説明

化粧板用樹脂組成物及び熱硬化性樹脂コーティング紙並びに化粧板

【課題】 乾燥工程なしでタックのない熱硬化性樹脂コーティング紙を得、熱圧成形時に、VOCの放散や成形品のくもりやパンクを防止する。
【解決手段】 ジアリルフタレートモノマーおよび/またはプレポリマーと不飽和ポリエステル樹脂からなる混合樹脂に、(メタ)アクリル酸エステル配合する。配合割合は混合樹脂100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステルは20〜100重量部とし、該(メタ)アクリル酸エステルの沸点は150℃以上のものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧板用樹脂組成物及び熱硬化性樹脂コーティング紙並びに化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでよりジアリルフタレート樹脂系化粧板が知られ、可撓性に富み低圧でしかも短時間で成形が可能であるため連続成形にて熱圧成形されている。化粧板は化粧層とコア層から構成され、化粧層にはジアリルフタレート樹脂をアセトン、トルエン等の有機溶剤で希釈した樹脂液を化粧紙に含浸し、乾燥させた樹脂含浸化粧紙が使用されている。
【特許文献1】特開平11−140777
【特許文献2】特開昭62−149714
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、製造に対する環境配慮が求められる中、これまでのジアリルフタレート樹脂系化粧板は、含浸、乾燥工程でVOC(揮発性有機化学物質)が放散され、環境への悪影響が懸念されるとともに、多大な熱エネルギー消費が課題とされてきた。これを解消する技術として、無溶剤系樹脂が検討されてはいたものの、粘度の低減が困難であるためコーティング方式では化粧紙に浸透しにくく、紙間強度不足を生じるといった問題があった。また、乾燥工程なしでは、コーティング紙をタックフリーとすることが困難であり、コーティング紙を中間製品として取り扱うことが不可能となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、ジアリルフタレートモノマーおよび/またはプレポリマー、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸エステルを含んでなることを特徴とする化粧板用樹脂組成物、また、化粧紙に該化粧板用樹脂組成物を塗布し、乾燥工程なしで作製したコーティング紙、さらに該コーティング紙をコア材とともに熱圧成形してなることを特徴とする化粧板である。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコーティング紙は、これまで使用されてきた溶剤の代替として、浸透性がよく、反応性希釈剤として、不揮発性(沸点150℃以上)の(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、乾燥工程なしでもタックのないものとなり、加えて化粧紙への浸透不足による紙間強度の低下を防ぐことができる。また、固形のジアリルフタレート樹脂、粉末シリカを用いることにより更にタックの少ないものとなり、中間製品としての取り扱いが可能である。更に、該化粧板用組成物は揮発性のものを含まないため、熱圧成形時において揮発するものがなく、VOCの放散や成形品のくもりやパンクを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係るジアリルフタレートプレポリマーとしては、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマーの単独あるいはそれらの共重合体又はそれらの混合物が挙げられ、ジアリルフタレートモノマーとしては、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレートまたはジアリルテレフタレート、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0007】
不飽和ポリエステル樹脂は不飽和ポリエステルと重合性モノマーなどからなり、不飽和ポリエステルは不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させたものが用いられる。
【0008】
不飽和二塩基酸及びその酸無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、単独で用いても2種以上を併用しても良い。不飽和二塩基酸及びその酸無水物は、酸成分中50〜100mol%使用されることが好ましく、特に60〜100mol%使用されることが好ましい。
【0009】
必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物としては、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの飽和二塩基酸などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。飽和酸の配合量は、酸成分中0〜50mol%、好ましくは0〜40mol%の範囲とされる。
【0010】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、1,5―ペンタジオール、1,6―ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ペンタエリスリトールなどの四価アルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。配合量は全酸成分100に対して100〜110molの範囲が良い。
【0011】
重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレンなどの芳香族重合性モノマー類、(メタ)アクリル系モノマー、例えば、メチル(メタ)アクリレート[(メタ)アクリレートはメタクリレート及びアクリレートを示す。以下同じ。]、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有重合性モノマー類などが挙げられる。
【0012】
その他、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジブチルマレエート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネートなどの不飽和二塩基酸塩のジアルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレートなどの窒素含有重合性モノマー類、酢酸ビニルの如き酢酸エステル、(メタ)アクリロニトリルの如き重合性シアノ化合物なども例示される。
【0013】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート[アクリレート及びメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す]、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等の沸点が150℃以上のものが適当であり、沸点がこれ未満であると、熱圧成形時にVOCの放散や成形品のくもりやパンクを発生する原因となり、また、保存中に揮発しコーティング紙の保存安定性の低下につながる。
