説明

化学反応用カートリッジおよびその使用方法

【課題】種々の測定形態に適合するカートリッジを提供する。
【解決手段】穴(ウェル)21に注入口24を介してサンプルを注入する。ローラ6をカートリッジに押し付けながら右方に回転すると穴21に収容したサンプルと穴22に収容した溶解液とが、流路25及び流路26を介して穴23に到達し、両者が混合される。混合液は流路27、流路28及び流路29に分岐して、穴31、穴32及び穴33に到達し、穴31a、穴32a及び穴33aに予め収容されていた試薬が、それぞれ穴31、穴32及び穴33に流れ込む。次に、穴31、穴32及び穴33の温度を制御してDNA増幅を行う。次に、穴31、穴32及び穴33で増幅したPCR副産物を、流路41、流路42及び流路43を介して電極51近傍の位置まで移送する。次に、引き出し電極51a及び電極52aを介して、電極51を負電極、電極52を正電極とする電圧を印加し、PCR副産物を電気泳動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力を加えた際の変形によって内容物を移送することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジが開発されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−226068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2004−226068号公報には、多数のDNAを同時検出するためのDNAチップが内蔵されたカートリッジが開示されている。このようなDNAチップは多数の測定対象を同時に測定するには有用であるが、測定対象が少数である場合には、残りのプローブが無駄になる。
【0005】
SNPs(一塩基多型)の解析では、例えば25塩基中の1塩基の相違を検出するなど、高いS/N比が要求される。この場合、ハイブリダイゼーションよりインベーダ(商標名)法などを用いた方が、実用性が高く、かつ安価である。
【0006】
本発明の目的は、上記化学反応用カートリッジの技術を活用することで、種々の測定形態に適合するカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の化学反応用カートリッジは、外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、外部からサンプルを受け入れるサンプル収容部と、カートリッジの変形に応じて、前記サンプル収容部に収容されたサンプルを複数経路に分離する分離部と、前記分離部で分離されたサンプルについて別々に化学反応を起こさせる反応部と、前記反応部での化学反応により生成されたそれぞれの反応産物について測定を行うための測定部と、を備えることを特徴とする。
この化学反応用カートリッジによれば、サンプルに対する処理手順がカートリッジの構造として規定されているので、安定した処理が実現できる。この化学反応用カートリッジにおいて、サンプルは流動性があればよく、液体に限定されない。ゲルあるいは気体でもよい。反応部における化学反応の種類は限定されない。測定部における測定内容あるいは測定方法は限定されない。
【0008】
前記測定部では、前記反応産物の生成量を測定してもよい。
【0009】
前記反応部では、DNA増幅または酵素反応が行われてもよい。
【0010】
前記反応部では、酸化還元反応、触媒反応、光反応、架橋反応、重合反応、化学修飾のいずれかの反応が行われてもよい。
【0011】
前記測定部では、蛍光測定、呈色測定、吸光測定、発光測定、電流−電圧特性に基づく酸化還元電流測定、電気泳動法、クロマトグラフィ法のいずれかの測定が行われてもよい。
【0012】
前記反応部では、PCR、LAMP法、NASBA法、RCA法、ICAN法、リアルタイムPCR法のいずれかが適用されてもよい。
【0013】
前記サンプルは生体高分子であってもよい。
しかし、サンプルは、反応部における化学反応を起こす化学物質を含んでいればよい。
【0014】
前記反応部では同一サンプルに対し同時に異なる反応が行われてもよい。
この場合、サンプルの同一性、同時性が確保される。
【0015】
前記サンプル収容部に収容されたサンプルに対し前処理を行う前処理部を備えてもよい。
【0016】
前記測定部と外部との間で光を導く光学経路を備えてもよい。
この場合、光学経路はカートリッジの構成部材で構成してもよいし、別の部材を用いて光学経路を構成してもよい。
【0017】
本発明の化学反応用カートリッジは、外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、異なる温度に設定される第1および第2の少なくとも2つのウェルを備え、カートリッジの変形に応じて前記第1のウェルおよび前記第2のウェルの間をサンプルが往復することにより、DNA増幅が行われることを特徴とする。
この化学反応用カートリッジにおいて、サンプルが往復される3つ以上のウェルを設けてもよい。
【0018】
本発明の化学反応用カートリッジは、外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、カートリッジの変形に応じてサンプルが移送される移送部と、前記移送部におけるサンプルの移送方向と交差し、前記移送部を移送されるサンプルを受け入れる電気泳動のための流路と、を備えることを特徴とする。
