説明

包装装置

【課題】 包材によって製品を包装する包装装置において、より高精度な包装を実現し、かつ作業能率の優れた包装を実現する。
【解決手段】 包装装置は、帯状の包材Fを包材供給位置31へ連続して供給する包材繰出し手段1と、包材Fを所定の長さ毎に切断する包材切断手段2と、を備えた構成とする。さらに、包材繰出し手段1は、包材Fを繰り出す繰出しローラ12と、この繰出しローラ12を回転駆動する包材繰出しモータ13とを含み、包材切断手段2は、周面に切断刃が設けられたロータリーカッタ20と、このロータリーカッタ20を駆動するカッタ駆動モータ21とを含む構成とする。包装装置は、制御手段によって、包材繰出しモータ13の駆動速度に対する速比をもってカッタ駆動モータ21の少なくとも切断動作時の駆動速度が制御されることで、高精度な包装を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連続的に繰り出される帯状の包材を所定の大きさに切断するとともに、当該切断した包材によって製品を自動包装する機能を備えた包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の上包み包装装置と称される包装装置は、製品の大きさに合わせた高精度な包材の切断動作が求められる。従来、制御の容易さから包材の繰り出し動作を停止した状態で切断動作を実行するいわゆる間欠駆動方式を採用した包装装置が一般的であった。しかしながら、このような間欠駆動方式の包装装置は、包装作業に要するサイクルタイムが長くなり、装置の稼働率が低下することは否めない。
【0003】
他方、連続紙を連続的に繰り出して切断する装置として、特許文献1の「ロータリカッターを備えたプリンタ」が開示されている。特許文献1のプリンタは、ロータリカッターの固定刃の方向を切断する帯状紙の走行方向に対し直角より傾けて固定した構成である。帯状紙の走行に比例した回転速度でロータリカッターが回転することで、ロータリカッターによる切断線は紙の走行方向に対して直角となる。
この種のロータリカッターを包装装置にも利用すれば、連続駆動の包材切断と製品の包装を行うことが可能である。
【0004】
さて、図6は包材によってDVDパッケージを包装した状態を示す斜視図であり、(a)は包装が正常のDVDパッケージ、(b)は包装が不良のDVDパッケージである。
図6(a)に示すように、例えば、DVDやCDを収容するパッケージ等を包装する場合、製品Aのタイトル等の表示面を見えやすくするため、包材Fはパッケージの薄く形成された側面位置にシールされる。しかし、パッケージの側面は厚さが薄く、しかも窪みXが存在したりするため、包材Fをシール可能とする平坦な領域が狭い。
このため、DVDパッケージのような製品Aに対しては、図6(b)に示すように包材Fがズレた状態でシールされた不良品の排出率が高くなって、歩留りの低下を招くおそれがあった。
【0005】
特に、包装不良の原因としては、包材等の厚さの不均一や装置部品の組付け誤差などがあげられる。例えば、包材には、包装された製品の開封を容易化するために開封テープが貼付されることが多いが、包材の開封テープと他の箇所とではその厚さが微妙に異なることになる。この包材厚さの不均一により、包材のシール時にズレを生じさせることがあった。
【0006】
また、切断装置の組付け誤差により、包材の切断線が包材の走行方向に直角とならないこともあった。さらに、包装品の包装工程では、一般に製品および包材を同時に保持して搬送する製品収容ポケット(或いは、製品を一個毎に搬送するプッシャなど)が備えられている。このような包装装置では、製品が製品収容ポケットに保持された状態のまま包材が折り込まれていく。しかし、製品収容ポケットには、それぞれ微妙な組付け誤差や寸法誤差があり、製品及び包材の保持状態がポケット毎に異なっていることが多い。すなわち、この製品収容ポケット毎の寸法誤差や組付け誤差が包材のシール時に微妙なズレを生じさることになっていた。
