説明

化合物、組成物および方法

KSPの活性を調節することによる、細胞増殖性の疾患および疾病を治療するために有用な1,2,4-トリアジン-5-オンが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、2002年10月11日に出願されたU.S.仮出願第60/418,030号についての優先権を主張しており、この出願は参照により全ての目的で本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、有糸分裂キネシンKSPの阻害剤であり、細胞増殖性疾患、例えば癌、増殖、再狭窄、心肥大、免疫疾患、菌性疾患および炎症の治療において有用である化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
癌を治療するために使用される治療剤の中に、タキサンおよびビンカアルカロイドがあり、これらは微小管に作用する。微小管は、有糸分裂の紡錘体の一次構造要素である。有糸分裂の紡錘体は、細胞分裂から生じる2つの娘細胞のそれぞれへの、ゲノムの複製コピーの分配を引き受ける。これらの薬剤による有糸分裂の紡錘体の妨害は癌細胞の分裂の阻止および癌細胞の死の誘導を生じることが推定される。しかしながら、微小管は他のタイプの細胞構造を形成し、これは神経プロセスにおける細胞内輸送のための通路を含む。これらの剤は有糸分裂の紡錘体を特異的に標的にしないので、その有用性を制限する副作用を有する。
【0004】
癌を治療するのに使用される剤の特異性の改善は、これらの剤の投与に関連する副作用を減らすことができるなら実現される治療の利益の故に、非常に興味深いものである。慣用的には、癌の治療における劇的改善は、新規なメカニズムによって作用する治療剤の同定に関連する。この例としては、タキサンだけでなくトポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシンの種類を包含する。これら両方の見地から、有糸分裂キネシンは、新たな抗癌剤のための魅力ある目標である。
【0005】
有糸分裂キネシンは、有糸分裂の紡錘体の構築および機能に不可欠の酵素であるが、他の微小管構造の一般的部分、例えば神経プロセスにおける一般的部分ではない。有糸分裂キネシンは、有糸分裂のすべての期中に必須の役割を演ずる。これらの酵素は、ATPの加水分解から放出されるエネルギーを、微小管に沿って細胞積荷の直接の動きを操縦する機械的な力に変換する「分子モーター」である。この課題のために十分な触媒ドメインは、約340個のアミノ酸からなる小型の構造である。有糸分裂中、キネキンは微小管を、有糸分裂の紡錘体である2極構造へと組織化する。キネシンは、紡錘体の微小管に沿った染色体の動きならびに、有糸分裂の特定の期に関連する有糸分裂の紡錘体における構造変化を仲介する。有糸分裂キネシンの機能の実験的混乱は、細胞周期の停止状態および細胞死をしばしば生じる有糸分裂の紡錘体の奇形および機能不全を引き起こす。
【0006】
同定された有糸分裂キネシンの中にKSPがある。KSPは、逆平行ホモダイマーからなる2極ホモテトラマーへと集合するプラス末端指向(plus end-directed)微小管モーターの進化論的に保存されたキネシン亜科に属する。有糸分裂中、KSPは有糸分裂の紡錘体の微小管と関連する。ヒト細胞へのKSPに対して指向する抗体のミクロ注入は、前中期中の紡錘体の極の分離を妨げ、単極の紡錘体を生じさせ、有糸分裂の停止状態およびプログラムされた細胞死の誘導をもたらす。KSPおよび他の非ヒト生物体における関連するキネシンは、逆平行の微小管を束ね、互いに対してそれらを滑らせ、かくして2つの紡錘体の極を離れさせる。KSPはまた、後期Bにおいて紡錘体伸長および紡錘体の極における微小管の集束を仲介し得る。
【0007】
ヒトのKSP(またHsEg5と呼ばれる)が記載され(Blangyら、Cell, 83: 1159-69 (1995); Whiteheadら、Arthritis Rheum., 39: 1635-42 (1996); Galgioら、J. Cell Biol., 135: 339-414 (1996); Blangyら、J. Biol. Chem., 272: 19418-24 (1997); Blangyら、Cell Motil Cytoskeleton, 40: 174-82 (1998); WhiteheadおよびRattner, J. Cell Sci., 111: 2551-61 (1998); Kaiserら、JBC 274: 18925-31 (1999); GenBank 受入番号: X85137, NM004523およびU37426)ならびにKSP遺伝子の断片(TRIP5)が記載されている(Leeら、Mol Endocrinol., 9: 243-54 (1995); GenBank受入番号L40372)。Xenopus KSP同族体(Eg5)ならびにDorosophila KLP61F/KRP1 30が報告された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
有糸分裂キネシンは、新規な抗有糸分裂化学療法の発見および開発のための魅力的な目標である。したがって、本発明の目的は、KSP、有糸分裂キネシンの阻害に有用な方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
先に概略を述べた目的にしたがって、本発明は、細胞を増殖させる疾患を治療するために使用することができる組成物および方法を提供する。組成物は、KSP阻害剤、特にヒトKSP阻害剤である。
【0010】
1つの実施態様においては、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための方法、KSPの活性を調節することによる疾患を治療するための方法、およびKSPキネシンを阻害するための方法に関する。これらの方法は、式I:
【化1】

