説明

化粧料付着状態解析方法、化粧料付着状態解析装置、化粧料付着状態解析プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体

【課題】肌画像から化粧料の付着状態を高精度に解析する。
【解決手段】撮影された被験者の所定範囲の肌画像を用いて化粧料の付着状態の解析を行う化粧料付着状態解析方法において、前記肌画像から前記被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化して前記化粧料の付着状態を解析する解析ステップと、前記肌画像と、前記解析ステップから得られる解析結果とを、被験者情報と関連付けて蓄積する蓄積ステップとを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料付着状態解析方法、化粧料付着状態解析装置、化粧料付着状態解析プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に係り、特に肌画像から化粧料の付着状態を高精度に解析するための化粧料付着状態解析方法、化粧料付着状態解析装置、化粧料付着状態解析プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧カウンセリング等の分野において、皮膚の状態や化粧のノリ具合を解析するための様々な手法が提案されている。例えば、肌(皮膚)の小じわや毛穴、しみ、そばかす等といった肌の局部の表面状態をマイクロスコープ等で撮影し、撮影した内容を解析する手法がある(例えば、特許文献1,特許文献2等を参照。)。
【0003】
特許文献1又は特許文献2に示される手法では、マイクロスコープを用いて皮膚の観察部位に光を照射し、照射された皮膚の局部画像を取得し、その取得した画像から皮膚の表面状態の解析を行っている。
【特許文献1】特開2003−24283号公報
【特許文献2】特開平7−323013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来では、マイクロスコープを装備した計測機器から取得した被験者の皮膚(肌)の局部画像を用いて、小じわや毛穴、しみ、そばかす等といった素肌の評価を解析する手法は存在していた。
【0005】
しかしながら、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を最適なパラメータにより数値化し、数値化した結果から高精度に解析する手法は存在していなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、肌画像から化粧料の付着状態を高精度に解析するための化粧料付着状態解析方法、化粧料付着状態解析装置、化粧料付着状態解析プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0008】
請求項1に記載された発明は、撮影された被験者の所定範囲の肌画像を用いて化粧料の付着状態の解析を行う化粧料付着状態解析方法において、前記肌画像から前記被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化して前記化粧料の付着状態を解析する解析ステップと、前記肌画像と、前記解析ステップから得られる解析結果とを、被験者情報と関連付けて蓄積する蓄積ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。これにより、化粧料の付着状態を客観的且つ再現性よく評価することができ、例えば製品や原料の評価や開発に活用することができる。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記解析ステップは、前記付着量を数値化する際、前記肌画像から3値化画像を取得し、取得した3値化画像全体の画素数と、前記肌画像から抽出される緑色画像の彩度とに基づいて、前記付着量を数値化することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、肌画像中に含まれるノイズ(ゴミ)を少なくすることができ、付着量を正確に取得することができる。
【0012】
請求項3に記載された発明は、前記解析ステップは、前記不均一度を数値化する際、前記肌画像から抽出される緑色画像の階調の標準偏差と、前記肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率とに基づいて、前記不均一度を数値化することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率を用いて不均一度を取得することで、より高精度に不均一度を取得することができる。
【0014】
請求項4に記載された発明は、前記解析ステップは、前記粗さ度を数値化する際、前記肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、前記化粧料が厚く付着している部分の画素数とに基づいて、粗さ度を数値化することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、化粧料が厚く付着している部分の画素数とを用いることで、高精度に粗さ度(凝集度)を取得することができる。
【0016】
請求項5に記載された発明は、前記解析ステップは、前記化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つから化粧の仕上がり具合を解析することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、例えば店頭での活用も睨んだ新しい化粧の仕上り評価法を確立することができる。
【0018】
請求項6に記載された発明は、前記肌画像を撮影手段により撮影する撮影ステップを有し、前記撮影ステップは、前記撮影手段において、照明を前記被験者の肌に照射して得られる反射光を受光する際、偏光フィルタによりフィルタリングすることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、偏光フィルタにより正反射成分を除去することができ、化粧料が塗布された肌画像を明瞭に撮影することができる。
【0020】
請求項7に記載された発明は、撮影された被験者の所定範囲の肌画像を用いて化粧料の付着状態の解析を行う化粧料付着状態解析装置において、前記肌画像から前記被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化して前記化粧料の付着状態を解析する解析手段と、前記肌画像と、前記解析手段から得られる解析結果とを、被験者情報と関連付けて蓄積する蓄積手段とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。これにより、化粧料の付着状態を客観的且つ再現性よく評価することができ、例えば製品や原料の評価や開発に活用することができる。
【0022】
請求項8に記載された発明は、前記解析手段は、前記付着量を数値化する際、前記肌画像から3値化画像を取得し、取得した3値化画像全体の画素数と、前記肌画像から抽出される緑色画像の彩度とに基づいて、前記付着量を数値化することを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、肌画像中に含まれるノイズ(ゴミ)を少なくすることができ、付着量を正確に取得することができる。
【0024】
請求項9に記載された発明は、前記解析手段は、前記不均一度を数値化する際、前記肌画像から抽出される緑色画像の階調の標準偏差と、前記肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率とに基づいて、前記不均一度を数値化することを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率を用いて不均一度を取得することで、より高精度に不均一度を取得することができる。
【0026】
請求項10に記載された発明は、前記解析手段は、前記粗さ度を数値化する際、前記肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、前記化粧料が厚く付着している部分の画素数とに基づいて、粗さ度を数値化することを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、化粧料が厚く付着している部分の画素数とを用いることで、高精度に粗さ度(凝集度)を取得することができる。
【0028】
請求項11に記載された発明は、前記解析手段は、前記化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つから化粧の仕上がり具合を解析することを特徴とする。
【0029】
請求項11記載の発明によれば、例えば店頭での活用も睨んだ新しい化粧の仕上り評価法を確立することができる。
【0030】
請求項12に記載された発明は、前記肌画像を撮影する撮影手段を有し、前記撮影手段は、照明を前記被験者の肌に照射して得られる反射光を受光する際、照射光及び反射光の経路上に偏光フィルタを設けることを特徴とする。
