説明

化粧料容器

【課題】化粧料容器本体の底部に残留する化粧料を最大限使い果たせるようにする。
【解決手段】化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6のなす全体で一つの仮想球面体形状Dの中心Oと、開口部材11の曲面部8a上面のなす仮想球面体形状D’の中心O’とを一致させるとともに、回転軸受部Aにおいてキャップ22の内周面に並設した二本の突条縁25、25よりなる被嵌合部24を、該被嵌合部24を上下方向に等分割する横断面Pが嵌合部6の中心Oを常に通るようにして一体に嵌合させるので、該キャップは化粧料容器本体の開口部に対して離脱することなく円滑にしかも確実に傾動摺動自在且つ回転摺動自在となって、キャップ内に保持される塗布具は化粧料容器本体の底部に対して同様に傾動及び回転自在となり、化粧料容器本体の底部に残る化粧料を使い尽くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばアイブロー、アイライナー、アイシャドー又はリップライナー等の液状、固形状又は半固形状の化粧料を収容する化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記化粧料の化粧料容器は、内部に液状、固形状又は半固形状の化粧料を収容するとともに、一端に筒状の開口部を形成する化粧料容器本体、該化粧料容器本体の開口部に対して脱着自在となるキャップ、及びキャップ内に保持される塗布具から構成される。そして、塗布具を一体に保持するキャップと容器本体の開口部とは、該化粧料容器本体の開口部の外周面及びキャップの内周面に周設される雄ネジ部と雌ネジ部との螺合により脱着自在としてなるものである。
【0003】
そのため、上記従来の化粧料容器において、化粧料容器本体内に収容する化粧料の残量が少なくなった場合、化粧料容器本体の開口部とキャップの内周面との螺合を解いた上で、該キャップ内に保持される塗布具を化粧料容器本体内に挿入したままで底部に対して傾動および回転させることで、該塗布具の軸部に具える塗布体によって化粧料を掻き取るものである。
ところが、化粧料容器本体の筒状の開口部とキャップの内周面との螺合を解くことから、化粧料容器本体内に挿入することができる塗布具の長さは、化粧料容器本体の開口部とキャップとの間で螺合するネジの長さだけ短くなる。即ち、キャップに一体に保持される塗布具を化粧料容器本体内に挿入して化粧料容器本体の底部に対して傾動および回転させても、該塗布具の軸部先端に具える塗布体は化粧料容器本体の底部まで十分に到達し得ないので、多くの化粧料が残留してしまうものとなる。
何より、化粧料が固形状又は半固形状の場合、化粧料容器本体内の周辺部分に残存する化粧料を掻き取るために、キャップ内に保持される塗布具を化粧料容器本体内に挿入して底部に対して傾動させようとしても、キャップの内周面が開口部の外周面に当接して、その傾動角度は極僅かとなってしまい、化粧料容器本体内の周辺部分に残存する化粧料は殆ど掻き取ることが不可能であった。
【0004】
また、その際、化粧料容器本体の開口部とキャップの内周面との螺合が解除されていることから、化粧料容器本体の内部の気密性は保たれないこととなる。そのため、収容する化粧料が液状化粧料である場合等には、塗布具の塗布体に残り少なくなった化粧料を付着させようとして化粧料容器本体を傾けると、該化粧料が傾けた化粧料容器本体の開口部から外部に漏出し、外部を汚損してしまうおそれがある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−155629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、外部を汚損しないように化粧料容器本体内の気密性を維持しつつ、該化粧料容器本体の底部に残留する化粧料を最後まで無駄なく使い尽くすことができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、第1の特徴としては、内部に化粧料を収容するとともに、一端に筒状の開口部を形成する化粧料容器本体、円筒状の内周面を有して、該化粧料容器本体の開口部に対して脱着自在に保持されるキャップ、及びキャップ内に保持され、基部と一体となる軸部の先端に塗布体を具える塗布具から構成され、
該化粧料容器本体の開口部の外周面に、他の開口部部分よりも大なる直径とする全体で一つの仮想球面体形状となる嵌合部を配設するとともに、該開口部の上端縁に、中央に挿入孔を穿設する摺動受け部を配設し、
該キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁に、弾性を有する当接体を軸部とともに配設するものであって、
該化粧料容器本体の開口部の嵌合部に対してキャップの内周面が当接して、着脱自在であって、且つ互いに傾動摺動および回転摺動自在となる回転軸受部を形成するとともに、
該化粧料容器本体の開口部の上端縁の摺動受け部と、キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁に設けられる当接体とが当接自在であって、且つ互いに密着しつつ傾動摺動および回転摺動自在となる気密摺動部を形成することで、
化粧料容器本体の開口部に対してキャップを傾動摺動自在且つ回転摺動自在に保持するものである。
【0008】
そのため、キャップを粧料容器本体の開口部に対して傾動摺動および回転摺動させても、必要に応じて弾性を有する当接体が変形することで摺動受け部に対して常に密着することから、該化粧料容器本体内の気密性は少なくとも気密摺動部により維持されるものとなる。そして、キャップは回転軸受部及び気密摺動部により化粧料容器本体の開口部に対して傾動摺動および回転摺動自在となっている上、嵌合部が他の開口部部分よりも大なる直径の、全体で一つの仮想球面体形状に形成されていることから、キャップの内周面が嵌合部を除く開口部の外周面に当接することなく、キャップを開口部に対して大きく傾動させることができ、該キャップ内に保持される塗布具はキャップの傾動および回転に合わせて化粧料容器本体の底部に対して傾動および回転するものとなる。その結果、キャップによって化粧料容器本体の開口部を閉塞して気密性を維持したままで、傾動自在且つ回転自在とすることができるので、化粧料容器本体内の底部に残留している化粧料を塗布具の先端に具える塗布体によって掻き取ることができる。