【0011】
(式中、
TおよびT’は独立して、共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は一緒になって置換されていてもよい3-〜7-員環を形成し;
R3は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-、置換されていてもよい複素環-、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選択され;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-および置換されていてもよい複素環-から選択され;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR12-NH-から選択されるか;または
R5はR3およびそれらが結合される窒素と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込むか;または
R5はR2と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込み;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R12は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;かつ
R4は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アルキルチオ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいN-複素環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される)
によって示される1種以上の化合物(式Iは、単一の立体異性体および立体異性体の混合物を包含する)、式Iの化合物の薬学的に許容される塩;式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物を使用する。
【0012】
1つの態様においては、本発明は、治療上有効な量の式Iの化合物;式Iの化合物の薬学的に許容される塩;式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物の投与によってKSPを阻害することにより治療することができる細胞増殖性疾患および他の疾患を治療するための方法に関する。そのような疾病および疾患としては、癌、増殖、再狭窄、心肥大、免疫疾患、菌性疾患および炎症を包含する。
【0013】
別の態様においては、本発明は、KSPキネシンを阻害するのに有用な化合物に関する。この化合物は、式Iで先に示した構造、式Iの化合物の薬学的に許容される塩;式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物を有する。本発明はまた、治療に有効な量の式Iの化合物;式Iの化合物の薬学的に許容される塩;式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物;および1種以上の製薬上の賦形剤を含む医薬組成物に関する。別の態様においては、組成物はさらに、本発明の化合物以外の化学療法剤を含む。
【0014】
さらなる態様においては、本発明は、KSPキネシンに結合する化合物、例えば本発明の化合物の結合に取って代るかまたはこれと競争する化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、標識された本発明の化合物、KSPキネシンおよび少なくとも1種の候補剤を合わせること、ならびに候補剤のKSPキネシンへの結合を決定することを含む。
【0015】
さらなる態様においては、本発明は、KSPキネシン活性の調節剤をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、本発明の化合物、KSPキネシンおよび少なくとも1種の候補剤をあわせること、ならびに候補剤のKSPキネシン活性への効果を決定することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用されるように、以下の語および語句は一般に、それらが使用される状況が他を示す範囲を除いて、以下に示す意味を有すると解釈される。以下の略語および用語は、全体にわたって示された意味を有する。
【0017】
Ac = アセチル
BNB = 4-ブロモメチル-3-ニトロ安息香酸
Boc = t-ブチルオキシカルボニル
Bu = ブチル
c- = シクロ
CBZ = カルボベンズオキシ = ベンジルオキシカルボニル
DBU = ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン
DCM = ジクロロメタン = 塩化メチレン = CH2Cl2
DCE = ジクロロエタン
DEAD =アゾジカルボン酸ジエチル
DIC = ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA = N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP = 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
DVB = 1,4-ジビニルベンゼン
EEDQ = 2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン
Et = エチル
Fmoc = 9-フルオレニルメトキシカルボニル
GC = ガスクロマトグラフィー
HATU = ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム
HMDS = ヘキサメチルジシラザン
HOAc = 酢酸
HOBt = ヒドロキシベンゾトリアゾール
Me = メチル
mesyl = メタンスルホニル
MTBE = メチルt-ブチルエーテル
NMO = N-メチルモルホリンオキシド
PEG = ポリエチレングリコール
Ph = フェニル
PhOH = フェノール
PfP = ペンタフルオロフェノール
PPTS = p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
Py = ピリジン
PyBroP = ヘキサフルオロリン酸ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム
rt = 室温
sat’d = 飽和
s- = 2級
t- = 3級
TBDMS = t-ブチルジメチルシリル
TES = トリエチルシリル
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン
TMOF = オルト蟻酸トリメチル
TMS = トリメチルシリル
tosyl = p-トルエンスルホニル
Trt = トリフェニルメチル
アルキルは、直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素構造およびその組合せを含むと解釈され、その構造は、飽和もしくは不飽和であることができる。低級アルキルは、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子のアルキル基をいう。低級アルキル基の例には、メチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、s-およびt-ブチル等が含まれる。好ましいアルキル基は、C20以下のものである。より好ましいアルキル基は、C13以下のものである。シクロアルキルは、アルキルの部分集合であり、3〜13個の炭素原子の環状脂肪族炭化水素基を包含する。シクロアルキル基の例には、c-プロピル-、c-ブチル-、c-ペンチル-、ノルボルニル-、アダマンチル等が含まれる。シクロアルキル-アルキルは、アルキルの別の部分集合であり、非環状アルキル-によって親構造に付けられたシクロアルキルをいう。シクロアルキル-アルキルの例には、シクロヘキシルメチル-、シクロプロピルメチル-、シクロヘキシルプロピル-等が含まれる。本明細書においては、アルキルは、アルカニル-、アルケニル-およびアルキニル残基を包含し、ビニル-、アリル-、イソプレニル-等を含むと解釈される。特定の数の炭素を有するアルキル残基が名づけられるとき、その数の炭素を有する全ての幾何異性体が包含されると解釈され、かくして、例えば「ブチル」は、n-ブチル-、sec-ブチル-、イソブチル-およびt-ブチル-を含むことを意味し、「プロピル」は、n-プロピル-、イソプロピル-およびc-プロピル-を含む。
【0018】
アルキレン-、アルケニレン-およびアルキニレン-は、アルキル-の他の部分集合であり、化学構造内に2点の結合点を有する他はアルキル-と同じ残基を包含する。アルキレンの例には、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ジメチルプロピレン(-CH2C(CH3)2CH2-)およびシクロヘキシルプロピレン(-CH2CH2CH(C6H13)-)が含まれる。同様に、アルケニレンの例には、エテニレン(-CH=CH-)、プロペニレン(-CH=CH-CH2-)およびシクロヘキシルプロペニレン(-CH=CHCH(C6H13)-)が含まれる。アルキニレンの例には、エチニレン(-C≡C-)およびプロピニレン(-C≡C-CH2-)が含まれる。
【0019】
シクロアルケニルは、アルキルの部分集合であり、3〜13個の炭素原子の不飽和環状炭化水素基を包含する。シクロアルケニル基の例には、c-ヘキセニル-、c-ペンテニル-等が含まれる。
【0020】
アルコキシまたはアルコキシルは、酸素によって親構造に結合された、直鎖、分岐、または環状の配置またはそれらの組合せの、好ましくは1〜8個の炭素原子を含むアルキル基をいう(すなわち基アルキル-O-)。例としては、メトキシ-、エトキシ-、プロポキシ-、イソプロポキシ-、シクロプロピルオキシ-、シクロヘキシルオキシ-等を包含する。低級アルコキシは、1〜4個の炭素を含むアルコキシ基をいう。
【0021】
アシルは、カルボニル官能性によって親構造に結合された、直鎖、分岐、または環状の配置またはそれらの組合せの、1〜8個の炭素原子の基をいう。そのような基は、飽和もしくは不飽和であることができ、脂肪族もしくは芳香族であることができる。アシル残基の1個以上の炭素は、親への結合点がカルボニルに残る限り、酸素、窒素(例えばカルボキシアミド)または硫黄によって置換されることができる。例としては、アセチル-、ベンゾイル-、プロピオニル-、イソブチリル-、オキサリル-、t-ブトキシカルボニル-、ベンジルオキシカルボニル-、モルホリニルカルボニル等を包含する。低級アシルは、1〜4個の炭素を含むアシル基をいう。
【0022】
アミノは、基-NH2をいう。「置換アミノ」という語は、基-NHRまたは-NRRをいい、ここで各Rは独立して、基:置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアミノカルボニル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいヘテロアリール-、置換されていてもよい複素環-、アシル-、アルコキシカルボニル-、スルファニル-、スルフィニル-およびスルホニル-から選択され、例えばジエチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、フラニル-オキシ-スルホンアミノである。置換アミノは、基NRcCORb、-NRcCO2Raおよび-NRcCONRbRcを包含し、ここで、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、またはヘテロアリール-C1〜C4アルキル-基であり;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1〜C6アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、またはヘテロアリール-C1〜C4アルキル-基であり;かつ
Rcは、水素またはC1〜C4アルキル-であり;
ここで、各置換されていてもよいRb基は独立して、非置換であるかまたは、C1〜C4アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、-C1〜C4ハロアルキル-、-OC1〜C4アルキル-、-OC1〜C4アルキルフェニル、C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールのための置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立して選択される1個以上の置換基で置換される。
【0023】
抗有糸分裂(antimitotic)薬は、例えば中期停止状態を引き起こすことによって、有糸分裂を阻止または妨害するための薬剤をいう。幾つかの抗腫瘍剤は、増殖を妨げ、抗有糸分裂薬と考えられる。
【0024】
アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ0個またはO、NもしくはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、5-もしくは6-員環の芳香族もしくはヘテロ芳香族環;それぞれ0個またはO、NもしくはSから選択される1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含む、2環系の9-もしくは10-員環の芳香族もしくはヘテロ芳香族環系;またはそれぞれ0個またはO、NもしくはSから選択される1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含む、3環系の12-〜14-員環の芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を意味する。芳香族6-〜14-員環の炭素環には、例えばフェニル-、ナフチル-、インダニル-、テトラリニル-およびフルオレニルが含まれ、5-〜10-員環の芳香族複素環式環には、例えばイミダゾリル-、ピリジニル-、インドリル-、チエニル-、ベンゾピラノニル-、チアゾリル-、フラニル-、ベンズイミダゾリル-、キノリニル-、イソキノリニル-、キノキサリニル-、ピリミジニル-、ピラジニル-、テトラゾリル-およびピラゾリル-が包含される。
【0025】
アラルキル-は、アリール部分がアルキル残基を介して親構造に結合された残基をいう。例としては、ベンジル-、フェネチル-、フェニルビニル-、フェニルアリル-等を包含する。ヘテロアラルキル-は、ヘテロアリール部分がアルキル残基を介して親構造に結合された残基をいう。例としては、フラニルメチル-、ピリジニルメチル-、ピリミジニルエチル-等を包含する。
【0026】
アラルコキシは、基-O-アラルキルをいう。同様に、ヘテロアラルコキシ-は、基-O-ヘテロアラルキル-をいい;アリールオキシは、基-O-アリール-をいい;アシルオキシ-は、基-O-アシル-をいい;ヘテロアリールオキシ-は、基-O-ヘテロアリール-をいい;複素環オキシ-は、基-O-複素環をいう(すなわち、アラルキル-、ヘテロアラルキル-、アリール-、アシル-、複素環-またはヘテロアリールが、酸素によって親構造に結合される)。
【0027】
カルボキシアルキル-は、基-アルキル-COOHをいう。
【0028】
アミノカルボニルは、基-CONRbRcをいい、ここで、
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1〜C6アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、またはヘテロアリール-C1〜C4アルキル-基であり;かつ
Rcは、水素またはC1〜C4アルキル-であり;
ここで、各置換されていてもよいRb基は独立して、非置換であるかまたは、C1〜C4アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、-C1〜C4ハロアルキル-、-OC1〜C4アルキル-、-OC1〜C4アルキルフェニル、C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールのための置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立して選択される1個以上の置換基で置換される。アミノカルボニルは、カルバモイル-;低級-アルキルカルバモイル-;ベンジルカルバモイル-;フェニルカルバモイル-;メトキシメチルカルバモイル-等を包含することを意味する。
【0029】
ハロゲンまたはハロは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。フッ素、塩素および臭素が好ましい。ジハロアリール-、ジハロアルキル-、トリハロアリール-等は、示された複数のハロゲン(ここでは、それぞれ2、2および3個)で置換されたアリールおよびアルキルをいうが、必ずしも複数の同じハロゲンではなく、かくして4-クロロ-3-フルオロフェニルは、ジハロアリール-の範囲内にある。
【0030】
複素環(heterocyclyl)は、1〜4個の炭素がヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄で置換されたシクロアルキルまたはアリール残基を意味する。本発明の範囲内にある複素環の例としては、アゼチジニル-、イミダゾリニル-、ピロリジニル-、ピラゾリニル-、ピロリル-、インドリル-、キノリニル-、イソキノリニル-、テトラヒドロイソキノリニル-、ベンゾフラニル-、ベンゾジオキサニル-、ベンゾジオキシル(一般に、置換基として生じるときには、メチレンジオキシフェニルと称される)、テトラゾリル-、モルホリニル-、チアゾリル-、ピリジニル-、ピリダジニル-、ピペリジニル-、ピリミジニル-、チエニル-、フラニル-、オキサゾリル-、オキサゾリニル-、イソキサゾリル-、ジオキサニル-、テトラヒドロフラニル-等が包含される。「N-複素環」は、窒素含有複素環をいう。
【0031】
複素環という語はヘテロアリール-を包含し、これは複素環-の部分集合である。N-複素環残基の例には、アゼチジニル-、4-モルホリニル-、4-チオモルホリニル-、1-ピペリジニル-、1-ピロリジニル-、3-チアゾリジニル-、ピペラジニル-および4-(3,4-ジヒドロベンズオキサジニル)が含まれる。置換された複素環の例としては、4-メチル-1-ピペラジニルおよび4-ベンジル-1-ピペリジニルを含む。
【0032】
脱離基または原子は、反応条件下で出発物質から開裂し、かくして特定の部位で反応を促進する、任意の基または原子である。そのような基の適当な例は、他に特定されなければ、ハロゲン原子、メシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシおよびトシルオキシ基である。
【0033】
「任意に(〜されていてもよい、場合により)」は、次に記載される事象または状況が生じるかまたは生じないことがあり得ることを意味し、その記載は、該事象または状況が生じる例および生じない例を包含することを意味する。例えば、「置換されていてもよいアルキル」は、本明細書で定義されるように、「アルキル」および「置換アルキル」を包含する。1個以上の置換基を含む任意の基に関して、そのような基は、立体的に実際的でないか、および/または合成的に可能でないか、および/または本質的に不安定である任意の置換または置換パターンを誘導すると解釈されないことは、当業者に理解されるであろう。
【0034】
置換アルコキシは、アルキル成分が置換されたアルコキシ(すなわち-O-(置換アルキル))をいう。1つの適当な置換アルコキシ基は、「ポリアルコキシ」または-O-(置換されていてもよいアルキレン)-(置換されていてもよいアルコキシ)であり、基、例えば-OCH2CH2OCH3およびグリコールエーテルの残基、例えばポリエチレングリコール、および-O(CH2CH2O)xCH3(ここでxは約2〜20、好ましくは約2〜10、より好ましくは約2〜5の整数である)を包含する。別の適当な置換アルコキシ基は、ヒドロキシアルコキシまたは-OCH2(CH2)yOH(ここでyは約1〜10、好ましくは約1〜4の整数である)である。
【0035】
置換されたアルキル-、アリール-およびヘテロアリール-はそれぞれ、1個以上の(約5個まで、好ましくは約3個までの)水素原子が、-Ra、-ORb、-O(C1〜C2アルキル)O-(例えばメチレンジオキシ-またはエチレンジオキシ-)、-SRb、グアニジン、1個以上のグアニジン水素が低級アルキル基で置換されたグアニジン、-NRbRc、ハロゲン、シアノ、ニトロ、-CORb、-CO2Rb、-CONRbRc、-OCORb、-OCO2Ra、-OCONRbRc、-NRcCO2Rb、-NRcCO2Ra、-NRcCONRbRc、-CO2Rb、-CONRbRc、-NRcCORb、-SORa、-SO2Ra、-SO2NRbRcおよび-NRcSO2Raから独立して選択される置換基によって置換されたアルキル-、アリール-およびヘテロアリールをいい、ここで、
Raは、置換されていてもよいC1〜C6アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、またはヘテロアリール-C1〜C4アルキル-基であり、
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC1〜C6アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、またはヘテロアリール-C1〜C4アルキル-基であり、
Rcは、水素またはC1〜C4アルキル-であり;
ここで、各置換されていてもよいRa基およびRb基は独立して、非置換であるかまたは、C1〜C4アルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、アリール-C1〜C4アルキル-、ヘテロアリール-C1〜C4アルキル-、-C1〜C4ハロアルキル-、-OC1〜C4アルキル-、-OC1〜C4アルキルフェニル、C1〜C4アルキル-OH、-OC1〜C4ハロアルキル、ハロゲン、-OH、-NH2、-C1〜C4アルキル-NH2、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-NH(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキルフェニル)、-NH(C1〜C4アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールのための置換基として)、-CO2H、-C(O)OC1〜C4アルキル、-CON(C1〜C4アルキル)(C1〜C4アルキル)、-CONH(C1〜C4アルキル)、-CONH2、-NHC(O)(C1〜C4アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(C1〜C4アルキル)、-N(C1〜C4アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C1〜C4アルキル、-C(O)C1〜C4アルキルフェニル、、-C(O)C1〜C4ハロアルキル、-OC(O)C1〜C4アルキル、-SO2(C1〜C4アルキル)、-SO2(フェニル)、-SO2(C1〜C4ハロアルキル)、-SO2NH2、-SO2NH(C1〜C4アルキル)、-SO2NH(フェニル)、-NHSO2(C1〜C4アルキル)、-NHSO2(フェニル)および-NHSO2(C1〜C4ハロアルキル)から独立して選択される1個以上の置換基で置換される。Tおよび/またはT’が置換されたアルキレンである式Iの化合物においては、「置換された」という語はまた、1個以上の(約3個までの、特に1個の)炭素原子がO、NまたはSから独立して選択されるヘテロ原子によって置換されたアルキレン基をいい、例えば-CH2-S-CH2-である。
【0036】
スルファニルは、基:-S-(置換されていてもよいアルキル)、-S-(置換されていてもよいアリール)、-S-(置換されていてもよいヘテロアリール)および-S-(置換されていてもよい複素環)をいう。
【0037】
スルフィニルは、基:-S(O)-H、-S(O)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、-S(O)-(置換されていてもよい複素環)および-S(O)-(置換されていてもよいアミノ)をいう。
【0038】
スルホニルは、基-S(O2)-H、-S(O2)-(置換されていてもよいアルキル)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリール)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリール)、--S(O2)-(置換されていてもよい複素環)、-S(O2)-(置換されていてもよいアルコキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいアリールオキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよいヘテロアリールオキシ)、-S(O2)-(置換されていてもよい複素環オキシ)および-S(O2)-(置換されていてもよいアミノ)をいう。
【0039】
薬学的に許容される塩は、遊離化合物の生物学的効力を保持し、生物学的に望ましくないかまたは医薬用途のために適当でないということがない、適当な酸または塩基で形成される塩をいい、薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩を包含する。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等から誘導されるものならびに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等から誘導されるものを包含する。
【0040】
薬学的に許容される塩基付加塩としては、無機塩基から誘導されるもの、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が包含される。特定の実施態様は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩基付加塩はまた、1級、2級および3級アミン、置換アミン(天然に生じる置換アミンを含む)、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンの塩を含む、薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導されるものを包含する。
【0041】
保護基は、有機合成において慣用的にそれと関連する意味を有し、すなわち、別の保護されていない反応部位で選択的に化学反応を行なうことができるように、かつその基は選択的反応が完了した後に容易に除去することができるように、多官能性化合物における1つ以上の反応性部位を選択的に妨げる基である。例えばT.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley & Sons, New York(1999)(引用することによってその全部が本明細書に組み入れられる)において、種々の保護基が開示されている。例えばヒドロキシ保護形態は、化合物に存在する少なくとも1個のヒドロキシル基がヒドロキシ保護基で保護される場合である。同様に、アミンおよび他の反応性基が同様に保護され得る。
【0042】
溶媒和物は、溶媒および式Iの化合物またはその塩の相互作用によって形成される化合物をいう。式Iの化合物またはその塩の適当な溶媒和物は、水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物である。
【0043】
本明細書に記載された化合物の多くは、1個以上の不斉中心(例えば、R2がR2’と異なる場合に R2およびR2’が結合する炭素)含み、かくして鏡像体、ジアステレオマーおよび、(R)-または(S)-のような絶対的な立体化学によって定義され得る他の立体異性体形態を生じさせることができる。本発明は、全てのそのような可能な異性体(ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間体混合物を含む)を包含することを意味する。光学活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて製造することができるか、または慣用の技術を用いて分割することができる。本明細書に記載された化合物は、オレフィン二重結合または他の幾何的不斉中心を含み、他で特定しなければ、化合物は、EおよびZの両方の幾何異性体を含むと解釈される。同様に、全ての互変異性体形態および回転異性体がまた包含されると解釈される。
【0044】
所望のときは、R-およびS-異性体は、当業者に公知の方法によって、例えば、例えば結晶化によって分離することができるジアステレオマー塩または錯体の形成によって;例えば結晶化、気-液もしくは液体クロマトグラフィーによって分離することができるジアステレオマー誘導体の形成によって;1つの鏡像体の鏡像体特異的試薬との選択的反応、例えば酵素的酸化もしくは還元、次いで変性および未変性の鏡像体の分離によって;または、キラル環境、例えばキラルな担体、例えば結合されたキラルリガンドを有するシリカ上で、もしくはキラル溶媒の存在下での気-液もしくは液体クロマトグラフィーによって、分割することができる。所望の鏡像体が、上記した分離法の1つによって別の化学的存在へと転化される場合には、所望の鏡像体形態を遊離させるのにさらなる工程が必要とされ得ることが認識される。あるいは、特定の鏡像体は、光学活性な試薬、基質、触媒または溶媒を用いた不斉合成によって、または不斉変換により1つの鏡像体を他の鏡像体へと転化することによって、合成することができる。
【0045】
本発明の化合物
本発明は、1種の新規な化合物に関し、これは、1,2,4-トリアジン-5-オン誘導体として記載することができ、1種以上の有糸分裂キネシンの阻害剤である。他のキネシン(例えば輸送キネシン)でなく有糸分裂キネシンを阻害することによって、細胞増殖の特異的阻止が達成される。いかなる理論にも結び付けられることを意図しないが、本発明は、有糸分裂キネシンの機能の混乱が有糸分裂の紡錘体の奇形または機能不全を引き起こし、しばしば細胞周期の停止および細胞死を生じるという発見を利用する。本発明の1つの実施態様に従えば、本明細書に記載された化合物は、有糸分裂キネシン、KSP、特にヒトKSPを阻害する。別の実施態様においては、化合物は有糸分裂キネシン、KSPを阻害し、ならびに、HSET(U.S. Patent No. 6,361,993参照、参照により本明細書に組み入れられる);MCAK(U.S. Patent No.6,331,424参照、参照により本明細書に組み入れられる);CENP-E(PCT公報 No.WO99/13061参照、参照により本明細書に組み入れられる);Kif4(U.S. Patent No.6,440,684参照、参照により本明細書に組み入れられる);MKLP1(U.S. Patent No.6,448,025参照、参照により本明細書に組み入れられる);Kif15(U.S. Patent No.6,355,466参照、参照により本明細書に組み入れられる);Kid(U.S. Patent No.6,387,644参照、参照により本明細書に組み入れられる);Mpp1、CMKrp、KinI-3(U.S. Patent No.6,461,855参照、参照により本明細書に組み入れられる);Kip3a(PCT公報 No.WO01/96593参照、参照により本明細書に組み入れられる);Kip3d(U.S. Patent No.6,492,151参照、参照により本明細書に組み入れられる)およびRabK6からなる群より選択される1種以上のヒト有糸分裂キネシンを調節する。
【0046】
有糸分裂キネシンを阻害する方法は、本発明の阻害剤をキネシン、特にヒトのキネシン、より詳細にはヒトKSPまたはその断片および変異体と接触させることを含む。阻害は、有糸分裂の紡錘体が破壊されるように、KSPキネシンのATP加水分解活性および/または有糸分裂の紡錘体の形成活性について行なわれ得る。減数分裂の紡錘体がまた破壊され得る。
【0047】
本発明は、細胞増殖に関連する疾患を治療するために、有糸分裂キネシン、特にKSP、特にヒトKSPの阻害剤を提供する。本明細書に記載した化合物、組成物および方法は、その選択性において異なることができ、限定されることはないが、癌、増殖、再狭窄、心肥大、免疫疾患、菌性疾患および炎症を含む細胞増殖の疾患を治療するために使用される。
【0048】
したがって、本発明は、式I:
【化2】

【0049】
(式中、
TおよびT’は独立して、共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は一緒になって置換されていてもよい3-〜7-員環を形成し;
R3は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-、置換されていてもよい複素環-、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選択され;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-および置換されていてもよい複素環-から選択され;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR12-NH-から選択されるか;または
R5はR3およびそれらが結合される窒素と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込むか;または
R5はR2と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込み;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R12は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;かつ
R4は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アルキルチオ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいN-複素環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される)
によって示される1種以上の化合物(式Iは、単一の立体異性体および立体異性体の混合物を包含する)、式Iの化合物の薬学的に許容される塩;式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物を使用する方法に関する。特定の実施態様においては、R2およびR2’が結合される立体中心がR配置を有する。
【0050】
命名法
式Iの化合物は、以下のように名前をつけられ、番号をつけられる。例えば、化合物:
【化3】

【0051】
すなわち、TおよびT’が不在であり、R1がベンジルであり、R2がプロピル(特にi-プロピル)であり、R2’が水素であり、R3が-C(O)R6であり、R4がメチルであり、R5がアミノプロピルであり、かつR6がp-トシルである、式Iに従う化合物は、N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミドと命名することができる。
【0052】
同様に、化合物
【化4】

