説明

包装部材

【課題】平板状の被包装部材を、被包装部材の外形寸法に合わせて包装可能な包装部材を提供すること。
【解決手段】包装部材1は、被包装部材100を積層する底部21及び被包装部材100の隣り合う側面と当接する第1壁部22を有する基体10と、基体10を覆う蓋体11と、基体10及び蓋体11に設けられ、被包装部材100と離接する第1調整部材12及び第2調整部材13と、を備え、被包装部材100と保護シート15とを交互に積層させ、被包装部材100を、第1壁部22及び第1、第2調整部材12,13で狭持して固定し、固定部材16で基体10、蓋体11、第1調整部材12及び第2調整部材13を固定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の被包装部材を包装する包装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光学部品や電子部品等に利用される基板や、衝撃等に対して脆弱な板状の部品等の被包装部材は、外部からの衝撃に対して破損や機能の低下を防止するために、被包装部材の保護を行う包装部材が用いられている。このような包装部材は、主として、被包装部材を運送及び保管を行うために用いられる。
【0003】
このため、包装部材は、衝撃等から被包装部材を運送及び保管時の保護が可能なだけでなく、収納効率の向上や運送コストの低減も要求されている。
【0004】
そこで、発泡スチロール等に被包装部材を複数挿入可能な支持溝を設け、これら挿入溝に被包装部材を挿入することで、複数の被包装部材を包装する包装部材が知られている。また、支持溝により被包装部材を支持し、さらに緩衝フィルムを張り合わせた緩衝ガイドにより被包装部材を固定状態に保持する包装部材も知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0005】
また、更なる収納効率を得るために、被包装部材と緩衝部材である発泡シートとを交互に積層させ、これら被包装部材及び緩衝部材を被包装部材と略同一形状の開口に収納して蓋体により閉塞させる包装部材も知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−7175号公報
【特許文献2】特開2007−84124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した包装部材では、以下の問題があった。即ち、包装部材は、被包装部材を包装するため、被包装部材の形状に合わせて適切に固定可能なことが要求される。このため、包装部材には、被包装部材の形状に適したものを用いる必要がある。
【0008】
しかし、被包装部材の形状に適した形状の包装部材を用いるため、被包装部材の種類に合わせて異なる包装部材を確保する必要がある。複数種類の被包装部材を製造する場合には、包装部材も複数種類を用いる必要があり、製造コストが増大することとなる。特に、被包装部材の形状の変更等があった場合には、包装部材を新たに製造する必要があり、製造コストが増大するという問題があった。また、設計変更等により被包装部材に微細な形状の変更があった場合に、形状の変更前に使用していた包装部材を共用すると、被包装部材の形状と包装部材の収納部とのクリアランスにより、運送時に被包装部材が包装部材内で振動や移動をする虞がある。これにより、被包装部材が損傷する虞もある。
【0009】
また、これらの包装部材を運送する場合には、複数の包装部材を、段ボール等の梱包部材に収納して運送している。しかし異なる形状の包装部材を同一の梱包部材に収納すると、梱包部材内に隙間の発生等により、収納効率が低下し、さらに、輸送時にこの隙間により包装部材が振動する虞もある。
【0010】
そこで本発明は、平板状の被包装部材を、被包装部材の外形寸法に合わせて包装可能な包装部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の包装部材は、次のように構成されている。
【0012】
本発明の一態様として、平板状の被包装部材を積層して包装する包装部材において、複数の方向で前記被包装部材の側部と当接する壁部を有し、その上面に、前記壁部に当接させて複数の前記被包装部材を積層させる基体と、前記壁部に対向し、且つ、前記壁部に向って移動可能に設けられ、前記被包装部材と離接する調整部材と、前記複数の被包装部材と当接した前記調整部材を前記基体に固定する固定部材と、を備えることを特徴とする包装部材が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、寸法の異なる被包装部材をそれぞれ包装可能な汎用性の高い包装部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る包装部材の構成を示す斜視図。