すなわち、回転軸受部によるキャップの開口部に対する傾動摺動によって、気密摺動部を形成する摺動受け部と当接体との密着が不完全になろうとしても、当接体の有する弾性によって当接体自体が順次変形することで、気密摺動部は気密性を確保しつつ傾動摺動及び回転摺動自在となる。
ところで、摺動受け部及び当接体より構成される気密摺動部においては、例えば後述する第3の特徴とされる構成とは逆に、摺動受け部の上面を上方へ向かって1個の球面凹面形状とし、一方当接体の下端面を下方へ向かって1個の球面凸面形状とするもの等相互に密着しつつ傾動摺動及び回転摺動自在となって、それら摺動運動中も常に気密性を確保しうる構成であればよい。
なお、開口部の外周面に設けられた嵌合部に対してキャップの内周面が当接して回転軸受部を形成していることから、キャップが開口部に対して傾動摺動及び回転摺動しても、キャップの内周面は常に嵌合部に当接することとなり、この部分においても気密性を確保するものとなる。
【0009】
次に、第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、該キャップの内周面に、化粧料容器本体の開口部の外周面に配設される嵌合部の表面と摺動自在に嵌合する被嵌合部を配設し、該化粧料容器本体の開口部の嵌合部とキャップの被嵌合部とが、被嵌合部を上下方向に対して等分割する横断面が嵌合部の仮想球面体形状の中心を常に通るように一体に嵌合して、着脱自在であって、且つ互いに傾動摺動および回転摺動自在となる回転軸受部を形成してなるものである。
【0010】
そのため、回転軸受部における開口部の嵌合部とキャップの被嵌合部との嵌合において、被嵌合部は嵌合部から離脱することなく嵌合した状態で円滑且つ確実に傾動摺動および回転摺動自在となるものである。
【0011】
そして、第1の特徴あるいは第1及び第2の特徴を踏まえて、第3の特徴として、開口部上端縁に設けられる摺動受け部の上面を、上方へ向かって1個の球面凸面形状としてなるものとするとともに、キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁において、その中心に軸部を配設した上、その周囲に配設する当接体の下端面を、上方へ向かって1個の球面凹面形状として気密摺動部を形成してなるものである。
【0012】
このように気密摺動部を形成する摺動受け部と当接体とが、その当接面においてそれぞれ、上方へ向かう1個の球面凸面形状と、同じく上方へ向かう1個の球面凹面形状となっているため、化粧料容器本体の開口部に対してキャップを傾動摺動および回転摺動させても、該当接体が摺動受け部の上面に合わせて必要に応じて弾性をもって変形して密着することで確実に気密性を確保できるものとなる。
【0013】
更に、第3の特徴を踏まえて、第4の特徴として、化粧料容器本体の開口部の外周面に配設される嵌合部のなす全体で一つの仮想球面体形状の中心と、化粧料容器本体の開口部の上端縁において、上方へ向かって1個の球面凸面形状としてなる摺動受け部の上面のなす全体で一つの仮想球面体形状の中心とを一致させてなるものである。
【0014】
そのため、開口部の嵌合部の外周面と、気密摺動部をなす摺動受け部の上方へ向かって1個の球面凸面形状となる上面とは同心球状に位置するものとなるので、開口部の嵌合部に対するキャップの傾動摺動及び回転摺動に合わせて、摺動受け部に当接する当接体は円滑に傾動摺動及び回転摺動自在となるものである。そしてその際、当接体が弾性を有していることからキャップを開口部に装着させた際、更には摺動運動に際しての気密性の確保は万全となる。
【0015】
その上、第1の特徴乃至第4の特徴を踏まえて、第5の特徴として、キャップ内において保持される塗布具を、化粧料容器本体の軸方向に上下動自在に弾性体により保持するとともに、化粧料容器本体の嵌合部に嵌合したキャップを、開口部に対し更に深く嵌入自在とした上、該深く嵌入させたに、開口部に対するキャップの傾動摺動を不能とする連結手段を、キャップの開口端縁近傍と化粧料容器本体の嵌合部より下部の位置とに配設してなるものである。
【0016】
これにより、キャップをした状態での化粧料容器の全長を短くすることができ、携帯性を向上させることができる。
【0017】
そして、キャップを開口部に対して深く嵌合させた状態から、キャップの被嵌合部が化粧料容器本体の嵌合部と嵌合する位置に引張され、あるいはキャップの内周面が該嵌合部に当接した状態で一定程度引張されても、キャップ内に保持された塗布具は、弾性体によって下方へ弾撥されて移動することから、そのキャップの引張による、化粧料容器本体内における塗布具の位置の相対的上昇を防止することができ、塗布具によってより確実に化粧料容器本体内の残化粧料を掻き取ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明は、化粧料容器を構成するキャップが化粧料容器本体の開口部に対して保持されたまま傾動摺動可能および回転摺動可能となるものである。そのため、該キャップを回転させている時に不用意に化粧料容器を傾動させても、外部に化粧料を漏出させることがなく、しかもキャップが化粧料容器本体に保持された状態で塗布具を化粧料容器本体内で傾動あるいは回転させることができるので、該塗布具先端に具える塗布体は化粧料容器本体の底部に残った化粧料を効率よく、最後まで使い尽くすことができる優れた効果を有する。
【実施例1】
【0019】
図1乃至図4に示す1は、本願発明の実施例1における液状化粧料容器であり、径大であってその内部に液状化粧料3を貯溜する貯溜部2aと、段部2bを介してその上部に径小となる開口部4を形成する化粧料容器本体2、該化粧料容器本体2の開口部4に対して脱着自在に保持されるキャップ22、及び該キャップ22内に保持される塗布具34から構成される。(ここで、以下実施例1乃至4では、キャップ22方向を「上」、「上方」又は「上部」、化粧料容器本体2方向を「下」、「下方」又は「下部」という。)
【0020】
まず該化粧料容器本体2は、内部と連通する連通孔5を有する開口部4において、その外周面に全体で一つの仮想球面体形状Dとなる嵌合部6が形成されている。そして、挿入孔7を上下方向に貫通して設けた略円筒形状であって、該挿入孔7内には内方へ突出するしごき9が設けられるとともに、上端部は摺動受け部8となる、上方へ向かって1個の球面凸面形状となる上面を有する曲面部8aと、その下方に設けられた受け部8bとからなり、更に、下端縁近傍には化粧料容器本体2内に係止する為に外方へ突設される係止突縁10が一体に形成される開口部材11が、前記連通孔5内に挿入され、その受け部8bが開口部4の上端縁に係合して、化粧料容器本体2に一体に保持されている。