【0053】
すなわち、TおよびT’が不在であり、R1がベンジルであり、R2がエチルであり、R2’が水素であり、R3およびR5が一緒になって置換イミダゾリルを形成し、かつR4が水素である、式Iに従う化合物は、4-ベンジル-3-[1-(2-メチル-イミダゾール-1-イル)-プロピル]-4H-[1,2,4]トリアジン-5-オンと命名することができる。
【0054】
合成反応パラメータ
式Iの化合物は、以下の反応スキームに関して記載された手順に従って製造することができる。
【0055】
他に特定されなければ、「溶媒」、「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」という語は、それと関連して記載されている反応の条件下で不活性な溶媒を意味する[例えばベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジン等]。それと反対に特定されていなければ、本発明の反応において使用される溶媒は、不活性有機溶媒である。
【0056】
「q.s.」という語は、記載された機能を達成するために、例えば溶液を所望の体積(すなわち100%)にするために十分な量を添加することを意味する。一般に、カルボン酸のエステルは、慣用のエステル化の手順によって製造することができ、例えばアルキルエステルは、必要とされる活性化されたカルボン酸を適当なアルカノールで、一般に酸性条件下で処理することによって製造できる。同様に、アミドは、慣用のアミド化の手順を用いて製造することができ、例えばアミドは、活性化されたカルボン酸を適当なアミンで処理することによって製造できる。あるいは、酸の低級アルキルエステル、例えばメチルエステルを、任意にトリメチルアルミニウムの存在下で、Tetrahedron Lett. 48, 4171-4173, (1977)に記載された手順に従って、アミンで処理して、必要とされるアミドを提供することができる。カルボキシル基は、アルキルエステル、たとえばメチルエステルとして保護することができ、このエステルは、慣用の手順を用いて製造し、かつ除去することができ、カルボメトキシをカルボキシルへ転化するための1つの慣用の方法は、水性水酸化リチウムを使用することである。
【0057】
本明細書に挙げられた化合物の塩および溶媒和物は、必要なときに、当技術分野で慣用の方法によって製造することができる。例えば、本発明の化合物が酸であるなら、所望の塩基付加塩は、遊離の酸を無機もしくは有機塩基、例えばアミン(1級、2級または3級);アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物等で処理することによって製造できる。適当な塩の典型例は、アミノ酸、例えばグリシンおよびアルギニン;アンモニア;1級、2級および3級アミン;例えばエチレンジアミンおよび環状アミン、例えばシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンから誘導される有機塩;ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩を包含する。
【0058】
化合物が塩基なら、所望の酸付加塩は、当技術分野で公知の任意の適当な方法によって製造することができ、遊離の塩基を、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等または、有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸、α-ヒドロキシ酸、例えばクエン酸または酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸または桂皮酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等で処理することを含む。
【0059】
本明細書に記載された化合物および中間体の分離および精製は、所望なら、任意の適当な分離または精製方法、例えばろ過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは厚層クロマトグラフィーまたはこれらの方法の組合せによって行なうことができる。適当な分離精製方法の詳細な例は、以下の実施例を参考にして得ることができる。しかしながら、他の同等の分離または精製方法をまたもちろん使用することができる。
【0060】
式Iの化合物の合成
式Iの化合物は、以下の反応スキームに関して記載された手順に従って製造することができる。またPCT WO 03/39460, WO 03/49678, WO 03/50122, WO 03/49527, WO 03/49679, WO 03/50064参照。これらのそれぞれは、すべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0061】
反応スキームの簡単な説明
反応スキーム1は、R3が-C(O)R6である式Iの化合物の合成を説明する。
【0062】
反応スキーム2は、R3が-SO2R6aである式Iの化合物の合成を説明する。
【0063】
反応スキーム3は、式Iの化合物の合成を説明する。
【0064】
反応スキーム4は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいイミダゾリルを形成する式Iの化合物の合成を説明する。
【0065】
反応スキーム5は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいイミダゾリルを形成する、式Iの化合物の代替的合成を説明する。
【0066】
反応スキーム6は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいイミダゾリニルを形成する式Iの化合物の合成を説明する。
【0067】
反応スキーム7は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいイミダゾリニルを形成する、式Iの化合物の代替的合成を説明する。
【0068】
反応スキーム8は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいジアゼパノン環を形成する式Iの化合物の合成を説明する。
【0069】
反応スキーム9は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいジアゼパノン環を形成する式Iの化合物の別の合成を説明する。
【0070】
反応スキーム10は、R3およびR5が一緒になって置換されていてもよいピペラジン環を形成する式Iの化合物の合成を説明する。
【0071】
出発物質
式101および他の反応体の保護されたα-アミノ酸は、例えばAldrich Chemical Company, Milwaukee, WIから市販されていて入手可能であるか、または一般的に使用される合成法を用いて当業者が容易に製造できる。
【0072】
反応スキーム1
【化5】

【0073】
式102の製造
反応スキーム1、工程1に言及すると、不活性有機溶媒(例えばTHF)中の適当に保護されたα-アミノ酸(好ましくは保護基PGがCBZである式101の化合物)の溶液に、クロロ蟻酸エチルおよび3級アミン塩基(例えばトリエチルアミンまたはDIEA)が、0℃で添加される。反応混合物は、窒素下で撹拌される。1時間後、R1-NH2(ここでR1は上記したのと同様)の式を有する1級アミンが、5〜10分間かけて添加される。添加が終了したら、反応溶液は室温に温められる。反応混合物は、1〜4時間撹拌される。置換されていてもよいα-アミノアミド(式102の化合物)が分離され、精製される。
【0074】
式103の製造
反応スキーム1、工程2に言及すると、ジクロロメタン中の式102の化合物およびMeerwein塩(例えば6フッ化リン酸トリエチルオキソニウム)の溶液が、14〜24時間撹拌される。生成物である式103のイミデートが分離され、さらに精製することなく次の工程に使用される。
【0075】
式104の製造
反応スキーム1、工程3に言及すると、極性の非プロトン溶媒(例えばTHF)中の式103のイミデートの溶液に、ドラジンのTHF中の溶液が添加される。反応混合物は4〜9時間撹拌される。生成物である式104のヒドラジジンが分離精製される。
【0076】
式106の製造
反応スキーム1、工程4に言及すると、EtOHまたはトルエン中の式104のヒドラジジンおよび式105の試薬の溶液が4〜10時間還流される。触媒量の酢酸が添加される。還流がさらに6〜10時間続けられる。生成物である式106の1,2,4-トリアジン-5-オンが分離精製される。
【0077】
式107の製造
反応スキーム1、工程5に言及すると、式106の化合物のアミノ保護基が除去される。例えば、アミノ保護基PGがCBZである式106の1,2,4-トリアジン-5-オンの極性溶媒例えばメタノール中の溶液に、炭素上10%Pdが添加される。反応混合物は、H2流(20〜40psi)下で40分〜2時間撹拌される。生成物である式107の化合物が分離され、さらに精製することなく次の工程に使用される。当業者は、他の保護基の除去は、当技術分野で公知の条件を用いて達成できることを容易に認識するであろう。例えばGreeneら、前出参照。
【0078】
式108の製造
反応スキーム1、工程6に言及すると、式107の1,2,4-トリアジン-5-オンの溶液に、少し過剰(好ましくは約1.2当量)のR5’を含むアルデヒド(すなわち、式R5’CHOを有する化合物、ここで、R5’CH2-はR5に等価であり、R5は上記したのと同様であるか、またはそのような置換基に対する保護された前駆体であり、例えば(3-オキソ-プロピル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルである)および還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが連続的に添加される。得られた混合物は数時間撹拌される。生成物である式108の1,2,4-トリアジン-5-オンは分離精製される。
【0079】
式109の製造
反応スキーム1、工程7に言及すると、極性の非プロトン溶媒、例えばジクロロメタン中の式108の1,2,4-トリアジン-5-オンおよびアミン塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの溶液に、R6塩化アシル(例えばCl-C(O)-R6、ここでR6は上記したのと同様である)が添加される。得られた溶液は窒素下で室温にて数時間撹拌される。生成物である式109の1,2,4-トリアジン-5-オンは分離精製される。
【0080】
場合により、式109の化合物の任意の保護基が次に除去される。例えばR5が保護されたアミン(ここで保護基はBoc基である)を含むなら、極性の非プロトン溶媒、例えばジクロロメタン中の式109の1,2,4-トリアジン-5-オンの溶液に、反応をほぼ室温に維持しながら、トリフルオロ酢酸が添加される。反応は、例えばTLCによって監視される。終了すると、生成物である遊離のアミンが分離精製される。
【0081】
光学活性な化合物の製造
本発明のある化合物においては、特定の立体配置(例えば(R)異性体)が、R2が結合される立体中心で好ましくあり得る。光学活性な化合物は、当技術分野で公知の方法によって製造できる。例えば、式107のアミンが、不活性有機溶媒(例えばIPA)に溶解され、60℃に暖められる。別の容器に、分割剤(例えばジベンゾイル-D-酒石酸)が、好ましくは同じ暖かい溶媒中に溶解された後、直ちに暖かいアミン溶液に(撹拌しながら)添加される。反応混合物は、連続撹拌下で室温に16時間かけて冷却することによって結晶化される。所望の異性体、例えば(R)異性体が分離精製される。
【0082】
式Iの化合物の合成の残る記載を簡潔にするために、単一異性体または異性体混合物を使用して対応する生成物を与えることができることが、理解されるべきである。
【0083】
反応スキーム2
【化6】

【0084】
反応スキーム2に言及すると、極性の非プロトン溶媒(例えばジクロロメタン)中の式108の1,2,4-トリアジン-5-オンおよびアミン塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の溶液に、式Cl-S(O)2-R6aまたはO-(S(O)2-R6a)2(ここで、R6aは上記したのと同様である)を有する化合物が添加される。得られた溶液は、窒素下で室温にて数時間撹拌される。生成物である式201の1,2,4-トリアジン-5-オンが分離精製される。
【0085】
反応スキーム3
【化7】

【0086】
反応スキーム3に言及すると、極性の非プロトン溶媒(例えばジクロロメタン)中の式108の1,2,4-トリアジン-5-オンおよびアミン塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン)の溶液に、式X-R3(ここでXは脱離基であり、R3は上記したのと同様である)を有する化合物が添加される。得られた溶液は、窒素下で室温または加熱して、数時間撹拌される。生成物である式301の1,2,4-トリアジン-5-オンが分離精製される。
【0087】
反応スキーム4
【化8】

【0088】
式401の製造
反応スキーム4、工程1に言及すると、極性の非プロトン溶媒(例えばDMF)中の式107の置換されていてもよい化合物に、塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下で、1当量の置換されていてもよい適当に保護されたアルデヒドが添加され、そのようなアルデヒドはさらに、脱離基、好ましくはハライドを含む。溶液は、(例えばTLCによって)反応の終了を監視しながら、還流下で加熱される。反応混合物は冷却され、対応する式401の置換されていてもよい1,2,4-トリアジン-5-オンが分離精製される。
【0089】
式402の製造
反応スキーム4、工程2に言及すると、不活性溶媒(例えばジクロロメタン)中の式401の置換されていてもよい化合物に、約1.5モル当量のアミン塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で、約1.5モル当量のR8酸塩化物、たとえばCl-C(O)-R8(ここでR8は以下に記載するのと同様である)が添加される。反応は、攪拌しながら、室温にて4〜24時間かけて行われる。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式402の化合物が分離精製される。
【0090】
式403の製造
反応スキーム4、工程3に言及すると、酢酸中の式402の化合物および過剰の酢酸アンモニウムが、還流下で1〜4時間加熱される。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式403の化合物が分離精製される。
【0091】
スキーム5
【化9】

【0092】
式501の製造
反応スキーム5、工程1に言及すると、極性の非プロトン溶媒、例えばDMF中の式107の化合物、式R9(CO)CH2X(ここでXはハライドである)のα-ハロケトン試薬、およびほぼ当量の塩基、例えば炭酸カリウムの懸濁物が、室温にて攪拌される。反応は水で希釈され、得られた固体である式501の化合物は、さらに精製されることなく次の工程で使用される。
【0093】
式502の製造
反応スキーム5、工程2に言及すると、有機溶媒、例えば塩化メチレン中の式501の化合物、ほぼ当量のアミン塩基、例えばトリエチルアミンおよびほぼ当量の酸塩化物(例えば式R8-COClの化合物)の溶液が、室温で数時間攪拌される。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式502の化合物が分離精製される。
【0094】
式503の製造
反応スキーム5、工程3に言及すると、酢酸中の式502の化合物および過剰の酢酸アンモニウムの溶液が、Dean-Starkトラップおよび冷却管を用いて、還流下で加熱される。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式503の化合物が分離精製される。
【0095】
場合により、式503の化合物の任意の保護基が次に除去される。たとえばフタルイミド保護基が使用されるなら、以下のようにして除去することができる。極性のプロトン溶媒、例えばエタノール中の式503の化合物および過剰の無水ヒドラジンの溶液が還流下で加熱される。反応は約5℃に冷却され、沈殿物がろ別される。ろ液は、減圧濃縮され、精製されて、対応する遊離のアミンを生じる。当業者は、他の条件を使用して他の保護基を除去することができることを認識するであろう。
【0096】
反応スキーム6
【化10】

【0097】
式601の製造
反応スキーム6、工程1に言及すると、式107のアミンの、置換されていてもよいアルデヒド含有カルバミン酸エステルでの還元的アミノ化(Sekiら、Chem. Pharm. Bull. 1996, 44, 2061)は、ウレタン中間体を与える。Boc保護基の除去は、式601のアミンを与える。
【0098】
より詳細には、ジクロロメタン中の式107の化合物および当量の適当に保護されたアルデヒド(Sekiら、Chem. Pharm. Bull. 1996, 44, 2061)の溶液に、少し過剰の還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが添加される。得られた濁った混合物は、環境温度に維持される。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式601の化合物が分離され、さらに精製されることなく次の工程で使用される。
【0099】
式602の製造
反応スキーム6、工程2に言及すると、極性の非プロトン溶媒、例えばジクロロメタン中の式601の化合物の溶液に、強酸、例えばトリフルオロ酢酸が添加される。得られた溶液は、1晩環境温度に維持され、減圧下で濃縮される。残渣が分離されて、式602の化合物を与え、これは、精製することなく次の工程で使用される。
【0100】
式603の製造
反応スキーム6、工程3に言及すると、極性の非プロトン溶媒、例えばジクロロメタン中の式602の化合物の溶液に、過剰の、好ましくは約2当量のアミン塩基、例えばトリエチルメタン、次いでほぼ当量または少し過剰の、式R8C(O)Clの酸塩化物が添加される。得られた溶液は環境温度で約3時間撹拌される。終了は、例えばTLCによって監視される。対応する式603の化合物が分離精製される。
【0101】
式604の製造
反応スキーム6、工程4に言及すると、過剰のオキシ塩化リン中の式603の化合物の溶液が、還流下で加熱される。8時間後、反応混合物は環境温度に冷却され、減圧下で濃縮される。式604の対応する化合物が分離精製される。
【0102】
反応スキーム7
【化11】

