けられている。なお、上板21と前記本体フレーム12とで装置本体が構成されている。
【0046】
前記支持機構20は、そのフィルムロール19の芯筒18に挿通されるロール挿通体26と、ロール挿通体26を支持する構成とを備えている。ロール挿通体26は、左右の本体側板13,14間の長さよりも長く、その長手方向の全体にわたって横断面が凸状形状をなすように板体が折り曲げ形成されている。そして、ロール挿通体26は水平部27と、その水平部27からその前後両方向に延びる一対の傾斜部28と、その両傾斜部から鉛直方向に沿って下方に延び、互いに平行をなす一対の側面部29とで構成されている。これら各部27〜29は、図2に示したようにロール挿通体26がフィルムロール19の芯筒18に挿通されたとき、水平部27及び傾斜部28で形成される第1の角30、及び傾斜部28と側面部29とで形成される第2の角31が、芯筒18の内面と当接するように形成されている。また、側面部29の下端には、矩形状に切り欠かれて切り口がL字状をなす切欠部32,33が左右両端に形成されている。
【0047】
ロール挿通体26を支持する構成として、左右の本体側板13,14の上端縁には、矩形状に切り欠かれて切り口がコ字状をなす凹状切欠36,37がそれぞれ形成されている。各凹状切欠36,37はその前後方向の長さが前記ロール挿通体26を構成する側面部29同士の間の長さと同じであり、この左右の凹状切欠36,37に、フィルムロール19に挿通された状態のロール挿通体26の左右両端部が嵌め込まれる。そして、ロール挿通体26の前記切欠部32,33を形成する水平縁が凹状切欠36,37を形成する水平縁に載置されることで、ロール挿通体26が左右の本体側板13,14に支持される。これにより、フィルムロール19が手動包装装置11に装着される。
【0048】
図3及び図4に示すように、前記フィルム押え装置22は支持基板41を備えている。支持基板41は前記上板21に固定される平面部42を有し、平面部42の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板43,44が設けられている。各支持側板43,44の上端部の後側には、同端部が内側に折り曲げられて水平方向に延びる受け片43a,44aがそれぞれ設けられている(図7参照)。この両受け片43a,44aの間には渡り板45が設けられている。渡り板45は左右の受け片43a,44a上に載置される平面部46と、平面部46の前後両端部で同端部が下方に折り曲げ形成された一対の垂部47,48とを備えている。平面部46は受け片43a,44aと前後幅が略同様に形成され、一対の垂部47,48との間に受け片43a,44aが収容されるようになっている。したがって、渡り板45はその左右両端部においてその両端部にある受け片43a,44aによって支持側板43,44に支持されている。
【0049】
渡り板45の平面部46の下方には、その左右両端部で支持された回動軸51を中心として回動可能なシート押え部材としての第1の押えローラ52が設けられている。渡り板45の平面部46の左右両端部には、略L字状に折り曲げ形成されたローラ支持板53,54がそれぞれ設けられている。各ローラ支持板53,54は渡り板45の前方に向かって延び、先端部が下方向に向くように設けられている。そして、両ローラ支持板53,54の先端部で支持された回動軸55により、左右のローラ支持板53,54の間にシート押え部材としての第2の押えローラ56が回動可能に設けられている。
【0050】
図5に示すように、前記切断装置23は変動部材としての揺動体61と、包装フィルム17を切断するカッタ62とを備えている。揺動体61は上平面部63aを有する本体部63を有している。上平面部63aの後端部は下方に折り曲げ形成された後、再度後方に折り曲げられている。これにより、本体部には下平面部63bが設けられている。本体部63の前方において、前記本体前面板15の上面部15aの上方には前面板64が設けられている。前面板64と本体部63とは両者の左右両端に設けられた揺動側板65(左側の揺動側板のみ図示)により連結されている。左右の揺動側板65は本体側板13,14に設けられた回動支軸66によって回動可能に支持されており、これにより揺動体61はその回動支軸66を中心として回動可能となっている。また、揺動側板65と本体側板13,14との間には左右両側においてコイルバネ67(左側のコイルバネのみ図示)が設けられ、このコイルバネ67によって揺動体61は後方側に回転するように付勢されている。そして、前記本体部63の下平面部63bには、図示しないフレームと当接して揺動体61が後方に回転することを規制する規制片68が設けられている。この規制片68により、揺動体61は通常、本体部63の上平面部63aが若干斜め上方を向いた状態で保持されている。これを通常状態という。そして、揺動体61の前側を下方に押圧する力が加わると、揺動体61は前記コイルバネ67の付勢力に抗し、前記回動支軸66を中心として前方に回動する。この回動は、前面板64の下端が本体前面板15の上面部15aと当接するまで行われる。その当接状態では、揺動体61は本体部63の上平面部63aが斜め下方を向いた状態となっている。この状態を回動状態という。そして、回動状態において前記押圧力が加わらなくなると、コイルバネ67の付勢力により揺動体61は通常状態に復帰する。
【0051】
前記カッタ62は、本体前面板15の上面部15aに設けられた支持部15bに支持され、揺動体61の本体部63と前面板64との間のカッタ配置空間69に配設されている。その配設状態をより詳細に説明すると、本体部63の上平面部63aの上面を含む面を想定したときに、揺動体61の通常状態ではその想定面よりもカッタ62の上端が下方に位置し、揺動体61の回動状態では前記想定面からその上端が突出する位置にカッタ62が配設されている。このカッタ62は金属板によって折り曲げ形成され、その内部に図示しない電熱線が配設されている。図示を省略した電源供給装置からこの電熱線に通電すると、カッタ62は加熱される。このため、揺動体61が回動状態となってカッタ62の上端が揺動体61から突出すると、包装フィルム17がこのカッタ62の上端に押し付けられて同包装フィルム17が溶断される。
【0052】
次に、上記の如く構成された手動包装装置11の作用を説明する。
【0053】
まず、フィルムロール19の芯筒18内にロール挿通体26を挿通させ、そのロール挿通体26を本体側板13,14の凹状切欠36,37に嵌め込む。そして、図2に示すように、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出し、さらに、その包装フィルム17を第1及び第2の押えローラ52,56の下を通して本体フレーム12の前面側まで引き出す。そして、図示しない電源スイッチをONにしてカッタ62の電熱線に通電し、カッタ62を溶断可能な状態とする。併せて、本体フレーム12の前方に被包装物Hを用意し、この被包装物Hに引き出された包装フィルム17を巻きつける。その際、包装フィルム17の粘着部17a,17bにより、同フィルム17を被包装物Hに貼り付ける。その後、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると(例えば、図2の矢印X方向に押さえつけると)、切断装置23の揺動体61が通常位置から回動位置に回動する(図5参照)。すると、カッタ62の上端が揺動体61から突出して包装フィルム17がこのカッタ62に押し付けられる。これにより、包装フィルム17が溶断される。包装フィルム17が溶断されれば、揺動体61は押圧力から解放されるため、元の通常位置に自動的に復帰する。そして、この溶断された包装フィルム17を被包装物Hに巻きつければ、当該被包装物Hに対する包装は完了する。
【0054】
