説明

化学的及び物理的安定性が改良されたナノファイバ及びナノファイバを含むウエブ

少なくとも2つの成分、すなわち、カルボン酸及び/又はその酸無水物官能基を有する第1の成分及び第一級及び/又は第二級アミノ官能基を有する第2の成分を含む水系溶液を使用するエレクトロスピニング法によって得られる水不溶性のナノファイバ及び/又はマイクロファイバを含む不織ウエブであって、熱処理で硬化する上記不織ウエブ。用途:ろ過及び分離。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバを含むウエブを製造するために、ポリマー水溶液から化学的及び物理的安定性が改良されたナノファイバを生成させることに関する。本発明の目的はまた、本方法に従って得られるウエブ、及び例えば、ろ過及び分離用途でのその使用である。
【背景技術】
【0002】
ファイバの形態で一次元ナノ構造体を生成するための多数の合成方法及び製作方法がすでに実際に示されてきた[1〜3]。こうした方法のなかでもとりわけ、エレクトロスピニングは、例外的に、長さが長く、直径が均一で、類似品が多様であるナノファイバを得るための最も簡単な手法であると思われる[4〜5]。一次元ナノ構造体を生成するための他の方法と異なり、エレクトロスピニングを介しての細いファイバの形成は、ポリマー溶液から発射される粘弾性ジェット流を一軸的に延伸(又は伸長)させることに基づく。この技法は、粘弾性ジェット流の直径を連続的に低減するために表面電荷間の静電反発力(機械的又はせん断の力ではなく)を使用することを除けば、マイクロファイバを引き抜くための工業的方法に類似している[6〜7]。機械的な引抜きと同様に、エレクトロスピニングもまた、連続法であり、大量生産法として周知されている。
【0003】
エレクトロスピニングの操作を記載した最初の特許は、1934年に出現し、Formalasによって、表面電荷間の静電反発力を巧みに利用することによってポリマーフィラメントを生成するための装置が開示された[8]。エレクトロスピニングのための設定は極めて簡単であるが、スピニング機構はかなり複雑である。高電圧(通常、1〜30kVの範囲)を印加すると、スピナレットのノズルにおけるポリマー溶液の懸垂滴は、大きく帯電し、誘導電荷が表面全体に均等に分布する。その結果、その液滴は2つの主要な型の静電力:つまり、表面電荷間の静電反発力及び外部電場の働きによるクーロン力にさらされる。こうした静電相互作用の作用下で、液滴は、変形してテイラーコーンとして一般に公知の円錐体になる[3、9]。一旦電場の強度があるしきい値を超えると、静電力が、ポリマー溶液の表面張力に打ち勝つことができ、ノズルから液体ジェット流を強制噴出させる。荷電ジェット流がノズルから捕集器に進む経路内で、以下のプロセス:すなわち、ジェット流の延伸及び伸張、溶媒の蒸発、ポリマーの沈殿、及びジェット流の固化が行われる。捕集器に衝突する荷電ジェット流が固体である場合、ナノファイバの形成が行われ、ナノファイバは、最終的には、ランダムに配向した不織マットとして堆積する[3]
【0004】
エレクトロスピニングによるナノファイバは、溶融ポリマー又は溶媒に溶解させたポリマーの溶液を使用することによって生成させることができる。溶媒エレクトロスピニングが好ましい。その理由は、ナノファイバの生成中の溶媒蒸発が寄与し、そのために生成ナノファイバの固化が制御されるので、小さい直径のファイバは、この技法によって作製するのが最適であるからである。溶媒エレクトロスピニングの場合、ポリマー溶液の粘度や表面張力などエレクトロスピニングを可能にするための特性の制御もより容易である。逆に、溶融エレクトロスピニングの場合、溶融ポリマーが冷却するために、溶融ポリマーのエレクトロスピニング特性及びポリマーの硬化を制御することが困難である。US6746517B2、EP1326697B1、US7318853B2、US7270693B2、US7179317B2、US7090715B2、US6924028B2、US6875256B2、US6743273B2、US7008465B2、US6746517B2、EP1326697B1、US6673136B2、EP1317317B1、US7270692B2、EP1317317B1などナノファイバのエレクトロスピニングに関するいくつかの刊行物及び特許を参照することができる。
【0005】
エレクトロスピニング性について必要な改変を行えば、理論的には、殆ど全てのポリマーをエレクトロスピニングすることが可能であるが、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ乳酸などわずか数種のポリマーのみが工業的に使用されているにすぎない。通常は、ナノファイバのエレクトロスピニングでは、ナノファイバを生成させるために、ギ酸、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン及びアルコール性溶媒などの有機溶媒中のポリマー溶液が主として使用される。
【0006】
