説明

化粧室ユニット

【課題】洗面ボールで手を洗うときに手元が見易く、また、カウンターの奥まで目が行き届き、使い勝手に優れ、清掃作業を効率よく行なう上で有利な化粧室ユニットを提供する。
【解決手段】洗面台34のカウンター40に洗面ボール42が設けられ、洗面ボール42の両側に給水栓44と石鹸水供給用タンク46とが設けられている。洗面ボール42の上方に位置する収納棚36の底部は、洗面ボール42の中央の直上に位置する部分70Aが、収納棚36の延在方向で直上に位置する部分70Aの両側部分70Bよりも上方に変位した上方に窪む湾曲部70として形成されている。湾曲部70として形成された収納棚36の底部は、鏡38の下端あるいは収納棚36の前面36A下部に接続され下方に至るにつれて次第に第1側面壁24に近づく傾斜面72と、カウンター40と平行して延在し傾斜面72の下端と第1側面壁24とを接続する底面74とで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧室ユニットに関し、より詳細には、航空機の機内に設置されて好適な化粧室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の機内には、多数の座席が並べられた座席群が機体の前後方向に沿って複数配置されており、航空機用の化粧室ユニットは、それら座席群の間のスペースに配置される場合が多い。
元来、航空機の機内は限られた狭いスペースであり、そのスペースに設置される化粧室ユニットもコンパクト化が要請されている。
【0003】
従来、化粧室ユニットの側壁の下部前方に、側壁の幅方向に延在する洗面台が配置され、洗面台のカウンターに洗面ボール、給水栓が設けられる。
また、側壁の上部前方で洗面台の上方に、前方に開放状で前記壁部の幅方向に延在する収納棚が配置され、この収納棚の前部を開閉する鏡が設けられる(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−154489
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上述のように化粧室ユニットもコンパクト化が要請されているため、狭いスペース内で鏡の大きさや収納棚の収納スペースを最低限確保しようとすると、洗面台のカウンターと収納棚の底部との間には多きなスペースを確保することができない。
そのため、例えば、洗面ボールで手を洗うときには、手元が見ずらくなり、使い勝手に劣る不具合があった。
また、清掃時には、カウンターの奥まで目が行き届かず、清掃作業を効率よく行なう上で不利があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、洗面ボールで手を洗うときに手元が見易く、また、カウンターの奥まで目が行き届き、使い勝手に優れ、清掃作業を効率よく行なう上で有利な化粧室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本発明の化粧室ユニットは、化粧室を仕切る壁部の下部前方に前記壁部の幅方向に延在する洗面台が配置され、 前記洗面台のカウンターに洗面ボール、給水栓が設けられ、前記壁部の上部前方で前記洗面台の上方に、前方に開放状で前記壁部の幅方向に延在する収納棚が配置され、前記収納棚の前部を開閉する鏡が設けられた化粧室ユニットであって、前記洗面ボールの上方に位置する前記収納棚の底部は、前記洗面ボールの中央の直上に位置する部分が、前記収納棚の延在方向で前記直上に位置する部分の両側部分よりも上方に変位した上方に窪む湾曲部として形成され、前記湾曲部として形成された前記収納棚の底部は、前記鏡の下端あるいは前記収納棚の前面下部に接続され下方に至るにつれて次第に前記壁部に近づく傾斜面と、前記カウンターと平行して延在し前記傾斜面の下端と前記壁部とを接続する底面とで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、洗面ボールの上方に位置する収納棚の底部に、上方に窪む湾曲部と、傾斜面とが形成されているので、収納棚の収納スペースを確保しつつ、カウンターや洗面ボールの奥まで簡単に視認できる。
したがって、洗面ボールで手を洗うときに、手元が見易くなり、使い勝手に優れ、清掃時には、カウンターの奥まで簡単に目が届き、清掃作業を効率よく行なう上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の化粧室ユニットを、航空機の機内に設置される航空機用化粧室に適用した実施の形態について図面にしたがって説明する。