新たな被包装物Hを包装する場合は、揺動体61の本体部63に貼り付いている包装フィルム17を、下平面部63b上方の空間に指を入れて包装フィルム17をつまむ等して引き剥がす。その後、包装フィルム17を手動包装装置11の前方に引き出して、包装フィルム17を被包装物Hに巻き付ける。次いで、前述したように包装フィルム17を押さえつければ包装フィルム17はカッタ62によって溶断される。このような手順を順次繰り返すことで、手動包装装置11を用いた被包装物Hの包装が繰り返し行われる。
【0055】
次に、この手動包装装置11は前述した基本的構成に加えて、複数の特徴的な構成を備えている。以下、その特徴的構成について上記図1乃至図5に加えて図6乃至図12に基づいて説明する。
【0056】
第1の特徴として、手動包装装置11は、粘着部17a,17bを有する包装フィルム17が前記上板21の上面に貼り付くことを最小限に抑える構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図1乃至図4に基づいて説明する。
【0057】
図1及び図2に示したように、前記支持機構20の前側において、左右の本体側板13,14の上端縁に上板用切欠71,72がそれぞれ形成されている。この左右の上板用切欠71,72の水平縁間を橋し渡すように、前記上板21が設けられている。そして、図3及び図4に示すように、上板21にはその前後両端部に左右方向全体にわたり立ち上がり板73,74が設けられている。この立ち上がり板73,74は前記上板用切欠71,72の深さに相当する高さを有し、その上端部は湾曲するように折り曲げられている。これにより、上板21と立ち上がり板73,74とで凹部75が形成されている。
【0058】
このように、上板21は本体側板13,14の上端縁よりも一段下がった位置に配置されている。このため、フィルムロール19から引き出されて前記第1及び第2の押えローラ52,56の下を通る包装フィルム17は、図2に示すようにその粘着部17a,17b全体が上板21に貼り付いてしまうことはなく、前記立ち上がり板73,74の上端部に貼り付くだけの構成となっている。これにより、包装フィルム17の上板21への貼り付きが最小限に抑えられている。
【0059】
第2の特徴として、手動包装装置11は、前記フィルム押え装置22がフィルムロール19から引き出された包装フィルム17を通しやすくする構成となっている。具体的には次の構成であり、それを図3、図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6はフィルム押え装置の正面図であり、図7はフィルム押え装置の開放状態を示す正面図である。
【0060】
前述したように、フィルム押え装置22は、支持基板41と、左右の支持側板43,44により支持された渡り板45とを備えている。図3に示したように、渡り板45と左側の支持側板43とはヒンジ装置81によって連結されている。このため、図6に示したように渡り板45は前記受け片43a,44aに載置されて左右の支持側板43,44間を橋し渡した閉状態と、図7に示したように平面部42の上方が開放された開状態との間を、ヒンジ装置81のヒンジ軸を中心として回動可能となっている。
【0061】
渡り板45の右端には鉤部82が設けられるとともに、右側の支持側板44にはその鉤部82と係合可能なロック装置83が設けられている。そして、この両者を係合させることにより、閉状態とされた渡り板45が固定されるようになっている。ロック装置83を解除すれば前記鉤部82との係合が外れ、渡り板45を開状態とすることが可能となる。また、左側の支持側板43には前記ヒンジ装置81の外側に回動規制板84が設けられている。そして、渡り板45が開状態となったときに、ヒンジ装置81の回動片がこの回動規制板84と当接することにより、渡り板45のそれ以上の回動が規制され、その開状態が維持される。
【0062】
次に、上記の如く構成されたフィルム押え装置22の作用を説明する。
【0063】
フィルムロール19から包装フィルム17を引き出す前に、前記ロック装置83を解除し、渡り板45をヒンジ装置81の回動片が回動規制板84と当接するまで回動させて渡り板45を開状態とする。この開状態では支持基板41の平面部42の上方が開放されるため、包装フィルム17をつかんだ手が渡り板45や第1及び第2の押えローラ52,56と干渉することはなく、容易に包装フィルム17を引き出せる。包装フィルム17を本体フレーム12の前面側まで引き出した後は、渡り板45を逆方向に回動させて元の閉状態に戻し、ロック装置83によってその状態を固定する。
【0064】
また、上記した包装作業の開始当初だけでなく、例えば包装フィルム17の不具合に対処するなど、包装作業中又はその終了時において、包装フィルム17に対する作業を行う際に手がフィルム押え装置22と干渉してしまう場合には、上記したのと同様に渡り板45を開状態とすれば、それらの作業が行いやすくなる。
【0065】
第3の特徴として、手動包装装置11は包装フィルム17に捺印する捺印手段としてのスタンプ装置91を備えている。具体的には次の構成であり、それを図1乃至図5、図8及び図9に基づいて説明する。なお、図8はスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図であり、図9はスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図である。
【0066】
図3及び図4に示すように、スタンプ装置91は、前記フィルム押え装置22に設けられた印字体保持部としてのスタンプ部92と、スタンプマット93と、スタンプ部92に設けられた印字体としてのスタンプ94による印字を実行する構成とで構成されている。なお、本実施形態におけるスタンプ94は、包装フィルム17のような非吸収面に印字可能なインクが用いられたものであり、一般に市販されているものである。また、スタンプ部92は前記支持基板41及び前記渡り板45により支持されるため、この両者によって印字体支持部材が構成されている。
【0067】
前記スタンプ部92は、渡り板45の平面部46においてその左右方向の中央部に設けられた支持部材96を備えている。図8に示すように、支持部材96は板体を折り曲げて形成され、前記渡り板45の平面部46に固定される固定部97と、その固定部97の前端部で上方に折り曲げ形成された基部98と、その基部98の上端部で前方に折り曲げ形成された載置部99とで構成されている。基部98にはその前面側にスタンプ収容部材101が設けられている。
【0068】
基部98における前側の面には、リップ溝形に形成されたガイド部材109が固定ネジ107で固定されている。ガイド部材109は、リップ部109aが前方を向くとともに背面部109bが基部98に当接するように配置されている。また、ガイド部材109の溝部109cは上下方向に延びるように配置されている。
【0069】
スタンプ収容部材101は、同スタンプ収容部材101に収容するスタンプ94の形状に合わせて背面部102、左右両側の側面部103,104及び上面部105が設けられている。
【0070】
背面部102における後側の面には介在部材106が固定ネジ107で固定されている。介在部材106の前側の面には、前方に突出する凸部106aが縦方向に延びるように形成されている。また、その左右両側には縦方向に延びる被ガイド部106bが形成されている。介在部材106は、ガイド部材109の端部から挿入して上下方向にスライドできるようにその各部の寸法設定がなされており、スタンプ収容部材101に固定された後にガイド部材109の溝部109c内に挿入される。
【0071】