【0031】
請求項12記載の発明によれば、偏光フィルタにより正反射成分を除去することができ、化粧料が塗布された肌画像を明瞭に撮影することができる。
【0032】
請求項13に記載された発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析方法を実行させるようにコンピュータを動作させることを特徴とする化粧料付着状態解析プログラムである。
【0033】
請求項13記載の発明によれば、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における化粧料の付着状態の解析を容易に実現することができる。
【0034】
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載の化粧料付着状態解析プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0035】
請求項14記載の発明によれば、記録媒体により他の複数のコンピュータに容易に化粧料付着状態解析プログラムをインストールすることができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における化粧料の付着状態の解析を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を高精度に解析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<本発明の概要>
本発明は、肌等への化粧料の付着状態を解析するため、化粧後の局部又は全体等、所定範囲の肌画像を取得し、取得した肌画像から化粧料の付着状態を解析するパラメータとして化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度(凝集度)のうち、少なくとも1つを用いて解析を行うものである。なお、本発明における化粧料とは、粉体(固体)、液体等の形状やその成分等は問わず、肌(皮膚)に塗布されるもの全般を含み、更に塗布対象は、人工皮膚やその他の付着(塗布)可能な素材等も含まれるものとする。つまり、本発明により、例えばある物体等の表面に塗布されるあらゆる粉体等の付着状態の解析に適用することができる。
【0038】
以下に、本発明における化粧料付着状態解析方法、化粧料付着状態解析装置、化粧料付着状態解析プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0039】
<システム構成>
図1は、本発明における化粧料付着状態解析システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示す化粧料付着状態解析システム10は、肌観察装置11と、化粧料付着状態解析装置12とを有するよう構成されており、肌観察装置11及び化粧料付着状態解析装置12は、インターネットやLAN(Local Area Network)等に代表される通信ネットワーク13によりデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0040】
肌観察装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を用いて肌に化粧料を塗布した被験者を撮影し、被験者の肌の局部又は全体等、所定範囲の画像等を取得する。なお、肌観察装置11は、例えば毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち、少なくとも1つの情報を測定することもできる。また、肌観察装置11は、撮影した所定範囲の肌画像等の測定結果としての各情報を、通信ネットワーク13を介して化粧料付着状態解析装置12に送信する。
【0041】
化粧料付着状態解析装置12は、肌観察装置11から送信された肌画像等に基づいて、被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化する。また、化粧料付着状態解析装置12は、数値化した結果から化粧料の付着状態を解析する。なお、化粧料付着状態解析装置12は、毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析することもできる。
【0042】
また、化粧料付着状態解析装置12は、肌画像と、解析結果とを、被験者情報や、測定又は解析を行った日時情報等と関連付けて蓄積する。これにより、肌画像やその解析結果の表示だけでなく、年代分布や経時変化等による解析やその結果を表示画面に表示することができる。
【0043】
なお、図1に示すシステム構成は、概略的に肌観察装置11及び化粧料付着状態解析装置12をそれぞれ1台有する構成となっているが、本発明におけるシステム構成は特に限定されず、例えば肌観察装置11及び/又は化粧料付着状態解析装置12が複数有するよう構成されていてもよい。また、肌観察装置11における被験者の肌を撮影するための各構成を化粧料付着状態解析装置12内に設けてもよく、更に肌に塗布された化粧料の付着状態を解析する基となる画像等が既に存在する場合には、肌観察装置11を設けなくてもよい。
【0044】
<肌観察装置11>
次に、肌観察装置11の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、肌観察装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示す肌観察装置11は、入力手段21と、出力手段22と、メンバー管理手段23と、撮影手段24と、蓄積手段25と、送受信手段26と、制御手段27とを有するよう構成されている。
【0045】
入力手段21は、ユーザ等から例えば化粧料の付着状態についての解析等を行うメンバー(被験者)の登録や、測定実施日時の登録等を行う際の各種データの入力を受け付ける。また、入力手段21は、ユーザ等から撮影(測定)実施指示や化粧料付着状態解析装置12へのデータの送信指示等を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードやマウス等のポインティングデバイスからなる。
【0046】
また、出力手段22は、入力手段21により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等を画面表示したり、音声出力等を行う。なお、出力手段22は、ディスプレイやスピーカ等からなる。更に、出力手段22は、プリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には測定結果を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザや被験者等に提供することもできる。
【0047】
また、メンバー管理手段23は、メンバーの個人情報及び測定回数等のメンバー情報(被験者情報)を管理する。具体的には、メンバー管理手段23は、メンバーの登録を行ったり、既に登録され蓄積手段25に蓄積されているメンバー情報を呼び出し、参照、修正、削除等を行うことができる。
【0048】
なお、メンバー情報として登録される内容としては、例えば各メンバーや撮影(測定)内容等を識別するための「識別No.」や、「氏名」、「生年月日」、「性別」、「撮影部位」、「メモ(備考)」等がある。なお、登録されるメンバー情報は、本発明においては特に制限されず、例えば「生年月日」の変わりに「年代」等を登録するような設定にしてもよい。また、蓄積手段25等に蓄積されているメンバー情報から所定のメンバーを呼び出す場合、上述した「識別No.」や「氏名」等を用いて検索することができる。
【0049】
撮影手段24は、CCDカメラ等より被験者の化粧料が塗布された所定範囲の肌画像を撮影(測定)しデジタル画像を取得する。なお、所定範囲とは、例えば被験者の顔に塗布した化粧料を撮影する場合は、全顔又は予め設定した顔の一部(局部)等である。
【0050】
なお、撮影された肌画像を用いた解析処理は、履歴情報を用いて経時的(時系列)に連続して処理を行うことができる。そのため、経時的に撮影される肌画像の位置に差が生じないようにする必要がある。したがって、撮影手段24は、撮影時に被験者の撮影する部位をディスプレイ等の画面に表示(プレビュー)し、例えばユーザ等がプレビュー画面を見ながら被験者を誘導して所定の部位が撮影されるようにすることができる。なお、撮影手段24における撮影手法について後述する。
【0051】
なお、後述する化粧料付着状態解析装置12において、毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析する場合、撮影手段24は、被験者の全顔を複数の角度(例えば、正面、右顔、左顔等)から撮影したり、照明としてフラッシュ撮影、拡散光を用いた撮影、等を選択的に用いて撮影することもできる。
【0052】