【図2】同包装部材の構成を示す分解斜視図。
【図3】同包装部材の使用の一例を示す斜視図。
【図4】同包装部材の要部構成を示す斜視図。
【図5】同包装部材の要部構成を示す斜視図。
【図6】同包装部材の要部構成を示す斜視図。
【図7】同包装部材の要部構成を示す斜視図。
【図8】本発明の変形例に係る包装部材の構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る包装部材1を、図1〜7を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る包装部材1の構成を示す斜視図、図2は同包装部材1の構成を示す分解斜視図、図3は同包装部材1の使用の一例を示す斜視図、図4は同包装部材1に用いられる基体10の構成を示す斜視図、図5は同包装部材1に用いられる蓋体11の構成を示す斜視図、図6は同包装部材1に用いられる第1調整部材12の構成を示す斜視図、図7は同包装部材1に用いられる第2調整部材13の構成を示す斜視図である。また、図1〜7に示すように、説明の便宜上、互いに直交する3方向をそれぞれX方向、Y方向及びZ方向として説明する。
【0016】
図1〜3に示すように、包装部材1は、箱状であって、被包装部材100を収納可能に形成されている。包装部材1は、基体10と、蓋体11と、第1調整部材(調整部材)12と、第2調整部材(調整部材)13と、第3調整部材(調整部材)14と、を備えている。また、包装部材1は、被包装部材100と交互に積層される保護シート15と、固定部材16と、が用いられる。
【0017】
なお、包装部材1が収納する被包装部材100は、方形の平板状に形成されている。具体的には、被包装部材100は、例えば、液晶セルや電子部品に用いられるガラス基板やその表面にプリント配線がなされたプリント基板等である。なお、被包装部材100は、平板状のものであればこれら以外であってもよいが、少なくとも2方向で固定可能な形状が望ましい。本発明の実施の形態では、被包装部材100は、方形の平板状に形成された基板100として以下説明する。
【0018】
図2、4に示すように、基体10は、底部21と、この底部21の上面に設けられ、基板100の隣り合う2辺に設けられた側面(側部)を少なくとも一部で支持可能な第1壁部22と、を備えている。底部21は、所定の厚さに形成され、隣り合う辺部にそれぞれ設けられた第1案内部24及び第2案内部25を有している。
【0019】
第1案内部24は、底部21の長手方向(X方向)に同一幅で所定の長さ設けられた切欠であって、第1調整部材12を、その切欠形状に沿ってX方向に移動可能に形成されている。第1案内部24は、その端部であって底部21の上面に設けられた第1凹部26を備えている。第1凹部26は、後述する第1調整部材12の一部と係合可能に形成されている。
【0020】
また、第1案内部24は、底部21の端面からX方向に所定の距離まで設けられている。なお、底部21の端面からX方向に所定の距離とは、第1案内部24の端部から第1壁部22までの距離が包装する基板100のX方向の最小寸法以下となる距離であればよい。
【0021】
第2案内部25は、底部21の長手方向と水平方向に直交する方向(Y方向)に同一幅で設けられた切欠であって、第2調整部材13をその切欠形状に沿ってY方向に移動可能に形成されている。
【0022】
また、第2案内部25は、その端部であって、底部21の下面に設けられた第2凹部27を備えている。第2凹部27は、後述する第2調整部材13の一部と係合可能に形成されている。また、第2案内部25は、底部21の端面からY方向に所定の距離まで設けられている。なお、底部21の端面からY方向に所定の距離とは、第2案内部25の端部から第1壁部22までの距離が包装する基板100のY方向の最小寸法以下となる距離であればよい。また、第1、第2凹部26、27は、底部21のどちらの面に設けられていても良い。
【0023】
第1壁部22は、底部21の外面よりも内側に設けられ、基板100の隣り合う2つの側面(側部)と当接可能に異なる方向、例えば、X方向及びY方向に連続して設けられている。具体的に説明すると、第1壁部22は、底部21から高さ方向(基板100の積層方向、Z方向)に突出して設けられ、X方向及びY方向に連続するL字状に設けられた下壁部28と、この下壁部28の上面であって、X方向及びY方向の一部にそれぞれ突出して設けられた上壁部29と、を備えている。