【特許文献1】特開平7−266644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、連続駆動方式を採用して稼働率の向上を図りつつ、包材ズレの少ない高精度な包装形態を安定して形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記、目的を解決するために、本発明は、帯状の包材を包材供給位置へ連続して供給する包材繰出し手段と、包材供給位置へ供給される帯状の包材を所定の長さ毎に切断する包材切断手段と、製品を搬送経路に沿って包材供給位置へ搬送する製品搬送手段と、製品の搬送経路上であって包材供給位置の下流側に設けられ包材によって製品を包装する包装手段と、を備えた包装装置において、包材繰出し手段は、包材を挟持して繰り出す一対の繰出しローラと、この繰出しローラを回転駆動する包材繰出しモータとを含み、包材切断手段は、周面に切断刃が設けられたロータリーカッタと、このロータリーカッタを駆動するカッタ駆動モータとを含み、更に、包材繰出しモータとカッタ駆動モータの駆動速度を制御する制御手段を備え、この制御手段は、包材繰出しモータの駆動速度に対する速比をもってカッタ駆動モータの少なくとも切断動作時の駆動速度を制御する構成となっており、かつ、包材繰出しモータの駆動速度に対するカッタ駆動モータの速比データを入力する速比入力手段と、この入力された速比データを記憶する記憶手段とを備え、この記憶手段に記憶された速比データに基づき制御手段がカッタ駆動モータの駆動速度を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明の包装装置によれば、入力された速比データに基づいて、ロータリーカッタの駆動速度を変更することができる。したがって、製品の包装時に生じる微妙なズレを勘案した速比データを入力することが可能であり、ロータリーカッタは、包装時に生じる微妙なズレを補正した状態で回転駆動して、包材を任意に調整した切断線で切断させることができる。
【0010】
さらに、本発明の包装装置は、回転軸を中心に複数の製品収容ポケットが放射状に設けられたターレットで包装手段が構成されており、速比入力手段は、製品収容ポケット毎に、包材繰出しモータの駆動速度に対するカッタ駆動モータの速比データを入力する構成となっており、記憶手段は、製品収容ポケット毎に、入力された速比データを記憶する構成となっており、制御手段は、製品の収容位置に配置された製品収容ポケットに対応する速比データを記憶手段から呼び出し、当該速比データに基づきカッタ駆動モータの駆動速度を制御する構成とすることができる。
【0011】
製品収容ポケット毎に速比データを入力することにより、制御手段は、カッタ駆動モータの駆動速度を製品収容ポケット毎に変化させることができる。したがって、ロータリーカッタによって切断される帯状の包材は、製品収容ポケット毎にその切断線が変更される。その結果、搬送されてくる製品は、製品収容ポケット毎に精度の高い包装品に成形されることになる。
【0012】
さらに、本発明の包装装置は、回転軸を中心に複数の製品収容ポケットが放射状に設けられたターレットで前記包装手段が構成され、かつ、当該ターレットが交換可能な構成をしており、速比入力手段は、ターレット毎に、包材繰出しモータの駆動速度に対するカッタ駆動モータの速比データを入力する構成となっており、記憶手段は、ターレット毎に、入力された速比データを記憶する構成となっており、制御手段は、回転軸に装着されているターレットに対応する速比データを記憶手段から呼び出し、当該速比データに基づきカッタ駆動モータの駆動速度を制御する構成とすることができる。
【0013】
ターレット毎に速比データを入力することにより、制御手段は、カッタ駆動モータの駆動速度をターレット毎に変化させることができる。したがって、ロータリーカッタによって切断される帯状の包材は、ターレット毎にその切断線が変更され、精度の高い包装品を成形させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の包装装置よれば、連続的に包材を繰り出して製品を包装する包装装置において、製品を包装する際の包材のズレを抑え、より精度の高い包装品を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図5は、本発明の実施形態に係る包装装置を説明するための図であり、図1は、本実施形態の包装装置の概要を示す全体構成の斜視図である。
本実施形態の包装装置は、従来技術及び図6に示したように、DVDパッケージを製品Aとして包装する際に適用可能な装置である。しかしながら、本発明の包装装置によって包装される製品は、これに限定されないことは勿論であり、特に高精度な包装が必要な製品に対して好適である。
【0016】
まず、本実施形態の包装装置の全体の構成及び動作について詳細に説明する。
図1に示すように、包装装置は、帯状の包材Fを包材供給位置へ連続して供給する包材繰出し手段1と、包材供給位置へ供給される帯状の包材Fを所定の長さ毎に切断する包材切断手段2と、製品Aを搬送経路に沿って包材供給位置へ搬送する製品搬送手段3と、製品Aの搬送経路上であって包材供給位置の下流側に設けられ包材Fによって製品を包装する包装手段4と、を備えた構成である。
