説明

包装開封用シート

【課題】開封開始点になる切り込みや孔を外装フィルムに形成しなくても、外装フィルムを確実に破ることができ、しかも実用的である包装開封用シートを提供する。
【解決手段】本発明の包装開封用シート1は、物品を包装した外装フィルムに接着され、外装フィルムの開封時に引っ張られるものであり、基材10と、基材10の片面10aの周縁の少なくとも一部に配置された非接着部11と、片面10aの、非接着部11以外の部分に配置された接着部12とを有し、基材10は、開封時に引っ張られる方向のこわさが0.002mN・m以上であり、非接着部11は、外装フィルムに対して接着不能な部分および/または接着後に剥離可能な部分であり、接着部12は、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が10N/25mm以上の接着力を有する部分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を包装するプラスチックフィルムを開封する際に使用される包装開封用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
容器入り即席食品(例えば、いわゆる「カップ麺」等)は、販売時には、全体がポリプロピレンシュリンクフィルム等の外装フィルムやストレッチフィルム(いわゆるラップフィルム)等で包装されて蓋体が開けられないようにされている。
従来、容器入り即席食品の外装フィルムには、開封開始点になる切り込みまたは孔が形成され、この切り込みまたは孔を覆うように、矩形状の包装開封用シートの長さ方向の一端が外装フィルムに接着されていた(特許文献1参照)。容器入り即席食品を調理する者は、外装フィルムに接着されていない包装開封用シートの長さ方向の他端を摘んで引っ張り、外装フィルムを破って開封し、次いで蓋体を開けてお湯を容器に注いで即席食品を調理していた。
また、特許文献2には、容器本体の上端開口部に接着した蓋体に摘み片を設け、全体を外装フィルムにより包装すると共に、摘み片を外装フィルムに形成した孔から外装フィルムの外側に配置し、摘み片および外装フィルムに包装開封用シートを接着することが記載されている。この包装では、包装開封用シートを摘んで引っ張り、蓋体を容器本体から剥がすと共に外装フィルムを破って開封していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−292141号公報
【特許文献2】特開2005−1123393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装開封用シートを外装フィルムに接着する際に、包装開封用シートを外装フィルムに強い押圧力で押し付けると、強度が弱くなっている切り込みや孔から外装フィルムが破れてしまうことがあった。一方、包装開封用シートを弱い押圧力で外装フィルムに押し付けると、接着が不充分になり、包装開封用シートを引っ張った際に、外装フィルムを破ることなく包装開封用シートが剥がれてしまうことがあった。
また、特許文献2に記載の包装では、外装フィルムに形成した孔に摘み片を通すことが難しく、実用性が低かった。
また、通常使用される容器の外装フィルムにおいては、切り込みや孔を形成できる位置に制限があることが多い。さらに、外装フィルムに切り込みや孔を形成できない場合もある。そのため、外装フィルムから、開封開始点となる切り込みや孔をなくすことが求められている。
そこで、本発明は、開封開始点になる切り込みや孔を外装フィルムに形成しなくても、外装フィルムを確実に破ることができ、しかも実用的である包装開封用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、当初、外装フィルムに強い接着力で接着した包装開封用シートを用いれば、外装フィルムを確実に破けるものと考えた。ところが、本発明者らが実験したところ、接着力を強くするだけでは、外装フィルムを破けない場合もあることを見出した。そして、上記課題を解決すべく、包装開封用シートについてさらに検討した結果、以下の包装開封用シートを発明した。
【0006】
[1] 物品を包装した外装フィルムに接着され、外装フィルムの開封時に引っ張られる包装開封用シートであって、
基材と、該基材の片面の周縁の少なくとも一部に配置された非接着部と、前記片面の、前記非接着部以外の部分に配置された接着部とを有し、
基材は、ISO2493:1992に従い、幅38mm、長さ70mmの試験片を曲げ角度30°、曲げ長さ1mmの条件で測定された、開封時に引っ張られる方向のこわさが0.002mN・m以上であり、
非接着部は、外装フィルムに対して接着不能な部分および/または接着後に剥離可能な部分であり、
接着部は、JIS Z 0237:2000に従い、23℃の環境下、引張速度0.3m/分で180°剥離して測定された、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が10N/25mm以上の接着力を有する部分であることを特徴とする包装開封用シート。
[2] 接着部は、ゴム系ホットメルト接着剤を含有する接着剤層を有する[1]に記載の包装開封用シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明の包装開封用シートによれば、開封開始点になる切り込みや孔を外装フィルムに形成しなくても、外装フィルムを確実に破ることができ、しかも実用的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の包装開封用シートの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す包装開封用シートの非接着部および接着部を示す平面図である。
