説明

匍匐害虫防除組成物

【課題】
本発明はゴキブリ、シロアリ、クロアリ、ムカデ、ナメクジ、ダンゴムシ、ワラジムシなどの匍匐害虫を駆除することを目的とする。
【解決手段】
水硬性物質と土砂を含有し、前記土砂の総量に対する粒径1.5mm以上2.0mm未満の土砂の割合が、6重量%以上であることを特徴とする匍匐害虫防除組成物であり、さらに20℃における水への溶解度が100mg/L以上である殺虫成分を含有する匍匐害虫防除組成物及び匍匐害虫防除方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、匍匐害虫防除組成物および匍匐害虫防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴキブリ、アリなどの匍匐害虫の駆除には、害虫の通り道や住み処となる場所に、殺虫剤を広範囲にわたって散布するという方法や、毒餌を設置する方法を用いることが多い。殺虫剤を散布する方法は無駄が多く経済的ではない。また、環境或いは人畜に悪影響を及ぼす恐れもある。毒餌を用いる方法は害虫が摂食しなければ効果を発現せず、害虫によって餌の嗜好性が異なるため、いろいろな害虫に対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−314349号公報
【特許文献2】特開2011−115143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はゴキブリ、シロアリ、クロアリ、ムカデ、ナメクジ、ダンゴムシ、ワラジムシなどの匍匐害虫を駆除することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意研究を行った結果、建物のコンクリート表面に、
(1)水硬性物質と土砂とを含有し、前記土砂の総量に対する粒径1.5mm以上2.0mm未満の土砂成分の割合が、6重量%以上であることを特徴とする匍匐害虫防除組成物。
(2)前記の匍匐害虫防除組成物を塗工したときの厚さが10mm未満であることを特徴とする匍匐害虫防除組成物。
(3)さらに、殺虫成分を含有することを特徴とする匍匐害虫防除組成物。
(4)前記の殺虫成分が、20℃における水への溶解度が100mg/L以上である匍匐害虫防除組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の匍匐害虫防除組成物を建物コンクリート部分へローラーで塗工する匍匐害虫防除方法。
を特徴とする匍匐害虫防除組成物および匍匐害虫防除方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物を用いることにより、より効率的で効果的な匍匐害虫の駆除が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
水硬性物質の具体例としては、気硬性セメント(焼セッコウ、無水セッコウプラスター、生石灰、消石灰、ドロマイトプラスターなどの気硬性単味セメント、マグネシアセメントなどの気硬性混合セメント)、水硬性セメント(ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰アルミナセメント、カルシウムセメントなどの水硬性単味セメント、石灰スラグセメント、石灰火山灰セメント、高炉セメント、シリカセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメントなどの水硬性混合セメント、微粒子セメント、各種セメントに生石灰を予め混合したセメントなどの特殊セメント)が挙げられる。これらの水硬性物質は単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
【0008】
粒径1.5mm以上2.0mm未満である土砂としては、壌質砂土、砂土などの砂土類、壌土、砂壌土、微砂質壌土などの壌土類、埴壌土、砂質埴壌土、微砂質埴壌土などの埴壌土類軽埴土、砂質埴土、微砂質埴土、重埴土などの埴土類が挙げられる。
【0009】
前記土砂の具体例としては、珪砂、川砂、海砂、浜砂、山砂など砂類、真砂土、赤土、黒土、火山灰土、などの土類、赤玉土、鹿沼土、腐葉土などの園芸用土、安山岩、花崗岩、流紋岩、珪岩、石灰岩、泥岩、砂岩などの火成岩、滑石、沸石、絹雲母、高陵石などの粘土鉱物が挙げられ、さらにこれらの土砂から作られるタルク、クレー、シラスバルーン、パーライト、炭酸カルシウムなども挙げられる。特に、珪砂と炭酸カルシウムが好ましい。
【0010】
本発明に用いられる20℃における100mg/L以上である殺虫成分としては、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン、(E)−N−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕N’−シアノ−N−メチルエタンイミダミド、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−N−ニトロ−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデンアミン、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド、N−((6−クロロ−3−ピリジニル)メチル)−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロ−1,1−エチンジアミン、O,S−ジメチル−N−アセチルホスホロアミドチオエート、2−メチル−2−メチルホルニプロピオンアルデヒドO−メチルカルバモイルオキシム(アルドキシカルブ)、2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソル−4−イル メチルカーバメート、ホスホロジチオ酸、O,O−ジメチル S−(N−メチルカルバモイルメチル、S−メチル−N−[(メチルカルバモイル)−オキシ]−チオアセトイミデート(メソミル)、ホウ酸、硼砂、などが挙げられる。特に、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン及び1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミンが特に好ましい。
【0011】
また、これら以外のものに必要に応じてポリマーディスパージョン、減水剤、消泡剤、保水剤、硬化促進剤、防錆剤、着色材、発泡剤、急結剤、防凍剤、耐寒剤、遅延剤、起泡剤、フライアッシュ、高炉スラグ粉末、補強用繊維などを適時加えても良い。
【0012】
本発明の対象とする匍匐害虫としては、建物のコンクリート上を匍匐する害虫であれば何ら限定されない。ゴキブリ、シロアリ、クロアリ、ムカデ、ナメクジ、ダンゴムシ、ワラジムシなどが挙げられる。特にシロアリ、クロアリ、ゴキブリに対して駆除効果が高い。
【0013】
本匍匐害虫防除組成物を処理する部位としては、建物コンクリートにおける基礎、土台などの基礎構造部、柱、床、壁、天井、壁塀などの上部構造部が挙げられる。