背面部102及び左右の側面部103,104の下端には、下端部を内側に折り曲げて形成されたスタンプ支持片108が設けられている。このスタンプ支持片108により、前面の開放側からスタンプ収容部材101内に嵌め込まれたスタンプ94の下端が支えられ、それによってスタンプ94はスタンプ収容部材101内に収容された状態で保持される。
【0072】
一方、前記載置部99には透孔111が形成されている。
【0073】
前記スタンプマット93は、前記支持基板41の平面部42上に設けられた基台113の上面に設けられている。スタンプマット93は弾力性を有する樹脂により構成され、硬質面上で印字するよりも鮮明な印影を形成するために設けられている。
【0074】
スタンプ94による印字を実行する構成として、前記本体フレーム12を構成する左側の本体側板13には図1及び図4に示すように第1接続口121と第2接続口122が設けられている。第1接続口121には一端が空気源123(図1では図示を省略)に接続された第1外配管124の他端が接続されている。また、第1接続口121は第1内配管125(図1では図示を省略)を介して前記左側の本体側板13の裏面に設けられた電磁弁126に接続されている。このため、コンプレッサ等によって圧縮された空気が空気源123から第1内外配管124,125を介して電磁弁126に供給される。図4に示したように、この電磁弁126は2位置3ポート型の電磁切換弁である。電磁弁126の残る2ポートのうち、一方は大気に開放されている。前記第2接続口122は第2内配管127(図1では図示を省略)を介して電磁弁126のもう一方のポートと接続されている。第2接続口122は第2外配管128の一端が接続されている。そして、電磁弁126が備える電磁ソレノイドのOFF時には第2内外配管127,128内が大気に開放される。他方、電磁ソレノイドのON時には第2内外配管127,128が第1内外配管124,125及び電磁弁126を介して空気源123に連通され、圧縮空気が第2内外配管127,128に供給される。
【0075】
図8に示すように、前記支持部材96の載置部99にはシリンダ131が設けられている。シリンダ131はそのロッド132が載置部99の透孔111に挿通するようにロッド132を下向けた状態で、固定ネジ133により固定されている。また、図4に示すように、ロッド132の先端には、押圧板132aが固定されている。この押圧板132aは、収容部材101の上面部105にも固定されている。シリンダ131に設けられた一対のポートのうち、上側に位置するポート134(上部ポート134)には前記第2外配管128が接続されている。下側に位置するポート135(図4参照)は大気開放とされている。
【0076】
したがって、図4において、電磁弁126の電磁ソレノイドがONにされると、第2外配管128からシリンダ131の上部ポート134に圧縮空気が供給される。これにより、ロッド132が下方に突出し、押圧板132aを介して収容部材101に下向きに力が加えられる。その結果、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下方に移動する。一方、電磁弁126の電磁ソレノイドがOFFにされると、第2外配管128は大気に開放されるため、シリンダ131内の図示しないピストンを押圧していた圧縮空気は大気中に排出される。これにより、ロッド132は非突出状態に戻り、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94も元位置に戻る。この電磁弁126、シリンダ131等により圧接手段が構成されている。
【0077】
図5に示すように、前記本体フレーム12を構成する右側の本体側板14の裏面には、前記切断装置23の揺動体61が通常状態にあるか、回転状態にあるかを検出する検出スイッチ136が設けられている。揺動体61の本体部63に設けられた前記規制片68には、その先端部に検出スイッチ136の押圧ピン136aを押圧可能な板片137が設けられている。この板片137により、揺動体61が通常位置にあるときは押圧ピン136aが押圧され、回動位置にあるときはその押圧が解除されるようになっている。そして、検出スイッチ136はその押圧ピン136aが押圧された状態から押圧が解除された状態となるとスイッチがONし、検出信号を出力する。図4に示すように、前記電磁弁126はこの検出スイッチ136に接続されており、検出スイッチ136からの検出信号の有無によって電磁弁126の電磁ソレノイドがON/OFFされる。したがって、電磁弁126の電磁ソレノイドは揺動体61の動作に連動してON/OFFされる。
【0078】
次に、上記の如く構成されたスタンプ装置91の作用を説明する。
【0079】
揺動体61が通常状態にあるときは、検出スイッチ136のスイッチはOFFとなっているため電磁ソレノイドもOFFとなり、第2外配管128が大気に開放される。このため、シリンダ131のロッド132は非突出状態にある。図9(a)に示すように、この状態ではスタンプ94による印字はなされない。包装フィルム17をフィルムロール19から引き出したり、その引き出した包装フィルム17を手動包装装置11の前方に用意された被包装物Hに巻きつけたりするとき、揺動体61は通常状態にあるため包装フィルム17に印字されない。そして、包装フィルム17をカッタ62で溶断すべく、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると、揺動体61は通常位置から回動位置に回動し、検出スイッチ136のスイッチがONとなる。これにより、電磁ソレノイドもONとなり、第2外配管128に圧縮空気が供給される。すると、図9(b)に示すように、シリンダ131のロッド132が突出することにより、収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下方に移動する。この結果、スタンプ94の印字部がスタンプマット93上の包装フィルム17の表面に押圧され、その表面に印字される。したがって、包装フィルム17が溶断されるのに合わせて、次の包装作業に用いられる印字済みの包装フィルム17が用意される。
【0080】
第4の特徴として、手動包装装置は前記スタンプ装置91による印字位置を前後に変更する構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図3に基づいて説明する。
【0081】
図3に示すように、前記支持基板41の平面部42には、その左右両端部に前後方向に沿って長円形状をなす固定孔141がそれぞれ形成されている。固定孔141を介して前記上板21に設けられたネジ孔に固定ネジを締め付けることにより、支持基板41が上板21に固定される。そして、固定ネジ143を緩めれば支持基板41は前後方向にスライド可能となる。このため、固定孔141の形成された範囲で支持基板41を前後方向にスライドさせれば、フィルム押え装置22は前後方向の所望の位置で固定される。また、上板21には前記ネジ孔142が前後方向に複数形成されている。固定ネジ143が設けられるネジ孔142を適宜変更すればフィルム押え装置22のさらなる前後方向の位置変更が可能となる。
【0082】
次に、上記の如く構成されたことの作用を説明する。
【0083】
所望のネジ孔142に固定ネジ143を設け、その固定ネジ143を緩めた状態としてフィルム押え装置22の支持基板41を前後方向にスライド調節し、スタンプ装置91を所望の位置に調節する。そして、その位置で固定ネジ143を締め付けてフィルム押え装置22を上板21に固定する。これにより、包装フィルム17には前後方向の特定位置で印字される。
【0084】