【0017】
包装装置の製品搬送手段3は、上流位置に製品Aが供給されて搬送経路30に沿って箱状の製品Aが搬送される装置である。搬送されてきた製品Aは、搬送経路30の所定位置に設けられた包材供給位置31において包材Fが巻きつけられ、下流側の包装手段4に送られる。ここで、包材供給位置31とは、包材繰出し手段1によって繰り出された包材Fと製品Aの搬送経路30とが交差する位置のことである。
【0018】
包装装置の包装手段4は、包材供給位置11のすぐ下流に設けられたターレット41と、ターレット41の後に搬送経路40に沿って設けられた包装品の成形工程42とが備えられている。包装手段4のターレット41は、回転軸を中心に複数の製品収容ポケット43が放射状に設けられた構成としてある。
【0019】
包装手段4では、包材Fで前端耳折りして胴巻きされた製品Aがターレット41の製品収容ポケット43に保持される。製品収容ポケット43に保持された製品Aは、回転により上下反転されながら包材Fが胴折りおよび胴シールされていく。このような製品収容ポケット43やターレット41を適用した包装装置としては、本出願人が先に出願して開示された「ターレット形包装装置(特開2001−278209公報)」などがある。続いて、製品Aは、包装品の成形工程42において、包装手段の後端耳折り、下折り、上折り、サイドシールなどの各工程を通過することで、包材Fに覆い包まれ、検査、搬出工程などの次工程に移送されていく。
【0020】
包材繰出し手段1は、リール11に巻付けられた帯状の包材Fを包材繰出し経路10に沿って連続して繰り出す構成である。この包材繰出し手段1には、包材Fを挟持して繰り出す一対の繰出しローラ12と、この繰出しローラ12を回転駆動する包材繰出しモータ13と、が設けられている。さらに、包材繰出し手段1には、必要に応じて包装Fの開封を容易化するための開封テープTを包材Fと重ね合わせて繰り出す機構と、製品Aの搬送経路30と交差する包材供給位置31に切断された包材Fを位置決めするための搬送ベルト(図示せず)などが備わっている。
【0021】
包材切断手段2は、繰り出された帯状の包材Fを切断するために包材繰出し経路10の下流の位置に設けられる。この包材切断手段2は、回転しながら包材Fを切断するロータリーカッタ20と、このロータリーカッタ20を駆動するカッタ駆動モータ21と、を有した構成である。また、包材切断手段2は、ロータリーカッタ20の対面に後述する切断刃22に係合する固定刃23が設けられている。さらに、包材切断手段2には、必要に応じて、包材Fの切断端に開封テープTの開封端を突片状に形成するための小口カッタ(図示せず)などが取り付けられる。
【0022】
図2は、本実施形態に係る包装装置の包材切断手段の一部構成を示す図であり、(a)はロータリーカッタの概略図、(b)は切断刃の角度を示す図、(c)はロータリーカッタの側面断面図である。
図2(a)に示すように、ロータリーカッタ20は、円筒状に形成されたローラ24と、このローラ24の外周面に装着される切断刃22とを有した構成である。ロータリーカッタ20の切断刃22は、帯状の包材Fに対して直角より一定の角度をもたせてローラ24に装着される。
【0023】
ここで、包材切断手段2による包材Fの切断は、基本的に、連続して繰り出される包材Fに対して水平状の切断線に切断できることが要求される。すなわち、連続して繰り出される帯状の包材Fの切断には、包材Fを繰り出しながらその側端側から徐々に切断され、かつ、切断線が水平状に形成されることが好ましい。本実施形態の包材切断手段2は、繰り出される包材Fとともに、ローラ24に斜めに装着された切断刃22がカッタ駆動モータ21によって制御された速度で回転する構成である。この構成により、ロータリーカッタ20は、制御された切断時間で切断刃22が回転しながら包材Fの側端側から接触していき、水平状に包材Fを切断していくことができる。
【0024】
また、包材繰出し手段1の包材繰出しモータ13と包材切断手段2のカッタ駆動モータ21は、基本的に帯状の包材Fを水平状に切断できるように、繰出しローラ12及びロータリーカッタ20を制御して回転駆動させている。この包材Fの切断時における制御動作については後述する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る包装装置の制御手段の構成を示すブロック図である。