【0024】
下壁部28は、基板100の隣り合う2つの側面の全面と当接可能に形成されている。上壁部29は、基板100の隣り合う2つの側面のそれぞれ一部と当接可能に形成されている。
【0025】
図5に示すように、蓋体11は、所定の厚さであって、底部21と略同一の外形寸法に形成されに形成された天井部31と、この天井部31の外面に沿って設けられた第2壁部32と、を備えている。また蓋体11は、天井部31及び第2壁部32に跨って、隣り合う辺部にそれぞれ設けられた第3案内部33及び第4案内部34と、を備えている。なお、図5に示す蓋体11は、下面側から視認する斜視図である。
【0026】
第2壁部32は、天井部31から突出して設けられている。第2壁部32は、例えば、天井部31の外面に沿って設けられた外壁部36と、この外壁部36の内面の一部に設けられた内壁部37と、を備えている。
【0027】
外壁部36は、その一部に第3、第4案内部33、34が設けられる。外壁部36は、その他部が底部21の外面と沿って形成され、基体10と蓋体11とを係合させることで、底部21の外面と天井部31の外面とを略面一にすることが可能に形成されている。外壁部36は、その内面が、底部21に設けられた第1壁部22の外面と当接可能に形成されている。このため、外壁部36は、第1壁部22の外面と当接することで、蓋体11を基体10に対してX方向及びY方向の位置合わせが可能に形成されている。
【0028】
内壁部37は、外壁部36の内面の一部及び天井部31から突出して複数設けられ、その内面が基板100の側面の一部と当接可能に形成されている。また、内壁部37は、これら内壁部37の対向間に上壁部29を挿入可能に形成されている。
【0029】
第3案内部33及び第4案内部34は、天井部31及び第2壁部32であって、第1案内部24及び第2案内部25と対向する位置に形成されている。第3案内部33は、天井部31のX方向に同一幅で設けられた切欠であって、第1調整部材12を、その切欠形状に沿ってX方向に移動可能に形成されている。
【0030】
また、第3案内部33は、その端部であって、天井部31の下面に設けられた第3凹部38を備えている。第3凹部38は、後述する第1調整部材12の一部と係合可能に形成されている。また、第3案内部33は、第1案内部24とZ方向で対向して形成され、第1案内部24と同一寸法で形成されている。
【0031】
第4案内部34は、天井部31のY方向に同一幅で設けられた切欠であって、第2調整部材13をその切欠形状に沿ってY方向に移動可能に形成されている。また、第2案内部34は、その端部であって、天井部31の上面に設けられた第4凹部39を備えている。第4凹部39は、後述する第2調整部材13の一部と係合可能に形成されている。なお、第3,4凹部38,39は、天井部31のどちらの面に設けられていても良い。
【0032】
これら第1〜第4案内部24,25,33,34は、第1、第2調整部材12,13を基板100の第1壁部22と当接する側面と相対する側部に離接可能に案内することで、第1、第2調整部材12,13が複数の方向(X,Y方向)で基板100の側面と当接可能に形成されている。
【0033】
図6に示すように、第1調整部材12は、第1可動部材41と、この第1可動部材41に設けられた第1固定部42と、を備えている。第1調整部材12は、第1可動部材41が可動することで、その長さがZ方向に所定の距離間で伸縮自在に形成されている。
【0034】
第1可動部材41は、一対の可動部43,43の組み合わせによって形成されている。一対の可動部43,43は、互いに係合可能、且つ、離接可能に形成されている。
【0035】
具体的には、一対の可動部43は、一方が第1案内部24と、他方が第3案内部33とその側面が摺動する方体の摺動部43aと、この摺動部43aのいずれか一の面(以下「一の面」)から突出するレール部43bと、をそれぞれ備えている。レール部43bは、例えば、摺動部43aの前記一の面の略1/4の面積の方体が摺動部43aの前記一の面の重心(中心)に対して点対称に一対(2つ)設けられている。
【0036】
これにより、一方の可動部43は、他方の可動部43と、それぞれのレール部43bが交互に隣接して配置される。即ち、第1可動部材41は、一対の可動部43が近接することで直方体状となり、図6に示すように、一対の可動部43がZ方向に互いに離間することで、その側面の一部が凹む直方体状となる。これにより、第1可動部材41は、Z方向に伸縮することとなる。また、第1可動部材41が互いのレール部43bにより、X方向及びY方向の移動が規制されることから、一対の可動部43は、X方向及びY方向に離間することがない。