図1は化粧室ユニットの平面図、図2は洗面台、収納棚、鏡部分の正面図、図3は洗面台、収納棚、鏡部分の斜視図、図4は洗面台、収納棚、鏡部分の断面側面図を示す。
【0008】
化粧室ユニット10は、化粧室12を機内から仕切る化粧室躯体14を備えている。
化粧室躯体14は、底面壁16と、上面壁18と、出入口20が形成された正面壁22と、互いに対向する第1、第2側面壁24、26と、正面壁22に対向する背面壁28と、出入口20を開閉する揺動可能なドア30などを有している。
【0009】
出入口20は、正面壁22の第2側面壁26寄りに設けられている。
化粧室12内には、背面壁28の前方で第2側面壁26寄りに便器32が設けられている。
第1側面壁24の前端は、正面壁22の幅方向の端部に接続され、本実施の形態では、第1側面壁24が特許請求の範囲の壁部に相当している。
上面壁18と背面壁28の上部にそれぞれ照明器具29A、29Bが設けられている。
【0010】
そして、化粧室12内において、第1側面壁24の下部前方に第1側面壁24の幅方向に延在する洗面台34が配置されている。
また、第1側面壁24の上部前方で洗面台34の上方に、前方に開放状で第1側面壁24の幅方向に延在する収納棚36が配置されている。
そして、収納棚36の前部を開閉する2枚の鏡38A、38Bが設けられている。
【0011】
洗面台34のカウンター40で正面壁22寄りの箇所に洗面ボール42が設けられ、洗面ボール42の両側に給水栓44と石鹸水供給用タンク46とが設けられている。
なお、洗面ボール42が設けられた部分のカウンター40の奥行きは、図1に示すように、収納棚36の奥行きの約2倍程度である。
また、洗面ボール42の下方の洗面台34の前面の上部には、ダストボックスの投入口50が設けられ、また、トイレットペーパー52が配置されている。
【0012】
収納棚36に、紙コップあるいはペーパータオルなどの使い捨て用品のディスペンサが収納されている。
本実施の形態では、使い捨て用品のディスペンサは、図5に示すように、紙コップ54のディスペンサ56と、図2に示すように、ペーパータオルのディスペンサ60であり、収納棚36に、それらディスペンサ56、60が収納されている。
【0013】
洗面ボール42の上方に位置する収納棚36の底部は、図2に示すように、洗面ボール42の中央の直上に位置する部分70Aが、収納棚36の延在方向で直上に位置する部分70Aの両側部分70Bよりも上方に変位した上方に窪む湾曲部70として形成されている。
そして、図4に示すように、湾曲部70として形成された収納棚36の底部は、鏡38Aの下端あるいは収納棚36の前面36A下部に接続され下方に至るにつれて次第に第1側面壁24に近づく傾斜面72と、カウンター40と平行して延在し傾斜面72の下端と第1側面壁24とを接続する底面74とで形成されている。
本実施の形態では、それら傾斜面72と底面74は、収納棚36の延在方向の全長にわたる底部の全域にわたって設けられている。
【0014】
底面74には、ディスペンサ56の紙コップ54の取り出し口56Aと、ディスペンサ60のペーパータオルの取り出し口60Aが設けられている。
また、底面74に、図2に示すように、洗面ボール42部分を照らす照明器具76が設けられている。
【0015】
本実施の形態によれば、洗面ボール42の上方に位置する収納棚36の底部が、洗面ボール42の中央の直上に位置する部分70Aが、収納棚36の延在方向で直上に位置する部分70Aの両側部分70Bよりも上方に変位した上方に窪む湾曲部70として形成され、さらに、湾曲部70として形成された収納棚36の底部に、収納棚36の前面36A下部に接続され下方に至るにつれて次第に第1側面壁24に近づく傾斜面72が形成されている。
したがって、図4に想像線で示すように、湾曲部70および傾斜面72を備えていない従来の収納棚80に比べ、収納棚36の収納スペースを確保しつつ、カウンター40の直上に位置する第1側面壁24部分を含むカウンター40の奥まで簡単に視認できるようになる。
したがって、洗面ボール42で手を洗うときに、手元が見易くなり、使い勝手に優れ、清掃時には、カウンター40の奥まで簡単に目が届き、清掃作業を効率よく行なう上で有利となる。
【0016】