上述したように、包材繰出し手段1及び包材切断手段2の各駆動モータ13、21は、任意の制御下での駆動速度が要求される。図3に示すように、包装装置は、包材繰出しモータ13とカッタ駆動モータ21の駆動速度を制御する制御手段50が組み込まれた構成である。また、この制御手段50の動作に係る構成として、速比入力手段51、表示手段52、繰出し用モータドライバ53、カッタ用モータドライバ54、エンコーダ55などが備えられている。
【0026】
制御手段50は、包材繰出しモータ13の駆動速度に対する速比をもってカッタ駆動モータ21の少なくとも切断動作時の駆動速度を制御する構成となっている。ここで、速比kとは、包材繰出しモータ13の駆動速度VFに対するロータリーカッタ20の切断刃22の周速度VCの比率であり、
k=VC/VF
として、数値データ化させて表すことができる。
また、制御手段50には、作業員によって入力された速比データを記憶するメモリ56(記憶手段)と、このメモリ56に記憶された速比データに基づき制御命令を判断する演算装置57と、が備えられている。
【0027】
速比入力手段51は、キーボードのような人手によってデータ入力が可能な機能を有した機器である。包装装置は、この速比入力手段51によって、包材繰出しモータ13に対するカッタ駆動モータ21の速比データが作業員によって入力される構成である。速比入力手段51から入力された速比データは、制御手段50に送られてメモリ56に保存される。また、表示手段52は、包装装置の制御における速比などの各種データを表示する画像表示装置である。
【0028】
繰出し用モータドライバ53及びカッタ用モータドライバ54は、制御手段50から送信される制御命令を各駆動モータ13、21の回転駆動に速度変換する機器である。制御手段50は、これら各モータドライバ53、54を介して、各駆動モータ13、21の回転駆動を容易に変更可能なシステムに構成してある。
【0029】
エンコーダ55は、包材繰出し手段1の包材繰出しモータ13と包材切断手段のカッタ駆動モータ21のそれぞれの回転をパルス信号に変換する回転角度検出器である。これらのエンコーダ55は、包材繰出しモータ13及びカッタ駆動モータ21付近に取り付けられるとともに、制御手段50に電気的に接続されている。そして、エンコーダ55からは、包材繰出しモータ13及びカッタ駆動モータ21の回転に対応してパルス信号が出力される。制御手段50は、このパルス信号の出力数をカウントすることによって、包材繰出しモータ13及びカッタ駆動モータ21の実質的な回転角度及び回転数を検出することができる。
【0030】
ここで、包材繰り出しモータ13の回転数Aが検出されるとすると、包材繰り出しモータ13の駆動速度VFは以下の計算式から求められる。
VF=(L×A)/60[mm/sec]
L:繰り出し長さ
制御手段50では、演算装置57によって包材繰出しモータ13の駆動速度が算出されて、メモリ56に保存されるとともに、定期的に書き換えられていく。
【0031】
また、制御手段50の演算装置57によって算出された包材切断時におけるロータリーカッタ20の切断刃22の理論的な周速度VCは、以下の計算式によって求められる。
まず、図2(b)から、切断刃上下距離hを求めると切断刃傾斜角αとの関係から次のようになる。
h=B×sinα[mm]
B:切断刃の長さ
【0032】
そして、切断開始から切断終了までの時間を切断時間tcutとすると、
VF×tcut=h
が成り立つときに切断線が水平となる。よって、切断線が水平になるための切断時間は、
tcut=h/VF
となる。
【0033】
ここから、切断線が水平となるための切断刃の理論的な回転角速度ωcutは以下の式から求められる。
ωcut=(θ×π/180)/tcut[rad/sec]
θ:切断開始から切断終了までの切断刃回転角度
【0034】
よって、ロータリーカッタ20の切断刃22の理論的な周速度VCは、図2(c)中のローラ24の中心から切断刃22の刃先までの円半径をrcとすると以下のようになる。
VC=rc×ωcut[mm/sec]
以上の計算式から、切断刃22の理論的な周速度VCが求められる。
【0035】
さて、包材切断手段の各装置では、既述したように組付け誤差等により、前記計算式から求められた理論的な周速度では包材の切断線が水平状にならないことがある。
また、包装装置では、既述したように、包材Fと製品Aを同時に保持する製品収容ポケット43毎の組付け誤差や寸法誤差がシール時のズレに影響する。したがって、切断される包材Fは、切断線が水平状となるよりも、製品収容ポケット43毎にズレの状態が補正された切断線となることが望まれる。
【0036】