その特定位置から印字位置を前後方向に変更する場合には、固定ネジ143を緩めて支持基板41を固定孔141の範囲で前後方向にスライド調節したり、さらにはネジ孔142を変更したりする。その変更後の位置で固定ネジ143を締め付けてフィルム押え装置22を上板21に固定する。スタンプ94による印字が行われるとき包装フィルム17は前後方向に移動しないため、フィルム押え装置22の前後位置を変更すれば、同装置に固定されたスタンプ部92との間で、前後方向の相対位置が変更される。このため、包装フィルム17には前記特定位置とは前後方向に異なる位置で印字される。このようにして、スタンプ装置91による印字位置は前後方向の所望の位置に適宜変更可能となっている。
【0085】
第5の特徴として、手動包装装置は前記スタンプ装置91による印字位置を左右方向に変更する構成を備えている。具体的には次の構成であり、それを図10乃至図12に基づいて説明する。なお、また、図10は支持機構を示す横断面図であり、図11は一対の挟持部材を示す平面図であり、図12は右挟持部材を拡大して示す横断面図である。
【0086】
図10に示したように、前記本体フレーム12を構成する後側連結板16には、前記フィルムロール19を挟持する規制部材としての挟持部材151,152が一対設けられている。両挟持部材151,152のうち、左側の挟持部材151(左挟持部材151)は後側連結板16に固定される固定板153を備えている。図11に示すように、固定板153には左右方向に沿って長円形状をなす固定孔154が形成されている。固定孔154を介して後側連結板16に形成されたネジ孔に固定ネジ155を締め付けることにより、左挟持部材151が後側連結板16に固定される。そして、固定ネジ155を緩めれば固定板153は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔154の形成された範囲で固定板153を左右方向にスライドさせれば、左挟持部材151を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。固定板153のフィルムロール19側(右側)の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成された挟持板156が設けられている。挟持板156はフィルムロール19の左端と当接し、後述する右側の挟持部材152(右挟持部材152)とともにフィルムロール19を挟持する。
【0087】
図12に示すように、右挟持部材152は第1固定板157を備えている。第1固定板157と後側連結板16との間には、第2固定板158が設けられている。第2固定板158は、左右方向の長さが第1固定板157よりも長く形成されている。そして、両固定板157,158はフィルムロール19と反対側(右側)の端部を揃えた状態で溶接等により接合されている。第1及び第2固定板157,158には、左右方向に沿って長円形状をなす固定孔159が形成されている。固定孔159を介して後側連結板16に形成されたネジ孔に固定ネジ160を締め付けることにより、右挟持部材152が後側連結板16に固定される。そして、固定ネジ160を緩めれば両固定板157,158は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔159の形成された範囲で両固定板157,158を左右方向にスライドさせれば、右挟持部材152を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。
【0088】
第1固定板157の左側の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成されたネジ取付板161が設けられている。ネジ取付板161の上部には透孔162が形成され、その透孔162には先端部が左向きとなるように調整ネジ163が設けられている。第2固定板158の左側の端部には、同端部を上方に折り曲げて形成された押圧部材としての押付板164が設けられている。押付板164はフィルムロール19の右端と当接し、前述した左挟持部材151の挟持板156とともにフィルムロール19を挟持する。また、前記調整ネジ163を締め付けると、その先端が押付板164を押圧し押付板164はフィルムロール19側に変形する。逆に、調整ネジ163を緩めれば、押付板164は自身の復元力によりその変形状態から調整ネジを緩めた量に応じて非変形状態へ復帰する。このため、調整ネジ163の締め付け量を調整することで、押付板164のフィルムロール19側への変形量が調整される。
【0089】
次に、上記の如く構成された一対の挟持部材151,152による作用を説明する。
【0090】
フィルムロール19の左端に挟持板156、右端に押付板164が当接し、かつフィルムロール19が所望の左右位置に配置されるように、固定ネジ155,160を緩めて左右の挟持部材151,152をスライド調節する。そして、その調節された位置で固定ネジ155,160を締め付けて左右の挟持部材151,152を後側連結板16に固定する。これにより、フィルムロール19は左右方向の特定位置に配置される。そして、フィルムロール19の位置が特定すれば、左右方向に位置変更不能な前記スタンプ部92との間で、左右方向の相対位置が特定されるため、包装フィルム17にはその左右方向の特定位置で印字される。
【0091】
その特定位置から印字位置を左右方向に変更する場合には、固定ネジ155,160を緩めて左右の挟持部材151,152をそれぞれ固定孔154,159の範囲で左右方向にスライド調節する。その調節は、左右方向に位置変更後にもフィルムロール19と挟持板156及び押付板164とが当接することを考慮する。そして、調節された位置で固定ネジ155,160を締め付けて左右の挟持部材151,152を後側連結板16に固定すれば、フィルムロール19の左右方向の位置が変更される。これにより、スタンプ部92との相対位置も変更されるため、フィルムロール19から引き出される包装フィルム17には前記特定位置とは左右方向に異なる位置で印字される。このようにして、スタンプ装置91による印字位置は左右方向の所望の位置に適宜変更可能となっている。
【0092】
また、左右の挟持部材151,152が後側連結板16に固定された状態で、右挟持部材152の前記調整ネジ163を締め付けると、押付板164はその変形によってフィルムロール19に押し付けられる。調整ネジ163を締め付ける程この押し付け力は強くなり、それに伴ってフィルムロール19は回転しにくくなる。逆に、調整ネジ163を緩める程に押し付け力は緩和され、それに伴ってフィルムロール19は回転しやすくなる。したがって、左右の挟持部材151,152は左右位置の変更だけでなく、フィルムロール19の回転し易さを調整する機能も備えている。
【0093】
そして、このように押付板164が変形可能な構成としているため、左右の挟持部材151,152の位置調節をする場合に、フィルムロール19と挟持板156及び押付板164との当接状態が不完全であっても、その不完全さは押付板164の変形によって吸収される。
【0094】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0095】
本実施の形態では、上板21を本体側板13,14の上端縁よりも一段下がった位置に配置し、その前後両端部には立ち上がり板73,74を設けて、上板21の上面から離間した状態で包装フィルム17が引き出されるように構成した。これにより、本実施の形態のように粘着部17a,17bを設けた包装フィルム17を用いた場合でも、粘着部17a,17b全体が上板21に貼り付くことを防止できる。これにより、包装フィルム17の上板21への貼り付きが最小限に抑えられている。
【0096】
本実施の形態では、押えローラ52,56を設けた渡り板15の左端部にヒンジ装置81を設けて、渡り板45が閉状態から開状態に回動するように構成している。これにより、押えローラ52,56や渡り板45と手が干渉する作業を行う場合に、渡り板45を開状態とすればその作業が行いやすくなる。