エレクトロスピニング用としては、有害な化学製品への暴露を回避又は最小にするために、健康、安全、及び化学プロセスのガス状排出物と材料のハンドリング中、加工中及び末端使用中の製品とがもたらす環境インパクトに関連するリスクを低減するために、毒性の低い溶媒が好ましい。さらには、特に、静電爆発という危険の恐れがある高電荷を必要とするエレクトロスピニング法における火災のリスクを回避するために、不燃性の溶媒が好ましい。ここで挙げたような理由のために、エレクトロスピニング法のために水系溶液を使用する利点が重要になりつつあり、この分野に関連したいくつかの科学論文が発表されている[10〜17]。水系溶液の別の利点は、他の溶媒に比較してコストがより低いことである。
【0007】
エレクトロスピニング法に適用可能なポリマーに関しては、−理論的には−溶融又は溶解できるポリマーは全て、ナノファイバを形成するのに使用することができる。しかし、製品の最終用途次第で、ポリマーの化学的及び物理的特性は、製品の最終用途に対して重要問題である。
【0008】
水溶性ポリマーをエレクトロスピニング用として使用する場合の問題点は、こうして生成したナノファイバが、多湿条件で及び/又は水中で膨潤したり、可溶性であることである。この問題点は、ポリマーを架橋することによって克服することができる。その理由は、そのポリマーが、ナノファイバ構造の一部になり、それによって、ポリマーナノファイバの化学的及び物理的特性を改変することが可能になると思われるからである。架橋は、周知の反応であり、架橋剤が反応し、ポリマー鎖間に共有結合を形成することによって、例えば、耐熱性、耐機械的損傷及び耐溶媒性が改良される。そうした例の一つは、ポリビニルアルコールなどのポリマーと架橋剤とを使用する水系システムであり、US2004060269A1に記載されている。
【0009】
さらには、US7270693B2には、ナノファイバの耐熱性能、耐水性能及び耐湿分性能が改良できる架橋剤を含むポリマーブレンド又はポリマーが開示されている。US7270693B2にはまた、ポリアクリル酸、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド又はその混合物を含む架橋剤を使用することによるポリビニルアルコールの架橋反応が開示されている。
【0010】
US2004/232068A1には、ろ過用の複合材料が開示されており、この材料は、水中で膨潤し、この膨潤性材料の少なくとも一部分は超高性能吸収剤である。この超高性能吸収性の材料は、プリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルコール、ポリアミン等々及びその組合せからなるポリマー群から選択される。
【0011】
GB−A−1 394 553は、湿式シート化法によって作製されたウエブ内のファイバの結合に関する。このファイバは、アニオン性又はカチオン性いずれかの基を有するある種のポリマー性結合剤を添加することによって調製される。次いで、こうしたファイバは、反対のイオン性基(カチオン性又はアニオン性いずれかの基)を有する分散液/ラテックスを添加して水中で混合されることによってこうしたラテックスがファイバ上に沈降し、従来の湿式シート化法によってウエブが作製される場合に結合を助ける。
【0012】
特に水溶性ポリマーを使用して上記の化学品を用いて得ることができると思われる架橋度が比較的低いので、こうしたナノファイバは、特にろ過及び分離における工業用途が比較的限定される恐れがある。架橋度の低いこうしたナノファイバは、溶媒エレクトロスピニングによって生成されるものに比較して、水及び/又は湿潤環境中で膨潤現象を示す。ナノファイバのこうした挙動のために、フィルタ系内の流れが低減し、繊維構造及び形態が変形する。こうしたファイバはまた、耐熱性が限定されることになる。このことは、やはり、上述の参考文献の特許請求の範囲の一つから明白であり、そこでは耐熱性が140°F又は60℃であると報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
開示された本発明は、ナノファイバの状態におけるポリマーの架橋度又は架橋性を改良することによってナノファイバの特性が改良されたナノファイバを製造するための水系ポリマー溶液の開発に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ナノファイバの構成成分を形成するポリマー鎖間のイオン性分子間相互作用を操作することによってナノファイバの熱特性を改良することが可能であることを本発明者らは見出した。詳細には、一方が酸官能基を有し、他方が塩基性官能基を有する2つのポリマー又はポリマーと添加剤の混合物を含む溶液をエレクトロスピニングすることによって得られるナノファイバは、熱安定性及び機械的安定性に関して大きな改良を示すことが見出された。この改良は、実施例7に詳細説明されているように酸官能基と塩基性官能基の間に行われる強力なイオン性相互作用のためであると考えられた。
【0015】
イオン性相互作用のみがナノファイバの耐溶媒性、詳細には、耐水性を大きく改良するのではないことも見出された。こうした挙動は、イオン性官能基が高度に親水性であり、容易に加水分解され得るという事実のためである。
【0016】
水溶性ポリマー系から、イオン性挙動を行い、また水不溶性でもあるナノファイバを生成させる目的で、やはり相互に反応することによって高度に架橋したナノファイバを形成できるイオン性ポリマーのブレンドが開発された。
【0017】
本発明者らは、第一級又は第二級(又は双方)アミノ官能基(塩基性)を有する添加剤又はポリマーとブレンドされたカルボン酸官能基(酸)を有する水溶性ポリマーから生成したナノファイバが、ナノファイバの状態で熱処理される場合に、反応性が大きいことを見出した。
