説明

化粧品容器

【課題】化粧品容器内の残量を品質への影響を最小限にして確認できるようにする。
【解決手段】遮光部材12Aを有する筒状壁部材10で構成された壁部の一部に、上下方向に細長く形成された透視窓2Fを設けたことにより、ユーザが吐出操作部4Dを操作するごとに、化粧品料3の残量を、化粧品料3の品質に対する影響を最小限にしながら、確認できる、化粧品容器1を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品容器に関し、特に品質の劣化を抑えながら化粧品料の残量を提示できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品容器としては、気密性や遮光性を保持することが要求される化粧品料を、品質の劣化を回避しながら保存できるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−110790公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来用いられているこの種の化粧品容器は、基本的に、容器全体を気密性及び遮光性を維持できる材料でとり囲むことを原理としているから、ユーザが化粧品容器内の化粧品料の残量を、常時、目視確認できるようになっていないために、取扱いが不便な問題がある。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保持している化粧品料の残量を必要に応じて簡便に確認できるようにした化粧品容器を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、化粧品料を、上方開口から入れて、筒状壁部材で囲まれた、内部に化粧品料を保持する容器本体と、基台部を、容器本体の上方開口に嵌め合せると共に、吐出操作部が操作されるごとに、1回使用分の化粧品料を吐出口から吐出した後、下方に突出する吸入手段によって容器本体から吸い上げるポンプ部とを用意し、容器本体の筒状壁部材に、遮光部材で構成された壁部の一部に、上下方向に、細長く形成された透視窓を設け、かくして、ユーザが吐出操作部を操作するごとに、透視窓を介して、容器本体内における化粧品料の残量を確認できるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遮光部材で構成された筒状壁部材で構成された壁部の一部に、上下方向に、透視部材で細長く形成された目視窓を設けたことにより、ユーザが吐出操作部を操作するごとに、化粧品料の残量を、化粧品料の品質に対する影響を最小限にしながら、確認できる化粧品容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による第1の実施の形態の化粧品容器を示す分解斜視図である。
【図2】図1の容器本体2の壁部材の構成を示す略線的断面図である。
【図3】第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3の容器本体の壁部材の構成を示す略線的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0010】
図1において、1は全体として化粧品容器を示し、容器本体2の内部に保持されている化粧品料3から、ポンプ部4が、1回使用分の化粧品料3を、一定量ずつ吸い上げて、吐出口4Aから吐出するようになされている。
【0011】
この実施の形態の場合、容器本体2は、円筒状壁部材10を有し、その上方開口2Aにポンプ部4の円筒状基台部4Bを密封するように嵌め込むことにより、ポンプ部4は、基台部4Bから下方に突出している吸入口4Cから化粧品料3を吸入する。
【0012】
ポンプ部4は、吐出口4Aが設けられている吐出操作部4Dがユーザの上方からの押圧操作によって基台部4Bに押し込まれたとき、それまでに基台部4Bの内部に吸入保持されていた化粧品料3のうち吐出操作部4Dの基台部4Bへの押込量に応じた化粧品料を吐出口4Aから吐出する。
【0013】
これと共に、当該吐出操作部4Dへの押込動作がなくなったとき、基台部4Bの内部に設けられた復帰部材によって吐出操作部4Dを元の位置に戻す動作をさせることによって、吸入口4Cから容器本体2に保持されている化粧品料3を、吐出口4Aから吐出された液量だけ、基台部4B内に吸入することにより、基台部4Bに吸入手段が設けられている。
【0014】
容器本体2の円筒状内部空間には、円板状の摺動底板部2Bが設けられている。
【0015】
この摺動底板部2Bは、図2に示すように、その外周部に設けられた密封摺動部材2Cが容器本体2の内周面2Dに気密性を保ちながら上方に摺動できるように挿入されており、これにより容器本体2の上方開口2Aに密封するように嵌め込まれたポンプ部4が、吸入口4Cを介して、化粧品料3を1回の使用量だけ吸入動作をしたとき、吸入された分容器本体2内の圧力が低下することにより当該吸入された分だけ摺動底板部2Bが、円筒状壁部材10を下方から閉塞する底板部材2E(空気抜きを有する)から、矢印aで示すように、上方に摺動するようになされている。
【0016】
かくして摺動底板部2Bは、ポンプ部4の吐出操作部4Dがユーザによって操作されるごとに、吐出口4Aからの化粧品料3の吐出量に対応する高さだけ上方に摺動して行く。
【0017】
容器本体2の周面部を形成する円筒状壁部材10(図2)は、プラスチック透明箔筒体部11の外周面に遮光材でなる多層色転写箔12を熱転写加工することにより一体化した構成を有する。