【図3】図1に示す包装開封用シートの使用方法の一例について説明する図である。
【図4】本発明の包装開封用シートの他の実施形態における非接着部および接着部を示す平面図である。
【図5】本発明の包装開封用シートの他の実施形態における非接着部および接着部を示す平面図である。
【図6】本発明の包装開封用シートの他の実施形態における非接着部および接着部を示す平面図である。
【図7】本発明の包装開封用シートの他の実施形態における非接着部および接着部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の包装開封用シートの一実施形態について説明する。
図1および図2に、本実施形態の包装開封用シートを示す。本実施形態の包装開封用シート1は、物品を包装する外装フィルムに接着され、外装フィルムの開封時に引っ張られるものであって、基材10と、基材10の片面10aの周縁に配置された非接着部11と、基材10の片面10aの、非接着部11以外である接着部12とを有する。
また、本実施形態では、基材10および接着部12は共に矩形状であり、接着部12は、長手方向が基材10の長手方向と同じ方向にされている。
また、接着部12の基材10と反対側の面12bには剥離シート20が剥離可能に貼着されている。
【0010】
[基材]
基材10は、開封時に引っ張られる方向のこわさが0.002mN・m以上のものである。ここで、こわさは、ISO2493:1992に従い、幅38mm、長さ70mmの試験片を曲げ角度30°、曲げ長さ1mmの条件で測定した値である。基材10のこわさが0.002mN・m未満であると、包装開封用シート1を引っ張った際に外装フィルムを破れないことがある上に、可撓性が高すぎて外装フィルムへの接着が困難になる傾向にある。
また、基材10の開封方向に沿った方向のこわさは0.002〜0.1mN・mであることが好ましく、0.007〜0.04mN・mであることがより好ましく、0.008〜0.037mN・mであることが特に好ましい。基材10のこわさが0.1mN・mを超えると、可撓性が低下するため、開封する際に取り扱いにくくなり、包装開封用シート1として適さなくなるおそれがある。
【0011】
基材10の材質としては、例えば、樹脂、合成紙、紙などが挙げられる。これらの中でも、上記範囲のこわさを容易に確保できることから、樹脂が好ましい。
基材10を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられ、中でも、上記範囲のこわさをより容易に確保できることから、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリプロピレンの基材、ポリエチレンテレフタレートの基材としては、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることができる。
基材10の接着部12と反対側の面10bは、各種文字、図柄やバーコード等を表示するために、印刷可能になっていることが好ましい。基材10の接着部12と反対側の面10bを印刷可能にする方法としては、例えば、コロナ処理を施す方法、記録層を設ける方法などが挙げられる。
【0012】
基材10の幅Wは10〜50mmであることが好ましく、12〜30mmであることがより好ましい。基材10の幅Wが10mm以上であれば、接着部12の幅を充分に確保できるため、包装開封用シート1を引っ張ることによって外装フィルムを確実に破ることができる。一方、基材10の幅Wが50mm以下であれば、包装開封用シート1の取り扱い性が向上し、より実用的になる。
基材10の長さLは30〜100mmであることが好ましく、50〜80mmであることがより好ましい。基材10の長さLが30mm以上であれば、接着部12の長さを充分に確保できるため、包装開封用シート1を引っ張ることによって外装フィルムを確実に破ることができ、100mm以下であれば、包装開封用シート1の取り扱い性が向上し、より実用的になる。
基材10の厚さは16〜150μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、40〜60μmであることが特に好ましい。基材10の厚さが16μm以上であれば、こわさを容易に0.002mN・m以上にでき、150μm以下であれば、こわさを容易に0.1mN・m以下にできる。
【0013】
[非接着部]
非接着部11は、外装フィルムに対して接着不能な部分および/または接着後に剥離可能な部分である。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が0.01N/25mm以下の部分である。本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度は、JIS Z 0237:2000に従い、23℃の環境下、引張速度0.3m/分で180°剥離して測定された剥離強度である。ここで、剥離強度の測定において被着体をポリエチレンテレフタレートフィルムとしたのは、通常、容器入り即席食品の外装フィルムとしてはポリエチレンテレフタレートのシュリンクフィルムが用いられているためである。
ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が0.01N/25mmを超えると、包装開封用シート1の全面が外装フィルムに接着するため、包装開封用シート1を摘めないことがある。
【0014】
本実施形態における非接着部11は、接着部12より基材10の長手方向の一端10c側が、包装開封用シート1を摘むための摘み部11aにされている。さらに、摘み部11aは、基材10の長手方向の一端10c側が、基材10のみからなり、外装フィルムに対して接着不能な接着不能部11bとされ、接着部12側が、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が0.01N/25mm以下の接着剤層11cが設けられた弱接着部11cとされている。