この化学反応用カートリッジによれば、電気泳動のための流路に受け入れられるサンプルの量およびその受け入れ位置を高精度に制御できるので、電気泳動の精度を高めることができる。
【0019】
本発明の化学反応用カートリッジの使用方法は、外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジの使用方法において、前記カートリッジに、外部からサンプルを受け入れるサンプル収容部と、カートリッジの変形に応じて、前記サンプル収容部に収容されたサンプルを複数経路に分離する分離部と、前記分離部で分離されたサンプルについて別々に化学反応を起こさせる反応部と、前記反応部での化学反応により生成されたそれぞれの反応産物について測定を行うための測定部と、を設け、サンプルの注入、反応、測定を行うステップと、前記カートリッジを廃棄するステップと、を備えることを特徴とする。
この化学反応用カートリッジの使用方法によれば、サンプルに対する処理手順がカートリッジの構造として規定されているので、安定した処理が実現できる。また、閉鎖系で処理が行われ、使用後は廃棄されるので、安全性が高く、後処理も不要となる。上記サンプルは流動性があればよく、液体に限定されない。ゲルあるいは気体でもよい。反応部における化学反応の種類は限定されない。測定部における測定内容あるいは測定方法は限定されない。
【0020】
本発明の化学反応用カートリッジの使用方法は、外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジの使用方法において、前記カートリッジに、第1および第2の少なくとも2つのウェルを設け、前記第1のウェルおよび前記第2のウェルを異なる温度に設定するステップと、カートリッジを変形させることにより、前記第1のウェルおよび前記第2のウェルの間でサンプルを往復させてDNA増幅を行わせるステップと、を備えることを特徴とする。
この化学反応用カートリッジにおいて、サンプルが往復される3つ以上のそれぞれ異なる温度に設定したウェルを設けてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の化学反応用カートリッジによれば、サンプルに対する処理手順がカートリッジの構造として規定されているので、安定した処理が実現できる。
【0022】
本発明の化学反応用カートリッジによれば、電気泳動のための流路に受け入れられるサンプルの量およびその受け入れ位置を高精度に制御できるので、電気泳動の精度を高めることができる。
【0023】
本発明の化学反応用カートリッジの使用方法によれば、サンプルに対する処理手順がカートリッジの構造として規定されているので、安定した処理が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による化学反応用カートリッジの実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
以下、図1〜図2を用いて、実施例1の化学反応用カートリッジについて説明する。本実施例は、カートリッジ内でPCR(polymerase chain reaction)増幅を行い、PCR産物を電気泳動法により解析するためのカートリッジである。
【0026】
図1(a)は本実施例のカートリッジの平面図、図1(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図である。
【0027】
図1(b)に示すように、本実施例のカートリッジの容器は、基板1と、基板1に重ね合わされる弾性部材2とを備える。
【0028】
弾性部材2の裏面(図1(b)において下面)には、その表面(図1(b)において上面)側に凹んだ所定形状の凹部が形成されている。この凹部は、カートリッジ基板1と弾性部材2との間に空間を生み出すことで、図1(a)および図1(b)に示すように、サンプルを受け入れるウェル21と、予め溶解液が収容されたウェル22と、サンプルと溶解液を混合するためのウェル23と、PCR増幅を行うためのウェル31、ウェル32およびウェル33と、ウェル31、ウェル32およびウェル33にそれぞれ接続されたウェル31a、ウェル32aおよびウェル33aと、ウェル21へサンプルを注入するための注入路24と、ウェル21およびウェル23を接続する流路25と、ウェル22およびウェル23を接続する流路26と、ウェル23およびウェル31を接続する流路27と、ウェル23およびウェル32を接続する流路28と、ウェル23およびウェル33を接続する流路29と、が形成されている。
【0029】
また、ウェル31、ウェル32およびウェル33にそれぞれ接続される流路41、流路42および流路43が、それぞれ弾性部材2の凹部として形成されている。
【0030】
図1に示すように、カートリッジには、流路41、流路42および流路43に直交する方向に引き延ばされた電極51および電極52が埋め込まれている。電極51および電極52には、それぞれ引き出し電極51aおよび引き出し電極52aが接続されている。
【0031】
また、電極51および電極52に挟まれた領域では、流路41、流路42および流路43にゲル53が充填されている。後述するように、この領域において電気泳動法による解析が行われる。
【0032】
次に、本実施例のカートリッジを用いた解析方法について説明する。
【0033】
注射針等を用いることで、ウェル21に注入口24を介してサンプルが注入される。
【0034】
次に、図1(b)に示すように、ローラ6をカートリッジに押し付けながら右方に回転させると弾性部材2が弾性変形し、ウェル21に収容されたサンプルと、ウェル22に収容された溶解液とが、それぞれ流路25および流路26を介してウェル23に到達し、両者が混合される。