本実施形態の包装装置は、速比入力手段51を製品収容ポケット43毎に、包材繰出しモータ13の駆動速度に対するカッタ駆動モータ21の速比データを入力する構成としてある。また、メモリ56は、製品収容ポケット43毎に、入力された速比データを記憶する構成である。この速比データは、作業員が製品収容ポケット43毎に成形された包装品を目視して入力され、メモリ56に記憶される。この構成により、製品収容ポケット43を交換した場合、交換した製品収容ポケット43のみの速比データを計測、入力することで容易にデータを変更することができる。
【0037】
作業員は成形された包装品の微妙なズレに対して、そのズレを補正する速比データを製品収容ポケット43毎に入力することとなる。例えば、本実施形態では切断刃22は包材Fを開封テープT側から切断するので、図6(b)に示すように、包装品の外側包材端の開封テープTの反対側が目視上でオーバーしている場合は、ロータリーカッタ20による切断時間が長いことを意味している。つまり、包装品成形時の速比よりも大きい速比データを入力することで包材Fの切断時間が短く調節される。逆に外側包材端の開封テープT側がオーバーしている場合は、ロータリーカッタ20による切断時間が短いことを意味している。このため、包装品成形時の速比よりもやや小さい速比データを入力することで包材Fの切断時間が長く調節される。なお、外側包材端がはみ出ていると、内側包材端も傾き、包材端同士の重なりが狭くなってシール不良になる。
【0038】
包装装置の制御手段50は、製品Aの収容位置に配置された製品収容ポケット43に対応する速比データをメモリ56から呼び出し、この速比データに基づきカッタ駆動モータ21の駆動速度を制御している。よって、カッタ駆動モータ21は、入力された速比データに基づいて、製品収容ポケット43毎に異なる駆動速度が指示されることになる。包装装置は、以上のような構成によって、包材切断手段の各装置や製品収容ポケット43等によるズレを補正する切断が行え、精度の高い包装が実現される。
【0039】
図4は、本実施形態に係る包装装置における制御手段の初期設定を示すフローチャートであり、図5は、同じく制御手段の動作を示すフローチャートである。
以下、本実施形態の包装装置の制御動作の一例について、初期状態の設定と実施段階の動作に分けて説明する。
図4に示すように、包装装置の起動時には、まず制御手段50および各駆動装置が初期状態に設定される(ステップS1)。
【0040】
次に、メモリ56に記憶されている速比データが自動的に検索される(ステップS2)。この検索結果から、作業員はこれから包装する製品Aに対する製品収容ポケット43の速比データが記憶されているかを表示手段52から確認することができる。そして、作業員は、包装装置の初期の設定を終了して包装実施段階に進むか、さらに初期状態の設定を進めていくかを選択する。
【0041】
初期の設定を継続する場合、製品収容ポケット43の速比データの計測がそのまま開始される。そして、計測されるべきターレット41の製品収容ポケット43が包材供給位置31の下流となる搬送経路40上に配置される(ステップS3)。次に、製品搬送手段3によって製品Aが包材供給位置31に搬送されてくる(ステップS4)。
【0042】
包材供給位置31には、包材繰出し手段1及び包材切断手段2によって切断された包材Fが繰り出される(ステップS5)。なお、このとき切断された包材Fによる包装が速比データ入力の基準となるため、包材Fは切断線が水平状に切断されることが好ましい。包材Fを水平状に切断させて製品Aに巻くことにより、成形される包装品のズレが判別しやすくなるからである。したがって、包材繰出しモータ13とカッタ駆動モータ21の速比は、切断刃22の傾斜角αを基に包材Fが水平状に切断される基準の速比としてある。
【0043】
次に、製品A及び包材Fが包装手段4に押し出され、計測される製品収容ポケット43に保持される(ステップS6)。保持後、ターレット41が回転して包材Fを胴折りし、さらに包装品の成形工程42に沿って包装品が成形されていく(ステップS7)。ここで、速比を計測する製品収容ポケット43があるかが判断される(ステップS8)。計測されるべき製品収容ポケットがある場合は、ステップS3からS7までのステップを連続的に繰り返し、複数の包装品を成形していくことができる。
【0044】
この後、作業員は、ステップS3からS7までのステップで成形された包装品を取り出して、包材Fのシールの状態を確認する。そして、包装状態を確認した作業員から速比入力手段51に補正する速比データが入力される。入力された速比データは、制御手段50のメモリ56に送られて製品収容ポケット43の情報として記憶される(ステップS9)。