摘み部11aにおける基材10の長さ方向の一端10cと接着部12との距離Lは、緩衝部11dにおける基材10の長さ方向の他端10dと接着部12との距離Lよりも長くされて、摘み易いようにされている。
具体的に、距離Lの長さは10〜20mmであることが好ましい。距離Lの長さが10mm以上であれば、基材10を容易に摘むことができ、20mm以下であれば、外装フィルムをより容易に開封できる。
【0015】
非接着部11の摘み部11a以外の部分は、基材10のみからなり、接着部12の接着剤の移動を許容して包装開封用シート1からのはみ出しを防止する緩衝部11dにされている。
また、緩衝部11dにおける基材10の幅方向の端部10e,10fと接着部12との距離L,Lは、基材10の長さ方向の他端10dと接着部12との距離Lと略同等にされている。
【0016】
[接着部]
接着部12は、接着剤層12aが設けられ、外装フィルムに対して接着し、かつ接着後に剥離不能な部分である。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が10N/25mm以上、好ましくは15N/25mm以上、より好ましくは20N/25mm以上の接着力を有する部分である。ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が10N/25mm未満であると、包装開封用シート1を引っ張った際に外装フィルムから剥がれてしまうため、外装フィルムを破けないことがある。
【0017】
接着部12の接着剤層12aを構成する接着剤としては、例えば、ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン−酢酸ビニル系ホットメルト接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤などが挙げられる。これらの中でも、上記剥離強度が容易に得られることから、ゴム系ホットメルト接着剤が好ましい。ゴム系ホットメルト接着剤は、接着主成分として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)を含有する接着剤である。
【0018】
接着剤層12aには粘着付与剤が含まれていてもよい。粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン、テルペンフェノール、ロジンフェノールなどのフェノール変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂およびその水添物、スチレン系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
粘着付与剤の中でも、軟化点が150℃以下のものが好ましく、50〜130℃のものがより好ましい。軟化点が150℃を超えると、加熱時の接着性が低下することがある。
【0019】
接着剤層12aの厚さは50〜300μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましく、70〜130μmであることが特に好ましい。接着剤層12aの厚さが50μm以上であれば、充分に高い接着力を得ることができ、300μm以下であれば、容易に接着剤層12aを形成できる。
【0020】
接着部12の幅Wは5〜30mmであることが好ましく、5〜15mmであることがより好ましい。接着部12の幅Wが5mm以上であれば、包装開封用シート1を引っ張ることによって外装フィルムを確実に破ることができ、30mm以下であれば、力の弱い高齢者や子供でも包装開封用シート1を用いることで外装フィルムを破ることができる。
接着部12の長手方向の長さLは15〜80mmであることが好ましく、20〜60mmであることがより好ましい。接着部12の長手方向の長さLが15mm以上であれば、包装開封用シート1を引っ張ることによって外装フィルムを確実に破ることができ、80mm以下であれば、力の弱い高齢者や子供でも包装開封用シート1を用いることで外装フィルムを破ることができる。
【0021】
[剥離シート]
剥離シート20としては、周知の剥離シートが使用される。例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等の紙の表面に、必要に応じて目止め層を形成した上で、シリコーン系等の剥離剤を塗布した剥離シートが使用される。
また、剥離シート20は、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等のプラスチックフィルムであってもよい。プラスチックフィルムの片面には剥離剤が塗布されてもよい。
【0022】
[使用方法]
上記包装開封用シート1は、例えば、容器入り即席食品を包装する外装フィルムに適用される。
すなわち、剥離シート20を接着部12から剥離した後、露出した接着部12により、図3に示すように、容器入り即席食品2の外装フィルム2aの任意の位置に包装開封用シート1を接着して販売する。容器入り即席食品2を購入し、調理する者は、調理前に外装フィルム2aを開封するために、包装開封用シート1の摘み部11aを摘み、包装開封用シート1を捲るように引っ張る。これにより、外装フィルム2aの包装開封用シート1の接着部12に接着した部分が引っ張られるため、外装フィルム2aが引き裂かれて開封される。
なお、外装フィルム2aにおいては、包装開封用シート1の近傍にミシン目程度の孔を形成してもよい。
【0023】
[製造方法]
上記包装開封用シート1は、例えば、剥離シート20の片面の一部に接着剤を塗布し、乾燥させて、接着部12になる接着剤層12aを形成し、接着剤層12aの露出面に基材10を積層することにより製造される。または、基材10の片面の一部に接着剤を塗工し、乾燥させて、接着部12である接着剤層12aを形成し、接着部12に剥離シート20を積層することにより製造される。