蓄積手段25は、上述したメンバー管理手段23により得られるメンバー情報や撮影手段24により得られる肌画像等の各種情報を蓄積する。また、蓄積手段25は、撮影手段24から得られる肌画像をメンバー情報や撮影(測定)した日時情報と関連付けて蓄積する。
【0053】
送受信手段26は、肌観察装置11と化粧料付着状態解析装置12との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行うための通信インターフェースである。したがって、肌観察装置11は、送受信手段26が化粧料付着状態解析装置12からのメンバー情報や肌画像等の各種情報の取得要求を受信したり、入力手段21により化粧料付着状態解析装置12への各種情報の送信指示を受け付けた場合に、通信ネットワーク13を介して化粧料付着状態解析装置12に各種情報を送信する。
【0054】
また、制御手段27は、肌観察装置11の各構成部全体の制御を行う。具体的には、例えば撮影された肌画像をメンバー情報と共に蓄積手段25に蓄積させたり、メンバー登録や、撮影により取得した画像を送受信手段26から化粧料付着状態解析装置12に送信させる等の制御を行う。
【0055】
<撮影手段24における撮影手法>
ここで、撮影手段24における具体的な撮影手法について説明する。図3は、撮影手段におけるヘッド部の構成の一例を示す図である。
【0056】
図3に示すように、本実施例において化粧料が塗布された肌画像を取得する際には、予め肌画像を取得するために撮影手段24に設けられた照明からの照明光30−1,30−2を化粧料が塗布された肌31に照射し、その照射により得られる反射光32をCCDカメラで受光することにより肌画像を取得する。
【0057】
ここで、本実施形態における肌画像の撮影では、照明光30及び反射光32の経路のそれぞれに、図3に示すように偏光フィルタ33−1〜33−3を設ける。このように、偏光フィルタ33により照明光30及び反射光32の正反射成分を除去することができ、これによりファンデーション等の化粧料が付着した肌画像を明瞭に撮影することができる。また、この肌画像を後述する化粧料の付着状態の解析に用いることで、高精度な解析を実現することができる。
【0058】
また、撮影手段24は、毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析する場合、例えば毛穴解析用として正面顔のフラッシュ撮影により画像を取得したり、しわ解析用として左右の側面顔のフラッシュ撮影により画像を取得したり、しみ、肌色解析用として左右顔の側面の拡散光撮影により画像を取得することもできる。
【0059】
<化粧料付着状態解析装置12>
次に、化粧料付着状態解析装置12の機能構成例について図を用いて説明する。図4は、化粧料付着状態解析装置の機能構成の一例を示す図である。図4に示す化粧料付着状態解析装置12は、入力手段41と、出力手段42と、メンバー管理手段43と、解析手段44と、表示画面生成手段45と、蓄積手段46と、送受信手段47と、制御手段48とを有するよう構成されている。
【0060】
入力手段41は、化粧カウンセラー等のユーザ等が蓄積手段46等により蓄積されているメンバー情報の呼び出しや肌観察装置11から得られた各種情報を解析や評価するための指示を行ったり、解析結果画面表示させるための指示等を行う際の各種データの入力を受け付ける。なお、入力手段41は、例えばキーボードやマウス等のポインティングデバイス等からなる。
【0061】
また、出力手段42は、入力手段41により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等を画面表示したり、音声出力等を行う。なお、出力手段22は、ディスプレイやスピーカ等からなる。更に、出力手段22は、プリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には解析結果等を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザや被験者等に提供することもできる。
【0062】
また、メンバー管理手段43は、蓄積手段46に蓄積されているメンバーの個人情報及び測定回数、解析回数等のメンバー情報(被験者情報)を管理する。具体的には、メンバー管理手段43は、メンバーの登録を行ったり、既に登録され蓄積手段46に蓄積されているメンバー情報を呼び出し、参照、修正、削除等を行うことができる。なお、蓄積手段46に蓄積されるメンバー情報は、上述した肌観察装置11において登録される内容と略同様であるが、その他にも解析手段44で解析された回数や解析日時等の情報も含まれる。
【0063】
解析手段44は、肌観察装置11から得られた肌画像等の各種情報に基づいて被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を解析する。なお、解析手段44は、化粧料の付着状態を解析するパラメータとして化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度(凝集度)のうち、少なくとも1つを用いる。解析手段44は、これらのパラメータを数値化し、数値化した値に基づいて、化粧料の付着状態を解析する。
【0064】
また、解析手段44は、上述したパラメータの数値化により被験者の化粧の仕上がり具合を解析する。これにより、例えば店頭での活用も睨んだ新しい化粧の仕上り評価法等を確立することができる。なお、本実施形態における解析手法の具体的な内容については後述する。
【0065】
また、解析手段44は、例えば正面顔のフラッシュ撮影による画像を用いて毛穴解析を行ったり、左右の側面顔のフラッシュ撮影によりしわ解析を行ったり、画像を取得したり、左右の側面顔の拡散光撮影によりしみ、肌色解析を行うこともできる。
や、左右の側面顔のフラッシュ撮影による画像、左右顔の側面の拡散光撮影による画像等を取得して毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析してもよい。
【0066】
表示画面生成手段45は、肌観察装置11等から取得した肌画像等の画像情報から解析手段44による解析を行う対象となる所定部位や領域(解析対象の中心のXY座標や領域等)を選択するための画面や、本実施形態における解析処理を実行するための画面、解析結果を表示する画面、過去に解析した結果を経時的に表示する画面等を生成する。
【0067】
また、表示画面生成手段45は、生成された内容を出力手段42に出力し、画面に表示する。ユーザは、表示画面生成手段45により生成される画面からマウス等の入力手段41等を用いて所定の指示を行い、本実施形態における被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態の解析等を行うことができる。
【0068】
蓄積手段46は、肌観察装置11から得られるメンバー情報や各種画像データ、解析手段44から得られる解析結果等を蓄積する。なお、蓄積手段46は、画像データや解析結果等をメンバー(被験者)情報や測定日時、解析日時等の各種日時情報と関連付けて蓄積する。これにより、上述した被験者毎の履歴情報を蓄積することができ、必要に応じて各種データを例えば時系列的に取得することができる。
【0069】
なお、蓄積手段46におけるデータ容量を削減するため、蓄積手段46に解析結果を蓄積せずに、解析指示があった場合にのみ画像等の必要な情報を読み出し、解析手段44により解析を行って結果を表示させる処理を行ってもよい。
【0070】
送受信手段47は、化粧料付着状態解析装置12と肌観察装置11との間で通信ネットワーク13を介してデータの送受信を行うための通信インターフェースである。したがって、化粧料付着状態解析装置12は、肌観察装置11により取得した各種の情報を、送受信手段47により受信する。また、化粧料付着状態解析装置12は、送受信手段47から肌観察装置11に各種情報の取得要求の送信を行い、まだ送信されていない情報があれば、その情報を送受信手段47により受信することができる。
【0071】
制御手段48は、化粧料付着状態解析装置12の各構成部全体の制御を行う。具体的には、肌観察装置11から得られる各種情報を送受信手段47で受信させたり、解析手段44により解析させたり、表示画面生成手段45により表示画面を生成させたり、蓄積手段46に解析結果等の各種情報を蓄積させる等の各処理の制御を行う。
【0072】
ここで、上述した肌観察装置11や化粧料付着状態解析装置12は、上述した機能を有する専用の装置構成により制御を行うこともできるが、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(化粧料付着状態解析プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における化粧料付着状態解析処理等を実現することができる。
【0073】
<ハードウェア構成>
ここで、本発明における化粧料付着状態解析が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。図5は、本発明における化粧料付着状態解析が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0074】