【0018】
上述の官能基を含むナノファイバを熱処理すると、アミノリシス反応によってポリマー鎖間にアミド結合が生成することが赤外分光分析法によって実際に示された。より詳細には、熱処理によって酸無水物官能基を形成する傾向の大きい、カルボン酸官能基を有するポリマーは、アミノリシス反応に際してはるかに反応性が大きいことが見出された。140℃超の温度で熱処理されたポリカルボン酸ナノファイバについて赤外分光分析法で分析すると、酸無水物官能基の明確な信号の形成が観察された。酸無水物官能基は、2つのカルボン酸官能基の反応によって形成され、1つの水分子が、反応の副生物として生成する。こうして形成された脂肪族酸無水物は、周囲温度及び周囲湿度で不安定であり、水と反応することによって再びカルボン酸官能基を形成することができる。本発明者らは、ポリカルボン酸と第一級又は第二級アミノ官能基とを含むポリマーブレンドから生成したナノファイバを熱処理にかけた場合、ブレンドのカルボン酸官能基は、酸無水物官能基を形成することができ、添加アミンが酸無水物部分に対して求核的に攻撃することによってアミノリシス反応が行われることを見出した。ポリマーブレンド中で酸無水物のピークが喪失し、アミンの濃度が相対的に増加することが測定されることによって、ナノファイバ中のアミノリシス反応が実際に示された。アミノリシス反応に対するアミンの反応性に関しては、第一級アミンは、第二級アミンより反応性が大きく、第三級及び第四級アミンは、置換可能な水素原子が存在しないために反応することができない。
【0019】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも2つの成分、すなわち、カルボン酸及び/又はその酸無水物官能基を有する第1の成分及び第一級及び/又は第二級アミノ官能基を有する第2の成分を含む水系溶液を使用するエレクトロスピニング法によって得られる水不溶性のナノファイバ及び/又はマイクロファイバを含む不織ウエブであって、熱処理で硬化する上記不織ウエブに関する。
【0020】
本発明のポリマー組成物で利用できるポリマー材料には、カルボン酸及び第一級又は第二級(又は双方)アミノ官能基を含む両性高分子電解質、又は以下に記載する特性を有する2つの成分のブレンドが含まれる。
【0021】
ブレンドの第1の成分は、一般に、カルボン酸官能基(ポリカルボン酸)及び/又は酸無水物官能基を有するポリマーである。好ましいポリマーは、前記酸又は酸無水物又は記載した好ましいポリマーを形成する任意の構造用モノマーを含むコポリマーを含めて、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、その酸無水物形である。本発明用の好ましいポリマー中には、支持用のポリマー鎖上にカルボン酸及び/又はその酸無水物官能基を導入する目的で行う化学反応によって改変されたポリマーの全てが含まれる。
【0022】
ポリマーブレンドの第2の成分は、その化学構造中に一般に1を超える第一級又は第二級アミノ官能基を有する分子である。好ましいポリマー又は分子は、前記ポリマー又は分子又は記載したポリマーを形成する任意の構造用モノマーを含むコポリマーを含めて、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン又はポリビニルホルムアミド(加水分解度が多様な)、ポリリシン、キトサン、ポリアミドアミン、或いは、一般には、支持用のポリマー鎖上に第一級及び/又は第二級アミノ官能基を導入する目的で行う化学反応によって改変されたポリマーの全てである。
【0023】
本発明者らは、記載した調合物によって得られたナノファイバの比較的短い硬化時間は、高度に架橋した生成物を得るのに十分であることを見出したが、実際に、硬化から数秒後にアミド官能基を観察することができる。本発明者らは、酸無水物の形成及びアミノリシス反応が副生物として水を生成させるという事実のために、反応速度はやはり、ポリマー全体から水を蒸発させる速度で決まると考えている。ある時間後に、この反応は、反応の副生物である水と平衡に達する。有利には、ナノファイバの形態は、反応速度及び転換収率の増大に顕著な影響を及ぼすが、特に、ナノファイバ構造の体積に対する表面積の比が大きいと、アミノリシス反応によって生成する湿分及び水は、バルクからナノファイバの表面まで容易に且つ速やかに拡散し、そのために蒸発することができる。「条件を変化させることによって動的平衡が乱されると、平衡の位置はその変化に抗するように移動する」というルシャテリエの原理によれば、この場合、蒸発によって水が除去されると、アミノリシス反応が促進されてアミド生成物への転換が大きくなる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、カルボキシル官能基を有する(コ)ポリマーは、ポリアクリル酸(PAA)、ポリマレイン酸であり、アミノ官能基を有する(コ)ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンである。
【0025】
一般には、カルボン酸又はその酸無水物官能基を有する第1の成分とアミノ官能基を有する第2の成分の比は、使用される成分及びその分子量に応じて0.5/99.5〜99.5/0.5、有利には、10/90〜90/10である。
