説明

化粧品用容器

【課題】化粧品材が収容された容器に作用する衝撃を確実に吸収することができると共に、衝撃吸収材を外部に直接あらわさないようにしたうえ、衝撃吸収材を繰り返し利用することを可能にする化粧品用容器の提供を目的としている。
【解決手段】化粧品材22が収容された内側容器20と、内側容器20を保持する外側容器30と、内側容器20と外側容器30との間に形成された間隙部50に配設され、外側容器30に作用した衝撃から内側容器20を保護するための粘着性を有する衝撃吸収ゲル材40と、を具備し、粘着性を有する衝撃吸収ゲル材40は、内側容器20および外側容器30と接着・引き剥がし自在であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品用容器に関し、より詳細には、容器に作用する衝撃を吸収し、衝撃から化粧品材を保護することが可能で、繰り返し使用することができる化粧品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅やファンデーションなどに代表される化粧品材は、エンドユーザにおける使用上の便宜を考慮して機械的強度を低くした状態で流通されている。また、近年においては、化粧品材に外力を作用させることにより状態変化を生じさせるものも販売されている。
化粧品メーカーから小売店までの間においては、衝撃緩衝材が配設された包装箱に収容されると共に、包装箱の回りにも緩衝材が配設された状態で流通しているため、化粧品メーカーから小売店までを流通する間に外部から衝撃が作用したとしても、化粧品材に衝撃が作用してしまうことはない。しかしながらエンドユーザにおいては、化粧品材を使用している最中に化粧品容器が手から滑り落ちてしまう等、化粧品材に衝撃が作用して、化粧品材が破損してしまうことがある。このように破損してしまった化粧品材は、最後まで使い切ることができず不経済であった。
そこで、特許文献1にあるように、化粧品材が収容された化粧品用容器の外部に衝撃吸収材を配設した衝撃吸収容器が提案されている。
【特許文献1】特開2000−190980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1の衝撃吸収容器は、化粧品容器の外側部分に衝撃吸収材が配設されていない部分があり、化粧品容器の落下位置の状態によっては化粧品容器に衝撃が作用してしまうおそれがあるという課題がある。また、化粧品容器の外側部分に衝撃吸収材があらわになっていることから、化粧品材を使い切る前に衝撃吸収材が劣化し、化粧品容器に衝撃が作用した際に化粧品が破損してしまうおそれがあるといった課題もある。さらに、衝撃吸収材の劣化が早いと、衝撃吸収材を他の化粧品用容器に流用することができないため不経済でもある。
【0004】
本発明は、化粧品材が収容された容器に作用する衝撃を確実に吸収することができると共に、衝撃吸収材を外部に直接あらわさないようにしたうえ、衝撃吸収材を繰り返し利用することを可能にする化粧品用容器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、化粧品材が収容された内側容器と、該内側容器を保持する外側容器と、前記内側容器と前記外側容器との間に形成された間隙部に配設され、前記外側容器に作用した衝撃から前記内側容器を保護するための粘着性を有する衝撃吸収ゲル材と、を具備し、前記粘着性を有する衝撃吸収ゲル材は、前記内側容器および前記外側容器と接着・引き剥がし自在であることを特徴とする化粧品用容器である。
【0006】
また、前記粘着性を有する衝撃吸収ゲル材は、底面における厚さ寸法が前記間隙部分の高さ寸法より大きく形成されていることを特徴とする。
これにより、衝撃吸収ゲル材を他の化粧品に容易に流用することができるため、経済的である。
【0007】
また、前記内側容器と前記外側容器と前記衝撃吸収ゲル材は、それぞれ透明材料により形成されていることを特徴とする。
これにより、スケルトンタイプの化粧品用容器を提供することができるため、化粧品用容器の蓋を開けなくても、収容されている化粧品材の色や状態を確認することができる。
また、前記化粧品材は粉粒体を固化させたものであることを特徴とする。
【0008】
また、前記外側容器には両面鏡が取り付けられていることを特徴とする。
これにより、化粧品容器の外側容器を開かなくても、化粧品容器の鏡を使用することができるため、化粧の確認等が容易かつ迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る化粧品用容器によれば、化粧品材が収容された内側容器への衝撃の印加が確実に防止され、化粧品材が破損してしまうことを好適に防止することができる。これにより、化粧品材を最後まで使用することができるため経済的である。