【0035】
さらにローラ6を回転させると、混合液は流路27、流路28および流路29に分岐して、ウェル31、ウェル32およびウェル33に到達する。またこのとき、ウェル31a、ウェル32aおよびウェル33aに予め収容されていた特定DNAを付したプライマおよびDNA合成酵素が、それぞれウェル31、ウェル32およびウェル33に流れ込む。
【0036】
次に、ウェル31、ウェル32およびウェル33の温度を制御することで、それぞれの特定DNA領域について増幅を行う。
【0037】
次に、ウェル31、ウェル32およびウェル33において増幅されたPCR副産物を、ローラ6によって流路41、流路42および流路43を介して移送する。PCR副産物はゲル53が充填された領域内の電極51近傍の位置まで移送される。
【0038】
次に、引き出し電極51aおよび引き出し電極52aを介して、電極51を負電極、電極52を正電極とする電圧を印加し、PCR副産物を電気泳動させる。
【0039】
電気泳動の結果は、励起光により蛍光マーカを発光させた状態で、図1(a)に示す領域55をカメラで撮像することで解析される。なお、領域55の撮像には、例えば、特開2003−028799号公報に開示された読み取り装置等を用いることができる。この装置によれば、DNAチップを撮像するカメラおよび励起光源を上記解析に兼用できる。
【0040】
解析の後、カートリッジは廃棄される。
【0041】
このように、本実施例のカートリッジによれば、カートリッジの構造として化学的処理の手順が予め規定されているので、個人のスキルによる差が発生せず、解析の信頼性を向上させることができる。ローラ6の駆動を自動化すれば、常に一定条件での処理が保証される。また、閉鎖系で処理を行うため、ウィルスの混入や外部への漏洩が防止され、解析の信頼性やカートリッジ使用時の安全性が確保される。
【0042】
また、本実施例のカートリッジによれば、ハイブリダイゼーションに適さない少数の特定のDNAについての解析を低コストで行え、しかも従来のDNAチップ読み取り装置を活用できる。
【0043】
上記実施例では、3種類のDNAについての解析を行っているが、解析対象数は任意に選択できる。例えば、電気泳動の領域(撮像領域)の幅を約10mm、流路のピッチの限界が約0.5mmと考えれば、20種類程度まで解析が可能となる。
【0044】
また、一般に電気泳動法では位置再現性の点で不安定な面があるため、既知のDNAによるコントロールのために、1チャンネル分の流路等を設けることが望ましい。例えば、DNAの量に応じて電計泳動パターンがラダー状となるように設計されたコントロールDNAをカートリッジ内に収容しておき、これに対して、サンプルと同様、PCR増幅と電気泳動を行うようにしてもよい。
【0045】
図2は電気泳動のサンプル量を均一に制御するカートリッジの構成例を示す平面図である。
【0046】
図2に示すカートリッジでは、PCR副産物が移送される流路45a〜45eと、ゲルが充填された流路61a〜61eとが互いに交差して形成されている。ローラは流路45a〜45eに沿った方向に駆動される。流路45a〜45eおよび流路61a〜61eの交点には、それぞれカートリッジの厚み方向で両者を接続する接続孔62a〜62eが形成されている。
【0047】
ローラによってPCR副産物を流路45a〜45e内で右方向に移送すると、接続孔62a〜62eを介してPCR副産物が流路61a〜61eに到達する。その後、電極51Aおよび電極52A間に電圧を印加することで、PCR副産物を電気泳動させる。
【0048】
この場合、接続孔62a〜62eによって流路61a〜61eに与えられるPCR副産物の量を均一化することができる。また、PCR副産物の位置が接続孔62a〜62eにより規定されるので、電気泳動開始時における位置精度を向上させることができる。このため、より高精度の解析が可能となる。
【実施例2】
【0049】
以下、図3を用いて、実施例2の化学反応用カートリッジについて説明する。本実施例は、Third Wave Technologies 社のインベーダ(商標名)法への適用例を示すものである。インベーダ法は遺伝子変異を検出する方法であり、DNAサンプルとインベーダ試薬を混合してインキュベーションしてインベーダ反応させた後、蛍光による測定を行うものである。SNPs(一塩基多型)の解析等にも利用される。
【0050】
図3(a)は本実施例のカートリッジの平面図、図3(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図である。
【0051】
図3(b)に示すように、本実施例のカートリッジの容器は、基板101と、基板101に重ね合わされる弾性部材102とを備える。
【0052】
弾性部材102の裏面(図3(b)において下面)には、その表面(図3(b)において上面)側に凹んだ所定形状の凹部が形成されている。この凹部は、カートリッジ基板101と弾性部材102との間に空間を生み出すことで、図3(a)および図3(b)に示すように、サンプルを受け入れるウェル121と、予め溶解液が収容されたウェル122と、サンプルと溶解液を混合するためのウェル123と、PCR増幅を行うためのウェル131、ウェル132およびウェル133と、ウェル131、ウェル132およびウェル133にそれぞれ接続されたウェル131a、ウェル132aおよびウェル133aと、ウェル121へサンプルを注入するための注入路124と、ウェル121およびウェル123を接続する流路125と、ウェル122およびウェル123を接続する流路126と、ウェル123およびウェル131を接続する流路127と、ウェル123およびウェル132を接続する流路128と、ウェル123およびウェル133を接続する流路129と、が形成されている。