【0026】
ナノファイバの架橋反応に必要な熱処理は、少なくとも140℃、有利には、150℃〜180℃の温度で実施される。実際には、ナノファイバ及び/又はマイクロファイバは、160℃〜170℃で熱処理される。熱処理のための時間は、所望の架橋度で決まり、通常、5秒〜15分である。
【0027】
別の特性によれば、ナノファイバの直径は、10nm〜800nmである。
【0028】
本発明はまた、
少なくとも第1の成分及び第2の成分を含むポリマー水溶液を調製するステップ、
ポリマー水溶液をエレクトロスピニングするステップ、
ナノファイバ及び/又はマイクロファイバのウエブを集め、次いでそれを基板上に形成するステップ、
有利には少なくとも温度140℃で熱処理することによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを架橋させるステップで構成される、上記の不織ウエブを製造するための方法に関する。
【0029】
さらには、上記の方法の第1のステップに関しては、高品質のナノファイバを得るのに必要な条件の一つは、エレクトロスピニング法にかけるための清澄なポリマー溶液を実現することであることが周知である。均一で清澄な溶液が得られない場合、流体のジェット流が破壊される恐れがあり、ナノファイバのかわりにマイクロ粒子又はマクロ粒子が形成される。清澄な溶液によって、ポリマーの均一溶液を得ることが可能になり、且つポリマー鎖の間に適切な絡み合いを作ることが可能になるが、後者は、ナノファイバを得るための必要条件の一つである。2つ以上のポリマーの清澄溶液は、1相のみを形成し、ポリマーが混和性である場合、そうしたポリマーブレンドによって形成される固体状態の生成ナノファイバの成分は、やはり、完全に混合されている。
【0030】
酸官能基を有するポリマーと塩基性官能基を有する別のポリマーとがプロトン性溶媒中で混合されると、混濁溶液の形成又はポリマーの沈降が生じ得ることが見出された。こうした挙動は、2つのポリマー電荷間で相互作用が行われるからである。カルボン酸官能基を有する分子とアミノ官能基を有する分子の場合、こうした相互作用は、「ナイロン塩形成」と呼ばれる[18]。本発明者らは、上記したのと同様に、こうしたイオン性の挙動は、ブレンドの固体特性の点では利点であるが、エレクトロスピニング性の点では欠点であることを見出した。
【0031】
本開示の別の発明は、ナイロン塩の形成を回避すること及び多様な手法を使用することによってそうしたポリマーブレンドの清澄で且つエレクトロスピニング可能な溶液を得ることに関する。
【0032】
本明細書で開示のそうした方法の一つは、エレクトロスピニング用の水系溶液中の共溶媒として有機又は無機酸を使用することによるものである。本明細書で開示の別の手法は、有機又は無機酸及び本発明のための好ましいポリマーとして記載のポリマーの塩基塩を使用することによるものである(例えば、ポリアリルアミン−塩化物塩、ポリアリルアミン−硫酸塩など)。
【0033】
一例として、ギ酸は、清澄で且つエレクトロスピニング可能な溶液を得るための共溶媒として非常に効率が高いことが知見されている。清澄な溶液を得るのに必要な、ポリマーブレンド中のアミノ官能基の量とギ酸の最小量の間には直接的な比例関係が存在する。溶液にギ酸を添加すると、固体ポリマーの造粒物は、徐々に溶解し、混濁ゲルが形成される。ギ酸をさらに添加することによって清澄ではあるが粘度が高い溶液が形成され、さらに添加すると、清澄で且つエレクトロスピニング可能な溶液がもたらされる。成分及びポリマーブレンドの比に応じて清澄な溶液を作製するのに必要なギ酸の最小量が存在する。本発明者らは、ギ酸が、ポリマー溶液の荷電アミノ官能基を溶媒和し、それによってナイロン塩の形成を抑制することができる場合があると考えている。本発明者らはまた、荷電アミノ基が、溶液中でカルボン酸官能基と直接相互作用するのではなくギ酸という小さい分子と相互作用する場合があるとも考えている。
【0034】
さらには、本発明の方法によれば、少なくとも第1の成分と第2の成分とを含むポリマー水溶液の調製は、
溶液1と呼ばれる第1の成分を含む第1の水溶液を調製するステップ、
溶液2と呼ばれる第2の成分を含む第2の水溶液を調製するステップ、
溶液1に共溶媒(有機及び/又は無機酸)を滴下し、溶液3と呼ばれるものを撹拌するステップ、
有利には、激しい撹拌下で溶液3に溶液2を滴下することによって、白濁を除去し、清澄な溶液を得、その溶液をエレクトロスピニングすることによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを得ることができるステップで構成される。
【0035】
例えば、有利には、1〜40%v/vのギ酸の水中濃度を使用することによって非常に均一で長く且つ連続したナノファイバが得られた。ギ酸濃度は、必要なポリマー及びエレクトロスピニング配合で使用されるアミノ官能基の量で決まる。
【0036】
別の実施形態によれば、本発明の方法は、第2の成分が有機又は無機の酸との塩に転換されることを特徴とする。
【0037】
したがって、かかる方法は、少なくとも第1の成分及び第2の成分の塩を含むポリマー水溶液の調製が、
溶液1と呼ばれる第1の成分を含む第1の水溶液を調製するステップ、
溶液2と呼ばれる第2の成分の塩を含む第2の水溶液を調製するステップ、