図5におけるコンピュータ本体には、入力装置51と、出力装置52と、ドライブ装置53と、補助記憶装置54と、メモリ装置55と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)56と、ネットワーク接続装置57とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0075】
入力装置51は、ユーザが操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザからのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。出力装置52は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU56が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。
【0076】
ここで、本発明においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体58等により提供される。プログラムを記録した記録媒体58は、ドライブ装置53にセット可能であり、記録媒体58に含まれる実行プログラムが、記録媒体58からドライブ装置53を介して補助記憶装置54にインストールされる。
【0077】
補助記憶装置54は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し必要に応じて入出力を行うことができる。
【0078】
メモリ装置55は、CPU56により補助記憶装置54から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置55は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
【0079】
CPU56は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置55に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、化粧料の付着状態解析等における各処理を実現することができる。プログラムの実行中に必要な肌画像等の各種情報等は、補助記憶装置54から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
【0080】
ネットワーク接続装置57は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワーク13に接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。上述したようなハードウェア構成により、本発明における化粧料付着状態解析処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における肌に塗布された化粧料の付着状態の解析を容易に実現することができる。次に、化粧料付着状態解析処理の具体的な内容について説明する。
【0081】
<化粧料付着状態解析処理手順>
次に、本発明における化粧料付着状態解析処理手順の一例についてフローチャートを用いて説明する。図6は、本発明における化粧料付着状態解析処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6に示すフローチャートは、上述した肌観察装置11及び化粧料付着状態解析装置12における化粧料付着状態解析システム10全体の処理手順を示している。
【0082】
図6に示す処理手順では、化粧を施した肌の解析を行うにあたり、まず被験者がメンバー登録されているか否かを判断する(S01)。ここで、メンバー登録されていない場合(S01において、NO)、メンバー登録を行う(S02)。なお、登録されるメンバー情報としては、上述したように、各測定内容を識別するための「識別No.」や「氏名」、「生年月日」、「性別」、「測定部位」、「メモ(備考)」等がある。
【0083】
また、S01の処理において、被験者がメンバー登録されているか否かを判断する際には、蓄積手段等に蓄積されている情報から「識別No.」や「氏名」等を用いて検索することで、メンバー登録の有無を確認することができる。
【0084】
また、S01にてメンバー登録されている場合(S01において、YES)、又はS02の処理が終了後、本実施形態における解析を行うための各種内容の設定を行う(S03)。具体的には、例えば化粧料を塗布した被験者の肌のどの部分(少なくとも1つ)を解析するかを示す解析対象の中心のXY座標や領域等の情報等の設定を行う。このとき、既に肌の測定を行っている場合には、過去の測定情報を蓄積手段等から呼び出して参照することで、同じ測定等を容易に設定することができる。また、S03の処理では、毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析する場合には、どの解析を行うかを設定することもできる。
【0085】
次に、S03の処理において設定された条件に基づく解析を行うため、設定条件による顔等の所定部位の撮影を行う(S04)。なお、撮影(測定)する際には、測定日時を取得しておき、メンバー情報や測定日時情報と共に測定した画像を蓄積する(S05)。日時情報と共に蓄積することで、解析処理において、メンバー毎の測定結果を履歴情報等に基づいて経時的(時系列)に表示することができる。
【0086】
次に、撮影された画像に基づいて、化粧料の肌への付着量、不均一度、及び粗さ度(凝集度)のうち、少なくとも1つを数値化し肌に塗布された化粧料の付着状態の解析を行う(S06)。また、その解析結果を画面に表示するための表示画面を生成し(S07)、生成した画面をディスプレイ等の出力手段を介してユーザ等に提示する(S08)。また、解析結果を蓄積し(S09)、処理を終了する。
【0087】
なお、S06の処理においては、肌に塗布された化粧料の付着状態の解析の他に、例えば毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち、少なくとも1つを解析してもよい。また、S05やS09の処理のように、測定した画像や解析結果等を蓄積しておくことで、次回又は複数回分の解析結果との比較等も行うことができ、それぞれの結果を経時的に表示することができる。
【0088】
なお、上述したS01〜S09の処理において、S01〜S05を画像取得処理とし、S06〜S09を化粧料付着状態解析処理として、別プログラムとして対応する別々の装置にインストールされてもよく、同一の装置にインストールされてもよい。つまり、化粧料の付着状態を解析するための所定部位画像の取得を行う場合には、S01〜S05までの処理を実行すればよく、化粧料の付着状態の解析を行う場合には、S06〜S09までの処理を行えばよい。
【0089】
上述したように本発明における化粧料付着状態解析処理により、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。これにより、化粧料の付着状態を客観的且つ再現性よく評価することができ、例えば製品や原料の評価や開発に活用することができる。また、各解析内容に適した画像を用いることで最適な結果値の算出や解析結果の表示を行うことができる。更に、年代分布や経時分布の結果等の肌状態の多角的な解析を高精度に行うことができる。
【0090】
<S06:解析処理手順>
次に、上述したS06における解析処理手順について、フローチャートを用いて具体的に説明する。図7は、解析処理手順の一例を示すフローチャートである。また、以下の説明では、化粧料の一例としてファンデーションを用いて説明するが、本発明における化粧料は、ファンデーションに限定されるものではなく、チークやアイシャドウ、口紅等、一般的な化粧料の全てを含むことができ、更には人工皮膚等に塗布される粉体等も含むことができる。
【0091】
まず、肌観察装置11から取得した被験者の肌にファンデーションが塗布されていると部分の画像を含むファンデーション画像(OrgImg)のうち、解析対象の画像領域の各画素が有している色成分(R(赤)G(緑)B(青)成分)から肌の解析に適しているG成分(緑色)画像(グリーンプレーン)(GImg)を抽出する(S11)。
【0092】
次に、S01の処理により得られたグリーンプレーンから毛に該当する部分を抽出し(S12)、抽出した画像中に含まれる毛に該当する部分に対してシェーディング処理による補正を行う(S13)。更に、S13の処理により得られる画像に対して微分フィルタによるフィルタリングを行い、肌のキメを抽出するための画像(キメ抽出画像)を作成する(S14)。
【0093】
また、S14の処理により得られる画像から単純3値化処理を行い(S15)、S14の処理により得られたキメ抽出画像と、S15の処理により得られた単純3値化画像とを比較し、予め設定された付着量以上にファンデーションが肌に付着していると判断される箇所のみを抽出した画像と、その抽出画像と除いた箇所を抽出した画像とに分割する(S16)。