【0037】
第1固定部42は、第1可動部材41のいずれか一の側面の両端側にそれぞれ設けられる。第1固定部42は、その側面が、第1凹部26及び第3凹部38の端面に当接する当接部42aと、第1可動部材41から突出する突出部であって、第1凹部26及び第3凹部38に挿入可能な挿入部42bと、を備えている。
【0038】
図7に示すように、第2調整部材13は、第2可動部材46と、この第2可動部材46に設けられた第2固定部47と、を備えている。第2調整部材13は、第2可動部材46が可動することで、その長さがZ方向に所定の距離間で伸縮自在に形成されている。
【0039】
第2可動部材46は、一対の可動部48、48の組み合わせによって形成されている。一対の可動部48、48は、例えば、方体に形成されており、この直方体の一面から、互いに摺動する突出部が形成されている。
【0040】
具体的には、可動部48は、上述した可動部43と同様に、第2案内部25又は第4案内部34とその側面が摺動する方体の摺動部48aと、この摺動部48aのいずれか一の面(以下「一の面」)から突出するレール部48bと、を備えている。レール部48bは、例えば、摺動部48aの前記一の面の1/4の面積の方体が摺動部48aの前記一の面の重心(中心)に対して点対称に2つ設けられている。
【0041】
これにより、一方の可動部48は、他方の可動部48と、それぞれのレール部48bが交互に隣接して配置される。第2可動部材46は、図7に示すように、一対の可動部48がレール部48bに沿って近接することで直方体状となり、一対の可動部48が互いに離間することで、その側面の一部が凹む直方体状となる。これにより、第2可動部材46は、Z方向に伸縮することとなる。また、第2可動部材46が互いのレール部48bにより、X方向及びY方向の移動が規制されることから、一対の可動部43は、X方向及びY方向に離間することがない。
【0042】
第2固定部47は、第2可動部材46のいずれか一の側面の両端側にそれぞれ設けられる。第2固定部47は、その側面が、第2凹部27及び第4凹部39の端面に当接する当接部47aと、第2可動部材46から突出する突出部であって、第2凹部27及び第4凹部38に挿入可能な挿入部47bと、を備えている。
【0043】
第3調整部材14は、基体10と蓋体11との間に介在される、所謂スペーサである。具体的には、第3調整部材14は、基板100の収納、及び、第1、第2調整部材12,13の阻害にならない形状、例えば、蓋体11の外壁部36の下面と当接する形状であって、所定の厚み(Z方向の幅)を有するL字状の2つの部材の組み合わせによって形成されている。
【0044】
なお、第3調整部材14は、基体10及び蓋体11から脱離しないように、その上下面に基体10及び蓋体11と係合する係合部や粘着材等を有する構成でもよく、また、固定部材16により、第3調整部材14が脱離しない程度の押圧を印加する構成でもよい。
【0045】
保護シート15は、その外形寸法が、基板100と同一寸法、又は、それよりも小寸法に形成され、基板100表面を保護可能な樹脂等の材料で形成されている。固定部材16は、例えば、樹脂で形成された帯状のバンドであって、その両端にマジックテープ(登録商標)等の固定手段が設けられている。固定部材16は、例えば、包装部材1の一部に巻かれることで、包装部材1の各構成品を固定可能に形成されている。
【0046】
このように構成された包装部材1による基板100の包装の一例について、以下、図1〜3を用いて説明する。
図2に示すように、先ず、基体10の第1案内部24及び第2案内部25に、第1調整部材12の一方の可動部43と第1固定部42、及び、第2調整部材13の一方の可動部48と第2固定部47とをそれぞれ配置させる。
【0047】
この状態で、基体10の壁部22の内面、及び、可動部43,48の内面に基板100を当接させることで、基板100のX方向及びY方向の位置合わせを行う。このように、基板100の位置合わせを行い、基体10に基板100を配置させるとともに、基板100と基板100との間に保護シート15を介在させる。このように基板100及び保護シート15を交互に積層させ、包装部材1に包装する枚数(所定の枚数)だけ基板100を積層させる。
【0048】
所定の枚数の基板100及び保護シート15を積層後、第1調整部材12の他方の可動部43を、一方の可動部43に係合させ、第1固定部42により、基板100をZ方向に押付けて、基板100のZ方向の位置合わせを行う。