また、本実施の形態では、底面74に、洗面ボール42部分を照らす照明器具76が設けられているので、洗面ボール42で手を洗うときの手元がより見易く、また、カウンター40の奥をより簡単に視認でき、化粧室ユニットの使い勝手を向上し、清掃作業を効率よく行なう上でより一層有利となる。
また、本実施の形態では、傾斜面72と底面74が、収納棚36の延在方向の全長にわたる底部の全域にわたって設けられているので、カウンター40の全長にわたりカウンター40の奥まで簡単に目が届き、清掃作業を効率よく行なう上でより一層有利となる。
また、収納棚36の底部に、湾曲部70および傾斜面72が設けられているので、ディスペンサ56の紙コップ54の取り出し口56Aと、ディスペンサ60のペーパータオルの取り出し口60Aとが見易くなり、それらディスペンサ56,60の使い勝手を向上する上でも有利となる。
【0017】
なお、本実施の形態では、航空機の機内に設置される化粧室ユニット10に本発明を適用した場合について説明したが、本発明の化粧室ユニット10は、船、鉄道車両、ホテル、劇場など航空機の機内以外の箇所に設置される場合にも広く適用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】化粧室ユニットの平面図である。
【図2】洗面台、収納棚、鏡部分の正面図である。
【図3】洗面台、収納棚、鏡部分の斜視図である。
【図4】洗面台、収納棚、鏡部分の断面側面図である。
【符号の説明】
【0019】
10……化粧室ユニット、12……化粧室、24……第1側面壁、34……洗面台、36……収納棚、38A、38B……鏡、40……カウンター、42……洗面ボール、44……給水栓、56……紙コップのディスペンサ、60……ペーパータオルのディスペンサ、70……湾曲部、72……傾斜面、74……底面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧室を仕切る壁部の下部前方に前記壁部の幅方向に延在する洗面台が配置され、
前記洗面台のカウンターに洗面ボール、給水栓が設けられ、
前記壁部の上部前方で前記洗面台の上方に、前方に開放状で前記壁部の幅方向に延在する収納棚が配置され、
前記収納棚の前部を開閉する鏡が設けられた化粧室ユニットであって、
前記洗面ボールの上方に位置する前記収納棚の底部は、前記洗面ボールの中央の直上に位置する部分が、前記収納棚の延在方向で前記直上に位置する部分の両側部分よりも上方に変位した上方に窪む湾曲部として形成され、
前記湾曲部として形成された前記収納棚の底部は、前記鏡の下端あるいは前記収納棚の前面下部に接続され下方に至るにつれて次第に前記壁部に近づく傾斜面と、前記カウンターと平行して延在し前記傾斜面の下端と前記壁部とを接続する底面とで形成されている、
ことを特徴とする化粧室ユニット。
【請求項2】
前記傾斜面と前記底面は、前記収納棚の延在方向の全長にわたる前記底部の全域にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の化粧室ユニット。
【請求項3】
前記底面に、前記洗面ボールを照らす照明器具が取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の化粧室ユニット。
【請求項4】
前記収納棚に、紙コップあるいはペーパータオルなどの使い捨て用品のディスペンサが収納され、
前記底面に、前記ディスペンサの前記使い捨て用品の取り出し口が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の化粧室ユニット。
【請求項5】
前記収納棚に、紙コップのディスペンサおよびペーパータオルのディスペンサが収納され、
前記底面に、それらディスペンサの紙コップの取り出し口とペーパータオルの取り出し口とが前記収納棚の延在方向に間隔をおいて設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の化粧室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−137511(P2009−137511A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317890(P2007−317890)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)