【0053】
また、ウェル131、ウェル132およびウェル133にそれぞれ接続される流路141、流路142および流路143と、流路141、流路142および流路143の末端に接続されるウェル171、ウェル172およびウェル173が、それぞれ弾性部材102の凹部として形成されている。
【0054】
次に、本実施例のカートリッジを用いた解析方法について説明する。
【0055】
注射針等を用いることで、ウェル121に注入口124を介してサンプルが注入される。
【0056】
次に、図3(b)に示すように、ローラ6をカートリッジに押し付けながら右方に回転させると弾性部材102が弾性変形し、ウェル121に収容されたサンプルと、ウェル122に収容された溶解液とが、それぞれ流路125および流路126を介してウェル123に到達し、両者が混合される。
【0057】
さらにローラ6を回転させると、混合液は流路127、流路128および流路129に分岐して、ウェル131、ウェル132およびウェル133に到達する。またこのとき、ウェル131a、ウェル132aおよびウェル133aに予め収容されていたアレル・オリゴ(インベーダ・オリゴ)およびDNA合成酵素が、それぞれウェル131、ウェル132およびウェル133に流れ込む。
【0058】
ウェル131、ウェル132およびウェル133では、インキュベーションによりインベーダ反応が進行する。
【0059】
次に、ウェル131、ウェル132およびウェル133における反応物を、ローラ6によって流路141、流路142および流路143を介して移送し、それぞれウェル171、ウェル172およびウェル173に移動させる。
【0060】
次に、図3(a)に示す領域175をカメラで撮像し、解析を行う。
【0061】
ここでは、励起光により蛍光マーカを発光させた状態で、領域175をカメラで撮像することでウェル171、ウェル172およびウェル173の内容物のDNA量を解析する。なお、領域175の撮像には、例えば、特開2003−028799号公報に開示された読み取り装置等を用いることができる。この装置によれば、DNAチップを撮像するカメラおよび励起光源を上記解析に兼用できる。
【0062】
解析の後、カートリッジは廃棄される。
【0063】
このように、本実施例のカートリッジによれば、カートリッジの構造として化学的処理の手順が予め規定されているので、個人のスキルによる差が発生せず、解析の信頼性を向上させることができる。ローラ6の駆動を自動化すれば、常に一定条件での処理が保証される。また、閉鎖系で処理を行うため、ウィルスの混入や外部への漏洩が防止され、解析の信頼性やカートリッジ使用時の安全性が確保される。
【0064】
また、本実施例のカートリッジによれば、ハイブリダイゼーションに適さない少数の特定のDNAについての解析を低コストで行え、しかも従来のDNAチップ読み取り装置を活用できる。
【0065】
上記実施例では、3種類のDNAについての解析を行っているが、解析対象数は任意に選択できる。例えば、撮像領域の幅を約10mm、流路のピッチの限界を約0.5mmと考えれば、20種類程度まで解析が可能となる。
【実施例3】
【0066】
以下、図4を用いて、実施例3の化学反応用カートリッジについて説明する。
【0067】
本実施例は、リアルタイムPCR法への適用例を示すものである。リアルタイムPCR法は、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れている。この方法は、未知濃度のサンプルに対し一定条件の温度サイクルを与えてPCR増幅し、一定の増幅産物量が得られるまでのサイクル数を求めるものである。予め、段階希釈した既知量のDNAに対し、同一条件で増幅産物量が同量に到達するまでのサイクル数を示す検量線を作成しておけば、検量線に基づいてサンプル中のDNA量を測定することができる。
【0068】
図4(a)は本実施例のカートリッジの平面図、図4(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図である。
【0069】
図4(b)に示すように、本実施例のカートリッジの容器は、基板201と、基板201に重ね合わされる弾性部材202とを備える。
【0070】
弾性部材202の裏面(図4(b)において下面)には、その表面(図4(b)において上面)側に凹んだ所定形状の凹部が形成されている。この凹部は、カートリッジ基板201と弾性部材202との間に空間を生み出すことで、図4(a)および図4(b)に示すように、サンプルを受け入れるウェル221と、予め溶解液が収容されたウェル222と、サンプルと溶解液を混合するためのウェル223と、PCR増幅を行うためのウェル231、ウェル232およびウェル233と、ウェル231、ウェル232およびウェル233にそれぞれ接続されたウェル231a、ウェル232aおよびウェル233aと、ウェル221へサンプルを注入するための注入路224と、ウェル221およびウェル223を接続する流路225と、ウェル222およびウェル223を接続する流路226と、ウェル223およびウェル231を接続する流路227と、ウェル223およびウェル232を接続する流路228と、ウェル223およびウェル233を接続する流路229と、が形成されている。