【0049】
この状態で、基体10と蓋体11とを係合させる。具体的には、第1壁部22及び第2壁部32と当接させてX方向及びY方向で位置合わせを行い、蓋体11を基体10に載置させる。なお、基板100の積層枚数等により必要に応じて、基体10と蓋体11との間に第3調整部材14を介在させる。
【0050】
基体10及び蓋体11の係合後、第2調整部材13の他方の可動部48を一方の可動部48と組み合わせ、第2固定部47の挿入部47bが、蓋体11の第4凹部39に当接するまで、可動部48をスライドさせる。さらに、再度、第1調整部材12及び第2調整部材13を、各案内部24,25,33,34に沿ってX方向及びY方向にそれぞれ移動させる。
【0051】
これにより、基板100は、その側面が、第1壁部22、第2壁部32、第1調整部材12及び第2調整部材13の内側面に当接し、複数の方向、即ち、X方向及びY方向の位置合わせ及び拘束がなされる。また、基板100は、その側面が、底部21、天井部31、及び、第1固定部42に当接し、Z方向の位置合わせ及び拘束がなされる。
【0052】
基板100のX方向、Y方向及びZ方向の位置決めが成されたら、固定部材16により、基体10、蓋体11及び第1調整部材12の外面を拘束し、X方向及びZ方向を固定するとともに、基体10、蓋体11及び第2調整部材13の外面を拘束し、Y方向及びZ方向を固定する。
【0053】
例えば、図1に示す包装部材1は、包装部材1内に包装可能な最大寸法の基板100を包装した図であり、図2,3に示す包装部材1は、包装部材1内に包装可能な最大寸法よりも小さい基板100を包装した図である。これらの図1〜3に示すように、第1、第2調整部材12,13によって、その外形寸法の異なる基板100を第1調整部材12及び第2調整部材13により位置決めすることで、基板100は、包装部材1内に、固定(拘束)されて包装される。なお、基板100を包装した包装部材1は、複数収納可能な段ボール等の梱包部材に梱包され、保存や運送が成される。
【0054】
このように構成された包装部材1によれば、第1調整部材12を第1、第3案内部24、33に沿ってX方向に移動可能とすることで、第1調整部材12の側面と第1、第2壁部22,32の内面との幅が調整可能となる。また、第2調整部材13を第2、第4案内部25、34に沿ってY方向に移動可能とすることで、第2調整部材13の側面と、第1、第2壁部22,32の内面との幅が調整可能となる。
【0055】
さらに、第1、第2調整部材12,13を可動部43,48にてZ方向にスライド可能、且つ、基体10と蓋体11との間に第3調整部材14を介在(積層)させることで、基体10の上面と蓋体11の下面との高さを調整することが可能となる。
【0056】
これらのことにより、包装部材1は、X方向、Y方向及びZ方向の3方向に包装部材1の内部形状(収納空間)を調整可能となる。即ち、包装部材1の内部形状(収納空間)は、基板100が収納される空間であり、この空間を可変可能に包装部材1が形成されることとなる。
【0057】
このため、基板100の寸法形状及び基板100の枚数が変更となっても、包装部材1の外形状より小さい寸法形状であって、第1調整部材12及び第2調整部材13のX方向、Y方向及びZ方向の移動可能範囲であれば、基板100を包装部材1によりその内部に固定して包装することが可能となる。
【0058】
即ち、包装部材1は、被包装部材100の寸法形状に合わせて各調整部材12、13を可変とすることで、様々な(異なる)寸法形状の被包装部材100をそれぞれ、任意の枚数だけ包装可能となり、包装部材1の汎用性が向上される。
【0059】
また、包装部材1は、被包装部材100の寸法形状に応じて、各調整部材12〜14を調整することで、被包装部材100を確実に固定することが可能となる。このため、包装した被包装部材100は、包装部材1の内部で移動することがない。即ち、包装部材1の外部からの衝撃や振動等の印加による包装部材1内部での被包装部材100の振動を防止し、被包装部材100の摩耗や破損等による機能の低下を防止することが可能となる。これらのことから、包装部材1によって、被包装部材100の運送及び保存の信頼性を向上することが可能となる。
【0060】
さらに、包装部材1は、様々な被包装部材100を、同一構成で包装可能となるため、包装部材1の製造コスト及び包装部材1の管理コストを低減させることが可能となる。また、包装部材1のX方向及びY方向の外形寸法及び形状は固定のため、包装部材1の梱包部材も共用可能となり、輸送コスト及び保存コストの低減となる。
【0061】