【0094】
次に、元画像であるファンデーション画像(OrgImg)から画像の色情報を取得し(S17)、更に画像の明るさからファンデーションの付着量を取得し(S18)、ファンデーションの不均一度を取得し(S19)、更にはファンデーションの付着の粗さ度を取得して(S20)、これらのS18〜S20の処理により得られる取得結果に基づいて、化粧料の付着状態を解析する(S21)。
【0095】
これにより、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。したがって、化粧料の付着状態を客観的且つ再現性よく評価することができ、例えば製品や原料の評価や開発に活用することができる。次に、上述したS12〜S20について、更に具体的な説明する。
【0096】
<S12:毛に該当する部分の抽出>
まず、上述したS12の毛に該当する部分の抽出処理について具体的に説明する。なお、以下の説明では、取得した画像のサイズの一例として640×480の元画像に対して、その中心位置から420×420の範囲でトリミングして解析に使用するが、本発明にける画像サイズはこれに限定されるものではない。
【0097】
図8は、毛抽出処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、対象の周り(例えば、30×30)の画素平均を取得し(S31)、S31の処理により得られるぼかし画像(HImg)の平均(HAve)を取得する(S32)。また、上述したS11で得られたグリーンプレーン(GImg)階調から(HImg階調−HAve)を引いた値(シェーディング処理画像:SHImg)を取得する(S33)。なお、S31〜S33の処理は、毛抽出用のシェーディング処理を示している。
【0098】
次に、S32により得られる平均(HAve)と、S33にて得られた値から標準偏差(Hσ)を取得し(S34)、更に「階調<HAve−2Hσ」を満たす画素を取得する(S35)。つまり、グリーンプレーンのシェーディングを補正した後、階調平均・標準偏差(σ)を取得し、毛に該当する部分として判別するスライスレベルを計算するため、階調平均より低い階調で2σの範囲に入らない画素を抽出(2値化)する。
【0099】
また、S35により得られた領域のうち周囲各1画素分の画像を収縮させた後(S36)、内部の画素から周囲各1画素分の画像を膨張させて元のサイズに戻し(S37)、画像中に含まれる少ない画素数からなるノイズ(ゴミ)を除去する。
【0100】
更に、例えば抽出された画素のうち、1まとまりの画素の集まり(集合画素数)が所定の値(例えば、30画素)より少ない場合、その集合をノイズ(ゴミ)として削除し(S38)、S38の処理により得られる画像を毛に該当する部分のマスク画像として蓄積する(S39)。つまり、収縮・膨張により得られた画像で画素の集まり毎の画素数を確認し、画素数が30画素以上の集合のみを抽出し、抽出された部分を毛に該当する部分としておく。これにより、この画像をマスク画像として後述する単純3値化等の処理を行う際、この部分の画素情報は使用しないようにすることで、高精度な画像処理を実現することができる。
【0101】
なお、一般的に体毛の直径は18〜180μmであるが、ある程度正確に毛に該当する部分を抽出するため、本実施例では、一例として直径50μm以上の毛を抽出する。測定された画像1画素の一辺は10μmであるため、横(幅)もしくは縦(高さ)が5画素以上の画像を取得する必要がある。したがって、本実施例では、「5×5」と「6×6」の間に存在する値30を毛に該当する画像と認識する画素に設定した。これにより、毛に該当する部分を所定の条件に基づいて均一に抽出することができる。なお、画素数については、画像サイズや倍率等の画像条件に基づいて任意に設定される。
【0102】
ここで、図9は、毛に該当する部分を抽出するまでの画像の変化を説明するための一例の図である。図9に示すように、元画像61からG成分画像(グリーンプレーン)62を抽出し、抽出されたG成分画像62を上述した毛抽出処理により毛抽出画像63を抽出することができる。
【0103】
<S13:シェーディング処理>
次に、シェーディング処理手順について具体的に説明する。図10は、シェーディング処理手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すシェーディング処理は、まずグリーンプレーン(GImg)のうち、ある対象となる画素を基準とし、その周囲8画素の画素平均を取得し(S41)、更にS41の処理により得られるぼかし画像(BImg−1)のうち、ある対象となる画素を基準とし、その周囲8画素の画素平均を取得する(S42)。
【0104】
また、S42の処理により得られるぼかし画像(BImg−2)の平均(BAve)を取得し(S43)、GImg階調から(BImg−2階調−BAve)を引いたシェーディング処理画像(SImg)を取得する(S44)。このように、解析用のシェーディング処理を行うことで、丸みをおびた肌画像の取得の際に、画像の端部が暗くなるのを全体的に見て均一になるように補正することができる。
【0105】
<S14:キメ抽出画像の作成処理>
次に、キメ抽出画像の作成処理について具体的に説明する。図11は、キメ抽出画像の作成処理の一例を示すフローチャートである。まず、グリーンプレーンのシェーディングを補正し、そのシェーディング処理画像(SImg)のうち、ある画素の階調と、その画素を中心とした周囲24画素分の階調の平均に任意の定数からなるファクター(F)(例えば、60)を加えた値とを比較して、対象となるある画素の階調値が大きい場合、その画素を抽出する(S51)。
【0106】
また、抽出された画素の集合画素数が例えば300画素より小さく、更に集合画素の縦の長さが26画素より小さい集合をノイズ(ゴミ)として削除する(S52)。これは、キメは、通常顔の向きに対して縦長に形成されるため、縦長の集合をキメ画像として判断している。なお、上述した集合画素数や縦長の長さについては特にこれに制限されず、画像サイズや倍率等の画像条件に基づいて任意に設定される。
【0107】
次に、S52の処理により残った集合画素のうち、周囲各1画素分の画像を収縮させた後(S53)、内部の画素から周囲各1画素分の画像を膨張させて元のサイズに戻し(S54)、画像中に含まれる少ない画素数からなるノイズ(ゴミ)を除去し、この画像を微分フィルタ画像として蓄積する(S55)。なお、この画像は、しっかりファンデーションが付着した部分をマスクする画像として使用する。
【0108】
ここで、図12は、取得されるキメ抽出画像の一例を示す図である。図12に示すように上述のS13の処理により得られるシェーディング処理画像64から上述したキメ抽出画像の作成処理を行うことにより、キメ抽出画像65を取得することができる。
【0109】
<S15:単純3値化処理>
次に、単純3値化処理について具体的に説明する。図13は、単純3値化処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、シェーディング処理画像(SImg)の平均(Ave)・標準偏差(σ)・階調最大値(Max)を取得し(S61)、予め設定された第1のスライスレベル(sl)を取得し(S62)、また第2のスライスレベル(sl)を取得する(S63)。
【0110】
次に、対象画素の階調が第1のスライスレベル(sl)となる画素を抽出(単純2値化)する(S64)。なお、その部分はファンデーションが薄く付着している画像(AImg−1)であるため、抽出された画素の集合画素数が所定の画素数(例えば、30画素)より少ない場合、その集合をノイズ(ゴミ)として削除する(S65)。
【0111】
更に、AImg−1の集合に対して周囲各1画素分の画像を収縮させた後(S66)、内部の画素から周囲各1画素分の画像を膨張させて元のサイズに戻し(S67)、画像中に含まれる少ない画素数からなるノイズ(ゴミ)を除去する。
【0112】
更に、抽出された画素の集合画素数が所定の画素数(例えば、30画素)より少ない場合、その集合をノイズ(ゴミ)として削除する(S68)。また、単純3値化第1層画像(AImg−1’)として蓄積(S69)する。
【0113】
対象画素の階調が第2のスライスレベル(sl)より大きくなる画素を抽出(単純2値化)する(S70)。なお、その部分は、ファンデーションが厚く付着している画像(AImg−2)であるため、この画像を単純3値化第2層画像(AImg−2’)として蓄積する(S71)。
【0114】
<スライスレベルについて>
ここで、上述した第1のスライスレベル(sl)及び第2のスライスレベル(sl)の例について説明する。まず、解析で使用するパラメータの取得は、肌観察装置11等のある撮影装置で測定したファンデーションが被験者の肌に塗布された画像31枚(以下、教師画像という)を用いて行い、更に所定時間経過後に同機器で測定したファンデーション画像31枚(以下、検証画像という)を用いて検証を行った。
【0115】