溶液1に溶液2を滴下することによって白濁を除去し、清澄な溶液を得、その溶液をエレクトロスピニングすることによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを得ることができるステップで構成されることを特徴とする。
【0038】
このようにして生成したナノファイバは、耐熱性、水不溶性、耐湿分性、及び耐熱油性の点で非常に満足すべき特性を備えていることが判明しており、さらには、不織基板に対する自己接着性も示す。かかる特性は、特に、ろ過及び分離の用途分野では必須である。
【0039】
水中での不溶性という特性のために、生成ナノファイバは、湿潤及び液体環境で使用することが可能になる。
【0040】
最終製品の製造中又は製品の耐用年限中の機械的応力によって引き起こされる剥離作用に耐えるためには、ナノファイバは、基板上に十分接着しなければならない。したがって、基板に対するナノファイバの良好な接着性は、特に、ろ過及び分離のような用途では、非常に重要な別の特性になる。基板に対するナノファイバの十分な接着はまた、巻き直し、折り目付け、エンボス加工を含めての転換工程によって、及びフィルタ媒体の反転パルスクリーニングのような製品の延命作業中に引き起こされる剥離作用に耐えることを可能にするのにも望ましい。
【0041】
本発明者らは、開示した本発明によって生成したナノファイバが、一般に、基板に対して、特にセルロ−ス系基板に対して極めて高い自己接着性を示すことを見出した。本発明者らは、本発明のポリマーのイオン特性が、極性基板とのイオン結合、水素結合及びファンデルワールス結合などの強い相互作用のために、ナノファイバの接着性を与える際に重要な役割を果たすと考えている。さらには、本発明者らは、本発明によって生成したナノファイバが、その表面上にヒドロキシル官能基を有する基板(例えば、セルロース、ビスコース、リオセル、ポリビニルアルコールファイバなど)と反応することができると考えている。実際に、ナノファイバの一部分を形成するカルボン酸官能基は、熱処理されると、基板のヒドロキシル官能基と反応し、ナノファイバと基板の間に共有結合性エステル結合を形成することができる。
【0042】
その結果として、その上に本発明のナノファイバウエブを施用する不織基板はまた、本発明の一部分でもある。かかる組合せは、限定されないが、エンジン空気フィルタ、油フィルタ、燃料フィルタ、水フィルタ、顔用マスク、臭気吸着用の包装紙などの用途のためのろ過媒体を製造するために使用することができる。
【0043】
一般には、本発明はまた、既に開示したように、ろ過及び分離媒体としてのウエブの使用に関する。
【0044】
本発明及びその利点を以下の実施例で例示する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】熱処理前後の本発明によるナノファイバウエブの赤外分光分析法(IR)による分析の集合である。
【図2】多様な温度での熱処理にさらにかけられた本発明のナノファイバのSEM像の集合である。
【図3】純PAA、及びPAA(95%)とPVAm(5%)のブレンドによって生成したナノファイバウエブについての2つの示差走査型熱量分析(DSC)結果の集合である。
【図4】多様な温度での熱処理後の本発明の架橋ナノファイバのSEM像の集合である。
【図5】湿分試験を受けた本発明の非熱処理及び熱処理ナノファイバのSEM像の集合である。
【図6】セルロース基板上に堆積し、140℃で1000時間油中に浸漬したナノファイバのSEM像の集合である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0046】
(例1)清澄でエレクトロスピニング可能なポリマー溶液の調製
溶液1:ポリアクリル酸(PAA)8g;水中22%w/wのSokalan PA110S
溶液2:ポリエチレンイミン(PEI);水中15%w/wのPolymin P
PAAとPEIの比:95;5
【0047】
実験によれば、溶液1と2を一緒に混合することによって、清澄な溶液(これが連続ナノファイバを得るための重要な用件である)の形成がもたらされない。溶液1と2の混合物によって、「ナイロン塩形成」と呼ばれるPAAとPEIの間の塩が形成され、ポリマーの沈殿物の形成、すなわち、混濁溶液の形成がもたらされる。別の場合では、ギ酸を溶液1に添加した後に溶液1と2を混合する。溶液1に20%v/vの濃度でギ酸を添加することによって、ポリマーブレンドの清澄溶液が得られた。こうして得た溶液は安定で清澄であり、この溶液は、エレクトロスピニングされ、長く、連続的で且つ均一なナノファイバになった。清澄でエレクトロスピニング可能な溶液として長期間安定であることが可能な溶液中ではアミノリシス反応は起きないことが知見された。
【0048】
(例2)ギ酸量が溶液のエレクトロスピニング性に及ぼす効果
ポリアクリル酸(PAA)−ポリアリルアミン(PVAm)のブレンド及びポリアクリル酸(PAA)−ポリエチレンイミン(PEI)のブレンドを、共溶媒としてのギ酸の多様な量を用いて生成した。以下に記載した出発溶液3&4及び5&6を使用することによって試験調合物を生成し、溶液3&5を、表1及び2に記載した水及びギ酸の量でさらに希釈した。
【0049】
(例2a)PAA−PVAmブレンド
溶液3:35%w/のPAA(Sokalan PA110S)8g