【0103】
式604の製造
反応スキーム6の工程3および4に代わるものとして、式602の1級アミンのアシル化、次いで酢酸が仲介する環化を、中間体アミドを分離することなく進めて、目標とされる式604の化合物を提供することができる。この経路は、反応スキーム7に示される。
【0104】
より詳細には、極性の非プロトン溶媒、例えばジクロロメタン中の式602の化合物の溶液に、過剰の、好ましくは約2当量のアミン塩基、例えばトリエチルメタン、次いで約1当量の酸塩化物が添加される。得られた溶液は環境温度で2時間撹拌された後、減圧下で蒸発させられる。得られた固体が氷酢酸で処理された後、得られた懸濁物は還流下で約48時間加熱される。反応が環境温度に冷却された後、減圧下で蒸発させられる。式604の対応する化合物が分離精製される。
【0105】
反応スキーム8
【化12】

【0106】
反応スキーム8に言及すると、式107の化合物における1級アミノ基の、(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルでの還元的アミノ化は、対応する2級アミンを与える。塩化アクリロイルでのアシル化、次いで3級アミンの脱保護および塩基が仲介する環化は、所望のジアゼパノンを与える。所望なら、塩基性アミンのさらなる官能化は、当業者によく知られた条件下で達成することができる。
【0107】
反応スキーム9
【化13】

【0108】
反応スキーム9に言及すると、式107の化合物における1級アミノ基の、(2-オキソ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルでの還元的アミノ化は、対応する2級アミンを与える。塩化クロロピバロイルでのアシル化、次いで3級アミドの脱保護および塩基が仲介する環化は、所望のジアゼパノンを与える。所望なら、塩基性アミンのさらなる官能化は、当業者によく知られた条件下で達成することができる。
【0109】
反応スキーム10
【化14】

【0110】
反応スキーム10に言及すると、式1001の化合物、2分の1モル当量の置換されていてもよいピペラジンまたはジアゼパム(先に示したように、R32はここに記載されているのと同様)および過剰の炭酸カリウムが、有機溶媒(例えばアセトニトリル)中で合わせられる。反応は、窒素雰囲気下で温度を上げて(例えば100℃)8時間行なわれた後、幾らか低い温度(例えば60℃)で5日間行なわれる。生成物である式1003の化合物が分離精製される。
【0111】
R32がアミノ保護基、例えばBocである状況では、それは、例えばTHF/水の95/5混合物での処理、次いで室温で1時間の撹拌によって除去することもできる。生成物である式1003の化合物(R32は水素である)を分離精製することができる。所望なら、塩基性アミンのさらなる官能化は、当業者によく知られた条件下で達成することができる。
【0112】
特定のプロセスおよび最終工程
式Iの化合物は場合により、薬学的に許容される酸もしくは塩基と接触させて、対応する酸もしくは塩基付加塩を形成させる。
【0113】
式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩は任意に塩基と接触させて、式Iの対応する遊離塩基を形成させる。
【0114】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は任意に酸と接触させて、式Iの対応する遊離酸を形成させる。
【0115】
特定の化合物
TおよびT’
式Iの化合物を考えるときには、Tは置換されていてもよいアルキレンであるか、または共有結合(すなわち不在である)であり;T’は置換されていてもよいアルキレンであるか、または不在である。1つの実施態様においては、TおよびT’のうちの1方は不在(すなわち共有結合)であり、他方は置換されていてもよいアルキレン(特に置換されていてもよいメチレン)である。別の実施態様においては、両方共不在である。
【0116】
R1
式Iの化合物を考えるときには、特定の実施態様においては、R1は水素、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール-C1〜C4-アルキル-および置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4-アルキル-(特に、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいアリール-C1〜C4-アルキル-)から選択される。より特定の実施態様においては、R1は水素、置換されていてもよいC1〜C4-アルキル、置換されていてもよいフェニル-C1〜C4-アルキル、置換されていてもよいナフチルメチル、置換されていてもよいフェニルおよびナフチルから選択される。より特には、R1は置換されていてもよいフェニル-C1〜C4-アルキル、または置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4-アルキルである。
【0117】
最も特定の実施態様においては、R1はナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジルまたはナフチルメチルである。さらに特には、R1はベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルである。最も特には、R1はベンジルである。
【0118】
R2
式Iの化合物を考えるときには、当業者に認識されるように、ここで記載した化合物は、R2およびR2’が結合する炭素に潜在的にキラルな中心を有する。R2およびR2’基は同じまたは異なることができ、異なるなら、化合物はキラルである(すなわち、立体中心を有する)。R2およびR2’が異なるときには、特定の実施態様において、R2’が水素で、R2が水素以外である。本発明は、実質的に光学的に純粋な鏡像体の使用が一般に好ましいが、純粋な鏡像体および、ラセミ混合物を含む鏡像体の混合物の使用を企図する。「実質的に光学的に純粋な」または「鏡像体的に純粋な」という語は、単一不純物が約1%以下で少なくとも約95%の記載された鏡像体を有し、特に少なくとも約97.5%鏡像体過剰を意味する。特定の実施態様においては、R2およびR2’が結合する立体中心がR配置を有する。
【0119】
1つの実施態様においては、R2は置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり、R2’は水素または置換されていてもよいC1〜C4アルキルである。より特には、R2’は水素であり、R2は置換されていてもよいC1〜C4アルキルである。最も特定の実施態様においては、R2は、メチル、エチル、プロピル(特にc-プロピルまたはi-プロピル)、ブチル(特にt-ブチル)、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチルおよびヒドロキシメチルから選択され、R2’は水素である。R2’が水素であり、R2がエチルまたはプロピル(特にc-プロピルまたはi-プロピル)である場合が特に好ましい。より特には、R2はi-プロピルである。R2およびR2’が結合する立体中心がR配置を有する実施態様が、より好ましい。
【0120】
別の実施態様においては、R2およびR2’は両方共水素である。
【0121】
R5と一緒になったR2
別の実施態様においては、R2およびR5は一緒になって、任意に、N、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込み、1個以上の以下の基:アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、置換アラルキルおよび置換ヘテロアリールで任意に置換されることができる5-〜12-員環を形成する。
【0122】
特定の実施態様においては、R2およびR5は一緒になって、式:
【化15】

【0123】
の置換されていてもよい環を形成し、ここで、R41およびR41’は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、置換アラルキルおよび置換ヘテロアリールから選択され、mは0、1、2または3であり、T、T’、R3およびR2’は上記と同義である。より特定の実施態様においては、R41は水素である。別の特定の実施態様においては、R41およびR41’の両方が水素である。別の実施態様においては、R3は、置換されていてもよいアラルキル(特にベンジル)または置換されていてもよいアシル(特にp-メチル-ベンゾイル)である。例えばUSSN 60/414,756(全ての目的で参照により本明細書に組み入れられる)参照。
【0124】
別の実施態様においては、R2およびR5は一緒になって、式:
【化16】

【0125】
の置換されていてもよい環を形成し、ここで、R3、R2’、TおよびT’は上記と同義であり、R51およびR51’は独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換アルキル、置換アリール、置換アラルキルおよび置換ヘテロアリールから選択され、Uは共有結合、CR’R’’またはNR’’’であり、R’およびR’’は独立して、水素、ヒドロキシ、アミノ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルアミノ、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアルコキシから選択され、R’’’は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるが、ただし、T’が不在のとき、Uは共有結合ではない。
【0126】
特定の実施態様においては、R51は、水素または置換されていてもよい低級アルキルであり、より特にはR51は水素である。別の実施態様においては、R51’は、水素または置換されていてもよい低級アルキルであり、より特にはR51’は水素である。
【0127】
1つの実施態様においては、R3は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルであり、より特にはR3は、置換されていてもよいフェニル、ベンジルまたはメチル-ベンジル(特に、ベンジルまたはメチル-ベンジル)である。別の実施態様においては、R3は、C(O)R6であり、R6は置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである。
【0128】
1つの実施態様においては、UはCR’R’’であり、ここでR’および/またはR’’は水素である。別の実施態様においては、UはNR’’’であり、ここでR’’’は水素または置換されていてもよいアルキルである。より特には、R’’’は水素または置換されていてもよいアミノ-低級アルキルである。たとえばUSSN 60/398,224(全ての目的で参照により本明細書に組み入れられる)参照。
【0129】
R4
特定の実施態様においては、R4は水素、ハロ、ヒドロキシル、置換されていてもよい低級アルキル(特に、メチルまたはトリフルオロメチル)、置換されていてもよいアリール(特にフェニル)、アルコキシ(特にメトキシ)、シアノ、置換アミノ、カルバミル、アリールオキシ(特にフェノキシ)、ヘテロアリールオキシ(特にピリジニルオキシ)、ヘテロアリール(特に2-オキソ-2H-ピリジニル)または置換されていてもよいN-複素環(特にモルホリニルまたはピペラジニル)である。より特には、R4は、水素、ヒドロキシル、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、置換されていてもよい低級アルキル(特に、メチル)、低級アルコキシ(特にメトキシ)、置換されていてもよいフェニルおよびシアノから選択される。最も特には、R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルである。
【0130】
R3
別の実施態様においては、R3は、置換されていてもよいC1〜C13アルキル(特に置換C1〜C4アルキル)、置換されていてもよいアラルキル(特に置換されていてもよいベンジルまたはナフチルメチル-)および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択される。より特には、R3は、ベンジルまたは、1個以上の以下の基:カルボキシ、アルコキシカルボニルシアノ、ハロ、C1〜C4アルキル-、C1〜C4アルコキシ-、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルで置換されたベンジルである。
【0131】
別の実施態様においては、R3は-C(O)-R6またはS(O)2-R6aである。特定の実施態様においては、R3は-C(O)-R6である。別の特定の実施態様においては、R3はS(O)2-R6aである。
【0132】
R5と一緒になったR3
特定の実施態様においては、R3はR5と一緒になって式:
【化17】

【0133】
の置換されていてもよいイミダゾール環であり、ここで、
R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され、
R9およびR10は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである。
【0134】
より特には、R8は、アリール(特にフェニル)、置換アリール(特に低級アルキル-、低級アルコキシ-および/またはハロ-置換されたフェニル)、アラルキル(特にベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換アラルキル(特に置換ベンジルおよび置換スチレニル)または置換ヘテロアラルキルである。
【0135】
別の実施態様においては、R3はR5と一緒になって、式:
【化18】

【0136】
の置換されていてもよいイミダゾリンであり、ここで、
R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され、
R9、R9’、R10およびR10’は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいアラルキルから選択される。
【0137】
より特には、R8は、アリール(特にフェニル)、置換アリール(特に低級アルキル-、低級アルコキシ-および/またはハロ-置換されたフェニル)、アラルキル(特にベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換アラルキル(特に置換ベンジルおよび置換スチレニル)または置換ヘテロアラルキルである。
【0138】
最も特定の実施態様においては、R9、R9’、R10およびR10’は独立して、水素および置換されていてもよい低級アルキルからなる群より選択される。
【0139】
式Iの化合物を考えるときには、別の実施態様においては、R3はR5と一緒になって、式:
【化19】

【0140】
の置換されていてもよいジアゼピノン環を形成し、ここで、AおよびBはそれぞれ独立して、C(R20)(R21)、N(R22)、OまたはSから選択され、R20およびR21はそれぞれ独立して、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され、R22は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、置換されていてもよいアラルキルカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルである。より特定の実施態様においては、ジアゼピノン環は、1個以上の以下の基:置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルでさらに置換される。
【0141】
式Iの化合物のなお別の実施態様においては、AまたはBの1方はC(R20)(R21)であり、ここでR20およびR21はそれぞれ独立して、HまたはC1〜C4アルキルから選択され、AまたはBの他方はN(R22)であり、ここでR22は、H、C1〜C4アルキル、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、C1〜C6アルキルカルボニル、置換されていてもよいアリールカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールカルボニル、置換されていてもよいアラルキルカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルカルボニル、C1〜C6アルコキシカルボニル、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアリールオキシカルボニル、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル、置換されていてもよいヘテロアラルキルオキシカルボニルであり、ここで置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基または部分は、非置換であるか、またはC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、ジ-C1〜C4アルキルアミノ、カルボキシ、C1〜C4アルキルカルボニルオキシ、C1〜C4アルキルカルボニル、カルボキシアミド、C1〜C4アルキルカルボキシアミド、アミノカルボニル、C1〜C4アルキルアミノカルボニル、ジ-C1〜C4アルキルアミノカルボニル、シアノ、C1〜C4アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプトおよびニトロから選択される1個以上の置換基で置換される。別の実施態様においては、AはC(R20)(R21)であり、ここでR20およびR21はそれぞれ、HまたはC1〜C4アルキルであり、BはN(R22)であり、ここでR22は、H、C1〜C4アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、C1〜C6アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニルである。式Iの化合物の特定の実施態様においては、AはCH2であり、BはN(R22)であり、ここでR22は、H、メチル、ベンジルまたはアセチル(-C(O)メチル)である。例えばUSSN 60/435,001(全ての目的で参照により本明細書に組み入れられる)参照。
【0142】
別の実施態様においては、R3はR5と一緒になって、式:
【化20】