上述したように本実施の形態に係る包装部材1によれば、被包装部材100の寸法及び包装枚数が異なっても、第1〜第3調整部材12〜14によって、3方向の包装可能な寸法が可変可能であるため、異なる寸法の被包装部材100をそれぞれ包装することができる。これにより、高い汎用性を有し、その製造コスト及び管理コストを低減することが可能な包装部材1とすることができる。
【0062】
次に、本発明の変形例に係る包装部材1Aについて、図8を用いて説明する。なお、上述した包装部材1と同様の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8に示すように、包装部材1Aは、基体60と、調整部材61と、蓋体62と、拘束部材63と、固定部材16と、を備えている。基体60は、上部が開口する偏平な箱状に形成され、その周縁付近に開口を形成し、その一部が切欠する段部70aを有する壁部70が設けられている。また、基体60は、壁部70に囲まれた基体60の底面に設けられ、少なくとも段部70aが設けられた範囲を含む略三角形状であって、調整部材61を配置可能に形成された凹部71を有している。
【0063】
壁部70は、凹部71と隣接して設けられた対角部に、拘束部材63を挿通させる間隙部70bが設けられている。凹部71は、調整部材61が配置された際に、調整部材61を所定の範囲で移動可能に形成されている。また、凹部71は、調整部材61の上面が基体60の底面と面一となる深さに形成されている。
【0064】
調整部材61は、基体60の底面と当接する底面部61aと、底面部61aからZ方向に突出し、基板100の外側面と2方向(X方向及びY方向)で当接する壁部61bと、を備えている。また、調整部材61は、その壁部61bが壁部70と平行、且つ、段部70aと対向して凹部71に配置され、凹部71内をX方向及びY方向に移動可能に形成されている。
【0065】
なお、この調整部材61は、凹部71を移動させて段部70aとその壁部61bとを当接させることで、壁部61b、70により最大形状の方形の開口を形成する。また、調整部材61は、凹部71を移動させて段部70aから離間させることで、壁部61b、70により、壁部61b、70の対角の距離を変更することが可能に形成されている。即ち、調整部材61は、凹部71を移動させることで、X方向及びY方向の移動を拘束可能な基板100の寸法形状を変更可能に形成されている。
【0066】
蓋体62は、基体60の開口を閉塞可能に形成されている。拘束部材63は、樹脂製の帯状部材であって、その端部に、マジックテープ(登録商標)等の固定手段を有しており、その両端を固定可能に形成されている。また、拘束部材63は、その幅が、少なくとも調整部材61の壁部61bの高さよりも狭く形成されている。
【0067】
このように構成された包装部材1Aを用いた基板100の包装について図8を用いて説明する。
図8に示すように、先ず、基体60の凹部71に調整部材61を配置させる。この状態で、基体60の底面及び調整部材61の底面部61a上に保護シート15及び基板100を交互に積層させる。このとき、調整部材61をX方向及びY方向に移動させて、基板100に、基体60の壁部70及び調整部材61の壁部61bを当接させることで、基板100のX方向及びY方向の位置合わせを行う。
【0068】
所定の枚数の基板100を保護シート15と交互に積層させた後、拘束部材63により調整部材61を拘束し、その移動を規制する。具体的には、壁部70の間隙部70bに拘束部材63を挿通し、且つ、調整部材61の壁部61bと基体60の壁部70との間に拘束部材63を挿通させる。
【0069】
この状態で、拘束部材63の両端を、一定の張力を与えながら壁部70に当接させて固定手段で固定させることで、拘束部材63の張力により、調整部材61が、X方向及びY方向に押圧される。これにより、調整部材61は、基板100を押圧することとなり、基板100をX方向及びY方向に位置決めするとともに、基板100を固定する。
【0070】
この状態で基体60と蓋体62とを係合し、基体60及び蓋体62を固定部材16で拘束することで、基体60及び蓋体62の脱離を防止し、複数の基板100が包装されることとなる。
【0071】
このように構成された包装部材1Aによれば、調整部材61をX方向及びY方向に移動可能とすることで、基板100をX方向及びY方向で固定し、包装することが可能となる。これにより、包装部材1は、被包装部材100を確実に包装することが可能となり、包装部材1Aの汎用性が向上し、包装部材1Aの製造コスト及び管理コストを低減することが可能となる。
【0072】