【0021】
また、該キャップ22は、下端を開口する略円筒形状であって、その内周面23において、開口側から順に、該内周面に渡り並設される二本の突条縁25、25から形成される被嵌合部24、係止段縁26及びローレット27が設けられている。そして、被嵌合部24は前記化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対して着脱自在であるとともに傾動摺動及び回転摺動自在(以下、実施例1乃至4では、「傾動」とは、キャップ周面上の対向する任意の2点が化粧料容器本体の軸と平行な面上にあるように傾けて動かすことであり、「回転」とは、同様にキャップ周面上の対向する任意の2点が化粧料容器本体の軸と直交する面上にあるように動かすことである。それ故、「傾動摺動及び回転摺動自在」とは、傾動摺動と回転摺動との複合した動きも含むものである。)に嵌合して、回転軸受部Aを形成している。なお、この回転軸受部Aを形成する嵌合部6と被嵌合部24との嵌合は、気密性を有しているものである。係止段縁26は後述する塗布具34の基部35の抜出を防止するため、該基部35の外周面に沿って形成される係止突縁38と係合し、又、ローレット27は塗布具34の独自回転防止のために、該塗布具34の基部35の外周面に形成されるローレット42と噛合している。
【0022】
ところで、上記化粧料容器本体2の開口部4に形成される仮想球面体形状Dとなる嵌合部6と、キャップ22の被嵌合部24とは傾動摺動及び回転摺動自在に嵌合されるものであって、その嵌合を確実且つ傾動摺動及び回転摺動自在とするために、以下のような構成となっている。すなわち、嵌合部6と被嵌合部24とが嵌合した状態にあっては、被嵌合部24が嵌合部6に対して傾動摺動及び回転摺動されても、被嵌合部24を形成する並設された2本の突条縁25、25がそれぞれ形成する各面の離間距離の中間に位置する横断面Pは、嵌合部6の仮想球面体形状Dの中心Oを常に通るように配置されるものである(図3参照、以下実施例2乃至4においても同様である)。このように配置されることによって、キャップ22が開口部4に対して傾動摺動及び回転摺動されても、該被嵌合部24と嵌合部6間の気密性は確実に保持されるものとなる。
【0023】
そして、該塗布具34は、上端を開口する略円筒形状の基部35、該基部35に一体に形成される軸部36、及び該軸部36の先端に具えるスパチュラー状の塗布体37からなるものである。そして基部35の外周面には、キャップ22の内周面に配設される前記ローレット27と噛合するローレット42が配設されるとともに、その下方には、キャップ22の内周面の前記係止段縁26と係合する係止突縁38が形成される。更に、化粧料容器本体2の開口部4上端縁に一体に保持される開口部材11の曲面部8aと傾動摺動及び回転摺動自在に密着するように、基部35の下端縁の軸部36周りには、下端面を上方へ向かって1個の球面凹面形状とするとともに、該球面凹面形状内に下方に突出する突条縁40を周回して設けてなるパッキン39が当接体として配設されている。その上で、パッキン39の下端面と傾動摺動及び回転摺動自在に密着する開口部材11の曲面部8a上面のなす仮想球面体形状D’の中心O’と、上記開口部4の嵌合部6のなす仮想球面体形状Dの中心Oとを一致させてなるものである。尚、この当接体たるパッキン39に突条縁40を設けるのは、後述するように曲面部8aとパッキン39とにより形成された気密摺動部Bにおいては、傾動摺動及び回転摺動自在に密着する必要があることから、この摺動性と密着性(すなわち気密性)との両性能をバランスよく保持するために設けられているものであって、素材等によりそのバランスがとれるならば、突条縁40は無くともよい。
【0024】
そこで、上記液状化粧料容器1において化粧料容器本体2とキャップ22とは次のようにして一体となり、且つキャップ22が化粧料容器本体2の開口部4に対して傾動摺動及び回転摺動自在となるものである。
即ち、キャップ22の内周面の被嵌合部24は化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対して一体に嵌合し、互いに傾動摺動及び回転摺動自在となる回転軸受部Aを形成する。また化粧料容器本体2の開口部4上端縁に一体となる曲面部8aと、キャップ22内に保持される塗布具34の基部35の下端縁に配設されるパッキン39とは、曲面部8a上面が上方に向かって1個の球面凸面形状となるとともに、パッキン39の下端面が上方に向かって1個の球面凹面形状となることから、互いに傾動摺動及び回転摺動自在に密着する気密摺動部Bを形成する。そして、気密摺動部Bを形成する曲面部8aの上面のなす仮想球面体形状D’の中心O’と、開口部4の嵌合部6のなす仮想球面体形状Dの中心Oとは一致しているので、両者は同心球状の位置関係となるものである。その結果、化粧料容器本体2の開口部4とキャップ22は、上記回転軸受部A及び気密摺動部Bにより、一体となったままで、該化粧料容器本体2内の気密性を確保しつつ円滑にしかも確実に傾動摺動及び回転摺動自在となる。その際、回転軸受部Aを形成する嵌合部6は全体で一つの仮想球面体形状Dとなって、該仮想球面体形状Dの直径は、開口部4における該嵌合部6以外の部分の直径よりも大きく設定されていることから、傾動摺動によっても、開口部4の嵌合部6以外の部分にキャップ22の内周面が当接することなく、該傾動摺動が阻害されることがない。
このように、化粧料容器本体2の開口部4に対して保持されるキャップ22が、該開口部4に対して傾動摺動及び回転摺動自在となることで、該キャップ22に一体に保持される塗布具34の先端にある塗布体37は、化粧料容器本体2の底部12において傾動および回転自在となるものである。
【0025】
本願発明の実施例1の液状化粧料容器1は以上の構成を具えるので、使用者は次のようにして使用に供するものである。
まず、上記液状化粧料容器1を使用する場合、化粧料容器本体2の開口部4に保持されているキャップ22を引張することによって、回転軸受部Aにおける化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6と、キャップ22の内周面の被嵌合部24との嵌合を外す。そして更に該キャップ22を引張すると、化粧料容器本体2の開口部4に保持された開口部材11の挿入孔7より塗布具34を引き抜くことができる。その際、該開口部材11の挿入孔7内に突設するしごき9が、塗布具34の軸部36から先端の塗布体37に至るまで密着して、過剰に付着した液状化粧料3を扱き落とすものである。その結果、使用者は塗布体37に適量の液状化粧料3を付着させた塗布具34によって化粧を行うことができるものとなる。