溶液4:水中15%w/wのPVAm(PAA−15C)
PAA−PVAm間の比:95;5、溶液の最終固体含量:23%w/w
【表1】

【0050】
ポリマーのこうしたブレンドの清澄でエレクトロスピニング可能な溶液を作製するのに必要なギ酸の最小量が存在することが、表1のコメントから理解されよう。本実施例においては7%v/vであった。さらなるギ酸濃度の増加は、溶液に顕著な変化をもたらさない。
【0051】
(例2b)PAA−PEIブレンド
溶液5:水中35%w/wのPAA(Sokalan PA110S)7g
溶液6:水中10%w/wのPEI(Polymin P)1.3g
PAA−PEI間の比:95;5、溶液の最終固体含量:21%w/w
【表2】

【0052】
この場合、清澄でエレクトロスピニング可能な溶液を得るためのギ酸の最小量は、15%v/vであったことが表2のコメントから理解されよう。さらなるギ酸濃度の増加は、溶液に顕著な変化をもたらさない。
【0053】
(例3)ブレンド中のポリアミン量とエレクトロスピニング可能な溶液を得るのに必要なギ酸の最小量の間の関係
さらには、清澄でエレクトロスピニング可能な溶液を得るのに必要なギ酸の最小量がブレンド中のポリアミン量で決まることが見出された。実施例2で説明されたように、ギ酸濃度が低すぎると、固体粒子の分散液、ゲル又は粘性溶液が形成される。出発溶液7&8(以下に記載の組成物)から作製した溶液を使用することによって非常に良好なナノファイバを得た。溶液7を多様な量の水及びギ酸でさらに希釈し、表3に記載したように多様な量の溶液8を使用した。表3では、エレクトロスピニング可能な溶液を形成するのに必要なギ酸の最小量は、ブレンド中のPEI量に関係した。PEI濃度を増加させることによって清澄な溶液を形成するのに必要なギ酸量は増加することが理解できよう。
【0054】
溶液7:水中35%w/wのPAA(Sokalan PA110S)8g
溶液8:水中20%w/wのPEI(Polymin P)
【表3】

【0055】
(例4)ポリマーの塩を使用することによるエレクトロスピニング可能な溶液ブレンドの調製
PAAとPVAm−HClのブレンドは、溶媒として純粋を用いてエレクトロスピニング可能な溶液を生成することが可能であることが見出された(この場合、有機又は無機酸の添加は必要でない)。多様な比の出発溶液9&10を混合することによって試験調合物を生成し、溶液9を多様な量の水でさらに希釈してから溶液9&10を混合した。調合に使用した溶液量、水による希釈量、2つのポリマー間の比を表4に記載した。
【0056】
溶液9:水中35%w/wのPAA(Sokalan PA110S)
溶液10:水中15%w/wのPVAm−HCl(PAA−HCL−10L)
溶液の最終固体含量:22%w/w
【表4】

【0057】
(例5)エレクトロスピニングによるナノファイバの生成
PAA(Sokalan PA 110 S):22%
PEI (Polymine P) 1.43%(PAAに対して5%)
溶媒:水+7%v/vのギ酸
を含む水系溶液を使用することによってナノファイバを生成させる。
エレクトロスピニングの試行条件は
電圧:31.8kV、8μA
ディスタンスノズル/コレクタ:32cm
ノズル:0.7×30mm
空気取り入れ速度:70%
ワインダ速度:0.5m/分
T:24℃
相対湿度:33%である。
【0058】
こうして得たナノファイバは、直径が10nm〜800nmである。形成後、ナノファイバを160℃で熱処理した。こうして得たナノファイバを熱処理した後のSEM像を図5に示す。
【0059】
(例6)ナノファイバ中の架橋(アミノリシス)反応を確認するための赤外分光分析法による調査
熱処理によるアミド結合(アミノリシス反応)の形成を実際に示す目的で、165℃15分間の熱処理前後のナノファイバウエブを赤外分光分析法(IR)によって分析した。PAA−PVAmブレンドによって生成したナノファイバの熱処理前後のスペクトル(図1)を比較することによって、熱処理が1630cm−1近傍のピークの出現を引き起こすことが観察可能である。このピークは、ブレンド中のPVAmパーセンテージが増加するほど高い。1630cm−1におけるピークは、ブレンド中のカルボン酸官能基とアミノ官能基の間のアミノリシス(架橋)反応によって形成されるアミド官能基に起因する。
【0060】
(例7)耐熱性及び温度
その高温耐熱性を証明し、架橋(アミノリシス)反応によってナノファイバ構造の変形がいくらかでも行われるかを明確にする目的で、本発明に記載のポリマーブレンドによって生成したナノファイバを多様な温度で10分間熱処理した。図2では、PAA(95%)−PVAm(5%)ブレンドによって生成し、多様な温度で熱処理されたナノファイバの3つの走査型電子顕微鏡(SEM)像を一例として記載した。図2で分かるように、ナノファイバの形態は、熱処理及び架橋反応によって変化していない。
【0061】
ナノファイバの熱特性をよりよく調査するために、純PAA及びPAA(95%)とPVAm(5%)のブレンドから生成したナノファイバウエブの示差走査型熱量分析(DSC)結果を図3で比較した。図3では、純PAAから生成したナノファイバが94℃で明白なTgを示すことを観察することが可能である。PAAをPVAmとのブレンドで使用する場合(図3b)、PAAのTgは観察することができない。かかるブレンドで行われるイオン性相互作用の最も明白な効果は、相乗効果であり、本発明者らは、かかる特徴を備えるポリマーの混合物のガラス転移温度(Tg)についてこの相乗効果を知見した。