【0097】
本実施の形態では、スタンプ94を用いて包装フィルム17に捺印することで、包装フィルム17に印字する構成とした。このため、熱転写による印字装置を用いた場合と比べ、以下の点で優れている。まず、熱によって印字箇所に縮みや穴開きが生じることがない。また、待機時間が存在せず作業開始当初の使用者のストレスを緩和できる。さらに、スタンプ94はサーマルヘッド等の電子部品に比べて安価であるし、市販のものを利用すれば調達することも容易である。このため、印字機能付きの手動包装装置11を安価に提供できる。
【0098】
本実施の形態では、スタンプ94がスタンプ収容部材101に対して着脱可能であり、スタンプ収容部材101は市販されたスタンプ94の仕様に合わせて形成した。このため、印字内容の変更等によりスタンプ94を交換する必要がある場合にその交換が可能であるし、スタンプ94の調達も容易である。これにより、手動包装装置11のコストを低減できる。
【0099】
本実施の形態では、固定ネジ143を緩めることで、支持基板41の取付位置が固定孔141の範囲で前後方向にスライド調整される構成としている。また、前後方向に複数形成されたネジ孔142を適宜変更すれば、より広い範囲で前後方向の位置変更される構成としている。支持基板41の前後位置を変更すれば、包装フィルム17とスタンプ94との前後の相対位置が変更されて、包装フィルム17上の捺印位置も変更される。これにより、包装フィルム17の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、印字機能付きの手動包装装置11の汎用性を高めることができる。
【0100】
そして、支持基板41に支持された渡り板45に、押えローラ52,56とスタンプ部92を設けている。このため、その両者をそれぞれ別個の部材に設ける構成に比べ、両者の構成をコンパクトにまとめることができる。また、押えローラ52,56はスタンプ部92の前後に設けているため、包装フィルム17に捺印する際にスタンプ94の下方に位置する包装フィルム17の浮き上がりを前後で防止できる。これにより、包装フィルム17の捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0101】
本実施の形態では、揺動体61の揺動動作に連動してシリンダ131に圧縮空気が給排されて、スタンプ94による捺印動作と捺印状態からの復帰動作を行うように構成した。このため、揺動体61が回動状態として包装フィルム17を切断すれば、次の包装作業に用いる捺印済みの包装フィルム17が用意される。これにより、包装フィルム17に捺印するためだけの操作が不要となり、捺印された包装フィルム17による包装作業を効率化できる。
【0102】
本実施の形態では、一対の挟持部材151,152でフィルムロール19を挟持している。これにより、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出すときにフィルムロール19が左右にぶれることが抑制されるため、包装フィルム17の引き出しを円滑に行うことができる。また、挟持部材151,152は固定孔154,159の範囲内で左右方向にスライド調整される構成としている。これにより、スタンプ部92と包装フィルム17との左右の相対位置が変更されて、包装フィルム17の捺印位置が変更される。これにより、包装フィルム17の種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、印字機能付き手動包装装置11の汎用性を高めることができる。そして、挟持部材151,152の位置を変更する構成としては、固定孔154,159を長円形状とすれば足り、簡単かつ安価な構成で左右に捺印位置を変更することを実現できる。
【0103】
本実施の形態では、押付板164の押圧量を調整して、フィルムロール19の回転し易さを調整する構成としている。作業者によって、フィルムロール19から包装フィルム17を引き出す力が異なるため、作業者に合わせてその回転し易さを調整すれば、包装フィルム17を引き出しすぎてしまったり、引き出しが困難となったりすることを防止できる。また、フィルムロール19と挟持板156及び押付板164の当接状態が不完全であっても、押付板164の押付量を調整すればその不完全さを吸収でき、挟持を確実に行うことができる。
【0104】
[第2実施形態]
次に本発明を具体化した第2の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図13は、第2実施形態におけるフィルム押え装置を示す斜視図である。図14は、スタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図である。図15は、図13のB−B線断面図及びスタンプ装置を駆動する機構を模式的に示す図である。そして、図16は、スタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図である。なお、第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0105】
図13及び図15に示すように、フィルム押え装置222は支持基板241を備えている。支持基板241は上板21に固定される平面部242を有し、平面部242の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板243,244が設けられている。各支持側板243,244の上端部には、同端部が内側に折り曲げられて水平方向に延びる受け片243a,244aが設けられている。
【0106】
この両受け片243a,244aの間には渡り部材245が設けられている。渡り部材245は、左右の受け片243a,244a上に載置される平面部246を有している。平面部246における中央部の前側には矩形状の切欠き部246aが形成されている。切欠き部246aが設けられている部分における平面部246の前後方向の長さは、ガイド部材109の厚さと等しく設定されている。
【0107】
平面部246の後端部には同端部が上方に折り曲げられた背面部247が設けられている。そして、平面部246の後端を略L字状に折り曲げたアール部により第1シート押え部246bが形成されている。また、平面部246の左右両端部には同端部が上方に折り曲げられた支持側板248,249が設けられている。
【0108】
図13に示すように、支持基板241の左側の支持側板243と渡り部材245の左側の支持側板248とは、第1実施形態と同様、ヒンジ装置281によって連結されている。そして、渡り部材245は、ヒンジ装置281のヒンジ軸を中心として回動可能となっている。
【0109】
渡り部材245には、支持部材296が固定されている。支持部材296は、渡り部材245の平面部246上に載置される平面部297と、平面部297の後端部で上方に折り曲げて形成された基部298と、その基部298の上端部で後方に折り曲げて形成された上面部299とを有している。基部298の中央部298aは、その左右両側よりも上方に延びている。そして、前記上面部299は基部298の中央部298aの上端を折り曲げて形成されている。
【0110】
平面部297における中央部の前側には矩形状の切欠き部297aが設けられている。切欠き部297aが設けられている部分における平面部246の前後方向の長さは、ガイド部材109の厚さと等しく設定されている。切欠き部297aの左右両側における平面部297の前端には、前端部を斜め前下方に折り曲げた後に斜め前上方曲げて下に凸の曲面状とした第2シート押え部297bが設けられている。
【0111】