ところで、キャップ22を引張して、化粧料容器本体2の開口部4に保持された開口部材11の挿入孔7より塗布具34を引き抜く際、前述のように塗布具34は開口部材11に突設して設けられたしごき9を通過することとなり、その通過に伴って開口部材11が塗布具34とともに持ち上げられても、係止突起10が化粧料容器本体2の段部2bに係合して、開口部材11の開口部4からの抜け落ちを防止する。
【0026】
また使用後は、塗布具34の塗布体37及び軸部36を化粧料容器本体2の開口部4に設けられた開口部材11の挿入孔7内に挿入し、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の被嵌合部24とを嵌合させる。その結果、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対してキャップ22の被嵌合部24とが嵌合して回転軸受部Aを形成し、また化粧料容器本体2の開口部4に設けられた開口部材11の曲面部8aとキャップ22内の塗布具34の基部35に配設されるパッキン39とが密着して気密摺動部Bを形成して一体となるものである。
【0027】
そして、化粧料容器本体2内の液状化粧料3が少なくなった場合は、化粧料容器本体2の開口部4に対してキャップ22を一体に保持したままで、該キャップ22を傾動および回転させる。即ち、化粧料容器本体2とキャップ22との間では、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の被嵌合部24とが嵌合して傾動摺動及び回転摺動自在の回転軸受部Aを形成するとともに、化粧料容器本体2の開口部4の上端縁に設けられた開口部材11の曲面部8aと、キャップ22内に保持される塗布具34の基部35に配設されるパッキン39とが密着して傾動摺動及び回転摺動自在の気密摺動部Bを形成している。特に、前記開口部4の嵌合部6のなす仮想球面体形状Dの中心Oと、開口部材11の曲面部8a上面のなす仮想球面体形状D’の中心O’は一致しているため、該嵌合部6と開口部材11の曲面部8a上面とは同心球状の位置関係となり、開口部4の嵌合部6に対するキャップ22の被嵌合部24の傾動摺動及び回転摺動に合わせて、開口部材11の曲面部8aに対してパッキン39は円滑にしかも確実に傾動摺動及び回転摺動するものとなる。そのため、該キャップ22を開口部4に対して傾動させつつ回転させると、該回転軸受部A及び気密摺動部Bにより気密性を確保しながら円滑にしかも確実に傾動且つ回転する。その結果、該キャップ22に保持される塗布具34はキャップ22に合わせて化粧料容器本体2の底部12に対して傾動並びに回転して、塗布具34先端の塗布体37によって化粧料容器本体2の底部12に残る液状化粧料3を掻き取ることができる(図4参照)。
このように、実施例1の液状化粧料容器1においては、最も簡易な構成で且つ少ない部品点数で、化粧料容器本体2の底部12に残る液状化粧料3を掻き取るために、キャップ22を化粧料容器本体2に対して気密性を保持したままで傾動摺動及び回転摺動自在として、塗布具34を傾動及び回転させることができるようになる。
【実施例2】
【0028】
図5及び図6に示す1は、本願発明の実施例2における液状化粧料容器であり、その内部に液状化粧料3を貯溜するとともに、上端に開口部4を形成する化粧料容器本体2、該化粧料容器本体2の開口部4に対して脱着自在に保持されるキャップ22、及びキャップ22内において上下方向に昇降自在に保持される塗布具34から構成される。そして、実施例2の液状化粧料容器1における実施例1の液状化粧料容器1に対する大きな相違点は、実施例2の液状化粧料容器1が、化粧料容器本体2の開口部4とキャップ22とを傾動摺動不能となるよう一体に連結する連結手段Cを具えている点である(以下、実施例3及び4も同様である)。
【0029】
実施例2における化粧料容器本体2は、下端を閉塞する略円筒形状であって、その内部に液状化粧料3を貯溜する貯溜部13と、組み付けることにより該貯溜部13と一体となる蓋部15及び開口部材11とからなるものである。先ず、該蓋部15は、上部を細径の開口部4とするとともに下部を大径の組付部15aとして、その全体を上下方向に貫通する連通孔5が設けられている。該開口部4の外周面には、前記実施例1の場合と同様に、全体で一つの仮想球面体形状Dとなる嵌合部6が形成されるとともに、該嵌合部6の下方には、後述するキャップ22の内周下端を嵌合させるために外方へ突出した周段部14が設けられている。一方、組付部15aの上部には、前記貯溜部13を形成する壁の厚さに対応して外方へ突出する受け段部15bが形成されるとともに、下端部は外径のみを細径とした細径部15cが形成されている。次に、開口部材11は、挿入孔7を上下方向に貫通して設けた、上部を細径且つ下部側へ向けて徐々に大径となる略円筒形状、下部を大径の略円筒形状とし、該挿入孔7内の上部には、実施例1と同様に内方へ突出するしごき9が設けられるとともに、上端部には、実施例1と同様に上方へ向かって1個の球面凸面形状となる上面を有する曲面部8aと、その下方に受け部8bが設けられ、更に、下端部には、前記蓋部15下端の細径部15cを挟持する断面U字形状の挟持縁16が形成される。そして、該開口部材11が、前記連通孔5内に挿入され、開口部材11の受け部8bが蓋部15の開口部4の上端縁に係合して、該開口部材11も蓋部15を介して貯溜部13に一体に保持されている。
【0030】
また、キャップ22は、下端を開口する略円筒形状であって、その内周面23において、開口側から順に、該内周面に渡り並設される三本の突条縁25、25、25、係止段縁26及びローレット27が設けられている。この三本の突条縁25、25、25の内、下側の二本の突条縁25、25によって被嵌合部24が形成されるとともに、上側の二本の突条縁25、25によって固定部28が形成されている。そしてキャップ22を化粧料容器本体2の蓋部15に対して深く押し込むことにより、該固定部28が前記開口部4の嵌合部6に対して嵌合するとともに、キャップ22内周面下端が蓋部15の開口部4に設けられた前記周段部14と係合することにより、上記連結手段Cが構成される。尚、該固定部28と嵌合部6との嵌合においても、気密性を有している。又、被嵌合部24は実施例1の場合と同様に、前記化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対して着脱自在であるとともに傾動摺動及び回転摺動自在に嵌合する。係止段縁26は後述する塗布具34の基部35の抜出を防止するため、該基部35の外周面に沿って形成される係止突縁38と係合し、又、ローレット27は塗布具34の独自回転防止のために、該塗布具34の基部35の外周面に形成されるローレット42と噛合している。なお、後述するように塗布具34の基部35は、キャップ22に対してスプリング41を介装して、キャップ22内を上下方向に摺動自在に内装されていることから、前記係止段縁26と係止突縁38とは、キャップ22の内周面23に設けられた被嵌合部24が開口部4の嵌合部6に嵌合した状態で係合するよう位置決めされている。