ここで、単純3値化を行うために基準となる2つのスライスレベルについては、数式等を用いて取得することができる。つまり、ファンデーションの塗布状態を表す3値化画像のスライスレベル取得式は、第1のスライスレベルの場合、ファンデーションが薄くついている箇所を抽出(厚く塗布されている部分も含む)するために、まず画像のグリーンプレーン階調情報から平均値(KAve)と標準偏差(Kσ)を取得し、また、グリーンプレーンの平滑化を行い、更に最大値(KMax)を求める。なお、最大値(KMax)は、ある所定の階調グラフについて階調255から0に向かってサーチを行い、画素数が10以上になる階調をKMaxとしている。
【0116】
次に、上述したKAve、Kσ、KMaxから第1のスライスレベル(Sl)を以下の数式等により取得する。
Sl=KAve+((KMax−KAve+1)/(Kσ+12)+0.5)
なお、Slについて、標準偏差(Kσ)で最大値と平均との階調差(KMax−KAve)を割ることによって、どのような画像でもスライスレベルが(KMax−KAve)の5〜10%の値になるように調整されている。
【0117】
具体的には、例えば(KMax−KAve)の5〜10%の位置で第1のスライスレベル(Sl)が設定されるように計算を行っている。一例では、(KAve+2.5)〜(KAve+4.5)くらいに設定される。また、例えばKσが0〜9.9(Kσの平均+標準偏差1σ)の範囲は、上述の条件下で取得されており、またKσ≧9.9のときには、Slの値がSlよりも小さくなるため「Sl<Sl−2」の場合、「Sl=Sl−2」となるように条件式を設定している。
【0118】
次に、第2のスライスレベル(Sl)、つまりファンデーションが厚く塗布されている箇所を抽出する場合には、まず画像のグリーンプレーン階調情報から、平均値(KAve)と標準偏差(Kσ)を取得し、階調の平滑化を行い、最大値(KMax)を求める。なお、最大値(KMax)は、ある所定の階調グラフについて階調255から0に向かってサーチを行い、画素数が10以上になる階調をKMaxとしている。
【0119】
また、KAve、Kσ、KMaxから以下の数式により第2のスライスレベル(Sl)を取得する。
Sl=KAve+((KMax−KAve+1)×(22−Kσ×2)/30)
なお、Kσ>11のときにSlの値がKAveよりも小さくなるため「Sl<KAve」の場合、「Sl=KAve」となるように条件式を設定している。
【0120】
なお、Slについて、標準偏差(Kσ)で最大値と平均の階調差(KMax−KAve)の約75%のところをスライスレベルの最大値として、標準偏差(Kσ)が約10になるときに第1のスライスレベル(Sl)とほぼ同じ値になるように調整されている。
【0121】
具体的には、Kσが大きくなる(ファンデーションの付着が多くなる)につれてスライスレベルが低くなるように設定されている。例えば、Kσ≒9.9(Kσの平均+標準偏差1σ範囲)でSlとSlが同じ値をとるようになっている。また、Kσ>11のときSl<KAveとなるため「Sl2<KAve」の場合、「Sl=KAve」となるように条件式を設定している。
【0122】
また、標準偏差が10に近くなるとSl<Slとなる。このように、SlがSlよりも大きくなることを回避するためスライスレベル取得後に「Sl<Sl−2」の場合、「Sl=Sl−2」となるように条件式を設定している。
【0123】
<S16:画像分割>
次に、S16における画像分割処理について具体的に説明する。S16の処理では、上述したS55の処理により得られた微分フィルタ画像と、上述したS69の処理により得られた単純3値化における第1層画像(AImg−1’)とを比較し、微分フィルタ画像と重なる画像領域部分をファンデーションがしっかり付着している部分(領域)の画像(LImg−1)として蓄積する。また、微分フィルタ画像と重ならない部分を、その他の付着部分(例えば、肌のキメ以外の皮丘部分)の画像(OImg−1)として蓄積する。
【0124】
また、上述したS55の処理により得られた微分フィルタ画像と、上述したS71の処理により得られた単純3値化における第2層画像(AImg−2’)とを比較し、微分フィルタ画像と重なる部分をファンデーションがしっかり付着している部分(領域)の画像(LImg−2)として蓄積する。また、微分フィルタ画像と重ならない部分を、その他の付着部分の画像(OImg−2)として蓄積する。
【0125】
ここで、図14は、上述した単純3値化処理における画像の例を示す図である。図14に示すように、シェーディング処理画像64を上述した第1及び第2のスライスレベル(Sl、Sl)を用いて各層画像66に分解する。
【0126】
具体的には、第1及び第2のスライスレベル(Sl、Sl)による微分フィルタで選別された部分(1層目)画像66−1、部分(2層目)画像66−2、その他の部分(1層目)画像66−3、及びその他の部分(2層目)画像66−4からなる2層2種類の画像を合成して合成画像67を取得することにより、単純3値化処理が行われる。つまり、後述する解析する内容に応じて各層画像66−1〜66−4から1又は複数の画像を組み合わせた画像を用いることで本実施形態における解析処理を行うことができる。
【0127】
<S17:画像の色情報の取得処理>
次に、ファンデーションの付着状態を解析するために用いられるS17における画像の色情報の取得処理について具体的に説明する。S17の処理では、元画像であるファンデーション画像(OrgImg)の各画素のRGB階調値から彩度を取得し、画像中の全画素の平均彩度(SAve)を取得する。また、ファンデーション画像(OrgImg)のグリーンプレーン階調値の標準偏差(Gσ)を取得する。
【0128】
<S18:ファンデーションの付着量の取得処理>
次に、S18におけるファンデーションの付着量取得処理について具体的に説明する。S18の処理では、単純3値化における第1層画像(AImg−1’)の全画素数(AllCnt)を取得し、更に全画素数(AllCnt)と上述した画像中の全画素の平均彩度(SAve)からファンデーションの付着量を取得する。
【0129】
ここで、ファンデーション付着量については、画像から付着量に関する情報を取得する。まず、形状的な特徴として、単純3値化処理及び画像分割により得られた結果から形状的な特徴を取得する。具体的には、1層目画像(画像66−1,66−3)の全画素数をカウントする。なお、全画素数は、肌に付着したファンデーションの量に比例して値が大きくなる。この全画素数は、付着量を解析する主となる情報である。また、S17により画像の色情報を取得する。なお、彩度は、肌に厚くファンデーションが付着しているほど高くなる傾向がある。したがって、付着量の解析精度を高めるために導入する。
【0130】
次に、全画素数と彩度平均を用いて解析結果となる値を取得する。具体的には、単純3値化画像全体の画素数とグリーンプレーンの彩度を用いて付着量素点を取得する。
【0131】
ここで、素点を求める際、「彩度<35」の場合は「付着量素点=画素数」とし、「彩度≧35」の場合は「付着量素点=全体付着量+(彩度−35)×全体付着量/35=彩度×全体付着量/35」として、以下に示す数式により付着量を取得する。
付着量=0.000045×付着量素点+0.516
ここで、彩度の補正に使用する閾値は、教師画像(31枚)の「彩度平均±標準偏差1σ」の範囲で最適な値を使用している。また、今回の教師画像と検証画像の解析では、彩度の補正に用いる閾値を35に設定しているが、本発明においてはこれに限定されず、例えば20〜50の間で設定されていればよい。
【0132】
彩度が閾値以上になった場合、彩度の値が増加するにつれて全体付着量の「(彩度−35)/35」倍素点が増加する。これは、教師画像により確認すると、彩度増加にしたがって最大約35%程度、値が増加している。
【0133】
なお、上述の式は、一例として付着量素点を1〜5点の間で正規化するための式である。この式により正規化することで付着状態の解析を容易に行うことができる。なお、本発明においては、付着量を数値化する手法はこれに限定されるものではなく、例えば他の点数範囲で正規化を行ったり、正規化を行わずに上述した付着量素点のみで肌に塗布された化粧料の付着状態の解析を行うことができる。
【0134】
<S19:ファンデーションの均一度の取得処理>
次に、S19におけるファンデーションの均一度の取得処理について具体的に説明する。S19の処理では、単純3値化における第1層画像(OImg−1)の扁平率(FPrm)を取得し、次に扁平率(FPrm)とファンデーション画像(OrgImg)のグリーンプレーン階調値の標準偏差(Gσ)とからファンデーションの不均一度を取得する。
【0135】
具体的には、ファンデーション塗布の不均一度の取得処理として、画像から付着量に関する情報を取得する。まず、画像の色情報として、形状的解析に用いたグリーンプレーン階調の標準偏差を取得する。なお、ここで使用する標準偏差は、肌に付着したファンデーションが均一に付着していないほど、画像の階調は分散する傾向がある。そのため、標準偏差は、不均一度の主となる情報として取得する。
【0136】