渡り部材245の背面部247には左右方向に沿って長円形状をなす固定孔247aが設けられている。また、支持部材296の基部298にはネジ孔298bが設けられている。支持部材296は、固定孔247aを介してネジ孔298bに固定ネジ250を締め付けることにより、渡り部材245に固定されている。そして、固定ネジ250を緩めれば支持部材296は左右方向にスライド可能となる。このため、固定孔247aの形成された範囲で支持部材296を左右方向にスライドさせれば、支持部材296を左右方向の所望の位置で固定することが可能となる。
【0112】
なお、支持部材296の平面部297における切欠き部297aの左右方向の長さは、スタンプ収容部材101横方向長さよりも若干長く設定されている。また、渡り部材245の平面部246における切欠き部246aの左右方向の長さは、支持部材296における切欠き部297aの左右方向の長さよりも長く設定されている。そして、支持部材296を渡り部材245に対して左右方向にスライド可能な範囲において、スタンプ収容部材101が両切欠き部297a,246aの重複部分を上下方向に移動可能となっている。
【0113】
本実施形態では、介在部材106とスタンプ収容部材101との間には、略L字状に折り曲げて形成された駆動力伝達部材201が設けられている。この駆動力伝達部材201は、固定部202と上面部203とを有している。固定部202は、スタンプ収容部材101の背面部102と介在部材106の凸部106aとの間に固定されている。また、上面部203は、固定部202の上端部を後方に折り曲げて形成されている。図15に示すように、駆動力伝達部材201の上面部203は支持部材296の上面部299の上方に位置しており、両上面部299,203は対向している。支持部材296及び駆動力伝達部材201の両上面部299,203には透孔211,212がそれぞれ形成されている。
【0114】
本実施形態では、ガイド部材109は、その下端を平面部246上に当接させるとともに背面部109bを基部298に当接させた状態で、基部298に固定されている。
【0115】
本実施形態ではスタンプ94による印字を実行する構成として、電磁ソレノイド231及びそれに接続されたワイヤケーブル224が設けられている。図15に示すように、電磁ソレノイド231は本体フレーム12内部に設けられている。電磁ソレノイド231にはプランジャ232が設けられており、電磁ソレノイド231に通電することによりプランジャ232が電磁ソレノイド231側に引き寄せられるように構成されている。ワイヤケーブル224はインナワイヤ224aとその外側のアウタワイヤ224bとから構成されており、インナワイヤ224aはアウタワイヤ224b内を摺動することが可能となっている。
【0116】
左側の本体側板13には接続口221が形成されており、その接続口221には本体フレーム12の外側からアウタワイヤ224bの一方の端部が嵌入されている。これにより、アウタワイヤ224b一方の端部は、本体フレーム12に固定されている。インナワイヤ224aの一方の端部は、接続口221から本体フレーム12内に延び、プランジャ232に接続されている。
【0117】
支持部材296の上面部299に形成された透孔211には、筒状のアウタワイヤ固定部材225が取り付けられている。アウタワイヤ固定部材225は、その一端側を下方から透孔111に挿入した後、上方からナット226を螺合させることにより、上面部299に取り付けられている。アウタワイヤ固定部材225の他端側からはアウタワイヤ224bのもう一方の端部が嵌入されて固定されている。
【0118】
インナワイヤ224aのもう一方の端部は、アウタワイヤ固定部材225、両上面部299,203間に配設されたコイルバネ227及び透孔212を貫通している。また、インナワイヤ224aの端部には、球状のストッパ部材228が固定されている。ストッパ部材228は係止部材229に係止され、その係止部材229が上面部203に固定ネジ230で固定されている。これにより、インナワイヤ224aの端部が透孔212の上方から下方へ抜け落ちることが防止されている。図15に示すように、手動包装装置11の非作動状態におけるコイルバネ227のつりあい位置は、スタンプ94の下端が平面部297よりも上方に位置するように設定されている。
【0119】
なお、図13に示すように、ワイヤケーブル224は包装フィルム17に干渉しないように、本体フレーム12の左側に引き出してから、左側の本体側板13に形成された接続口221に接続されている。
【0120】
上記構成において、検出スイッチ136からの信号により電磁ソレノイド231がONされると、プランジャ232が電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。これにより、プランジャ232に一端が接続されているインナワイヤ224aも電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。そして、インナワイヤ224aの他端のストッパ部材228は駆動力伝達部材201の上面部203に係止されているため、上面部203にはインナワイヤ224aによって下向きに力が加えられる。この結果、コイルバネ227が縮められるとともに、駆動力伝達部材201、それに固定されているスタンプ収容部材101及びそれに収容されているスタンプ94が下降する。
【0121】
一方、検出スイッチ136からの信号により電磁ソレノイド231がOFFされると、プランジャ232が元位置に戻る。そして、インナワイヤ224aによって上面部203に加えられていた下向きの力が解除される。この結果、コイルバネ227の復元力により上面部203に上向きの力が加えられ、駆動力伝達部材201、スタンプ収容部材101及びスタンプ94が上昇して元位置に戻る。
【0122】
次に、上記の如く構成されたスタンプ装置91の作用を説明する。
【0123】
揺動体61が通常状態にあるときは、検出スイッチ136のスイッチはOFFとなっているため電磁ソレノイド231もOFFとなり、インナワイヤ224aは電磁ソレノイド側に引き寄せられていない。このため、コイルバネ227はつりあい位置にある。図16(a)に示すように、この状態ではスタンプ94による印字はなされない。そして、包装フィルム17をカッタ62で溶断すべく、手動包装装置11の前方で包装フィルム17を押さえつけると、揺動体61は通常位置から回動位置に回動し、検出スイッチ136のスイッチがONとなる。これにより、電磁ソレノイド231もONとなり、インナワイヤ224aが電磁ソレノイド231側に引き寄せられる。すると、図16(b)に示すように、スタンプ94が下降してその印字部がスタンプマット93上の包装フィルム17の表面に押圧され、その表面に印字される。したがって、包装フィルム17が溶断されるのに合わせて、次の包装作業に用いられる印字済みの包装フィルム17が用意される。
【0124】
なお、図16に示すように、包装フィルム17は、第1及び第2のシート押え部246b,297bに当接して浮き上がりが防止されている。また、捺印前の状態において、包装フィルム17は、渡り部材245における平面部246の下面と対向している。これにより、捺印位置の左右両側での包装フィルム17の浮き上がりが防止されている。
【0125】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下の優れた効果を有する。
【0126】
本実施形態では、固定ネジ250を緩めることで、支持部材296の取付位置が固定孔259の範囲で左右方向にスライド調整できる構成となっている。このため、スタンプ部92と包装フィルム17との相対位置を変更して、包装フィルム17の捺印位置を変更することができる。これにより、被包装物Hの種類に合わせて捺印位置を適宜変更するなど、手動包装装置11の汎用性を高めることができる。特に、スタンプ部92側を左右にスライドさせる構成とすることで、捺印位置の微調整が容易となる。