【0031】
ところで、上記化粧料容器本体2の開口部4に形成される仮想球面体形状Dとなる嵌合部6と、キャップ22の下側2本の突条縁25、25で構成される被嵌合部24とは傾動摺動及び回転摺動自在に嵌合されるものであって、その嵌合を確実且つ傾動摺動及び回転摺動自在とするために、実施例1の場合と同様に以下のような構成となっている。すなわち、嵌合部6と被嵌合部24とが嵌合した状態にあっては、被嵌合部24が嵌合部6に対して傾動摺動及び回転摺動されても、被嵌合部24を形成する並設された2本の突条縁25、25がそれぞれ形成する各面の離間距離の中間に位置する横断面Pは、嵌合部6の仮想球面体形状Dの中心Oを常に通るように配置されるものである。
【0032】
そして、該塗布具34は、上端を開口する略円筒形状の基部35、該基部35に一体に形成される軸部36、及び該軸部36の先端に具えるエストラマーや植毛のチップの塗布体37からなるものである。基部35の外周面には、キャップ22の内周面に配設される前記ローレット27と噛合するローレット42が配設されるとともに、その下方には、キャップ22の内周面の前記係止段縁26と係合する係止突縁38が形成される。更に化粧料容器本体2の開口部4上端縁に一体に保持される開口部材11の曲面部8aと傾動摺動及び回転摺動自在に密着するように、基部35の下端縁の軸部36周りには、下端を上方へ向かって1個の球面凹面形状とするとともに、該球面凹面形状内に下方に突出する突条縁40を周回して設けてなるパッキン39が当接体として配設されている。その上で、実施例1と同様に、開口部材11の曲面部8a上面のなす仮想球面体形状D’の中心O’と、上記開口部4の嵌合部6のなす仮想球面体形状Dの中心Oとを一致させるものである。そして、該基部35はキャップ22に対して上下方向に摺動自在となるよう、キャップ22の内底部との間にはスプリング41が介装されている。
【0033】
上記液状化粧料容器1における化粧料容器本体2とキャップ22とは、実施例1の液状化粧料容器1とは異なり、キャップ22を化粧料容器本体2に対して傾動摺動及び回転摺動自在とすることも、又、傾動摺動を不能として回転摺動のみを可能とすることもできる。
即ち、実施例1の場合と同様に、キャップ22の内周面に設けられた下側2本の突条縁25、25によって形成される被嵌合部24と、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とを嵌合させることによって、互いに傾動摺動及び回転摺動自在となる回転軸受部Aが形成され、また化粧料容器本体2の開口部4上端縁に一体となる曲面部8aと、キャップ22内に保持される塗布具34の基部35の下端縁に配設されるパッキン39とが、互いに傾動摺動及び回転摺動自在に密着する気密摺動部Bを形成する。そのため、開口部4の嵌合部6及び曲面部8a上面のなす各々の仮想球面体形状D、D’の中心O、O’は同心球状の位置関係となり、嵌合部6に対する被嵌合部24の傾動摺動及び回転摺動に合わせて、曲面部8aに対してパッキン39は傾動摺動及び回転摺動自在となる。従って、化粧料容器本体2の開口部4とキャップ22は一体となったままで、該化粧料容器本体2内の気密性を確保しつつ傾動摺動及び回転摺動自在となる。
このように、化粧料容器本体2の開口部4に対して保持されるキャップ22が、該開口部4に対して傾動自在且つ回転自在となることで、該キャップ22に一体に保持される塗布具34の先端にある塗布体37は、化粧料容器本体2の底部12において傾動及び回転自在となるものである。
【0034】
一方、キャップ22を化粧料容器本体2の開口部4に対して深く押し込むことにより、キャップ22の内周面に設けられた上側2本の突条縁25、25によって形成される固定部28を化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対して嵌合させると、同時に該キャップ22の内周面下端は、蓋部15の開口部4下部に形成された周段部14に嵌合する。即ち、キャップ22を開口部4に対して傾動をさせようとしても、キャップ22の内周面下端が周段部14と当接していることから、その傾動が防止されることとなる。
以上の次第で、化粧料容器本体2内部の気密性は、気密摺動部B並びに固定部28と嵌合部6との嵌合によって保持されるとともに、キャップ22の開口部4に対する傾動は、キャップ22の内周面下端の周段部14への当接によって防止されることとなる。
【0035】
本願発明の実施例2の液状化粧料容器1は以上の構成を具えるので、使用者は次のようにして使用に供するものである。
なお、使用しようとする上記液状化粧料容器1は、キャップ22と化粧料容器本体2の開口部4とが互いに傾動不能であるように上述の連結手段Cにより連結されている。即ち、キャップ22の内周面の固定部28と化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とが嵌合するとともに、該キャップ22の内周面下端と化粧料容器本体2の開口部4の周段部14とが嵌合している。
【0036】
まず、上記液状化粧料容器1を使用する場合、化粧料容器本体2の開口部4に保持されているキャップ22を引張すると、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の内周面23の固定部28との嵌合が外れ、該嵌合部6は被嵌合部24との嵌合へ移行する一方、キャップ22の内周面下端と化粧料容器本体2の開口部4の周段部14との嵌合が外れる。このときキャップ22の係止段縁26と、塗布具34の基部35に設けられた係止突縁38とが係合していないことから、塗布具34の基部35の化粧料容器本体2に対する位置は変化しない。すなわち、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の被嵌合部24とが嵌合する位置までキャップ22を引張しても、キャップ22内に内装されたスプリング41の弾撥力によって塗布具34の基部35が下方へ押勢されることから、キャップ22が塗布具34の基部35に対して、スプリング41を伸長させつつ摺動して行くだけで、その引張に伴って塗布具34が化粧料容器本体2内を上方へ移動することはない。