【0014】
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートやポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられ、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
【0015】
エポキシ(メタ)アクリレートはエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応して得られ、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどが挙げられ、不飽和一塩基酸と併用される多塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,12−ドデカン二酸の他ダイマー酸などが挙げられる。ニ塩基酸無水物として無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。三塩基酸無水物として無水トリメリット酸を使用した変性品も使用可能である。
【0017】
エポキシ(メタ)アクリレートは、通常粘度調整の為、重合性の不飽和モノマーを含有しており、この重合性不飽和モノマーは、重合して硬化物の骨格を構成するものであり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマー類、アクリロニトリル等のモノマーが挙げられる。
【0018】
これらのモノマーに加え、必要に応じてジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋構造形成に寄与するモノマー、或いは不飽和ポリエステル樹脂などの共重合可能な樹脂を併せて使用することができる。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートはジイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等を、混合して反応させることによって得ることができる。
【0020】
ジイソシアネート化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、1,2−ジイソシアナトエタン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼンおよびこれらの付加物であるオリゴマー等をあげることができる。
ポリオール化合物の具体例としては、アルキルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール等を挙げることができる。
【0021】
アルキルジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,9−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、4,5−ノナンジオール、および2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
【0022】
ポリエーテルジオールとしては、通常公知の方法によりアルデヒド、アルキレンオキサイド、またはグリコールの重合により合成されるものを用いることができ、例えば、ホルムアルデヒド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロルヒドリンなどを適当な条件でアルキルジオールに付加重合させて得られるポリエーテルジオールを挙げることができる。
【0023】
ポリエステルジオールとしては、飽和または不飽和のジカルボン酸および/またはそれらの酸無水物と過剰のアルキルジオールとを反応して得られるエステル化反応生成物、およびアルキルジオールにヒドロキシカルボン酸および/またはその内部エステルであるラクトン及び/又は分子間エステルであるラクチドを重合して得られるエステル化反応生成物を用いることができる。
【0024】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等が挙げられる。多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0025】
前記の(メタ)アクリル酸エステルは、不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂の混合樹脂100重量部に対して20〜100重量部、好ましくは30〜80重量部の範囲が好ましい。20重量部未満では化粧紙への浸透性が得られず、塗布後、コーティング紙にタックが残り、中間製品としての取扱いができなくなり、また100重量部を超えると化粧材として十分な物性を得ることができない。不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂の配合割合は固形分重量比で10:80〜90:20、より好ましくは25:75〜75:25とするのが望ましく、不飽和ポリエステル樹脂が多いとコーティング紙がベトツキやすく、少ないと塗布量がコントロールできず好ましくない。
【0026】
ラジカル重合開始剤として用いる有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、アセト酢酸エステルパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソピルベンゼンパーオキサイドなどハイドロパーオキサイド類、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなどのパーオキシエステル類などの有機過酸化物や、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上の併用が可能である。好ましくは有機過酸化物で硬化促進剤と併用し分解温度が低いものが硬化性の面で都合が良く、具体的には、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセト酢酸エステルパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドを用いるのが好ましい。
【0027】
化粧紙に塗布した際、タックをより少なくするために平均粒子径1〜150μmの粉末シリカを配合するのがのぞましい。粉末シリカは、不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部の範囲が好ましい。1重量部未満では、塗布後、コーティング紙にタックが残り、中間製品としての取扱いができなくなり、また10重量部を超えると成型品の外観が白濁し意匠性が損なわれる。
【0028】
コア材としては、熱硬化性樹脂含浸紙、熱可塑性樹脂含浸紙など通常公知のものが使用できる。
【実施例1】
【0029】
混合樹脂(A)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 37重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 9重量部