以上のようなステップをふむことで、製品Aの包装前の初期設定がなされる。なお、包装装置の速比の調整は、一つの製品収容ポケット43に対してステップS3からS8までのステップを何度か繰り返して、複数の包装品の包装状態を確認し、より正確な速比データを得ることが好ましい。
【0045】
次に、製品を実際に包装する実施段階について説明する。
図5に示すように、製品Aの包装実施段階では、まず、制御手段50および各駆動装置が包装実施段階の初期状態に設定される(ステップS11)。この初期状態とは、メモリ56から制御手段50における各製品収容ポケット43に基づいた速比データや演算式の呼び出し、または各駆動装置を稼働状態に待機させるなど包装稼働状態への設定である。このとき、速比データは、各製品収容ポケット43に対応した順番に並べられ、さらに、演算式によって速比データに基づいたロータリーカッタ20の駆動速度が換算されてある。
【0046】
初期状態に設定された後、帯状の包材Fが包材繰出しモータ13の制御された駆動速度によって連続して繰り出される(ステップS12)。このときの包材繰出しモータ13の駆動速度は、エンコーダ55によって計測されており、実施段階での正確な速度が測定され、演算装置によって自動的に調節されることができる。
【0047】
次に、包材供給位置31の下流に待機してある製品収容ポケット43に対応したロータリーカッタ20の駆動速度の制御命令が、カッタ用モータドライバ54に送信される(ステップS13)。そして、カッタ用モータドライバ54が制御命令に則した速度でカッタ駆動モータ21を回転駆動させる(ステップS14)。カッタ駆動モータ21を回転駆動により、ロータリーカッタ20が制御された速度で回転し、所定の切断時間で包材が切断される(ステップS15)。
【0048】
さらに、ロータリーカッタ20によって切断された包材Fが搬送ベルトによって包材供給位置31に繰り出される(ステップS16)。また、包材供給位置31には、製品搬送手段3によって製品Aが搬送経路30から搬送される(ステップS17)。
【0049】
次に、製品A及び包材Fが包材供給位置31から包装手段4に押し出され、計測される製品収容ポケット43に保持される(ステップS18)。保持後、包装手段4におけるターレット41及び包装品の成形工程42にそって包装品が成形される(ステップS19)。さらに、以上のようにステップS13からS18までのステップを製品A毎に繰り返すことで、製品Aが連続的に包装されていくこととなる(ステップS20)。
【0050】
このように、本発明の包装装置によれば、製品Aの包装を連続して行うことができ、さらに製品Aの包装状態のズレが補正された状態で包装することができる。また、速比データは、製品Aの包装状態を包装実施中に確認することで、包装時の全体的な作業能率を低下させず、容易に変更させることも可能である。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、種々の応用例または変形例があることは勿論である。以下に本発明の包装装置の変形例について説明する。
【0052】
〔変形例1〕
実施形態に係る包装装置は、制御手段50を交換可能な製品収容ポケット43毎に速比データを記憶する構成としたが、制御手段50は交換可能なターレット41毎に速比データを記憶する構成としてもよい。ターレット41毎の速比データを記憶することにより、包装する製品のサイズや形状の変更等により包装装置のターレット41自体を交換しても、あらかじめ保存してある速比データを呼び出して使用することができる。このため、二度目以降のターレット41の交換作業時における速比データの設定等に手間がかかることがない。
【0053】
〔変形例2〕
また、本発明の包装装置は、包装手段4においてターレット41を用いない製品Aと包材Fの搬送方法で構成されてあってもよい。例えば、プッシャに製品Aを載せて平面的に搬送する場合、包装手段4は、プッシャが製品収容ポケット43と同一機能であると考えられるため、そのプッシャ毎の速比データを制御手段50に記憶する構成とすれば、実施形態と同じように包装状態のズレを調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態に係る包装装置の概要を示す全体構成の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る包装装置の包材切断手段の一部構成を示す図であり、(a)はロータリーカッタの概略図、(b)は切断刃の角度を示す図、(c)はロータリーカッタの側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る包装装置の制御手段の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る包装装置における制御手段の初期設定を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る包装装置における制御手段の動作を示すフローチャートである。