また、包装部材1Aは、同一形状のもので寸法形状が異なる被包装部材100を包装可能であるため、包装部材1Aの製造コスト及び包装部材1Aの管理コストを低減させることが可能となる。さらに、包装部材1Aは、X方向、Y方向及びZ方向の三方向の外形寸法及び形状は固定のため、包装部材1Aの梱包部材も共用可能となり、輸送コスト及び保存コストの低減となる。
【0073】
上述したように本変形例に係る包装部材1Aによれば、調整部材61によって、包装可能な被包装部材100の寸法が2方向で可変可能であるため、様々な寸法形状の被包装部材100を包装することができる。これにより、包装部材1Aの汎用性が向上し、包装部材1Aの製造コスト及び管理コストを低減することが可能となる。
【0074】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、基板100の包装する枚数に応じて、基体10及び蓋体11の間に第3調整部材14を介在させるとしたが、これに限定されない。例えば、第3調整部材14を介在させずに、第1、第2調整部材12,13の各固定部42,47によってZ方向で基板100を押圧し、固定部材16によって拘束すれば、基板100をZ方向で拘束できるため、第3調整部材14を用いなくてもよい。
【0075】
また、上述した例では、包装部材1は、第1、第2調整部材12,13を有する構成としたが、これら第1、第2調整部材12,13は同一のものを用いてもよい。即ち、被包装部材100を、壁部及び調整部材で狭持して固定可能であれば適用できる。このため、例えば、第1、第2案内部24,25、33,34の切欠の幅を同一にするとともに、第1〜第4凹部26,27,38,39の配置を統一することで、第1、第2調整部材12,13は同一のものを用いる構成であってもよい。これらの調整部材12,13を共用することで、構成部品の種類を減らすこととなり、包装部材1の製造コストの低減となる。このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、1A…包装部材、10…基体、11…蓋体、12…第1調整部材(調整部材)、13…第2調整部材(調整部材)、14…第3調整部材(調整部材)、15…保護シート、16…固定部材、21…底部、22…第1壁部(壁部)、24…第1案内部、25…第2案内部、26…第1凹部、27…第2凹部、28…下壁部、29…上壁部、31…天井部、32…第2壁部、33…第3案内部、34…第4案内部、36…外壁部、37…内壁部、38…第3凹部、39…第4凹部、41…第1可動部材、42…第1固定部、42a…当接部、42b…挿入部、43…可動部、43a…摺動部、43b…レール部、46…第2可動部材、47…第2固定部、47a…当接部、47b…挿入部、48…可動部、48a…摺動部、48b…レール部、60…基体、61…調整部材、61a…底面部、61b…壁部、62…蓋体、63…拘束部材、70…壁部、70a…段部、70b…間隙部、71…凹部、100…被包装部材(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の被包装部材を積層して包装する包装部材において、
複数の方向で前記被包装部材の側部と当接する壁部を有し、その上面に、前記壁部に当接させて複数の前記被包装部材を積層させる基体と、
前記壁部に対向し、且つ、前記壁部に向って移動可能に設けられ、前記被包装部材と離接する調整部材と、
前記複数の被包装部材と当接した前記調整部材を前記基体に固定する固定部材と、
を備えることを特徴とする包装部材。
【請求項2】
前記調整部材は、前記被包装部材の前記壁部と当接する側部と相対する側部に離接可能に形成され、前記複数の方向で前記被包装部材の側部と当接することで、前記被包装部材を前記壁部と拘束することを特徴とする請求項1に記載の包装部材。
【請求項3】
前記調整部材は、前記被包装部材の積層方向に伸縮可能に形成され、前記被包装部材の上面と少なくともその一部が当接可能に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の包装部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−16573(P2011−16573A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164016(P2009−164016)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(592184706)東芝物流株式会社 (15)
【Fターム(参考)】