【0071】
また、PCR増幅を行うためのウェル271、ウェル272およびウェル273と、ウェル231およびウェル271を接続する流路241と、ウェル232およびウェル272を接続する流路242と、ウェル233およびウェル273を接続する流路243と、がそれぞれ弾性部材202の凹部として形成されている。
【0072】
次に、本実施例のカートリッジを用いた解析方法について説明する。
【0073】
注射針等を用いることで、ウェル221に注入口224を介してサンプルが注入される。
【0074】
次に、図4(b)に示すように、ローラ6をカートリッジに押し付けながら右方に回転させると弾性部材202が弾性変形し、ウェル221に収容されたサンプルと、ウェル222に収容された溶解液とが、それぞれ流路225および流路226を介してウェル223に到達し、両者が混合される。
【0075】
さらにローラ6を回転させると、混合液は流路227、流路228および流路229に分岐して、ウェル231、ウェル232およびウェル233に到達する。またこのとき、ウェル231a、ウェル232aおよびウェル233aに予め収容されていた特定DNAを付したプライマ、DNA合成酵素およびリアルタイム検出用プローブが、それぞれウェル231、ウェル232およびウェル233に流れ込み混合される。
【0076】
検出用プローブを付加する方法として、インターカレータ法等が知られている。この方法は、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発するインターカレータ(例えば、SYBR(商標名)Green 1)を検出用プローブとして用いるものである。インターカレータは、PCR反応によって合成された2本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発する。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターできる。なお、増幅されたDNAの融解温度を測定することもできる。
【0077】
図4(b)に示すように、ウェル231、ウェル232およびウェル233の温度はヒータあるいはペルチェ素子を用いた温度制御装置281により、ウェル271、ウェル272およびウェル273の温度はヒータあるいはペルチェ素子を用いた温度制御装置282により、それぞれ一定温度(例えば、60℃と95℃程度)に制御されている。
【0078】
ローラ6を駆動することにより、それぞれのPCR副産物は所定のサイクルに従って、ウェル231とウェル271の間、ウェル232とウェル272の間、およびウェル233とウェル273の間を往復する。この場合、破線に示す2本のローラ6a,6bを用いても良い。
【0079】
ウェル間を往復するPCR副産物は、流路241、流路242および流路243においてカメラによって撮像され、その蛍光量に基づいて増幅産物量がリアルタイムに計測される。図4(b)における領域250は、カメラによる撮像領域を示している。
【0080】
領域250の撮像には、例えば、特開2003−028799号公報に開示された読み取り装置等を用いることができる。この装置によれば、DNAチップを撮像するカメラおよび励起光源を上記解析に兼用できる。
【0081】
解析の後、カートリッジは廃棄される。
【0082】
このように、本実施例のカートリッジによれば、カートリッジの構造として化学的処理の手順が予め規定されているので、個人のスキルによる差が発生せず、解析の信頼性を向上させることができる。ローラ6の駆動を自動化すれば、常に一定条件での処理が保証される。また、閉鎖系で処理を行うため、ウィルスの混入や外部への漏洩が防止され、解析の信頼性やカートリッジ使用時の安全性が確保される。
【0083】
また、本実施例のカートリッジによれば、ハイブリダイゼーションに適さない少数の特定のDNAについての解析を低コストで行え、しかも従来のDNAチップ読み取り装置を活用できる。
【0084】
上記実施例では、3種類のDNAについての解析を行っているが、解析対象数は任意に選択できる。例えば、撮像領域の幅を約10mm、流路のピッチの限界を約0.5mmと考えれば、20種類程度まで解析が可能となる。
【0085】
上記実施例では、2ステップの温度条件間でのサイクルへの適用例を示しているが、3ステップ以上の温度条件を設定することもできる。
【実施例4】
【0086】
図5の実施例4は、3ステップの温度条件に対応するカートリッジの構成例を示している。図5(a)は本実施例のカートリッジの平面図、図5(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図である。以下、図4に示すカートリッジとの相違点を説明する。
【0087】
図5(b)に示すように、本実施例のカートリッジは、基板201Aと、基板201Aに重ね合わされる弾性部材202Aとを備える。
【0088】
図5に示すカートリッジでは、上記実施例のカートリッジに加え、PCR増幅を行うためのウェル261、ウェル262およびウェル263が形成されている。また、ウェル261は流路291を介してウェル271に、ウェル262は流路292を介してウェル272に、ウェル263は流路293を介してウェル273に、それぞれ接続されている。
【0089】
図5(b)に示すように、ウェル261、ウェル262およびウェル263は温度制御装置283により温度制御される。
【0090】