【0143】
の置換されていてもよいピペラジン-またはジアゼパムを形成し、R31およびR32は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアラルキルおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され、nは1または2である。より特には、R31は、アリール(特にフェニル)、置換アリール(特に低級アルキル-、低級アルコキシ-および/またはハロ-置換されたフェニル)、アラルキル(特にベンジルおよびフェニルビニル)、ヘテロアラルキル、置換アラルキル(特に置換ベンジルおよび置換フェニルビニル)、または置換ヘテロアラルキルであり、R32は水素であり、nは1である。例えばUSSN 60/404,864(参照により本明細書に組み入れられる)参照。
【0144】
R5
式Iの化合物を考えるときは、特定の実施態様においては、R5は、水素、置換されていてもよいC1〜C13アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよい複素環および置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル(特に、水素または置換されていてもよいC1〜C13アルキル)から選択される。
【0145】
より特には、R5は、水素、C1〜C4アルキル;シクロヘキシル;ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシもしくはC1〜C4アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;およびR11-アルキレンから選択され、ここでR11は、ヒドロキシル、カルボキシ、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル-、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、(C1〜C4アルキル)アミノ-、アミノ-、(C1〜C4アルコキシ)カルボニルアミノ-、C1〜C4アルコキシ-、または置換されていてもよいN-複素環-(特にアゼチジニル、モルホリニル、ピリジニル、インドリル、フラニル、ピロリジニル、ピペリジニルまたはイミダゾリル、そのそれぞれは、任意に置換され得る)である。
【0146】
特定の実施態様においては、R5は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、カルボキシエチル、カルボキシメチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、アミノプロピル、メチルアミノプロピル、2,2-ジメチル-3-(ジメチルアミノ)プロピル、アミノエチル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、イソプロピルアミノプロピル、ジイソプロピルアミノエチル、1-メチル-4-(ジエチルアミノ)ブチル、(t-Boc)アミノプロピル、ヒドロキシフェニル、ベンジル、メトキシフェニル、メチルメトキシフェニル、ジメチルフェニル、トリル、エチルフェニル、(オキソピロリジニル)プロピル、(メトキシカルボニル)エチル、ベンジルピペリジニル、ピリジニルエチル、ピリジニルメチル、モルホリニルエチル、モルホリニルプロピル、ピペリジニル、アゼチジニルメチル、アゼチジニルエチル、アゼチジニルプロピル、ピロリジニルエチル、ピロリジニルプロピル、ピペリジニルメチル、ピペリジニルエチル、イミダゾリルプロピル、イミダゾリルエチル、(エチルピロリジニル)メチル、(メチルピロリジニル)エチル、(メチルピペリジニル)プロピル、(メチルピペラジニル)プロピル、フラニルメチルおよびインドリルエチルから選択される。
【0147】
別の実施態様においては、R5は、R11-アルキレン-であり、ここでR11は、アミノ-、C1〜C4アルキルアミノ-、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、C1〜C4アルコキシ-、ヒドロキシルまたはN-複素環である。特に、R11はアミノである。特定の実施態様においては、R11-アルキレンのアルキレン部分は、1〜6個の炭素原子を有する。
【0148】
より特には、R5は、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、メチルアミノペンチル、メチルアミノヘキシル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジメチルアミノペンチル、ジメチルアミノヘキシル、エチルアミノエチル、エチルアミノプロピル、エチルアミノブチル、エチルアミノペンチル、エチルアミノヘキシル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ジエチルアミノブチル、ジエチルアミノペンチル、またはジエチルアミノヘキシルであり、最も特には、アミノプロピルである。
【0149】
R6
R3が-C(O)R6である式Iの化合物を考えるときは、特定の実施態様においては、R6は、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR12-NH-から選択され、R7は、置換されていてもよいC1〜C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され、R12は、水素、置換されていてもよいC1〜C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択される。
【0150】
特定のR6は、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいアリールから選択される。より特定の実施態様においては、R6は、
フェニル;
1個以上の以下の置換基で置換されたフェニル:ハロ;C1〜C4アルキル;ヒドロキシで置換されたC1〜C4アルキル(例えばヒドロキシメチル);C1〜C4アルコキシ;C1〜C4アルコキシ、ハロ、ニトロ、ホルミル、カルボキシ、シアノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル(例えばアセチル)、-N-アシル(例えばN-アセチル)またはトリフルオロメチルで置換されたC1〜C4アルキル;
ベンジル;
フェノキシメチル;
ハロフェノキシメチル;
フェニルビニル;
ヘテロアリール;
C1〜C4アルキルで置換されたヘテロアリールまたはハロで置換されたC1〜C4アルキル(例えばCF3);
C1〜C4アルコキシで置換されたC1〜C4アルキル;および
ベンジルオキシメチル
から選択される。
【0151】
最も特定の実施態様においては、R6がR12NH-またはR7O-ではないとき、R6は、フェニル、ハロフェニル、ジハロフェニル、シアノフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、ヒドロキシメチルフェニル、メトキシメチルフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、カルボキシフェニル、ホルミルフェニル、エチルフェニル、トリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、メトキシクロロフェニル、ジヒドロ-ベンゾジオキシニル、メチルハロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、フラニル、C1〜C4アルキル置換フラニル、トリフルオロメチルフラニル、C1〜C4アルキル置換トリフルオロメチルフラニル、ベンゾフラニル、チオフェニル、C1〜C4アルキル置換チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアジアゾリル、ピリジニル、インドリル、メチルピリジニル、トリフルオロメチルピリジニル、ピロリル、キノリニル、ピコリニル、ピラゾリル、C1〜C4アルキル置換ピラゾリル、N-メチルピラゾリル、C1〜C4アルキル置換N-メチルピラゾリル、C1〜C4アルキル置換ピラジニル、C1〜C4アルキル置換イソキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、モルホリノメチル、メチルチオメチル、メトキシメチル、N-メチルイミダゾリルおよびイミダゾリルから選択される。なおさらに特には、R6は、置換されていてもよいフェニル(特にトリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)である。
【0152】
さらに特定の実施態様においては、R6がR12NH-であるとき、R12は、水素、C1〜C4アルキル;シクロヘキシル;フェニル;および、ハロ、C1〜C4アルキル、トリフルオロメチル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4アルキルチオで置換されたフェニルから選択される。
【0153】
最も特定の実施態様においては、R6がR12NH-であるとき、R12は、水素、イソプロピル、ブチル、シクロヘキシル、フェニル、ブロモフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、エチルフェニル、トリル、トリフルオロメチルフェニルまたはメチルチオフェニルである。
【0154】
R6がR7O-である1つの実施態様においては、R7は、置換されていてもよいC1〜C8アルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択される。
【0155】
R6a
特定の実施態様においては、R6aは、C1〜C13アルキル;フェニル;ナフチル;ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルで置換されたフェニル;ビフェニリルおよびヘテロアリールから選択される。さらに特には、R6aは、置換フェニルおよびナフチルから選択される。
【0156】
塩形態
本発明の化合物は一般に、酸付加塩を形成することができる(すなわち、薬学的に許容される酸と反応して酸付加塩を形成する部位を含む)。本発明は、式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩を包含する。本発明の化合物の酸付加塩は、親化合物および過剰の酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸から、適当な溶媒中で標準のやり方で製造される。
【0157】
薬学的に許容されない式Iの化合物の塩および/または溶媒和物は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物または式Iの化合物それ自体の製造において、中間体として有用であり得、それ自体、本発明の別の態様を形成する。
【0158】
特定の亜属(subgenus)
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3は水素であり;かつR5は水素である。
【0159】
式Iの化合物の別の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3は-C(O)R6であり;R6は置換されていてもよいフェニル(特に、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)であり;かつR5は置換されていてもよいアルキルである(特に、R5がR11-アルキレン-であって、R11が、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ-、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、C1〜C4アルコキシ、ヒドロキシルまたはN-複素環である場合)。
【0160】
式Iの化合物の別の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3は、置換されていてもよいC1〜C13アルキル(特に置換C1〜C4アルキル)、置換されていてもよいアラルキル(特に、置換されていてもよいベンジルまたはナフチルメチル)および置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;かつR5は、置換されていてもよいアルキルである(特に、R5がR11-アルキレン-であって、R11が、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ-、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、C1〜C4アルコキシ、ヒドロキシルまたはN-複素環である場合)。
【0161】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3およびR5は一緒になって、置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する。
【0162】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3はR5と一緒になって、置換されていてもよいイミダゾリル環を形成する。
【0163】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3およびR5は一緒になって、置換されていてもよいイミダゾリジニル環を形成する。
【0164】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3およびR5は一緒になって、置換されていてもよいピペラジニル環を形成する。
【0165】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R3およびR5は一緒になって、置換されていてもよいジアゼピノイル環を形成する。
【0166】
式Iの化合物の特定の亜属においては、TおよびT’は不在であり;R1は最も好ましくは、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルから選択され;R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;R2’は水素であり;R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;R5は置換されていてもよいアルキルであり(特に、R5がR11-アルキレン-であって、R11が、アミノ、カルボキシ、ヒドロキシ、ジ(低級アルキルアミノ)、(低級アルキル)アミノ、低級アルコキシまたはN-複素環(特にピロリジノ、ピペリジノ、アゼチジノ、イミダゾリルまたはモルホリノ)である場合);R3は、-SO2R6aであり、R6aは置換フェニルまたはナフチルである。
【0167】
特定の化合物は:
N-(3-アミノ-プロピル)-N-[1-(4-ベンジル-6-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-2-メチル-プロピル]-4-メチル-ベンズアミド;および
4-ベンジル-3-[1-(2-メチル-イミダゾール-1-イル)-プロピル]-4H-[1,2,4]トリアジン-5-オンを包含する。
【0168】
効用、試験および投与
一般的効用
一旦作られたなら、本発明の化合物は、有糸分裂の変更を含む種々の用途における使用が見出される。当業者に認識されるように、有糸分裂は、種々の方法で変更することができる。すなわち、有糸分裂経路における成分の活性を増加もしくは減少させることによって有糸分裂に影響を及ぼすことができる。言い換えれば、有糸分裂は、ある種の成分を阻止または活性化することにより平衡を乱すことによって、影響を及ぼされ得る(例えば破壊され得る)。同様のアプローチを減数分裂を変えるために使用することができる。
【0169】
特定の実施態様においては、本発明の化合物は、有糸分裂の紡錘体形成を阻止するために使用され、かくして、有糸分裂において長期の細胞周期停止状態を引き起こす。これについて「阻止する」とは、有糸分裂の紡錘体形成を減じるかもしくは妨げること、または有糸分裂の紡錘体の機能不全を引き起こすことを意味する。ここで「有糸分裂の紡錘体形成」とは、有糸分裂のキネシンによる微小管の2極構造への構成を意味する。ここで「有糸分裂の紡錘体の機能不全」とは、有糸分裂の停止状態および1極の紡錘体形成を意味する。
【0170】
本発明の化合物は、有糸分裂のキネシン、KSPを結合するのに、および/またはその活性を阻害するのに有用である。化合物は他の生物体からのKSPキネシンに結合するかまたはその活性を阻害するのに使用することができるのであるが、1つの実施態様においては、KSPはヒトKSPである。これに関しては、「阻害」とは、紡錘体の極の分離を増加もしくは減少させ、形成異常を引き起こす、すなわち有糸分裂の紡錘体の極を広げるか、さもなければ有糸分裂の紡錘体の形態学的混乱を引き起こすことを意味する。これらの目的のためにKSPの定義にまた含まれるのは、KSPの変異体および/または断片である。U.S.Patent 6,437,115(その全てが参照により本明細書に組み入れられる)参照。本発明の化合物は、KSPに対する特異性を有することが示された。しかしながら、本発明は、他の有糸分裂キネシンを結合または調節するためにこの化合物を使用することを包含する。
【0171】
本発明の化合物は、細胞増殖疾患を治療するのに使用される。ここで提供される化合物、組成物および方法によって治療することができるそのような疾患状態は、限定されることはないが、癌(以下でさらに論じる)、自己免疫疾患、菌性疾患、関節炎、移植片拒絶、炎症性腸疾患、医療処置(限定されないが、手術、血管形成等を含む)後に誘発される細胞増殖を包含する。治療は、細胞増殖を阻止することを含む。幾つかの場合には、細胞は、異常状態になく、なお治療を必要とし得ることが認識される。かくして、1つの実施態様においては、本発明はここで、これらの疾患または状態の任意の1つの差し迫った苦痛に苦しむかまたはさらされた細胞または個体への施用を含む。
【0172】
ここで提供される化合物、医薬製剤および方法は、固体腫瘍、例えば皮膚、胸部、脳、子宮頸癌、精巣癌等を含む癌の治療のために有用であると特に思われる。より特には、治療することができる癌としては、限定されることはないが、以下を含む:
心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、黄紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、黄紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;
:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、歯槽(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;
胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カルポジ(Karposi)肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);
尿生殖路:腎臓(腺腫、ウィルムス腫[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺腫、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);
肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、胚芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;
:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、オステオクロンフローマ(osterochronfroma)(骨軟骨外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;
神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、キサントーマ、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、グリア芽細胞腫多形、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頸部(頸部癌、前腫瘍頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、未分類の癌]、肉芽腫-包膜細胞腫、セルトーリ-ライディヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性黄紋筋肉腫)、ファロウピウス管(癌);
血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];
皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カルポジ(Karposi)癌、母斑形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;
ならびに
副腎:神経芽細胞腫。
【0173】
本明細書において使用されるように、癌の治療は、先に明らかにした状態の任意の1つに苦しめられている細胞を含む癌性の細胞の治療を含む。かくして、本明細書で提供される「癌性の細胞」という語は、先に明らかにした状態の任意の1つに苦しめられている細胞を含む。
【0174】
本発明の別の有用な態様は、式Iの化合物、塩または溶媒和物および、有効量の化合物、塩または溶媒和物を投与することにより細胞増殖性疾患を治療する説明書を含む添付文書または他のラベルを有するキットである。本発明のキット中の式Iの化合物、塩または溶媒和物は、細胞増殖性疾患の治療の方針のための1つ以上の投与物として特に提供され、各投与物は、薬学的に許容される賦形剤および式Iの化合物、塩または溶媒和物を含む医薬製剤である。
【0175】
試験
KSP-調節活性のアッセイのために、一般にはKSPまたは本発明の化合物が、分離された試料受容領域(例えばミクロタイタープレート、アレイ等)を有する不溶性担体に、拡散しないように結合される。不溶性担体は、試料が結合することができる任意の組成でできていることができ、可溶性物質から容易に分離され、かつさもなければ、全般的なスクリーニング法と適合性がある。そのような担体の表面は、固体であるかまたは多孔性であり、任意の便利な形状を有する。適当な不溶性担体の例としては、ミクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズを包含する。これらは典型的には、ガラス、プラスチック(例えばポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、Teflon(商標)等でできている。ミクロタイタープレートおよびアレイは、少量の試薬および試料を用いて、多数のアッセイを同時に行なうことができるので、特に便利である。試薬および本発明の全般的方法と適合性であり、試料の活性を維持し、かつ拡散性でないのなら、試料の結合の特定のやり方は重要ではない。結合の特定の方法としては、(タンパク質が担体に結合するときに、リガンド結合部位または活性化配列を立体的に妨げない)抗体の使用、「粘着性」またはイオン性の担体への直接結合、化学的架橋、表面でのタンパク質および剤の合成等が包含される。試料の結合後、過剰の未結合物質が洗浄によって除去される。試料受容領域は次に、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインもしくは他の無毒のタンパク質または他の部分と一緒のインキュベーションによって封鎖することができる。
【0176】
本発明の化合物は、有糸分裂キネシン、特にKSPの活性を阻害するためにそれだけで使用され得る。1つの実施態様においては、本発明の化合物はKSPと合わされ、KSPの活性がアッセイされる。キネシン(KSPを含む)活性は当技術分野で公知であり、1種以上のキネキン活性を含む。キネシン活性は、ATP加水分解;微小管結合;滑走および重合/解重合(微小管の力学に影響を及ぼす);紡錘体の他のタンパク質への結合;細胞周期調節に関連するタンパク質への結合;他の酵素、例えばキナーゼまたはプロテアーゼに対する基質としての働き;ならびに特異的キネシン細胞活性、例えば紡錘体の極分離に影響を及ぼす能力を包含する。
【0177】
運動性アッセイを行なう方法は当業者によく知られている(例えばHallら(1996), Biophys. J., 71: 3467-3476, Turnerら、1996, AnaL Biochem. 242(1):20-5; Gittesら、1996, Biophys. J. 70(1):418-29; Shirakawaら、1995, J. Exp. BioL 198: 1809-15; Winkelmannら、1995, Biophys. J. 68: 2444-53; Winkelmannら、1995, Biophys. J. 68:72S参照)。
【0178】
ATPアーゼの加水分解活性を決定するための当技術分野で公知の方法をまた使用できる。適当には、溶液に基づくアッセイが使用される。U.S.Patent6,410,254(その全部が参照により本明細書に組み入れられる)はそのようなアッセイを記載する。あるいは、慣用の方法が使用される。例えばキネシンからのPi放出を定量化することができる。1つの実施態様においては、ATPアーゼの加水分解活性アッセイは、0.3M PCA(過塩素酸)およびマラカイトグリーン試薬(8.27mMのモリブデンII酸ナトリウム、0.33mMのマラカイトグリーンオキザレートおよび0.8mMのTriton X-100)を使用する。アッセイを行なうために、10μLの反応混合物が、90μLの冷0.3M PCA中で急冷される。ホスフェート標準が使用され、それでデータは、放出されたmM無機リン酸塩へ換算することができる。全ての反応および標準がPCA中で急冷されたとき、100μLのマラカイトグリーン試薬が、例えばミクロタイタープレート中の関連するウェルに添加される。混合物は10〜15分間展開され、プレートは、650nmの吸光度を読み取られる。ホスフェート標準が使用されたなら、吸光度の読みは、mMのPiに換算し、時間にわたってプロットすることができる。さらには、当技術分野で公知のATPアーゼアッセイは、ルシフェラーゼアッセイを含む。
【0179】
キネシン運動ドメインのATPアーゼアッセイはまた、剤の効果を監視するために使用することができ、当業者によく知られている。1つの実施態様においては、キネシンのATPアーゼアッセイは、微小管の不在下で行なわれる。別の実施態様においては、ATPアーゼアッセイは、微小管の存在下で行なわれる。異なるタイプの剤を、上記のアッセイにおいて検出することができる。1つの実施態様においては、剤の効果は、微小管およびATPの濃度と無関係である。別の実施態様においては、キネシンATPアーゼへの剤の効果は、ATP、微小管または両方の濃度を増加することによって減じることができる。なお別の実施態様においては、剤の効果は、ATP、微小管または両方の濃度を増加することによって増加される。
【0180】
in vitroでKSPの生化学的活性を阻止する化合物を次に、in vivoでスクリーニングすることができる。in vivoスクリーニング法は、細胞周期分布、細胞生存力または、有糸分裂紡錘体の存在、形態、活性、分布もしくは数のアッセイを含む。例えばフローサイトメトリーによる、細胞集団の細胞周期分布を監視する方法は、細胞生存力を決定する方法のように、当業者によく知られている。例えば、U.S.Patent6,437,115(その全部が参照により本明細書に組み入れられる)参照。紡錘体形成および形成異常を監視するための顕微鏡による方法は、当業者によく知られている(例えば、WhiteheadおよびRattner (1998), J. Cell Sci. 111: 2551-61; Galgioら(1996)、J. Cell Biol., 135: 399-414参照。それぞれ、その全部が参照により本明細書に組み入れられる)。
【0181】
本発明の化合物は、KSPキネシンを阻害する。阻害の1つの尺度は、対照に対して50%だけKSPの活性が減じられる化合物の濃度として定義されるIC50である。好ましい化合物は、約1mM未満のIC50を有し、好ましい実施態様は、約100μM未満のIC50を有し、さらに好ましい実施態様は、約10μM未満のIC50を有し、特に好ましい実施態様は、約1μM未満のIC50を有し、特に好ましい実施態様は、約100nM未満のIC50を有し、最も好ましい実施態様は、約10nM未満のIC50を有する。IC50の測定は、例えば本明細書に記載されたATPアーゼアッセイを用いて行なわれる。
【0182】
阻害の別の尺度は、Kiである。1μM未満のIC50を有する化合物については、KiもしくはKdは、本明細書に記載された化合物のKSPとの相互作用についての解離速度定数として定義される。好ましい化合物は、約100μM未満のKiを有し、好ましい実施態様は、約10μM未満のKiを有し、特に好ましい実施態様は、約1μM未満のKiを有し、特に好ましい実施態様は、約100nM未満のKiを有し、最も好ましい実施態様は、約10nM未満のKiを有する。
【0183】
化合物についてのKiは、3つの仮定およびミハエリス-メンテンの式に基づき、IC50から決定される。第1に、唯一つの化合物分子が酵素に結合し、協同性はない。第2に、活性酵素および試験される化合物の濃度が知られている(すなわち、調製物中に有意量の不純物または不活性形態がない)。第3に、酵素-阻害剤複合体の酵素作用速度がゼロである。速度(すなわち化合物濃度)データは、式:
【数1】