次に、形状的な特徴として、1層目その他の部分の画像(画像66−3)に含まれる画素の集合(固まり)の長さ率(扁平率)を取得する。ここで、上述した長さ率について説明する。図15は、長さ率を説明するための一例の図である。
【0137】
図15に示す画像68に存在する少なくとも1つの画素集合69において、長さ率は、図15に示すように、画素集合69において、縦、横、右斜め45度、左斜め45度の各方向に対して最も長い方向を求め、それと直交する方向の長さで割った値とする。例えば、最長が縦の場合、「縦長さ/横長さ」とし、最長が横の場合、「横長さ/縦長さ」とし、最長が斜め45度の場合、「斜め45度の長さ/斜め135度の長さ」とし、最長が斜め135度の場合、「斜め135度の長さ/斜め45度の長さ」とする。
【0138】
なお、縦・横方向もしくは右斜め45度・左斜め45度方向の長さ比から大まかな固まり扁平率を取得している。扁平率は固まりが小さく円に近いほど値が1に近づき、固まりが大きくなるにつれて値が大きくなる。
【0139】
なお、ここでいう扁平率とは、ファンデーションが肌にしっかりと付着していると判断される部分以外の箇所での個々の固まりの扁平率を大まかに取得している。つまり、しっかりと付着しているとされる部分が多いほど、その他の部分が分断される確率が高いため、不均一度に相関があると思われる。したがって、この扁平率は不均一度の解析精度を高めるために導入する。
【0140】
次に、標準偏差と扁平率を用いて値を取得する。具体的には、不均一度を求める場合、グリーンプレーンの階調の標準偏差と単純3値化画像の皮丘部分の扁平率を用いて不均一素点を取得する。
不均一素点=標準偏差−31.34×扁平率
なお、上述した係数値は31.34に限定されず、例えば5〜50の間で設定されていればよい。
【0141】
また、取得した不均一素点から、例えば以下に示す数式等を用いて不均一度を取得する。
不均一度=0.212738×不均一素点+7.468
なお、上述した不均一素点の取得に用いている不均一性と階調標準偏差の係数及び切片は、教師画像(31枚)の解析情報と視感結果の重回帰分析等により設定している。例えば、係数は、重回帰分析から取得した「係数±標準偏差(1σ)」の範囲で視感結果に最適な値を設定する。
【0142】
なお、上述の式は、一例として不均一度を1〜5点の間で正規化するための式である。この式により正規化することで付着状態の解析を容易に行うことができる。なお、本発明においては、不均一度を数値化する手法はこれに限定されるものではなく、例えば他の点数範囲で正規化を行ったり、正規化を行わずに上述した不均一度素点のみで肌に塗布された化粧料の付着状態の解析を行うことができる。
【0143】
<S20:ファンデーションの粗さ度(凝集度)の取得処理>
次に、S20におけるファンデーションの粗さ度(凝集度)の取得処理について具体的に説明する。
【0144】
まず、上述した単純3値化における第2層画像(AImg−2’)の全画素数(SndCnt)を取得する。また、単純3値化における第1層画像(AImg−1’)の全画素数(AllCnt)と単純3値化における第2層画像(AImg−2’)の全画素数(SndCnt)とに基づいてファンデーション塗布の粗さ度を取得する。
【0145】
更に具体的に説明すると、ファンデーション塗布の粗さについて、まず画像から付着量に関する情報を取得する。具体的には、形状的な特徴として、2層目の全画素数を1層目の全画素数で割った値(粗さ率)を取得する。ここでは、上述した図14に示すような微分フィルタで選別された部分(2層目)画像66−2と、その他の部分(2層目)画像66−4とからなる合成画像を微分フィルタで選別された部分(1層目)画像66−1と、その他の部分(1層目)画像66−3とからなる合成画像で割ることにより値を取得する。
【0146】
なお、粗さ度は、ファンデーションが粗く付着しているほど2層目として取得される画素数が多くなる傾向があるため、1層目と2層目の割合を求めることで塗布の粗さを取得できる。したがって、粗さ度は、付着量解析の主となる情報として用いることができる。
【0147】
また、粗さ素点は、単純3値化画像全体の画素数(Cnt)とファンデーションが厚く付着している部分の画素数(Cnt)を用いて粗さ素点を取得する。
粗さ素点=Cnt÷Cnt
また、取得した粗さ素点により、例えば以下に示す数式等を用いて粗さ度を取得する。
粗さ度=0.031050×粗さ素点+1.51785
なお、この数式は、上述した教師画像(31枚)の視感結果と粗さ素点の回帰分析から結果値を1〜5点に正規化している。つまり、上述の式は、一例として粗さ度を1〜5点の間で正規化するための式である。この式により正規化することで付着状態の解析を容易に行うことができる。なお、本発明においては、粗さ度を数値化する手法はこれに限定されるものではなく、例えば他の点数範囲で正規化を行ったり、正規化を行わずに上述した粗さ度素点のみで肌に塗布された化粧料の付着状態の解析を行うことができる。
【0148】
なお、S18〜S20に示す数式やその数式により計算した結果等は、表示画面等に表示して被験者に提示や編集等を行わせることができる。
【0149】
上述したように、本実施形態に示すような手法により、S18〜S20のそれぞれから得られる数値化された結果から少なくとも1つを用いて肌に塗布された化粧料の付着状態の解析することができる。また、化粧料の付着量から化粧の仕上がり具合を高精度に解析することができる。これにより、例えばファンデーション粉末の肌(皮膚)への付着状態を観察し、解析することで、例えば店頭での活用も睨んだ新しい化粧の仕上り評価法を確立することができる。
【0150】
なお、上述した肌に塗布された化粧料の付着状態の解析の他にも、毛穴、しわ、しみ、肌色等のうち少なくとも1つを解析し、それらの解析結果を組み合わせることで、更に被験者に詳細な解析結果と肌へのアドバイス等を行うことができる。
【0151】
<化粧料付着状態解析処理画面例>
次に、本発明における実行プログラム(化粧料付着状態解析プログラム)による化粧料付着状態解析ソフトを用いて化粧料付着状態解析処理を行う場合の画面例について図を用いて説明する。
【0152】
図16は、化粧料付着状態解析処理を行う画面の一例を示す図である。図16に示す化粧料付着状態解析処理画面70は、解析画像指定領域71と、データ保存指定領域72と、実行処理領域73と、画像表示領域74と、解析結果表示領域75とを有するよう構成されている。なお、各領域の配置や大きさ、内容等についてこれに限定されるものではない。
【0153】
解析画像指定領域71は、解析対象画像を、格納先ドライブやフォルダの選択リストから選択し、選択したフォルダ内に格納されている画像群から解析対象画像をチェックマーク等により選択する。なお、解析画像指定領域71には、選択された格納先フォルダ内の画像数(図16では、30)と、選択した解析対象画像数(図16では、2)を表示させてもよい。なお、解析画像指定領域71には、選択された格納先フォルダ内の全画像を選択するためのボタン(All Select)や、選択された全画像の選択解除ボタン(Not Select)を有し、これらのボタンを選択することで、効率的に対象画像の設定や解除を行うことができる。
【0154】
また、データ保存指定領域72は、解析結果値や結果画像の保存先を選択ダイアログで選択し、選択した保存先のフォルダパスを表示する。なお、図16に示すように、データ保存指定領域72には、選択ダイアログを表示させるための表示ボタンが設けられていてもよい。
【0155】
また、実行処理領域73は、選択された画像群の解析を実行する実行ボタンや解析処理を終了(中断)する終了ボタン等を有する。ここで、ユーザは、実行ボタンを押下することにより、解析画像指定領域71にて選択された画像群の解析が順次行われる。
【0156】
また、画像表示領域74は、解析対象画像81と、解析結果画像82とが表示される。ここで、解析結果画像82には、例えば皮溝部分に付着したファンデーション等の化粧料(赤色部分)と、皮丘部分に付着したファンデーション等の化粧料(青色部分)等が表示される。また、各々の色おいて、薄い色の場合はファンデーション等の化粧料が肌等に薄くのっていることを示し、濃い色の場合はファンデーション等の化粧料が肌等に濃くのっていることを示す。
【0157】
なお、解析対象画像81が複数存在する場合は、画像表示領域74に複数の解析対象画像81とその解析結果画像82を解析順に配列して表示させてもよく、また最新の解析対象画像81とその解析結果画像82のみを表示するようにしてもよい。なお、各解析対象画像81と解析結果画像82は、データ保存指定領域72に指定された保存先に所定のデータ形式(例えば、BMP形式、JPEG形式等)で保存される。
【0158】
また、解析結果表示領域75は、解析結果値(付着量,不均一,粗さ)が表示される。なお、各解析対象画像名と解析結果値(付着量,不均一,粗さ)もデータ保存指定領域72に指定された保存先に所定のデータ形式(例えばCSV形式等)で保存される。
【0159】
上述したように、化粧料付着状態解析処理画面70を用いることで、ユーザ等は容易に化粧料付着状態を解析することができる。
【0160】