そして更にキャップ22を引張すると、キャップ22の係止段縁26と、塗布具34の基部35に設けられた係止突縁38とが係合することから、実施例1と同様に、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の内周面の被嵌合部24との嵌合が外れるとともに、キャップ22内に保持された塗布具34を挿入孔7から引き抜くことができるようになる。このとき該塗布具34は、化粧料容器本体2の開口部4の連通孔5内に保持される開口部材11の挿入孔7内に形成されるしごき9により、過剰に付着した液状化粧料3が扱き落され、使用者は塗布体37に適量の液状化粧料3を付着させた塗布具34によって塗布することができるものとなる。尚、実施例1の場合と同様に、キャップ22を引張して、化粧料容器本体2の開口部4に保持された開口部材11の挿入孔7より塗布具34を引き抜く際、塗布具34は開口部材11に突設して設けられたしごき9を通過することとなり、その通過に伴って開口部材11が塗布具34とともに持ち上げられようとしても、開口部材11の挟持縁16が蓋部15の最下端たる細径部15cを下側から挟持している上、その蓋部15自体は受け段部15bにおいて貯溜部13に一体として固定されていることから、蓋部15の開口部4から抜け落ちることはない。
【0037】
また使用後は、塗布具34の塗布体37及び軸部36を化粧料容器本体2の開口部4の挿入孔7内に挿入しながら、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の固定部28とを嵌合させる。このとき同時に、キャップ22の内周面下端と化粧料容器本体2の開口部4の周段部14とが嵌合する。なお、塗布具34は、その当接体としてのパッキン39が化粧料容器本体2の開口部4と一体となる開口部材11の曲面部8aに当接すると、それ以上は下方へ移動できないことから、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6にキャップ22の固定部28を嵌合させるために、キャップ22を化粧料容器本体2の開口部4へ深く押し込むに従い、キャップ22との間に介装されたスプリング41を圧縮して、キャップ22内における相対的位置が上昇することとなる。このように、キャップ22と化粧料容器本体2とは、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6に対してキャップ22の固定部28とが気密性をもって嵌合するとともに、キャップ22の内周面下端と化粧料容器本体2の開口部4の周段部14も気密性をもって嵌合し、また、化粧料容器本体2の開口部4に設けられた開口部材11の曲面部8aと、キャップ22内の塗布具34の基部35に配設されるパッキン39とが密着して気密摺動部Bを形成して一体となるものである。
【0038】
そして、化粧料容器本体2内の液状化粧料3が少なくなった場合は、先ず、キャップ22を引張して、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の固定部28との嵌合、及びキャップ22の内周面下端と化粧料容器本体2の開口部4の周段部14との嵌合を解除して、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の被嵌合部24とを嵌合させる。これにより、実施例1と同様に、化粧料容器本体2の開口部4に対してキャップ22を保持したままで、該キャップ22を傾動摺動及び回転摺動自在とすることができる。即ち、前述したように、この位置までキャップ22を引張しても、キャップ22の係止段縁26と、塗布具34の基部35に設けられた係止突縁38とが係合しておらず、しかもキャップ22内に内装されたスプリング41の弾撥力によって塗布具34の基部35が下方へ押勢されることから、キャップ22が塗布具34の基部35に対して摺動して行くだけで、塗布具34が化粧料容器本体2内を上方へ移動することはなく、化粧料容器本体2の開口部4上端縁に一体となる曲面部8aと、キャップ22内に保持される塗布具34の基部35の下端縁に配設されるパッキン39とで構成される気密摺動部Bは依然として維持されることとなる。また同時に、化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6とキャップ22の被嵌合部24との嵌合によって、傾動摺動及び回転摺動自在の回転軸受部Aが形成されているので、キャップ22を開口部4に対して気密性を確保しながら傾動摺動及び回転摺動させることができる。その結果、該キャップ22に保持される塗布具34はキャップ22に合わせて化粧料容器本体2の底部12に対して傾動及び回転して、塗布具34先端の塗布体37によって化粧料容器本体2の底部12に残る液状化粧料3を掻き取ることができる。尚、この時、蓋部15の下部を大径の組付部15aとした上、その内側に挿入される開口部材11もその下部を大径の略円筒形状とすることによって、貯溜部13内における蓋部15及び開口部材11の下方への長さにかかわらず、塗布具34の前記液状化粧料3の掻き取り操作の妨害となることがない(このことは、実施例3及び4においても同様である。)。
【実施例3】
【0039】
図7及び図8に示す1は、本願発明の実施例3における液状化粧料容器であり、化粧料容器本体2の構成において実施例2の化粧料容器本体2と異なるところは、第1に、実施例2の化粧料容器本体2においては、蓋部15上部の開口部4において、嵌合部6の下方に周段部14が設けられているものの、それは単にキャップ22の内周面下端と嵌合するために外方へ突出するだけのものであったのに対し、実施例3の化粧料容器本体2においては、該周段部14の外周面に、キャップ22の内周面下端に設けられた雌ネジ部29と螺合する雄ネジ部17が周設されている点である。そして、この化粧料容器本体2の周段部14の外周面に設けられた雄ネジ部17と、キャップ22の内周面下端に設けられた雌ネジ部29との螺合によって、化粧料容器本体2とキャップ22とが傾動不能且つ回転不能(但し、後述するように、周段部14に設けられた雄ネジ部17とキャップ22の雌ネジ部29との螺合を解除する方向への回転は可能)となって一体に連結される連結手段C’を形成している。第2に、前記周段部14に設けられた雄ネジ部17に対応して、実施例3におけるキャップ22の内周面下端には、雌ネジ部29が形成されている点である。第3に、実施例2におけるキャップ22が、その内周面に渡り並設される3本の突条縁25、25、25を2本ずつ組にすることによって被嵌合部24及び固定部28を形成しているのに対し、実施例3におけるキャップ22においては、実施例1の場合と同様に、2本の突条縁25、25によって被嵌合部24を形成しているだけの点である。
