説明

化粧板

【課題】磁石付きフック等の磁石を強固に磁着できるようにした化粧板を提供すること。
【解決手段】芯材層2の表面に化粧層1を有し、磁性体粒子を含有する磁性層3を芯材層2として化粧層1に隣接させ、さらに、芯材層2の裏面に裏面化粧層5を積層して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板に関し、特に、台所で調理器具を吊り下げる磁石付きフック等の磁石を取り付けることができる化粧板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建築用内外装材として使用する化粧板として、水酸化アルミニウム等の無機質充填材を主たる材料とし、これに熱硬化性樹脂を添加してなる基板の表面に、印刷を施した熱硬化性樹脂を含浸させた化粧紙を積層、一体化したものが実用化されている。
【0003】
ところで、下記の特許文献1〜2に記載の化粧板は、化粧板の貼着面に磁性層を設け、これを金属駆体に磁着させることで施工の効率化等を図っている。
しかし、これら従来の化粧板は、磁性層が貼着面側に配設されているため、化粧板の表面側に作用する磁力が小さく、このため、磁石付きフック等の磁石を取り付けることができなかったり、取り付けても簡単に離脱してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平9−1743号公報
【特許文献2】特開2004−98296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の化粧板が有する問題点に鑑み、磁石付きフック等の磁石を強固に磁着できるようにした化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の化粧板は、芯材層の表面に化粧層を有する化粧板において、磁性体粒子を含有する磁性層を芯材層として前記化粧層に隣接させて積層してなることを特徴とする。
【0006】
この場合において、磁性層は、磁性体粒子を30〜90重量%含有することができる。
【0007】
また、化粧層の裏側に配設する芯材層を、磁性層と、磁性体粒子を含有しない無機材層とにより構成することができる。
【0008】
また、無機材層は、無機質骨材を60〜90重量%含有することができる。
【0009】
また、芯材層は、無機質骨材を含有し、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス不織布を含むものからなり、磁性体粒子を30〜90重量%含有することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧板によれば、芯材層の表面に化粧層を有する化粧板において、磁性体粒子を含有する磁性層を芯材層として前記化粧層に隣接させて積層することから、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石を磁着させることができる。
【0011】
この場合、磁性層が磁性体粒子を30〜90重量%含有することにより、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石をより好適に磁着させることができる。
【0012】
また、化粧層の裏側に配設する芯材層を、磁性層と、磁性体粒子を含有しない無機材層とにより構成することにより、化粧板を不燃性としながら、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石を磁着させることができる。
【0013】
また、無機材層が無機質骨材を60〜90重量%含有することにより、より好適な不燃性化粧板を得ることができる。
【0014】
また、芯材層が、無機質骨材を含有し、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス不織布を含むものからなり、磁性体粒子を30〜90重量%含有することにより、表面に磁石付きフック等の磁石が磁着する不燃性化粧板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の化粧板の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1(ただし、図1(b)を除く。)に、本発明の化粧板の実施例を示す。
この化粧板は、芯材層2の表面に化粧層1を有し、磁性体粒子を含有する磁性層3を芯材層2として化粧層1に隣接させ、さらに、芯材層2の裏面に裏面化粧層5を積層して構成している。
この化粧板の厚みは、特に限定されるものではないが、2〜6mm、特に、2〜5mmの厚みであることが好ましい。この厚みであると、台所で使用される他の化粧板との段差をなくすことができ、台所周りを美しく仕上げることができる。
【0017】
この場合において、表面化粧層1は、例えば、酸化チタンを含有する紙材にメラミン樹脂を含浸させたものを用いることができる。
紙材は、例えば、秤量70〜150g/mのクラフト紙を採用することができ、これにメラミン樹脂を60〜150重量%含浸させ、さらに、その表面に任意の印刷層を形成することができる。
この場合、表面化粧層1の表面に細かい皺(しぼ)状の模様が現れることを防止するため、表面化粧層1のメラミン樹脂の含有量を、上記のような含浸率に設定することが望ましい。
【0018】
芯材層2は、磁性体粒子を含有する磁性層3と、必要に応じて配設することができる磁性体粒子を含有しない無機材層4とにより構成することができる。
具体的には、図1(a)に示すように、化粧層1に隣接した1層を磁性層3で構成したり、図1(c)に示すように、化粧層1に隣接した複数層(3層)を磁性層3で構成したり、図1(d)に示すように、すべての層(5層)を磁性層3で構成したり、さらには、化粧板の反り等の変形を防止するために、図1(e)に示すように、化粧層1に隣接した1層及び裏面化粧層5に隣接した1層を磁性層3で構成し、芯材層2の層構成のバランスをとるようにする等、磁性層3を芯材層2として化粧層1に隣接させて積層する限りにおいて、任意の層構成とすることができる。
ここで、磁性層3を芯材層2として化粧層1に隣接させて積層するに当たり、両者の一体性を向上すること等を目的とした補助層を両層の間に介在させることは、当該補助層が、化粧板の表面側に作用する磁力に著しい影響を与えない限り可能であり、本発明は、このような補助層を介在させたものを排除するものでない。
なお、図1(b)に示すように、磁性層3が無機材層4を介して化粧層1に積層されているもの、すなわち、磁性層3が芯材層2として化粧層1に実質的に隣接して積層されていないものは、本発明の化粧板の対象外となる。
【0019】
そして、芯材層2を構成する磁性層3や無機材層4は、ガラス不織布や織布からなり、磁性層3に含有させる磁性体粒子のほか、無機質骨材として、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、無水珪酸、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を含有するとともに、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸又は塗布されて構成される。
この芯材層2を構成する磁性層3や無機材層4の各々厚みは、特に限定されるものではないが、0.3〜2.0mm、特に、0.5〜1.0mmの厚みであることが好ましい。
【0020】
このうち、磁性層3は、磁性体粒子を30〜90重量%、より好ましくは、50〜90重量%含有するようにするとともに、他の無機質骨材と合わせて、無機材(磁性体粒子を含む)を60〜90重量%含有するようにする。
また、無機材層4は、磁性体粒子を含有させることなく、無機質骨材を60〜90重量%含有するようにする。
そして、芯材層2全体として、熱硬化性樹脂が5〜20重量%含有されるようにする。
熱硬化性樹脂の含有量が、20重量%より多いと、不燃性となり難く、反対に、5重量%より少ないと、結合力(接着力)が小さく、成形性が悪くなる。
【0021】
磁性層3に含有させる磁性体粒子としては、鉄(γ−酸化鉄は錆び難く磁力を保持できるので好ましい。)のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛等の鉄以外の金属、これら非鉄金属同士の合金、あるいはこれら非鉄金属と鉄との合金等を使用できる。
なお、磁性体粒子の大きさは、錆び難さや成形性等を考慮して、粒径が20〜200μm、好ましくは、粒径が30〜100μm程度のものを使用することが望ましい。
【0022】
裏面化粧層5は、例えば、紙材にメラミン樹脂やフェノール樹脂を含浸させたものを用いることができる。
紙材は、例えば、秤量70〜150g/mのクラフト紙を採用することができ、これにメラミン樹脂を60〜150重量%含浸させたものである。なお、必要に応じて、その表面に任意の印刷層等を形成することもできる。
【0023】
次に、本発明の実施例の化粧板と、比較例の化粧板とについて、磁着力を確認するための試験を行った結果を表1に示す。
各化粧板の層構成は、化粧層1の下に5層の芯材層2と裏面化粧層5をプレスした化粧板において、以下のとおりとした。
層構成(a):化粧層1に隣接した1層を磁性層3とし、残りの4層を無機材層4とした(図1(a))。
層構成(b):化粧層1に隣接した1層と裏面化粧層5に隣接した3層とを無機材層4とし、中間の1層を磁性層3とした(図1(b))。
層構成(c):化粧層1に隣接した3層を磁性層3とし、残りの2層を無機材層4とした(図1(c))。
層構成(d):芯材層2のすべての層を磁性層3とした(図1(d))。
ここで、各磁性層3及び無機材層4の磁性体粒子、無機質骨材及び熱硬化性樹脂の添加量(重量部)は、表1に記載のとおりである。
そして、各化粧板の磁着力を評価するため、市販の磁石(角棒状磁石(4×8×200mm))を用い、A4サイズの紙を何枚保持できるかを確認した。
【0024】
【表1】