【0018】
ここで、多層色転写箔12は、熱転写作用をもつベースフィルム(ポリエステル)に、金属蒸着層(遮光作用をもつ)、顔料層、染料層を含むコーティング層を付着させた構成を有する。
【0019】
この実施の形態の場合、多層色転写箔12は、円筒形状に成形された遮光部材12Aの一部に、細長く上下方向に延長する透視部材12Bでなる透視窓2Fが形成されている。
【0020】
この実施の形態の場合、透視窓2Fは、幅狭で、かつ摺動底板部2Bが、底板部材2Eに当接した状態から吸入口4Cの下端に当接する状態になるまで吸い上げられて行くとき、当該摺動底板部2Bの厚さ部分の横側面の像が、透視窓2F内を横方向に横切った状態で、下方から上方に移動して行くように、ユーザが外から目視確認できるように構成されている。
【0021】
この透視窓2Fには、その外表面に目盛2Gが描かれており、容器本体2内の化粧品料3の残量を表すように、最上方の「0」目盛から、最下方の目盛「30」(0〔cc〕〜30〔cc〕を意味する)まで、次第に大きくなる数値表示が付されている。
【0022】
以上の構成において、化粧品容器1の使用開始前においては、容器本体2の内部には、満杯の化粧品料3が入れられており、この状態でポンプ部4の基台部4Bが容器本体2の上方開口2Aを密封するように嵌め込まれている。
【0023】
これと共に、摺動底板部2Bは、容器本体2の内面に外周面を摺動可能に密接した状態において、容器本体2の底板部材2Eに当接した状態で保持されている。
【0024】
化粧品容器1の使用時、ユーザはキャップ5を基台部4Bから取り外してポンプ部4の吐出操作部4Dを上方から押し込む。
【0025】
ポンプ部4は、当該吐出操作部4Dの押込み操作に応じて、内部に保有している化粧品料3を1回の使用量だけ吐出口4Aから吐出する。
【0026】
その後ユーザが吐出操作部4Dに対する押込操作力を解除して、原位置復帰手段従って吐出操作部4Dが元の位置に戻ったとき、容器本体2の化粧品料3の液中に浸っている吸入口4Cが吐出した化粧品料3と同じ量だけポンプ部4に吸入する。
【0027】
このとき、摺動底板部2Bが容器本体2の内周面に対して密封状態を保持して摺接しながら、図2において矢印aで示すように、上方に引き上げられて行く。
【0028】
この摺動底板部2Bの容器本体2の内周面2Dとの摺接像は、当該化粧品料3の吐出ごとに、透視窓2Fを下から上へ移動して行くので、摺動底板部2Dの例えば上面(化粧品料3が満たされている側)の像の、目盛2Gの位置によって、化粧品料3の残量を、ユーザが透視窓2Fの外側から目視確認することができる。
【0029】
以上の構成によれば、ユーザはポンプ部4の吐出操作部4Dを操作するごとに容器本体2内の化粧品料3の残量の変化を、使用中の変化として目視確認することができる。
【0030】
このような効果を得るにつき、ポンプ部4が1回の使用量だけ化粧品料3を吐出口4Aから吐出させる際に、残った化粧品料3を空気に触れさせることはないので、空気酸化による化粧品料の劣化を防止し得る。
【0031】
これと共に、ユーザが透視窓2Fによって化粧品料3の残量を確認するにつき、容器本体2の外周面全体に押し加工された遮光部材12Aの面積に比して、透視部材12Bでなる透視窓2Fの面積を極く小さい値に制限するように、透視窓2Fを細長に形成したことにより、当該透視窓2Fを介して内部に透過する光の量を小さい値に抑制でき、これにより、透過した光による化粧品料3の影響を実質上無視できる程度に抑制することができる。
【0032】
この実施の形態の場合、透視窓2Fの横幅は、ユーザが化粧品料3の残量を外側から目視確認できると共に、当該透視窓2Fを透過した光による化粧品料3への影響を実質上無視できる程度を考慮して、5〜1〔mm〕に選定されている。
【0033】
化粧品需要者は、化粧品容器を収容されている化粧品料を外側から目視できないような遮光容器で構成した場合には、当該化粧品容器は十分な変質防護策が施されているとして高い価値感をもつ。
【0034】
上述の実施の形態によれば、ユーザに対してこのような価値感を損なうことなく、透視窓2Fにより、残量の確認を簡便になし得る。
【0035】
(2)第2の実施の形態
図3は第2の実施の形態を示すもので、図1との対応部分に同一符号又は同一符号に添え字Xを付して示す。
【0036】
図3の場合、ポンプ部4の基台部4BXに設けられている吸入口4Cには、吸入手段の一部として、吸入パイプ15が連結されている。
【0037】
吸入パイプ15は、可撓性合成樹脂材料で構成され、容器本体2の高さに相当する長さを有する。
【0038】
この実施の形態の場合、容器本体2の下端面は底板部材2EX(空気抜きを有しない)によって閉塞され、これによりポンプ部4の基台部4BXが容器本体2の上方開口2Aに嵌め込まれたとき、吸入パイプ15の下端開口が底板部材2EXに当接する位置に位置決めされる。
【0039】
かくしてポンプ部4の吐出操作部4Dを押込み操作することにより吐出口4Aから一回分の化粧品料が吐出された後、吐出操作部4Dが復帰動作したとき、基台部4BXは吸入パイプ15を介して底板部材2EX近傍の最下部の化粧品料3を吸入パイプ15、吸入口4Cを介して基台部4BXに吸い上げる。
【0040】
このとき容器本体2の内部の化粧品料3の圧力が吐出した量に相当する分だけ低下するのに対して、基台部4BXは吐出操作部4Dの周囲の隙間を介して外気を吸い込ませることにより、容器本体2の上端部に空所を形成させる。