【0062】
一般には、2つのポリマーのブレンドが完全に混和性である場合、2つの純ポリマーのTgの間にある特定のTgを示し、2つのポリマーが不混和性である場合、2つの純ポリマーの特性Tgである2つの異なるTgを示す。本発明者らは、イオン性を有するポリマーのブレンドから生成したナノファイバが2つの純ポリマーのTgより高いTgを示し、2つのポリマーの使用比に対応して完全に消滅する場合があることを見出した。より高い温度へのTgシフトは、ナノファイバウエブの潜在的な最終用途のための適切な改良であるとみなすことができる。ナノファイバをそのTgより高い温度に暴露する場合、ナノファイバの軟化は、繊維構造の変形につながり、ろ過や分離などの用途に逆効果であるポリマーフィルムの形成をもたらすことさえある。
【0063】
さらには、2つのDSC分析(図3)結果は、140〜190℃の温度で異なる熱挙動を示し、本発明者らは、この相違が、かかるポリマーのブレンドが生成する場合に行われる架橋(アミノリシス)反応のためであると考えた。
【0064】
(例8)耐水性を発展させるためのナノファイバに対する熱処理(架橋反応)の重要性
セルロース基板上にエレクトロスピニングされた実施例1〜5で得られた非熱処理(非架橋)ナノファイバの耐水溶性を試験した。そうしたナノファイバを水中に浸漬すると直ちに溶媒和することが見出された。同時に、実施例1〜5で得られた試料を150、160及び190℃で10分間熱処理(架橋)し、次いで周囲温度で24時間水中に浸漬した。浸漬後、試料をヘアドライヤで乾燥し、SEMで分析したが、ナノファイバの大きな変形は全く見つけることができなかった。一部のSEM例を図4に示した。
【0065】
図4で観察することが可能であるように、かかるナノファイバは、水に不溶性であり、こうした耐水性の改良は、架橋反応(アミノリシス反応)に起因するものであった。より詳細には、150℃で熱処理したナノファイバ(図4a)は、溶媒和されないが、膨潤現象のために、ファイバとファイバの接点で凝集することを観察することが可能である。こうした挙動は、より高い温度で熱処理したナノファイバ(図4b〜c)の場合には生じない。これは、架橋度と関連している可能性があり、この場合、本発明者らは、熱処理温度を上昇させることによって架橋度が増加し、したがって水中のナノファイバ構造及び形態の安定性が増加すると考えている。
【0066】
(例9)耐湿分性試験
上記の実施例1〜5でエレクトロスピニング可能な溶液から得られたナノファイバの耐湿分性を湿度95%、60℃で6時間試験した。熱処理にかけられていない(架橋されていないポリマー)ナノファイバは、可溶性であり、湿分に暴露後膨潤した。140℃超の温度で熱処理された(架橋したポリマー)ナノファイバは、湿分試験後も不変化のままであった。ナノファイバの熱処理はこの方法の重要な部分になり、耐湿分性が大きいナノファイバの生成をもたらすことが観察された。図5に示されたSEM像は、熱処理がナノファイバの耐湿分性に及ぼす効果を示す。ナノファイバが、熱処理されずに高湿度にさらされると、ファイバとファイバの接点で凝集し、且つ/又は溶解する(図5[2a、b])。こうした挙動は、熱処理ナノファイバの場合起こらない(図5[3a、b])。
【0067】
(例10)ナノファイバの耐熱油性
ナノファイバの耐熱油性を調査する目的で、PAA−PVAm−HCl(95;5)ブレンドから生成し、セルロース基板上に堆積し、160℃で10分間熱処理されたナノファイバ試料を140℃で1000時間油(CASTROL SLX Long Tec級)中に浸漬した。図6では、熱油試験前後の試料の2つのSEM像を一つの例として記載した。観察することが可能であるように、ナノファイバは熱油に溶解せず、本発明者らは、ナノファイバの構造及び形態の大きな変形を全く観察することができなかった。
【0068】
(例11)セルロース基板上へのナノファイバの接着性
本発明で開示のナノファイバの接着性を分析し、ナイロンナノファイバの接着を改良するための追加の結合剤のない場合とある場合の双方でギ酸中のナイロンポリマー溶液から得られたナイロンナノファイバの接着性と比較した。PAA(90%)−PEI(10%)ブレンドから生成、オーブンで165℃、5時間熱処理した本発明のナノファイバについて接着試験を実施した。
【0069】
接着を評価するための試験は以下の通りである:すなわち、i)既知の重量を備えたロ−リングピンを黒色紙シートで覆う、ii)2つの両面テープ片を黒色紙上に平行に一定間隔で張った、iii)ロ−リングピンをナノファイバ試料の上にその自重で1回ころがした、iv)剥離したナノファイバを、黒色紙、接着テープ及び基板試料上で観察した、v)剥離現象を観察するために、2つの平行テープ間の領域を特に注意した。試験は、ナイロンナノファイバ層が完全に剥離したことを示した。結合剤を有するナイロンナノファイバ層は、平行テープ片間で剥離しなかった。また、本発明のナノファイバ層は、平行テープ片間で剥離せず、非常に直線的な境界が見られたが、これは、接着剤を有するナイロンナノファイバよりも基板に対する接着が良好であることを示す。
【0070】