【0127】
また、本実施形態では、フィルムロール19の挟持部材151,152を左右にスライド調整する構成も有しているので、フィルムロール19及びスタンプ部92の両者を左右にスライド調整することができる。このため、手動包装装置11が小型でも両者を離反する側へスライドさせることで、スタンプ捺印位置の調整範囲を拡大することが可能となる。さらに、本実施形態では、支持基板41の取付位置を固定孔141の範囲で前後方向にスライド調整させる構成も有している。これにより、包装フィルム17上の捺印位置を前後及び左右方向に変更可能となり、印字機能付きの手動包装装置11の汎用性をより高めることができる。
【0128】
本実施形態では、電磁ソレノイド231をONすることによりインナワイヤ224aを引き寄せ、スタンプ部92を下降させた。また、電磁ソレノイド231をOFFすることにより、コイルバネ227の復元力でスタンプ94を元位置に復帰させた。これにより、簡易な構成で捺印動作及び復帰動作させることが可能となる。また、スタンプ94の復帰位置は、スタンプ94の印字部が渡り部材245の平面部246より上方に位置すればよく、復帰位置の精度はさほど要求されない。このため、経時変化によりコイルバネ227の弾性力がわずかに低下した場合でも、所定の復帰位置にスタンプ94を復帰させることが可能である。
【0129】
本実施形態では、渡り部材245における平面部246の後端の折り曲げ部により第1シート押え部246bを形成した。また、支持部材296における平面部297の前端の折り曲げ部により第2シート押え部297bを形成した。これにより、第1実施形態で用いた第1及び第2の押えローラ52,56が不要となり、コストを低減することが可能となるとともに、簡易な構成で包装フィルム17の浮き上がりを防止できる。また、第1及び第2のシート押え部246b,297bを滑らかな曲面部により形成した。これにより、第1及び第2のシート押え部246b,297bで包装フィルム17を押える際に、包装フィルム17に穴、破れ等が発生することを抑止することができる。さらに、第2シート押え部297bの前端の自由端部は包装フィルム17の引き出し方向側となっている。これにより、包装フィルム17を引き出す際に第2シート押え部297bの前端部分で包装フィルム17に穴、破れ等が発生することを抑止することができる。
【0130】
本実施形態では、包装フィルム17が渡り部材245の平面部246の下面と対向している。これにより、捺印位置の左右両側での包装フィルム17の浮き上がりを防止できる。この結果、包装フィルム17の捺印部分を適切な状態に保持して、印字不良の発生を抑制できる。
【0131】
本実施形態では、ガイド部材109の下端を支持部材296の平面部297に上に当接させた状態で、ガイド部材109を支持部材296の基部298に固定した。すなわち、ガイド部材109を、その背面部109b及び下端部で支持されるように固定した。このため、背面部109bのみで支持されていた第1実施形態の場合に比べて、スタンプ収容部材101等と一体化された介在部材106がガイド部材109の溝部109c内を上下にスライド移動する際の安定性が向上する。
【0132】
[他の実施形態]
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0133】
上記各実施の形態では、板体が折り曲げ形成されたロール挿通体26を用いて支持機構20を構成したが、支持機構20の構成はこれに限定されない。例えば、筒状に形成されたロール挿通体を用いてもよい。また、ロール挿通体を芯筒18に挿通するのではなく、一対の支軸部材を芯筒18の両端開口部に密に嵌合させ、本体側板13,14がその支軸部材を回動可能に支持する構成であってもよい。
【0134】
上記各実施の形態では、包装フィルム17の上方にスタンプ部92を配置して包装フィルム17の表面に捺印するように構成したが、包装フィルム17の下方にスタンプ部92を配置して包装フィルム17の裏面に捺印するように構成してもよい。
【0135】
上記第1の実施形態では、空圧シリンダ131のロッド132を下方に突出させることでスタンプ94を上から押圧して捺印するように構成したが、スタンプ94の印字部と包装フィルム17とを圧接させる圧接手段としてはこれに限定されない。例えば、アクチュエータとしては電動シリンダや、ラック・ピニオン機構を用いてもよい。また、使用するスタンプ94の仕様に合わせて、スタンプ94を押圧するだけでなく、スタンプ収容部材101も下方に移動させるように構成してもよい。さらに、包装フィルム17を上方に移動させてスタンプ94と圧接させるように構成してもよい。
【0136】
上記各実施の形態では、揺動体61が揺動して包装フィルム17を切断する動作に連動して包装フィルム17への捺印が行われるように構成したが、各動作がそれぞれ個別の操作に基づいて行われるように構成してもよい。
【0137】
上記各実施の形態では、支持基板41に長円形状の固定孔141を形成してフィルム押え装置22を前後方向に移動可能に構成したが、その構成は省略してもよい。また、挟持部材151,152に長円形状の固定孔154,159を設けて、それによるフィルムロール19の挟持位置を左右に変更可能としたが、その変更可能とする構成を省略してもよい。もっとも、この省略構成では捺印位置が特定位置だけに固定されてしまうため、装置の汎用性を高めるには本実施の形態の如く構成することが好ましい。
【0138】
上記各実施の形態では、渡り板45の左端部にヒンジ装置81を設けて渡り板45を閉状態と開状態とに回動可能な構成としたが、渡り板45の支持状態を閉状態と開状態とに変更する構成としてはこの構成に限定されない。例えば、ヒンジ装置81は右端部に設けてもよいし、ヒンジ装置81の代わりに左右両端部にロック装置83を設け、渡り板45を外してしまう構成としてもよい。
【0139】
上記各実施の形態では、包装シートとして包装フィルムを用いたが、包装シートとしてはそれに限定されるものではなく、例えば包装紙であってもよい。
【0140】
上記各実施の形態では、電熱線を内蔵したカッタを用いたが、カッタとしてはそれに限定されるものではなく、例えば刃を有するカッタであってもよい。
【0141】
上記各実施の形態では、包装フィルム17の引き出しと切断を手動で行う手動包装装置としたが、それらを自動的に行う自動包装装置であってもよい。
【0142】
上記第2実施形態では、スタンプ捺印位置を左右に調整するために、フィルムロール19側を左右にスライド調整する構成及びスタンプ部92側を左右にスライドさせる構成の両方を設けた。しかし、スタンプ部92側を左右にスライドさせる構成のみを設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】第1実施形態の手動包装装置を示す斜視図。
【図2】第1実施形態の手動包装装置の左側面図。
【図3】第1実施形態のフィルム押え装置を示す斜視図。
【図4】図3のA−A線断面図及び空圧回路構成図。
【図5】第1実施形態の切断装置を示す概略横断面図。
【図6】第1実施形態のフィルム押え装置の正面図。
【図7】第1実施形態のフィルム押え装置の開放状態を示す正面図。
【図8】第1実施形態のスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図。
【図9】第1実施形態のスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図。
【図10】第1実施形態の支持機構を示す横断面図。
【図11】第1実施形態の一対の挟持部材を示す平面図。
【図12】第1実施形態の右挟持部材を拡大して示す横断面図。