不飽和ポリエステル樹脂(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
37重量部
ポリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
17重量部
化粧板用樹脂組成物(B)
混合樹脂(A) 100重量部
BPO(過酸化ベンゾイル) 0.5重量部
離型剤(商品名セパール326 中京油脂株式会社製) 0.5重量部
レベリング剤 0.3重量部
シリカ粒子(商品名ファインシールX70 平均粒径2.0μm 株式会社トクヤマ製)
4重量部
上記の化粧板用樹脂組成物(B)を100g/mの印刷紙に、塗布後の樹脂付着量が100g/mとなるようにコンマコーターで塗布し、乾燥なしでタックのないコーティング紙を得た。次いで200g/mのラテックス樹脂含浸コア紙とともにダブルベルト機に挿入し、温度140℃、圧力10kg/cmの条件で熱圧成形して、実施例1の化粧板を得た。
【実施例2】
【0030】
混合樹脂(C)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 23重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 4重量部
不飽和ポリエステル樹脂(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
23重量部
ポリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
50重量部
混合樹脂に(C)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【実施例3】
【0031】
実施例2においてポリプロピレングリコールジメタクリレートの代わりにネオペンチルグリコールジメタクリレート(商品名 NKエステルNPG、新中村化学株式会社製、沸点150℃以上、分子量240、粘度34.5mPa・s)を用いた以外は同様に実施した。
【実施例4】
【0032】
実施例2においてポリプロピレングリコールジメタクリレートの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学株式会社製、沸点205℃、分子量130、粘度24.5mPa・s)を用いた以外は同様に実施した。
【0033】
比較例1
混合樹脂(D)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 18重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 4重量部
不飽和ポリエステル樹脂(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
18重量部
ポリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
60重量部
混合樹脂に(D)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0034】
比較例2
混合樹脂(F)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 40重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 10重量部
不飽和ポリエステル樹脂(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
40重量部
ポリプロピレングリコールジメタクリレート(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
10重量部
混合樹脂に(F)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0035】
比較例3
(メタ)アクリル酸エステルにメタクリル酸メチル(沸点101℃、分子量100、粘度0.57mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
注1 化粧紙への浸透性が悪く、コーティング紙にベタツキ有り、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注2 化粧紙への浸透性が良すぎ樹脂が裏抜けし、コーティング紙にベタツキが有り、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注3 煮沸試験コア間で剥離、また碁盤目テープ剥離試験でもコア間で剥離し100個中2個しか残存しなかった。
注4 樹脂が化粧紙に浸透しておらず、煮沸試験でフクレ発生し、碁盤目テープ剥離でも紙間強度が弱く剥離が発生した。
注5 樹脂の粘度が高いことにより、コーティングむらが発生し、成型後、外観不良となった。
注6 熱圧成型時にメタクリル酸メチルが揮発し、パンク及び艶ムラが発生した。
注7 コーティング紙がベタつき、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注8 メタクリル酸メチルが保存中に揮発し、樹脂のフロー性が低下し、表面にピンホールが発生した。
評価方法は以下の通リとした。
コーティング紙のタック;コーティング紙を作成する時やコアを重ねてプレスする際のコーティング紙のべたつきを観察した。
表面硬度;硬化性の判断として鉛筆硬度測定を行った。
コアとの密着性;碁盤目テープ剥離試験及び、耐煮沸試験(JIS K6902に基づく)により層間剥離するかを確認した。
外観;プレス成型後、コーティング紙を積層した表面に、樹脂の欠落部分や艶落ち部分等の外観異常がないか観察した。
コーティング紙の保存性;コーティング紙を40℃の恒温器で2週間保管後、プレス成型を行い、表面外観の確認を行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアリルフタレートモノマーおよび/またはプレポリマー、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸エステルを含んでなることを特徴とする化粧板用樹脂組成物。
【請求項2】
該ジアリルフタレートモノマー及び/または該プレポリマーと該不飽和ポリエステル樹脂との混合樹脂100重量部に対して、(メタ)アクリル酸エステルが20〜100重量部であることを特徴とする請求項1記載の化粧板用樹脂組成物。
【請求項3】
該(メタ)アクリル酸エステルの沸点が150℃以上である請求項1記載又は2記載の化粧板用樹脂組成物。
【請求項4】
該化粧板用樹脂組成物を化粧紙に塗布してなることを特徴とする熱硬化性樹脂コーティング紙。
【請求項5】
該コーティング紙を、コア材とともに熱圧成形してなることを特徴とする化粧板。

【公開番号】特開2007−246700(P2007−246700A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72597(P2006−72597)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】