図6は、3ステップの温度条件間でのサイクルの例を示している。この例では、55℃、75℃、95℃の温度条件が規定されている。例えば、図5(b)において温度制御装置281,282,283の設定温度を55℃、75℃、95℃に設定することで、対応するウェルの温度をこの温度に維持することができる。
【0091】
図4のカートリッジの場合と同様、図6に示すサイクルに従って、PCR副産物をウェル間で移動させつつ、領域250においてカメラによる撮像を行うことで、増幅産物量がリアルタイムに計測される。
【実施例5】
【0092】
以下、図7を用いて、実施例5の化学反応用カートリッジについて説明する。本実施例は、複数サンプルについて同時測定する場合への適用例を示すものである。
【0093】
図7(a)は本実施例のカートリッジの平面図、図7(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図である。
【0094】
図7(b)に示すように、本実施例のカートリッジは、基板301と、基板301に重ね合わされる弾性部材302とを備える。
【0095】
弾性部材302の裏面(図7(b)において下面)には、その表面(図7(b)において上面)側に凹んだ所定形状の凹部が形成されている。この凹部は、カートリッジ基板301と弾性部材302との間に空間を生み出すことで、図7(a)および図7(b)に示すように、サンプルをそれぞれ受け入れるウェル321Aおよびウェル321Bと、予め溶解液が収容されたウェル322Aおよびウェル322Bと、サンプルと溶解液を混合するためのウェル323Aおよびウェル323Bと、PCR増幅を行うためのウェル331、ウェル332およびウェル333と、ウェル331、ウェル332およびウェル333にそれぞれ接続されたウェル331a、ウェル332aおよびウェル333aと、ウェル321Aおよびウェル321Bへサンプルをそれぞれ注入するための注入路324Aおよび注入路324Bと、ウェル321Aおよびウェル323Aを接続する流路325Aと、ウェル321Bおよびウェル323Bを接続する流路325Bと、ウェル323Aおよびウェル331を接続する流路327と、ウェル323Aおよびウェル332を接続する流路328と、ウェル323Bおよびウェル333を接続する流路329と、が形成されている。
【0096】
また、PCR増幅を行うためのウェル371、ウェル372およびウェル373と、PCR増幅を行うためのウェル361、ウェル362およびウェル363と、ウェル331およびウェル371を接続する流路341と、ウェル332およびウェル372を接続する流路342と、ウェル333およびウェル373を接続する流路343と、ウェル361およびウェル371を接続する流路391と、ウェル362およびウェル372を接続する流路392と、ウェル363およびウェル373を接続する流路393と、がそれぞれ弾性部材302の凹部として形成されている。
【0097】
次に、本実施例のカートリッジを用いた解析方法について説明する。
【0098】
注射針等を用いることで、ウェル321Aに注入口324Aを介してサンプルが注入される。また、ウェル321Bに注入口324Bを介して別のサンプルが注入される。
【0099】
次に、図7(b)に示すように、ローラ6をカートリッジに押し付けながら右方に回転させると弾性部材302が弾性変形し、ウェル321Aに収容されたサンプルと、ウェル322Aに収容された溶解液とが、ウェル323Aに到達し、両者が混合される。これと同時に、ウェル321Bに収容されたサンプルと、ウェル322Bに収容された溶解液とが、ウェル323Bに到達し、両者が混合される。
【0100】
さらにローラ6を回転させると、ウェル323A内の混合液は流路327および流路328に分岐して、ウェル331およびウェル332に到達する。またこのとき、ウェル331aおよびウェル332aに予め収容されていた特定DNAを付したプライマおよびDNA合成酵素が、それぞれウェル331およびウェル332に流れ込み混合される。
【0101】
これと同時に、ウェル323B内の混合液は流路329を経由してウェル333に到達する。またこのとき、ウェル333aに予め収容されていた特定DNAを付したプライマおよびDNA合成酵素が、ウェル333に流れ込み混合される。
【0102】
図7(b)に示すように、ウェル331、ウェル332およびウェル333の温度はヒータあるいはペルチェ素子を用いた温度制御装置381により、ウェル371、ウェル372およびウェル373の温度はヒータあるいはペルチェ素子を用いた温度制御装置382により、ウェル361、ウェル362およびウェル363の温度はヒータあるいはペルチェ素子を用いた温度制御装置383により、それぞれ一定温度(例えば、55℃と75℃と95℃程度)に制御されている。
【0103】
ローラ6を駆動することにより、それぞれのPCR副産物は所定のサイクルに従って、ウェル331、ウェル371およびウェル361の間、ウェル332、ウェル372およびウェル362の間、ウェル333、ウェル373およびウェル363の間、を移送される。
【0104】
ウェル間を移動するPCR副産物は、流路341、流路342および流路343においてカメラによって撮像され、その蛍光量に基づいて増幅産物量がリアルタイムに計測される。図7(b)における領域350は、カメラによる撮像領域を示している。
【0105】
領域350の撮像には、例えば、特開2003−028799号公報に開示された読み取り装置等を用いることができる。この装置によれば、DNAチップを撮像するカメラおよび励起光源を上記解析に兼用できる。