【0040】
本願発明の実施例3の液状化粧料容器1は以上の構成を具えるので、使用者が使用に供する場合、以下の点で実施例2の液状化粧料容器1と異なるだけで、その他の点においては実施例2の液状化粧料容器1と同一となるので、同一の点については省略する。
先ず、使用しようとする上記液状化粧料容器1は、キャップ22と化粧料容器本体2の開口部4とが互いに傾動不能且つ回転不能(但し、後述するように、周段部14に設けられた雄ネジ部17とキャップ22の雌ネジ部29との螺合を解除する方向への回転は可能)であるように、上述の連結手段C’により連結されている。即ち、化粧料容器本体2の周段部14の外周面に設けられた雄ネジ部17と、キャップ22の内周面下端に設けられた雌ネジ部29との螺合によって、キャップ22はその雌ネジ部29と雄ネジ部17との螺合を解除する方向への回転を除き、化粧料容器本体2の開口部4に対して、気密性を保持して傾動不能且つ回転不能となっている。
【0041】
次に、キャップ22を回して前記雄ネジ部17と雌ネジ部29との螺合を解除した上、キャップ22を引張して、キャップ22内周面の被嵌合部24と蓋部15の嵌合部6とを嵌合させることにより、実施例2と同様に、キャップ22の下端部が蓋部15の外面に当接することなく、回転軸受部A並びに気密摺動部Bによって、キャップ22を開口部4に対して気密性を確保しながら傾動摺動及び回転摺動自在とすることができる。
【0042】
更に、使用後においては、キャップ22を化粧料容器本体2に開口部4に深く押し込むことで、キャップ22の内周面の被嵌合部24が化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6と嵌合する位置よりも深く押し込まれ、キャップ22の内周面下端の雌ネジ部29と蓋部15の周段部14に設けられた雄ネジ部17とを螺合させることで、もとの状態に戻ることとなる。
【実施例4】
【0043】
図9及び図10に示す1は、本願発明の実施例4における液状化粧料容器であり、化粧料容器本体2の構成において実施例3の化粧料容器本体2と異なるところは、実施例3の化粧料容器本体2においては、化粧料容器本体2の周段部14の外周面に設けられた雄ネジ部17と、キャップ22の内周面下端に設けられた雌ネジ部29との螺合によって、化粧料容器本体2とキャップ22とを傾動不能且つ回転不能として一体に連結する連結手段C’が設けられていたのに対し、実施例4においては、その螺合に代えて、ラチェット歯の噛合を利用した連結手段C”を具えていることである。すなわち、化粧料容器本体2を形成する周段部14には、後述するキャップ22の内周面下端に設けられるラチェット歯31に噛合する、傾斜面20と垂直面21とからなる被ラチェット歯19が周回して設けられ、更にその下方には外方へ突出する係止突縁18が周回して設けられる。一方、キャップ22の内周面最下端には、前記周段部14の係止突縁18と個別回転可能に嵌合する係止凹縁30が設けられ、その上方には、上下方向への垂直面33と、キャップ22の上方から見て左方向側に傾斜して上方へ向かう傾斜面32とを周回して刻設してなるラチェット歯31が形成されている。
【0044】
本願発明の実施例4の液状化粧料容器1は以上の構成を具えるので、使用者が使用に供する場合、以下の点で実施例3の液状化粧料容器1と異なるだけで、その他の点においては実施例3(並びに実施例3が引用する実施例2)の液状化粧料容器1と同一となるので、同一の点については省略する。
先ず、使用しようとする上記液状化粧料容器1は、キャップ22と化粧料容器本体2の開口部4とが互いに傾動不能且つ回転不能(但し、ラチェット歯31の噛合方向と逆方向である、下側から上方に向かって右回転方向へは回転は可能)であるように、上述の連結手段C”により連結されるとともに、周段部14の係止突縁18とキャップ22の係止凹縁30とが、個別回転可能に嵌合している。即ち、周段部14の係止突縁18とキャップ22の係止凹縁30との嵌合によって、キャップ22はそのラチェット歯31による回転可能方向(本実施例においてはキャップ22の上方から見て左回転方向)を除き、化粧料容器本体2の開口部4に対して、気密性を保持して傾動不能且つ回転不能となっている。
【0045】
次に、ラチェット歯31による回転可能方向である右回転方向にキャップ22を回転させながら引張することにより、周段部14の係止突縁18とキャップ22の係止凹縁30との嵌合を解除した上、キャップ22内周面の被嵌合部24と蓋部15の嵌合部6とを嵌合させることにより、実施例2と同様に、キャップ22の下端部が蓋部15の外面に当接することなく、回転軸受部A並びに気密摺動部Bによって、キャップ22を開口部4に対して気密性を確保しながら傾動摺動及び回転摺動自在とすることができる。ラチェット歯31を使用することで、一方方向へのみ回転が可能(本実施例においてはキャップ22の上方から見て左回転方向)となり、このキャップ22を引張しての係止突縁18と係止凹縁30との嵌合の解除を容易にするものである。
【0046】
更に、使用後においては、キャップ22を化粧料容器本体2の開口部4に深く押し込むことで、キャップ22の内周面の被嵌合部24が化粧料容器本体2の開口部4の嵌合部6と嵌合する位置よりも深く押し込まれ、ラチェット歯31と被ラチェット歯19とを噛合させるとともに、キャップ22の内周面下端の係止凹縁30と蓋部15の周段部14に設けられた係止突縁18とを嵌合させることで、もとの状態に戻ることとなる。
【0047】