接着剤を塗工する際には、各種塗工装置あるいは印刷装置が用いられる。ホットメルト接着剤を塗工する場合には、加熱、保温装置を備えた塗工装置あるいは印刷装置が用いられる。塗工装置としては、リバースロールコーター、グラビアロールコーター等のロールコーターや、樹脂押し出し式のダイコーター、リップコーター等が挙げられ、印刷装置としては、グラビア印刷機、凸版印刷機、スクリーン印刷機等が挙げられる。
基材10および剥離シート20は、巻取りから供給された連続体であってもよい。ただし、基材10および剥離シート20として連続体を用いる場合には、接着剤を所定の間隔で塗工して接着剤層を形成する。
【0024】
[作用効果]
上記包装開封用シート1は、接着部12によって強い接着力で接着できるため、包装開封用シート1を引っ張った際には外装フィルム2aから剥離しにくい。さらに、包装開封用シート1は、引っ張られる方向の基材10のこわさが0.002mN・m以上と高くされているため、外装フィルム2aの開封の際に加えた力を分散させることなく、外装フィルム2aの引っ張りに利用することができる。そのため、外装フィルム2aに切り込みや孔等の開封開始点が形成されていなくても、包装開封用シート1を引っ張ることで、外装フィルム2aを確実に破ることができる。
上記のように、包装開封用シート1によれば、外装フィルム2aに切り込みや孔を形成しなくてもよいから、包装開封用シート1を外装フィルム2aに接着する際の外装フィルム2aの破れを防止できる。また、包装開封用シート1を用いることにより、外装フィルム2aに切り込みや孔を形成する必要がなくなるため、外装フィルム2aの任意の位置に貼り付けることができる。
さらに、包装開封用シート1は、外装フィルム2aに接着するだけでよいから、実用的である。
【0025】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態の包装開封用シート1の摘み部11aにおいて、図4に示すように、弱接着部が省略され、接着不能部11bのみからなってもよい。また、図5に示すように、摘み部11aは、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が0.01N/25mm以下の範囲内で、基材10の長さ方向の一端10cから接着部12に向かって次第に接着力が高くなる接着剤層11cが設けられた弱接着部11cからなってもよい。
また、非接着部11および接着部12の形態としては、非接着部11の緩衝部11dが省略されて、図6に示すように、基材10の片面の一端10c側が非接着部11にされ、それ以外の部分が接着部12にされた形態であってもよい。
また、図7に示すように、接着部12が基材10の片面の中央部に配置され、その周囲が非接着部11にされていてもよい。
基材10および接着部12の形状は矩形状以外の形状、例えば、円形状、楕円形状、三角形状、五角形状などであってもよい。
【0026】
また、非接着部11は、基材10の片面の全面に接着剤層12aを設けた後、接着剤層12aの露出面の所定の部分に非接着化処理を施すことによっても得られる。非接着化処理としては、例えば、非接着性の樹脂を塗布する処理、非接着性のフィルムを貼着する処理などが挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下の例の包装開封用シートにおいて、基材のこわさ、接着部の180°剥離強度は以下の方法により測定した。
[基材のこわさ]
各実施例および各比較例で使用した基材のこわさを、L&W社製ISOこわさ試験機を用い、ISO2493:1992に従い、幅38mm、長さ70mmの試験片を曲げ角度30°、曲げ長さ1mmの条件で測定した。なお、測定は、基材の、製造時の流れ方向(MD方向)と、幅方向(TD方向)の両方について行った。測定結果を表1に示す。
[接着部の180°剥離強度]
包装開封用シートの接着部をポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製)に接着し、JIS Z 0237:2000に従い、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製テンシロンRTC−1210A)を用い、23℃の環境下、引張速度0.3m/分で180°剥離した際の剥離強度を測定した。
【0028】
(実施例1)
長さ80mm、幅20mm、厚さ50μmでMD方向が長さ方向とされた二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の片面の略中央部に、ゴム系ホットメルト接着剤(ノーテープ工業社製)を、ホットメルトコーターにより塗工した。これにより、接着剤層(180°剥離強度20N/25mm)を形成して接着部を設け、包装開封用シートを得た。その際、図4に示すように、ポリプロピレンフィルム(基材10)の片面の周縁を、接着剤層のない非接着部11とし、さらに非接着部11は、基材10の長手方向の一端10c側を摘み部11aとし、摘み部11a以外の部分を緩衝部11dとした。また、図4における距離Lを15mmとし、距離L,L,Lを各々5mmとした。
【0029】
(実施例2)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 50−2500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0030】
(実施例3)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 40−2500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0031】