【図13】第2実施形態のフィルム押え装置を示す斜視図。
【図14】第2実施形態のスタンプ装置を構成するスタンプ部の分解斜視図。
【図15】図13のB−B線断面図及びスタンプ装置の駆動機構を模式的に示す図。
【図16】第2実施形態のスタンプ部による捺印動作を説明する動作説明図。
【符号の説明】
【0144】
12…装置本体を構成する本体フレーム、17…包装シートとしての包装フィルム、19…シート巻回物としてのフィルムロール、20…支持機構、21…装置本体を構成する上板、41…印字体支持部材を構成する支持基板、45…印字体支持部材を構成する渡り板、52…シート押え部材を構成する第1の押えローラ、56…シート押え部材を構成する第2の押えローラ、61…変動部材としての揺動体、62…カッタ、69…カッタ配置空間、75…凹部、91…捺印手段としてのスタンプ装置、92…印字体保持部としてのスタンプ部、94…印字体としてのスタンプ、126…圧接手段を構成する電磁弁、131…圧接手段を構成するシリンダ、151,152…規制部材としての挟持部材、164…押圧部材としての押付板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートを巻回したシート巻回物を、回動可能な状態で支持する支持機構と、
前記シート巻回物から所望の長さに引き出された包装シートを切断するカッタと
を備えた包装装置において、
インク含有の印材を有する印字体を用いて前記包装シートに捺印する捺印手段を設けたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記捺印手段は、前記印字体を着脱可能な状態で保持する印字体保持部と、その印字体保持部に保持された印字体の印材を包装シートに圧接させる圧接手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
装置本体には、前記印字体保持部が固着されて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持するとともに、装置本体に対する取付位置が包装シートの引き出し方向に変更可能とする印字体支持部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
装置本体に、前記印字体保持部が取付けられて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持する印字体支持部材を設け、
前記印字体保持部の前記印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更可能としたことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項5】
前記印字体支持部材には、前記シート巻回物から装置本体上に引き出された包装シートを上から押えるシート押え部を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の包装装置。
【請求項6】
前記シート押え部を、前記印字体支持部材の下部における曲げ部により形成したことを特徴とする請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記カッタを配置するカッタ配置空間を有し、そのカッタ配置空間内にカッタが配置される第1の状態とカッタの先端部がカッタ配置空間から突出して前記包装シートと接触する第2の状態とに変動する変動部材を設け、
前記圧接手段を、前記変動部材が第1の状態から第2の状態に変動する動作と連動して圧接するように構成したことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の包装装置。
【請求項8】
前記シート巻回物が装置正面から見て左右方向に変動することを規制するとともに、その規制位置を左右に変更可能とする規制部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の包装装置。
【請求項9】
前記規制部材は、前記シート巻回物をその左右両側から挟持する一対の挟持部材であり、少なくとも一方の挟持部材には、シート巻回物に当接してそのシート巻回物を押圧するとともに、その押圧量を調整可能とする押圧部材を設けたことを特徴とする請求項8に記載の包装装置。
【請求項1】
包装シートを巻回したシート巻回物を、回動可能な状態で支持する支持機構と、
前記シート巻回物から所望の長さに引き出された包装シートを切断するカッタと
を備えた包装装置において、
インク含有の印材を有する印字体を用いて前記包装シートに捺印する捺印手段を設けたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記捺印手段は、前記印字体を着脱可能な状態で保持する印字体保持部と、その印字体保持部に保持された印字体の印材を包装シートに圧接させる圧接手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
装置本体には、前記印字体保持部が固着されて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持するとともに、装置本体に対する取付位置が包装シートの引き出し方向に変更可能とする印字体支持部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
装置本体に、前記印字体保持部が取付けられて同印字体保持部を包装シートからその上方又は下方に離間した位置で支持する印字体支持部材を設け、
前記印字体保持部の前記印字体支持部材に対する取付位置を、装置正面から見て左右方向に変更可能としたことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項5】
前記印字体支持部材には、前記シート巻回物から装置本体上に引き出された包装シートを上から押えるシート押え部を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の包装装置。
【請求項6】
前記シート押え部を、前記印字体支持部材の下部における曲げ部により形成したことを特徴とする請求項5に記載の包装装置。
【請求項7】
前記カッタを配置するカッタ配置空間を有し、そのカッタ配置空間内にカッタが配置される第1の状態とカッタの先端部がカッタ配置空間から突出して前記包装シートと接触する第2の状態とに変動する変動部材を設け、
前記圧接手段を、前記変動部材が第1の状態から第2の状態に変動する動作と連動して圧接するように構成したことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の包装装置。
【請求項8】
前記シート巻回物が装置正面から見て左右方向に変動することを規制するとともに、その規制位置を左右に変更可能とする規制部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の包装装置。
【請求項9】
前記規制部材は、前記シート巻回物をその左右両側から挟持する一対の挟持部材であり、少なくとも一方の挟持部材には、シート巻回物に当接してそのシート巻回物を押圧するとともに、その押圧量を調整可能とする押圧部材を設けたことを特徴とする請求項8に記載の包装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−168902(P2007−168902A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234986(P2006−234986)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]