上述したように、本発明によれば、被験者の肌に塗布された化粧料の付着状態を、付着量、不均一度、及び粗さ度の各パラメータのうち、少なくとも1つを用いて高精度に解析することができる。これにより、化粧料の付着状態を客観的且つ再現性よく評価することができる。また、本発明における解析結果により、製品評価や製品情報の開発に活用することができ、また原料として粉体の評価、開発商品の試作品の評価、他社品の評価、店頭機器ソフトへの応用等へ適用することができる。
【0161】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明における化粧料付着状態解析システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】肌観察装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】撮影手段におけるヘッド部の構成の一例を示す図である。
【図4】化粧料付着状態解析装置の機能構成の一例を示す図である。
【図5】本発明における化粧料付着状態解析が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】本発明における化粧料付着状態解析処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】解析処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】毛抽出処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】毛に該当する部分を抽出するまでの画像の変化を説明するための一例の図である。
【図10】シェーディング処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】キメ抽出画像の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】取得されるキメ抽出画像の一例を示す図である。
【図13】単純3値化処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】単純3値化処理における画像の例を示す図である。
【図15】長さ率を説明するための一例の図である。
【図16】化粧料付着状態解析処理を行う画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0163】
10 化粧料付着状態解析システム
11 肌観察装置
12 化粧料付着状態解析装置
13 通信ネットワーク
21,41 入力手段
22,42 出力手段
23,43 メンバー管理手段
24 撮影手段
25,46 蓄積手段
26,47 送受信手段
27,48 制御手段
30 照明光
31 肌
32 反射光
33 偏光フィルタ
44 解析手段
45 表示画面生成手段
51 入力装置
52 出力装置
53 ドライブ装置
54 補助記憶装置
55 メモリ装置
56 CPU
57 ネットワーク接続装置
58 記録媒体
61 元画像
62 G成分画像
63 毛抽出画像
64 シェーディング処理画像
65 キメ抽出画像
66 各層画像
67 合成画像
68 画像
69 画素集合
70 化粧料付着状態解析処理画面
71 解析画像指定領域
72 データ保存指定領域
73 実行処理領域
74 画像表示領域
75 解析結果表示領域
81 解析対象画像
82 解析結果画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された被験者の所定範囲の肌画像を用いて化粧料の付着状態の解析を行う化粧料付着状態解析方法において、
前記肌画像から前記被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化して前記化粧料の付着状態を解析する解析ステップと、
前記肌画像と、前記解析ステップから得られる解析結果とを、被験者情報と関連付けて蓄積する蓄積ステップとを有することを特徴とする化粧料付着状態解析方法。
【請求項2】
前記解析ステップは、
前記付着量を数値化する際、前記肌画像から3値化画像を取得し、取得した3値化画像全体の画素数と、前記肌画像から抽出される緑色画像の彩度とに基づいて、前記付着量を数値化することを特徴とする請求項1に記載の化粧料付着状態解析方法。
【請求項3】
前記解析ステップは、
前記不均一度を数値化する際、前記肌画像から抽出される緑色画像の階調の標準偏差と、前記肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率とに基づいて、前記不均一度を数値化することを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料付着状態解析方法。
【請求項4】
前記解析ステップは、
前記粗さ度を数値化する際、前記肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、前記化粧料が厚く付着している部分の画素数とに基づいて、粗さ度を数値化することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析方法。
【請求項5】
前記解析ステップは、
前記化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つから化粧の仕上がり具合を解析することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析方法。
【請求項6】
前記肌画像を撮影手段により撮影する撮影ステップを有し、
前記撮影ステップは、前記撮影手段において、照明を前記被験者の肌に照射して得られる反射光を受光する際、偏光フィルタによりフィルタリングすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の化粧料付着解析方法。
【請求項7】
撮影された被験者の所定範囲の肌画像を用いて化粧料の付着状態の解析を行う化粧料付着状態解析装置において、
前記肌画像から前記被験者の肌に塗布された化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つを数値化して前記化粧料の付着状態を解析する解析手段と、
前記肌画像と、前記解析手段から得られる解析結果とを、被験者情報と関連付けて蓄積する蓄積手段とを有することを特徴とする化粧料付着状態解析装置。
【請求項8】
前記解析手段は、
前記付着量を数値化する際、前記肌画像から3値化画像を取得し、取得した3値化画像全体の画素数と、前記肌画像から抽出される緑色画像の彩度とに基づいて、前記付着量を数値化することを特徴とする請求項7に記載の化粧料付着状態解析装置。
【請求項9】
前記解析手段は、
前記不均一度を数値化する際、前記肌画像から抽出される緑色画像の階調の標準偏差と、前記肌画像から得られる3値化画像の皮丘部分の扁平率とに基づいて、前記不均一度を数値化することを特徴とする請求項7又は8に記載の化粧料付着状態解析装置。
【請求項10】
前記解析手段は、
前記粗さ度を数値化する際、前記肌画像から得られる3値化画像全体の画素数と、前記化粧料が厚く付着している部分の画素数とに基づいて、粗さ度を数値化することを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析装置。
【請求項11】
前記解析手段は、
前記化粧料の付着量、不均一度、及び粗さ度のうち、少なくとも1つから化粧の仕上がり具合を解析することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析装置。
【請求項12】
前記肌画像を撮影する撮影手段を有し、
前記撮影手段は、照明を前記被験者の肌に照射して得られる反射光を受光する際、照射光及び反射光の経路上に偏光フィルタを設けることを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の化粧料付着解析装置。
【請求項13】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の化粧料付着状態解析方法を実行させるようにコンピュータを動作させることを特徴とする化粧料付着状態解析プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の化粧料付着状態解析プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図9】
image rotate

【図12】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−245843(P2008−245843A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89739(P2007−89739)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(598167899)株式会社フジミック (7)
【Fターム(参考)】