【0184】
に合わせられ、ここで、Vは観察された速度であり、Vmaxは遊離の酵素の速度であり、I0は阻害剤濃度であり、E0は酵素濃度であり、Kdは酵素-阻害剤複合体の解離定数である。
【0185】
阻害の別の尺度は、50%だけ細胞増殖速度の減少を生じる化合物の濃度として定義されるGI50である。好ましい化合物は、約1mM未満のGI50を有し、約20μM未満のGI50を有するものがさらに好ましく、約10μM未満のGI50を有するものがそれより好ましく、約1μM未満のGI50を有するものがそれより好ましく、約100nM未満のGI50を有するものがそれよりさらに好ましく、約10nM未満のGI50を有するものがそれよりなおさらに好ましい。GI50の測定は、本明細書に記載されたような細胞増殖アッセイを用いて行なわれる。この種類の化合物は、細胞増殖を阻止することがわかった。
【0186】
小分子のin vitroでの有効性は、例えばヒト卵巣の癌細胞(SKOV3)を、一連の9-点希釈の化合物に72-時間暴露後の生存力につてアッセイすることによって決定される。細胞の生存力は、市販の入手可能な試薬である、MTS/PMSの生物還元により形成される生成物であるホルマゾンの吸光度を測定することによって決定される。投与量-応答曲線上の各点は、72時間での未処理の対照細胞のパーセント引くバックグランドの吸光度(完全な細胞死)として計算される。
【0187】
癌の治療に診療所で成功裏に施用されてきた抗増殖化合物(癌化学療法薬)は、大きく変化するGI50を有する。例えばA549細胞においては、パクリタキセルGI50は4nMであり、ドキソルビシンは63nMであり、5-フルオロウラシルは1μMであり、ヒドロキシ尿素は500μMである(国立癌研究所(National Cancer Institute)、開発途上の治療プログラム(Developmental Therapeutic Program), http://dtp.nci.nih.gov/により提供されたデータ)。したがって、細胞増殖を阻止する化合物は、阻止を証明する濃度に関係なく、潜在的な臨床的有用性を有する。
【0188】
本発明の化合物を、KSPキネシンに結合する化合物をスクリーニングする方法において使用するために、KSPが担体に結合され、本発明の化合物がアッセイに添加される。あるいは、本発明の化合物が担体に結合され、KSPが添加される。その中で新規な結合剤が探され得る種類の化合物としては、特異的抗体、化学ライブラリーのスクリーンで同定された非天然の結合剤、ペプチド類似体等が包含される。ヒトの細胞に低毒性である候補剤のスクリーニングアッセイが特に興味深い。この目的のために、標識されたin vitroタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動可動性シフトアッセイ、タンパク質結合のための免疫アッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイ等)等を含む広く種々のアッセイを使用することができる。
【0189】
KSPへの本発明の化合物の結合の決定は、多くの方法で行なうことができる。1つの実施態様においては、化合物は例えば蛍光性または放射能性の部分で標識され、結合が直接決定される。例えばこれは、全部または一部のKSPを固体担体に結合し、標識された試験化合物(例えば、少なくとも1個の原子が検出可能な同位体で置換された本発明の化合物)を添加し、過剰の試薬を洗い落とし、標識の量が固体担体上に存在するものであるかどうかを決定することによって行なうことができる。
【0190】
本明細書において「標識された」とは、化合物が直接または間接的に、検出可能な信号を提供する標識物、例えば放射性同位体、蛍光タグ、酵素、抗体、粒子例えば磁気粒子、化学発光タグまたは特異的結合分子等で標識されていることを意味する。特異的結合分子としては、一対、例えばビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンとアンチジゴキシン等を包含する。特異的に結合するものについては、相補的なものが普通は、先に概略を述べた公知の手順にしたがって、検出を提供する分子で標識される。標識物は、直接または間接的に検出可能な信号を提供することができる。
【0191】
幾つかの実施態様においては、ただ1つの成分のみが標識される。例えば、キネシンタンパク質が125Iを用いて、または蛍光体で、チロシンタンパク質で標識され得る。あるいは、1より多い成分が、例えばタンパク質については125Iを用いて、抗有糸分裂剤については蛍光体を用いて、異なる標識物で標識され得る。
【0192】
本発明の化合物はまた、さらなる薬剤候補をスクリーンするための競争物として使用することができる。本明細書において使用される「候補剤」または「薬剤候補」または文法上の等価物は、生物活性を試験されるべき任意の分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド、小有機分子、多糖、ポリヌクレオチド等を説明する。それらは、直接または間接的に細胞増殖表現型または、核酸配列およびタンパク質配列の両方を含む細胞増殖配列の発現を変えることができる。他の場合には、細胞増殖タンパク質結合および/または活性の変更がスクリーンされる。この種類のスクリーンは、微小管の存在下または不在下で行なうことができる。タンパク質結合または活性がスクリーンされる場合には、特定の実施態様は、その特定のタンパク質に結合することがすでに知られている分子、例えばポリマー構造、例えば微小管およびエネルギー源、例えばATPは除く。ここでアッセイの特定の実施態様は、ここで「外因性」剤と呼ばれる、内因性の自然状態にある細胞増殖タンパク質を結合しない候補剤を含む。別の実施態様においては、外因性剤はさらにKSPに対する抗体を除く。
【0193】
候補剤は、典型的には有機分子であり、好ましくは100より上で約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さい有機化合物であるが、多くの化学的な種類を包含することができる。候補剤は、タンパク質との構造的相互作用のために必要な官能基、特に水素結合および親油性結合を含み、典型的には少なくとも1個のアミン、カルボニル-、ヒドロキシル-、エーテルまたはカルボキシル基を含み、好ましくは少なくとも2個の官能的化学基を含む。候補剤はしばしば、1個以上の上記官能基で置換された、環状炭素または複素環式構造および/または芳香族もしくは多芳香族構造を含む。候補剤はまた、ペプチド、糖、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的類似体またはそれらの組合せを含む生物分子中で見出される。
【0194】
候補剤は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む広く種々の供給源から得られる。例えば、無作為化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む、広く種々の有機化合物および生物分子のランダム合成および方向性をもった合成について、多くの手段が入手可能である。あるいは、細菌、菌類、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが入手可能であるか、または容易に製造される。さらには、天然または合成により製造されたライブラリーおよび化合物は、慣用の化学、物理学および生化学の手段によって容易に変性される。公知の薬理学的な剤を、方向性をもった化学変性またはランダムな化学変性、例えばアシル化、アルキル化、エステル化および/またはアミド化に供して、構造的類似体を製造することができる。
【0195】
競争スクリーニングアッセイは、KSPおよび薬剤候補を第1の試料中で合わせることによって行なうことができる。第2の試料は、本発明の化合物、KSPおよび薬剤候補を含む。これは、微小管の存在下または不在下で行なうことができる。薬剤候補の結合は、両方の試料について決定され、2つの試料間の結合の変化または差異は、KSPに結合し、潜在的にその活性を阻害することができる薬剤候補の存在を示す。すなわち、薬剤候補の結合が第1の試料に対して第2の試料において異なるなら、薬剤候補は、KSPに結合することができる。
【0196】
特定の実施態様においては、薬剤候補のKSPへの結合は、競争結合アッセイの使用によって決定される。この実施態様においては、競争物は、KSPに結合することが知られている結合部分、例えば抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンド等である。ある種の状況下では、候補剤と結合部分との間のような競争結合があり得、結合部分は、候補剤に取って代わる。
【0197】
1つの実施態様においては、候補剤は標識される。候補剤または競争物、またはその両方はまず、存在するなら、結合を可能にするのに十分な時間KSPに添加される。最適な活性を促進する任意の温度、典型的には4〜40℃でインキュベーションが行なわれ得る。
【0198】
インキュベーション時間は、最適活性のために選択されるが、また速く高い処理量のスクリーニングを促進するのに最適であり得る。典型的には0.1〜1時間で十分である。過剰の試薬は一般に、除去されるか、または洗い落とされる。次に第2の成分が添加され、標識化合物の存在または不在がそれに続き、結合が示される。
【0199】
別の実施態様においては、競争物がまず添加され、その後、候補剤が添加される。競争物の交換は、候補剤がKSPに結合しており、かくしてKSPに結合し、KSPの活性を潜在的に阻害することができることの表示である。この実施態様においては、いずれの成分も標識されることができる。かくして、例えば競争物が標識されるなら、洗浄溶液中の標識の存在は、剤による交換を示す。あるいは、候補剤が標識されているなら、担体上の標識の存在は、交換を示す。
【0200】
代替の実施態様においては、候補剤がまず添加され、インキュベーションおよび洗浄した後、競争物が添加される。競争物による結合の不在は、候補剤がより高い親和性でKSPに結合されることを示すことができる。かくして、候補剤が標識されるなら、担体上の標識の存在は、競争物の結合の欠如と共に、候補剤がKSPに結合することができることを示し得る。
【0201】
阻害は、KSPの活性を阻害することができる候補剤についてのスクリーニングによって試験され、上記のように候補剤とKSPとを合わせる工程およびKSPの生物学的活性における変化を決定する工程を含む。かくして、この実施態様においては、候補剤は、KSPに結合し(これは必要ではあり得ないが)、および本明細書で定義したようにその生物学的もしくは生化学的活性を変える両方でなければならない。この方法は、in vitroスクリーニング法および、先に一般的に概略を述べたように、細胞周期分布、細胞生存力の変化について、または有糸分裂の紡錘体の存在、形態学、活性、分布もしくは量についての細胞のin vivoスクリーニングの両方を含む。
【0202】
あるいは、示差スクリーニングを使用して、天然のKSPに結合するが、変性されたKSPに結合することができない薬剤候補を同定することができる。
【0203】
正の対照および負の対照をアッセイにおいて使用することができる。適当には、全ての対照および試験試料は、少なくとも3重反復で行なわれて、統計的に有意の結果を得る。全ての試料のインキュベーションは、剤がタンパク質に結合するのに十分な時間行なわれる。インキュベーション後、全ての試料は、非特異的に結合された物質がないように洗浄され、結合された、一般には標識された剤の量が決定される。例えば、放射能標識が使用される場合には、試料はシンチレーションカウンターでカウントされて、結合化合物の量を決定することができる。
【0204】
種々の他の試薬を、スクリーニングアッセイにおいて含むことができる。これらには、最適なタンパク質-タンパク質結合を促進し、および/または非特異的もしくはバックグランドの相互作用を減じるように使用され得る、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、崩壊剤等のような試薬が含まれる。またさもなければアッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤等を使用することができる。成分の混合物は、必要な結合を提供する任意の順序で添加することができる。
【0205】
投与
したがって、本発明の化合物は、細胞に投与される。本明細書において「投与される」とは、治療上有効な量の本発明の化合物を、細胞培養物または患者における細胞に投与することを意味する。本明細書において「治療上有効な投与量」とは、それが投与された効果を生じる投与量を意味する。正確な投与量は、治療の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者が確かめられる。当技術分野で知られているように、全身的投薬対局所的投薬、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の時間、薬剤の相互作用および状態の重篤さについて調整が必要であり、当業者は慣例の実験で確かめられる。ここで「細胞」とは、有糸分裂または減数分裂が変更され得る任意の細胞を意味する。
【0206】
本発明の目的のための「患者」には、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物および他の生物の両方が含まれる。かくしてこの方法は、ヒトの治療および獣医学的施用の両方に適用可能である。好ましい実施態様においては、患者は哺乳動物であり、最も好ましい実施態様においては、患者はヒトである。
【0207】
本明細書に記載したように、所望の薬理学活性を有する本発明の化合物を、好ましくは製薬上の賦形剤を含む薬学的に許容される組成物として、患者に投与することができる。導入のやり方に依存して、化合物は、以下で論じられる種々の方法で処方することができる。製剤中の治療上活性な化合物の濃度は、約0.1〜100重量%で変化し得る。
【0208】
剤は、単独で、または他の治療、すなわち放射または他の化学療法剤、例えば微小管形成に作用すると考えられるタキサンの種類の剤またはカンプトテシンの種類のトポイソメラーゼI阻害剤と組合せて、投与することができる。使用されるときは、他の化学療法剤は、本発明の化合物の投与の前、同時または投与後に投与することができる。本発明の1つの態様においては、本発明の化合物は、1種以上の他の化学療法剤と同時投与される。「同時投与」とは、化合物が実際に投与されたときにかかわらず(同時を含む)、本発明の化合物ならびに同時投与される化合物が同時に患者の血流中に見出すことができるように、本発明の化合物を患者に投与することを意味する。
【0209】
本発明の化合物および組成物の投与は、限定されることはないが、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、経皮、腹膜内、筋肉内、肺内、膣、直腸または眼内を含む種々の方法で行なうことができる。幾つかの例において、例えば怪我および炎症の治療においては、化合物または組成物は、溶液または噴霧物として直接施用することができる。
【0210】
製薬上の投与形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または塩の溶媒和物および、1種以上の製薬上の賦形剤を含む。当技術分野で公知なように、製薬上の賦形剤は、種々の投与形態(例えば経口形態、例えば錠剤、カプセルおよび液体;局所形態、例えば皮膚、眼および耳の形態;座薬;注射可能物質;呼吸形態等)において薬剤または薬の放出を可能にするかまたは促進するように機能する二次的成分である。製薬上の賦形剤は、不活発または不活性な成分、相乗剤または活性成分の薬効作用に実質的に寄与する化学物質を包含する。例えば製薬上の賦形剤は、流動特性、製品均質性、安定性、味または概観を改善し、投与物の取扱いおよび投与を容易にし、使用を便利にし、または生物学的利用能を調節するように機能し得る。製薬上の賦形剤は一般に、不活発または不活性なものとして説明されるが、製薬上の賦形剤の特性とそれを含む投与形態との間に関係があることは、当技術分野で認識される。
【0211】
担体または希釈剤として使用するのに適当な製薬上の賦形剤は当技術分野でよく知られており、種々の製剤において使用することができる。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A.R. Gennaro, Editor, Mack Publishing Company (1990); Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A.R. Gennaro, Editor, Lippincott Williams & Wilkins (2000); Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, A.H. Kibbe, Editor, American Pharmaceutical Association, and Pharmaceutical Press (2000); およびHandbook of Pharmaceutical Additives, MichaelおよびIrene Ash, Gower 編(1995)参照。それぞれ、全ての目的で参照により本明細書に組み入れられる。
【0212】
経口固体投与形態、例えば錠剤は典型的には、1種以上の製薬上の賦形剤を含み、それは、例えば十分な加工および圧縮特性を与えるのを助けることができるか、または錠剤にさらなる望ましい物理的特性を提供することができる。そのような製薬上の賦形剤は、希釈剤、バインダー、滑り剤、滑剤、崩壊剤、着色剤、フレーバー、甘味剤、ポリマー、蝋または他の溶解性-遅延物質から選択され得る。
【0213】
静脈内投与のための組成物は一般に、静脈内流体、すなわち簡単な化学物質、例えば糖、アミノ酸または電解質の滅菌溶液を含み、これらは、循環系によって容易に運ばれ、吸収されることができる。そのような流体は、注射USPのために水を用いて調製される。
【0214】
非経口投与のための投与形態は一般に、流体、特に静脈内流体、すなわち簡単な化学物質、例えば糖、アミノ酸または電解質の滅菌溶液を含み、これらは、循環系によって容易に運ばれ、吸収されることができる。そのような流体は典型的には、注射USPのために水を用いて調製される。静脈内(IV)使用のために一般に使用される流体は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy[先に提供された全引用]に開示されており、以下を含む:
・ アルコール、例えば5%アルコール(例えばデキストロースおよび水(「D/W」)中または規定食塩水溶液(「NSS」)中のD/W、5%デキストロースおよび水を含む(「D5/W」)またはNSS中のD5/W);
・ 合成アミノ酸、例えばAminosyn、FreAmine、Travasol、例えば3.5または7; 8.5;それぞれ3.5,5.5または8.5%;
・ 塩化アンモニウム、例えば2.14%;
・ デキストラン40、NSS中、例えば10%またはD5/W中、例えば10%;
・ デキストラン70、NSS中、例えば6%またはD5/W中、例えば6%;
・ デキストロース(グルコース、D5/W)、例えば2.5〜50%;
・ デキストロースおよび塩化ナトリウム、例えば5〜20%デキストロースおよび0.22〜0.9%NaCl;
・ 泌乳したリンゲル液(Hartmann液)、例えばNaCl0.6%、KCl0.03%、CaCl20.02%;
・ 乳酸塩0.3%;
・ マンニトール例えば5%、任意にデキストロース例えば10%またはNaCl例えば15もしくは20%との組合せ;
・ 電解質、デキストロース、フラクトース、転化糖リンゲル液の変化する組合せを有する、多電解質溶液、例えばNaCl0.86%、KCl0.03%、CaCl20.033%;
・ 重炭酸ナトリウム、例えば5%;
・ 塩化ナトリウム、例えば0.45、0.9、3または5%;
・ 乳酸ナトリウム、例えば1/6M;ならびに
・ 注射用滅菌水。
【0215】
そのようなIV流体のpHは変化し得る。典型的には、当技術分野で知られているように、3.5〜8である。
【0216】
本発明の化合物、薬学的に許容される塩および溶媒和物は、単独で、または他の治療、すなわち放射または他の治療剤、例えば微小管形成に作用すると考えられるタキサンの種類の剤またはカンプトテシンの種類のトポイソメラーゼI阻害剤と組合せて投与することができる。そのように使用されるときには、他の治療剤は、本発明の活性剤の投与の前、同時(別々の投与形態または合わせた投与形態のいずれでも)またはその後に投与することができる。
【実施例】
【0217】
以下の実施例は、上記した本発明を使用するやり方をさらに完全に説明するために、ならびに種々の本発明の態様を行なうために企図される最良の方式を述べるために役立つ。これらの実施例は、どんな方法でも、本発明の真の範囲を限定するように供せられることがなく、むしろ説明の目的のために提供されることが理解される。本明細書で引用された、限定されないが特許および特許出願を含む全ての刊行物は、それぞれの個々の刊行物が、全部述べられたかのように引用することによって本明細書に組み入れられることを詳細にかつ個別に示したかのように参照により本明細書に組み入れられる。
【0218】
実施例
以下の実施例は、上記した本発明を使用するやり方をさらに完全に説明するために、ならびに種々の本発明の態様を行なうために企図される最良の方式を述べるために役立つ。これらの実施例は、どんな方法でも、本発明の真の範囲を限定するように供せられることがなく、むしろ説明の目的のために提供されることが理解される。本明細書で引用された全ての参考文献は、その全部が引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0219】
実施例1
【化21】