(実施例4)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 30−2500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0032】
(実施例5)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 25−2500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0033】
(実施例6)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラーT11S50)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0034】
(実施例7)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラーTL25)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0035】
(比較例1)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 60−2500)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレファンBO 20−2500)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、包装開封用シートを得た。
【0036】
[評価]
上記各実施例および各比較例の包装開封用シートを用いた際の外装フィルムの開封性について以下のように評価した。
すなわち、まず、包装開封用シートを、下記外装フィルムA〜Eに各々接着した。次いで、包装開封用シートの摘み部を摘み、包装開封用シートを捲るように引っ張った。その際の外装フィルムの開封状況について目視により観察して評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1中、「○」は外装フィルムを開封できたものであり、「×」は開封フィルムを開封できなかったものである。
外装フィルムA:商品名カップヌードル(日清食品株式会社製)の外装フィルム(ポリプロピレンフィルム)
外装フィルムB:商品名スーパーカップ(エースコック株式会社製)の外装フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
外装フィルムC:商品名明星焼きそば(明星食品株式会社製)の外装フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
外装フィルムD:商品名マルちゃん天ぷらそば(東洋水産株式会社製)の外装フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
外装フィルムE:商品名カトキチ塩ラーメン(株式会社加ト吉製)の外装フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
【0037】
【表1】

【0038】
基材のこわさが0.002mN・m以上で、180°剥離強度が5N/25mm以上の実施例1〜7の包装開封用シートによれば、外装フィルムを確実に破くことができた。
基材のこわさが0.002mN・m未満であった比較例1の包装開封用シートでは、外装フィルムを破けなかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の包装開封用シートは、例えば、容器入り即席食品、光ディスクを収容するケースなどを包装する外装フィルムに接着される。また、包装開封用シートが貼着された包装体に使用される。
【符号の説明】
【0040】
1 包装開封用シート
10 基材
11 非接着部
11a 摘み部
11b 接着不能部
11c 弱接着部
11d 緩衝部
12 接着部
12a 接着剤層
20 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装した外装フィルムに接着され、外装フィルムの開封時に引っ張られる包装開封用シートであって、
基材と、該基材の片面の周縁の少なくとも一部に配置された非接着部と、前記片面の、前記非接着部以外の部分に配置された接着部とを有し、
基材は、ISO2493:1992に従い、幅38mm、長さ70mmの試験片を曲げ角度30°、曲げ長さ1mmの条件で測定された、開封時に引っ張られる方向のこわさが0.002mN・m以上であり、
非接着部は、外装フィルムに対して接着不能な部分および/または接着後に剥離可能な部分であり、
接着部は、JIS Z 0237:2000に従い、23℃の環境下、引張速度0.3m/分で180°剥離して測定された、ポリエチレンテレフタレートフィルムに対する180°剥離強度が10N/25mm以上の接着力を有する部分であることを特徴とする包装開封用シート。
【請求項2】
接着部は、ゴム系ホットメルト接着剤を含有する接着剤層を有する請求項1に記載の包装開封用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−111197(P2011−111197A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270123(P2009−270123)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(595178748)王子タック株式会社 (76)
【出願人】(509326821)有限会社オオミヤ商会 (1)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】