【0025】
表1に示す試験結果からも明らかなように、本実施例の化粧板は、磁性体粒子を含有する磁性層3を芯材層として化粧層1に隣接させて積層することから、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石を強固に磁着させることができる。
この場合、磁性層3が磁性体粒子を30〜90重量%含有することにより、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石をより好適に磁着させることができる。
また、化粧層1の裏側に配設する芯材層2を、磁性層3と、磁性体粒子を含有しない無機材層4とにより構成することにより、化粧板を不燃性としながら、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石を磁着させることができる。
また、無機材層4が無機質骨材を60〜90重量%含有することにより、より好適な不燃性化粧板を得ることができる。
また、芯材層2が、無機質骨材を含有し、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス不織布を含むものからなり、磁性体粒子を30〜90重量%含有することにより、表面に磁石付きフック等の磁石が磁着する不燃性化粧板を得ることができる。
【0026】
以上、本発明の化粧板について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の化粧板は、化粧板の表面に磁石付きフック等の磁石を磁着させるという特性を有していることから、例えば、台所の不燃性化粧板の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】化粧板を示し、(a)、(c)、(d)及び(e)は本発明の実施例の層構成を、(b)は比較例の層構成を示す。
【符号の説明】
【0029】
1 化粧層
2 芯材層
3 磁性層
4 無機材層
5 裏面化粧層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材層の表面に化粧層を有する化粧板において、磁性体粒子を含有する磁性層を芯材層として前記化粧層に隣接させて積層してなることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
磁性層が、磁性体粒子を30〜90重量%含有することを特徴とする請求項1記載の化粧板。
【請求項3】
化粧層の裏側に配設する芯材層を、磁性層と、磁性体粒子を含有しない無機材層とにより構成してなることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧板。
【請求項4】
無機材層が、無機質骨材を60〜90重量%含有することを特徴とする請求項3記載の化粧板。
【請求項5】
芯材層が、無機質骨材を含有し、熱硬化性樹脂を含浸させたガラス不織布を含むものからなり、磁性体粒子を30〜90重量%含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の化粧板。

【図1】
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【公開番号】特開2007−39965(P2007−39965A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225049(P2005−225049)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】