【0106】
解析の後、カートリッジは廃棄される。
【0107】
このように、本実施例のカートリッジによれば、複数のサンプルについて同一の領域で同時測定を行うことができる。複数サンプルについて同時測定する構成は、電気泳動法等、他の測定方法を行うカートリッジについても適用できる。これは特に「コントロール」と呼ばれる参照物(例えば基準のDNA断片など)を同時増幅するときに有用である。
【0108】
上記実施例1〜5では1本のローラを使用しているが、図4bに示すように複数本のローラを使用し、2本のローラ間に移送対象液を挟みこんで移送すれば、ローラをカートリッジに押し付けたままの状態で駆動できるため、より確実な移送を行えるとともに、移送対象液の移送範囲外への漏れを確実に防止できる。とくに、往復移送が必要な場合には有効である。
【0109】
DNA増幅の方法としては、PCRに限らず、LAMP法、NASBA法、RCA法、ICAN法等に対して本発明によるカートリッジを適用することができる。
【0110】
化学反応の種類として、DNA増幅やインベーダ法に示したような酵素反応だけでなく、電流−電圧特性に基づく酸化還元反応、触媒反応、光反応(マレイミド反応等)、架橋反応、重合反応、化学修飾等にも本発明によるカートリッジを適用することができる。
【0111】
測定ないし解析方法として、蛍光測定だけでなく、呈色測定、吸光測定、発光測定等にも本発明によるカートリッジを適用することができる。また、カメラを使用せず、カートリッジに埋設した電極を用いて還元電流を測定することもできる。なお、還元電流をカートリッジの内容物に与えることで、色を変化させることもできる(ポリアニリン等)。
【0112】
また、電気泳動やクロマトグラフィと、上記の光を用いた測定や電流の測定とを組み合わせることもできる。
【0113】
測定対象はDNA、RNA、タンパク、糖鎖、代謝物等の生体高分子に限らず、本発明によるカートリッジは、他の化学反応性分子に対し広く適用できる。
【0114】
上記実施例1〜5では、カートリッジ内でサンプルを前処理する構成を示したが、前処理を行わず、直接、測定を行う構成を採ることもできる。
【0115】
図8はカートリッジに光導波路を形成する例を示す図である。この例では、実施例2のカートリッジに光導波路を形成した構成を示している。
【0116】
図8に示すように、このカートリッジでは、例えば、弾性部材102よりも屈折率の大きな材料を用いた光導波路91,92,93の基端をウェル171,172,173にそれぞれ接続し、その終端をカートリッジの側面に露出させる。このような構成によれば、光導波路91,92,93を介して励起光の照射および蛍光の取り込みができるため、温度制御装置をウェル171,172,173の上下面に設けるような場合でも、温度制御装置を機能させた状態で、蛍光測定を行うことができる。
【0117】
図9(a)に示すように、柔軟性のある光導波線94をウェル75に接続し、光導波線94を介して励起光の照射および蛍光の取り込みを行ってもよい。
【0118】
また、図9(b)に示すように、ウェル76をカートリッジから突出して形成し、ウェル76の周囲の光導波部96と、これに接続される柔軟性のある光導波線95とを一体的に形成してもよい。
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、外力を加えた際の変形によって内容物を移送することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジおよびその使用方法に対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】実施例1のカートリッジの構成を示す図であり、(a)は本実施例のカートリッジの平面図、(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図。
【図2】電気泳動のサンプル量を均一に制御するカートリッジの構成例を示す平面図。
【図3】実施例2のカートリッジの構成を示す図であり、(a)は本実施例のカートリッジの平面図、(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図。
【図4】実施例3のカートリッジの構成を示す図であり、(a)は本実施例のカートリッジの平面図、(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図。
【図5】実施例4のカートリッジの構成を示す図であり、(a)は本実施例のカートリッジの平面図、(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図。
【図6】3ステップの温度条件間でのサイクルの例を示す図。
【図7】実施例5のカートリッジの構成を示す図であり、(a)は本実施例のカートリッジの平面図、(b)はウェルおよび流路に沿った断面を示すカートリッジの断面図。
【図8】カートリッジに光導波路を形成する例を示す図。
【図9】カートリッジに光導波路を形成する例を示す図であり、(a)は柔軟性のある光導波線を用いた例を示す図、(b)はウェルをカートリッジから突出して形成した例を示す図。
【符号の説明】
【0120】
21,121,221,321A,321B ウェル(サンプル収容部)
23,123,223,323A ウェル(前処理部)
27,28,29 流路(分離部)
127,128,129 流路(分離部)
227,228,229 流路(分離部)
327,328 流路(分離部)