【図6】包材によってDVDパッケージを包装した状態を示す斜視図であり、(a)は包装が正常のDVDパッケージ、(b)は包装が不良のDVDパッケージである。
【符号の説明】
【0055】
1:包材繰出し手段、2:包材切断手段、3:製品搬送手段、4:包装手段、
10:包材繰出し経路、11:リール、12:繰出しローラ、13:包材繰出しモータ、
20:ロータリーカッタ、21:カッタ駆動モータ、22:切断刃、23:固定刃、24:ローラ、
30:搬送経路(製品搬送手段)、31:包材供給位置、
40:搬送経路(包装手段)、41:ターレット、42:包装品の成形工程、43:製品収容ポケット、
50:制御手段、51:速比入力手段、52:表示手段、53:繰出し用モータドライバ、54:カッタ用モータドライバ、55:エンコーダ、56:メモリ、57:演算装置、
A:製品、F:包材、T:開封テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包材を包材供給位置へ連続して供給する包材繰出し手段と、前記包材供給位置へ供給される帯状の包材を所定の長さ毎に切断する包材切断手段と、製品を搬送経路に沿って前記包材供給位置へ搬送する製品搬送手段と、製品の搬送経路上であって前記包材供給位置の下流側に設けられ包材によって製品を包装する包装手段と、を備えた包装装置において、
前記包材繰出し手段は、包材を挟持して繰り出す一対の繰出しローラと、この繰出しローラを回転駆動する包材繰出しモータとを含み、
前記包材切断手段は、周面に切断刃が設けられたロータリーカッタと、このロータリーカッタを駆動するカッタ駆動モータとを含み、
更に、前記包材繰出しモータと前記カッタ駆動モータの駆動速度を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記包材繰出しモータの駆動速度に対する速比をもって前記カッタ駆動モータの少なくとも切断動作時の駆動速度を制御する構成となっており、
かつ、前記包材繰出しモータの駆動速度に対する前記カッタ駆動モータの速比データを入力する速比入力手段と、当該入力された速比データを記憶する記憶手段とを備え、この記憶手段に記憶された速比データに基づき前記制御手段が前記カッタ駆動モータの駆動速度を制御することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
回転軸を中心に複数の製品収容ポケットが放射状に設けられたターレットで前記包装手段が構成された請求項1の包装装置において、
前記速比入力手段は、前記製品収容ポケット毎に、前記包材繰出しモータの駆動速度に対する前記カッタ駆動モータの速比データを入力する構成となっており、
前記記憶手段は、前記製品収容ポケット毎に、入力された速比データを記憶する構成となっており、
前記制御手段は、製品の収容位置に配置された製品収容ポケットに対応する速比データを前記記憶手段から呼び出し、当該速比データに基づき前記カッタ駆動モータの駆動速度を制御することを特徴とする包装装置。
【請求項3】
回転軸を中心に複数の製品収容ポケットが放射状に設けられたターレットで前記包装手段が構成され、かつ、当該ターレットが交換可能な構成をした請求項1の包装装置において、
前記速比入力手段は、前記ターレット毎に、前記包材繰出しモータの駆動速度に対する前記カッタ駆動モータの速比データを入力する構成となっており、
前記記憶手段は、前記ターレット毎に、入力された速比データを記憶する構成となっており、
前記制御手段は、前記回転軸に装着されているターレットに対応する速比データを前記記憶手段から呼び出し、当該速比データに基づき前記カッタ駆動モータの駆動速度を制御することを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−204139(P2007−204139A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28426(P2006−28426)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】