また、衝撃吸収ゲル材が外部にあらわになっていないので、衝撃吸収ゲル材の劣化が抑えられ衝撃吸収ゲル材を長期にわたって好適な状態を維持した状態で使用することができるため経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態における化粧品用容器の一例を示す説明図である。図2は、図1中のA−A線における断面図である。
【0011】
本実施の形態における化粧品用容器10は、内側容器20と外側容器30と衝撃吸収ゲル材40により構成されている。内側容器20には、ファンデーション等の粉粒体を固化させた化粧品材22が収容されている。
内側容器20の外側表面と外側容器30の内側表面は、図2に示すように、断面形状が共に逆台形状に形成されていて、互いに嵌合可能に形成されている。すなわち、内側容器20は外側容器30に嵌合した状態で保持されている。
【0012】
衝撃吸収ゲル材40は、内側容器20の外側底面と外側容器30の内側底面の間に形成される間隙部分50に配設されている。衝撃吸収ゲル材40は、粘着性を有する材料により形成されている。具体的には、粘着性オレフィン系ゲルを用いるのが好適である。
衝撃吸収ゲル材40の変形前の厚さ寸法は、間隙部分50の高さ寸法Tよりも大きくなるように形成されている。
【0013】
次に、本実施の形態にかかる化粧品容器10の組み立て方法について説明する。
まず、外側容器30を準備し、外側容器30の内側底面に衝撃吸収ゲル材40を貼り付ける。本実施の形態における衝撃吸収ゲル材40は、外側容器30の内側底面において、少なくとも一対の対向縁部分32に取り外しシロ33が生じるように貼着している。前述にあるように、衝撃吸収ゲル材40は粘着性を有しているので、外側容器30への衝撃吸収ゲル材40の取り付けには、接着剤等の接着手段を用いる必要がない。
【0014】
外側容器30への衝撃吸収ゲル材40の貼付が完了した後、内側容器20を外側容器30に組み込む。内側容器20もまた、衝撃吸収ゲル材40の粘着力により確実に衝撃吸収ゲル材40と貼着する。本実施の形態においては、外側容器30に衝撃吸収ゲル材40をセットしない状態で内側容器20をセットした場合に生じる間隙部分50の高さ寸法Tに対して、変形前の衝撃吸収ゲル材40の厚さ寸法が大きく形成されているものの、衝撃吸収ゲル材40の変形能が高いので、特段意識することなく内側容器20を外側容器30に装着することができる。また、外側容器30への内側容器20の収まりも良好である。
【0015】
このようにして、衝撃吸収ゲル材40が組み込まれた化粧品容器10を組み立てることができる。本実施の形態における化粧品容器10は、内側容器20と外側容器30により衝撃吸収ゲル材40がサンドイッチされた構造になっているが、外観上においては通常の化粧品容器10と何ら変わるところがない。これにより化粧品容器10の美観を犠牲にすることなく、化粧品材22への衝撃を吸収することができるため好都合である。
【0016】
化粧品材22を使用した後は、内側容器20を外側容器30から取り外し、新しい内側容器20を装着すれば、内側容器20の取替え前と同様にして使用することができる。衝撃吸収ゲル材40は粘着性を有しているので接着剤を用いておらず、外側容器30の底面に接着引および引き剥がし可能に取り付けられているからである。また、衝撃吸収ゲル材40が化粧品容器10の外部にあらわれていないため、衝撃吸収ゲル材40の劣化が防止できるからである。
また、同様の理由により、化粧品メーカー等の変更をする場合においても、外側容器30から内側容器20を取り外し、内側容器30から衝撃吸収ゲル材40を取り外せば、取り外した衝撃吸収ゲル材40を新たな化粧品容器10に使用することができる。
【0017】
(第2実施形態)
次に、他の実施形態について説明する。図3は、本実施の形態における図2に相当する説明図である。
本実施の形態においては、衝撃吸収ゲル材40を内側容器20の外側面20aの全面に貼着したものである。本実施の形態における衝撃吸収ゲル材40は、上側面が内側容器20の外表面に密着する形状に、下側面が外側容器30の内表面に密着する形状に形成されている。本実施の形態における衝撃吸収ゲル材40は、底部の厚さは第1実施形態と同様であるが、側面の厚さ寸法は、化粧品容器10に作用する衝撃から内側容器20に充填されている化粧品材22を保護することが可能な最小限の厚さに形成されている。
このように、内側容器20と外側容器30との嵌合部分における衝撃吸収ゲル材40の厚さを最小限に抑えているため、外側容器30の内部に内側容器20が収まりきらないということがない。
【0018】
本実施の形態における衝撃吸収ゲル材40は、装着することができる化粧品容器10は限定されてしまうものの、同じ強さの衝撃を化粧品容器10に作用させた場合、第1実施形態における化粧品容器10比べて、化粧品材22に伝播する量が大幅に軽減させることができる。
本実施の形態における衝撃吸収ゲル材40は、ほとんどすべての部分が化粧品容器10の内側に配設されているので劣化が防止され、同じ化粧品容器10であれば、第1実施形態と同様に、繰り返し使用することができる。