31,32,33 ウェル(反応部)
131,132,133 ウェル(反応部)
231,232,233 ウェル(反応部)
331,332,333 ウェル(反応部)
55 領域(測定部)
175 領域(測定部)
250 領域(測定部)
350 領域(測定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、
外部からサンプルを受け入れるサンプル収容部と、
カートリッジの変形に応じて、前記サンプル収容部に収容されたサンプルを複数経路に分離する分離部と、
前記分離部で分離されたサンプルについて別々に化学反応を起こさせる反応部と、
前記反応部での化学反応により生成されたそれぞれの反応産物について測定を行うための測定部と、
を備えることを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項2】
前記測定部では、前記反応産物の生成量を測定することを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項3】
前記反応部では、DNA増幅または酵素反応が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項4】
前記反応部では、酸化還元反応、触媒反応、光反応、架橋反応、重合反応、化学修飾のいずれかの反応が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項5】
前記測定部では、蛍光測定、呈色測定、吸光測定、発光測定、電流−電圧特性に基づく酸化還元電流測定、電気泳動法、クロマトグラフィ法のいずれかの測定が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項6】
前記反応部では、PCR、LAMP法、NASBA法、RCA法、ICAN法、リアルタイムPCR法のいずれかが適用されることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項7】
前記サンプルは生体高分子であることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項8】
前記反応部では同一サンプルに対し同時に異なる反応が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項9】
前記サンプル収容部に収容されたサンプルに対し前処理を行う前処理部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項10】
前記測定部と外部との間で光を導く光学経路を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項11】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、
異なる温度に設定される第1および第2の少なくとも2つのウェルを備え、
カートリッジの変形に応じて前記第1のウェルおよび前記第2のウェルの間をサンプルが往復することにより、DNA増幅が行われることを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項12】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジにおいて、
カートリッジの変形に応じてサンプルが移送される移送部と、
前記移送部におけるサンプルの移送方向と交差し、前記移送部を移送されるサンプルを受け入れる電気泳動のための流路と、
を備えることを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項13】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジの使用方法において、
前記カートリッジに、
外部からサンプルを受け入れるサンプル収容部と、
カートリッジの変形に応じて、前記サンプル収容部に収容されたサンプルを複数経路に分離する分離部と、
前記分離部で分離されたサンプルについて別々に化学反応を起こさせる反応部と、
前記反応部での化学反応により生成されたそれぞれの反応産物について測定を行うための測定部と、
を設け、
サンプルの注入、反応、測定を行うステップと、
前記カートリッジを廃棄するステップと、
を備えることを特徴とする化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項14】
外力を加えた際の変形によって内容物を移送または封止することで化学反応を行わせる化学反応用カートリッジの使用方法において、
前記カートリッジに、第1および第2の少なくとも2つのウェルを設け、
前記第1のウェルおよび前記第2のウェルを異なる温度に設定するステップと、
カートリッジを変形させることにより、前記第1のウェルおよび前記第2のウェルの間でサンプルを往復させてDNA増幅を行わせるステップと、
を備えることを特徴とする化学反応用カートリッジの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−101200(P2007−101200A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287470(P2005−287470)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】