【0220】
THF(700mL)中のCBZ-バリン(2、50g、200ミリモル)の溶液に、クロロ蟻酸エチル(23mL、240ミリモル)およびトリエチルアミン(33.5mL、240ミリモル)を0℃にて添加した。反応混合物を窒素下で撹拌した。1時間後、ベンジルアミン(26.2mL、240ミリモル)を5分間かけて添加した。添加が終了したら、反応溶液を温めて室温にした。1時間後、反応混合物をろ過した。沈殿を、水およびTHFで洗浄し、減圧乾燥して、3(60g、88%)を白色固体として得た。LRMS(M+H+)m/z341.1。
【0221】
ジクロロメタン(500mL)中の3(20g、59ミリモル)の懸濁物に、ヘキサフルオロリン酸トリエチルオキソニウム(25g、100ミリモル)を添加した。得られた混合物を14時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3および食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して、4(19g)を得た。これは、さらに精製せずに、次の工程で使用した。LRMS(M+H+)m/z369.1。
【0222】
THF(30mL)中の上記粗生成物4(4g、〜10.85ミリモル)の溶液に、ヒドラジン(THF中1.0M、20mL)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌した。溶液を濃縮し、減圧乾燥して、5(3.8g)を淡黄色固体として得た。これは、さらに精製せずに、次の工程で使用した。LRMS(M+H+)m/z355.1。
【0223】
EtOH中の上記粗生成物5(3.5g、〜9.85ミリモル)およびピルビン酸メチル(1.4mL、15ミリモル)の溶液を4時間還流した。AcOH(800μL)を添加した。還流をさらに6時間続けた。反応混合物を濃縮した。得られた残渣を、溶出液として酢酸エチルおよびヘキサンの混合物を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、6(1.0g、3から24%)を白色固体として得た。LRMS(M+H+)m/z407.1。
【0224】
MeOH(20mL)中の6(500mg、1.23ミリモル)の溶液を10%Pd/C(50mg)の存在下でH2(30psi)流下で40分間撹拌した。触媒を、PTFE(0.45μm)によるろ過によって除去し、溶媒を蒸発させて、7(400mg)を得た。これは、さらに精製せずに、次の工程で使用した。LRMS(M+H+)m/z273.1。
【0225】
0℃で、ジクロロメタン(35mL)中の上記粗生成物7(400mg、〜1.47ミリモル)の溶液に、アルデヒド8(330mg、1.91ミリモル)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(406mg、1.91ミリモル)を逐次添加した。得られた混合物を窒素下で14時間撹拌した後、飽和NaHCO3(20mL)を添加した。有機層を分離し、水性相をジクロロメタン(2x50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して、9(700mg)を黄色オイルとして得た。これは、さらに精製せずに、次の工程で使用した。LRMS(M+H+)m/z430.2。
【0226】
ジクロロメタン(12mL)中の上記粗生成物9(350mg、0.82ミリモル)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(242μL、1.39ミリモル)の溶液に、0℃にて塩化p-トルオイル(183μL、1.39ミリモル)を添加した。得られた溶液を窒素下で室温にて20時間撹拌した。溶液を濃縮した。得られた残渣を、アセトニトリルとH2Oの混合物を用いたRP-HPLCで精製して、9(80mg、6から36%)を得た。LRMS(M+H+)m/z548.2。
【0227】
ジクロロメタン(4mL)中の10(40mg、0.073ミリモル)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を高真空下で乾燥し、ジクロロメタン(15mL)に溶かした。飽和NaHCO3(15mL)で洗浄し、水性相をジクロロメタン(2x25mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮して、1(20mg、62%)を白色固体として得た。これは、1H-NMRおよびLC/MS分析で完全に特性決定された(LRMS(M+H+)m/z448.2)。
【0228】
実施例2
KSP阻害剤で処理された腫瘍細胞系における細胞生存力の阻止
物質および溶液:
・ 細胞:SKOV3、卵巣癌(ヒト)。
【0229】
・ 培地:フェノールレッドを含まないRPMI+5%ウシ胎児血清+2mMのL-グルタミン。
【0230】
・ 細胞生存力を決定するための比色剤:プロメガMTSテトラゾリウム化合物。
【0231】
・ 最大細胞死のための対照化合物:トポテカン、1μM。
【0232】
手順:第1日-細胞の塗布:
付着性のSKOV3細胞を10mLのPBSで洗浄した後、2mLの0.25%トリプシンを添加し、37℃で5分間インキュベートした。細胞を、8mLの培地(フェノールレッドを含まないRPMI+5%FBS)を用いてフラスコからすすぎ、新しいフラスコに移した。細胞濃度は、コールターカウンターを用いて決定し、1000細胞/100μLに達するためのおよその細胞体積を計算する。100μLの培地細胞懸濁物(1000細胞/100μLに調整)を、96-ウェルプレートの全てのウェルに添加した後、37℃、100%湿度および5%CO2にて18〜24時間インキュベートして、細胞をプレートに付着させた。
【0233】
手順:第2日-化合物の添加
オートクレーブにかけたアッセイブロックのウェルの1列に、400Xの最高所望濃度で試験化合物の最初の2.5μLを添加する。1.25μLの400X(400μM)のトポテカンを他のウェルに添加する(これらのウェルからのODは、死細胞および賦形剤のバックグランド吸光度を減ずるために使用される)。DMSOなしの500μLの培地を、試験化合物を含むウェルに添加し、250μLをトポテカンウェルに添加する。250μLの培地+0.5%DMSOを残る全てのウェルに添加し、その中に、試験化合物が連続的に希釈される。列ごとに、アッセイブロックから対応する細胞プレートへ、化合物含有培地が、繰り返し塗布される(2重反復で)。細胞プレートは、37℃、100%湿度および5%CO2にて72時間インキュベートされる。
【0234】
手順:第4日-MTS添加およびODの読み取り
プレートをインキュベータから取り除き、40μLのMTS/PMSを各ウェルに添加する。次にプレートを37℃、100%湿度および5%CO2にて120分間インキュベートした後、96-ウェル分光光度計で、5秒間振とう周期後に490nmでODを読み取る。
【0235】
データの分析
対照(吸光度-バックグランド)の標準化した%を計算し、XLfitを使用して、投与量-応答曲線を生成し、それから、50%だけ生存力を阻止するのに必要とされる化合物の濃度が決定される。
【0236】
実施例3
KSP阻害剤の施用後の単極の紡錘体形成
ヒト腫瘍細胞Skov-3(卵巣)を、ウェル当たり4,000細胞の密度で、96-ウェルプレートに塗布し、24時間付着させ、種々の濃度の試験化合物で24時間処理した。細胞を4%ホルムアルデヒド中に固定し、抗チューブリン抗体(その後、蛍光標識された二次抗体を用いて認識された)およびHoechst染料(DNAを染色する)で染色した。
【0237】
目視観察によって、化合物は、有糸分裂の前中期段階において細胞周期停止状態を引き起こすことが示された。DNAが濃縮され、紡錘体形成が開始されたが、停止状態の細胞は不均質に単極の紡錘体を示し、紡錘体の極体分離の阻止があったことが示された。抗-KSP抗体のミクロ注入はまた、有糸分裂の停止状態を引き起こし、停止状態の細胞は単極の紡錘体を示す。
【0238】
実施例4
KSP阻害剤で処理された腫瘍細胞系における細胞増殖の阻止
96-ウェルプレートの1000〜2500細胞/ウェルの密度で、96-ウェルプレートに細胞を塗布し、24時間、付着/増殖させた。次に種々の濃度の薬剤で48時間処理した。化合物が添加された時はT0とみなされる。試薬3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)(I.S>特許番号5,185,450)(Promega製品のカタログ#G3580、CellTiter96(商標)AQueous1溶液細胞増殖アッセイ参照)を用いたテトラゾリウムに基づくアッセイを使用して、T0における生存細胞の数および48時間化合物暴露後に残っている細胞の数を決定した。48時間後に残存している細胞の数を、薬剤添加時の生存細胞の数と比較し、増殖阻止の計算をした。
【0239】
賦形剤のみ(0.25%DMSO)で処理した対照ウェル中の細胞の48時間にわたる増殖は、100%増殖とみなされ、化合物を有するウェル中の細胞の増殖がこれと比較される。KSP阻害剤は、ヒト卵巣腫瘍細胞系(Skov-3)において細胞増殖を阻止した。
【0240】
μMで表した化合物の濃度対処理したウェル中の細胞増殖の百分率をプロットすることによって、Gi50を計算した。化合物について計算したGi50は、対照と比べて50%だけ増殖が阻止された、見積もられた濃度である。すなわち、
100x[(処理48-T0)/(対照48-T0)]=50
の濃度である。
【0241】
化合物の全ての濃度は2重反復で試験され、対照は12ウェルにわたって平均される。非常に似た96-ウェルプレート設計およびGi50計算スキームが、国立癌研究所(National Cancer Institute)(Monksら、J. NatI. Cancer Inst. 83:757-766 (1991)参照)により使用される。しかしながら、国立癌研究所(National Cancer Institute)が細胞数を定量化する方法は、MTSを使用せず、代わりに代替方法を用いる。
【0242】
実施例5
IC50の計算
KSP活性について組成物のIC50の測定は、ATPアーゼアッセイを使用する。以下の溶液が使用される:溶液1は、3mMのホスホエノールピルビン酸カリウム塩(Sigma P-7127)、2mMのATP(Sigma A-3377)1mMのIDTT(Sigma D-9779)、5μMのパクリタキセル(Sigma T-7402)、10ppmの消泡剤289(Sigma A-8436)、25mMのPipes/KOH pH6.8(Sigma P6757)、2mMのMgCl2(VWR JT400301)および1mMのEGTA(Sigma E3889)からなる。溶液2は、1mMのNADH(Sigma N8129)、0.2mg/mlのBSA(Sigma A7906)、ピルベートキナーゼ7U/ml、L-ラクテートデヒドロゲナーゼ10U/ml(Sigma P0294)、100nMのKSPモータードメイン、50μg/mlの微小管、1mMのDTT(Sigma D9779)、5μMのパクリタキセル(Sigma T-7402)、10ppmの消泡剤289(Sigma A-8436)、25mMのPipes/KOH pH6.8(Sigma P6757)、2mMのMgCl2(VWR JT4003-01)および1mMのEGTA(Sigma E3889)からなる。溶液1を用いて、組成物の連続希釈(8〜12回の2倍希釈)が、96-ウェルミクロタイタープレート(Corning Costar 3695)中で行なわれる。連続希釈後、各ウェルは、溶液1を50μl有する。50μlの溶液2を各ウェルに添加することによって、反応が開始される。これは、手動で、または自動化された液体取扱い装置を用いて、マルチチャンネルピペッターにて行なうことができる。次に、ミクロタイタープレートはミクロプレート吸光度リーダーに移され、340nmでの多重吸光度読み取りが、動的方式で各ウェルについて行なわれる。次に、ATPアーゼ速度に比例する、観察された変化の速度が、化合物濃度の関数としてプロットされる。標準のIC50決定のために、取得したデータは、非線形適合プログラム(例えばGrafit4)を用いて、4つのパラメータの式:
【数2】