【0019】
以上に、本願発明にかかる化粧品容器10について説明してきたが、本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではないのはもちろんである。
例えば、説明をした実施形態においては、化粧品容器10の平面形状が矩形をなしたものについて説明しているが、平面形状が円形である化粧品容器10であっても本願発明を適用することはもちろん可能である。この場合、衝撃吸収ゲル材40は外側容器30の内底面全体を覆う大きさではなく、取り外しシロを設けるようにしておけばよい。
【0020】
また、内側容器20と外側容器30と衝撃吸収ゲル材40をそれぞれ透明な材料により形成すれば、内側容器20に収容されている化粧品材22を化粧品容器10の蓋を開けることなく外部から視認することができる。また、外観上の美観を損なうことなく、スケルトンタイプの化粧品容器10を提供することも可能になるため好適である。
【0021】
このようにスケルトンタイプの化粧品容器10にした場合、外側容器30の内側に両面鏡(図示せず)を取り付けておけば、化粧品容器10さえ取り出せば直ちに鏡を使用することができるため、化粧の状態のチェック等において非常に好都合である。両面鏡を外側容器30に取り付ける位置は、内側容器20の配設位置と重複しない位置にする。化粧用パフ(図示せず)が配設可能な化粧品容器10の場合であれば、化粧用パフの配設位置に両面鏡を配設すれば、内側容器20に収容されている化粧品材22の視認を妨げることはない。また、外側容器30と両面鏡との間には、透明材料からなる衝撃吸収ゲル材40を配設しておけば、両面鏡の破損を好適に防止することができるため好適である。
【0022】
また以上の実施形態においては、化粧品材22としてファンデーションを採用した形態について説明をしているが、化粧品材はファンデーションに限定されるものではなく、口紅やアイシャドウ等他の化粧品材であっても本願発明を適用することができるのはいうまでもない。要は、外側容器30と化粧品材22がセットされた内側容器20の間に粘着性を有する衝撃吸収ゲル材40を配設した化粧品容器10であれば、本願発明の技術的範囲に属するのである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態における化粧品用容器の一例を示す説明図である。
【図2】図1中のA−A線における断面図である。
【図3】第2実施形態における図2に相当する説明図である。
【図4】従来技術における衝撃吸収容器を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
10 化粧品容器
20 内側容器
22 化粧品材
30 外側容器
32 外側容器内底面における一対の対向縁
33 取り外しシロ
40 衝撃吸収ゲル材
50 隙間部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品材が収容された内側容器と、
該内側容器を保持する外側容器と、
前記内側容器と前記外側容器との間に形成された間隙部に配設され、前記外側容器に作用した衝撃から前記内側容器を保護するための粘着性を有する衝撃吸収ゲル材と、を具備し、
前記粘着性を有する衝撃吸収ゲル材は、前記内側容器および前記外側容器と接着・引き剥がし自在であることを特徴とする化粧品用容器。
【請求項2】
前記粘着性を有する衝撃吸収ゲル材は、底面における厚さ寸法が前記間隙部分の高さ寸法より大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の化粧品用容器。
【請求項3】
前記内側容器と前記外側容器と前記衝撃吸収ゲル材は、それぞれ透明材料により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の化粧品用容器。
【請求項4】
前記化粧品材は粉粒体を固化させたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の化粧品用容器。
【請求項5】
前記外側容器には両面鏡が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の化粧品容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−13248(P2008−13248A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194288(P2006−194288)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(300046223)長野技研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】