【0041】
かくして容器本体2内の化粧品料3は、図4に示すように、吐出口4Aから吐出された化粧品料3の分だけ、液面3Aが低下して行き、当該液面3Aが容器本体2に設けられている透視窓2Fを通して外側から目視することができる。
【0042】
この実施の形態の場合、使用の度に少なくなって行く容器本体2内の化粧品料3の残量は、透視窓2Fに下側から下方に行くに従って「40」、「30」……のように小さくなって行く数字の目盛2GXによって表記される。
【0043】
図3の実施の形態によれば、ポンプ部4の吐出操作部4Dを操作することにより使用された化粧品料3の残量を、透視窓2Fを通して外部から目視できる液面3Aによってユーザが確認できる。
【0044】
かくするにつき、図1について上述したと同様に、容器本体2の周囲に押し加工された遮光部材12Aが、容器本体2に設けられている透視窓2Fの面積と比較して十分に広い値に選定されていることにより、透視窓2Fからの光による劣化を実質上無視できる程度に抑制することができると共に、ユーザに対して十分な変質防護策が施されているとする高い価値観をも与えながら、残量の確認を簡便になし得る。
【0045】
(3)他の実施の形態
(3−1)上述の実施の形態においては、容器本体2が円筒形状の場合について述べたが、当該容器本体2の形状はこれに限らず、四角形、五角形などの角筒形状や、楕円形状にしても良い。
【0046】
(3−2)上述の実施の形態においては、容器本体の筒状壁部材の構成を、射出成型により形成したプラスチック透明筒体部11の外側に、遮光性部材の一部に透光性透視部材12Bを配設してなる多層色転写箔12を押し加工することにより一体化するようにしたが、これに代え、遮光性部材12Aの一部に透光性部材12Bを配設してなる多層色転写箔12の内側にプラスチック透明筒体部11をインサート成型することにより一体化するようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0047】
(3−3)上述の実施の形態においては、透視窓2Fに目盛2G、2GXを表記するようにしたが、当該目盛を表記せずに、ユーザが透視窓2Fを介して、直接に化粧品料3の残量を目視確認するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は化粧品料をポンプによって吐出させる化粧品容器に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1……化粧品容器、2……容器本体、2A……上方開口、2B……摺動底板部、2C……密封摺動部材、2D……内周面、2E、2EX……底板部材、2F……透視窓、2G、2GX……目盛、3……化粧品料、4……ポンプ部、4A……吐出口、4B、4BX……基台部、4C……吸入口、4D……吐出操作部、5……キャップ部、10……円筒状壁部材、11……プラスチック透明筒体部、12……多層色転写箔、12A……遮光部材、12B……透視部材、15……吸入パイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状壁部材で囲まれた内部に化粧品料を保持する容器本体と、
基台部を、上記容器本体の上方開口に嵌め合せると共に、吐出操作部が操作されるごとに、1回使用分の上記化粧品料を吐出口から吐出した後、下方に突出する吸入手段によって上記容器本体から吸い上げるポンプ部と
を具備し、
上記容器本体の上記筒状壁部材は、遮光部材で構成された壁部の一部に、上下方向に細長く形成された透視窓を有し、
ユーザが上記吐出操作部を操作するごとに、上記透視窓を介して上記容器本体内における上記化粧品料の残量を確認できるようにした
ことを特徴とする化粧品容器。
【請求項2】
上記容器本体の上記筒状壁部材は、上記遮光部材の一部に上記透視部材を配設してなる多層色転写箔の内側に、プラスチック透明筒体を一体化した構成を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品容器。
【請求項3】
上記容器本体の上記筒状壁部材は、射出成型により形成したプラスチック透明筒体の外側に、上記遮光部材の一部に上記透視部材を配設してなる多層色転写箔を、熱転写加工により一体化した構成を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の化粧品容器。
【請求項4】
上記容器本体の上記筒状壁部材は、上記遮光部材の一部に、上記透視部材を配設してなる多層色転写箔の内側に、プラスチック透明筒体をインサート成型することにより一体化した構成を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の化粧品容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−13657(P2013−13657A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149996(P2011−149996)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(506405404)ジェー・ネットワーク インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】