【0243】
(式中、yは観察された速度であり、xは化合物濃度である)
に従って、適合される。
【0244】
GI50値は変化するけれども、この種類の他の化合物は、細胞増殖を阻止することがわかった。試験した化合物についてのGI50値は、200nM〜試験した最高濃度より上の範囲にわたっていた。このことは、生化学的にKSP活性を阻止した化合物の大部分が、細胞増殖を阻止したが、幾つかについては、試験した最高濃度(一般に約20μM)で、細胞増殖が50%未満阻止されたことことを意味する。多くの化合物は、10μM未満のGI50値を有し、いくらは、1μM未満のGI50値を有する。癌の治療に診療所で成功裏に施用されてきた抗増殖化合物(癌化学療法薬)は、大きく変化するGI50値を有する。例えばA549細胞においては、パクリタキセルのGI50は4nMであり、ドキソルビシンは63nMであり、5-フルオロウラシルは1μMであり、ヒドロキシ尿素は500μMである(国立癌研究所(National Cancer Institute)、開発途上の治療プログラム(Developmental Therapeutic Program)、http://dtp.nci.nih.gov/により提供されたデータ)。したがって、実質的に任意の濃度で細胞増殖を阻止する化合物は、有用であり得る。しかしながら、好ましくは化合物は、1mM未満のGI50値を有する。さらに好ましくは化合物は、20μM未満のGI50値を有する。なおさらに好ましくは化合物は、10μM未満のGI50値を有する。1μM未満のGI50値を有する化合物を含む、GI50値のさらなる低下がまた望ましくあり得る。本発明の化合物の幾つかは、200nMより下〜10nMより下のGI50値を有して、細胞増殖を阻止する。
【0245】
全ての無水溶媒は、SureSeal(商標)容器中でAldrich chemical 社から購入した。ほとんどの試薬は、Aldrich chemical 社から購入した。単一または多チャンネルピペッターを用いて試薬を添加し、水性抽出を行なった。ろ過は、Whatman/Polyfiltronics 24ウェル、10mLろ過ブロックを用いて行なった。アレイからの揮発性物質の蒸発は、Labconcoを用いて行なった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
TおよびT’は独立して、共有結合または置換されていてもよい低級アルキレンであり;
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R2およびR2’は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択されるか、またはR2およびR2’は一緒になって置換されていてもよい3-〜7-員環を形成し;
R3は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアリール-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-、置換されていてもよい複素環-、-C(O)-R6および-S(O)2-R6aから選択され;
R5は、水素、置換されていてもよいアルキル-、置換されていてもよいアリール-、置換されていてもよいアラルキル-、置換されていてもよいヘテロアラルキル-および置換されていてもよい複素環-から選択され;
R6は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキル、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R6aは、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよびR12-NH-から選択されるか;または
R5はR3およびそれらが結合される窒素と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込むか;または
R5はR2と一緒になって、置換されていてもよい5-〜12-員環の窒素含有複素環を形成し、これは任意にN、OおよびSから選択される1〜2個のさらなるヘテロ原子を複素環に組み込み;
R7は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;
R12は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロアラルキルから選択され;かつ
R4は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、置換されていてもよいアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アルキルチオ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換されていてもよいN-複素環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、および置換されていてもよいヘテロアリールから選択される)
により表される群より選択される化合物;
式Iの化合物の薬学的に許容される塩;
式Iの化合物の薬学的に許容される溶媒和物;または、
式Iの化合物の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項2】
以下の1つ以上を含む請求項1記載の化合物:
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、水素、置換されていてもよいC1〜C4アルキル、置換されていてもよいフェニル-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいナフチルメチル、置換されていてもよいフェニル、およびナフチルから選択され;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は、水素または置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R3は、-C(O)-R6または-S(O)2-R6aであり;
R4は、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、アルコキシ、シアノ、置換アミノ、カルバミル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールまたは置換されていてもよいN-複素環であり;
R6は、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R6aは、C1〜C13アルキル;フェニル;ナフチル;ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、メチレンジオキシまたはトリフルオロメチルで置換されたフェニル;ビフェニリルおよびヘテロアリールから選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R12は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R5は、水素、置換されていてもよいC1〜C13アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル-、置換されていてもよい複素環および置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル-から選択される。
【請求項3】
以下の1つ以上を含む請求項2記載の化合物:
R1は、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2’は水素であり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R3は-C(O)-R6であり;
R6は、フェニル;置換フェニル;ベンジル;フェノキシメチル-;ハロフェノキシメチル-;フェニルビニル-;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;C1〜C4アルコキシで置換されたC1〜C4アルキル;およびベンジルオキシメチルから選択され;
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロ、置換されていてもよい低級アルキル、低級アルコキシ、置換されていてもよいフェニルおよびシアノから選択され;
R5は、水素、C1〜C4アルキル;シクロヘキシル;ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4アルキルで置換されたフェニル;ベンジル;およびR11-アルキレンから選択され;
R11は、ヒドロキシル、カルボキシ、(C1〜C4アルコキシ)カルボニル-、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、(C1〜C4アルキル)アミノ-、アミノ-、(C1〜C4アルコキシ)カルボニルアミノ-、C1〜C4アルコキシ-、または置換されていてもよいN-複素環-である。
【請求項4】
以下の1つ以上を含む請求項3記載の化合物:
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、またはナフチルメチルであり;
R2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルチオエチル、メチルチオメチル、アミノブチル、(CBZ)アミノブチル、シクロヘキシルメチル、ベンジルオキシメチル、メチルスルフィニルエチル、メチルスルフィニルメチルおよびヒドロキシメチルから選択され;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R6は、トリル、ハロフェニル、メチルハロフェニル、ヒドロキシメチルフェニル、ハロ(トリフルオロメチル)フェニル、メチレンジオキシフェニル、ホルミルフェニルまたはシアノフェニル)であり;
R5はR11-アルキレンであり、R11はアミノ、C1〜C4アルキルアミノ、ジ(C1〜C4アルキル)アミノ-、C1〜C4アルコキシ-、ヒドロキシルまたはN-複素環である。
【請求項5】
以下の1つ以上を含む請求項4記載の化合物:
R1はベンジルであり;
R2’は水素であり;
R2はエチルまたはプロピルであり;
R5は、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノペンチル、アミノヘキシル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、メチルアミノペンチル、メチルアミノヘキシル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジメチルアミノペンチル、ジメチルアミノヘキシル、エチルアミノエチル、エチルアミノプロピル、エチルアミノブチル、エチルアミノペンチル、エチルアミノヘキシル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、ジエチルアミノブチル、ジエチルアミノペンチル、またはジエチルアミノヘキシルである。
【請求項6】
R2がi-プロピルである請求項5記載の化合物。
【請求項7】
以下の1つ以上を含む請求項1記載の化合物:
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、水素、置換されていてもよいC1〜C4アルキル、置換されていてもよいフェニル-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいナフチルメチル、置換されていてもよいフェニルおよびナフチルから選択され;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は、水素または置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R4は、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、アルコキシ、シアノ、置換アミノ、カルバミル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールまたは置換されていてもよいN-複素環であり;
R6は、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R12は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R3はR5およびそれらが結合される窒素と一緒になって、式:
【化2】

(式中、R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され、
R9およびR10は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいアラルキルである)
の置換されていてもよいイミダゾリル環を形成する。
【請求項8】
以下の1つ以上を含む請求項7記載の化合物:
R1は、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジルまたはナフチルメチルから選択され;
R2’は水素であり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R6は、フェニル;置換フェニル;ベンジル;フェノキシメチル-;ハロフェノキシメチル-;フェニルビニル-;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;C1〜C4アルコキシで置換されたC1〜C4アルキル;およびベンジルオキシメチルから選択され;
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロ、置換されていてもよい低級アルキル、低級アルコキシ、置換されていてもよいフェニルおよびシアノから選択され;
R8は、アリール、置換アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換アラルキルまたは置換ヘテロアラルキルである。
【請求項9】
以下の1つ以上を含む請求項1記載の化合物:
TおよびT’はそれぞれ共有結合であり;
R1は、水素、置換されていてもよいC1〜C4アルキル、置換されていてもよいフェニル-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいナフチルメチル、置換されていてもよいフェニルおよびナフチルから選択され;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は、水素または置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R4は、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリール、アルコキシ、シアノ、置換アミノ、カルバミル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールまたは置換されていてもよいN-複素環であり;
R6は、置換されていてもよいC1〜C8アルキル、置換されていてもよいアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール-C1〜C4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアリール、R7O-およびR12-NH-から選択され;
R7は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R12は、置換されていてもよいアルキルおよび置換されていてもよいアリールから選択され;
R3はR5およびそれらが結合される窒素と一緒になって、式:
【化3】

(式中、R8は、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキルおよび置換されていてもよいヘテロアリールから選択され、
R9、R9’、R10およびR10’は独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいアラルキルから選択される)
の置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する。
【請求項10】
以下の1つ以上を含む請求項9記載の化合物:
R1は、ナフチル、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、トリル、ジメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、メチルクロロフェニル、エチルフェニル、フェネチル、ベンジル、クロロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジル、ジクロロベンジル、ジメトキシベンジルまたはナフチルメチルから選択され;
R2’は水素であり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R6は、フェニル;置換フェニル;ベンジル;フェノキシメチル-;ハロフェノキシメチル-;フェニルビニル-;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;C1〜C4アルコキシで置換されたC1〜C4アルキル;およびベンジルオキシメチルから選択され;
R4は、水素、ヒドロキシル、ハロ、置換されていてもよい低級アルキル、低級アルコキシ、置換されていてもよいフェニルおよびシアノから選択され;
R8は、アリール、置換アリール、アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換アラルキルまたは置換ヘテロアラルキルであり;そして、
R9、R9’、R10およびR10’は独立して、水素および置換されていてもよい低級アルキルからなる群より選択される。
【請求項11】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3は水素であり;
R5は水素である、
請求項1記載の化合物。
【請求項12】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3は-C(O)-R6であり;
R6は、置換されていてもよいフェニルであり;
R5は、置換されていてもよいアルキルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項13】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3は、置換されていてもよいフェニル、複素環またはナフチルであり;
R5は、置換されていてもよいアルキルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項14】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3およびR5は一緒になって置換されていてもよいイミダゾリニル環を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項15】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3はR5と一緒になって置換されていてもよいイミダゾリル環を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項16】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3およびR5は一緒になって置換されていてもよいイミダゾリジニル環を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項17】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3およびR5は一緒になって置換されていてもよいピペラジニル環を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項18】
TおよびT’は不在であり;
R1は、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルであり;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R3およびR5は一緒になって置換されていてもよいジアゼピノイル環を形成する、
請求項1記載の化合物。
【請求項19】
TおよびT’は不在であり;
R1は最も好ましくは、ベンジル、ハロベンジル、メチルベンジル、メトキシベンジル、シアノベンジル、ヒドロキシベンジルまたはナフチルメチルから選択され;
R2は、置換されていてもよいC1〜C4アルキルであり;
R2’は水素であり;
R4は、置換されていてもよいメチルまたは置換されていてもよいフェニルであり;
R5は、置換されていてもよいアルキルであり;
R3は、-SO2R6aであり;
R6aは、置換フェニルまたはナフチルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項20】
R2およびR2’が結合する立体中心がR配置をとる請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
製薬上の武形剤および治療に有効な量の請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項22】
治療に有効な量の請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物を、細胞増殖性疾患にかかっている患者に投与することを含む治療方法。
【請求項23】
細胞増殖性疾患が、癌、増殖、再狭窄、心肥大、免疫疾患または炎症である請求項22記載の方法。
【請求項24】
細胞増殖性疾患にかかった細胞においてKSPキネシン活性を調節するのに十分な量で、請求項1記載の化合物を、それにかかっている患者に投与することを含む、細胞増殖性疾患を治療する方法。
【請求項25】
請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物および、有効量の該化合物を投与することにより細胞増殖性疾患を治療するための指示を含む添付文書または他のラベルを含むキット。

【公表番号】特表2006−502230(P2006−502230A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543727(P2004−543727)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/032318
【国際公開番号】WO2004/032879
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(501327514)サイトキネティクス・インコーポレーテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
【Fターム(参考)】