【実施例】
【0014】
次に実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0015】
(実施例1)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の珪砂を15重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を35重量%、ポルトランドセメント20重量%、水30重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0016】
(実施例2)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の炭酸カルシウムを20重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を30重量%、ポルトランドセメント20重量%、水30重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0017】
(実施例3)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の炭酸カルシウムを5重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を45重量%、ポルトランドセメント20重量%、水29.99重量%、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン0.01重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0018】
(実施例4)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の珪砂を3重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を47重量%、ポルトランドセメント20重量%、水29.98重量%、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン0.02重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0019】
(比較例1)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の珪砂を2重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を48重量%、ポルトランドセメント20重量%、水30重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0020】
(比較例2)
粒径1.5mm未満の珪砂を50重量%、ポルトランドセメント20重量%、水30重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0021】
(比較例3)
粒径1.5mm未満の珪砂を50重量%、ポルトランドセメント20重量%、水29.9重量%、5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルフェニルピラゾール(20℃における水への溶解度が2.4mg/L)0.1重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0022】
(比較例4)
水99.99重量%に(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン0.01重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0023】
(比較例5)
粒径1.5mm以上2.0mm未満の珪砂を1重量%、粒径2.0mm以上5.0mm未満の珪砂を5重量%、粒径1.5mm未満の珪砂を44重量%、ポルトランドセメント20重量%、水29.9重量%、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン0.1重量%を加えて匍匐害虫防除組成物を得た。
【0024】
(シロアリに対する効力試験)
実施例1及び2、比較例1〜3を塗工し、直径8cm、厚さ9mmの匍匐害虫防除塗工物、実施例3及び4、比較例5を塗工し直径8cm、厚さ1mm(凸となる部分を除いて)の匍匐害虫防除塗工物を作成した。また比較例4を、土壌の上に3L/mの割合で処理した。これらの試料について、社団法人日本木材保存協会規格第17号の防蟻剤処理木質系製品の室内防蟻試験方法及び性能基準の貫通防止性能試験に準拠して効力試験を行った。シロアリはイエシロアリ(Coptotermes Formosanus)を用いた。試験結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
(ゴキブリに対する効力試験)
実施例3及び4、比較例3及び5を6×10×20cmのコンクリートブロックにローラーで厚み1mm(凸となる部分を除いて)になるように塗工した匍匐害虫防除塗工物を作成した。このコンクリートブロックを30×20×24cmのプラスチック容器内に入れ、そこにチャバネゴキブリ(Blattella Germanica)50頭を放飼して48時間後に観察を行った。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の組成物を用いることにより、より効率的で効果的な匍匐害虫の駆除が可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性物質と土砂を含有し、前記土砂の総量に対する粒径1.5mm以上2.0mm未満の土砂の割合が、6重量%以上であることを特徴とする匍匐害虫防除組成物。
【請求項2】
請求項1の匍匐害虫防除組成物を塗工したときの厚さが10mm未満であることを特徴とする匍匐害虫防除組成物
【請求項3】
さらに、殺虫成分を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の匍匐害虫防除組成物。
【請求項4】
請求項3の殺虫成分が、20℃における水への溶解度が100mg/L以上である匍匐害虫防除組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の匍匐害虫防除組成物を、建物コンクリート部分へローラーで塗工する匍匐害虫防除方法。

【公開番号】特開2013−70662(P2013−70662A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211756(P2011−211756)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000250018)住化エンビロサイエンス株式会社 (69)
【出願人】(395007716)株式会社竹屋化学研究所 (2)
【Fターム(参考)】