上記の実施例は、ファイバを作製するためのエレクトロスピニング法に関するが、他のスピニング法も少なくとも部分的には、エレクトロスピニングと同じ結果をもたらすと思われることを企図することができる。
(参考文献)






【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分、すなわち、カルボン酸及び/又はその酸無水物官能基を有する第1の成分及び第一級及び/又は第二級アミノ官能基を有する第2の成分を含む水系溶液を使用する方法によって得られるナノファイバ及び/又はマイクロファイバを含む不織ウエブであって、熱処理で硬化することによってファイバを水中不溶性にし、且つ耐水中膨潤性にしたものである上記不織ウエブ。
【請求項2】
ファイバがによって得られることを特徴とする、請求項1に記載のウエブ。
【請求項3】
第1の成分が、以下の第1の成分を含むコポリマーを含めて、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸、ポリクロトン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、その酸無水物形を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウエブ。
【請求項4】
第2の成分が、以下の第2の成分を含むコポリマーを含めて、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン又はポリビニルホルムアミド、キトサン、ポリアミドアミンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又はに記載のウエブ。
【請求項5】
カルボキシル官能基を有する成分が、ポリアクリル酸(PAA)、ポリマレイン酸を含む群から選択され、アミノ官能基を有する(コ)ポリマーが、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウエブ。
【請求項6】
第1の成分と第2の成分の比が、使用される成分及びその分子量に応じて0.5/99.5〜99.5/0.5、有利には、10/90〜90/10であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のウエブ。
【請求項7】
少なくとも第1の成分及び第2の成分を含むポリマー水溶液を調製するステップ、
ポリマー水溶液をエレクトロスピニングするステップ、
ナノファイバ及び/又はマイクロファイバのウエブを集め、次いでそれを基板上に形成するステップ、
有利には少なくとも温度140℃で熱処理することによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを架橋させるステップ
で構成される、請求項1に記載の不織ウエブを製造するための方法。
【請求項8】
少なくとも第1の成分及び第2の成分を含むポリマー水溶液の調製が、
溶液1と呼ばれる第1の成分を含む第1の水溶液を調製するステップ、
溶液2と呼ばれる第2の成分を含む第2の水溶液を調製するステップ、
溶液1に共溶媒(酸)を滴下し、溶液3と呼ばれるものを撹拌するステップ、
溶液3に溶液2を滴下することによって白濁を除去し、清澄な溶液を得、その溶液をエレクトロスピニングすることによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを得ることができるステップ
で構成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
共溶媒が、ギ酸であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ギ酸が、水溶液の1〜40%V/Vを占めることを特徴とする、請求項9に記載の。
【請求項11】
第2の成分が、有機又は無機酸で塩に変換されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも第1の成分及び第2の成分の塩を含むポリマー水溶液の調製が、
溶液1と呼ばれる第1の成分を含む第1の水溶液を調製するステップ、
溶液2と呼ばれる第2の成分の塩を含む第2の水溶液を調製するステップ、
溶液1に溶液2を滴下することによって白濁を除去し、清澄な溶液を得、その溶液をエレクトロスピニングすることによってナノファイバ及び/又はマイクロファイバを得ることができるステップ
で構成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
熱処理が、5秒〜15分間実施されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ろ過及び分離媒体としての、請求項1に記載のウエブの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−501163(P2013−501163A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523358(P2012−523358)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050609
【国際公開番号】WO2011/015709
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】