尚、実施例1乃至4のいずれにおいても、図11に示すように、回転軸受部Aを形成する仮想球面体形状Dの嵌合部6の表面に、該仮想求面体形状Dの横断面において複数の凹部(単数でもよい)を形成してなる非接触部6aを形成した上、キャップ22の内周面に並設される突条縁を、断続的な突条縁25’としてもよい。この場合、キャップ22を化粧料容器本体2の開口部4に対して傾動あるいは回転させた際に、前記非接触部6aに断続的な突条縁25’が陥入してしまうことがないよう、非接触部6aの幅と、隣接する断続的な突条縁25’の離間距離とを調整しておく必要がある。これによって、嵌合部6と被嵌合部24との摺動に際しての摩擦を少なくすることができ、キャップ22を化粧料容器本体2の開口部4に対して傾動あるいは回転操作する際、円滑に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明は、液状、固形状又は半固形状の化粧料だけではなく、糊等の接着剤における容器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本願発明の実施例1の液状化粧料容器の正面図である。
【図2】本願発明の実施例1の液状化粧料容器の縦断面図である。
【図3】本願発明の実施例1の液状化粧料容器の要部拡大縦断面図である。
【図4】本願発明の実施例1の液状化粧料容器の使用状況を示す縦断面図である。
【図5】本願発明の実施例2の液状化粧料容器の縦断面図である。
【図6】本願発明の実施例2の液状化粧料容器の使用状況を示す縦断面図である。
【図7】本願発明の実施例3の液状化粧料容器の縦断面図である。
【図8】本願発明の実施例3の液状化粧料容器の使用状況を示す縦断面図である。
【図9】本願発明の実施例4の液状化粧料容器の部分縦断面図である。
【図10】本願発明の実施例4の液状化粧料容器の使用状況を示す縦断面図である。
【図11】本願発明の変形例となる液状化粧料容器の、回転軸受部の横断面Pにおける分解横断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 液状化粧料容器
2 化粧料容器本体
2a 貯溜部
2b 段部
3 液状化粧料
4 開口部
5 連通孔
6 嵌合部
6a 非接触部
7 挿入孔
8 摺動受け部
8a 曲面部
8b 受け部
9 しごき
10 係止突縁
11 開口部材
12 底部
13 貯溜部
14 周段部
15 蓋部
15a 組付部
15b 受け段部
15c 細径部
16 挟持縁
17 雄ネジ部
18 係止突縁
19 被ラチェット歯
20 傾斜面
21 垂直面
22 キャップ
23 内周面
24 被嵌合部
25 突条縁
25’ (断続的な)突条縁
26 係止段縁
27 ローレット
28 固定部
29 雌ネジ部
30 係止凹縁
31 ラチェット歯
32 傾斜面
33 垂直面
34 塗布具
35 基部
36 軸部
37 塗布体
38 係止突縁
39 パッキン
40 突条縁
41 スプリング
42 ローレット
A 回転軸受部
B 気密摺動部
C、C’、C” 連結手段
D、D’ 仮想球面体形状
O、O’ 中心
P 横断面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に化粧料を収容するとともに、一端に筒状の開口部を形成する化粧料容器本体、円筒状の内周面を有して、該化粧料容器本体の開口部に対して脱着自在に保持されるキャップ、及びキャップ内に保持され、基部と一体となる軸部の先端に塗布体を具える塗布具から構成され、
該化粧料容器本体の開口部の外周面に、他の開口部部分よりも大なる直径とする全体で一つの仮想球面体形状となる嵌合部を配設するとともに、該開口部の上端縁に、中央に挿入孔を穿設する摺動受け部を配設し、
該キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁に、弾性を有する当接体を軸部とともに配設するものであって、
該化粧料容器本体の開口部の嵌合部に対してキャップの内周面が当接して、着脱自在であって、且つ互いに傾動摺動および回転摺動自在となる回転軸受部を形成するとともに、
該化粧料容器本体の開口部の上端縁の摺動受け部と、キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁に設けられる当接体とが当接自在であって、且つ互いに密着しつつ傾動摺動および回転摺動自在となる気密摺動部を形成することで、
化粧料容器本体の開口部に対してキャップを傾動摺動自在且つ回転摺動自在に保持することを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
該キャップの内周面に、化粧料容器本体の開口部の外周面に配設される嵌合部の表面と摺動自在に嵌合する被嵌合部を配設し、該化粧料容器本体の開口部の嵌合部とキャップの被嵌合部とが、被嵌合部を上下方向に対して等分割する横断面が嵌合部の仮想球面体形状の中心を常に通るように一体に嵌合して、着脱自在であって、且つ互いに傾動摺動および回転摺動自在となる回転軸受部を形成してなることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
開口部上端縁に設けられる摺動受け部の上面を、上方へ向かって1個の球面凸面形状としてなるものとするとともに、キャップ内に保持される塗布具の基部の下端縁において、その中心に軸部を配設した上、その周囲に配設する当接体の下端面を、上方へ向かって1個の球面凹面形状として気密摺動部を形成してなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の化粧料容器。
【請求項4】
化粧料容器本体の開口部の外周面に配設される嵌合部のなす全体で一つの仮想球面体形状の中心と、化粧料容器本体の開口部の上端縁において、上方へ向かって1個の球面凸面形状としてなる摺動受け部の上面のなす全体で一つの仮想球面体形状の中心とを一致させてなることを特徴とする請求項3記載の化粧料容器。
【請求項5】
キャップ内において保持される塗布具を、化粧料容器本体の軸方向に上下動自在に弾性体により保持するとともに、化粧料容器本体の嵌合部に嵌合したキャップを、開口部に対し更に深く嵌入自在とした上、該深く嵌入させた際に、開口部に対するキャップの傾動摺動を不能とする連結手段を、キャップの開口端縁近傍と化粧料容器本体の嵌合部より下部の位置とに配設してなることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−153826(P2009−153826A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336971(P2007−336971)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】